NJU7291 ウォッチドッグタイマ内蔵システムリセットIC ■概要 NJU7291 は、電源電圧の瞬断や低下などの異常を瞬時に検出して、 リセット信号を発生する電源電圧監視用ICです。 ウォッチドッグタイマが内蔵されており、各種マイコンシステムに フェイル・セーフ機能を持たせることができます。 ■外形 NJU7291RB1 NJU7291D ■特徴 ● 電源電圧 : V+ = 2.5∼7V ● リセット検出電圧 : VRL: ±1.0% ● 外付け抵抗により検出電圧の調整が可能 ● 出力遅延ホールド時間、WD タイマリセット時間設定比 = 30:1 ● WD タイマ監視時間独立設定可能 ● WD タイマ機能停止設定可能 ● CMOS 構造 ● パッケージ : TVSP8 / DIP8 ■ 端子配列/端子機能説明 1 3 8 NJU7291 2 PIN 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 7 6 4 5 端子名称 CR CW CK GND + V 端 子 機 能 出力遅延ホールド時間設定用コンデンサ接続端子 ウォッチドッグ監視時間設定用コンデンサ接続端子 クロック入力端子 グランド 電源 ウォッチドッグタイマ機能イネーブル端子(Low Active) リセット電圧調整用抵抗接続端子 リセット出力( Low Active )端子 ------------------ WDEN RSADJ -------------------- RESET ■ ブロック図 V+ 5 8 RESET REG RD1 7 CR Control WDT Enable RD2 VREF RD3 V+ Reset Enable RSADJ 1 CR CR V+ V+ CK 2 CW Control 3 CW CW 100kΩ 100kΩ 4 6 GND WDEN ■ 検出電圧ランク Device Name VRL PKG Status NJU7291RB1-03 NJU7291RB1-46 3.0V 4.6V TVSP8 TVSP8 Available PLAN Ver.2013-08-28 Device Name NJU7291D46 VRL PKG Status 4.6V DIP8 Available -1- NJU7291 ■ 絶対最大定格 項 目 電源電圧 電圧検出器入力電圧 クロック入力電圧 ------------------ WDEN 入力電圧 -------------------- RESET 出力電圧 -------------------- RESET 出力シンク電流 ( 指定なき場合には Ta = 25°C ) 記 号 + V VRSADJ VCK ------------------ VWDEN 条 件 (*1) 定格値 8.0 8.0 8.0 単 位 V V V (*1) 8.0 V --------------------- VRESET --------------------- IRESET 消費電力 PD 動作温度 保存温度 Topj Tstg 8.0 V 20 mA 470 500 - 40 ~ + 85 -40 ~ +125 TVSP8 (*2) DIP8 (*3) mW °C °C (*1) : 電源電圧が 8V 以下の場合は、電源電圧と等しくなります。 (*2) : 基板実装時 76.2mm×114.3mm×1,6mm(2 層 FR-4)で EIA/JEDEC 準拠による (*3) : 単体時 ■ 推奨動作条件 項 目 電源電圧 電圧検出器入力電圧 クロック入力電圧 ------------------ WDEN 入力電圧 ( 指定なき場合には Ta = 25°C ) 記 号 + V VRSADJ VCK 条 件 範 囲 2.5 ~ 7.0 + 0~V + 0~V 単 位 V V V + V 0~V ------------------ VWDEN ■ 電気的特性 + ( 指定なき場合には V = VRL+0.3V, Ta = 25°C ) < ボルテージディテクタ部 > 項 目 リセット電圧 ヒステリシス電圧 電圧検出器基準電圧 電圧検出器基準電圧温度係数 出力遅延ホールド時間 電圧検出時 CR 端子充電電流 復帰後リセット解除 CR 端子 スレッシホールド電圧 記 号 VRL VHYS_RS VTRS ∆VTRS / ∆Ta TPR ICRD VTCRD 条 件 VHYS_RS = VRH (*4) - VRL Ta = - 40 °C ~ + 85°C CR = 0.01µF VCR = 0.05V VCW = 0.05V 最小 - 1.0 % 63 0.95 1.9 3 標準 90 1.00 ±200 2.5 4 最大 + 1.0 % 117 1.05 3.5 5 単位 V mV V ppm/°C ms µA 0.95 1.00 1.05 V ( *4 ) VRH : 復帰電圧 + ( 指定なき場合には V = VRL+0.3V, Ta = 25°C ) < ウォッチドッグタイマ部 > 項 目 クロック入力閾値レベル クロック入力パルス幅 クロック入力周期 ウォッチドッグタイマ監視時間 CW 端子充電電流 ウォッチドッグタイマリセット時 CW 端子スレッシホールド電圧 クロック検出時 CW 端子放電電流 充電切り替わり時 CW 端子 スレッシホールド電圧 ウォッチドッグタイマリセット時間 タイマリセット時 CR 端子充電電流 タイマリセット解除 CR 端子 スレッシホールド電圧 ウォッチドッグタイマ機能停止 記 号 VTCK TCKW TCK TWD ICW 条 件 CW = 0.01µF VCW = 0.05V 最小 0.6 0.05 0.1 1.5 3 標準 0.9 2.0 4 最大 1.2 2.8 5 単位 V ms ms ms µA VTCWH VCR = 0.05V 0.95 1.00 1.05 V ICWL VCW = 0.5V 30 40 50 µA VTCWL VCR = 0.05V 0.18 0.20 0.22 V TWR ICRW CR = 0.01µF VCR = 0.05V 0.063 45 0.083 60 0.117 75 ms µA VTCRW VCW = 0.05V 0.48 0.505 0.53 V ------------------ VTWDIS 1.6 - V + V ------------------ VTWEN 0 - 0.3 V WDEN 端子スレッシホールド電圧 ウォッチドッグタイマ機能停止解除 WDEN 端子スレッシホールド電圧 -2- Ver.2013-08-28 NJU7291 + ( 指定なき場合には V = VRL+0.3V, Ta = 25°C ) < 出力部 > 項 目 記 号 条 件 最小 標準 最大 単位 - 0.2 0.4 V --------------------- 5 10 - mA --------------------- - 0.8 1.2 V -------------------- RESET 出力電圧 ( L 出力時 ) VRSTL IRESET = 0.5mA, VRSADJ = 0V IRST1 VRESET = 0.5V, VRSADJ = 0V VOPL1 VRESET = 0.4V, Rpu (*5) = 330kΩ --------------------- -------------------- RESET 出力シンク電流 ( L 出力時 ) -------------------- RESET 保証最小電源電圧 -------------------- ( *5 ) Rpu : RESET プルアップ抵抗 + ( 指定なき場合には V = VRL+0.3V, Ta = 25°C ) < 総合特性 > 項 目 消費電流 Ver.2013-08-28 記 号 ISS 条 件 ウォッチドッグタイマ動作時 最小 - 標準 170 最大 250 単位 µA -3- NJU7291 ■ タイミングチャート ③ ① VRH VRL V ② ④ ⑤ ⑦ ⑧ ⑥ ⑨ VHYS_RS + VOPL WDEN CK VTCRD CR VTCRW VTCWH CW VTCWL TWD TPR RESET TWR 図1. NJU7291 の動作説明図(タイミングチャート) ■ 動作説明 ● 出力遅延ホールド期間 ① 初期化状態 この状態では V+が復帰電圧 VRH(=VRL+VHYS_RS)未満(V+<VRH)となっています。 ――――――― CR 端子と CW 端子の電圧はそれぞれ VCR=0V,VCW=0V であり、 RESET =”L”となります。 ② V+が復帰電圧 VRH を超えた時 CR 端子のコンデンサ CR を電圧検出時 CR 端子充電電流 ICRD(TYP:4µA)で充電し VCR が上昇します。 ――――――― CW 端子電圧は VCW=0V であり、 RESET =”L”を保持します。 なお、V+が復帰電圧 VH より低下すると①の状態に戻ります。 ③ CR 端子のコンデンサ電圧 VCR が復帰後リセット解除 CR 端子スレッシホールド電圧 VTCRD(TYP:1V)に達した時 ――――――― ――――――― RESET =”L” から”H”に変化します。このとき、V+=VRH になった時から RESET =”H”までの時間が出力遅延ホー ルド時間 TPR になります。 また、コンデンサ CR を放電し、CR 端子電圧は VCR=0V となります。 そして、CW 端子のコンデンサ CW を CW 端子充電電流 ICW(TYP:4µA)で充電開始し電圧 VCW が上昇し始め ます。この状態より、リセット電圧 VRL が検出可能となります。 -4- Ver.2013-08-28 NJU7291 ● ウォッチドッグタイマ監視期間 ④ クロック CK 立下りエッジ検出の待ち受け状態 ③の状態よりコンデンサ CW を充電電流 ICW で充電し、電圧 VCW が充電切り替わり時 CW 端子スレッシホールド 電圧 VTCWL(TYP:0.205V)以上でクロック CK 立下りエッジが検出可能となります。 ⑤ クロック CK 立下りエッジを検出した場合 クロック CK の立下りエッジを検出するとコンデンサ CW は充電電流 ICW の充電からクロック検出時 CW 端子放 電電流 ICWL(TYP:36µA)の放電に替わり、電圧 VCW は下降します。そして、電圧 VCW がスレッシホールド電 圧 VTCWL になると充電電流 ICW の充電に切り替わり、電圧 VCW が上昇します。 ⑥ クロック CK 立下りエッジを検出しない場合 コンデンサ CW を充電電流 ICW で充電している状態で、クロック CK の立下りエッジを検出せず、電圧 VCW がウ ――――――― ォッチドッグタイマリセット時 CW 端子スレッシホールド電圧 VCWH(TYP:1V)に達すると、RESET =”H” か ら”L”に変化し、コンデンサ CW を放電し、CW 端子電圧は VCW=0V となります。そして、タイマリセット時 CR 端子充電電流 ICRW(TYP:60µA)でコンデンサ CR の充電を開始し電圧 VCR が上昇し始めます。 クロック CK の立下りエッジ検出のない状態で、CW 端子電圧 VCW がスレッシホールド電圧 VTCWL からスレッシ ホールド電圧 VTCWH になるまでの時間がウォッチドッグタイマ監視時間 TWD になります。 ● ウォッチドッグタイマリセット期間 ⑦ CR 端子電圧 VCR がタイマリセット解除スレッシホールド電圧 VTCRW(TYP:0.5V)を超えるまで 充電電流 ICRW でコンデンサ CR の充電を開始してから電圧 VCR がスレッシホールド電圧 VTCRW に達するまで ――――――― RESET =”L” を保持します。 ――――――― 電圧 VCR がスレッシホールド電圧 VTCRW を超えると、 RESET =”L”から”H”に変化してコンデンサ CR を放電し、 CR 端子電圧は VCR=0V となります。そして、コンデンサ CW を充電電流 ICW で充電し始めてウォッチドッグ ――――――― タイマ監視期間に戻ります。RESET =”L” を保持している時間が、ウォッチドッグタイマリセット時間 TWR になります。 ● リセット電圧 VRL の検出 ⑧ 電源電圧 V+<リセット電圧 VRL となった場合 ウォッチドッグタイマ監視期間およびウォッチドッグタイマリセット期間において、電源電圧 V+がリセット電 ――――――― 圧 VRL より低下した場合、 RESET =”L”となり、CR 端子と CW 端子においてはコンデンサ CR、CW を放電して VCR=0V,VCW=0V となります。 動作は①の初期化状態に戻ります。 ● ウォッチドックタイマ監視動作の停止 ―――――― ⑨ ウォッチドッグタイマ機能イネーブル端子WDEN=”H”に設定した場合 ―――――― WDEN=”H”にするとウォッチドッグタイマ監視動作を停止することができます。 ――――――― このとき、コンデンサ CW を放電し VCW=0V にしますが、電源電圧 V+>リセット電圧 VRL であれば RESET =”H” を保持します。 ―――――― ―――――― WDEN=”L”またはWDEN端子をオープンにするとコンデンサ CW の充電が開始されウォッチドッグタイマ監視 動作に戻ります。 ―――――― なお、ウォッチドッグタイマリセット期間にWDEN=”H”に設定したときには、ウォッチドッグタイマリセット 時間 TWR 経過後にウォッチドッグタイマ監視動作停止に入ります。 ―――――― ウォッチドックタイマを使用しない場合の端子処理は、WDEN=”H”、クロック入力端子(CK)=GNDまたはOPEN、 クロック監視時間設定用コンデンサ接続端子(CW)=OPENとしてください。 Ver.2013-08-28 -5- NJU7291 ■ 部品定数設定方法 ● リセット時間設定用コンデンサ CR リセット時間設定用コンデンサ CR により、出力遅延ホールド時間 TPR とウォッチドッグタイマリセット時間 TWR を 設定します。 出力遅延ホールド時間 TPR は、電源 V+が復帰電圧 VRH 以上になり CR 端子より電圧検出時 CR 端子充電電流 ICRD が 出力してからコンデンサ CR の充電により CR 端子電圧が復帰後リセット解除 CR 端子スレッシホールド電圧 VTCRD に達するまでの時間となります。したがって、TPR は次の式で表せます。 CR ⋅ VTCRD ICRD TPR = ・・・・・・ <1> 式<1>よりコンデンサ CR の値は次のようになります。 CR = ICRD ⋅ TPR VTCRD ・・・・・・ <2> 充電電流 ICRD は 4µA(TYP) 、スレッシホールド電圧 VTCRD は 1V(TYP)なので、コンデンサ CR は次の式で簡易的 に計算できます。 CR = 4 × TPR × 10 −6 [F] ・・・・・・ <3> 時間 TPR の単位は[s] コンデンサ CR の値が決まると、ウォッチドッグタイマリセット時間 TWR が決まります。 ウォッチドッグタイマ監視時間 TWD が経過し、CR 端子よりタイマリセット時 CR 端子充電電流 ICRW が出力してか らコンデンサ CR の充電により CR 端子電圧がタイマリセット解除 CR 端子スレッシホールド電圧 VTCRW に達するま での時間が TWR となりますので、次の式で表せます。 TWR = CR ⋅ VTCRW ICRW ・・・・・・ <4> 充電電流 ICRW は 60µA(TYP) 、スレッシホールド電圧 VTCRW は 0.5V(TYP)なので、時間 TWR は次の式で簡易的に 計算できます。 TWR = CR × 10 6 [s] 120 1000 <5> なお、式<3>と式<5>から、時間 TPR と時間 TWR の関係は以下のようになります。 100 TWR = TPR [s] 30 ・・・・・・ <6> 以上より、コンデンサ CR の値と時間 TPR,時 間 TWR の関係は図 2 のようになります。 TPR,TWR [ms] ・・・・・・ TPR TWR 10 1 0.1 0.01 0.001 0.01 0.1 1 10 CR [µF] 図 2. コンデンサ CR の値と各時間 TPR,TWR の関係 -6- Ver.2013-08-28 NJU7291 ● クロック監視時間設定用コンデンサ CW クロック監視時間設定用コンデンサ CW により、ウォッチドッグタイマ監視時間 TWD を設定します。 コンデンサCW をCW 端子充電電流ICW で充電している時にCK 端子におけるクロック信号の立下りエッジを検出す ると、クロック検出時 CW 端子放電電流 ICWL によるコンデンサ CW の放電に切り替わります。そして CW 端子電圧 が充電切り替わり時 CW 端子スレッシホールド電圧 VTCWL になると、充電電流 ICW によるコンデンサ CW の充電に切 換ります。この充電に切換ってから CW 端子電圧がウォッチドッグタイマリセット時 CW 端子スレッシホールド電 圧 VTCWH になるまでの時間がウォッチドッグタイマ監視時間 TWD になります。 したがって、TWD は次の式で表せます。 TWD = CW ⋅ (VTCWH − VTCWL ) ICW ・・・・・・ <7> 式<7>よりコンデンサ CW の値は次のようになります。 ICW ⋅ TWD VTCWH − VTCWL 1000 ・・・・・・ <8> 充電電流 ICW は 4µA(TYP)、スレッシホールド 電圧 VTCWH は 1V(TYP)、スレッシホールド電 圧 VTCWL は 0.2V(TYP)なので、コンデンサ CW は次の式で簡易的に計算できます。 100 TWD [ms] CW = 10 1 CW = 5 × TWD × 10 −6 [F] ・・・・・・ 時間 TWD <9> の単位は[s] 以上より、コンデンサ CW の値と時間 TWD の 関係は図 3 のようになります。 ― 注意点 ― コンデンサ CW の放電波形は図 4 のように なり、コンデンサ CW の値が大きくなるにつ れて放電時間は長くなってゆきます。ウォッ チドッグタイマリセット時間TWR 以内にコン デンサ CW の放電が完了しないと、次のウォ ッチドッグタイマ動作に不具合が発生します。 この不具合を発生させないためにコンデン サ CR の値はコンデンサ CW の値に対して 1/5 以下にならないように設定して下さい。 0.1 0.001 0.01 0.1 1 10 CW [µF] 図 3. コンデンサ CW の値と時間 TWD の関係 RESET 出力波形 CW端子 電圧波形 GND TWR (a) CW 完全放電時 TWR (b) CW 不完全放電時 図 4. ウォッチドッグタイマリセット時間 TWR と CW 端子の電圧波形 Ver.2013-08-28 -7- NJU7291 ● リセット電圧設定用外付け抵抗 R1, R2 V+ Rpu 1 CR CR RESET 8 RESET R1 CW 2 CW RSADJ 7 マイコン R2 3 CK WDEN 6 4 GND V+ 5 CK 図 5. 外付け抵抗によるリセット電圧設定アプリケーション回路 図 5 のように外付け抵抗 R1, R2 でリセット電圧 VRL を設定する場合、IC 内部のリセット電圧設定用抵抗の値を考慮 する必要があります。 IC 内部のリセット電圧検出回路を含めた部分を図 6 に示します。 抵抗 R1 と R2 を接続した場合のリセット電圧 VRL および復帰電圧 VRH V+ は次のようになります。 R1 〕 〔リセット電圧 VRL (トランジスタ M1:OFF) ⎧ RD1 1 + (RD 2 + RD 3 ) R 2 ⎫ VRL = ⎨ ⋅ + 1⎬ ⋅ VREF 1 + RD1 R1 ⎭ ⎩ RD 2 + RD 3 RD2 ・ ・ ・・・・ <10> 〔復帰電圧 VRH (トランジスタ M1:ON) 〕 VRH ⎛ RD1 1 + RD 2 R 2 ⎞ = ⎜⎜ ⋅ + 1⎟⎟ ⋅ VREF ⎠ ⎝ RD 2 1 + RD1 R1 RD1 RSADJ R2 M1 RD3 VREF 図 6. リセット電圧検出回路部分 ・・・・・・ <11> リセット電圧 VRL と復帰電圧 VRH からヒステリシス電圧 VHYS は次のようになります。 〔ヒステリシス電圧 VHYS_RS 〕 VHYS _ RS = RD1 ⋅ RD 3 ⋅ VREF RD 2 ⋅ (RD 2 + RD 3) ⋅ (1 + RD1 R1) ・・・・・・ <12> 所望のリセット電圧 VRL を設定するときの抵抗 R1 と R2 の値の決め方を説明します。 まず、予め抵抗 R1 の値を決めておきます。このとき、式<12>よりヒステリシス電圧が決まります。 式<10>から導いた抵抗 R2 を求める次の式にリセット電圧 VRL と抵抗 R1 の値を当てはめると抵抗 R2 が決まります。 なお、抵抗 RD1∼RD3 は定数として扱い、それぞれの値はリセット検出電圧ランクによります。電圧 VREF は電圧検出 器基準電圧 VTRS と同等なので、VREF= 1[V]とします。 R2 = -8- RD 2 + RD 3 RD 2 + RD 3 ⎛ RD1 ⎞ ⋅ (VRL − 1) ⋅ ⎜1 + ⎟ −1 RD1 R1 ⎠ ⎝ ・・・・・・ <13> Ver.2013-08-28 NJU7291 NJU7291x-03 の場合 NJU7291x-03 のリセット電圧 VRL の初期値は 3.0V で設定されています。IC 内部のリセット電圧検出部分における抵 抗 RD1∼RD3 の値は表 1(4.6V 品は表 2.)のようになっています。 この値を式<10>から式<13>に適用すると次のようになります。 表 1. リセット電圧検出部の IC 内部抵抗値 [NJU7291x-03] なお、VREF = 1[V]とし、抵抗の単位を[kΩ]とします。 RD1 418 kΩ 〔リセット電圧 VRL 〕 RD2 200 kΩ RD3 9 kΩ 1 + 209 R 2 VRL = 2 ⋅ + 1 [V] ・・・・・・ 1 + 418 R1 <14> 〔復帰電圧 VRH 〕 VRH = 2.09 ⋅ 1 + 200 R 2 + 1 [V] 1 + 418 R1 ・・・・・・ <15> 表 2. リセット電圧検出部の IC 内部抵抗値 [NJU7291x-46] RD1 480 kΩ RD2 130 kΩ RD3 3.342 kΩ 〔ヒステリシス電圧 VHYS_RS 〕 VHYS _ RS = 0.09 [V] 1 + 418 R1 ・・・・・・ <16> 〔抵抗 R2 の算出〕 R2 = Ver.2013-08-28 209 [kΩ] ⎛ 418 ⎞ 0.5 ⋅ (VRL − 1) ⋅ ⎜1 + ⎟ −1 R1 ⎠ ⎝ ・・・・・・ <17> -9- NJU7291 ■ 使用上の注意点 ● 電源ノイズに対する取り扱い 電源にノイズが乗り、電源電圧 V+が瞬間的にリセット電圧 VRL 以下になることにより、リセット信号(RESET=”L”)が出る場 合があります。 電源ノイズによりリセット信号が出るときには RSADJ 端子と グランドとの間にフィルタ用のコンデンサCS を挿入して下さい。 なお、コンデンサ CS を挿入した場合、図 8 に示すように RSADJ 端子の電圧の立上りはコンデンサ CS により遅くなり、RSADJ 端子電圧が電圧検出器基準電圧 VTRS =1V (TYP)に達してからコ ンデンサ CR の充電が開始されるので、出力遅延ホールド時間 TPR は CR による計算結果より長くなります。 V+ R1 RD1 RSADJ RD2 CS R2 M1 VREF RD3 図 7. 電源ノイズに対する対応方法 コンデンサ CS を挿入した場合の出力遅延ホールド時間 TPR は以 下のようになります。 コンデンサ CS による遅延時間を TDPR とすると、 ⎧ TDPR = τ ⋅ ln ⎨1 ⎩ ⎛ VTRS RD1 + RD 2 ⎞⎫ ⎜1 − + ⋅ ⎟⎬ V RD 2 ⎠⎭ ⎝ V+端子 電圧波形 GND ・・・・・・ <18> τ= V+ 1V RSADJ端子 電圧波形 GND RD1 ⋅ RD 2 ⋅ CS RD1 + RD 2 TPR0(CSなし) CR端子 電圧波形 GND ・・・・・・ <19> となります。 したがって、コンデンサ CS がない場合の出力遅延ホールド時 間を TPR0 とすると、 TPR = TDPR + TPR 0 RESET 出力波形 CSによる遅延 TDPR GND TPR(CSあり) 図 8. コンデンサ Cs 挿入時の各電圧波形 ・・・・・・ <20> 式<1>より、TPR 0 = CR ⋅ VTCRD ICRD で計算できます。 リセット電圧設定用外付け抵抗 R1, R2 を用いた場合は、抵抗 RD1 と RD2 を次のように置き換えて計算します。 RD1 ⇒ RD1 ⋅ R1 RD 2 ⋅ R 2 , RD2 ⇒ RD1 + R1 RD 2 + R 2 <注意事項> このデータブックの掲載内容の正確さには 万全を期しておりますが、掲載内容について 何らかの法的な保証を行うものではありませ ん。とくに応用回路については、製品の代表 的な応用例を説明するためのものです。また、 工業所有権その他の権利の実施権の許諾を伴 うものではなく、第三者の権利を侵害しない ことを保証するものでもありません。 - 10 - Ver.2013-08-28