参考回路:日本語版

日本語参考資料
最新版英語回路ノートはこちら
回路ノート
CN-0300
使用したリファレンス・デバイス
テスト済み回路設計集“Circuits from the Lab™ ”は共
通の設計課題を対象とし、迅速で容易なシステム
統合のために製作されました。さらに詳しい情報
又は支援は http://www.analog.com/jp/CN0300 をご覧
ください。
ADuCM360
24 ビット Σ-Δ ADC 内蔵 Cortex-M3
ベースのマイクロコントローラ
ADP1720-3.3
低ドロップアウト・リニアーレギ
ュレータ
ARM Cortex-M3 を使用した 12-Bit、4-20mA、ループ駆動熱電対測定システム
種デジタル・ペリフェラル(UART、タイマー、SPI/ I2C イン
ターフェースなど)と共に、デュアル・24 ビット・シグマ・
デルタ(Σ-Δ) A/D コンバータ (ADCs)、デュアル・プログラマ
ブル電流源、 12 ビット・D/A コンバータ(DAC)、1.2 V 内部
リファレンスを集積しています。
評価および設計サポート環境
回路評価ボード
CN-0300 評価用ボード(EVAL-CN0300-EB1Z)にはアナロ
グ・デバイセズ 社の J-Link OB エミュレータ (USBSWD/UART-EMUZ)が含まれています
この回路では、ADuCM360 に T タイプ熱電対と 100Ω 白金測
温抵抗体(RTD)を接続します。冷接点補償に RTD を使用しま
す。低消費電力 Cortex-M3 コアは ADC の読み出し値を実際の
温度測定値に変換します。T タイプの使用温度範囲である
−200°C ~ +350°C が、4 mA ~ 20 mA の出力電流範囲に変換
されます。
設計および統合ファイル
回路、レイアウト・ファイル、部品表、ADuCM360 用ソ
ース・コード
回路の機能とその利点
高精度熱電対温度監視アプリケーション向けのこの回路は、
高精度アナログ・マイクロコントローラ ADuCM360 を使用し
て、4 mA to 20 mA 出力電流を制御します。ADuCM360 は
ARM Cortex-M3 コア、126 kB フラッシュ、 8 kB SRAM、各
この回路は熱電対測定を最小の外付け部品点数で実現できる
完全なソリューションです。 ループ電圧で駆動され、ループ
電圧は最大 28V まで対応しています。
3.3V
ADP1720-3.3
VLOOP
IN
10µF
1.6Ω
OUT
GND
10µF
FERRITE BEAD
600Ω AT 100MHz
MURATA
BLM31AJ601SN1L
INTERFACE
BOARD
CONNECTOR
RESET
SWDIO
DAC
10Ω
100Ω
PtRTD
ADC0
10Ω
NC
AIN9
AIN8
VREF+
5.6kΩ
0.1%
VREF–
RESET
AIN2
P2.2/BM
10nF
RESET
SD
AIN3
10nF
0.47µF
AGND
10955-001
AIN7/VBIAS
P0.2/SOUT
DVDD_REG
P0.1/SIN
10kΩ
THERMOCOUPLE
JUNCTION
100kΩ
ADuCM360
IOVDD
10kΩ
VLOOP–
100kΩ
ADC1
0.01µF
RREF
NPN
BC548
RLOOP
47Ω
0.01µF
SWCLK
VLOOP+
IOVDD
AVDD
SIN
IOVDD
CURRENT
METER
0.1µF
IEXC
SOUT
SWCLK
0.1µF
RESET
GND
SWDIO
10µF
図 1.熱電対インターフェース付き温度モニターコントローラーとして構成した ADuCM360
(簡略回路図、接続の一部は省略されています)
アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に関して、あるいは利用に
よって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利
の使用を明示的または暗示的に許諾するものでもありません。仕様は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標
は、各社の所有に属します。※日本語資料は REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。
Rev. C
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本
社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル
電話 03(5402)8200
大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー
電話 06(6350)6868
CN-0300
回路ノート
•
このアプリケーションには ADuCM360 の次の特徴が利用され
ています。
•
•
•
•
•
•
•
•
柔軟性のあるオンチップの出力バッファ付き 12 ビット
DAC 出力を使用して外部 NPN トランジスタ(BC548)
を制御します。このトランジスタの VBE を制御する事に
より、負荷抵抗 47 Ω を流れる電流を希望値に設定する事
ができます。NPN モードを選択した時、AIN8 ピンには
バッファ付き内蔵 1.2V 基準電圧が表れます。
DAC は 12 ビットの単調増加性があります;しかし DAC
出力の精度は標準で約 3LSB です。さらに、バイポー
ラ・トランジスタには直線性誤差があります。DAC 出力
の精度を向上し、オフセットとゲインのエンドポイント
誤差を低減するために、ADC0 は負荷抵抗(RLOAD)両端電
圧を反映するフィードバック電圧を(AIN9 ピン)測定し
ます。この ADC0 の読み取り値を基本に、ソース・コー
ド内で DAC 出力を修正します。この方法より 4 mA to 20
mA 出力は±0.5°C の精度になります。
熱電対/RTD 用にソフトウェアでゲインを 32 に設定され
た PGA 付きの 24 ビット Σ-Δ ADC。ADC1 は熱電対電圧
と RTD 電圧を連続的に切り替えてサンプリングを行いま
す。
プログラマブルな励起電流源は制御電流を RTD に強制的
に流します。このデュアルの電流源は 0 μA から 2 mA ま
で段階的に設定可能です。この例では、RTD の自己発熱
によって生ずる誤差を最小限にするために 200 µA に設定
されます。
ADuCM360 の ADC 用に 1.2 V 電圧リファレンスが内蔵さ
れています。熱電対電圧を測定する時は、この高精度の
内部電圧リファレンスを使用します。
ADuCM360 内蔵 ADC 用外付け電圧リファレンス。RTD
抵抗を測定する時にはレシオメトリック構成を採用し、
VREF+ ピンと VREF− ピン間に外付けリファレンス抵抗
(RREF)を接続しました。この回路のリファレンス源は高
インピーダンスなので、内部リファレンス入力バッファ
はイネーブルになります。リファレンス・バッファを内
蔵しているので、外付けバッファが必要なく入力リーク
の影響を最小限にできます。
バイアス電圧発生器 (VBIAS)。熱電対の同相電圧を
AVDD_Reg/2 (900 mV)に設定するために VBIAS 機能を利
用します。この VBIAS 機能を内蔵しているので熱電対の
同相電圧を設定するための外付け抵抗は必要ありません。
ARM Cortex-M3 コア。126 kB フラッシュと 8 kB SRAM
を集積した強力な 32 ビット ARM コアはユーザ・コード
を実行し、ADC の設定、制御を行い、熱電対と RTD の
入力からの ADC 変換結果を最終的な温度値に変換しま
す。その ARM コアは又、AIN9 の電圧レベルからの閉ル
ープ・フィードバックを利用して、DAC 出力を制御し、
この DAC 出力を連続的にモニターします。この ARM コ
アは、デバッグ用の UART/USB インターフェースを介し
た通信も制御します。
•
•
ホスト PC との通信インターフェースとして UART が使
用されます。UART は ADuCM360 の内部フラッシュをプ
ログラムするために使用されます。UART はデバック・
ポートとしても使用され、DAC と ADC のキャリブレー
ションにも使用されます。
ADuCM360 をフラッシュ・ブート・モードにするために
2 個の外部スイッチを使用します。SD を”ロー”にしなが
らリセットボタンをトグルする事により、ADuCM360 は
ノーマル・ユーザ・モードの代わりにブート・モードに
なります。ブート・モードでは UART インターフェース
を通して内蔵フラッシュを再設定する事が出来ます。
J1 コネクタ(8 ピン、デュアル・ライン・コネクタ)は
CN-0300 ハードウェアとともに提供されるアナログ・デ
バイセズ社の J-link OB エミュレータに接続します。これ
によりこのアプリケーション・ボードのプログラミング
とデバックが可能になります。図 3 を参照してください。
熱電対と RTD が発生する信号は極めて小さいので、それらの
信号を増幅するためにプログラマブル・ゲイン・アンプ
(PGA)が必要となります。
このアプリケーションで使用する熱電対は温度範囲が−200°C
~ +350°C の T タイプ(銅ーコンスタンタン)です。 その感
度は約 40 µV/°C なので、PGA のゲインを 32 に設定する事に
より、バイポーラモードでの ADC は熱電対の全温度範囲をカ
バーできる事になります。
RTD は冷接点補償に使用されます。この回路で実際に使用し
た RTD は、白金 100 Ω RTD(Enercorp 社 PCS 1.1503.1)で
す。それは 0805(表面実装パッケージ)で供給可能です。こ
の RTD の温度変化は 0.385 Ω/°C です。
リファレンス抵抗(RREF)は高精度の 5.6 kΩ (±0.1%)を使用す
る必要がある事に注意してください。
回路基板は、大面積のグランドプレーンを含む多層 PC ボー
ド(PCB) で構成してください。適正な性能を得るには正しい
レイアウト、グラウンディング、デカプリング技術が必要で
す(Tutorial MT-031「データ・コンバータのグラウンディン
グと、「AGND」および「DGND」に関する疑問の解消」
Tutorial MT-101, Decoupling Techniques, and the ADuCM360TCZ
Evaluation Board layout をご覧ください)。
この回路の評価に使用される PCB を図 2 に示します。
10955-002
回路の説明
図 2.この回路に使用される EVAL-CN0300-EB1Z ボード
Rev. C
-2/7 -
CN-0300
10955-003
10955-104
回路ノート
図 3.アナログ・デバイセズ社 J-link OB エミュレータに
接続した EVAL-CN0300-EB1Z
アナログ・デバイセズ社の J-Link OB エミュレータ(USBSWD/UART-EMUZ) は下記の内容をサポートします:
•
•
•
ダウンロードとデバッグを行うには、LK1、LK2、 LK4、
LK6 のジャンパーを挿入する必要があります。 UART 経由で
通信するには LK3 と LK5 のジャンパーが必要です。J-Link
OB に必要なソフトウェアはソフトウェアのインストール・フ
ァイルに含まれています。
従来の ADuCM360 開発システムに同梱されていた J-Link Lite
とインターフェース・ボードは、J-Link OB エミュレータに置
き換わっていますので注意してください。
詳細については UG-457, ADuCM360 Development Systems
Getting Started Tutorial を参照してください。
回路をテストするために使用されるソース・コードへのリン
クは CN-0300 Design Support Package at
http://www.analog.com/CN0300-DesignSupport に載っています。
ソース・コードはサンプルコードと共に提供される機能ライ
ブラリを使用します。図 6 は Keil µVision4 ツールで表示した
時のプロジェクトに使用されるソース・ファイルのリスト・
ビューです。
10955-004
•
PC の USB ポートに接続すると、PC の COM ポート
(仮想シリアルポート)に接続する事もできます。
これはキャリブレーション・ルーチンの実行に必要
です。
ADuCM360 に対して、SW (Serial Wire) デバッグとプ
ログラミングが可能です。
この USB ポートを使用する事により UART を介し
たダウンローダを使用してデバイスのプログラムが
できます。
図 4 はエミュレータ・ボードの上面図を示します。
コネクタ J2 を EVAL-CN0300-EB1Z ボードに差込み
ます。コネクタ J2 のピン接続を図 5 に示します。
図 5.コネクタ J2
図 6.µVision4 で表示したソース・ファイル
コードのキャリブレーション・セクション
10955-103
ADC と DAC のキャリブレーション・ルーチンをイネーブル
又はディスエーブルするために(ADC1 や DAC のキャリブレ
ーション)コード内の#define 値で設定/調整する事ができます。
図 1.アナログ・デバイセズ社 j-Link OB エミュレータ
上面図
ADC 又は DAC をキャリブレーションするには、アナログ・
デバイセズ社の J-Link OB エミュレータ(USB-SWD/UARTEMUZ)を J1 と PC の USB ポートに接続する必要があります。
(Windows のハイパー・ターミナルのような)COM ポートと
通信可能なプログラムを使って、キャリブレーション・ルー
チンのキャリブレーションのメニューとステップを見る事が
できます。
ADC をキャリブレーションする時、ソース・コードはユーザ
にゼロスケール電圧とフルスケール電圧を AIN2 と AIN3 に接
続する事を要求します。AIN2 は正入力である事に注意してく
ださい。キャリブレーション・ルーチンの完了時に、
ADC1INTGN レジスタと ADC1OF レジスタの新しいキャリブ
レーション値が内蔵フラッシュに保存されます。
Rev. C
-3/7 -
CN-0300
回路ノート
一定数の熱電対電圧は配列に保存されます。温度の中間値は
隣接する 2 点間で線形補間を行う事により計算します。
図 8 は ADuCM360 の ADC1 を使用して、熱電対の動作範囲全
体にわたり 52 の熱電対電圧を測定した時に得られた誤差を示
します。全体のワーストケース誤差は<1°C です。
0.5
0.4
0.3
0.2
ERROR (°C)
DAC をキャリブレーションする時、高精度電流計を通して
VLOOP+出力を接続してください。DAC キャリブレーショ
ン・ルーチンの最初の部分は 4 mA 出力を設定するために
DAC をキャリブレーションし、DAC キャリブレーション・
ルーチンの 2 番目の部分は 20 mA 出力を設定するために DAC
をキャリブレーションします。4 mA ~ 20 mA 出力の設定に
使用される DAC コードはフラッシュに保存されます。4 mA
と 20 mA の最終設定時の AIN9 の測定電圧も記録されフラッ
シュに保存されます。AIN9 の電圧は RLOOP を通して流れる
電流と直線的な関係にあるので、これらの値は DAC の調整フ
ァクタを計算するために使用されます。このクローズド・ル
ープ回路は DAC に多少の直線性誤差がある事を意味しますが、
トランジスタを使用した回路と内蔵 24 ビット Σ-Δ ADC を使
って微調整されます。
UART はボーレート 9600bps、8 データ・ビット、パリティ無
し、フローコントロール無しに設定します。回路基板が PC
に接続されていれば、図 7 に示すように、プログラムによっ
て UART に送信された結果を(Windows のハイパー・ターミ
ナルのような)通信ポート表示アプリケーションを使って見
る事ができます。
0.1
0
–0.1
–0.2
–0.3
–0.5
–210
–140
–70
0
70
140
210
TEMPERATURE (°C)
表示ターミナル上で必要な文字などを入力することで、
ADuCM360 はキャリブレーション・ルーチンで必要な指示な
どを UART ポートを介して受信します。
280
350
10955-006
–0.4
図 8.ADuCM360/ADuCM361 で測定した 52 のキャリブレーシ
ョン点を使用して区分的線形近似を行った時の誤差
RTD の温度はルックアップ・テーブルを使って計算され、
RTD についても熱電対に対する方法と同じ方法で処理されま
す。ただし RTD はその温度を抵抗の関数として表す多項式が
異なる事に注意してください。
RTD のリニアライゼーションと性能の最適化に関する詳細は、
Application Note AN-0970, RTD Interfacing and Linearization
Using an ADuC706x Microcontroller を参照してください。
10955-005
コードの温度 to 電流出力セクション
図 7. DAC をキャリブレーションする時の
ハイパー・ターミナルの出力
一度最終温度が測定されたら、RLOOP を通して必要な電流が流
れるように DAC の出力電圧を適切な値に設定します。入力温
度範囲は−200°C ~ +350°C と予想されます。コードは-200°C
を 4mA に、+350°C を 20 mA に設定します。コードは図 9 に
示すようなクローズド・ループ回路を実行し、AIN9 のフィー
ドバック電圧が ADC0 によって測定されますが、その値が
DAC 出力の設定を補正するために使用されます。
FineTuneDAC(void)関数がこの補正を行います。
最高の結果を得るために、この回路の性能テストを始める前
に DAC をキャリブレーションしてください。
コードの温度測定セクション
温度の測定値を得るためには、熱電対と RTD の温度を測定し
ます。RTD 温度はルックアップ・テーブルを用いてその等価
熱電対電圧に変換されます(ISE 社、表 ITS-90 の T タイプ熱
電対を参照してください)。この 2 つの電圧は加算され、熱
電対での絶対値が得られます。
最初に熱電対の 2 線間電圧 (V1) が測定されます。RTD 電圧が
測定され、ルックアップ・テーブルを使ってそれが温度に変
換され、次にこの温度はその等価熱電対電圧(V2)に変換され
ます。次に V1 と V2 は加算され全体の熱電対電圧を得て、最
後にその値は温度測定値に変換されます。
Rev. C
-4/7 -
CN-0300
回路ノート
VLOOP+
DAC
初期キャリブレーションが行われる時と VDAC 出力のクロー
ズド・ループ制御が使われた時の回路の性能は 0.5°C の温度
値になりますが、それは DAC 出力回路によって明らかになり
ます。DAC と外付けトランジスタ回路による非直線性誤差は
24 ビット ADC により調整されます。温度はゆっくり変化す
る入力パラメータなので、このクローズド回路はこのアプリ
ケーションに理想的です。図 11 は理想的な DAC 出力を青で
示し、クローズド・ループ制御無しの実際の DAC 出力
(DAC 出力を補正するために ADC0を使用しない)を赤で
示します。誤差はクローズド・ループ制御無しで>10°C にな
ります。
NPN
BC548
RLOOP
47Ω
VLOOP–
100kΩ
AIN8
(BUFFERED VREF )
10955-007
100kΩ
AIN9
ADC0
25
図 9 クローズド・ループ制御の 4 mA to 20 mADAC 出力
20
CURRENT OUTPUT (mA)
デバックの目的で、通常動作の間、下記の文字列は UART で
PC に送信されます(図 10 を参照)。
15
ACTUAL CURRENT
10
IDEAL CURRENT
0
–200 –150 –100
–50
0
50
100
150
200
250
350
TEMPERATURE (°C)
10955-009
5
10955-008
図 11. 温度(°C)対電流出力(mA) (青=理想値、
赤=オープン・ループ動作:補正無しの DAC 出力)
図 10 デバッグに使用される UART の文字列
図 12 は推奨されるクローズド・ループ制御を使用した場合の
グラフです。誤差は小さく、理想値から 0.5°C 以下です。
25
バリエーション回路
標準的な UART to RS-232 インターフェースには、FT232R ト
ランシーバがありますが、これを ADM3202(3V 電源を必要
とする)のようなデバイスと置き換える事ができます。また、
より広い温度範囲の測定にはタイプ J のような異なる熱電対
が使用できます。冷接点補償誤差を最小限にするために、サ
ーミスタを PCB 上に配置する代わりに実際の冷接点に接触し
て配置する事ができます。
CURRENT OUTPUT (mA)
20
冷接点温度の測定に RTD と外付けリファレンスを使用する代
わりに、外部デジタル温度センサを使用する事ができます。
たとえば、ADT7410 を I2C インターフェースを介して
ADuCM360 に接続する事ができます。
10
0
–200
–100
0
100
200
TEMPERATURE (°C)
300
400
10955-010
5
冷接点補償についての詳細は Sensor Signal Conditioning,
Analog Devices, Chapter 7, “Temperature Sensors.”を参照してく
ださい。
図 2. 温度(°C)対電流出力(mA)
(青=理想値、赤=クローズド・ループ動作:
ADC 測定による補正有りの DAC 出力)
もし USB コネクタとこの回路の間にアイソレーションが必要
な場合にはアイソレーション製品 ADuM3160/ADuM4160 を追
加する必要があります。
熱電対測定テスト
回路の評価とテスト
基本的なテストの構成を図 13 に示します。熱電対を J2 に接
続します。
電流出力の測定
DAC と外付け電圧/電流変換回路は、同時に性能テストを実施
しました。
図 1.に示すように、電流計は VLOOP+に直列に接続しました。
使用したメータは HP 34401A です。
Rev. C
ACTUAL CURRENT
IDEAL CURRENT
15
回路の性能を評価するために 2 つの方法を使用しました。最
初は、ボードに接続した熱電対を使って回路をテストしまし
た。具体的にはその熱電対を使いアイスボックスの温度を測
定し、次にその熱電対を使い沸騰水の温度を測定しました。
-5/7 -
CN-0300
回路ノート
0
図 13 に示すように、誤差を十分に評価するために Wavetek 社
の多機能校正器 4808 を使用しました。このテストでは熱電対
をこの校正器に置き換え、校正器を電圧源として使用しまし
た。T タイプ熱電対の全範囲を評価するために、校正器を使
用して、T タイプ熱電対の負と正の範囲に対応する−200°C ~
+350°C の範囲の 52 ポイントに等価の熱電対電圧を設定しま
した(ISE 社の表 ITS-90 の T タイプ熱電対を参照)。図 8 に
テスト結果を示します。
–0.01
–0.02
ERROR (°C)
–0.03
性能チェックを行う時や CN-0300 回路を通常動作に使う時に
は J-Link OB エミュレータが EVAL-CN0300-EB1Z ボードとは
接続されていない事を確認してください J-Link OB は EVALCN0300-EB1Z ボードをプログラム、キャリブレーション、デ
バッグする時のみに使用します。
–0.08
–0.09
–0.10
–25
15
35
55
75
95
115
TEMPERATURE (°C)
電流測定テスト
AIN7/VBIAS
全回路は通常動作時に 2.25 mAtyp 消費します。リセット状態
の時では全回路の消費電流は 600 µA.以下です。
USB
CABLE
WAVETEK 4808
MULTIFUNCTION
CALIBRATOR
10955-011
PC
図 13. 全熱電対出力電圧範囲にわたって回路を調整、
テストするために使用したテスト構成
CN-0300 回路の性能チェックを行う時や通常動作に使う時に
は J-Link OB エミュレータが EVAL-CN0300-EB1Z ボードとは
接続されていない事を確認してください J-Link OB は EVALCN0300-EB1Z ボードをプログラム、キャリブレーション、デ
バッグする時のみに使用します。
ADuCM360 の電流消費量についての詳細は、Application Note
AN-1111 を参照してください。
RTD 測定テスト
RTD 回路とリニアライゼーション・ソースコードを評価する
ために、ボードの RTD を高精度に調整可能な抵抗源と置き換
えました。使用した計器は十進抵抗器 1433-Z です。RTD 値は
90 Ω~140 Ω ですが、これは RTD の温度範囲−25°C ~ +114°C
に相当します。
RTD を測定するテスト構成回路を図 14 に示します。そして
RTD テストの誤差結果を図 15 に示します。
AVDD
IOVDD
0.1µF
0.1µF
AVDD
IOVDD
AIN5/IEXC
10Ω
AIN0
0.01µF
0.01µF
AIN1
ADuCM360
VREF+
VREF–
10955-012
10Ω
図 14. RTD 誤差測定のためのテスト・セットアップ
Rev. C
–5
EVAL-CN0300-EB1Z
図 15. 区分的線形近似コードと ADC0 測定値を用いた
RTD 測定を°C で表した誤差
SEE TEXT
RREF
5.6kΩ
0.1%
–0.06
–0.07
THERMOCOUPLE
JUNCTION
1433-Z
DECADE
RESISTOR
–0.05
10955-013
J2
–0.04
-6/7 -
CN-0300
回路ノート
さらに詳しい資料
データシードと評価ボード
CN-0300Design Support package:http://www.analog.com/CN0268DesignSupport.
ADuCM360/ADuCM361 データシート
ADIsimPower Design Tool.
Kester, Walt.1999Sensor Signal Conditioning.Analog Devices.Chapter
7, "Temperature Sensors."
Kester, Walt.1999Sensor Signal Conditioning.Analog Devices.Chapter
8, "ADCs for Signal Conditioning."
AN-0970 Application Note:RTD Interfacing and Linearization
Using an ADuC706x Microcontroller.Analog Devices.
MT-022 Tutorial:ADC Architectures III:Sigma-Delta ADC
Basics.Analog Devices.
MT-023 Tutorial:ADC Architectures IV:Sigma-Delta ADC
Advanced Concepts and Applications.Analog Devices.
MT-031 Tutorial:Grounding Data Converters and Solving the
Mystery of "AGND" and "DGND."Analog Devices.
MT-101 Tutorial:Decoupling Techniques.Analog Devices.
ITS-90 Table for Type T Thermocouple.
ADuCM360/ADuCM361 評価用キット
ADM3202 UART to RS232 トランシーバ・データシート
ADP1720 データシート
改訂履歴
12/13—Rev. B to Rev. C
回路の説明のセクションを変更....................................................... 3
8/13—Rev. A to Rev. B
タイトルを変更 .................................................................................. 1
5/13—Rev. 0 to Rev. A
USB-SWD/UART and SEGGER J-Link Lite Board を J-Link OB
Emulator に変更 ..................................................................... Universal
回路の説明セクションを変更 .......................................................... 2
図 3 とコード・セクションのキャリブレーション・セクション
を変更 ; 図 4 と 図 5 を追加、数字を順番に付け直す ................ 3
図 9 を変更 .......................................................................................... 4
熱電対測定テストのセクションと電流測定テストのセクション
を変更 .................................................................................................. 6
データシートと評価用ボードのセクションを変更 ....................... 7
10/12—Revision 0:初版
「Circuits from the Lab/実用回路集」はアナログ・デバイセズ社製品専用に作られており、アナログ・デバイセズ社またはそのライセンスの供与者の知的所有物です。お客さ
まは製品設計で「Circuits from the Lab/実用回路集 」を使用することはできますが、その回路例を利用もしくは適用したことにより、特許権またはその他の知的所有権のも
とでの暗示的許可、またはその他の方法でのライセンスを許諾するものではありません。アナログ・デバイセズ社の提供する情報は正確でかつ信頼できるものであることを
期しています。しかし、「Circuits from the Lab/実用回路集 」は現状のまま、かつ商品性、非侵害性、特定目的との適合性の暗示的保証を含むがこれに限定されないいかな
る種類の明示的、暗示的、法的な保証なしで供給されるものであり、アナログ・デバイセズ社はその利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許権もしくはそ
の他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。アナログ・デバイセズ社はいつでも予告なく「Circuits from the Lab/実用回路集 」を変更する権利を留保しますが、そ
れを行う義務はありません。 商標および登録商標は各社の所有に属します。
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