日本語参考資料 最新版英語回路ノートはこちら 回路ノート CN-0289 接続/参考にしたデバイス 広い電源電圧範囲の レール to レール出力計装アンプ AD8226 Circuits from the Lab™ 実用回路は今日のアナログ・ミッ クスド・シグナル、RF 回路の設計上の課題の解決に役 立つ迅速で容易なシステム統合を行うために作製、テ ストされました。詳しい情報と支援は http://www.analog.com/CN0289 をご覧ください。 ADR02 ADA4091-2 超小型、高精度 5.0V リファレン ス電圧 高精度、マイクロパワー、過電 圧保護、レール to レール入出力 のデュアル・オペアンプ 電圧または電流駆動の柔軟性のある、4 mA~20 mA、 ループ駆動圧力センサー・トランスミッタ ブリッジをベースにした多種の電圧または電流駆動の 圧力センサー向けに設計が最適化されており、わずか 4 個のアクティブ・デバイスを使用し、全未調整誤差は 1%未満です。12 V~36 V の範囲のループ電源電圧を使 用できます。 評価と設計支援 回路評価基板 回路評価ボード (EVAL-CN0289-EB1Z) 設計と統合ファイル 回路図、レイアウト・ファイル、部品表 回路の入力は ESD および電源レールを超える電圧に対 して保護されており、工業用アプリケーションに最適 です。 回路の機能とその利点 図 1 に示す回路は堅牢で柔軟性のあるループ駆動電流 トランスミッタで、圧力センサーの差動電圧出力を 4 mA~20 mA の電流出力に変換します。 +5V +VLOOP +5V VOUT U2A 1/2 ICIRCUIT VIN J2-1 ILOOP ADR02 ADA4091-2 39.60µA I12 G = 50.00 +VLOOP VDRIVE J1-3 RBRIDGE R5 10kΩ U3 RBRIDGE R6 10kΩ 10nF R2 J1-4 4.02kΩ VOUT 0V, 5.00V U1 R3 1.008kΩ AD8226 U2B 1/2 ADA4091-2 R9 31.56kΩ I9 0µA, 158.42µA VLOOP_SUPPLY ILOOP – ICIRCUIT 0V I10 VIN: 0mV, 100mV 12V TO 36V Q1 ZXT13N50DE6TA 30kΩ ICIRCUIT REF 1nF J1-1 +VLOOP +VLOOP 1nF RBRIDGE R1 J1-2 4.02kΩ RBRIDGE R12 126.25kΩ J2-2 3.960mA, 19.802mA R10 1kΩ R8 10Ω PCB GROUND –39.60mV, –198.02mV I8 39.60µA, 198.02µA I10 LOOP LOAD – R7 250Ω + ILOOP ILOOP: 4.000mA, 20.000mA LOOP GROUND 10947-001 注: NOTES 1. R8、R10 は標準値 0.1%、R5、R6 は標準値 1%、R3、R9、R12 は計算値(本文参照)。 1. R10PCB AREのSTANDARD 0.1% VALUES. R5, R6 ARE STANDARD 1% VALUES. 2. R8, 電圧は GND を基準に測定。 R3, R9, R12 ARE CALCULATED VALUES (SEE TEXT). 2. VOLTAGES MEASURED WITH RESPECT TO PCB GROUND. 図 1.4 mA~20 mA 出力の堅牢なループ駆動圧力センサーの信号調整回路 (センサー電圧駆動モード) 簡略回路図:接続とデカップリングがすべて示されているわけではありません Rev. 0 アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用 に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。ま た、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を明示的または暗示的に許諾するものでもありませ ん。仕様は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標は、各社の所有に属します。 ※日本語データシートは REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。 ©2012-2013 Analog Devices, Inc. All rights reserved. 本 社/〒105-6891 大阪営業所/〒532-0003 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル 電話 03(5402)8200 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー 電話 06(6350)6868 回路ノート CN-0289 回路の説明 センサー励起ドライブ このソリューションは圧力センサー測定用の 4 mA~ 20 mA トランスミッタです。回路全体の電源がループか ら供給されます。回路にはセンサー励起ドライブ、セン サー出力アンプおよび電圧/電流コンバータの 3 つの重要 なステージがあります。 選択された圧力センサーに従って、電圧ドライブまた は電流ドライブのどちらかが必要です。回路には ADA4091-2 (U2A)のアンプの1つが使用され、S1 を切 り替えて設定を選択し、どちらかのオプションをサポ ートします。S1 によりどちらかのドライブが選択され ます。 表 1 に示されているように、回路に必要な合計電流は 1.82 mA (最大)です。したがって、利用可能な 4 mA の 最大ループ電流を超えることなく、最大 2 mA のブリッ ジ駆動電流を必要とする圧力センサーを使用すること ができます。 励起:電圧ドライブの設定 電圧ドライブの設定を図 2 に示します。S1 は PCB 上の VOLTAGE DRIVE とラベル表示された位置にしてあり ます。(CN0289 設計サポートパッケージの回路レイア ウトと回路図を参照してください。 http://www.analog.com/CN0289-DesignSupport)。 表 1.最大回路電流 @ 25°C 部品 ADR02 ADA4091-2 AD8226 R5, R6 @ 10 V R12 @ 5 V 合計 電流 (mA) 0.80 0.50 0.43 0.05 0.04 1.82 +VLOOP 5V IDRIVE = 2 mA FOR VDRIVE = 10V, RBRIDGE = 5kΩ 1/2 ADA4091-2 VDRIVE IDRIVE U2A J1-3 R5 10kΩ R6 10kΩ PCB GROUND RBRIDGE RBRIDGE RBRIDGE R1 J1-2 4.02kΩ +V AD8226 R2 J1-4 4.02kΩ INPUT VCM = 5V –V J1-1 10947-002 PCB GROUND RBRIDGE PCB GROUND 図 2.RBRIDGE = 5 KΩ、VDRIVE = 10 V 時のセンサー電圧ドライブの設定 Rev. 0 - 2/7 - 回路ノート CN-0289 ここで、 電圧駆動回路は、通常 10 V のブリッジ駆動電圧に設定 されています。このモードでは、最小許容ブリッジ抵 抗値は次のようになります。 2 V REF 10 V R BRIDGE ≥ = = 5 kΩ 2 mA 2 mA V DRIVE U2A に十分なヘッドルームを与えるため、ループ電圧 VLOOP をブリッジ駆動電圧より少なくとも 0.2 V 大きく するように注意します。 ブリッジの抵抗値が 5 kΩ 未満の場合、R6 を取り去っ たバッファ設定を使って、駆動電圧を 5 V まで下げる ことができます。 V LOOP ≥ V DRIVE + 0.2 V 励起:電流ドライブの設定 次式を使って適当な R6 を選択することにより、他の駆 動電圧を得ることができます。 V DRIVE R6 = ≥ 2 mA R BRIDGE PCB 上で CURRENT DRIVE とラベル表示された位置に S1 を動かして、図 3 に示されている電流ドライブの設 定に回路を切り替えることができます。 R5 = 5 V 1 + R6 5 V × R5 V DRIVE – 5 V +VLOOP 5V 1/2 ADA4091-2 U2A VDRIVE = 5V + IDRIVE × RBRIDGE = 11V, FOR RBRIDGE = 3kΩ VDRIVE J1-3 PCB GROUND RBRIDGE RBRIDGE RBRIDGE RBRIDGE R1 J1-2 4.02kΩ +V AD8226 R2 J1-4 4.02kΩ INPUT VCM = 8V –V J1-1 IDRIVE × R4 = 5V 10947-003 IDRIVE = 2mA R4 2.49kΩ PCB GROUND 図 3.RBRIDGE = 3 kΩ 時のセンサー電流ドライブの設定 Rev. 0 - 3/7 - 回路ノート CN-0289 電流駆動モードでは、2 mA の最大許容ブリッジ駆動電 流の制限を守る必要があります。回路は、R4 = 2.49 kΩ、 および IDRIVE = 2 mA に設定されています。次式を使って R4 の値を選択することにより、IDRIVE の値を下げること ができます。 5V R4 = I DRIVE それに伴う駆動電圧 VDRIVE は次式を使って計算します。 V DRIVE = 5 V + I DRIVE × R BRIDGE V LOOP ≥ V DRIVE + 0.2 V 図 3 に示されている値の場合、RBRIDGE = 3 kΩ、IDRIVE = 2 mA、VDRIVE = 11 V、 VLOOP ≥ 11.2 V となります。 回路には ADA4091-2 オペアンプが選択されています。 この理由は、消費電流が低く(250 µA/アンプ)、オフセ ット電圧が小さく(250 µV)、入力と出力がレール to レ ールだからです。 ブリッジ出力の計装アンプと利得およびオフセット 抵抗の選択 ブリッジの出力は、帯域幅が 39.6 kHz の同相フィルタ (4.02 kΩ、1 nF)と、帯域幅が 2 kHz の差動モード・フィ ルタ(8.04 kΩ, 10 nF)によってフィルタされます。 AD8226 は利得誤差が小さく(0.1%、B グレード)、オフ セットが小さく(58 µV @ G = 50、B グレード;112 µV @ G = 50、A グレード)、非直線性が優れており(75 ppm = 0.0075%)、レール to レール出力なので、最適な計装 アンプです。 AD8226 計装アンプは、利得設定抵抗 R3 = 1.008 kΩ を 使って、100 mV FS の信号を 50 倍の利得で 5 V に増幅 します。利得 G と R3 の関係は次式で与えられます。 49.4 kΩ G –1 ここで、G = 50、R3 = 1008 Ω 出力ゼロ値のループ電流 ILO = 4 mA の場合: I LO = I 8 + I 10 上の 2 つの式を組み合わせると、 ILO = 101 × I10 ILO = 4 mA のとき AD8226 の出力は 0 V なので、次式か らオフセット抵抗 R12 を計算することができます。 I 10 = 101 × V REF I LO = 101 × 5 V = 126.25 kΩ 4 mA VOUT = 5.00V の場合、出力ループ電流は ILH = 20 mA な ので、以下のようになります。 I LH = I 8 + I 10 = 100 × I 10 + I 10 = 101 × I 10 Rev. 0 20 mA 101 = 198.02 μA 101 R12 を流れる電流は次式で与えられます。 I 12 = V REF = 5V = 39.60 μA 126.25 kΩ R12 R9 を流れる電流は次式で与えられます。 I9 = I10 − I12 = 198.02 μA − 39.60 μA = 158.42 μA R9 = V OUT I9 = 5V 158.42 μA = 31.56 kΩ 実際は、R3、R9、R12 の計算値は入手可能な標準値で はないので、回路で使用される実際の値によって固定 誤差が生じます。これらの誤差は以下のように計算す ることができます。 抵抗 R3、R9、R12 によって生じる、%FSR として測定 された(ただし、FSR = 16 mA)利得誤差、オフセット誤 差、および全誤差: 利得誤差 (%FSR) = 1008 Ω – R3 31.56 kΩ – R9 + 1008 Ω 31.56 kΩ × 100% オフセット誤差 (%FSR) = 126.25 kΩ – R12 × 100% 0.25 126 . 25 kΩ ゼロ出力(4 mA)での全誤差は利得誤差の影響を受けま せん。 ただし、フルスケール出力(20 mA)での全誤差は次のよ うになります。 フルスケール誤差 = 利得誤差 + オフセット誤差 実際の回路では、最も近い EIA 規格の 0.1%抵抗器の値 を選択する必要があるので、これまでの式で示したよ うな固定利得誤差と固定オフセット誤差が生じます。2 つの 0.1%値を組み合せて計算値に近づけることは可能 です。たとえば、0.1%抵抗を以下のように直列に組み 合わせると計算値に非常に近くなります。 • R9 = 30.9 kΩ + 655 Ω = 31.555k Ω (計算値 = 31.56 kΩ) I 8 = 100 × I 10 V REF = • R3 = 1 kΩ + 8.06 Ω = 1008.06 Ω (計算値 = 1008 Ω) R10 と R8 の比が 100:1 なので、 R12 = I LH したがって、R9 の値は次式で計算することができます。 U2A 電源には 0.2 V のヘッドルームが必要です。した がって次のようになります。 R3 = I 10 = • R12 = 124 kΩ + 2.26 kΩ = 126.26 Ω (計算値 = 126.25 Ω). これらの組み合わせを使って計算した誤差は以下のよ うになります。 • オフセット誤差 = –0.008% FSR • 利得誤差 = +0.010% FSR • フルスケール誤差 = +0.002% FSR ただし、場合によっては、0.1%抵抗の標準的な値であ っても抵抗器メーカーから入手できないことがあり、 替わりのものが必要になることがあります。 - 4/7 - 回路ノート たとえば、EVAL-CN0289-EB1Z ボードで供給される抵 抗は以下のとおりです。 • R3 = 1000 Ω (計算値 = 1008 Ω) • R9 = 31.6 kΩ (計算値 = 31.56 kΩ) • R12 = 124 kΩ (計算値 = 126.25 kΩ) ボードで与えられている値を使うと、抵抗値による誤 差は以下のようになります。 • オフセット誤差 = +0.45% FSR • 利得誤差 = +0.66% FSR • フルスケール誤差 = +1.11% FSR 電圧リファレンス ブリッジの駆動電圧または駆動電流を設定し、4 mA の ゼロ・オフセットを設定するのに ADR02 5 V リファレ ンスが使われています。その初期精度は 0.1% (A グレ ード)、0.06% (B グレード)、電圧ノイズは 10 µV p-p で す。さらに、36V までの電源電圧で動作し、消費電流 は最大 1 mA なので、ループ駆動アプリケーションに最 適です。 電圧/電流変換 4 mA~20 mA の出力は、信号成分(I9)とオフセット成分 (I12)を合わせた電流を R10 に発生させます。電流 I10 = I9 + I12 が R10 の両端に発生させる電圧が、U2B と Q1 を 介してセンス抵抗 R8 に印加されます。R8 を流れる電 流は R10 の電流の 100 倍です。したがって、ループ電 流 ILOOP は次にようになります。 I LOOP = I 8 + I 10 = 100 × I 10 + I 10 = 101 × I 10 R8 (10 Ω)と R10 (1 kΩ)の値は、許容誤差が 0.1%のもの を簡単に入手できるように選ばれています。 回路が正しく動作するには、回路電流 ICIRCUIT は最小ル ープ電流 4 mA を常に下回る必要があります。さらに、 PCB のグランドはどんな方法であれループのグランドに 接続してはならず、PCB のグランドとセンサーはループ のグランドに対して独立していなければなりません。 U2B の出力によって制御されてループ電流を発生する バイポーラ NPN トランジスタは、直線性誤差を最小に 抑えるため、利得が少なくとも 300 あるものにします。 また、ブレークダウン電圧が少なくとも 50 V あるもの にします。 出力トランジスタ Q1 は、1.1 W @ 25°C を消費できる 50 V NPN パワー・トランジスタです。回路内のワース トケースの消費電力は、36 V の VCC 電源で 0 Ω のルー プ負荷抵抗に 20 mA の出力電流が流れる場合です。こ れらの条件では、Q1 の消費電力は 0.68 W です。 回路ボードを駆動する電源電圧 VLOOP は、ループ電源 VLOOP_SUPPLY、ループ負荷 R7、およびループ電流 ILOOP に依存します。これらの値相互の関係は次式で表され ます。 CN-0289 したがって、 VLOOP_SUPPLY > 7 V + R7 × ILOOP 最大ループ電流が 20 mA、R7 = 250 Ω の場合、 VLOOP_SUPPLY > 7 V + 250 Ω × 20 mA = 12 V 最小ループ電源電圧は、ブリッジ駆動回路の設定にも 依存します。電圧駆動モードで VDRIVE = 10 V のとき、 U2A に十分なヘッドルームを保つため、電源電圧 VLOOP を 10.2 V より大きくする必要があります(図 2 参 照)。 電流駆動モードでは、U2A に十分なヘッドルームを保 つため、電源電圧 VLOOP を 11.2 V より大きくする必要 があります(図 3 参照)。 ループ電源電圧は最大 36 V に制限されています。 アクテイブ部品の誤差解析 AD8226 と ADR02 の A グレードと B グレードの場合の、 システム内のアクティブ部品による最大誤差および rss 誤差を表 2 と表 3 に示します。ADA4091-2 オペアンプ は 1 つのグレード・レベルでだけ供給されることに注 意してください。 表 2.アクティブ部品に起因する誤差(A グレード) 誤差成分 AD8226-A ADR02-A ADA4091-2 AD8226-A RSS Offset RSS Gain RSS FS Error Max Offset Max Gain Max FS Error 誤差の値 112µV 0.10% 250µV 0.15% 誤差 %FSR 0.11% 0.02% 0.16% 0.15% 0.20% 0.15% 0.35% 0.29% 0.15% 0.44% 表 3.アクティブ部品に起因する誤差(B グレード) 誤差成分 AD8226-B ADR02-B ADA4091-2 AD8226-B RSS Gain RSS Offset RSS FS Error Max Offset Max Gain Max FS Error VLOOP = VLOOP_SUPPLY – R7 × ILOOP 回路が正しく動作するには、ADR02 電圧リファレンス に十分なヘッドルームを与えるために電源電圧 VLOOP を 7 V より大きくする必要があります。 Rev. 0 誤差 Offset Offset Offset Gain - 5/7 - 誤差 Offset Offset Offset Gain 誤差の値 58µV 0.06% 250µV 0.10% 誤差 %FSR 0.06% 0.01% 0.16% 0.10% 0.10% 0.17% 0.27% 0.23% 0.10% 0.33% 回路ノート CN-0289 0.9 回路全体の精度 0.8 • オフセット誤差 = 0.29% +0.5% = 0.79% • 利得誤差 = 0.15% + 0.5% = 0.65% • フルスケール誤差 = 0.44% + 0.5% = 0.94% これらの誤差は、理想的抵抗が選択され、誤差はそれ らの許容誤差だけによると仮定しています。 回路の全誤差は 1%以下ですが、さらに誤差を減らす必 要があれば、オフセットや利得の調整機能を回路に追 加します。オフセットは、ゼロ入力で 4 mA の場合、 R12 を調整することによって較正することができます。 次に、フルスケールは、フルスケール 100 mV の入力に 対して R9 を変化させて調整することができます。オフ セットの方を最初に較正すれば、2 つの調整は独立にお こなうことができます。 回路の実際の誤差データを図 4 に示します。全出力誤 差(%FSR)は、理想的な出力電流と測定された出力電流 の差を FSR (16 mA)で割り、それに 100 を掛けて計算さ れています。 0 mV と 1 mV の間の入力の誤差は AD8226 の出力段の 飽和電圧によるもので、回路の負荷条件のにより 20 mV~100 mV の範囲で変化しうることに注意してくだ さい。すべてのレール to レール出力段は、飽和電圧(バ イポーラ出力)またはオン抵抗(CMOS 出力)のどちらか により、電源レールに近づく能力が制限されます。 出力飽和電圧によって生じる誤差が問題であれば、適 当な抵抗を+5 V リファレンスからブリッジの出力の片 側に接続することにより、ブリッジからの入力信号に オフセットを与えることができます。 AD8226 OUTPUT ZERO ERROR = +0.35% 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 GAIN ERROR = –0.47% FULL SCALE ERROR = –0.02% 0.1 0 –0.1 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100 BRIDGE OUTPUT (mV) 10947-004 抵抗のワーストケースの許容誤差 0.5%を、前に求めた アクティブ部品(A グレード)によるワーストケースの誤 差に加算すると以下のようになります。 0.7 TOTAL ERROR (%FS) 抵抗の許容誤差に起因する全誤差の妥当な近似値を得る には、クリティカルな各抵抗が全誤差に等しく影響を与 えると仮定します。クリティカルな 5 つの抵抗は、R3、 R8、R9、R10、R12 です。0.1%抵抗で構成したときの ワーストケースの許容誤差により、最大 0.5%の全抵抗 誤差が生じます。rss 誤差を仮定すると、全 rss 誤差は 0.1√5 = 0.224%となります。 図 4.3 kΩ ブリッジ、24 V ループ電源の場合のブリッジ出力 vs 出力電流の 全誤差(%FSR) バリエーション回路 この回路は示されている部品の値を使って、安定して 正確に動作することが実証されています。他の電圧リ ファレンス、高精度オペアンプおよび計装アンプをこ の設定で使用して、4 mA~20 mA のアナログ電流出力 や、この回路の他の種々のアプリケーションを開発す ることができます。 ADA4091-4 はクワッド・バージョンです。追加の高精 度オペアンプが必要であれば、デュアル・チャンネル の ADA4091-2 の代替品として使うことができます。 低コストで電源電圧範囲の広いデュアル・チャンネル の計装アンプ AD8426 も、入力チャンネルが複数ある アプリケーションに使うことができます。 高精度、低電力、低ノイズ電圧のリファレンス ADR4550 は、低電圧電源アプリケーションで ADR02 と置き換えて使うことができます。 回路の評価とテスト 必要な装置 • EVAL-CN0289-EB1Z 評価用ボード • Agilent E36311A デュアル DC 電源または相当品 • Agilent 3458A マルチメータまたは相当品 電流出力の測定 評価ボードの電流出力は図 5 に示す設定を使って測定 されました。テスト条件は以下のとおりです。 • ループ電源:24 V • ループ負荷:250 Ω • RBRIDGE = 3 kΩ • VDRIVE = 5 V • VCM = 2.5 V ブリッジ抵抗は計装アンプの両方の入力端子に接続さ れ、センサー出力をシミュレーションします。 Rev. 0 - 6/7 - 回路ノート CN-0289 テスト・セットアップの設定とテスト さらに詳しくは 回路は図 5 のテスト・セットアップを使ってテストさ れました。 CN-0289 Design Support Package: http://www.analog.com/CN0289-DesignSupport. Agilent E36311A デュアル電源を使って 2.5 V の同相電 圧と 0 mV~100 mV の差動入力電圧を発生させました。 MT-031 Tutorial, Grounding Data Converters and Solving the Mystery of AGND and DGND. Analog Devices. Agilent 3458A を使って評価ボードの実際のループ電流 出力を測定しました。 MT-035 Tutorial, Op Amp Inputs, Outputs, Single-Supply, and Rail-to-Rail Issues. Analog Devices. MT-065 Tutorial, In-Amp Noise. Analog Devices. EVAL-CN0289-EB1Z DUAL POWER SUPPLY RBRIDGE ÷ 2 J1-2 RBRIDGE ÷ 2 24V J1-4 MT-101 Tutorial, Decoupling Techniques. Analog Devices. CURRENT METER RBRIDGE VCM MT-087 Tutorial, Voltage References. Analog Devices. COM VDIFF J1-3 VOUT1 CHANNEL 1 COM1 MT-066 Tutorial, In-Amp Bridge Circuit Error Budget Analysis. Analog Devices. VOUT J2-1 Voltage Reference Wizard Design Tool. COM J1-1 PCB GND J2-2 データシートと評価用ボード I FOR TESTS, VCM = 2.5V, RBRIDGE = 3kΩ, VDRIVE = 5V 図 5.テスト・セットアップの機能ブロック図 10947-005 VOUT2 CHANNEL 2 COM2 POWER SUPPLY CN-0289 回路評価用ボード (EVAL-CN0289-EB1Z) AD8226 データシート ADA4091-2 データシート ADR02 データシート 改訂履歴 5/13—Revision 0: 初版 「Circuits from the Lab/実用回路集」はアナログ・デバイセズ社製品専用に作られており、アナログ・デバイセズ社またはそのライセンスの供与者の知的所有物です。お客様は製 品設計で「Circuits from the Lab/実用回路集」を使用することはできますが、その回路例を利用もしくは適用したことにより、特許権またはその他の知的所有権のもとでの暗示的 許可、またはその他の方法でのライセンスを許諾するものではありません。アナログ・デバイセズ社の提供する情報は正確でかつ信頼できるものであることを期しています。しか し、「Circuits from the Lab/実用回路集」は現状のまま、かつ商品性、非侵害性、特定目的との適合性の暗示的保証を含むがこれに限定されないいかなる種類の明示的、暗示的、 法的な保証なしで供給されるものであり、アナログ・デバイセズ社はその利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許権もしくはその他の権利の侵害に関して一切の 責任を負いません。アナログ・デバイセズ社はいつでも予告なく「Circuits from the Lab/実用回路集」を変更する権利を留保しますが、それを行う義務はありません。商標および 登録商標は各社の所有に属します。 ©2013 Analog Devices, Inc. All rights reserved. 商標および登録商標は、それぞれの所有者の財産です。 CN10947-0-5/13(0) Rev. 0 - 7/7 -