ロームのトランジスタを 安心してお使いいただくために. .. トランジスタを動作させると電気的、熱的な負荷がかかります。 負荷がトランジスタにとって大きすぎると寿命が短くなったり、最悪の場合、 破壊することもあります。そこで、そのような事が起こらない様に実使用状態を チェックし、使用上問題がないか確認する必要があります。 この資料では上記のための具体的な判定方法を解説しました。 安全に使用して戴くため、是非参考にしてください。 ① トランジスタの選定 ROHM TR / ホームページ http://www.rohm.co.jp/products/ discrete/transistor/ (web、ショートフォームより仕様を満たすトランジスタを選定 ) ② トランジスタの ② トランジスタの スペック・サンプルを入手 ROHM TR / ホームページ http://www.rohm.co.jp/products/ discrete/transistor/ サンプル ダイレクト販売 https://direct.rohm.co.jp/jp/index.asp (サンプルの一部は web から入手可能です 今後、 ショートフォーム記載全品番登録予定 ) ③ 実際の回路 ( 評価回路 ) に トランジスタを実装 ご確認ください ☆ 選定したトランジスタが実際の回路で安全に動作するか? ☆ 動作はしたが、長期的 ( 信頼性的)に安定して動作するか? などなど、電気的マージンも考える必要があります。 そこで! トランジスタの使用検討 ( 可否 ) を確認してみよう! Rev.A 使用可否判定方法 先ほど①で確認した波形の例の計算を実際に行ってみます。 ( 1 ) O FF→O N 時 1.3A まず、ON時の波形を図の 線のように近似します。 5V 2V 0.4V ① ② 100ns 230ns 積分公式から、 ①の区間 ∫IVdt = (1/6)×100ns×(2・0A・5V + 0A・2V + 1.3A・5V + 2・1.3A・2V ) -7 = 1.95×10 (J) ②の区間 ∫IVdt = (1/6)×230ns×(2・1.3A・2V + 1.3A・0.4V + 1.3A・2V + 2・1.3A・0.4V ) -7 = 3.59×10 (J) -7 となります。 OFF→ON時 合計: 5.54×10 (J) ( 2 ) O N 期間中 0.4V → VCE(sat)分 1.3A ON期間中 100μs ∫IVd t = 100μs×0.4V ×1.3A -5 = 5.2×10 (J) 使用可否判定方法 ( 3 ) O N →OFF時 1.3A 28V 0.5A 7V ③ ④⑤ 1480ns 120ns 80ns ③の区間 ∫IVdt = (1/6)×1480ns×(2・1.3A・0V + 1.3A・7V + 1.15A・0V + 2・1.15A・7V ) -6 = 6.22×10 (J) ④の区間 ∫IVdt = (1/6)×120ns×(2・1.15A・7V + 1.15A・28V + 0.5A・7V + 2・0.5A・28V ) -6 = 2.1×10 (J) ⑤の区間 ∫IVdt = (1/6)×80ns×(2・0.5A・28V + 0.5A・28V + 0A・28V + 2・0A・28V ) -7 = 9.3×10 (J) -6 ON→OFF時 合計: 9.25×10 (J) となります。 ( 4 ) OFF時は電流がほぼゼロ(実際には数nA∼数10nA程度のリーク電流が流れています) と考え、OFF期間中の消費電力はゼロと考えます。 以上の計算から各区間における積分値を合計して1周期の長さ400μsで除すると、 平均消費電力は t P= ∫ I(t)V(t)dt 0 T -7 = -5 -6 5.54×10 (J) + 5.2×10 (J) + 9.25×10 (J) 400μs = 0.155 (W) となります。 使用可否判定方法 なお、ここではバイポーラトランジスタの2SD2673の例で コレクタ電流:ICとコレクタ-エミッタ間電圧:VCEの積分を行いましたが、 デジトラでは出力電流 :IOと出力電圧:VOで、 MOSFETでは ドレイン電流:ID と ドレイン-ソース間電圧:VDS で 同様の積分計算を行えば、平均消費電力を計算することができます。 平均消費電力を求めたところで、仕様書のコレクタ損失(MOSFETの場合ドレイン損失)を確認します。 例 2SD2673の仕様書 コレクタ損失を確認 この場合、平均印加電力が0.155Wで許容コレクタ損失が0.5W(推奨ランド:ガラエポ基板実装時) なので周囲温度25℃においては使用可能と判断します。 (正確には、許容コレクタ損失は実装基板やランド面積などによる放熱条件によって異なりますが 推奨ランド実装時の値を目安としました) 使用可否判定方法 周囲温度が25℃以上の場合は、電力軽減曲線を確認して温度ディレーティングを行います。 例えば、周囲温度が50℃のときは25℃のときに比べて許容損失は80%となるので、 許容損失は 0.5W×80%=0.4W となります。 この場合、平均消費電力は0.155Wなので周囲温度50℃においては使用可能となります。 素子温度の詳しい計算方法は、別紙『素子温度の計算方法』をご参照ください。