DualXT ピンタイプ (M254 パッケージ)

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富士 IGBT モジュール
V シリーズ
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DualXT(Pin) (M254 パッケージ) 実装ガイド
目次
ページ
1
IGBT モジュールの実装方法
2
2
主端子の接続方法
3
3
プリント基板の取り付け方法
4
本章では DualXT(Pin) (M254 パッケージ) の実装方法について説明します。本実装方法については、
2MBIXXXVN-XXX-5X について適用されます(X は 0~9 の番号)
。
1
技術資料:MT5Q01693c
IGBT モジュールの実装方法
1
本節では DualXT(Pin) (M254 パッケージ) の実装方法について説明します。
ヒートシンクへの実装
1.1
IGBT モジュールのベースとヒートシンク間の熱抵抗(Rth(c-f))はモジュールの配置、ヒートシンクの
熱特性、冷却方法などに依存します。ヒートシンクの熱伝達率、冷却方法などはお客様の状況によりこと
なりますので、この節ではヒートシンク上へのモジュールの取り付け位置について説明します。熱抵抗は
実装されたモジュール位置で変わるため、下記の項目に注意してください。

IGBT モジュールはヒートシンク上で熱的に最適な配置とする必要があります。これは熱抵抗を最
小化するためにモジュールが良好な熱広がりをもつようにするためです。

IGBT モジュール間の距離はそれぞれのモジュールが隣接するモジュールの熱干渉を受けないよ
うに、熱設計から見積もられる総合損失を最適化してください。
1.2 ヒートシンクの表面仕上げ(モジュール搭載エリア)
ヒートシンクの表面仕上げに関しては、ネジ取り付け位置間で平坦度を 100mm で 50um 以下、表面の
粗さは 10um 以下にして下さい。もしヒートシンク表面の平坦度が充分でない場合、接触熱抵抗(Rth(c-f))
が予期せず増加し、最悪の場合、熱破壊に繋がることがあります。万一ヒートシンクの平坦度が上記の要
求仕様に該当しない場合、モジュール内のセラミック絶縁基板に高い応力が発生し絶縁不良に至る場合が
あります。
1.3 サーマルグリース塗布
ヒートシンクとモジュールのベースプレート間に接触熱抵抗低減のためにサーマルグリースを使用する
ことを強く推奨いたします。スクリーン印刷、ローラーやヘラによる塗布が一般的な方法ですが、サーマ
ルグリース厚を 100um 以下とする場合にはステンシルマスクによる塗布を推奨いたします。
表 1 サーマルグリースの推奨特性
項目
推奨
稠度 (typ.)
>=
熱伝達率
>= 0.92 W/m.K
厚さ
100μm +/- 30μm
338
*1 ヒートシンクとモジュール間の熱抵抗はサーマルグリース特性と厚さに依存します。それゆえモジュ
ールをヒートシンクへ実装した後にサーマルグリースの良好な広がりを確認することを強く推奨いた
します。コンパウンドの広がり具合は実装後に素子を取りはずすことで確認可能です。加えて、サー
マルグリースが低粘度である場合には熱履歴印加後に接触界面の確認を推奨いたします。
*2 なお富士電機が推奨するステンシルマスクのデザインは、お客様のご要望に応じて提供が可能です。
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技術資料:MT5Q01693c
1.4 実装方法
以下では IGBT のヒートシンクへの実装手順について説明
(1)
します。
(a)
右図に示した(1)から(4)を M5 ネジで実装する場合の
(3)
P1
P3
P4
P2
最小トルクは 2.5Nm、最大トルクは 3.5Nm となりま
す。
(b)
仮締めは最終締め付けトルクに対して 1/3 のトルク
で図 1 の(1)から(4)又は(4)から(1)の順で取り付けて
ください。
(c)
本締めは規定トルクである 2.5~3.5Nm で図 1 の(1)
から(4)又は(4)から(1)の順で取り付けてください。
(d)
沿面距離と空間距離を確保するためにネジとワッシ
ャーを含めた総高さは 6.0mm を超えないようにして
ください。
1.5 PCB の取り付け方法
(4)
(2)
以下では PCB の実装手順について説明します。
Fig.1Mounting holes 1-4 in M254 modules
(a)
図 1 に示した P1 から P4 を M2.6 のセルフタッピングネジで実装する場合の最小トルクは 0.4Nm、
最大トルク 0.5Nm となります。
(b)
仮締めは最終締め付けトルクに対して 1/3 のトルクで図 1 の P1-P2-P3-P4 又は P4-P3-P2-P1 の順で
取り付けてください。
(c)
本締めは規定トルクである 0.4~0.5Nm で図 1 の P1-P2-P3-P4 又は P4-P3-P2-P1 の順で取り付けてく
ださい。なお、最大の回転速度は 300rpm です。
1.6 静電気(ESD : Electrostatic Discharge) 放電保護
制御端子に過大な静電気が印加された場合、素子が破壊する場合があります。取り扱い時は静電気対策
を実施して下さい。
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主端子の接続
2.1 ブースバーの接続

ネジ:M6

ネジ長:ブースバー厚+(7~9mm)

締め付けトルク:3.5~4.5Nm

許容端子温度:最大 125℃
<注意事項>
ブースバーを主端子に接続する場合には、過剰な力を端子部に与えないでください。特に、銅バー端に
加えられる力は端子部にずっと大きな力として与えられます。これはモーメントが銅バー長に比例するた
めです。
さらに、主端子と銅バーの接続部分に位置ずれが生じたままネジで固定した場合には、ストレスが端子
部に継続的に生じ、破損の原因になります。したがって、主端子と銅バーの接続部分に位置ずれが生じな
いように締め付けてください。
2.2 導通線に対する力の制限
下記に導通線取り付け時の印加力の強度に関して記載します。
印加方向
強度*
A
5 Nm
B
3 Nm
C
500 N
D
500 N
E
200N
F
200N
G
5 Nm
H
5 Nm
I
500 N
J
1000N
E
A
C
D
F
B
(a)水平方向
G
I
H
J
*)強度については、取り付け中に
印加される短時間での強度を
示している。
(a)鉛直方向
図2 印加応力方向を示した図
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2.3 空間距離と沿面距離
良好な絶縁電圧を確保するためには IGBT のアプリケーションに対して、図 3 の(a)と(b)で定義される主
端子に対する空間距離と沿面距離の両方を確保する必要があります。それゆえ空間距離と沿面距離は下記
の最小値よりも長くする必要があります。
空間距離:
9.5mm
沿面距離: 14.0mm
(b)
図3
(a)
IGBT モジュールの主端子に対する空間距離と沿面距離
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PCB のモジュールへの取り付け時の注意
3.1 推奨ネジの種類
PCB を固定するために備えられている取り付け穴は、その直径が 2.2mm と 2.5mm があります。それゆ
え PCB を取り付けるためのネジの直径は 2.4~2.6mm を推奨します。下記に推奨するネジの種類、長さを
示します。ネジ種はセルフタッピングネジを推奨します。なお日本では M2.6 を推奨します。
2.4~2.6mm
(a) PCB 取り付け用穴
(c) 推奨のネジ
図 4 PCB 取り付け用の穴と推奨ネジの断面模式図
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技術資料:MT5Q01693c
3.2 推奨ネジの長さ
図 5 に示すように PCB を固定するためのセルフタッピングネジの長さは、
PCB 厚より 7mm から 10mm
長いネジを推奨します。このときのネジの締め付けトルクは 0.4~0.5Nm を推奨します。ネジを締め付ける
時には、モジュールに対して垂直に取り付けてください。図 6 に示したような斜めにネジを取り付けない
でください。最悪に場合、破壊に至る可能性があります。
PCB
7.0~10.0mm
Module
図 5 中央部、コーナー部のネジ取り付け時の断面模式図
図 6 ネジが斜めに取り付けられた場合の断面模式図
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3.3 推奨ネジの締め付け方法
PCB を固定するためのネジの締め付け方法は手締めを推奨します。電動ドライバをはじめとする締め付
け道具を使用する際には、モジュールのケースが損傷する可能性があります。それゆえ高速締め付け用の
道具を使用する際には、締め付けトルクの設定などのパラメータを各社で事前に確認頂きます様にお願い
いたします。
3.4 推奨ネジ、推奨取り付け方法以外でネジの締め付けた場合の危険性
PCB のモジュールへの取り付けは上記で述べてきたような方法を推奨します。
もし推奨ネジ、推奨取り付け方法以外でネジの締め付けた場合には、図 7 示したようなケース損傷の危
険性があります。必ず各種ネジの取り付け前に、事前に確認ください。
図 7 推奨ネジ以外でとりつけた場合のモジュール破損
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技術資料:MT5Q01693c