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目次
各種パワーデバイスとIGBT
2
IGBTモジュール回路構成
4
IGBTモジュール定格と特性
6
IGBTモジュール損失と放熱
10
IGBTモジュールのゲート ドライブ
20
ハイサイドのドライブ
24
3相ブリッジインバータ
26
短絡と過電圧保護
30
スナバ回路
33
並列接続
36
1
2005. 5 橋詰伸一 Rev. 1.01
各種パワーデバイスとIGBT
パワーデバイスとして最もシンプルなのはダイオードです。これを基本として、サイリスタ、ト
ランジスタ、MOSFET、そして、IGBTのスイッチング特性をまとめます。
ダイオード
i
i
E
v
vF
アノード
i
i
カソード
E
-E
v
vF
-E
サイリスタ (SCR)
i
i
アノード
E
v
ゲート
カソード
E
vT
iG
iG
DC、または、パルスゲート電流で、オンさせることが
できます。しかし、ゲート信号で、オフさせることはでき
ません。
トランジスタ (NPN)
コレクタ
E
ベース
iC
iC
vCE
E
iB
vCE(sat)
エミッタ
iB
ベース電流を流している期間だけオンさせることが
できます。
2
各種パワーデバイスとIGBT
MOSFET (Nch)
iD
iD
E
ドレイン
E
vDS(on)
vGS
vDS
iG
vGS
ゲート
iG
ソース
iD
-E
iD (=-IS)
iS
ゲート電圧をかけている期間だけオンさせることができます。ゲート電流が流れるのは、
オン時とオフ時の短い期間だけです。ドレイン・ソース間には、ドレイン電流とは逆向きに電
流を流すダイオードがチップ内に内蔵されています。
IGBT
コレクタ
iC
iC
E
ゲート
エミッタ
vGE
vCE
E
vCE(sat)
iG
vGE
15V
等価回路
iG
ゲート電圧をかけている期間だけオンさせることができます。ゲート
電流が流れるのは、オン時とオフ時の短い期間だけです。チップ内に
ダイオードは内蔵されていません。モジュール内にダイオードがあるも
のは、ダイオードチップを別途追加しています。
3
IGBTモジュール回路構成
PHMB
例 PHMB400B12
シングル
PDMB
例 PDMB100B12C
ダブラー、 2 in 1
PBMB
例 PBMB100B12C
単相ブリッジ、 4 in 1
PTMB
例 PTMB100B12C
3相ブリッジ、 6 in 1
4
IGBTモジュール回路構成
PCHMB
Suffix –A
例 PCHMB100B12
PRHMB(
PRHMB(--A), PRFMB
Suffix –A *1
例 PRHMB400B12
*1 : 600V EシリーズではPRFMBです。
PVD
例 PVD150-12
例 PVD30-8
5
IGBTモジュールの定格と特性
IGBTの定格と特性をPDMB100B12を例に説明します。
最大定格 MAXIMUN RATINGS Tc=25℃
Item
コレクタ・エミッタ間電圧
Collector-Emitter Voltage
ゲート・エミッタ間電圧
Gate-Emitter Voltage
Symbol
VCES
Rated Value
1200
Unit
V
VGES
±20
V
定格をこえたストレスが加わると、直ちに素子破壊が起きるか、信頼性が損なわれる
ことがあります。以下の定格を順守して設計してください。
C
ゲート・エミッタ短絡時のコレクタ・エミッタ間電圧
G
E
C
コレクタ・エミッタ短絡時のゲート・エミッタ間電圧
G
E
コレクタ電流
Collector Current
DC
IC
100
A
1ms
ICP
200
A
PC
500
W
コレクタ損失
Collector Power Dissipation
コレクタ電極に流せるDC、あるいは、パルス電流
構成する1 IGBTあたりのコレクタ損失。このモジュールは2個のIGBTで構成されてい
るので、それぞれの定格値です。
接合温度
Junction Temperature
保存温度
Storage Temperature
Tj
-40~ +150
℃
Tstg
-40~ +125
℃
IGBTチップが連続動作できる温度
電気的負荷が、かからない状態で、保存、あるいは、輸送できる温度
6
IGBTモジュールの定格と特性
絶縁耐圧 (Terminal to Base, AC, 1minute)
Isolation Voltage
締め付けトルク
Mounting Torque
Module Base to Heatsink
VISO
2,500
V
Ftor
3 (30.6)
N・m
(kgf ・
cm)
Busbar to Main Terminal
2 (20.4)
電極をすべて短絡して、電極・ベース間にかけられる電圧
所定のネジでの締め付けトルク
電気的特性 ELECTRICAL CHARACTERISTICS Tc=25℃ (1IGBTあたり)
Characteristics
Symbol
Test Condition
Min.
Typ.
Max.
Unit
コレクタ遮断電流
Collector-Emitter Cut-off Current
ICES
VCE=1200V, VGS=0V
2.0
mA
ゲート漏れ電流
Gate-Emitter Leakage Current
IGES
VGS=±20V, VCE=0V
1.0
µA
2.4
V
8.0
V
C
ゲート・エミッタ短絡時のコレクタ・エミッタ間漏れ電流
G
E
C
コレクタ・エミッタ短絡時のゲート・エミッタ間漏れ電流
G
E
コレクタ・エミッタ間飽和電圧
Collector-Emitter Saturation Voltage
VCE(sat)
IC=100A, VGS=15V
ゲートしきい値電圧
Gate-Emitter Threshold Voltage
VGE(th)
VCE=5V, IC=100mA
1.9
4.0
C
G
IGBT定常損失の尺度。ダイオードの順電圧、SCRの
オン電圧、MOSFETのオン抵抗に対応します。
100A
15V
E
C
G
100mA
5V
IGBTがオンし始めるゲート電圧
E
7
IGBTモジュールの定格と特性
入力容量
Input Capacitance
Cies
VCE=10V, VGE=0V, f=1MHz
8,300
pF
tr
VCE=600V, RL=6Ω, RG=10Ω
VGE=±15V
0.25
0.45
ゲート・エミッタ間容量
スイッチング時間 上昇時間
Switching Time Rise Time
ターンオン時間
Turn-on Time
ton
0.40
0.70
下降時間
Fall Time
tf
0.25
0.35
ターンオフ時間
Turn-off Time
toff
0.80
1.10
µs
6Ω
C
+15V
G
-15V
600V
E
PDMB100B12 Max.では
td(on)
tr
ton
td(off)
tf
toff
(0.25µs)
0.45µs
0.70µs
(0.75µs)
0.35µs
1.1µs
フリーホイーリングダイオード最大定格と電気的特性 (1ダイオードあたり)
MAXIMUN RATINGS AND ELECTRICAL CHARACTERISTICS OF FWD Tc=25℃
順電流
Forward Current
DC
IF
100
A
1ms
IFM
200
A
内蔵フリー ホイーリングダイオー ドに流せる
DC、あるいは、パルス電流
8
IGBTモジュールの定格と特性
Characteristics
Symbol
Test Condition
Min.
Typ.
Max.
Unit
順電圧
Forward Voltage
VF
IF=100A, VGE=0V
1.9
2.4
V
逆回復時間
Reverse Recovery Time
trr
IF=100A, VGE=-10V
-di/dt = 200A/µs
0.2
0.3
µs
条件にある順電流を流した時の内蔵ダイオード順電圧
内蔵ダイオードが逆方向の高抵抗状態を回復するのに要する時間
逆回復時間の定義
熱的特性 THERMAL CHARACTERISTICS
Characteristics
熱抵抗
Thermal Resistance
Symbol
IGBT
Min.
Condition
Typ.
Rth(j-c) Junction to Case
Diode
Max.
Unit
0.24
℃/W
0.42
内蔵されている各IGBT、あるいは、ダイオードの熱抵抗
ケース温度測定点
IGBT
Diode
ジャンクション温度
0.24℃/W
0.24℃/W
0.42℃/W
ケース温度
接触熱抵抗
Cuベース長手方向センターに
直径1mm、深さ5mmの
穴を開けて熱電対で測定
仕様値は、チップ直下の
金属ベースの温度です。
ヒートシンク温度
ヒートシンク熱抵抗
周囲温度
9
0.42℃/W
IGBTモジュール損失と放熱
IGBTの損失は、定常損失とスイッチング損失との和です。さらにスイッチング損失はターン
オン損失 (EON)とターンオフ損失 (EOFF)との和です。
また、内蔵ダイオードの損失は、定常損失とスイッチング(逆回復)損失 (ERR) との和です。
EON EOFF ERRにスイッチング周波数をかけると平均損失になります。
IGBTの損失
コレクタ電流
IC
コレクタ・エミッタ電圧
VCE(sat)
ターンオン損失 EON
定常損失
コレクタ損失
IC×VCE(sat)
ダイオードの逆回復損失
逆回復損失 ERR
10
ターンオフ損失 EOFF
IGBTモジュール損失と放熱
スイッチング特性の測定
RG
-15V
RG
+15V
iC
VCC
iC
-15V
時間
900
30
2
250
750
20
1
200
600
10
0
150
VGE (V)
300
VCE (V)
3
IC (A)
IG (A)
PDMB100B12 ターンオン損失EON測定例
450
Turn-On / 100A/1.2kV/SPT
at VCC=600V, IC=100A, RG=10Ω, VGE=±15V, TC=125℃
VGE
0
-IG
IC
-1
100
300
-10
-2
50
150
-20
-3
0
0
-30
VCE
5.4x10
-5
5.6x10
-5
t : 2 . 0μ s/ DIV
5.8x10
-5
6x10
-5
6.2x10
-5
0.02
1.0x10
5
0.015
7.5x10
4
5.0x10
4
2.5x10
4
0.0x10
0
0.01
0.005
P (W)
ESW (J)
Time (s)
0
5.4x10
P
EON
t : 2 . 0μ s/ DIV
-5
5.6x10
-5
5.8x10
-5
6x10
-5
6.2x10
-5
Time (s)
900
30
2
250
750
20
1
200
600
10
0
150
450
VGE (V)
300
VCE (V)
3
IC (A)
Turn-Off / 100A /1.2kV /SPT
at VCC=600V, IC=100A, RG=10Ω, VGE=±15V, TC=125℃
VCE
-IG
0
-1
100
300
-10
-2
50
150
-20
-3
0
0
-30
-2x10
VGE
IC
-6
-1x10
-6
0x10
-6
t : 1 . 0μ s/ DIV
-6
1x10
2x10
-6
3x10
-6
4x10
-6
5x10
-6
Time (s)
0.02
1.0x10
5
0.015
7.5x10
4
5.0x10
4
2.5x10
4
0.01
0.005
0
P (W)
ESW (J)
IG (A)
PDMB100B12 ターンオフ損失EOFF測定例
P
EOFF
t : 1 . 0μ s/ DIV
0.0
-2x10
-6
-1x10
-6
0x10
-6
1x10
-6
2x10
Time (s)
11
-6
3x10
-6
4x10
-6
5x10
-6
IGBTモジュール損失と放熱
1200V Bシリーズ ターンオン損失EON (Tj= 125℃)
ゲートシリーズ抵抗RGは仕様書を参照ください。
VCC=600V
Tj=125℃
VGE=±15V
Half Bridge
1200V Bシリーズ ターンオフ損失EOFF (Tj= 125℃)
ゲートシリーズ抵抗RGは仕様書を参照ください。
VCC=600V
Tj=125℃
VGE=±15V
Half Bridge
12
IGBTモジュール損失と放熱
1200V Bシリーズ EONの ゲートシリーズ抵抗RG依存性(Tj= 125℃)
VCC=600V
IC=Rated IC
Tj=125℃
VGE=±15V
Half Bridge
1200V Bシリーズ EOFFの ゲートシリーズ抵抗RG依存性(Tj= 125℃)
VCC=600V
IC=Rated IC
Tj=125℃
VGE=±15V
Half Bridge
13
IGBTモジュール損失と放熱
1200V Bシリーズ ダイオード逆回復損失 ERR (Tj= 125℃)
ゲートシリーズ抵抗RGは仕様書を参照ください。
VCC=600V
Tj=125℃
VGE=±15V
Half Bridge
1200V Bシリーズ ERRの ゲートシリーズ抵抗RG依存性(Tj= 125℃)
VCC=600V
IC=Rated IC
Tj=125℃
VGE=±15V
Half Bridge
14
IGBTモジュール損失と放熱
IGBTモジュール損失
IGBT
IGBT
FWD
定常損失
スイッチング損失(ターンオン損失EON、ターンオフ損失EOFF)
FWD
定常損失
スイッチング(逆回復)損失ERR
チョッパ回路 平均損失の計算
IGBT
IGBT
Vcc
RG
3:
FWD
FWD
1:
平均損失計算例
PRHMB100B12、Vcc=600V、Ic=100A、RG=10Ω、VGE= ± 15V、f=10kHz、導
通比:3:1
IGBT
定常損失 100(A)×2.2*1(V)×3/4=160(W)
ターンオン損失 9.5(mJ)×10(kHz)=95(W)
ターンオフ損失 9.5(mJ)×10(kHz)=95(W)
IGBT損失計 350(W)
FWD
定常損失 100(A)×1.9*2(V)×1/4=47.5(W)
スイッチング(逆回復)損失 8.5(mJ)×10(kHz)=85(W)
FWD損失計 132.5(W)
モジュール損失計 482.5(W)
*1 Ic=100A、TJ=125℃でのコレクタ・エミッタ間飽和電圧
*2 IF=100A、TJ=125℃でのFWD順電圧
15
IGBTモジュール損失と放熱
ケース温度に対するジャンクション温度上昇
前ページで損失を求めたPRHMB100B12チョッパ動作時
FWD
Rth(j-c)=0.42℃/W
IGBT
ケース温度Tcとジャンクション温度Tjとの差
Rth(j-c)=0.24℃/W
IGBT
FWD
84℃
(350×0.24)
55.65℃
(132.5×0.42)
ケース温度 Tc
周囲温度、フィン温度に対するケース温度上昇
前ページで損失を求めたPRHMB100B12チョッパ動作時
接触熱抵抗 Rth(c-f)
フィン熱抵抗 Rth(f-a)
ケース温度 Tc
フィン温度 Tf
5mm
周囲温度 Ta
ケース温度とフィン/周囲温度との差
16
Tc-Tf
Rth(c-f)×482.5
Tf-Ta
Rth(f-a)×482.5
IGBTモジュール損失と放熱
3相インバータでの損失と温度上昇
PWM制御等複雑に損失が発生する場合には、IGBTやFWDの損失を計算するのは困
難です。実動作で演算機能を備えたDSO(デジタルストレージオシロ)などでの測定をお
奨めします。(TektronixにはTDSPWR3というパワー解析ソフトウェアが用意されています)
ヒートシンク選定には概略の損失を知る必要があるので、計算例を示します。
計算例
PTMB75B12C使用、インバータ出力電流(IOP) 75A、制御率(m) 1、スイッチング周波数(f)
15kHz、力率cosφ 0.85
IGBT
FWD
IGBT
FWD
IGBT
FWD
IGBT
FWD
IGBT
FWD
IGBT
FWD
繰り返しになりますが、IGBTの損失は、定常損失Psat、ターンオン損失PON、
ターンオフ損失POFFの和、そして、FWDの損失は定常損失PF、逆回復損失PRRの
和です。
Psat=
1
π
∫ {IOP sinθ×VCE(sat) sinθ×(1-m sin(θ + φ)/2} dθ
2π
0
1
=IOP VCE(sat)
(
8
+
m
3π
cosφ
)
IOP=75A、VCE(sat) =2.2V(125℃)、m=1、cosφ=0.85から
Psat=35.5(W)
1
2π
∫ {(-IOP sinθ)×(VF sinθ)×(1-m sin(θ + φ)/2} dθ
2π
PF=
0
= IOP VF
1
(
8
-
m
3π
cosφ
)
VFは 75A、125℃でのFWD順電圧で1.8Vです。
PF=4.7W
75Aでの1パルスあたりのターンオン、ターンオフ、逆回復エネルギーは、グラフ
から読み取ると、それぞれ、7.5mJ、7mJ、6mJです。これを、周波数(15kHz)倍し、
平均損失とするため、さらに1/π倍*1します。
EON=35.8(W)、EOFF=33.4(W)、ERR=28.6(W)となります。
*1
1
π
∫ sinθ dθ
2π
0
17
IGBTモジュール損失と放熱
3相インバータでの損失と温度上昇 (つづき)
IGBT, FWD 1個あたりの損失
IGBT1個あたりの
平均損失例
FWD1個あたりの
平均損失例
104.7W
33.3W
(Psat+PON+POFF)
(PF+PRR)
各IGBT, FWDの損失
モジュール全体の
損失 828W
各IGBT, FWDの温度上昇
IGBT
Rth(j-c)=0.3℃/W
∆T(j-c)=31.4℃
FWD
Rth(j-c)=0.6℃/W
∆T(j-c)=20.0℃
18
IGBTモジュール損失と放熱
ケース温度に対する過渡ジャンクション温度上昇
前ページで計算した温度上昇は平均、ないし、定常的な値です。必要に応じて、過渡
熱抵抗を使えば温度上昇のピーク値が計算できます。
P
t1
t2
t3
∆T(j-c) = P×(t1/t3)×{Rth(j-c)-rth(t3+t1)}+P×(rth(t3+t1)-rth(t3)+rth(t1)}
rth(t)は時間tでの過渡熱抵抗
複数のIGBTが内蔵されているモジュールでは、最も損失大きな(温度上昇が高
い)IGBTに注目して、上記の温度リップル分を上乗せしてください。
19
IGBTモジュールのゲートドライブ
定格ゲートドライブ電圧
ゲート
n+
エミッタ
SiO2
n+
p
ゲートドライブ電圧は±20V以内
これを越える電圧がかかると、ゲート・エミッタ
間酸化膜(SiO2)が絶縁破壊を起こしたり、信
頼性の低下を招く恐れがあります。
n
保護用ゼナー
ダ イ オ ー ド
(18V程度)
n+
p+
コレクタ
オン・ゲートドライブ電圧
IC=100A (VCE=600V)では
VGE
8V
10V
12V
15V
VCE(on)
(600V)
2.25V
2.05V
1.95V
PC
(60,000W)
225W
205W
195W
12V、10Vと低いゲートドライブ電圧ではコレクタ損失
が増加します。6Vでは、IGBTはほとんどオンせず、
コレクタ。エミッタには電源電圧がそのままかかりま
す。このような低いゲート電圧がかかると、過大損失
により素子が破壊する恐れがあります。
オン・ゲートドライブ電圧は標準で+15Vです。
オフ時ゲート逆バイス電圧(-VGE)
+VGE
ノイズによる誤動作を避けるための、オフ
時ゲート逆バイアス電圧(-5V)~-15Vを
かけてください。
RG
-VGE
(-5V) ~ -15V
標準は-15V
20
IGBTモジュールのゲートドライブ
オンゲート電圧、オフ時ゲート逆バイス電圧 対 スイッチングスピード・ノイズ
オンゲート電圧+VGE を上げれば、ターンオンス
ピードは上がり、ターンオン損失は下がります。反
面、ターンオン時のノイズが増加します。
+VGE
同様に、オフゲート電圧-VGEを上げれば、ター
ンオフスピードは上がり、ターンオフ損失は下がり
ます。反面、ターンオフ時の、サージ電圧、およ
び、ノイズは増加します。
RG
-VGE
次項のRG とともに+VGE と-VGE とは、スイッチン
グスピードに影響する主要な要素です。
ゲート抵抗RGとスイッチング特性
RG
キャパシタンス
ゲート
コレクタ
エミッタ
CGC
CCE
ゲート
CGE
CGE
CGC
エミッタ
CCE
Input Capacitance
Cies = Cge + Cgc
Reverse Transfer Capacitance Cres = Cgc
Output Capacitance
Coes = Cce + Cgc
コレクタ
21
IGBTモジュールのゲートドライブ
ゲート逆バイアスとゲート・エミッタ間抵抗RGE
RG
-15V
変位電流
+15V
高いdv/dt
RG
高いdv/dtにより変位電流が流
れゲート電位を上昇させる。
-15V
バイパス抵抗RGE
10kΩ程度
FWD逆回復電流と高
dv/dtによる突入電流
IC
ゲート逆バイアスとバイパス抵抗が突入電流(IGBT損失)低減に有効
ゲート配線
有害な発振をを避けるために、次の点に留意してください。
捩る
ループ面積を最小にする
* ゲート配線と主回路配線とはできる限り遠ざけ、平行となるのは避ける。
* クロスする場合は直交させる。
*複数相のゲート配線は束ねない。
*コモンモードチョークやフェライトビーズの追加も効果が期待できます。
22
IGBTモジュールのゲートドライブ
ゲートチャージとドライブ電流・電力
RL
+VGE
15V
CGC
CGE+CGC
RG
VCE
CGC
iG
-VGE
CGE
ゲートドライブ損失 PG、ピークゲート
ドライブ電流iGP計算例
(+VGE=15V、-VGE=-15V、f=10kHz)
CGE
690nC
PG={(+VGE)-(-VGE)}×Qg×f
=30×690×10-9×104
=0.207 (W)
500nsでターンオンさせるとすると
iGP = Qg / ton
=690×10-9 / 500×10-9
=1.4 (A)
23
ハイサイドのドライブ
ハイサイドとローサイド
V+
IGBTはエミッタ電圧を基準電位としてドライ
ブされます。スイッチング動作時には、ハイ
サイドIGBTのエミッタ電位VEは0ボルトとバ
ス 電 圧 V+ と に 変 化 し ま す。AC200V 回 路
で、ハイサイドIGBTをオンさせるには、バス
電圧300Vプラス15Vで、315Vをゲートにか
けなければなりません。スイッチングノイズ
に影響されないハイサイドドライブ回路が必
要です。
ハイサイド
VE
ローサイド
LOAD
ハイサイド
エミッタ電圧VE
V+
ハイサイド
ゲート電圧
V+ プラス 15V
ハイサイドドライブにはフォトカプラ、または、ドライブICが使われます。
フォトカプラを使ったハイサイドドライブ
+VGE
大容量回路では、フォトカプ
ラで絶縁をとり、これにディス
クリート構成バッファ出力段
が加わります。中容量以下で
は、これらを1パッケージに収
めたハイブリッドICが使われ
ます。図は、後者の例です。
IN
-VGE
* 高コモン・モード電圧除去品を使う
* デッドタイムをできるだけ短くして、損失を減らすために伝達遅延時間tPLHとtPHLが小さいもの
を使う。tPLHとtPHLは入力信号に対して出力がL-H、H-Lに遷移する遅延時間の差です。
* 主要サプライヤーは、東芝、Agilent Technologies、シャープ、NECなど
* Agilent Technologies資料によれば、AC200V系(600VのIGBTを使用)では30kWまで、
AC400V系(1,200VのIGBTを使用)では15kWまでにIC化されたフォトカプラが用意されてい
る。(これ以上の容量ではフォトカプラ プラス バッファでのドライブとなる)
24
ハイサイドのドライブ
ドライブICを使ったハイサイドドライブ
ブートストラップ
ダイオード
ブートストラップ
コンデンサ
ドライブICには
ハイサイド用
ハーフブリッジ用
ハイ&ローサイド用
3相ブリッジ用
などが製品化されています。600V耐
圧が主ですが、1200V耐圧のものもあ
ります。
Vcc
IN
COM
* ブートストラップダイオードは高速のものを使用し、耐圧はIGBTと同
等とする。
* ブートストラップコンデンサには、高周波特性の良いものを使うか、
フィルム、または、セラミックコンデンサをパラ接続する。
* 電源(Vcc)のインピーダンスを下げる。
フォトカプラとドライブICとの比較
両者の一般的な特徴をまとめます。
フォトカプラ
ドライブIC
使いこなし
比較的容易
比較的難しい
構成
ハイブリッド
モノリシック
AC400V回路
難易度が高い
消費電流の例
10mA
2mA以下
デッドタイムの例
2µs以上
1µs以下が可能
実装面積
大
小
保護機能
内蔵したものがある
内蔵、電流センスICと連動でき
るものがある
3相で2.2~3.7kWまでで特にメ
リット大の可能性あり
機器容量に対して
性能の向上
ドライブ能力向上、保護機能内蔵、耐ノイズ性向上、特性バラツ
キの減少、電流センスICとの連動など
25
3相ブリッジインバータ
3相インダクションモータドライバ構成と出力タイミング
突入電流抑制
TrV
TrU
R
S
T
TrW
U
V M
TrX
TrY
W
TrZ
過電流検出
DC-DC
コンバータ
U
V
W
X,Y,Z
ゲートドライブ回路
保護回路
CPUとロジック
TrU
TrV
TrW
TrX
TrY
TrZ
0
120
240
0
120
240
26
0
120
240
0
120
240
0
3相ブリッジインバータ
ACライン電圧と IGBT 定格電圧 VCES
ACライン電圧
200~240V
400~480V
575, 690V
IGBT 定格VCES
600V
1200V
1700V
モータ出力と IGBT定格コレクタ電流 IC (3相ブリッジ)
IAC=P / (√3×VAC×cosθ×η)
IAC : 駆動電流 (ARMS)
P : 3相モータ出力 (W)
VAC : 定格電圧 (VRMS)
cosθ : 力率
η : 効率
力率を0.8、効率を70%とすると
IAC=P / (0.970VAC)
IC = √2×IAC×1.1×1.1×Kg×1.3
温度ディレーティング
短 時 間 の過 負荷 状 態 を考 慮し た
ディレーティング係数 1.2とする
出 力 電流 の ひず み 分 を考 慮し た
ディレーティング係数
ライン電圧変動を考慮したディレー
ティング係数
AC200Vでは
AC400Vでは
IC = 0.0138P
IC = 0.00688P
3相モータ出力
AC200V
600V耐圧IGBTのIC
AC400V
1,200V耐圧 IGBTのIC
3.7kW
50A (51.0A)
25A (25.5A)
5.5kW
75A (75.9A)
7.5kW
100A (103.5A)
50A (51.0A)
15kW
200A (207A)
100A (103.5A)
30kW
400A (414A)
200A (207A)
45kW
600A (621A)
300A (309.6A)
55kW
400A (379.5A)
()は計算値
27
3相ブリッジインバータ
AC200V 3相 2.2kWインバータ参考回路
設計の考え方を理解していただくための回路例で、実使用を目指したものではありません。ト
ランジスタ技術1999年3月号掲載の記事を、著者 丁子谷一氏の了解をいただき掲載します。
元回路は0.75kW出力ですが、2.2kW出力とするために一部変更しました。
+5V
91Ω
0.022µF
74HC14
4
CPUへ
100p
3
910Ω
91Ω
PGH508
TLP620
1
2
PTMB50E6(C)
0.1µF
0.1Ω 10W
3パラ
20Ω
TrU
20Ω
TrV
1ZB18
15kΩ
15kΩ
C*
C*
560µF×2 (3)
400WV
20Ω
TrW
1ZB18
1ZB18
R
S
T
20Ω
TrX
20Ω
TrY
1ZB18
15kΩ
C*
20Ω
TrZ
1ZB18
1ZB18
15kΩ
15kΩ
15kΩ
U
V
W
C* : 0.1~0.22µF 630V
+15V
絶縁型
DC-DC
コンバータ
+15V
+15V
+15V
U
360
CPU
V
W
X
Y
Z
360
74HC04
360
360
74HC06
28
1
2
3
4
1
2
3
4
1
2
3
4
1
2
3
4
1
2
3
4
8
7
6
5
8
7
6
5
8
7
6
5
8
7
6
5
TLP250
360
TLP250
0.1µ
TLP250
100µ
TLP250
47kΩ×6
8
7
6
5
TLP250
10µ 0.1µ
1
2
3
4
TLP250
360
+5V
8
7
6
5
0.1µ
ゲート
エミッタ
TrU
ゲート
エミッタ
TrV
ゲート
エミッタ
TrW
ゲート
エミッタ
TrX
ゲート
エミッタ
TrY
ゲート
エミッタ
TrZ
0.1µ
0.1µ
0.1µ
0.1µ
0.1µ
3相ブリッジインバータ
ゲートドライブICによる3相インバータ設計例
600V耐圧3相ゲートドライバIC IR2137と、電流検出IC IR2171とを使用した2.2kWインバータ
の設計する際のポイントと考え方が
高耐圧モノリシックICで実現する最新モータ・インバータの回路設計
http://www.irf-japan.com/technical-info/designtp/jpmotorinv.pdf
で解説されています。さらに、この資料に基づくデザインキットIRMDAC4としてまとめられてい
ます。
http://www.irf.com/technical-info/designtp/irmdac4.pdf
ドライバICを使う上で参考になります。
ゲートドライバIC IR2137と、電流検出IC IR2171とを使用した
デザインキット(IR社)
29
短絡と過電圧保護
短絡と過電圧の保護に関する流れ
異常が起こる
異常はどうして起きたか?
設計値を超えた電流が流れる
電流をモニタする
(どこを、何で、測るか?)
C-E間電圧を測る
設計値を超えたか?
10μs以内にIGBTをオフさせる
(オフさせないとIGBTが壊れる)
通常より大きな電流をオフさせるので
C-E間電圧とターンオフ損失 大
ソフトターンオフなどオフ動作を工夫する
適正なスナバ回路
Short Circuit 1.2kV/ 100A /SPT VCC=900V, t=10μs, TC=125℃, RG=24Ω, Lσ=50nH
30
4x10 6
1250
1250
20
3.2x10
6
1000
1000
10
2.4x10
6
1.6x10
6
500
500
-10
8x10 5
250
250
-20
0x10 0
0
0
-30
P (W)
750
750
VGE (V)
1500
VCE (V)
1500
IC (A)
6
4.8x10
VCE
0
IC
VGE
-5x10 -6
PC
0x10 -6
5x10 -6
10x10 -6
15x10 -6
20x10 -6
Time (s)
10µs short circuit SOA operation without additional protection devices.
30
短絡と過電圧の保護
短絡(過負荷)原因と電流検出
原因
電流センサ
インバータ側
素子破壊、制御回路異常、筐体地絡
負荷側
負荷異常、相間短絡、地絡
カレント・トランス CT
(AC、DC、高周波用を使い分ける)
シャント抵抗
電流検出IC
素子破壊、制御回路異常(デッドタイム不足)によるアーム短絡電流例
①
TrU
R
S
T
TrV
TrW
U
④
TrX
V M
TrY
TrZ
W
③
②
相間短絡による短絡電流例
①
TrU
R
S
T
TrV
TrW
U
④
TrX
V M
TrY
TrZ
W
③
②
地絡による短絡電流例 (①または②いずれかに電流が流れる)
①
TrU
R
S
T
TrV
TrW
U
④
TrX
②
31
TrY
V M
TrZ
W
③
短絡と過電圧の保護
短絡電流ターンオフ時のC-E間 過電圧
RG
残留インダクタンス Ls
10~
15kΩ
18V ZD
相間(負荷)短絡時には、電源コンデンサのESRとIGBTのゲインで決まる大電流が流れま
す。発生する電力は大きく、10µs以内にオフさせないとIGBTは壊れます。この時にコレクタ、
および、エミッタの残留インダクタンスLsと-di/dtとの積のサージ電圧が発生します。Ls
を.0.1µHとしても、-di/dtが2,000A/µsならば、この電圧は200Vとなります。-di/dtを下げるため
に、IGBTの緩やかにオフすること(ソフト遮断)が必要です。当然、残留インダクタンスは最
小となるような配線にしてください。
また、IGBTが飽和状態から不飽和状態への移行に伴いコレクタ電位の上がります。これ
はゲートも帰還容量を通して、ゲート電位を上昇させます。これは、コレクタ電流をさらに増
加する作用があること、そして、ゲート破壊が起きる危険があるため、ゲート・エミッタ間には
ゼナーダイオードと抵抗を入れておくことをお奨めします。
コレクタ電流 IC
-dic/dt
IC
∆V=Ls×-dic/dt
この電圧が定格を越えれば
IGBTは壊れる。
コレクタ・エミッタ電圧 VCE
32
短絡と過電圧の保護
スナバ回路
IGBTオフ時にはインダクタンスに蓄えられたエネルギーにより、コレクタ・エミッタ間に
サージ電圧が発生します。スナバは、IGBTにかかる過電圧とターンオフロスの増加を抑え
ます。これはスナバコンデンサはターンオフ時エネルギーの一部を分担するからです。コン
デンサに吸収されたエネルギーは、適切に処理されなければなりません。
RCDスナバ
スイッチオフ時に蓄えられる
エネルギー : 1/2・LiC2
L
E
e+= L・diC/dt
iC
e
IGBT
- L +
diC/dt
iC
E
iS
∆e
iC
E
IGBT
Cs e
iC
E
iS
- L +
E
IGBT
iton
放電電流
制限抵抗
Csの放電電流
iC
iC
Cs
Cs充電(IGBTターンオフ)時
Cs放電(IGBTターンオン)時
33
LのエネルギーをCsが
すべて吸収すれば
1/2・L・iC2=1/2・Cs・∆e2
が成り立ち、これより
∆e= i0×√L/Cs
短絡と過電圧の保護
RCDスナバの損失
L
vs
∆e
iC
Rs
vCE
Ds
diC/dt
Cs
スナバはDCバスとグランド間より、個々のIGBTにつけるほうが効果的です。ただし、問題はRs
での損失が大きいことです。Rsでの損失は、Lic2 にスイッチング周波数をかけたもので、Lが
0.2µH、icが100A、スイッチング周波数は10kHzとすると20Wとなります。この場合に、3相ブリッ
ジ回路では、スナバ損失だけで120Wとなります。周波数を抑て損失を減らすか、電源へ回生
させるかになります。
∆eを低く抑えるためには、L、すなわち、主回路残留インダクタンスを小さくするのがまず大
切です。インダクタンスに応じてCsも小さくできます。
vS は(配線インダクタンス)×-dic/dt、Dsの順回復電圧、そして、(Csの残留インダクタンス)
×-dic/dtの和です。
スナバ回路を効果的にするポイントは次の通りです。
* -dic/dtを下げるようなドライブ条件とする。(IGBTのオフスピードを下げる)
* 主回路配線インダクタンスを小さくする。そのために電源(電解)コンデンサはできる限り
IGBTモジュールのそばに配置し、配線は銅板を用い、積層配置するなどの工夫をする。
* スナバ回路もモジュール直近に配置し、Csはフィルムコンデンサなど周波数特性の良いも
のとする。
* Dsは順回復電圧が低く、逆回復がソフトで速いものとする。
実際のスナバ回路
相毎スナバの例です。
スナバ 1
スナバ 2
34
スナバ 3
短絡と過電圧の保護
スナバコンデンサ容量の目安
前ページのスナバ回路1は、ダンピング抵抗を省略しているので、電源ラインに振動
ノイズが載りやすく、比較的小容量の応用に適します。
スナバ1から3の使い分けと、相毎のスナバコンデンサ容量の目安は次の通りです。モ
IGBT毎のスナバでは、容量はこの1/2です。
IGBTの定格IC
10A
50A
100A
200A
300A
400A
0.47µF
3.3~4.7µF
1.5~2µF
使用例
スナバ1または2
スナバ3と1
スナバ3または2
大電力応用では、銅バーを使った積層配線などにより配線インダクタン
スを下げないと、スナバ回路で素子破壊や雑音による誤動作を回避す
ることができないことがあります。
放電阻止型スナバ回路 (スナバ 3)
L
Cs
Rs
Cs
Rs
LのエネルギーをCsがすべて吸収するとすれば
1/2・L・iC2=1/2・Cs・∆e2
これより
Cs=L×(iC/∆e)2
Csの電荷は次のターンオフまでに放電している必要があり、これには(Cs
×Rs)の時定数が効きます。90%放電するためには
Rs≦1/(2.3・Cs ・f) f : スイッチング周波数
となり、Rsの最小値が決まります。ただし、Rsが小さ過ぎるとターンオン時
に有害な振動が起きることがあるので高めの値としてください。
Rsでの損失P(Rs)はRsの値と関わりなく
P(Rs)=1/2・L・iC2
となります。
35
並列接続
並列接続時の電流バランス
600Vシリーズでは1,200Aまで、1,200Vシリーズでは800Aまでを製品化しています。これ
らは3相インバータ出力にして100kW近くまでをカバーしています。したがって、並列接続
の必要度は低いと思われますが、考え方として、3相動作などでも参考となる点もあるので
要点をまとめます。
Ic1
Ic2
Lc2
Lc1
ゲート回路
RG
IGBT-1
RG
IGBT-2
L E2
L E1
並列接続時電流バランスは、ユーザ側の使い方(設計)、そして、素子の特性に関
わります。
ゲート・エミッタ配線インダクタンスLG、RG、そして、Ciesの関係でゲートドライブルー
プ内で共振が起きると、誤動作や不飽和動作による素子破壊の恐れがあります。共
振を起こさないRGの最小値は、√LGに比例して大きくなります。したがって、インダク
タンスをできる限り小さくするとともに、RGは推奨値以上としてください。
Ic2
Ic1
(Lc1+LE1)>
(Lc2+LE2)
ターンオン期間
VCE(sat)1>VCE(sat)2
定常期間
ターンオフ期間
*配線インダクタンスの差は、ターンオン時やターンオフ時の過渡的電流アンバランスにつ
ながります。IGBT間コレクタとエミッタ配線は可能な限り同一、かつ、最小にしてください。
*IGBT素子毎にゲート抵抗を入れ、各ゲート配線インダクタンスは同一、かつ、最小にして
ください。エミッタへのゲート配線は主端子ではなく、専用(補助)端子に接続してください。
*IGBTの飽和電圧VCE(sat)などは、温度に影響されます。モジュール間温度上昇の差を可能
な限り小さくしてください。
36
並列接続
並列動作用 VCE(sat) ランク分け
並列動作では、ある程度の電流アンバランスは避けられず、1素子あたりの電流は
80%程度が目処です。例えば、300Aモジュール4並列では、300×0.8×4で960A程
度となります。
600Vで1,200A、1200Vで800Aを越えるご要求があれば、VCE(sat)ランク分けも可能で
す。詳細については、お問い合わせください。
故障などによる補修品については、特定ランク品ではなく、並列数を同一ランクとし
て対応させていただいています。
37