製品解説記事

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ポータブル機器用電源IC
1チャネル DC/DCコンバータ+1チャネル ローノイズLDO
MB39C022G / MB39C022J / MB39C022L / MB39C022N
デジタル回路用の降圧 DC/DCコンバータを1チャネル,アナログ回路用のローノイズ LDOを1チャネル搭載し,
ポータブル機器向け電源システムに最適な電源 ICです。
リチウムイオン電池1セル製品にも対応します。
2系統の電源を3 .0 mm×3 .0 mmの10ピンパッケージに搭載し,
スイッチング FET内蔵により低 BOMコストで電源システムを構成できます。
LDO部の固定出力電圧は4バージョンを用意しています。
はじめに
MB39C022シリーズは,ARMアーキテク
チャをベースにしたシステムIC,GPS,携
帯TVなどのシステム構成向けに最適な電源
ンスを構成可能。
・豊富な保護機能
短絡保護(SCP),過電流保護(OCP)
,
過熱保護(OTP)
,
低電圧時誤動作防止(UVLO)
・パッケージ:SON-10(写真1)
ICです。
SONパッケージを採用し,実装面積の削
RF,PLL,アナログ機能向けの電源には
減に貢献。
ローノイズのLDOが要求されています。本製
3.0mm×3.0mm×0.75mm
品は,DC/DCコンバータとローノイズLDOを
写真1 外観
(リードピッチ0.5mm)
組み合わせた2チャネルの電源ICで,アナロ
グとデジタルが混在する電子機器において,
本製品の DC/DC部の変換効率を図1に,
とても使いやすい製品となっています。
負 荷安定度を図2に,入 力 安 定 度を 図3に,
ス イッチング波形を図4に,負荷過渡応答
ILXの ピ ー ク 電 流IPKをI-V変 換 し たVIDET
特性を図5に示します。また,
MB39 C022 G
と,Error Amp.の 出 力 を 比 較 し て,PFM/
の LDO部の負荷安定度を図6に,入力安定
PWM logic Control回 路 を 通 じ て 内 蔵P
・入力電圧範囲:2.5V∼5.5V
度を図7に,
電源電圧変動除去比(PSRR )
を
チャネルMOS FETをOFFさせます。
・出力電圧/電流
図8に示します。
特 長
・DC/DC部(CH1)
:
設定可能電圧:0.8V∼4.5V
電流:600mA(最大)
機 能
誤差増幅器(Error Amp.)
(CH1)
位相補償回路
VREF基準電圧と出力電圧を比較します。
PFM/PWM制御回路(CH1)
本製品の位相補償回路は,FB端子に帰還抵
出力電圧(固定)
:3.3V,2.85V,1.8V,1.2V
内蔵の発振器(方形波発振回路)により設
抗と位相補償用の容量を外付けすることに
電流:300mA(最大)
定された周波数(2.0MHz)で,内蔵のPチャ
より構成します。
・LDO部(CH2)
:
・DC/DC回路は軽負荷時の効率UPのため
ネ ルMOS FET,Nチ ャ ネ ルMOS FETを 同
PFM/PWMモードを採用。また,高速負荷
期整流動作させるための制御を行います。
LDO回路(CH2)
応答に対応するためカレントモードを採用。
軽負荷時にはPFM動作を行います。
内蔵のローノイズLDOは最大300mAま
・LDO回路はローノイズ要求に対応し,RF
などアナログ回路の電源に最適。
・Power on Reset(POR)機能を搭載。MCU
からの信号なしに電源立上がりのシーケ
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Vol.27 No.2
で対応できます。VOUT2の端子に容量を付
Iout comparator回路(CH1)
けます。
内蔵のPチャネルMOS FETから外部イン
表1に,本製品のLDO部の出力設定と電
ダクタへ流れる電流(ILX)を検出します。
源電圧変動除去比(PSRR)を示します。
MB39 C022 G/MB39 C022 J/MB39 C022 L/MB39 C022 N
図1 MB39C022 DC/DC部の変換効率
100
図2 MB39C022 DC/DC部の負荷安定度
EN1=VIN;EN2=0V
VO1=1.2V;C1=10μF;C2=4.7μF
VO1 Output Voltage (V)
90
Efficiency (%)
80
70
60
50
40
VIN = 3.7 V
30
VIN = 4.3 V
20
VIN = 5.5 V
10
0
0.001
0.01
0.1
IO1 Load Current (A)
1.30
1.28
1.26
1.24
1.22
1.20
1.18
1.16
1.14
1.12
1.10
EN1=VIN;EN2=0V
VO1=1.2V;C1=10μF;C2=4.7μF
VIN = 3.7 V
VIN = 4.3 V
VIN = 5.5 V
0
0.2
1
0.4
0.6
IO1 Load Current (A)
図4 MB39C022 DC/DC部のスイッチング波形
EN1=EN2=VIN=3.7V;
VO1=1.8V;IO1=250mA;C1=10μF;C2=4.7μF
VO2=3.3V;IO2=150mA;C4=C5=4.7μF
VO1 Output Voltage (V)
図3 MB39C022 DC/DC部の入力安定度
1.30
1.28
1.26
1.24
1.22
1.20
1.18
1.16
1.14
1.12
1.10
EN1=VIN;EN2=0V
VO1=1.2V;C1=10μF;C2=4.7μF
VLx
IO1 = 0 mA
IO1 = 300 mA
IO1 = 600 mA
5 V/div
ILx
100mA/div
VO1
20mV/div
3.2
3.7
4.2
4.7
VO2
5.2
VIN Input Voltage (V)
20mV/div
500 ns/div
図 5 MB39C022 DC/DC部の負荷過渡応答
図 6 MB39C022G LDO部の負荷安定度
VIN=EN1=EN2=3.7V;
VO1=1.2V;C1=10μF;C2=4.7μF
VO2=3.3V;C4=C5=4.7μF
3.40
EN2=VIN;EN1=0V
VO2=3.3V;C4=C5=4.7μF
3.38
VO2 Output Voltage (V)
T
IO1 = 10mA to 400mA
IO1
500mA/div
VO1
100mV/div
VO2
3.34
3.32
3.30
3.28
3.26
3.24
3.22
3.20
IO2 = 150mA
VIN = 3.7V
VIN = 4.3V
VIN = 5.5V
3.36
0
0.05
20mV/div
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
IO2 Load Regulation (A)
100μs/div
図7 MB39C022G LDO部の入力安定度
3.40
3.38
0
IO2 = 0 mA
IO2 = 120 mA
IO2 = 300 mA
3.36
3.34
3.32
3.30
3.28
3.26
EN2=VIN=3.7V;EN1=0V
VO2=3.3V;IO2=100mA;C1=C4=0μF
-10
-20
PSRR (dB)
VO2 Output Voltage (V)
図 8 MB39C022G LDO部の電源電圧変動除去比(PSRR)
EN2=VIN;EN1=0V
VO2=3.3V;C4=C5=4.7μF
-30
VIN = 3.7 V
VIN = 4.3 V
-40
-50
VIN = 4.3 V
-60
3.24
-70
3.22
VIN = 3.7 V
-80
3.20
3.6
4.1
4.6
VIN Input Voltage (V)
5.1
-90
0.01
0.1
1
10
Freq (kHz)
100
1000
Vol.27 No.2
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Power on Reset(POR)回路
VREF回路
に復帰させます。
FB端子を介してVO1端子電圧(CH1出力
高精度な基準電圧をBGR(バンドギャッ
PFM/PWM 制御回路は,その制御方式に
電圧)を監視しています。POR端子はオー
プリファレンス)回路により生成します。
カレントモードを採用しているため,電流の
ピーク値も随時,監視・制御しています。
プンドレイン出力です。通常,外部抵抗でプ
ルアップして使用します。VO1が出力設定
保護回路
電圧に達した時,POR端子はHレベルにな
過熱保護回路(OTP)は,接合部温度が+
制御回路
りますが,過電流などで出力電圧が低下す
135 ℃ に 達 すると,CH1,CH2の出力動作
表2に,EN1端子,EN2端子による機能制
ると,POR端子はLレベルになります。
全体を停止させます。また,接合部温度が+
御を示します。
110 ℃まで下がるとCH1,CH2を通常動作
図9にブロック図を示します。
表1 LDO部の出力設定と電源電圧変動除去比
製品名
表 2 EN1端子,EN2端子による機能制御
LDO部の出力設定電圧
PSRR(標準)
EN1
EN2
CH1とPOR
CH2
VREF,UVLO,OTP
MB39C022G
3.3V
−70dB
L
L
OFF
OFF
OFF
MB39C022J
2.85V
−65dB
H
L
ON
OFF
ON
MB39C022L
1.8V
−60dB
L
H
OFF
ON
ON
MB39C022N
1.2V
−55dB
H
H
ON
ON
ON
図 9 ブロック図
<<CH1 Buck DC/DC>>
FB
Error
Amplifier
6
ICOMP
8
PFM
PWM
Logic
Control
9
DRV
Current
Limit
10
<<CH2: LDO>>
Error
Amplifier
POR
POR
4
2
3
POR
OCP
VIN
(2.5 V to 5.5 V)
5
VREF
LX
IO1 (600 mA Max)
VO1 (0.8 V to 4.5 V)
LEVEL
CONV.
OSC
VIN or VO1
VIN1
GND1
VIN2
VOUT2
GND2
IO2 (300 mA Max)
VO2 3.3 V: MB39C022G
2.85 V: MB39C022J
1.8 V: MB39C022L
1.2 V: MB39C022N
OTP
UVLO
EN1 7
enb1 (H: CH1 ON)
EN2 1
enb2 (H: CH2 ON)
<<10 PIN>>
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Vol.27 No.2
MB39 C022 G/MB39 C022 J/MB39 C022 L/MB39 C022 N
図10 アプリケーション例(携帯TVシステム)
アプリケーション
図10・図11にアプリケーション例を示し
Liイオン電池
またはAC/DC 5V
MB39C022G
ます。本製品は,次のアプリケーションなど
3.3V
1.2V
1.2V
に最適です。
・ポータブルアプリケーション
TS
チューナ
・GPS,PND
De-modulator
・MP3,PMP
・携帯TV,USBドングル(CMMB,DVB-T,
DMB-T)
MPEGデコーダ
1.8V
Liイオン電池
またはAC/DC 5V
MB39C022L
・SMART-PHONE など
1.8V
DDR
メモリ
フラッシュ
メモリ
評価ボード
本製品の単体評価を容易にする評価ボー
図11 アプリケーション例(USB-SATAブリッジ)
ド(写真2)を用意しています。
機能
ボタン
今後の展開
水晶
発振器
フラッシュ
ROM
TR
LDO部の固定出力電圧バージョンは,順
GPIO
次,製品展開する予定です。今後はさらに小
I2C
I/O
ポート
型化・低コスト化を目指して,お客様のニー
ズに応えた開発を進めていきます。
LED
USB2.0
■
USB3.0
USBコネクタ
USB2.0
(3.0)
ブリッジIC
アナログ
VDD
3.3V
デジタル
VDD
1.8V
MB39C022G
写真 2 評価ボード
2.5インチSATA
HDD
I/O
ポート
5V
お問い合わせ先
技術:アナログ商品事業部 マーケティング部
TEL(03)
5322 -3390 FAX(03)
5322 -3391
営業:最寄りの富士通エレクトロニクス㈱ (裏表紙をご参照ください)
Vol.27 No.2
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