HSA シリーズ取扱説明 2012/1/30 1 版 HSA シリーズの電気的特性・取付に関しては、仕様書・外観図をご参照ください。 ・ 機能説明 入力電圧範囲 ・入力電圧 AC85∼AC264V(単相)の範囲でご使用ください。 ・UL60950-1、CSA C22.2 No60950-1、EN60950-1、EN50178 の各安全規格申請時の 入力電圧範囲は「AC100-240V」です。 *HSA シリーズは、入力電圧が AC90V 以下の場合に出力ディレーティングが必要です。 負荷率 [%] 100% 80% 0% 85V90V 入力電圧 [ACV] 保護設置 ・HSA シリーズは保護接地により安全を確保する設計となっています。 電源を取り付 ける際は、入力 FG 端子を必ず筐体の保護接地に接続してください。 PFC(Power Factor Correction:力率改善回路、アクティブフィルタ)について ・HSA シリーズは、PFC を内蔵しており、IEC61000-3-2 クラス D に適合しています。また、PFC 回路の採用により入力電流のピーク値を押さえて力率を改善しています。 突入電流 ・HSA シリーズは、突入電流防止回路にパワーサーミスタ方式を採用しています。この方式は、 パワーサーミスタの温度による抵抗値変化を利用して突入電流を押さえる働きをします。 ・パワーサーミスタの温度が低いと抵抗値が上がるため突入電流を押さえることができます。 ・電源を停止させた直後に再起動する際には、パワーサーミスタの温度が高いため、まだ抵抗値 が低い状態です。この状態で再起動すると突入電流を押さえる事ができないため、電源の規格 値より大きな突入電流が流れます。 出力電圧範囲と設定方法 ・HSA シリーズは標準で出力電圧を可変する調整用 VR があります。設定できる出力電圧の可変 範囲は定格電圧の±10%以内です。 ・出力電圧を可変する場合は、出力電圧をモニターしながら、出力電圧調整 VR をゆっくり回して ください。 *出力電圧調整 VR の位置は外観図をご参照ください。 ・出力電圧を上げる場合は右回し、出力電圧を下げる場合は左回しとなります。 *出力電圧を上げる際は、定格電力以下の負荷である事を確認してください。定格以上の負 荷を接続すると 故障・事故の原因となり寿命が短くなります。 ・出力電圧調整 VR1 を、右に回しすぎると過電圧保護回路が動作して電源が停止します。過電 圧保護回路が動作した場合、一度入力を切断し出力調整 VR を左周りに戻し、1 分程度の時間 を置いた後に、再度入力電圧を投入してください。 *過電流回路の項を参照ください。 ・導電性の工具は、内部でショートの恐れがありますので、絶縁性の工具をご使用ください。 110% 定格電圧 100% 電圧可変範囲 90% 0% → 90% 100% 出力電圧と電流の関係 出力リップル・ノイズ ・出力電圧のリプル・ノイズの測定方法により値が異なります。下記の測定条件で規定しています。 測定条件:Ta=-10℃∼60℃、帯域 150MHz オシロで出力コネクタから AWG18 で 150mm 点に、 0.1μF(フィルムコンデンサ)+100μF(電解コンデンサ)をつけて測定します。 リップル・ノイズ測定点(150MHz帯域) 150mm +V AWG18 HSA電源 C1 + C2 負荷 -V 出力電圧・入力変動・負荷変動測定点 出力の大容量コンデンサ追加について HSA シリーズの出力に大容量のコンデンサを接続する場合、起動不良・出力停止・制御不安定と なる恐れがあります。 過電流保護回路について ・HSA シリーズは、過電流保護回路を内蔵しています。検出ポイント以上の負荷電流が流れた場 合、出力を停止するように動作します。多くの電源の過電流保護回路は定電流垂下、フの字垂 下特性ですが、本電源の過電流保護回路の動作はヒックアップ動作となります。 ・過電流保護回路の動作後、過負荷状態が解消すると電源は約 2 秒後に自動復帰しますが、過電 流状態が解消しない場合は再度出力を停止します。 ・ヒックアップ動作:過電流検出→停止→復帰→停止を繰り返します。 本電源では、約 10 分以内に 20 回繰り返された場合、ラッチ停止となり自動復帰しません。 ・ラッチ停止:電源の出力を停止した状態のままとなり、入力の AC 電圧を切断し再投入するま で復帰しません。 ラッチ停止しない保護回路の場合、過電流の原因が無くならない限り、負荷に電流が流れつづ けます。これに対して、ヒックアップ、ラッチ停止の場合は、電流が流れませんので安全性が 高くなります。 ・過電流保護回路の動作ポイントは定格電流値より大きな値に設定されています。定格電流以上 の負荷電流で動作させないでください。 電源の故障・事故等の原因となる恐れがあります。ま た、寿命が短くなります。 過電流保護回路の動作でラッチ停止した場合、電源の入力電圧を切断し過負荷の原因を取り除 き 1 分程度置いた後に、再度入力電圧を投入してください。 *過電流保護回路は、動作検出設定値以上の電流を検出すると出力電圧を停止します。負荷の異 常により過電流が流れると停止しますので、モータ等の負荷では、想定する最大電源値が最大 定格電流以上流れないことをご確認ください。過電流を検出すると電源は出力を停止します。 動作 保証外 出力電圧 過電流を検出すると出力を停止します。 約2 秒後に再起動しますが、過電流の原因が 取り除かれていない場合は、再度停止します。 過電流の原因が取り除かれないとラッチ停止します。 HSA シリーズの過電流保護動作 定格電流 過電流検出値 過電圧保護回路について ・本電源は、過電圧保護回路を内蔵しています。定格電圧の 120%以上の過電圧が発生すると検 出して出力をラッチ停止します。 過電圧検出後も、電源内部に残った電荷により、出力電圧が上昇を続けるため検出電圧値以上 に一時上昇しますが、その後は出力が下がります。 下記特性例を参照 ・過電圧保護回路が動作した場合の原因は、電源内部の故障と誤設定を含めた外部要因に分けら れます。 ・外部要因により過電圧保護回路が動作したと判断できる場合は、一度入力を切断して過電圧の 要因を取り除き、1 分程度の時間を置いた後に、再度入力電圧を投入してください。(出力電 圧調整 VR を回しすぎた場合は、左周りに戻します。出力側からの回り込みにより過電圧検出 回路が動作した場合は、その原因を解除してから、1 分程度の時間を置いた後に再度入力電圧 を投入してください。外部要因が原因の場合は電源が起動します。 もし、起動しない場合は内部の故障となりますので、直ちに入力電圧を切断してください。 *そのまま放置すると発煙・発火等 事故の原因となります。 ・モータ、リレー、ソレノイドなどの L 負荷が含まれる機器の動作では、逆起電力による電圧が 電源ラインに印可される事があります。この電圧を過電圧保護回路が検出し電源が停止する事 があります。出力電圧を上げた場合はより誤検出しやすくなりますのでご注意ください。 Vin 100VAC Load 100% Output Voltage X-axis 2.0s [5.0V/div] OVP 過電圧保護回路特性例 HSA150-24 30.1V 直列運転・並列運転について ・ 本電源は、直列運転ができますが、並列運転はできません。電流値が不足する場合は、容量の 大きな製品をご使用ください。 ・ 直列運転の場合、出力電流値は直列接続する電源の小さい電流値に制限されます。 + 電源 + 電源 D1 − + 電源 − + 負 荷 - + 電源 D2 − − *D1、D2 は順方向電圧が低いショットキーバリヤダイオードを使用してください。 + 負 荷 + 負 荷 - *上記の接続は可能です。 並列運転について ・本電源は、並列運転はできません。 ・下記の様に出力側に Di を入れることにより並列運転が可能ですが、出力電圧差・インピーダ ンスの違い等により各電源の出力電流が異なります。片側の電源の負担が大きくなる危険性が あり、寿命も異なるため冗長運転に求められる信頼性を得ることはできません。また、下記の 構成例では負担が大きい方の電源に定格電流以上の電流が流れる恐れがありますので、1台分 の電源容量以上では使用する事ができません。この様な使用は電源の動作保証外で動作する危 険性があり、故障・火災等の原因となる恐れがあります。 *本電源は冗長運転で使用する事はできません。 + 負 荷 - + 電源 − + 電源 − 並列運転接続例 電源の取り付けについて 設置場所・設置方法 ・電源の取り付けは下記の方向で取り付けてください。 下記以外の方法では使えません。 取り付けと空間距離 ・本製品を設置する場合、適切な締め付けトルクで固定してください。基板・シャーシカバーの 破損や製品の落下・故障等の原因になります。また、本製品は面実装部品を搭載しています。 基板にねじれ、衝撃などのストレスを与えない様にご注意願います。 ・取り付けは、導電性のある 8mm 以上のスペーサ等を使用して空間を確保し、4 本のネジを使 い規定トルク(58.8cN・m)以下で固定してください。 ・電源の取り付け穴は四隅にあります。ねじれなどの原因とならないよう必ず4カ所の取付穴を 使って取り付けてください。 ・安全の為 FG 端子は必ず接地してご使用願います。 ・本電源は、各種安全規格を取得しています。安全を確保するため、電源の周囲は下記の寸法以 上を必ず確保してください。 安全規格について ・HSA シリーズは、UL60950-1 CSA C22.2 No.60950-1 TUV EN60950-1 EN50178 の各安全規格の認証を得ています。 装置として安全規格の認証申請する際は、電源の取付方法・保護アース接続・温度条件など各 安全規格の規定に基づいた設計をしてください。 EMI・EMS 規格について ・HSA シリーズは、EMI 規格 EN55011/EN55022-B FCC-B、VCCI-B 規格に準拠していま す。 ・EMS 規格は、IEC61000-4-2、同-3、同-4、同-5、同-6、同-8、同-11 に適合しています。 項 規 目 格 備 考 Note UL60950-1、CSA C33.3 No.60950-1、EN60950-1、EN50178 認定 CEマーキング(低電圧指令) 電気用品安全法 低電圧指令 準拠 高調波電流規制 IEC61000-3-2 クラスD 適合 EMI 伝導/放射ノイズ EN55011/EN55022-B、FCC-B、VCCI-B、各準拠 電源単体参考データ EMS 静電気耐量 IEC61000-4-2 15kV 空中放電、8kV 接触放電 レベル 4、動作規準 B IEC61000-4-3 10V/m、80MHz-1000MHz レベル 3、動作規準 A IEC61000-4-4 4kVprak 5kHz Tr/Th=5/50ns レベル 4、動作規準 B ICE61000-4-5 ライン−FG間 4kV、ライン−ライン間 2kV 動作規準 A EMS RF伝導妨害イミュニティ IEC61000-4-6 10V、150kHz−80MHz レベル 3、動作規準 A EMS 電力周波数磁界イミュニティ IEC61000-4-8 30A/m レベル 4、動作規準 A 適用安全規格 EMS 放射無線周波数電磁界 EMS ファーストトランジェント・バースト EMS 雷サージ EMS 電圧ディップ、瞬停、電圧変 IEC61000-4-11 30%、60%、100% 動 95 00 95 8 動作規準 B 95 90 95 9 9 8 895 800 出力ディレーティング ・電源の周囲温度環境により、電源の出力をディレーティングする必要があります。下記のディ レーティング表をご確認ください。 ・温度環境の規定以外に、入力電圧 AC90V 以下では出力ディレーティングが必要です。入力電 圧範囲をご確認ください。 HSA75 *図のアルファベットは設置場所・設置方法の取り付け方向です。 基板単体タイプ シャーシ・カバー付 HSA100 *図のアルファベットは設置場所・設置方法の取り付け方向です。 基板単体タイプ シャーシ・カバー付 HSA150 *図のアルファベットは設置場所・設置方法の取り付け方向です。 基板単体タイプ シャーシ・カバー付 電源の耐圧・絶縁検査の注意点について z 試験前に試験器の設定を行ってから試験をしてください。絶縁耐圧試験の電圧の印加は、ゼロ からゆっくりと電圧を規格値まで上げてください。急に高い電圧を印加すると電源が故障する 恐れがあります。 遮断する時もゆっくりと電圧を下げてください。 z 絶縁試験の後は、出力に抵抗等を接続して十分放電してください。 CN2 + CN1 FG AC(N) AC(L) 耐圧試験機 *CN52 +R -R - 波線:入力-出力間耐圧試験 3,000VAC 1分間 感動電流 10mA 実線:入力−FG間耐圧試験 2,000VAC 1分間 感動電流 10mA CN2 + CN1 耐圧試験機 *絶縁試験では 絶縁計に置換 FG AC(N) AC(L) *CN52 +R -R 出力−FG間試験 500VAC 1分間 感動電流 25mA *1次−2次間絶縁耐圧試験 500VDC 100MΩ 電源の寿命について ・本電源の想定寿命は、定格電力・電源の周囲温度=40℃において約 5 年です。 電源の寿命は 周囲温度、設置方法、負荷率などにより変化します。電源の負荷が同じ場合は周囲温度が低い ほど寿命が長くなり、10℃下がると寿命は 2 倍に伸び、10℃高いと寿命が半分に短くなります。 また、想定寿命は定格負荷時が条件ですので、電源の負荷が軽い場合は寿命が伸びます。 電源の寿命を延ばすには、電源周囲の通風を良くして熱が籠もらないよう機器内の通風を確保 してください。また、装置の想定寿命に見合った電源の選定と十分な冷却を行ってください。 *別紙資料を参照 無償保証期間と修理・オーバーホールについて ・本製品の無償保証期間は、納入後5年です。この期間内は無償にて代替品への交換、もしくは、 修理を実施致します。 ・無償保証は、製造、部品不良等の製造上の問題による故障が対象です。無償保証期間内でも、 以下の場合は有償とさせて頂きます。 1) 落下、衝撃、取り扱いミス等による機械的ストレスが加えられた事による故障、損傷 2) 仕様規格外での動作、若しくは外部より電気的ストレスが加えられた事による故障、損傷 3) 納入後の輸送による故障、損傷 4) 地震、火災、水害等の天変地異による故障、損傷 5) 電源の周囲温度と負荷率によるコンデンサ等の部品劣化による故障 6) その他、弊社責任に帰す障害以外による故障、損傷 HSA シリーズは基板単体タイプの電源です。以下のオプションがあります。 シャーシ・カバー : −C ・メンテナンス等の際に電源に振れる恐れがある場合などは、オプションのシャーシ・カバー付 をご指定ください。 ・温度ディレーティングが基板単体タイプと異なります。シャーシカバー付の温度ディレーティ ングをご確認ください。 ・受注生産です。受注生産単位・納期等は販売店にご相談ください。 (安全規格対応) リモートコントロール機能: −R ・ 受注生産でオプションのリモコン端子を追加する事ができます。この機能により、外部の直流 電源から電圧を印加する事により、出力のON/OFFを制御する事ができます。 受注生産 単位・納期等は販売店にご相談ください。 ・ +RC、-RC 間電圧(V) 機種名 内部抵抗(Ω) 出力 ON HSA100・HSA150 2.7kΩ 4.5 ∼ 13.2 V 出力 OFF 0.5V 以下 流入電流 (mA) 10mA 電源内 +RC -RC オプ ショ ン :リモートコン トロ ール用コネクタ 基板コーティング: −H ・オプションで基板コーティングも可能です。コーティング内容・受注生産単位・納期等につい ては販売店にご相談ください。 その他 注意事項 ・HSA シリーズは、面実装部品を採用した基板単体タイプの電源です。このため電源基板の取り 付け時にねじれなどのストレスを与えた場合、故障の原因となります。取り付けの際に十分ご 注意いただくと共に、電源内部へ導電物等の落下がないようご注意ください。 ・電源の入力電圧を切断後も、電源内部に高い電圧が残っています。残存時間は軽負荷ほど長く なりますので、調整・保守等の際には十分ご注意ください。 発振周波数・基板材質・突入防止回路 ・HSA シリーズは LLC 直列共振回路を採用していますので、入力電圧、出力電圧・電流などの 条件により、発振周波数が変化します。また、HSA75 の PFC 回路は臨界モード、HSA100・ HSA150 の PFC 回路は不連続電流モードを採用しています。 発振周波数 HSA75W HSA100W HSA150W PFC 回路 40∼400kHz メイン回路 90∼220kHz PFC 回路 20∼70kHz メイン回路 90∼220kHz PFC 回路 20∼70kHz メイン回路 70∼260kHz 突入防止回路 基板材質 パワーサーミスタ CEM-3 両面 パワーサーミスタ CEM-3 両面 パワーサーミスタ CEM-3 両面