参考回路:日本語版

回路ノート
CN-0179
接続又は参考にしたデバイス
テスト済み回路設計集“Circuits from the Lab™ ”は共
通の設計課題を対象とし、迅速で容易なシステム
統合のために製作されました。さらに詳しい情報
又は支援は www.analog.com/jp/CN0179 をご覧くだ
さい
AD8657
18V、 高精度、マイクロパワー、
CMOS、レール to レール I/O、デュア
ル・オペアンプ
ADR125
TSOT パッケージ収納、高精度、マイク
ロパワー、LDO、電圧リファレンス
AD5621
2.7~5.5 V、<100 µA、12 ビット
nanoDAC、 SPI インターフェース
200uA 以下、低電力、4 mA-20 mA、プロセス・コントロール電流ループ
回路の出力電流は 0 mA - 20 mA です。 一般的に出力電流 4
mA -20 mA の範囲は DAC 又はマイクロコントローラの入力コ
ントロールの入力範囲に対応しており、0 mA -4 mA の出力電
流範囲は時折故障状態を診断するために使用されます。
回路の機能とその利点
図 1.の回路はプロセスコントロール・システムとそのアクチ
ュエータ間の通信を行う 4 mA-20 mA 電流ループ・トランス
ミッタです。この回路はコスト・パーフォーマンスが優れて
いるとともに、産業界で最も低電力のソルーションです。4
mA-20 mA 電流ループはデジタル又はアナログ入力、出力の
プログラマブル・ロジック・コントローラー(PLCs)や分散制
御システム(DCS’s)に広範囲に使用されてきました。電流
ループ・インターフェースが一般的に利用される理由は長距
離強ノイズ耐性データ伝送としてもっともコスト・パーフォ
ーマンスの良い方法だからです。低電力デュアル・オペアン
プ AD8657、DAC の AD5621 とリファレンス ADR125 の組み
合わせを使用する事によりマイクロコントローラやデジタ
ル・アイソレータのようなより高電力のデバイスにより多く
の電力を振り分ける事ができます。
12 ビット、5V 駆動の AD5621 の標準的な電源電流は 75 µA で
す。AD8657 は入力/出力がレール to レールのデュアル・オペ
アンプで、18 V までの高電圧動作が可能なオペアンプとして
は現在産業界で供給可能な最も低電力のオペアンプの1つで
す(フルの電源電圧と入力同相範囲に渡り 22 µA)。高精度、
マイクロパワー、5 V バンドギャップ・リファレンスの
ADR125 は消費電流が 95 µA のみです。これら 3 つのデバイ
スの消費電流の合計は 192 µAtype です。
VSY
18V
ADR125
10µF
0.1µF
VOUT
VREF
5V
0.1µF
GND
R2
100Ω
0.1%
10ppm/°C
10µF
1/2
18V ZENER
BZX84C18
AD8657
A2
SCLK
SDIN
BAS21LT1
VDD
SYNC
IRFU9014
100Ω
VDAC
AD5621
VOUT
1/2
AD8657
GND
IRFU024N
A1
RLOAD
250Ω
RSENSE
2.49kΩ
0.1%
10ppm/°C
IOUT
09371-001
VIN
R1
1kΩ
0.1%
10ppm/°C
図 1.低電力 4mA-20mA プロセス・コントロール電流ループ(簡略化した回路:全部の接続やデカプリングは示されていません。)
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CN-0179
この回路ソルーションにはレール to レール入力のアンプを必
要とします。デュアル・オペアンプ AD8657 は低電力、レー
ル to レールなので最適な選択です。このオペアンプは規定の
電源電圧、入力同相電圧範囲で動作する時、 電源電流は 22
µAtyp です。このオペアンプは又単位電流当たりの優れたノ
イズと帯域幅を提供します。AD8657 は 18 V までの電源電圧
で動作するオペアンプとしては電力が最も小さなオペアンプ
の1つです。
14
12
10
8
6
4
2
3328
3584
3840
4096
3584
3840
4096
DAC INPUT CODE
09371-002
3072
3328
0
0
2816
AD5621 は nanoDAC ファミリーの 12 ビット DAC でリファレ
ンス ADR125 の 5 V 出力電圧で駆動します。この DAC は出力
バッファを内蔵しているので出力はレール to レールに振れ、
高ダイナミック出力範囲になっております。AD5621 の標準
的な電源電流は 5V の電源電圧で 75 µA です。
16
3072
VDAC の 0 V ~ 5 V の範囲で、回路は 0 mA ~20 mA の電流出
力を発生します。
18
2560
(3)
20
2304
IOUT = IR2 = (VDAC/RSENSE ) × ( R1/R2)
この回路は 0 mA - 20 mA の電流を出力します。図 2.は この回
路から 250 Ω 負荷抵抗に流れる出力電流の測定値を示します。
図 3.は出力電流の誤差曲線です。
2048
RSENSE を流れる電流は VDAC の関数として 0 mA から 2 mA ま
で変化します。この電流は R1 を流れて電圧を発生し、 アン
プ AD8657(A2)の非反転入力の電圧を決定します。A2 の
AD8657 は閉ループなので反転入力電圧は非反転入力と同じ
電圧になります。従って、R1 を流れる電流は R2 を流れる電
流に対してファクタ 10 でミラーの関係になっています。この
関係を式 3 に示します。
1792
(2)
1536
ISENSE = VDAC/RSENSE
1280
DAC 出力電圧は検出抵抗 RSENSE を流れる電流を設定します。
(図 1.には示されていませんが)バイパス用コンデンサが必
要です。この場合、0.1 µF セラミック・コンデンサと並列の
10 µF タンタルコンデンサは各デュアル・オペアンプの各電源
ピンに接続する必要があります。適切なデカップリング技術
の詳細は Tutorial MT-101 に記述されています。
768
ここで:
VREF は ADR125 の出力で AD5621 の電源になります。
D は、AD5621 にロードされるバイナリ・コードの 10 進数相
当値です。
1024
(1)
512
VDAC = VREF × (D/212)
256
工業用プロセス・コントロールのモジュールでは、 4 mA-20
mA 電流ループ・トランスミッタがコントロール・ユニット
とアクチュエータ間の通信手段として使用されます。12 ビッ
ト DAC の AD5621 はコントロール・ユニットに配置され、入
力コードの関数として 0 V~5 V の出力電圧(VDAC)を発生し
ます。コードは SPI インターフェースを介して設定されます。
入力コードと出力電圧の理想的な関係は次式で与えられます。
ADR125 は高精度、マイクロパワー、低ドロップアウト
(LDO)の電源リファレンスです。18 V の入力電圧で、静止電
流は 95 µAtyp のみです。LDO 電圧リファレンスを選択した理
由はコントロール・ユニットからアクチュエータへのループ
線全体の電圧ドロップをより大きくとれるからです。
ADR125 は安定化のために出力に小さな 0.1 µF コンデンサを
必要とします。さらに 0.1 µF~10 µF のコンデンサを並列に追
加する事により、負荷の過度応答特性を向上する事ができま
す。(要求はされませんが)入力コンデンサの接続をお勧め
します。入力に 1 µF ~10 µF のコンデンサを接続すると、突
然の電源電圧変化があった場合の過度応答を改善します。さ
らにコンデンサ 0.1 µF を並列に追加すると電源ノイズの低減
に役立ちます。
OUTPUT CURRENT IOUT (mA)
回路説明
図 2.0 mA -20 mA 出力電流
1.0
READING ERROR (%)
0.8
0.6
0.4
0.2
DAC INPUT CODE
図 3.出力電流誤差曲線
Rev. 0 | Page 2 of 3
09371-003
2816
2560
2304
2048
1792
1536
1280
1024
768
512
0
256
0
CN-0179
バリエーション回路
14 ビット又は 16 ビット分解能ソルーションには、それぞれ
AD5641 又は AD5662 をご検討ください。AD8657 の代わりに 6
V CMOS オペアンプの ADA4665-2 を使用する事もできます。
ASA4665-2 はコスト・パーフォーマンスがより優れており、電
圧ノイズもさらに低くなりますが、電源電流は高くなります。
このアプリケーションのためにオペアンプを選択する時、入力
同相電圧範囲や電源電圧が常にオペアンプの仕様を超えない事
を確認してください。
● Kester, Walt.2005The Data Conversion Handbook.Chapters 3 and
7.Analog Devices.
● MT-015 Tutorial, Basic DAC Architectures II:Binary
DACs.Analog Devices.
● MT-031 Tutorial, Grounding Data Converters and Solving the
Mystery of “AGND” and “DGND.”Analog Devices.
● MT-101 Tutorial, Decoupling Techniques.Analog Devices.
● Voltage Reference Wizard Design Tool.
より高い電源電圧に対しては、36V までの電源電圧で動作可能
な電圧リファレンス ADR02 をご検討ください。
さらに詳しくは
データシート
AD8657 Data Sheet
●
AN-202:デカップリング、グラウンディング、変更をうま
く行うためのIC アンプ・ユーザズ・ガイド.
●
AN-345:低周波回路と高周波回路のグラウンド設計.
ADR125 Data Sheet
AD5621 Data Sheet
AD5641 Data Sheet
● AN-347:シールディングとガーディング.
AD5662 Data Sheet
● Colm Slattery, Derrick Hartmann, and Li Ke, “PLC Evaluation
Board Simplifies Design of Industrial Process Control Systems,”
Analog Dialogue (April 2009).
● Jung, Walt.Op Amp Applications, Analog Devices.Also available
as Op Amp Applications Handbook, Elsevier.
ADA4665-2 Data Sheet
ADR02 Data Sheet
改訂履歴
11/10—Revision 0:初版
「Circuits from the Lab/実用回路集」はアナログ・デバイセズ社製品専用に作られており、アナログ・デバイセズ社またはそのライセンスの供与者の知的所有物です。お客さ
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2010
商標および登録商標は各社の所有に属します。
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