Rev.1.5 - サンケン電気

MPM00 シリーズ アプリケーションノート
DC/DC コンバータモジュール
MPM00 シリーズ
アプリケーションノート Rev.1.5
サンケン電気株式会社
SANKEN ELECTRIC CO., LTD.
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Rev.1.5
MPM00 シリーズ アプリケーションノート
Rev.1.5
目次
概要---------------------------------------------------------------------------------------------1.ブロック図------------------------------------------------------------------------------------ブロック図/ピン配置 ---------------------------------------------------------------------リード端子の番号と機能・名称 -----------------------------------------------------------2.外形寸法図 ---------------------------------------------------------------------------------3.電気的特性 ---------------------------------------------------------------------------------絶対最大定格 ------------------------------------------------------------------------------推奨動作条件 ------------------------------------------------------------------------------電気的特性(Ta=25℃)*5 ----------------------------------------------------------------
3
4
4
4
5
7
7
7
8
周囲温度-負荷軽減曲線(温度ディレーティング カーブ) ------------------------- 9
4.応用回路例 --------------------------------------------------------------------------------- 10
標準接続図 --------------------------------------------------------------------------------- 10
推奨パターン図 ---------------------------------------------------------------------------- 10
5.アプリケーション ---------------------------------------------------------------------------- 11
出力電圧設定方法 ------------------------------------------------------------------------ 11
最小入出力電圧差について ------------------------------------------------------------- 12
入力平滑コンデンサ Cin の選び方について (MPM01、MPM04 共通) ------- 13
出力電圧リップル・平滑コンデンサ Co の選び方について -------------------------- 16
MPM00 シリーズ用デモボード---------------------------------------------------------- 19
6.静特性例 ------------------------------------------------------------------------------------ 20
7.推定寿命曲線 (MPM01、MPM04 共通) --------------------------------------------- 21
注意書き --------------------------------------------------------------------------------------- 23
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Rev.1.5
パッケージ
概要
 フルモールド SIP9
MPM シ リ ーズ は 、 イ ン ダ クタ を 含 む 非 絶 縁 ・ 降 圧 形
DC/DC コンバータ回路を 1 パッケージにフルモールドし
た、DCDC コンバータモジュールです。入出力の電解
コンデンサと出力電圧設定抵抗を接続するだけでシン
プルかつコンパクトな電源回路を簡単に構成できます。
パワーインダクタを内蔵しているため、部品選定等の設
計評価工数の削減に大幅に寄与します。放熱板にネジ
止め可能なフルモールドパッケージを採用しております。
また出力電圧設定、負荷条件によっては、放熱板無し、
自立での基板実装が可能です。
特長と利点
 電流モード型同期整流 PWM 制御方式
 入出力電解コンデンサと出力電圧設定抵抗のみで
電源回路を構成可能
 スイッチ素子、制御回路、インダクタ及び周辺部品
内蔵
 最大効率 91%
 出力電流範囲 0~3A
 発振周波数 250kHz
 基準電圧及び精度 0.5V±2%
 保護回路を内蔵
過電流保護 (OCP) 垂下型自動復帰
過熱保護内蔵 (TSD) 自動復帰
低入力禁止機能 (UVLO)
 位相補償回路を内蔵 外付け部品不要
 Soft-Start 機能内蔵
端子接続
Symbol
GND
VIN
FB
OUT
SW
Pin
1,3
2
4
5,6,7
8,9
Pin Assignment
Function
グランド端子
入力端子
フィードバック端子
出力端子
スイッチ端子
主要スペック
 入力電圧: MPM01・・9V~40V
MPM04・・16V~40V
 出力電圧: MPM01・・1.8V~12V
MPM04・・12V~24V
 最大出力電流 IO = 3A
 動作周波数: 250kHz
アプリケーション
 FA 機器・通信機器・民生機器
 アミューズメント機器・他
シリーズラインアップ
表1
製品名
fsw
MPM01
VIN
9V to 40V
Vo
(1)
1.8V to 12V
250kHz
MPM04
(1)
(2)
Io
3A
16V to 40V
(2)
12V to 24V
リードフォーミング
LF971
自立
LF972
ライトアングル
LF971
自立
LF972
ライトアングル
Vin は 9v もしくは Vo+4v の大きい方を MIN として下さい。
Vin は 16v もしくは Vo+4v の大きい方を MIN とし、且つ 18v<Vo<20v 時は Vin(MIN)30v 以上、20v<Vo<24v
時は Vin(MIN)36v 以上として下さい。
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1.
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ブロック図/ピン配置
ブロック図
図1
R3
リード端子の番号と機能・名称
表2
端子番号
記号
機能・名称
①
GND
グランド端子
②
VIN
入力電源端子
③
GND
グランド端子
④
FB
⑤⑥⑦
OUT
⑧⑨
SW
フィードバック端子・出力電圧設定用抵抗 RFB 接続端子
出力端子
発振周波数測定端子
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2.
外形寸法図
外形図 1(単位:mm):3GR-S パッケージ リードフォーミング LF971(自立)
MPM**
Lot.No
※端子の材質:Cu
※端子の処理:
Ni メッキ+はんだ
ディップ
※製品重量:約 20(g)
※推奨ねじ止め締め付
けトルク:0.588~0.785
(N・m)
図2
※MPM01/04 各共通 図 2 の正面図 MPM**の表記『**』にはモデル別品番を捺印します。
※ゲートバリ図示部分では、最大 0.3mm(Max)の樹脂バリが残ることが有ります。
※外部端子中心はパッケージ中心に対して 0.4mm シフトされています。
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外形図 2(単位:mm):3GR-S パッケージ リードフォーミング LF972(ライトアングル)
MPM**
Lot.No
※端子の材質:Cu
※端子の処理:
Ni メッキ+はんだ
ディップ
※製品重量:約 20(g)
※推奨ねじ止め締め付
けトルク:0.588~0.785
(N・m)
図3
※MPM01/04 各共通 図 3 の正面図 MPM**の表記『**』にはモデル別品番を捺印します。
※ゲートバリ図示部分では、最大 0.3mm(Max)の樹脂バリが残ることが有ります。
※外部端子中心はパッケージ中心に対して 0.4mm シフトされています。
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3.
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電気的特性
絶対最大定格
表3
項目
記号
規格
単位
VIN 端子電圧
VIN
-0.3~41
V
FB 端子電圧
VFB
-0.3~6
V
Vo 端子電圧
Vo
条件
-0.3~13
MPM01
V
-0.3~25
MPM04
パルス幅 20ns 以内
-8~Vin
SW 端子電圧
Vsw
V
-1.3~Vin
VIN~SW 間電圧
DC
VVIN-SW
55
V
30ns 以下
許容損失*1
Ploss
2.5
W
放熱板無し
接合温度*1
Tj
-20~150
°C
保存温度
Tstg
-20~120
°C
熱抵抗(MIC 接合~フレーム間)
θj-f
7.7
°C/W
*1:MIC 部、但し過熱保護により制限。過熱保護検出温度は約 160°C です。
但し、Power 素子搭載基板の最高温度が 125°C の為、Tj=125°C 以下での熱設計を実施ください。
推奨動作条件
表4
項目
入力電圧範囲
規格
記号
単位
Min
Max
9(*4)
40
VIN
MPM01
V
16(*4)
40
出力電流範囲*3
Io
0
3
A
動作時接合温度
Tjop
-20
125
°C
出力電圧設定範囲
1.8
12
Vout
動作時周囲温度範囲*3
Ta
24
-20
85
MPM04
MPM01 *4
V
12
条件
°C
MPM04 *5
ディレーティング有り
*2:推奨動作条件とは、電気的特性に示す正常な回路機能を維持するために必要とされる動作
条件を示すもので、実使用においては当条件内とする必要があります。
*3:但し、ディレーティング曲線以内で使用する必要があります。→7-4)項/P7 参照ください。
*4:Vin は 9v もしくは Vo+4v の大きい方を MIN として下さい。
*5:Vin は 16v もしくは Vo+4v の大きい方を MIN とし、且つ 18v<Vo<20v 時は Vin(MIN)30v 以上、20v<
Vo<24v 時は Vin(MIN)36v 以上として下さい。→9-2)項(P10)参照ください。
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電気的特性(Ta=25℃)*5
表5
規格
項目
記号
単位
条件
Min
typ
Max
VFBref
0.490
0.500
0.510
V
効率 *6
η
-
91
-
%
動作周波数
fo
212
250
288
kHz
ラインレギュレーション *7
Vline
-
-
±2
%
ロードレギュレーション *7
Vload
-
-
±3
%
過電流保護開始電流
Is
3.2
5.60
6.41
A
回路電流
Iin
-
12
-
mA
VIN=33V、Io=0A、VFB=1V
MIC 過熱保護開始温度 *9
Tj
151
160
-
℃
VIN=16V~40V 入力時
UVLO
-
7.3
8.0
V
設定基準電圧
VIN=33V 入力時
Io=1A 設定時
VIN=33V、Vo=12V 設定時
Io=3A 設定時
VIN=33V, Vo=12V 設定時
Io=3A 設定時
VIN=16~40V 入力時
Vo=12V、Io=1A 設定時
VIN=33V、Vo=12V 設定時
Io=0~3A 設定時
VIN=33V、Vo=12V 設定時
入力電圧不足電圧保護
垂下・自動復帰 *8
VIN=16~40V にて
起動遅延時間
Tstart
-
50
-
ms
印加~Vo 定電圧精度内
まで
*5 電気的特性とは、当社標準測定回路図において、上表各項目に示してある測定条件でIC
を動作させた場合に保証される特性値規格であります。
*6 効率は式 1 により算出されます。
・・・式 1
*7 ライン/ロードレギュレーションには、出力電圧の設定偏差は含みません。尚、出力電圧設
定偏差は、外付けの RFB の精度に影響されます。詳細は 9 項のアプリケーションを参照くだ
さい。
*8 Vo=12V 以外の出力電圧設定時は、設定出力電圧に対して内蔵コイルのインダクタンスが
一定、周波数一定のため、OCP 動作点は Vo=12V 設定時に比して変動する場合が有ります。
*9 過熱保護は自動復帰です。
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Rev.1.5
周囲温度-負荷軽減曲線(温度ディレーティング カーブ)
図4
※Vo=12、15、18、
20V
VIN=33V 条件
※Vo=24V
VIN=36V 条件
です。
図5
※Vo=5、12、15、18V
VIN=24V 条件
です。
注 1:MPM01、04 共通(但し、Vo=5V、12V は MPM01、Vo=15V~24V は MPM04 を示しています)
注 2:グラフは放熱板無し、自然空冷条件です。・・・( ※放熱板ネジ止め装着可能)
注 3:Vo=2.5V、3.3V などの場合は、図 5 の Vo=5V のラインの内側でご使用ください。
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4.
応用回路例
Rev.1.5
⑧⑨ピン(SW 端子)は発振周波数
標準接続図
を測定する検査用端子です。通常
はオープンでご使用ください。
C1:50V/1000μF
C2、3:25V/1000μF×2本並列
※C1、C2,3 については、一般電子回路
用ではなく、『スイッチング電源用』をご使
用ください。
RFB は出力電圧設定用抵抗です。
9 項参照
図6
推奨パターン図
図7
※①③の GND
ピンは Co のマイナス
側を基準に、最短接
続を推奨します。
IC の内部回路含め
て転流ループを短く
する様に配線してく
ださい。
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⑧⑨ピン(SW 端子)は発振周波数を測定する検査用端子で
す。通常はオープンでご使用ください。⑧、⑨ピンはランドの
みにてオープン処理願います。他の電位のパターンと接続
しないでください。
故障の原因になります。
RFB は極力モジュール本体の近傍に配置して最短で配線
してくだい。FB のラインを長く引き回すと誤動作する場合が
有ります。
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5.
Rev.1.5
アプリケーション
出力電圧設定方法
(MPM01、MPM04 共通)
8-1 項の標準回路図の RFB を変更することで出力電圧を設定することができます。(式 2)
4.6kΩ
±0.8%
・・・式 2
RFB
図8
出力電圧 Vo=5V 時の RFB は 510Ω、Vo=12V 時は 200Ωと計算できます。(typ 値) 尚、出力電圧 Vo の設定は、
MPM01 の場合は絶対最大定格で 13V ですので、12V までが設定範囲となります。
(参考)MPM04 RFB 定数 vs 出力電圧 Vo 設定曲線
ご注意
MPM01 の 出 力 電 圧 設 定 は
Vo=12V までとなります。
図9
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Rev.1.5
最小入出力電圧差について
表6
品名
VIN 電圧範囲
Vo 設定
入力電圧推奨値
MPM01
9V~40V
1.8V~12V
VIN≧Vo+4V ※1
12~18V
VIN≧Vo+4V
20V
30V≦VIN≦40V
24V
36V≦VIN≦40V ※2
MPM04
16V~40V
(ご注意)
表 6 は設定した Vo 値に対する必要な入力電圧 VIN の推奨値を示しています。VIN は表の値以上の電圧を
推奨いたしますが、VIN の電圧範囲は上限~下限が決まっておりますのでご注意ください。
※1:(例)Vo=2.5V 設定→VIN≧Vo+4V の最小入出力電圧差は 6.5V ですが、推奨動作条件(P5)より VIN≧
9V(Min)ですので、ご注意ください。
MPM シリーズでは、内部周波数固定、及び内部固定インダクタンスのため、入出力の条件による Duty が 50%を超
える入力電圧領域では、サブハーモニック発振が起きる場合が有ります。
ご使用の際は上記推奨値で実働により、出力リップル電圧などに支障をきたさない事をご確認の上ご使用くださ
い。
※2:Vo=24V 時は VIN=36V 以上を推奨していますが、上限の 40V まではマージンが尐ないため予め安定化さ
れた電源電圧をご使用ください。
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Rev.1.5
入力平滑コンデンサ Cin の選び方について (MPM01、MPM04 共通)
入力平滑コンデンサ Cin の算出は 3 つ条件が有ります。
1)リップル電流条件
本モジュールへの供給電源が、理想的にインピーダンス=0 であれば、本モジュールの入力電流は 100%供給
電源側から供給され、平滑コンデンサにはほとんどリップル電流が流れませんが、平滑コンデンサのリップル
電流を規定するにあたり、『理想的な供給電源はあり得ない』として、ワースト条件でリップル電流を考える事
にします。ワースト条件とは、最悪平滑コンデンサから 100%電流供給すると仮定しています。
←Icinave
図 10.入力コンデンサの充放電
図 11.入力コンデンサのリップル電流モデル
Icinave=Io×D・・・式 3 ※D は Duty、Io は負荷電流(DC)
・・・式 4
※L は内蔵コイルのインダクタンス、Ton は ON 期間
・・・式 5
・・・式 6
コンデンサのリップル電流は交流波形であるので、放電側+充電側の 2 乗平均で計算します。
・放電側
・・・式 7
ここで T は周期
・充電側
・・・式 8
・入力平滑コンデンサ総合リップル電流
・・・式 9
となります。
(計算例)
・条件
VIN=24(V)、Vo=12(V)、Io=3(A)、周波数=250(kHz)→周期 T=4(μs)、
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Rev.1.5
D=12(V)/24(V)=0.5(Ton=2μs)、内蔵インダクタ・インダクタンス値=9.1(μH)
Icinave=3(A)×0.5=1.5(A)
=2.637(A)
=2.8185(A)
=0.1815(A)
計算した ILp'と ILb'より、Icin ripple(Dis)は
= 1.1894(A)
また、Icin ripple(Chg)は
=1.0606(A)
従って、入力平滑コンデンサ総合リップル電流 Icin (ripple)は
=1.594(Arms)
となります。
入力平滑コンデンサは上記リップル電流を流せる仕様のものを選定する必要が有ります。コンデン
サメーカーのカタログを参照いただき、このリップル電流が流せる様な容量を選定してください。
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Rev.1.5
2)アミューズメント機器などで VIN 電圧の商用リップル電圧ΔVIN の設定
商用周波数を全波整流した周波数 fr=100Hz。このリップル電圧ΔVIN を設定します。
AC24V の√2 倍≒33V をピークとして、平滑コンデンサから負荷へ供給する放電で生じる電圧降下の谷点
を、ピークから-20%=6.6V のリップル電圧に設定するとした場合、
(※20%は任意です。これを大きくすると容量が小さく算出出来ますが、出力電圧 Vo のリップルにも大きな商
用周波数成分が出て来ますので、ご注意ください)
青:VIN ripple
10V/Div
Cin=1000μF
※ピーク≒33V、
谷点≒26.4V
整流平滑後の負荷
が 33W 相当の場合
の例
0赤:AC24V 50Hz
10V/Div
図 12.商用周波数の全波整流平滑による VIN リップル電圧
4.8mS/Div→
・・・式 10
より、VIN=33V 時 Vo=12V 時のデューティ D を D=12(V)/33(V)=0.3636 とすると、式 10 より
≒1051(μF)
となり、平滑コンデンサ Cin は 1051μF 以上の容量が必要です。
この様に、AC24V をブリッジ整流する場合、商用周波数のリップルの谷点を何 V にするかで、平滑コンデン
サとしての容量はかなり変わってまいります。
尚、供給電源が予め安定化された DC24V などの場合は、ここまでの容量は不要ですが、①で計算したリッ
プル電流が流せるコンデンサを VIN~GND 間に挿入してご使用ください。また、この平滑コンデンサ Cin は
誤動作回避の点で、いわゆる『パスコン』の意味合いも有りますので、まったく何もコンデンサを挿入しない、
という使い方はお奨めできません。
3)耐圧
AC24V の全波整流平滑を想定する場合、35V 耐圧ではマージンがないため、50V 以上の耐圧を選定しま
す。
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Rev.1.5
このように入力平滑コンデンサ Cin は、
① 計算したリップル電流に対し、余裕が十分に取れる『許容リップル電流』性能がある事
② 商用周波数リップル電圧の谷間電圧を何 V にするか?で容量を計算する
・・・アミューズメント機器など
③ VIN 電圧の最大値よりも、余裕が十分に取れる高い耐圧であること
の条件で仕様決定してください。コンデンサメーカーのカタログの中で、『スイッチング電源用』と
謳っているシリーズの中から選定してください。
出力電圧リップル・平滑コンデンサ Co の選び方について
(MPM01/MPM04 共通)
本モジュールでは、平滑コンデンサをパッケージ内部に内蔵しているわけではなく、外部にて基板上の実装
条件並びに使用平滑コンデンサをユーザー様がお決めになりますので、仕様としての規定はしておりま
せん。
1)出力リップル電圧の設定
出力リップル電圧を机上計算で求める場合、インダクタの臨界電流ΔIL と平滑コンデンサ性能であるところの
ESR(等価直列抵抗)分で決まりますので、
Vripple=ΔIL×ESR・・・式 11
となります。また、式 4 よりΔIL=2.637A ですので、この値と平滑コンデンサの ESR との掛け算
で、出力リップル電圧が求められます。
(計算例)
・条件
VIN=24(V)、Vo=12(V)、Io=3(A)、周波数=250(kHz)→周期 T=4(μs)、
D=12(V)/24(V)=0.5(Ton=2μs)、内蔵インダクタ・インダクタンス値=9.1(μH)
平滑コンデンサの低温時の ESR を仮に 20mΩとした場合、式 4 よりΔIL=2.637(A)及び、
式 11 より、Vripple= 2.637(A)×20(mΩ)=52.7mVp-p となります。
ここで、式 11 を変形すると、
・・・式 12
リップル電圧を 100mVp-p にしたい場合は式 12 より、
=37.9mΩ
となり、つまり低温時にも 37.9mΩ以下の ESR 特性をもつ電解コンデンサを接続していただ
く事が必要です。
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*進み補償回路
MPM00 シリーズでは出力平滑用コンデンサとして、アルミ電解コンデンサを使用する前提でアルミ電解コン
デンサに合わせた位相補償回路を内蔵していますが、アルミ電解コンデンサは部品の性能向上に伴い、小
型・大容量・超低 ESR の製品が市販されております。このためアルミ電解コンデンサであっても、ESR 特性が
セラミックコンデンサに近い領域の製品が有ります。この場合は制御系の AC ゲインが不足して動作が不安定
になることが有ります。その場合は図 13 の様に、MPM00 の OUT 端子~FB 端子間へ進み位相補償回路(RFF
及び CFF)を接続してください。
図 13. 進み補償回路の接続
設定例(入出力条件:VIN=33V DC,Vo=12V,Io=1A~3A)
Co:1000μF/25V 単体 ESR=14mΩ/20℃・・・二本並列で 7mΩ相当
RFF:0Ω~100Ω
CFF:100pF~1000pF
上記はあくまで目安です。尚、アルミ電解コンデンサの ESR 特性は温度依存性があるため、低温/高温の両
方の環境下にて MPM00 の動作をご確認の上、調整願います。
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2)出力平滑コンデンサのリップル電流
次に、出力平滑コンデンサ Co に流れるリップル電流は式 13 で与えられます。
このリップル電流 Ico (ripple)は、インダクタの臨界電流ΔIL の実効値となります。
・・・式 13
(計算例)
・条件
VIN=24(V)、Vo=12(V)、Io=3(A)、周波数=250(kHz)→周期 T=4(μs)、
D=12(V)/24(V)=0.5(Ton=2μs)、内蔵インダクタ・インダクタンス値=9.1(μH)
とすると、式 13 より
=0.761(Arms)
となります。0.761A(Arms)に対して、計算したリップル電流に対し、余裕が十分に取れる許容リップ
ル電流スペックのものを、コンデンサメーカーのカタログなどで選定してください。
3)耐圧
上記計算例では Vo=12V 時条件ですが、平滑コンデンサの耐圧は 16V 以上が必要です。
このように、出力平滑コンデンサ Co は、
① 出力リップル電圧を何 mVp-p 以下にするか?で、低温時の ESR 特性を決める
・・・負荷回路の電源仕様との兼ねあい
② 計算したリップル電流に対し、余裕が十分に取れる『許容リップル電流』性能がある事
③ 設定した出力電圧 Vo よりも、余裕が十分に取れる高い耐圧である事
の条件で仕様決定してください。コンデンサメーカーのカタログの中で、『スイッチング電源用』と
謳っているシリーズの中から選定してください。
(参考)アルミ電解コンデンサ・インピーダンスの温度特性
アルミ電解コンデンサでは、図 14 の様に周波数が高くなるにつれて、等価
直列抵抗 ESR を最下点にしてインピーダンスは変化し、温度特性も持って
います。これは電解液の抵抗分が温度によって変化するためで、低温では
インピーダンスが上がります。この特性はリップル電圧増加に影響しますの
でご注意ください。アルミ電解コンデンサのインピーダンス規格は、20℃、
120Hz または 100kHz の値で規定されていますが、低温時の ESR の詳細
は各コンデンサメーカーのカタログ・技術資料などを参照ください。
図 14
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MPM00 シリーズ用デモボード
(評価用デモボードと参考静特性例)
MPM シリーズの実働評価用でこのような評価基板を試作いたしました。弊社営業までお問い合わ
せください。
出力コネクタ
Cout
(Gnd)
Cin
(+)
入力コネクタ
(Gnd)
(+)
MPM0X→
Vo 設定抵抗 RFB
写真 1
図 15. デモボード回路図
表7
部品
P.No
部品名等
メーカー等
プリント基板
PCB
CEM3 片面
-
コネクタ
CN1、CN2
B2P3-VH
JST
DC/DC モジュール
IC1
MPM01
サンケン
アルミ電解コンデンサ
C1
ZLH 50V/1000μ F
ルビコン
アルミ電解コンデンサ
C2
ZLH 25V/1000μ F
ルビコン
アルミ電解コンデンサ
C3
ZLH 25V/1000μ F
ルビコン
カーボン抵抗
R1
1/4W 510Ω
-
カーボン抵抗
R2
オープン
-
ジャンパー線
JP1
Φ 0.5 Sn メッキ線
-
※ デモボード部品表(入力電圧 VIN=33V、出力電圧 Vo=5V 設定時の参考例) このデモボードで使用して
いる部品はあくまで参考です。お手数ですが、必ずお客様の標準部品などに置き換えして、確認実験していた
だきますようお願い申し上げます。
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静特性例
6.
MPM01/04 の弊社測定例を示します。
効率 (Ta=25℃) ※弊社測定環境における参考値です。
図 16
ロードレギュレーション (Ta=25℃) ※弊社測定環境における参考値です。
図 17
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7.
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推定寿命曲線 (MPM01、MPM04 共通)
電子部品では一般的に、高温時ほど寿命が短くなります。長くお使いになるには、温度上昇を抑えて
ご使用いただくのが最も効果的です。
① 連続動作寿命
本製品の連続通電おける推定寿命を図 18 に示します。横軸がパッケージ表面温度で、縦軸が
0.1%の不良発生時間です。
※入力電圧依存性もございます。
6mm
パッケージ温度の測定点捺印のある正面にて下
13mm
記位置になります
MPM01
図 18.
入力 DC24V nominal 推定寿命曲線及び、
パッケージ温度測定点
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② 繰り返し温度サイクルによる推定寿命
ON/OFF に伴う温度上昇/降下の繰り返しによる、温度サイクルモードでの推定寿命は以下の
とおりに求めてください。
図 19.温度サイクル推定寿命計算用 温度差 vs. 加速係数
計算方法は、基準寿命 L0=100 サイクルを 1 として、1)項のパッケージ温度測定点でのΔT を求め、
推定寿命 L1 は加速条件にて、
L1≒L0×加速係数・・・式 14
で計算します。仮に温度差:25℃~85℃にてΔT=60℃としますと、図 17 のグラフから
加速係数≒20 倍と読みとれますので、温度サイクル推定寿命は式 14 より、
L1≒100×20≒2000(サイクル)
となります。
出力電流のディレーティングによりパッケージの温度を下げられますが、ご希望の期待寿命を得
るには、適宜冷却を実施してご使用ください。(例:放熱板装着、ファンによる強制空冷など)
尚、本製品の入出力には、電解コンデンサを接続していただく必要が有りますが、電解コンデンサも
寿命を考慮する必要が有りますので、コンデンサメーカーのアプリケーションに従って、適宜メンテ
ナンスをお願いいたします。
※弊社ではより良い製品を目指して、製品のアップデートを行う事が有ります。改良のため予告なく仕様等を変更
する場合が有りますので、予めご了承くださいますようお願いいたします。
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使用上の注意
弊社の製品を使用、またはこれを使用した各種装置を設計する場合、定格値に対するディレーティングをどの
程度行うかにより、信頼性に大きく影響します。ディレーティングとは信頼性を確保または向上するため、各定格
値から負荷を軽減した動作範囲を設定したり、サージやノイズなどについて考慮したりすることです。ディレーテ
ィングを行う要素には、一般的に電圧、電流、電力などの電気的ストレス、周囲温度、湿度などの環境ストレス、半
導体製品の自己発熱による熱ストレスがあります。これらのストレスは、瞬間的数値、あるいは最大値、最小値に
ついても考慮する必要があります。
なお、パワーデバイスやパワーデバイス内蔵 IC は、自己発熱が大きく接合部温度のディレーティングの程度が、
信頼性を大きく変える要素となるので十分に配慮してください。
保管環境、特性検査上の取り扱い方法によっては信頼度を損なう要因となるので、注意事項に留意してくださ
い。
保管上の注意事項
 保管環境は、常温 (5~35°C)、常湿 (40~75%)中が望ましく、高温多湿の場所、温度や湿度の変化が大
きな場所を避けてください
 腐食性ガスなどの有毒ガスが発生しない、塵埃の尐ない場所で、直射日光を避けて保管してください
 長期保管したものは、使用前にはんだ付け性やリードの錆などについて再点検してください
特性検査、取り扱い上の注意事項
受入検査などで特性検査を行う場合は、測定器からのサージ電圧の印加、端子間ショートや誤接続などに
十分注意してください。また定格以上の測定は避けてください
放熱用シリコーングリースを使用する場合の注意事項
 放熱用シリコーングリースを使用する場合は、均一に薄く塗布してください。必要以上に塗布すると、無理な
応力を加えます。
 長時間放置した放熱用シリコーングリースは、ひび割れによる放熱効果の悪化や、ビス止め時にモールド樹
脂クラックの原因となります。
 放熱用シリコーングリースの中には異物が入らないよう十分ご注意ください。異物が入ると放熱性を損ねたり、
絶縁板を使用する場合は絶縁板が傷つき絶縁不良を起こしたりする場合があります。
 放熱用シリコーングリースは樹脂封止型半導体への使用を推奨するものを使用してください。弊社では下記
の放熱用シリコーングリースおよびその同等品を推奨しております。
品名
メーカー名
G746
信越化学工業(株)
YG6260
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社
SC102
東レ・ダウコーニング(株)
放熱板に取り付ける場合の注意事項
 ねじ穴部をボーリング加工した放熱板に取り付けるなど、ねじ穴周辺部の平坦度が取れない場合、推奨トル
ク以下でも製品にダメージを与えることがあるので注意してください。また、製品を取り付ける面の平坦度は
0.05mm 以下としてください
 ねじは、製品形状に適したものを選定してください。皿ねじなどは、製品にストレスを加えるので使用しないで
ください。また、タッピンねじの使用はできるだけ控えてください。タッピンねじを使用すると、下穴の状態や、
作業状況により、ねじが垂直に入らず、斜めに入ることがあります。ねじが斜めに入ると、製品に異常なストレ
スを加え、製品が故障する恐れがあるので注意してください
 推奨締め付けトルク
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0.588~0.785 [N・m] (6~8[kgf・cm])
 ねじを締め付けるときに、締め付け工具(ドライバなど)が製品にあたると、パッケージにクラックが入るだけで
なく、ストレスが内部に加わります。これにより、製品の寿命を縮め、故障する恐れがあるので注意してくださ
い。また、エアドライバでのねじ締めは、ストップ時の衝撃が大きく、設定トルク以上のトルクがかかる場合が
あります。設定トルク以上のトルクがかかると、製品にダメージを与えることがあるので、電動ドライバの使用を
おすすめします。
2 箇所以上で締め付けるパッケージの場合は、すべての取り付け部を予備締めした後に、規定のトルク値で
締め付けてください。ドライバを使用する場合は、トルク管理に十分注意してください
はんだ付け方法
 はんだ付けをする場合は、下記条件以内で、できるだけ短時間で作業してください
・260 ± 5 °C 10 ± 1 s (フロー、2 回)
・380 ± 10 °C 3.5 ± 0.5 s (はんだごて、1 回)
 はんだ付けは製品本体より 1.5 mm のところまでとします。
はんだ付けをする場合は、下記条件以内で、できるだけ短時間で作業してください
・リフロー
: 予備加熱 180 °C/90 ± 30 s
加熱処理 250 °C/10 ± 1 s(260 °C peak、2 回)
・はんだごて
: 380 ± 10 °C/3.5 ± 0.5 s(1 回)
静電気破壊防止のための取扱注意
 製品を取り扱う場合は、人体アースを取ってください。人体アースはリストストラップなどを用い、感電防止の
ため、1MΩ の抵抗を人体に近い所へ入れてください
 製品を取り扱う作業台は、導電性のテーブルマットやフロアマットなどを敷き、アースを取ってください
 カーブトレーサーなどの測定器を使う場合、測定器もアースを取ってください
 はんだ付けをする場合、はんだごてやディップ槽のリーク電圧が、製品に印加するのを防ぐため、はんだごて
の先やディップ槽のアースを取ってください。
 製品を入れる容器は、弊社出荷時の容器を用いるか、導電性容器やアルミ箔などで、静電対策をしてくださ
い。
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注意書き
 本書に記載している内容は、改良などにより予告なく変更することがあります。
ご使用の際には、最新の情報であることを確認してください。
 本書に記載している動作例、回路例および推奨例は、使用上の参考として示したもので、これらに起因す
る弊社もしくは第三者の工業所有権、知的所有権、生命権、身体権、財産権、その他一切の権利の侵害
問題について弊社は一切責任を負いません。
 弊社の合意がない限り、弊社は、本書に含まれる本製品(商品適性および特定目的または特別環境に対
する適合性を含む)ならびに情報(正確性、有用性、信頼性を含む)について、明示的か黙示的かを問わ
ず、いかなる保証もしておりません。
 弊社は品質、信頼性の向上に努めていますが、半導体製品では、ある確率での欠陥、故障の発生は避け
られません。製品の故障により結果として、人身事故、火災事故、社会的な損害などが発生しないよう、使
用者の責任において、装置やシステム上で十分な安全設計および確認を行ってください。
 本書に記載している製品は、一般電子機器(家電製品、事務機器、通信端末機器、計測機器など)に使
用することを意図しております。
高い信頼性を要求する装置(輸送機器とその制御装置、交通信号制御装置、防災・防火装置、各種安全
装置など)への使用を検討、および一般電子機器であっても長寿命を要求する場合は、必ず弊社販売窓
口へ相談してください。
極めて高い信頼性を要求する装置(航空宇宙機器、原子力制御、生命維持のための医療機器など)には、
弊社の文書による合意がない限り使用しないでください。
 本書に記載している製品の使用にあたり、本書に記載している製品に他の製品・部材を組み合わせる場
合、あるいはこれらの製品に物理的、化学的、その他何らかの加工・処理を施す場合には、使用者の責任
においてそのリスクを検討の上行ってください。
 本書に記載している製品は耐放射線設計をしておりません。
 弊社物流網以外での輸送、製品落下などによるトラブルについて、弊社は一切責任を負いません。
 本書に記載している内容を、文書による弊社の承諾なしに転記・複製することを禁じます。
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