LTC1503-1.8 - 高効率インダクタ不要 降圧DC/DC

LTC1503-1.8/LTC1503-2
高効率インダクタ
不要降圧DC/DCコンバータ
特長
概要
■
LTC®1503-1.8/LTC1503-2は、2.4V∼6Vの入力から安定化出
力を生成するスイッチト・キャパシタ降圧DC/DCコンバー
タです。このデバイスは、スイッチト・キャパシタによる
分数変換を使用して、全入力範囲にわたって高効率を達成
します。インダクタは不要です。内部回路によって降圧変
換比を制御し、入力電圧と負荷条件の変化に応じて効率を
最適化します。標準効率は低ドロップアウト(LDO)リニ
ア・レギュレータより25%高くなっています。
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
入力電圧範囲:2.4V∼6V
固定出力電圧:1.8V±4%、2V±4%
出力電流:最大100mA
インダクタ不要
LDOより25%高い標準効率
低動作電流:25µA
低シャットダウン電流:5µA
600kHzスイッチング周波数
シャットダウンでVINから負荷を切断
ソフトスタートによりターンオン時の突入電流を制限
短絡および過熱保護
8ピンMSOPおよびSOパッケージで供給
アプリケーション
■
■
■
■
■
■
セルラー電話
ハンドヘルド・コンピュータ
スマート・カード・リーダ
低電力DSP電源
携帯用電子機器
ハンドヘルド医療機器
安定化は出力電圧を検知し、固定出力電圧を維持するのに
必要な内部スイッチング・ネットワークをイネーブルする
ことによって実行されます。この安定化方法によって、こ
れらのデバイスは極端に軽い負荷でも高効率を達成するこ
とが可能です。消費電流が低く
(無負荷時に25µA、シャッ
トダウン時に5µA)、外付け部品点数も少ないため(1µFフ
ライング・コンデンサ2個と10µFバイパス・コンデンサ2
個)
、LTC1503-1.8/LTC1503-2はスペースに余裕がないバッ
テリ電源アプリケーションに最適です。これらのデバイス
は、完全に短絡および加熱保護されています。
LTC1503-1.8/LTC1503-2は、8ピンMSOPとSOパッケージ
で供給されます。
、LTC、LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。
標準的応用例
効率と入力電圧
100
IOUT = 100mA
Li-Ion 1セルから2VのDC/DCコンバータ
4
1-CELL Li-Ion OR
3-CELL NiMH
VIN
VOUT
1
2
10µF
1µF
8
C1–
C2 –
3
6
C1+
C2 +
5
7
SHDN/SS GND
10µF
VOUT = 2V
IOUT = 100mA
1µF
EFFICIENCY (%)
80
LTC1503-2
IOUT = 1mA
60
“IDEAL” LDO
40
1503-1.8/2 TA01
LTC1503-2
VOUT = 2V
20
2
3
4
5
6
INPUT VOLTAGE (V)
1503-1.8/2 TA02
1
LTC1503-1.8/LTC1503-2
絶対最大定格 (Note 1)
GNDに対するVIN、C1+、C1−、C2+、C2− ... −0.3V∼6.5V
GNDに対するSHDN/SS................ −0.3V∼(VIN+0.3V)
VOUT短絡時間 ........................................................... 無限
コマーシャル温度範囲 ............................. −40℃∼85℃
インダストリアル温度範囲 ...................... −40℃∼85℃
規定温度範囲(Note 2)............................. −40℃∼85℃
保存温度範囲 ......................................... −65℃∼150℃
リード温度(半田付け、10秒)............................... 300℃
パッケージ/発注情報
ORDER PART
NUMBER
TOP VIEW
VOUT
C1–
C1+
VIN
1
2
3
4
8
7
6
5
C2 –
GND
C2+
SHDN/SS
LTC1503CMS8-1.8
LTC1503CMS8-2
MS8 PACKAGE
8-LEAD PLASTIC MSOP
MS8 PART MARKING
TJMAX = 125°C, θJA = 200°C/W
LTFX
LTHN
ORDER PART
NUMBER
TOP VIEW
VOUT 1
8 C2 –
–
7 GND
C1
2
C1+ 3
6 C2+
VIN 4
5 SHDN/SS
LTC1503CS8-1.8
LTC1503CS8-2
LTC1503IS8-1.8
LTC1503IS8-2
S8 PART MARKING
S8 PACKAGE
8-LEAD PLASTIC SO
TJMAX = 125°C, θJA = 150°C/W
150318
15032
503I18
1503I2
ミリタリ・グレードに関してはお問い合わせください。
電気的特性
● は全動作温度範囲の規格値を意味する。それ以外はTA=25℃での値。注記がない限り、VIN=VIN(MIN)∼VIN(MAX)、C1=C2=
1µF、CIN=COUT=10µF
PARAMETER
CONDITIONS
MIN
VIN Operating Voltage
TYP
MAX
UNITS
6
V
1.8
2.0
1.872
2.080
V
V
●
2.4
VOUT
LTC1503-1.8, 0mA < IOUT < 100mA
LTC1503-2, 0mA < IOUT < 100mA
●
●
1.728
1.920
VIN Operating Current
IOUT = 0mA
●
25
50
µA
VIN Shutdown Current
SHDN/SS = 0V
●
5
10
µA
Output Ripple Voltage
LTC1503-X, VIN = 3.6V, IOUT = 100mA
25
Efficiency
LTC1503-2, VIN = 3.6V, IOUT = 100mA
82.9
%
Switching Frequency
Oscillator Free Running
600
kHz
SHDN/SS Input Threshold
mVP-P
●
0.2
0.35
0.5
V
SHDN/SS Input Current
VSHDN/SS = 0V (Note 3)
VSHDN/SS = VIN
●
●
– 3.5
–1
–2
–1
1
µA
µA
VOUT Short-Circuit Current
VOUT = 0V (Note 4)
●
8
22
50
mA
VOUT Turn-On Time
CSS = 0nF, VIN = 3.6V, COUT = 10µF
CSS = 10nF
Note 1:絶対最大定格はそれを超えるとデバイスの寿命に影響を及ぼす値。
Note 2:LTC1503Cは0℃∼70℃の温度範囲で仕様性能に適合することが保証さ
れている。またこれらの拡張温度リミットに適合するように設計され、特性が
定められ、適合することが見込まれているが、−40℃と85℃ではテストされて
いない。LTC1503Iは拡張温度リミットに適合することが保証されている。
2
0.1
8
ms
ms
Note 3:デバイスに流入する電流を正とする。デバイスから流出する電流を負
とする。
Note 4:VOUTが150mV未満のとき、出力デバイスへの損傷を防止するために、
IOUTは最大定格出力電流よりかなり低く制限される。
LTC1503-1.8/LTC1503-2
標準的性能特性
LTC1503-X入力動作電流と
入力電圧
50
1.90
10
VOUT = 0V
VSHDN/SS = 0V
40
TA = –40°C
30
TA = 85°C
TA = 25°C
20
2
4
3
5
7.5
TA = –40°C
5
TA = 85°C
TA = 25°C
2.5
0
6
IOUT = 50mA
1.85
TA = –40°C
1.80
TA = 25°C
4
3
5
6
2
100
LTC1503-1.8
効率と出力電流
80
TA = 85°C
TA = 25°C
1.95
EFFICIENCY (%)
TA = –40°C
TA = 25°C
IOUT = 100mA
80
EFFICIENCY (%)
2.05
100
TA = 25°C
IOUT = 50mA
IOUT = 1mA
60
“IDEAL”
LDO
60
40
VIN = 5V
VIN = 4.4V
VIN = 3.6V
VIN = 3V
VIN = 2.4V
40
20
2
4
3
5
20
6
2
3
INPUT VOLTAGE (V)
4
1.84
VIN = 5V
VIN = 4.4V
VIN = 3.6V
VIN = 3V
VIN = 2.4V
0.1
10
100
1
OUTPUT CURRENT (mA)
1000
1503-1.8/2 G07
OUTPUT VOLTAGE (V)
EFFICIENCY (%)
40
2.04
VIN = 3.3V
VIN = 3.3V
2.02
TA = –40°C
1.80
TA = 85°C
1.78
TA = 25°C
1.76
1.74
0.01
1000
LTC1503-2
出力電圧と出力電流
1.82
80
60
10
100
1
OUTPUT CURRENT (mA)
1503-1.8/2 G06
LTC1503-1.8
出力電圧と出力電流
TA = 25°C
20
0.1
1503-1.8/2 G05
LTC1503-2
効率と出力電流
0
0.01
0
0.01
6
INPUT VOLTAGE (V)
1503 G03
100
5
OUTPUT VOLTAGE (V)
1.90
6
1503-1.8/2 G03
LTC1503-1.8
効率と入力電圧
2.10
5
INPUT VOLTAGE (V)
1503-1.8/2 TA02
LTC1503-2
出力電圧と入力電圧
2.00
4
3
INPUT VOLTAGE (V)
1503 G01
TA = 85°C
1.75
1.70
2
INPUT VOLTAGE (V)
OUTPUT VOLTAGE (V)
OUTPUT VOLTAGE (V)
INPUT SHUTDOWN CURRENT (µA)
INPUT CURRENT (µA)
IOUT = 0mA
10
LTC1503-1.8
出力電圧と入力電圧
LTC1503-X入力シャットダウン
電流と入力電圧
TA = –40°C
2.00
TA = 85°C
1.98
TA = 25°C
1.96
0.1
10
100
1
OUTPUT CURRENT (mA)
1000
1503-1.8/2 G08
1.94
0.01
0.1
10
100
1
OUTPUT CURRENT (mA)
1000
1503-1.8/2 G09
3
LTC1503-1.8/LTC1503-2
標準的性能特性
LTC1503-X
出力短絡電流と入力電圧
100
VOUT SHORTED TO GND
30
START-UP TIME (ms)
OUTPUT CURRENT (mA)
40
LTC1503-Xスタートアップ時間と
ソフトスタート・コンデンサ
TA = –40°C
20
TA = 25°C
TA = 85°C
10
0
VIN = 3.6V
10
TA = –40°C
1
TA = 25°C
TA = 85°C
0.1
2
3
4
5
0.01
0.01
6
INPUT VOLTAGE (V)
1
10
0.1
SOFT-START CAPACITOR (nF)
1503-1.8/2 G10
出力負荷過渡応答(LTC1503-1.8、
1mAから100mAのステップ)
100mA
IOUT
50mA/DIV
1mA
100
1503-1.8/2 G10
出力リップル、COUT=22uF
出力リップル、COUT=10uF
VOUT
10mV/DIV
AC COUPLED
VOUT
10mV/DIV
AC COUPLED
VOUT
50mV/DIV
AC COUPLED
1ms/DIV
1503-1.8/2 G12
5µs/DIV
VIN = 3.6V
VOUT = 2V
IOUT = 100mA
COUT = 10µF CERAMIC
1503-1.8/2 G13
5µs/DIV
VIN = 3.6V
VOUT = 2V
IOUT = 100mA
COUT = 22µF CERAMIC
1503-1.8/2 G14
ピン機能
VOUT
(ピン1):安定化出力電圧。シャットダウン時に
は、VINからVOUTが切り離されます。VOUTは10µF以上の
低ESRコンデンサを用いてグランドにバイパスしてくだ
さい。
C1−(ピン2):フライング・コンデンサ1の負端子。
C1+(ピン3):フライング・コンデンサ1の正端子。
VIN(ピン4):入力電圧。VINの範囲は2.4V∼6Vが可能で
す。VINは10µF以上の低ESRコンデンサを用いて、グラ
ンドにバイパスしてください。
4
SHDN/SS(ピン5):シャットダウン/ソフト・スタート
制御。このピンは外部オープン・ドレイン出力でドライ
ブするように設計されています。SHDN/SSピンを0.25V
未満に保持すると、このデバイスはシャットダウン・
モードになります。このピンをドライブしているデバイ
スがハイ・インピーダンス状態になると、2µAの内部プ
ルアップ電流によってSHDN/SS電圧はVINまで上昇しま
す。起動時の突入電流を制限するために、SHDN/SSピン
とグランド間にコンデンサを接続してください。SHDN/
SSピンの容量はこのピンのdV/dtを制限し、それによっ
てターンオン中にVOUTのdV/dtを制限します。既知の出
力コンデンサに対して適切なソフトスタート・コンデン
LTC1503-1.8/LTC1503-2
ピン機能
サを選択することによって、ユーザはターンオン時の突
入電流を制御することができます(アプリケーション情
報を参照)。2つの機能のどちらも必要ない場合、このピ
ンはフローティング状態にするかVINに接続します。
グランド(ピン7):グランド。最高の性能を達成するに
は、グランド・プレーンに接続してください。
C2−
(ピン8):フライング・コンデンサ2の負端子。
C2+(ピン6):フライング・コンデンサ2の正端子。
ブロック図
VIN
CIN
680k
+
C1+
–
330k
C1–
STEP-DOWN
CHARGE
PUMP
MODE
CONTROL
+
990k
C2 +
C2 –
–
VOUT
VOUT
COUT
–
SHORT CIRCUIT
+
150mV
+
800k
–
COMP2
+
COMP1
VIN
+ 10mV
–
REG ENABLE
600kHz
OSCILLATOR
+
MODE SKIP
–
2µA
1.2M
SOFT-START
350mV
VREF RAMP
+
+
1.2V
VREF
SHDN/SS
+
GND
SHDN
350mV
+
–
LTC1503-2
1503-1.8/2 BD
5
LTC1503-1.8/LTC1503-2
アプリケーション情報
S4
φ2
一般的な動作
安定化された降圧DC/DC変換の最も一般的な方法とし
て 、 リ ニ ア DC/DC変 換( LDOで 使 用 )と イ ン ダ クタ ・
ベースのDC/DC変換があります。リニア・レギュレー
ションによって低コストで簡素化された回路を構築でき
ますが、すべての負荷電流が直接VINから来なければな
らないため、変換効率は低くなります。インダクタ・
ベースの降圧変換は最高効率を提供しますが、このソ
リューションのコストはより高くなり回路も複雑です。
LTC1503-Xは、インダクタを使用しないコンバータのコ
ストと回路の単純化の利点だけでなく、インダクタ・
ベース回路の高効率の利点も提供します。
LTC1503-Xはスイッチト・キャパシタ降圧DC/DCコン
バータです。このデバイスは、内部スイッチ・ネット
ワークと分数変換比を用いて、VINと出力負荷条件の広い
範囲にわたって高効率を達成します。内部制御回路は効
率を最適化するために、VIN、VOUT、および負荷条件に
基づく適切な降圧変換比を選択します。このデバイスに
は、2-to-1、3-to-2、または1-to-1
( ゲート制御スイッチ)
の3つの降圧モードがあります。2つの外付けフライン
グ・コンデンサだけで、3つすべてのモードで動作しま
す。VINが希望のVOUTの2倍を超えるときは、2-to-1モード
が選択されます。VINがVOUTの1.5倍を超え、VOUTの2倍以
下のときには、3-to-2モードが選択されます。VINがVOUT
の1.5倍より下になると、1-to-1モードが選択されます。
内部モード・スキップ機能は、重負荷条件時に出力の安
定化を維持するのに必要な降圧比を切り替えます。
安定化は、分圧された出力電圧をセンスし、出力を昇圧
して安定化状態に復帰させるのに必要なチャージ・ポン
プをイネーブルすることによって達成されます。この安
定化方法によって、LTC1503-Xはかなりの軽負荷時にも
高効率を達成することができます。このデバイスは
シャットダウン機能とユーザ制御の突入電流制限機能を
備えています。さらに、このデバイスはVOUTの無限短絡
状態に耐えることができ、また過熱保護されています。
降圧チャージ・ポンプ動作
図1aは、2-to-1の降圧に使用されるチャージ・ポンプ・ス
イッチの構成を示します。チャージ・ポンプがこのモー
ドでイネーブルされると、2相非重複クロックでスイッチ
制御信号を生成します。クロックのフェーズ1で、フラ
6
S1
φ1
C1+
VIN
VOUT
C1
(EXTERNAL)
C1–
S3
φ2
1503-1.8/2 F01a
S2
φ1
図1a. 2-to-1モードの降圧チャージ・ポンプ
イング・コンデンサC1がスイッチS1とS2を通してVOUTに
接続されます。C1の電圧がCOUTの電圧より大きい場合、
電荷はC1からCOUTに転送されます。フェーズ2では、C1
のトップ・プレートはVINに接続され、ボトム・プレート
はVOUTに接続されます。フェーズ2の間にC1両端の電圧
がVIN/2未満の場合、電荷はC1からCOUTに転送され、それ
によってCOUTの電圧が上昇し、C1両端の電圧が高くなり
ます。したがって、2-to-1モードではC1からCOUTへの電
荷転送はクロックの両フェーズで起こり、COUTの電圧は
出力が安定化動作に復帰するまで、1/2VINに向かってド
ライブされます。クロックのフェーズ1で充電電流はグラ
ンドから供給されるので、VINに対して電流乗法が実現さ
れます。すなわち、IVOUTは約2 • IVINに等しくなります。
これによって、リニア・レギュレータに対して大幅に効
率を改善することができます。
3-to-2変換モードでも、スイッチ制御のために非重複ク
ロックを使用しますが、2個のフライング・コンデンサと
合計7個のスイッチが必要です(図1bを参照)。フェーズ1
では、C1とC2が直列にVOUTに接続されます。C1とC2両
端の電圧の合計がVOUTより大きい場合、電荷はフライン
グ・コンデンサからCOUTに転送され、それによってフラ
イング・コンデンサの平均電圧が低下し、出力コンデン
サの電圧が上昇します。フェーズ2では、2個のフライン
グ・コンデンサがVINとVOUTの間に並列に接続されま
す。フェーズ1の間は2個のコンデンサの両端の平均電圧
はVOUT/2なので、VIN−VOUT/2がVOUTより大きい場合、電
荷は2個のフライング・コンデンサを通してVINからVOUT
に転送されます。このように、電荷はこの場合もクロッ
クの両フェーズでフライング・コンデンサから出力に転
送され、このデバイスが安定化動作に復帰するまで、
COUTの電圧は(2/3)VINに向かってドライブされます。2to-1モードと同様に、クロックのフェーズ1では充電電流
はグランドから供給されるので電源効率が向上します。
3-to-2モードではIVOUTは約(3/2)IVINになります。
LTC1503-1.8/LTC1503-2
アプリケーション情報
S5
φ2
S1
φ1
C1+
VIN
VOUT
C1
(EXTERNAL)
S4
C1–
φ2
S2
φ1
S7
φ2
C2 +
C2
(EXTERNAL)
S6
C2 –
φ2
S3
φ1
しいときに90%を超える効率で2-to-1モードで動作する
ことができます。しかし、負荷が増大すると、このデバ
イスは2-to-1モードで安定化を維持するのに十分な出力
電流を供給することはできなくなります。これによっ
て、VOUTはCOMP2がトリップするまで安定化点より下
に低下し、このデバイスは強制的に2-to-1モードから3to-2モードに移行します。COMP2のスレッショルドはメ
イン・コンパレータの安定化点より約17mV(VOUT基準)
下です。COMP2のヒステリシスによって、デバイスは
モード・スキッピングへの出入りが強制されます。これ
により、モード・スキッピング状態ではVOUTはわずか
約20mV程低下します。
シャットダウン/ソフト・スタート動作
GND
1503-1.8/2 F01b
図1b. 3-to-2モードでの降圧チャージ・ポンプ
1-to-1モードでは、スイッチS1とS2はVOUTを昇圧して安
定化動作に復帰させるためにVINとVOUT間で直列に接続
さ れ ま す( 図 1cを 参 照 )。 メ イ ン ・ コ ン パ レ ー タ
(COMP1)からのREG ENABLE信号によってスイッチS1
とS2は直接制御されます。すべてのVOUT電流はVINから
供給されるので、1-to-1モードでの効率はほぼリニア・
レギュレータの効率と等しくなります。
S2
C1+
S1
VIN
VOUT
C1
(EXTERNAL)
C1–
低電流シャットダウンとソフトスタートの両方にSHDN/SS
ピンが使用されます。ソフトスタート機能は、レギュレー
タが最初に電源を供給されるか、またはシャットダウンか
ら解放されるとき突入電流を制限します。電圧を0.35V
(標
準)
以下にすると、デバイスはシャットダウン・モードに
入ります。シャットダウン・モードでは、制御回路がすべ
てディスエーブルされ、チャージ・ポンプVOUTがハイ・イ
ンピーダンス状態に強制されます。SHDN/SSピンがフロー
ティング状態のままか、またはハイ・インピーダンス状態
のオープン・ドレイン出力でドライブされる場合、このピ
ンの2µAプルアップ電流によって、デバイスはアクティ
ブ・モードに強制されます。このピンがオープン・ドレイ
ン・デバイスでドライブされない場合は、VOUTを確実に安
定化させるために、このピンを2.2V
(最小)
のロジック
“H”
電圧にする必要があります。SHDN/SSピンはVIN以上の電
圧にドライブしてはなりません。
1503-1.8/2 F01c
図1c. 1-to-1モードでの降圧チャージ・ポンプ
モード選択とモード・スキッピング
最適な降圧変換モードは、VIN−VOUTの電圧差と出力負
荷条件に基づいて選択されます。2個の内部コンパレー
タを使用して、VINとVOUT電圧に基づくデフォルト降圧
モードが選択されます。別のコンパレータ(COMP2)を
使用して、重い出力負荷に起因するVOUTの低下を検知
し、安定化を維持するためにチャージ・ポンプを高出力
電流モードに移行させます。これはVIN/VOUTが3-to-2ま
たは1-to-1の遷移点に近づくときにだけ起こります。た
とえば、軽負荷条件では、LTC1503-XはVINが4.1Vに等
ソフトスタートを実現するには、オープン・ドレイン・
デバイスでSHDN/SSピンをドライブし、コンデンサを
SHDN/SSピンからGNDに接続しなければなりません。
オープン・ドレイン・デバイスがターンオフすると、
2µAプルアップ電流が外付けSSコンデンサの充電を開始
し、ピンの電圧をVINの方向に上昇させます。SHDNピ
ンの電圧がスレッショルド(0.35V標準)に達するとすぐ
に、VOUT安定化点を制御する内部リファレンス電圧は
SHDN/SSピンのランプ電圧(正確にはそれからSHDNス
レッショルドに相当する0.35Vのオフセットを減じた値)
に追随して上昇し、このリファレンス電圧が最終的にバ
ンド・ギャップ電圧に達するまで上昇を続けます。
SHDN/SSピンの電圧が約1.9Vに達すると、これが起こり
7
LTC1503-1.8/LTC1503-2
アプリケーション情報
ま す 。 SHDN/SSピ ン の ラ ン プ ・ レ ー ト が VOUTの ラ ン
プ・レートを制御するので、平均突入電流はCSSとCOUT
を選択することによって制御できます。たとえば、
SHDN/SSに4.7nFのコンデンサを選択すると、このピン
の0.35Vから1.9Vまでのランプ時間は4msになります。
COUTが10µFの場合、4msのVREFランプ時間では平均COUT
充電電流はわずか5mAになります
(図2cを参照)。
VOUT
1
RLOAD
LTC1503-X
5
SHDN/SS
1503-1.8/2 F02a
ON OFF VCTRL
CSS
(a)
最良の性能を実現するには、CINとCOUTに低ESRのコンデ
ンサを使用してノイズやリップルを低減してください。
出力コンデンサのESRが高すぎる(0.5Ω以上)場合は、効
率と出力ロード・レギュレーションの両方が低下するこ
とがあります。CINおよびCOUTコンデンサは、セラミック
またはタンタルで容量が10µF以上のものでなければなり
ません。入力ソース・インピーダンスが非常に低い(0.5Ω
以下)場合は、CINが必要ないこともあります。フライン
グ・コンデンサC1およびC2には、0.47µF∼2.2µFの範囲の
セラミック・コンデンサを推奨します。出力電流が低い
アプリケーション(たとえばIOUT < 10mA)では、小容量の
コンデンサを使用できます。最良の性能を実現するに
は、C1とC2の両方に同じ容量値を選択してください。
出力リップル
LTC1503-Xの通常の動作ではVOUTピンに電圧リップルが発
生します。
出力電圧リップルはLTC1503-Xが安定化を行う
のに必要です。
センス・コンパレータのヒステリシスおよび
チャージ・ポンプ・イネーブル/ディスエーブル回路の伝播遅
延のために、
低周波リップルが発生します。
また、
主に出力
コンデンサのESR
(等価直列抵抗)
が原因で高周波リップル
も発生します。
最大負荷での標準出力リップル(VIN=3.6V)
は、
低ESRの10µF出力コンデンサでは25mVp-pです。
VCTRL
2V/DIV
VOUT
1V/DIV
LTC1503-2
CSS = 0nF
COUT = 10µF
RLOAD = 50Ω
2ms/DIV
1503-1.8/2 F02b
(b)
VCTRL
2V/DIV
VOUT
1V/DIV
LTC1503-2
CSS = 4.7nF
COUT = 10µF
RLOAD = 50Ω
2ms/DIV
1503-1.8/2 F02b
(c)
図2. シャットダウン/ソフト・スタート動作
8
コンデンサの選択
リップル電圧の大きさは、いくつかの要因に依存しま
す。入力電圧が高くなると、充電サイクルごとにCOUT
に供給される電荷が増えるため、出力リップルも増加し
ます。出力電流が大きいかまたは出力コンデンサの容量
が小さい(10µF以下)か、あるいはその両方の場合は、
出力電圧のdV/dtが高くなるためリップルが増加しま
す。出力ピンに高ESR(ESR>0.5Ω)のコンデンサを使用
すると、各クロック・サイクルごとにVOUTに高周波電
圧スパイクが発生します。
出力電圧リップルを低減する方法がいくつかあります
(図
3参照)。大きなCOUTコンデンサ(22µF以上)では、高容量
(大型ケースサイズ)のコンデンサに一般に見られる低
COUT充放電dV/dtと低ESRのため、低周波リップルと高周
波リップルの両方が減少します。低ESRのセラミック出
力コンデンサによって高周波リップルが低減されます
が、高容量コンデンサを選択しない限り、低周波リップ
ルは低減されません。低周波リップルおよび高周波リッ
LTC1503-1.8/LTC1503-2
アプリケーション情報
プルを低減するための妥当な方法は、VOUTの1µF∼3.3µF
セラミック・コンデンサと並列に10µF∼22µFのタンタ
ル・コンデンサを使用することです。RCフィルタを使用
して、高周波電圧スパイクを低減することもできます。
LTC1503-X
VOUT
+
VOUT
10µF
TANTALUM
1µF
CERAMIC
LTC1503-X
0.5Ω
VOUT
+
10µF
TANTALUM
+
VOUT
10µF
TANTALUM
1503-1.8/2 F03
図3. 出力リップル低減方法
保護機能
LTC1503-Xはサーマル・シャットダウンおよび短絡保護
機能の両方を備えています。チャージ・ポンプは接合部
温度が約150℃に達するとシャットダウンし、接合部温
度が125℃に低下すると動作を再開します。短絡状態
(VOUT < 150mV)が存在すると、内部スイッチへの損傷を
防止するように出力電流を20mA(標準)に制限します。
起動時にVOUTが0.7V(標準)に達すると、20mAの電流制
限がディスエーブルされます。また、VOUTがGNDに短
絡されたままでも、デバイスが損傷することはありませ
ん。
レイアウトの検討事項
最良のレギュレーションおよびノイズ性能を実現するた
め、ボードのレイアウトを慎重に行う必要があります。
バイパスおよび接地が不適切な場合、ロード・レギュ
レーションおよび出力リップル性能が低下することがあ
ります。すべてのコンデンサ、特にCINとCOUTは、VINピ
ンおよびVOUTピンにできる限り近づけなければなりま
せん。GNDピンとすべてのバイパス・コンデンサを、
連続したグランド・プレーンに接続することもお勧めし
ます。推奨部品配置および接地については、図4を参照
してください。
COUT
VOUT
LTC1503-X
C1
GND
C2
VIN
SHDN/SS
CIN
1503-1.8/2 F04
図4. 推奨部品配置および接地
9
LTC1503-1.8/LTC1503-2
パッケージ 注記がない限り寸法はインチ(ミリメートル)
MS8パッケージ
8ピン・プラスチックMSOP
(LTC DWG # 05-08-1660)
0.118 ± 0.004*
(3.00 ± 0.102)
8
7 6
5
0.118 ± 0.004**
(3.00 ± 0.102)
0.193 ± 0.006
(4.90 ± 0.15)
1
0.040 ± 0.006
(1.02 ± 0.15)
0.007
(0.18)
2 3
4
0.034 ± 0.004
(0.86 ± 0.102)
0° – 6° TYP
0.021 ± 0.006
(0.53 ± 0.015)
SEATING
PLANE 0.012
(0.30)
0.0256
REF
(0.65)
BSC
0.006 ± 0.004
(0.15 ± 0.102)
MSOP (MS8) 1098
*寸法にはモールドのバリ、突起、またはゲートのバリを含まない。モールドのバリ、
突起、またはゲートのバリは片側で0.006"(0.152mm)を超えないこと。
**寸法にはリード間のバリまたは突起を含まない。リード間のバリまたは突起は片側で
0.006"(0.152mm)を超えないこと。
10
LTC1503-1.8/LTC1503-2
パッケージ 注記がない限り寸法はインチ(ミリメートル)
S8パッケージ
8ピン・プラスチック・スモール・アウトライン(細型0.150)
(LTC DWG # 05-08-1610)
0.189 – 0.197*
(4.801 – 5.004)
8
7
6
5
0.150 – 0.157**
(3.810 – 3.988)
0.228 – 0.244
(5.791 – 6.197)
1
0.010 – 0.020
× 45°
(0.254 – 0.508)
0.008 – 0.010
(0.203 – 0.254)
0.053 – 0.069
(1.346 – 1.752)
0°– 8° TYP
0.016 – 0.050
(0.406 – 1.270)
0.014 – 0.019
(0.355 – 0.483)
TYP
*寸法にはモールドのバリを含まない。モールドのバリは片側で
0.006"(0.152mm)を超えないこと。
**寸法にはリード間のバリを含まない。リード間のバリは片側で
0.010" (0.254mm)を超えないこと。
2
3
4
0.004 – 0.010
(0.101 – 0.254)
0.050
(1.270)
BSC
SO8 1298
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その使用に関する責務は一切
負いません。
また、
ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。
なお、
日本語の資料はあくまで
も参考資料です。
訂正、
変更、
改版に追従していない場合があります。
最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。
11
LTC1503-1.8/LTC1503-2
標準的応用例
シャットダウンおよびソフトスタート機能付きDC/DCコンバータ
LTC1503-1.8
4
1-CELL Li-Ion OR
3-CELL NiMH
10µF
1µF
VIN
VOUT
2
C1–
C2–
3
+
5
ON OFF
2N7002
C1
C2
1
8
10µF
1µF
+ 6
SHDN/SS GND
VOUT = 1.8V
IOUT = 100mA
7
10nF
1503-1.8/2 TA03
関連製品
製品番号
説明
LTC1474/LTC1475 低消費電流降圧DC/DCコンバータ
注釈
IOUTは最大250mA、IQ=10µA、8ピンMSOP
LTC1502-3.3
単一セルから3.3Vのクワッドルプラ・チャージ・ポンプ VIN=0.9V∼1.8V、IOUT=10mA、IQ=40µA
LTC1514/LTC1515 マイクロパワー、
安定化5V昇圧/降圧チャージ・ポンプ 入力電圧範囲2V∼10V、
最大出力電流:50mA、
DC/DCコンバータ
短絡および過熱保護機能付き
LTC1555/LTC1556 SIM電源およびレベル変換器
昇圧/降圧チャージ・ポンプにより5Vまたは3Vを生成
LTC1627
モノリシック同期式バック降圧
スイッチング・レギュレータ
入力範囲2.65V∼8.5V、
VOUTは0.8Vから、
IOUTは最大500mA、
低ドロップアウト動作、100%デューティ・サイクル
LTC1754-3.3
SOT-23パッケージのシャットダウン機能付き
3.3Vチャージ・ポンプ
出力電流:50mA、ICC=13µA
LTC1754-5
SOT-23パッケージのシャットダウン機能付き
5Vチャージ・ポンプ
出力電流:50mA、ICC=13µA
12
150312f 0200 0.5K • PRINTED IN JAPAN
リニアテクノロジー株式会社
〒162-0814 東京都新宿区新小川町1-14 NAOビル5F
TEL 03-3267-7891• FAX 03-3267-8510 • www.linear-tech.co.jp
 LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 1999