si-7321m ds jp

2 相 SPM モータードライバ IC
SI-7321M
データシート
2016 年 6 月 Ver.4.23
本資料は、2 相ステッピングモーター・ユニポーラ駆動用ドライバ IC である
SI-7321M についてまとめたものです。
最新情報に関しては、弊社担当部門までお問合せ願います。
1.
はじめに ........................................................................................... 2
2.
特徴 .................................................................................................. 2
3.
製品仕様 ........................................................................................... 3
4.
基準電圧 VREF の設定可能範囲 ........................................................ 6
5.
減定格図(サンケン評価基板使用時) ........................................... 6
6.
半田付け条件.................................................................................... 7
7.
外形図&捺印形状 ............................................................................ 8
8.
梱包仕様 ........................................................................................... 9
9.
内部ブロック図&ピンアサイン .................................................... 10
10. 応用回路例 ..................................................................................... 11
11. 真理値表 ......................................................................................... 12
12. ロジック入力端子に関して............................................................ 13
13. ロジック入力タイミングについて................................................. 14
14. 励磁シーケンス .............................................................................. 16
15. 回路構成 ......................................................................................... 22
16. 機能説明 ......................................................................................... 23
17. ご使用に際して .............................................................................. 29
18. 熱設計資料 ..................................................................................... 34
19. 代表特性例 ..................................................................................... 35
サンケン電気株式会社
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SI-7321M データシート Ver.4.23
1. はじめに
長年ご愛顧頂いております、弊社 2 相ステッピングモーター・ユニポーラ駆動ドライバの各
シリーズですが、新たに「SI-7321M」をリリースすることになりました。
本資料は、
「SI-7321M」に関する情報をまとめたものです。
2. 特徴
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
主電源電圧 VBB=46V max(使用範囲 10V∼44V)
Logic 電源電圧 VDD=3V∼5.5V 対応
出力電流 IO(max):1.5A
Clock 入力駆動に対応(シーケンサーを内蔵)
μステップ対応(2 相励磁∼4W1-2 相励磁)
パッケージに「HSOP40」を採用
OFF 時間固定の自励式 PWM 電流制御を採用
→電流の設定比率により OFF 時間を 3 段階に自動切換え
(8) PWM OFF 時の損失を低減する回路(同期整流回路)を搭載
(9) モーターホールド時に発生する異音を防止する同期 PWM 機能を搭載
(10) 待機時のドライバ消費電流を低減する Sleep 機能を搭載
(11) モーターコイルオープン/ショート保護を内蔵(特許取得済)
→ 外部ロジック設定により保護回路の使用可否を選択可能
(12) ブランキング時間は外部設定にて選択が可能
(13) シーケンサー動作のクロックエッジを「POS」と「POS/NEG」の選択が可能
サンケン電気株式会社
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3. 製品仕様
表 3-1 絶対最大定格
項
目
モーター電源電圧
主電源電圧
Logic 電源電圧
記 号
VM
VBB
VDD
出力電流(※1)
IO
規
格 値
46
46
6
単位
V
V
V
1.5
A
特記なき場合、TA=+25℃
備 考
制御電流値
tw<1µs は含まず
Logic 入力電圧
-0.3 ∼ VDD+0.3
VIN
V
REF 入力電圧
-0.3 ∼ VDD+0.3
VREF
V
検出電圧
±2
tw<1µs は含まず
VRS
V
許容損失(※2)
サンケン評価基板使用
PD
3.5
W
ジャンクション温度
TJ
150
°C
動作周囲温度
-20 ∼ 80
TA
°C
保存温度
-30 ∼ 150
Tstg
°C
(※1)出力電流値は、Duty 比、周囲温度、放熱条件によって制限される可能性があります。
いかなる使用条件下においても、決して指定された最大出力電流および最大接合部温
度(TJ)を超えないようにしてください。
(※2)許容損失 PD は、ご使用になる基板のパターンレイアウトにより変わります。
表 3-2 推奨動作範囲
特記なき場合、TA=+25℃
項
目
モーター電源電圧
主電源電圧
記 号
VM
VBB
規
Min
10
格 値
Max
44
44
単位
備
考
V
V
VDD サージ電圧は±0.5V
以下にして下さい。
保護機能未使用時
0.04
1.0
V
REF 入力電圧
VREF
保護機能使用時
0.04
0.5
V
ケース温度
捺印面パッケージ中央
TC
85
°C
注:VM が高いほど、OUT 端子の耐圧(100V min)に近づくためブレイクダウンを起こしや
すい状態に近づきます。
OUT 端子がブレイクダウン(サージノイズ含)すると、異常(コイルオープン)と認識
し、保護が働く可能性が高くなるので十分な評価をお勧めします。
Logic 電源電圧
VDD
3.0
5.5
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V
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表 3-3 電気的特性
項
目
記 号
Logic 電源電流
出力MOSFET 耐圧
出力MOS FET ON抵抗
出力MOS FET Di順電圧
IBB
IBBS
IDD
VDSS
RDS(on)
VF
最大応答周波数
fclk
主電源電流
Logic 入力電圧
Logic 入力電流
REF入力電圧
VIL
VIH
IIL
IIH
VREF
REF入力電流
VREFS
IREF
SENSE検出電圧
VSENSE
SENSE電流
ISENSE
過電流検知電圧
VOCP
負荷断線未検知時間
topp
VFlagL
VFlagH
IFlagL
IFlagH
tSE
tcon
tcoff
Flag出力電圧
Flag出力電流
Sleep‐Enable 復帰時間
スイッチング時間
※1
※2
特記なき場合、TA=+25℃、VBB=24V 、VDD=5V
定 格
単位
条 件
Min.
Typ.
Max.
動作時
15
mA
Sleep1&Sleep2 時
100
µA
5
mA
VBB=44V,ID=1mA
100
V
0.25
0.4
Ω
ID=1.5A
0.95
1.2
V
IF=1.5A
Clock Duty=50%時
250
KHz
POS エッジ時
0.25VDD
V
0.75VDD
V
±1
µA
±1
µA
保護機能未使用時
※1
0.04
1.5
V
P_SEL=H
保護機能使用時
※1
0.04
0.6
V
P_SEL=L
※2
2.0
VDD
V
Sleep1
±10
µA
VREF=0.2V
0.2
V
基準電圧分割比:100%時
±10
µA
モーターコイルショート時
0.65
0.7
0.75
V
VSENSE≧VOCP
PWM
オフから開始
1.5
2
2.5
µs
1.25
V
IFlagL=1.25mA
VDD-1.25
V
IFlagH=-1.25mA
1.25
mA
-1.25
mA
Sleep1 & Sleep2
100
µs
Clock → Out ON
2.0
µs
Clock → Out OFF
1.5
µs
※特記なき場合、電流は製品から流れ出す方向を‘−’とします。
VREF 設定範囲は、保護機能使用可否により異なります。
詳細は、6 頁の「4.基準電圧 VREF の設定可能範囲」を参照願います。
Sleep1 の状態は、「IBBS」、「出力:OFF」、
「シーケンサー:Enable」となります。
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表 3-3 電気的特性(続き)
項
目
基準電圧分割比
MO出力電圧
MO出力電流
記 号
Mode F
Mode E
Mode D
Mode C
Mode B
ModeA
Mode 9
Mode 8
Mode 7
Mode 6
Mode 5
Mode 4
Mode 3
Mode 2
Mode 1
VMOL
VMOH
IMOL
IMOH
PWM 最小オン時間
ton(min)
PWM オフ時間
toff 1
toff 2
toff 3
Min.
VDD-1.25
‐1.25
特記なき場合、TA=+25℃、VBB=24V 、VDD=5V
定 格
単位
条 件
Typ.
Max.
100
%
98.1
%
95.7
%
92.4
%
88.2
%
83.1
%
77.3
%
VREF≒VSENSE=100%
70.7
%
VREF=0V∼1.0V
63.4
%
55.5
%
47.1
%
38.2
%
29
%
19.5
%
9.8
%
IMOL=1.25mA
1.25
V
IMOH=‐1.25mA
V
1.25
mA
mA
1.8
µs
B_SEL=L
3.6
µs
B_SEL=H
Mode 8 ∼ Mode F
13
µs
Mode 4 ∼ Mode 7
9.5
µs
Mode 1 ∼ Mode 3
7.5
µs
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4. 基準電圧 VREF の設定可能範囲
基準電圧 VREF は、保護機能の使用可否によって設定可能範囲が異なります。
これは、過電流保護機能(OCP)の検出しきい値を検出電圧 VSENSE の 0.7V に設定しているためです。
図 4-1 基準電圧 VREF の設定範囲
保護機能未使用時
保護機能使用時
VDD
VDD
Sleep1設定範囲
Vref
Sleep1設定範囲
Vref
2.0V
2.0V
禁止帯
1.5V
禁止帯
VOCP
モーター電流設定範囲
0.7V
0.5V
モーター電流設定範囲
0V
0V
※「モーター電流設定範囲」⇔「Sleep1 設定範囲」のしきい値は、約 1.75V に設定しており
ます。したがいまして VREF≦1.75V までは、ドライバが電流制御を行うように働きますの
で VREF の設定は十分注意してください。
5. 減定格図(サンケン評価基板使用時)
図 5-1 減定格図
4.0
パッケージ許容損失 PD [W]
Allowable Package Power
Dissipation Watts
3.5
θJ-A=35.7℃/W
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
上昇温度ΔT [℃]
Ambient Temperature
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6. 半田付け条件
6-1.推奨リフロー温度
図 6-1
本加熱
245℃
250℃
予備加熱
180±10℃
60∼120秒
10±1秒
6-2.半田コテ取り付け推奨温度
380±10℃
3.5 秒以下
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7. 外形図&捺印形状
*1.品名標示
Type number
単位:mm
・端子材質:Cu
・端子処理:Ni メッキ+半田メッキ(鉛フリー)
*2.ロット番号(3 桁)
Lot Number(three digit)
第 1 文字
西暦年号下一桁
1st letter
The last digit of year
第 2 文字
月
2nd letter
Month
アラビア数字
1∼9 月 :
Arabic Numerals
10 月 : O
11 月 : N
12 月 : D
第 3 文字
週コード
3rd letter
Week Code
アラビア数字
1∼3 :
Arabic Numerals
*3.管理番号(4 桁)
Control number(four digit)
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8. 梱包仕様
8-1.エンボステープ各部寸法
材質:A-PET
単位:mm
8-2. リール引き出し向き
8-3. リール各部寸法
単位:mm
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9. 内部ブロック図&ピンアサイン
図 9-1 内部ブロック図
Synchro
Control
PWM
Control
+
-
Comp
PWM
Control
OSC
機
Pin 番号
能
記
号
19
機
26
RsB
N.C.
N.C.
N.C.
N.C.
N.C.
N.C.
3 20 25 35 37 42
Gnd1
Gnd1
Gnd1
6 17 28 39
Gnd1
9
Sync
Gnd4
38
Gnd3
34
Gnd2
RsA
29
RsB
OSC
RsA
OutB
DAC
+Comp
-
号
OutB
Protect
DAC
記
OutB
PreDriver
Sequencer
&
Sleep Circuit
Protect
Pin 番号
27 18 21 22 23 24
Reg.
PreDriver
4
GB
MIC
41
GB
36
OutB
Reset
Clock
M1
VBB
CW/CCW
7 15 14 13 10 12 11
M2
8
M3
P_SEL
30 31 16
E_SEL
33
Mo
32
B_SEL
5
Flag
Ref/Sleep1
VDD
2 40
GA
OutA
1
GA
OutA
OutA
OutA
43 44
能
1
Out/A
/A 相出力
23
OutB
B 相出力
2
Out/A
/A 相出力
24
OutB
B 相出力
3
N.C.
未接続端子
25
N.C.
未接続端子
4
RsA
A 相検出抵抗接続端子
26
RsB
B 相検出抵抗接続端子
5
G/A
/A 相 MOS FET ゲート
27
GB
B 相 MOS FET ゲート
6
Gnd1
製品 Gnd1
28
Gnd1
製品 Gnd1
7
E_SEL
エッジ選択入力
29
Gnd2
製品 Gnd2
8
P_SEL
保護機能使用選択入力
30
Flag
保護回路モニター出力
9
Sync
PWM 制御切替入力
31
Mo
2 相励磁状態モニター出力
10
CW/CCW
シーケンス正転/逆転切替入力
32
VDD
Logic 電源
11
Reset
内部 Logic リセット入力
33
Ref/Sleep1
制御電流/Sleep1 設定入力
12
Clock
Step Clock 入力
34
Gnd3
製品 Gnd3
13
M1
35
N.C.
未接続端子
14
M2
36
VBB
主電源(モーター電源)
15
M3
16
17
励磁/Sleep2 設定入力
37
N.C.
未接続端子
B_SEL
ブランキング時間選択入力
38
Gnd4
製品 Gnd4
Gnd1
製品 Gnd1
39
Gnd1
製品 Gnd1
18
G/B
/B 相 MOS FET ゲート
40
GA
A 相 MOS FET ゲート
19
RsB
B 相検出抵抗接続端子
41
RsA
A 相検出抵抗接続端子
20
N.C.
未接続端子
42
N.C.
未接続端子
21
Out /B
/B 相出力
43
Out A
A 相出力
22
Out /B
/B 相出力
44
Out A
A 相出力
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10. 応用回路例
図 10-1
Vs=10V∼44V
+
R1
Q1
CB
C1
Reset
Clock
CW/CCW
M1
M2
M3
Sync
E_SEL
P_SEL
B_SEL
Mo
Flag
Ref/Sleep1
+
R2
R3
OutB
(23)
OutA(43)
OutA(2)
OutB(21)
OutB(24)
RsA
C2
CA
GA
G/A
G/B
GB
SI-7321M
N.C.
N.C.
N.C.
N.C.
N.C.
N.C.
RsB
1点Gnd
ロジックGnd
参考定数
R1=10KΩ
R2=1KΩ (VR)
R3=10KΩ
OutB
(22)
VBB
Gnd1
Gnd1
Gnd1
Gnd1
Gnd2
Gnd3
Gnd4
マイコン
等
OutA
(1)
RsB
RsB
Sleep
VDD OutA
(44)
RsA
RsA
VDD=3.0V∼5.5V
パワーGnd
CA=100µF/50V
CB=10µF/10V
C1=0.1µF
C2=0.1µF
検出抵抗定数(損失: P ≒ Io 2 Rs )
・保護回路未使用時 : Rs=0.1∼0.68Ω(3W)
・保護回路使用時
: Rs=0.1∼0.33Ω(2W)
※過電流保護(VOCP)を考慮して定数を選んで下さい。
☆特に VDD ラインのノイズに注意してください。
VDD ラインのノイズが 0.5V 以上になると製品が誤動作する場合がありますので、Gnd パタ
ーンの引き回しには十分に注意してください。
検出抵抗の Gnd 部から VDD 系 Gnd(S‐Gnd)と VBB 系 Gnd(P‐Gnd)を分けると、ノ
イズ低減の効果があります。
☆使用しない Logic 入力端子(CW/CCW、M1、M2、M3、Reset、Sync、 E_SEL、P_SEL、
B_SEL)は、必ず VDD 側又は Gnd 側にプルアップ/プルダウンをしてください。
オープンで使用した場合には、製品が誤動作します。
☆Logic 出力(Mo、Flag)端子を使用しない場合は、必ずオープンにして下さい。
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11. 真理値表
(1)入力端子
入力端子の論理は表 11-1 の様になります。
表 11-1 入力端子論理
端子名
Low Level
High Level
Reset
CW/CCW
M1
M2
M3
Ref/Sleep1
Sync
E_SEL
P_SEL
B_SEL
定常動作
正転(CW)
ロジックリセット
逆転(CCW)
Clock
POS Edge
W Edge
−
励磁切替え(Sleep2 動作は含まず)
※表 11-2 を参照
定常動作
スリープモード 1
非同期 PWM 制御
同期 PWM 制御
W エッジ
POS エッジ
プロテクト:ON
プロテクト:OFF
ブランキング時間:短 ブランキング時間:長
−
−
−
−
−
○本製品の Reset 機能は、非同期リセットとなっています。
Reset 端子を High レベルにすると内部 Logic 回路がリセットされます。
この時、Ref/Sleep1 端子が Enable 状態であれば、出力は励磁原点にて通電されます。
なお、Reset 信号では出力 Disable の制御は出来ませんのでご注意願います。
○Ref/Sleep1 端子は、PWM 電流制御用の基準電圧入力と Sleep1 モード制御の 2 つの機能を
兼ねています。
・VREF<1.5V(Low レベル)のときは、基準電圧入力端子として機能します。
・VREF>2.0V(High レベル)のときは、出力が全て OFF(Disable)となります。
この Sleep1 の状態では、内部リニア回路を停止させて主電源電流 IBB を低減します。ただ
し Logic 回路は動作状態のため、Clock 信号を入力すると内部シーケンサーは反応します
(ステップが進みます)
。
○Sync 機能は、2 相励磁のタイミングでの使用を想定しています。2 相励磁以外のタイミング
で使用すると A 相と B 相の制御において PWM オフ時間や設定電流が異なるためバランス
が崩れる恐れがあります(1 相励磁のポイントで使用した場合、Sync としての機能はしませ
んが問題ありません)
。
2 相励磁のタイミングとは、A 相と B 相の電流比率が共にモード 8 またはモード F のポイン
トを指します。
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(2)励磁切替え/Sleep2 端子
励磁モードを設定する端子の論理を表 11-2 に示します。
表 11-2 励磁モード設定端子論理
機能 (端子名)
励磁モード
M1
M2
M3
L
L
L
2 相励磁(Mode 8 固定)
H
L
L
2 相励磁(Mode F 固定)
L
H
L
1-2 相励磁(2 分割)
H
H
L
1-2 相励磁(Mode F 固定)
L
L
H
W1-2 相励磁(4 分割)
H
L
H
2W1-2 相励磁(8 分割)
L
H
H
4W1-2 相励磁(16 分割)
H
H
H
スリープモード 2
※スリープモード 2(Sleep2)は、スリープモード 1 と同様に出力 OFF(Disable)および主
電源電流低減となります。ただし Sleep2 に関しては、内部 Logic 回路が停止(Hold)状態
となります。つまり、Clock 信号を入力しても内部シーケンサーは進みません。
またスリープモード 2 からの復帰後に Clock を入力するまでに 100µs 以上あける必要があ
ります。
(3)モニター出力端子
SI-7321M には以下に示すモニター出力端子を設けています。
・Mo 出力
シーケンサーの位置を示すモニター端子を設けています。
2 相励磁のタイミング(A 相と B 相の電流比率が同じ)で High が出力されます。
・Flag 出力
保護機能の使用を選択した状態(P_SEL:Low)において、ドライバが異常を検知した際
に High を出力します。
表 11-3 にモニター出力端子の論理を示します。
表 11-3 モニター出力論理
端子名
Low Level
High Level
2 相励磁タイミング以外
2 相励磁タイミング
Mo
正常動作
保護回路動作
Flag
※保護回路が働いた時点で出力が OFF 状態となります。
保護機能を解除するためには、Logic 電源を再投入して下さい。
12. ロジック入力端子に関して
ロジック系入力端子(Clock、CW/CCW、M1、M2、M3、Reset、Sync、 E_SEL、P_SEL、
B_SEL 端子)には、ノイズ耐量向上のためにローパスフィルター(LPF)を設けています。
また各入力端子構成は、CMOS 入力となっているためハイインピーダンスの状態にあります。
ご使用の際は、必ず「Low レベル」&「High レベル」にてご使用願います。
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13. ロジック入力タイミングについて
(1)Clock 信号に関して
a.本製品のシーケンサーは、Clock 信号の立上りエッジまたは立上り/立下りエッジ(W エ
ッジ)にて動作します。
クロックパルスの幅は、ポジティブパルスおよびネガティブパルスそれぞれ 2µs 以上とし
て下さい。これにより Clock 応答周波数は、250kHz になります。
b.Clock エッジに対するタイミング
Sequencer Logic 回路は、Clock エッジ前後で論理を確定する必要があります。
Clock エッジとしては、POS エッジと W エッジの 2 種類が選択できます。
CW/CCW,M1,M2,M3、E_SEL 端子の入力論理は、それぞれのタイプに対して Clock
エッジの前後 1µs は論理を保持し、
論理を確定しておくようにして下さい
(図 13-1 参照)。
これは、セットアップおよびホールドタイムに相当します。
この期間内に論理を切り替えた場合、Sequencer Logic 回路が予期せぬ動作をする可能性
があります。
図 13-1 入力信号のタイミング
POS エッジ選択時(E_SEL=H)
Reset
2µs(min)
5µs(min)
4µs(min)
2µs(min)
Clock
2µs(min)
CW/CCW
M1
M2
M3
E_SEL
1µs(min)
1µs(min)
1µs(min)
1µs(min)
W エッジ選択時(E_SEL=L)
Reset
2µs(min)
5µs(min)
4µs(min)
2µs(min)
Clock
2µs(min)
CW/CCW
M1
M2
M3
E_SEL
1µs(min)
1µs(min)
1µs(min)
1µs(min)
1µs(min)
1µs(min)
※Sleep1&2 からの復帰後に Clock を入力するまでの時間として、100µs 以上の時間を設け
る必要があります。
(2)Reset 信号に関して
a.Reset 信号のパルス幅について
Reset パルス幅(ハイレベル保持時間)は、Clock 信号のパルス幅の規定と同じく 2µs 以
上として下さい。
b.Reset 解除と Clock 信号のタイミング
Reset 解除(立下りエッジ)と Clock エッジの変化のタイミングが同時となった場合、内部
ロジックが予期せぬ動作をする可能性があります。このため Reset 解除後、図 13-1 に示
すように 5µs 以上の時間を設けて Clock 信号を入力するようにして下さい。
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SI-7321M データシート Ver.4.23
(3) 回転方向、励磁モード切替えに関して
本製品では、CW/CCW,M1,M2,M3 による回転方向や励磁モードの設定は、いずれの Mode
状態で切り替えても次の Clock エッジから対応します。ただし、切替え時のモーターの状態に
よっては、モーター側の動作が追従できず、脱調などの異常動作を起こす可能性があります。
このため、切替えのシーケンスに関しては十分な評価を行なってください。
(4)ブランキング時間選択、保護機能使用選択に関して
ブランキング時間の選択と保護機能の使用選択については、駆動中の切替えは控え、電源投入
時に設定することをお薦めします。
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14. 励磁シーケンス
図 14-1 2 相励磁
M1:L,M2:L,M3:L(電流 Mode:8)
RESET
…
CLOCK
0
2
1
B
CW
A
A
0
70.7
0
70.7
CCW
B
M1:H,M2:L,M3:L(電流 Mode:F)
RESET
…
CLOCK
0
1
2
B
CW
A
A
0
0
10
0
CCW
B
※記載している内容は、基本となる Clock 入力の POS エッジに対してシーケンスが進む状態を
示しております。
W_Egde 品の場合、POS エッジと NEG エッジの両エッジでシーケンスが進みます。
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SI-7321M データシート Ver.4.23
図 14-2 1-2 相励磁
M1:L,M2:H,M3:L(電流 Mode:8,F)
RESET
…
CLOCK
0
1
2
3
4
3
4
B
CW
A
A
0
70.7
0
10
0
70.7
CCW
B
M1:H,M2:H,M3:L(電流 Mode:F)
RESET
…
CLOCK
0
1
2
B
CW
A
A
0
0
10
0
CCW
B
※記載している内容は、基本となる Clock 入力の POS エッジに対してシーケンスが進む状態を
示しております。
W_Egde 品の場合、POS エッジと NEG エッジの両エッジでシーケンスが進みます。
サンケン電気株式会社
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図 14-3 W1-2 相励磁 (μステップ対応品のみ)
M1:L,M2:L,M3:H
RESET
…
CLOCK
0
1
2
3
4
5
6
7
8
B
CW
A
A
0
38.2
70.7
CCW
0
38.2
70.7
92.4
10
0
92.4
B
※記載している内容は、基本となる Clock 入力の POS エッジに対してシーケンスが進む状態を示しております。
W_Egde 品の場合、POS エッジと NEG エッジの両エッジでシーケンスが進みます。
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図 14-4 2W1-2 相励磁 (μステップ対応品のみ)
M1:H,M2:L,M3:H
RESET
…
CLOCK
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
B
CW
A
A
0
19.5
38.2
55.5
70.7
83.1
CCW
0
19.5
38.2
55.5
70.7
83.1
92.4
10
0
98.1
92.4
98.1
B
※記載している内容は、基本となる Clock 入力の POS エッジに対してシーケンスが進む状態を示しております。
W_Egde 品の場合、POS エッジと NEG エッジの両エッジでシーケンスが進みます。
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図 14-5 4W1-2 相励磁 (μステップ対応品のみ)
M1:L,M2:H,M3:H
RESET
…
CLOCK
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
B
CW
A
A
0
9.8
19.5
29.0
38.2
47.1
55.5
63.4
70.7
77.3
83.1
88.2
CCW
98.1
0
9.8
19.5
29.0
38.2
47.1
55.5
63.4
70.7
77.3
88.2
83.1
95.7
95.7
10
0
98.1
92.4
92.4
B
※記載している内容は、基本となる Clock 入力の POS エッジに対してシーケンスが進む状態を示しております。
W_Egde 品の場合、POS エッジと NEG エッジの両エッジでシーケンスが進みます。
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励磁切替えについて
励磁の切替え位置は、励磁切替え前の位置から励磁切替え後の一番近い位置へ移行します。
表 14-1 励磁モード状態に各励磁駆動方式の位置を示しています。
表 14-1 励磁モード状態
回転
方向
CCW
CW
内部シーケンス状態※1
A 相側
B 相側
PWM Mode PWM Mode
A
A
A
A
A
A
A
A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
/A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
8
7
6
5
4
3
2
1
1
2
3
4
5
6
7
8
9
A
B
C
D
E
F
F
F
E
D
C
B
A
9
8
7
6
5
4
3
2
1
1
2
3
4
5
6
7
8
9
A
B
C
D
E
F
F
F
E
D
C
B
A
9
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
/B
B
B
B
B
B
B
B
8
9
A
B
C
D
E
F
F
F
E
D
C
B
A
9
8
7
6
5
4
3
2
1
1
2
3
4
5
6
7
8
9
A
B
C
D
E
F
F
F
E
D
C
B
A
9
8
7
6
5
4
3
2
1
1
2
3
4
5
6
7
2相
Mode 8
Mode F
○
●
励磁駆動方式※2
1-2 相
W1-2 相
Mode 8/F
Mode F
○
●
○
2W1-2 相
4W1-2 相
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
●
○
●
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
●
○
●
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
●
○
●
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
※1 Mode の表現は、SLA7070M シリーズに準じています。
※2 「●」のポイントについては、実際の電流制御は Mode F の条件となります。
Mode F:電流制御比率 100%,PWM オフ時間 13µs
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15. 回路構成
(1)制御用モノリシック IC(MIC)
・Sequencer Logic
1Clock 入力方式を採用し、正逆転制御は CW/CCW 入力にてコントロールします。
励磁モードは M1、M2、M3 の論理状態によりコントロールします。
各端子の論理やタイミング規定は別項の真理値表やロジック入力タイミングを参照願います。
・PWM Control
OFF 時間固定の自励 PWM 電流制御を行ないます。
内蔵発振器(OSC)にて PWM オフ時間とブランキング時間を決定しています。
なお動作メカニズムは、現行の SLA7070M シリーズと同一になります。
(詳細な動作は、次節を参照して下さい)
・Synchro Control
モーターホールド時に発生することがある異音を防止する、チョッピング同期回路になります。
Sync 端子を High レベルにすると、A 相と B 相のチョッピング OFF を同期させる信号を発
生させます。
なお動作メカニズムは SLA7070M シリーズと同一になりますので、チョッピング同期機能を
モーター回転時に動作させた場合、モーター電流が正常に制御されずトルクの低下や振動の
増加を招く場合があります。このため、回転時に本機能を使用することは推奨していません。
また停止時においても、本機能は 2 相励磁のタイミングのみのご使用を推奨しております。
これは、2 相励磁以外のタイミングでは A 相と B 相の電流制御値や PWM オフ時間が異なっ
ているため、同期しない場合や制御電流値が大きく崩れる可能性があるためです。
・DAC
制御電流の基準電圧を生成する D/A コンバータ回路になります。
マイクロステップ駆動を行なう場合、Sequencer Logic 回路からの信号を受けて、REF 電圧
を所定の比率で変換します。
変換される比率に関しては電気的特性の基準電圧分割比を参照ください。
・Reg 回路
出力 MOS FET のゲートドライブ回路(Pre-Drive)やリニア回路の動作に必要な電源を生成
する内部レギュレータになります。
・Protect 回路
モーターコイルのショート/オープン保護回路となります。
保護はすべて検出抵抗 Rs に生じた電圧を検知することで働きます。
このため、OUT 端子や電流検出端子が Gnd にショートした際の過電流は検知できません。
またオープン保護回路は PWM 動作しているときにのみ働きますので、モーターを高速回転
させているなど定電圧駆動の状態となっているときは働きません。
保護回路が働くと出力が Disable となり、復帰するためには Logic 電源を再投入する必要が
あります。
(2)出力 MOS FET チップ
内蔵されている 4 石のパワーMOS FET は、MIC からの信号によりコントロールされ、モータ
ーに流れる電流を制御します。
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16. 機能説明
(1)PWM 制御に関して
①ブランキング期間について
モーターを駆動させた際の Sense 端子に発生する動作波形の観測例を図 16-1 に示します。
図 16-1 PWM チョッピング時 Sense 端子波形例
Itrip
時間軸拡大
Out
0
Out
5µs/div
500ns/div
PWM がオン→オフの直後に数 µs の期間、Sense 端子にはスパイク状のノイズ(リンギン
グノイズ)の発生が確認できます。このリンギングノイズは「モーターコイルの線間容量」、
「モーター配線の引き回し」等により発生の仕方がさまざまです。
SI-7321M では、検出電圧 VRS と DAC 出力電圧 Vtrip をコンパレータで比較することで
電流制御(PWM オン→オフ)しています。このため、PWM オンの直後に Sense 端子に発生
するリンギングノイズが Vtirp を超えるような場合、コンパレータが反応し PWM オフして
しまいます(ハンチング状態)
。
この現象を防止するため、PWM オンしてから一定期間はコンパレータからの電流検出信
号を無視する「ブランキング期間」を設けています(図 12-2)。
図 16-2 PWM 制御時 SENSE 端子波形模式図
PWMチョッピング1周期
ON
OFF
(内部固定)
Itrip
A相
0
A相
ブランキング期間
サンケン電気株式会社
※図はA相ON時
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SI-7321M データシート Ver.4.23
②ブランキング時間とハンチング現象について
ブランキング時間を短くする事で下限域の電流
制御(追従)性を向上させる事が出来る反面、リン
ギングノイズに対する余裕度が減少します。このた
め、実際にモーターを駆動した場合、ハンチング現
象が発生する場合があります(図 16-3 に発生時の
波形例を示します)
。
このハンチング現象が観測され、トルク低下やモ
ーターからの騒音が大きいといった場合、ブランキ
ング時間を長く設定することにより、これら問題を
改善できる場合があります。
図 16-3 ハンチング現象発生時
の Sense 端子波形例
Itrip
0
20μs/div
③ブランキング時間の違いに関して
ブランキング時間の違いに着目して特性を比較した場合、表 16-1 のようになります。た
だしこの比較は、モーター、モーター電源電圧や REF 入力電圧などといった駆動条件、回
路定数が同じで、ブランキング時間の設定のみを変えた場合を考えます。
表 16-1 ブランキング時間の違いによる特性比較
比較項目
特性比較
内部ブランキング設定時間
短
PWM 最小オン時間
小
対リンギングノイズ耐量
大
最小コイル電流
小
高速回転時のコイル電流
大
波形ひずみ(主にμステップ)
長
次に、各項目について簡単に説明します。
・PWM 最小 ON 時間 ton(min)
本製品の PWM 制御ではブランキング時間が設けてあるため、電流を絞るために ON 時
間を短くしようとしてもブランキング時間より短くすることが出来ず、この分だけ必ず
ON となります。
PWM 最小 ON 時間とは、このブランキング時間により必ず出力が ON 状態となる時間
を指し、ブランキング時間の短い方が「小」となります。
・最小コイル電流
PWM 最小 ON 時間状態で制御されている時のコイル電流を指します。ブランキング時
間の短い方が電流を絞ることが出来るということになります。
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SI-7321M データシート Ver.4.23
・高速回転時コイル電流波形ひずみ
マイクロステップ駆動時は、入力クロックにより Itrip 値が所定の値に変化し、
この Itrip
値(内部の基準電圧分割比)は正弦波状になるよう設定されています。モーターコイル電
流は Itrip 値となるよう PWM 制御されていますので、コイル電流(のエンベロープ)は
正弦波状となるよう制御されることになります。
実際はコイルのインダクタンス成分により、目的値(Itrip)へコイル電流が収束するま
でには時間が必要となります。大まかにはコイル電流が Itrip 値まで収束する時間(tconv)
と入力クロックの周期(tclk)との関係が、全 MODE において常に、
t CONV
t clk
であれば、コイル電流のエンベロープは Itrip に追従する形となります。
ここで tconv の限界値は、電流が増加する方向のときは電源電圧とモーターコイルの時定
数、
減衰方向では電源電圧とモーターコイルの時定数と最小 ON 時間によって決まります。
また tclk は入力クロックの周波数により決まり、周波数を上げるに従い小さくなっていき
ます。
1クロック期間内でコイル電流が Itrip へ収束する前に次のクロックが入力されるとい
う状況が発生すると、コイル電流のエンベロープは正弦波から崩れます。弊社では、この
エンベロープが正弦波から崩れた状態を「波形ひずみ」と呼んでいます。
電源電圧、電流設定値、モーターなどの動作条件は同一として、ブランキング時間の違
う製品の波形ひずみについて比較をした例を、図 16-4 に示します。図中○で囲んだ部分
のように、ブランキング時間が 1.7µs の条件では Sense 端子波形(電流波形と同じと考え
てください)のエンベロープが正弦波状になっているのに対し、ブランキング時間が 3.2µs
の条件では、正弦波から崩れていることが確認できます。
表 16-1 の「大」とは、同じ駆動条件の下で考えた場合に、ブランキング時間の長い方
がより低いクロック周波数で波形ひずみを発生し、クロック周波数が同じであれば、波形
のひずみ具合はブランキング時間が長い方が大きくなることを意味します。
なお、このような波形ひずみが確認された場合に、必ずしもモーター特性に影響が出る
とはいえませんので、十分評価した上で最終的な判断を行ってください。
図 16-4 高速回転時の SENSE 端子波形の比較例
ブランキング時間:1.7μs(typ)
ブラン キング時間:3.2μs(typ)
Clock
SenseA
SenseB
500μs/div
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500μs/div
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SI-7321M データシート Ver.4.23
④PWM オフ期間について
SI-7321M では、PWM オフ時間は内部発振器より生成した固定時間で制御され、電流比
率により 3 段階切替ります(詳細は表 3-3 を参照下さい)。
またこの PWM オフ時間に発生する損失を低減するため、PWM オン時と同様に MOS FET
をオン状態としてモーターコイルに蓄えられた逆起電力を解消する機能が内蔵されていま
す(同期整流動作)。
図 16-5 に逆起電力回生方法の違いを示しますが、SI-7321M は PWM オフ側の MOS FET
も OFF⇔ON します。なお同期整流動作の切替りの際は MOSFET が同時に ON することを
防止するためのデッドタイム
(約 0.5µs)
が設けられており、この期間は回生電流が MOS FET
のボディダイオードに流れます。
図 16-5 同期整流動作
Vcc
【通常回生動作】
Ion
【同期整流回生動作】
Vcc
Ioff
Ion
Ioff
SPM
Vg
SPM
Vg
Vrs
PWMオン
Rs
PWMオフ
Vg
Vg
Vrs
PWMオン
PWMオン
Rs
PWMオフ
デッドタイム時の回生電流
PWMオン
デッドタイム
FET Gate信号
Vg
0
FET Gate信号
Vg
Vref
検出電圧
Vrs
0
FET Gate信号
Vg
0
FET Gate信号
Vg
Vref
検出電圧
0
Vrs
デッドタイムの期間は、回生電流がFETボディダイオードに流れます。
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SI-7321M データシート Ver.4.23
(2)保護機能
SI-7321M には、
「モーターコイルショート保護回路」、「モーターコイルオープン保護回路」
が搭載されております。
以下に各保護回路の説明を示します。
①モーターコイルショート保護(負荷ショート)について
SI-7321M に内蔵したモーターコイル保護回路は、電流制御と同様に検出抵抗に発生する
電圧 VRS を検知することで動作し、保護動作の電圧 VOCP は約 0.7V に設定しております。
なお保護回路が働いた時点で、出力が Disable の状態となります。
モーターコイルショート保護動作条件:VRS>VOCP
図 16-6 モーターコイルショート保護回路動作
VM
コイルショート
SPM
VOCP
コイルショート
通常動作時
VREF
Vg
VRS
VRS
Rs
0
⇒出力Disable
※検出抵抗を通らずに流れる過電流は検知できません。
※保護が働いた後に回路を復帰するには、VDD を立ち上げ直す必要があります。
②モーターコイルオープン保護について(特許取得済)
ユニポーラ駆動において、動作時に 1 つの出力端子(モーターコイル)が断線することは、
ドライバ破壊の原因になります。これは断線後に接続されている MOS FET に、PWM オフ
時に逆起電力により非常に高いエネルギーが加わる「アバランシェ状態」となるためです。
「アバランシェ状態」では、出力が MOS FET のドレイン‐ソース間の耐圧に達した状態
(ブレイクダウンした状態)でモーターコイルに蓄えられたエネルギーを解消します。
SI-7321M では、ある程度のアバランシェエネルギー耐量を持った MOS FET を使用してい
ますが、アバランシェエネルギー耐量は温度に依存し、高温になるにつれて低下します。
断線状態では PWM 動作を繰り返すたびに高いエネルギーが加わるため、MOS FET の温
度は上昇、
「印加エネルギー>耐量」となった時点でドライバが破壊します。そこで SI-7321M
には、この「アバランシェ状態」を検知してドライバを保護する回路を搭載しました。以下
にその動作を示します。
モーターコイルが断線すると先に説明しましたように、PWM オフ期間中は接続されてい
る MOS FET が耐圧に達した状態で回生電流が流れます。正常時は検出電圧 VRS が PWM オ
フ期間は負電位になるのに対して、モーターコイルが断線した状態では正電位が発生するこ
とになります。つまり、PWM オフ期間に VRS が正電位であることを検知することにより、
モーターコイルが断線していることを検知できることになります。
SI-7321M では、検知誤動作を回避するためモーター断線の状態を連続して 3 回検知した時点
で保護が働く様に設計されています。
図 16-7 に動作図を示します。
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図 16-7 負荷オープン保護動作
通常動作時PWM動作図
モーター断線時PWM動作図
VM
VM
SPM
SPM
Ion
Ioff
断線
Vg
Vg
Vout
Vout
Vrs
Rs
Vrs
Rs
モーター断線時
FET Gate信号
Vg
0
FET Gate信号
Vg
0
VDSS
Vout
2VM
VM
Vout
0
0
VREF
ブレイクダウン(アバランシェ状態)
VREF
VRS
VRS
0
0
モータ断線検知
※注意
PWM オフした後に発生するサージノイズにより出力のブレイクダウンが確認された場
合、ブレイクダウン発生期間が負荷断線未検知時間(topp)を過ぎても継続しますと、実
際に負荷が断線していなくても保護機能が働く場合があります。モーター及び配線の引き
回し等の見直しをしてブレイクダウン時間を負荷断線未検知時間(topp)内で収まるよう
に改善を行って下さい(セットバラツキの考慮も必要です)。
なおブレイクダウンが確認されていない場合には、動作に問題ありません。
また改善方法の 1 つとして、Out-Gnd 間にサージノイズ吸収用のコンデンサを取り付け
ることで正常動作となる場合が御座います。
サージがVdssに達していない
Vdss
Vout
【問題なし】
ブレイク期間がtopp以下
Vdss
Vout
【問題なし】
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ブレイク期間がtopp以上
Vdss
Vout
【改善要】
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17. ご使用に際して
(1)モーター電流の設定について
モーター電流 Io は、図 10-1 の応用回路例の場合は R1、R2、Rs の定数により決まります。
以下に Io を求める計算式を示します。
Io
r2
VDD
r1 r 2
・・・・・式①
Rs
なお、2 重下線の項は基準電圧 VREF になります。
VREF を 0.1V 以下に設定すると、製品のバラツキや配線パターンのインピーダンス等の影響
を受け、電流精度が低下する可能性が高くなります。
なお実際に制御する電流 Itrip は、DAC により基準電圧を所定の比率で分圧して決まります。
VREF
Rs
Itrip
(Mode比率)
・・・・・式②
(2)制御電流の下限値について
SI-7321M は、OFF 時間固定の自励式 PWM 電流制御方式を採用しています。固定されてい
る PWM オフ時間内にモーターコイルに蓄えられたエネルギーが解消してしまうと、コイル電
流は図 17-1 に示すような断続した電流として流れます。
つまり、PWM による平均電流が低下し、モータートルクも低下します。このコイルに電流
が断続的に流れ始める状態を制御電流の下限値と弊社では考えています。制御電流の下限値は、
ご使用されるモーター等の条件により異なりますが、以下の式にて概算できます。
I O min
VM
R
VM
RDS(on)
toff
exp
:
:
:
1
t OFF
tC
1
tC
R
モーター電源電圧
MOS FET オン抵抗
PWM オフ時間
Lm
R
Rm RDS (on )
Rm
Lm
RS
・・・・・・式③
RS
:
:
:
モーター巻き線抵抗
モーター巻き線リアクタンス
電流検出抵抗
制御電流値をこの下限値以下に設定しても製品が破壊することはありませんが、設定電流に
対し制御電流が悪化します。
図 17-1 制御電流下限モデル波形
Itrip大
A相
Itrip小
0
A相
コイル電流が0になる
タイミングが発生する
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(3)アバランシェエネルギーの確認
SI-7321M のユニポーラ駆動方式は、出力の MOS FET の耐圧を越えるサージ電圧(リンギ
ングノイズ)が製品に印加される場合があります。本製品は、このサージ電圧を想定して十分
なアバランシェ耐量を持つ MOS FET を使用しておりますので、通常はサージ電圧が発生して
も問題なく使用いただけます。
VM
ただし、モーターのハーネスの引き回しが長い場合や定格電流
および定格電圧付近で使用される場合は、弊社の想定を越えるア
SPM
バランシェエネルギーが製品に印加されることがありますので
実機評価において必ず製品に印加されているアバランシェエネ
ID
ルギーを確認してください。
VDS(AV)
アバランシェエネルギーの確認方法を以下にまとめます。
図 17-2 に観測ポイント,図 17-3 に波形図を示します。
Rs
【計算例】
図 17-3 の波形観測の結果より
VDS(AV)=140V
ID=1A
t=0.5µs
のデータが得られた場合、アバランシェエネルギーEAV は下
記より求められます。
EAV≒VDS(AV)×1/2×ID×t ・・・・・式④
=140V×1/2×1A×0.5×10−6
=0.035[mJ]
例のように計算した EAV を、
図 17-4 に示すグラフと比較し、
MOS FET のアバランシェエネルギー耐量範囲内であるか
を確認して安全性を判断します。
図 17-2 観測ポイント
VDS(AV)
ID
t
図 17-3 ブレイクダウン時
波形図
図 17-4 繰返しアバランシェエネルギー耐量 EAV
12
10
Eav [mJ]
8
6
4
2
0
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
製品温度 Tc[℃]
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(4)電源(VBB、VDD)の ON/OFF シーケンスに関して
本製品は、主電源 VBB とロジック電源 VDD の ON/OFF の順序に制限はありません。
(5)モーター電源電圧(VM)と主電源電圧(VBB)について
本製品は図 9-1 の内部ブロック図に記載したように、制御用 IC(MIC)と出力段パワー
MOSFET マルチチップ構造となっているため、モーター電源と主電源とは電気的に分離され
ております。したがいまして、モーター電源と主電源とで異なった電源を使用して駆動するこ
とも可能です。ただし両電源は電源電圧範囲が異なりますので、注意願います。
(6)内部ロジック回路に関して
a)内部シーケンサーのリセットに関して
本製品のシーケンサー回路は、ロジック電源(VDD)投入時に製品内部にてパワーON リ
セット機能が働いて初期化されます。このため電源投入直後の出力は、励磁原点にて通電さ
れる状態となります。
また、モーター動作後にシーケンサーのリセットを施す必要がある場合は、Reset 端子に
リセット信号を入力して下さい。外部よりリセットを施す必要性がない場合には、Reset 端
子は使用しませんので、回路上で Reset 端子をロウレベル固定としてください。
b)クロック入力に関して
本製品は、クロックのエッジにて1Step 進む設計となっています。エッジ動作の種類とし
ては、ポジティブエッジ動作とポジティブ/ネガティブエッジ動作(W エッジ)を、E_SEL
端子の論理にて選択できます(表 11-1 を参照願います)。
クロック入力信号を停止すると励磁はモーターHold 状態になります。この時クロック入
力信号はロウレベルであってもハイレベルであっても問題はありません。
c)チョッピング同期回路について
モーターHold 時に発生することがある、モーター異音を防止するための機能となり、Sync
端子をハイレベルに設定すると有効となります。
ただしこの機能をモーター回転時に使用すると、制御電流が安定せず、モータートルクの
低下や振動の増加が起きる場合があるため、回転時に使用することはお勧めできません。
またこの同期回路は、2 相励磁状態(Mode8&F)または 1 相励磁状態での Hold 以外で使
用した場合には、モーター電流が正常制御されませんので御注意願います。
通常、本機能を使用する場合はマイコン等より信号を入力して切り換えを行う方法が一般
的ですが、ポートの制限等の問題により信号を入力できない場合には、次のような方法で本
機能を使用することが出来ます。
図 17-5 に示した回路案は、クロック信号を利用
図 17-5 クロック停止検知回路
した Sync 信号発生回路になります。ハイレベルの
Vcc
クロック信号が入力されるとコンデンサに充電さ
れ、Sync 信号はロウレベルになります。クロック
Clock
Sync
信号をロウレベルで停止させた場合、コンデンサが
抵抗により放電され、Sync 信号がハイレベルとな
74HC14
り、同期モードへ移行します。なお、使用される最
R
C
低クロック周波数により回路中の RC 時定数を決定
して下さい。
また、クロック入力信号をハイレベルで停止させ
るシーケンスを検討される場合にはインバータ回
図 17-6 エッジ検出回路
路を1つ追加して下さい。
停止時のクロック信号が不明な場合、もしくは W
Step
a
Clock
エッジタイプをご使用の際は、図 17-5 の回路の前
エッジ
Clock
に図 17-6 に示すエッジ検出回路を追加することで
対処できます。
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d)出力 Disable(Sleep1,2)回路について
モーターフリー状態(出力 Disable)にする方法として、REF 端子を 2V 以上にする方法
(Sleep1)と、励磁モード設定端子(M1、M2、M3)の全てを”High”にする方法(Sleep2)
の 2 種類あります。どちらの方法においても主電源系の回路を停止させて回路電流を低減す
る Sleep モードになります。
違いは、Sleep1 は内部シーケンサーが Enable 状態のままですが、Sleep2 は内部シーケ
ンサーが HOLD 状態となります。つまり Sleep2 の状態では、Clock 信号を入力しても励磁
シーケンスは変化せず、Sleep 直前のシーケンス状態を保持します。
なお出力 Disable(Sleep1、sleep2)状態からモーターを回転させるモードに移行する場
合、製品の立ち上がりだけではなく、モーター励磁電流の立ち上がり時間を考慮した上で、
Disable 解除からクロックエッジ入力までの時間を設定するようにしてください
(図 17-7)。
図 17-7 Disable 解除と Clock 入力のタイミング
Ref電圧
励磁信号
100µs (min)
Clock信号
※W エッジタイプをご使用の際は、Disable 解除後の Clock が
NEG エッジから始まる場合もあります。
e)Ref/Sleep1 端子について
本製品の REF 端子は表 11-1 の真理値表や前項 d などに説明がありますが、
①出力制御電流の基準電圧設定…Low レベル
(VREF≦0.6 または 1.0V、保護機能の有効/無効により異なります)
②出力 Enable/Disable 制御入力…High レベル (VREF≧2.0V)
の 2 つの機能を兼ねております。なお出力 Enable/Disable の切り替わりのしきい値電圧は、
約 1.75V に設定しています。
REF 電圧制御の際は、下記に注意してください。
REF 設定電圧と動作の関係を図 17−7 に示しますが、注意が必要となる領域があります。
・①の領域だけでなく、①∼閾値電圧(1.75V typ)の範囲も、REF 電圧にしたがい制御
電流値も変わります。このため損失には注意が必要となります。また基準電圧分割比の
選択状態によっては OCP 動作となる場合もあります。
・特に閾値電圧付近に REF 電圧が設定された場合、出力が Enable と Disable を繰り返し
てしまう可能性があります。
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図 17-8 外部−内部 REF 電圧と動作の関係
内部制御電流設定電圧 [V]
(Mode F時)
2.5
出力Disable & Sleepモード
設定電圧範囲
2
※2
1.5
※1
1
制御電流設定入力電圧範囲
0.5
推奨入力電圧範囲
0
0
0.1
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
Ref端子設定電圧 VREF[V]
4
4.5
5
f)ロジック入力端子について
(CW/CCW、M1、M2、M3、Reset、Sync、 E_SEL、P_SEL、B_SEL 端子)
使用しない端子がある場合には、VDD または GND へ接続をしてください。
オープンで使用した場合、製品が予期せぬ動作をする可能性があります。
g)モニター出力端子(Mo、Flag 端子)について
製品内部は図 17-9 の等価回路のように、インバータ出力となっています。
このため Mo 端子および Flag 端子を使用しない場合は、必ずオープンとしてください。
図 17-9 モニター出力端子内
部等価回路
VDD
静電気
保護回路
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出力
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18. 熱設計資料
SI-7321M での損失を正確に算出するには、モーターの実動作時の時定数や励磁モード、入力
周波数及びそのシーケンス等、変動するパラメータが必要になり現実的ではありません。
そこで、まずワースト条件にて、近似計算にて算出します。最小限のパラメータのみを抽出し
た損失の計算式は以下の通りです。
I2
P
R DS(on)
2
P
: 製品損失
I
: 動作電流≒Io
RDS(on) : 搭載 MOSFET のオン抵抗
上記にて算出した製品損失を元に、下に示した図 18-1 の温度上昇曲線を用いて製品のジャン
クション温度を推定します。この時、最悪条件(動作周囲温度の最大値)にて、ジャンクション
温度が 150℃を超えなければ問題はありませんが、
最終判断は実動作における製品発熱を測定し、
図 18-1 より損失およびジャンクション温度を確認してください。
図 18-1 製品温度上昇特性
参考:サンケン評価基板使用
150
ΔTJ-A=35.7×PD
上昇温度ΔT [℃]
Rise Temperature
125
100
75
50
ΔTC-A=20×PD
25
0
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
パッケージ許容損失 PD [W]
Allowable Package Power Dissipation
測定箇所:捺印面中央(非接触温度計)
実動作にて製品温度を測定しジャンクション温度を推定する場合は、次のように考えます。
まず、製品のパッケージ中央の温度上昇を測定します(ΔTC-A)。この温度上昇から図 18-1 の製
品温度上昇グラフを見て、損失 P とジャンクション温度 Tj を推定します。この際、製品の温度
上昇 ΔTC-A とジャンクション上昇温度 ΔTJ の関係は、以下の計算式で近似できます。
ΔTJ≒ΔTC-A+P×θJ-C
☆注意事項
・本製品は、パワー素子(MOSFET)と制御 IC(MIC)を分離したマルチチップ構成となって
います。したがって、発熱源であるパワー素子の温度を、制御 IC にて正確に検知することが
出来ないため、過熱保護機能は搭載していません。
従いまして、設計段階でアブノーマル評価を十分に行い、ジャンクション温度が保証値(150℃)
を超えないようにして下さい。
・この熱設計資料は、実際に製品を動作させる前にどの程度まで使用できるかを検討するための
資料です。最終的には実機にて製品発熱(パッケージ中央)を確認して判断して下さい。
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19. 代表特性例
(1)出力 MOS FET オン電圧 VDS(on)特性
0.8
Io=1.5A
MOSFETオン電圧 VDS(on) [V]
0.7
0.6
0.5
0.4
Io=1.0A
0.3
0.2
Io=0.5A
0.1
0.0
-25
0
25
50
75
100
125
製品温度 Tc[℃]
(2)出力 MOS FET ボディダイオード順方向電圧 VF 特性
MOSFETボディダイオード順方向電圧 VF [V]
0.9
0.8
Io=1.5A
0.7
Io=1.0A
0.6
Io=0.5A
0.5
-25
0
25
50
75
100
125
製品温度 Tc[℃]
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注意書き
●本書に記載している製品(以下、「本製品」という)のデータ、図、表その他のすべての内容は本書発行時点のも
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図しております。ご使用の際には、納入仕様書に署名または記名押印のうえご返却をお願いします。高い信頼
性が要求される装置(輸送機器とその制御装置、交通信号制御装置、防災・防犯装置、各種安全装置など)へ
の使用をご検討の際には、必ず事前にその使用の適否につき弊社販売窓口へご相談および納入仕様書に署
名または記名押印のうえご返却をお願いします。本製品は、極めて高い信頼性が要求される機器または装置
(航空宇宙機器、原子力制御、その故障や誤動作が生命や人体に危害を及ぼす恐れのある医療機器(日本に
おける法令でクラスⅢ以上)など)(以下「特定用途」という)に使用されることは意図されておりません。特定用
途に本製品を使用したことによりお客様または第三者に生じた損害などに関し、弊社は一切その責任を負いま
せん。
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ださい。
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