参考回路:日本語版

Circuit Note
CN-0197
接続/参考にしたデバイス
Circuits from the Lab™実用回路集は、実験により得ら
れた有意義な回路情報を、皆様にご提供いたします。ア
ナログ・デバイセズ製品の組み合わせを、素早く回路に
実現することや、皆様の製品に安心して組み込んでいた
だくことができます。
詳細は www.analog.com/jp/CN0197 をご覧ください。
AD7280A
ADuM5401
ADuM1201
ADG849
リチウムイオン・バッテリ・モニタ
テム
DC/DC コンバータ内蔵 4 チャンネ
ル・アイソレータ
2 チャンネル・デジタル・アイソレ
タ
SPDT スイッチ
信号と電源の両方を絶縁したリチウムイオン・バッテリ・スタック・モニター
評価と設計の支援
回路説明
回路評価基板 AD7280A Evaluation Board (EVAL-AD7280AEDZ)
Converter Evaluation and Development Board
(EVAL-CED1Z)
設計と統合ファイル Schematics, Layout Files, Bill of Materials
AD7280A デイジーチェーン回路は、自分自身の電源をモニター
するバッテリ・セルから得ます。ADuM5401 には集積化された
DC/DC コンバータが内蔵されていますが、それは ADuM1201 の
高電圧側の電源の供給、AD7280A SPI インターフェースのため
の VDRIVE 電源の供給、そして AD7280A デイジーチェーン回路に
対するパワーダウン信号の供給に使用されます。BMS の低電圧
側で+5 V 電源をロー・レベルに落とすと、アイソレータと
AD7280A チェーン回路の電源はパワーダウンします。同様に、
BMC からの PD 信号をロー・レベルにすると、ADG849 スイッ
チを介して ADuM5401 に分配されている低電圧側電源がロー・
レベルになり、又アイソレータと AD7280A デバイスのチェーン
回路のハードウエア・パワーダウンを提供します。
回路機能とその利点
リチウムイオン(Li-Ion)バッテリ・スタックには多数の単一セル
が含まれていますが、バッテリ効率を向上し、バッテリの寿命
を延ばすためにはそれらの単一セルを正確にモニターしなけれ
ばなりません。図 1 に示した回路の中の 6 チャンネルデバイス
AD7280A は正確な測定データをバッテリ管理コントローラ
(BMC)に提供する主要モニターとしの役割を果たします。
AD7280A には内部±3 ppm リファレンスが内蔵されているので、
±1.6 mV のセル電圧測定精度が得られます。ADC の分解能は 12
ビットで、48 セルまでの変換を 7 μs 以内で行う事ができます。
バッテリ管理システム (BMS)の高電圧側に接続されている
AD7280A はデイジーチェーン・インターフェースを備えている
ので、AD7280A を 8 個まで直列接続して 48 個の Li-Ion セル電圧
をモニターする事ができます。スタック(直列接続)の隣接し
た AD7280 の間で直接通信が可能で、絶縁する事なしにデータを
スタックの上下に送る事ができます。スタックの最低電位に接
続される AD7280A マスター・デバイスは、BMC との通信に SPI
インターフェースを使用しますが、この部分だけに BMS の低電
圧側を高電圧から保護するために磁気絶縁が要求されます。デ
ジタル・アイソレータ ADuM1201 と DC/DC コンバータ内蔵のア
イソレータ ADuM5401 の組み合わせにより、必要とされるコン
パクトで、費用対効果の良い、6 チャンネル・アイソレーション
が実現します。
Rev. 0
ノイズ環境下でデイジーチェーン通信の性能を最適化するため
に、例えば電磁干渉がある時に、デイジーチェーン信号をプリ
ント回路基板(PCB)の内部層にしてシールドします。シールド
は(デイジーチェーンの上位デバイスの VSS ピンに接続される)
VSS 電源プレーンによって上面と下面で行います。図 2 に上のシ
ールドを含んだ EVAL-AD7280AEDZ PCB の最上層を示します。
図 3 にシールドしたデイジーチェーン信号を含む内部層(第 2
層)を示します。そして下のシールドは図 4 に示すように第 3 層
で行います。各デイジーチェーン接続には個々の 22pF コンデン
サが接続され、(データがデイジーチェーンを流れる方向に応
じて)上位デバイスの VSS ピンか又は低位デバイスの VDD ピンに
終端されます。PD、CS、SCLK, SDI, と CNVSTのデイジーチェ
ーン接続はデータをデイジーチェーンの上位に送ります。そこ
でこれらのピンの 22 pF コンデンサはデイジーチェーンの上位
デバイスの VSS に終端されます。
SDOlo と ALERTlo のデイジーチェーン接続はデータをデイジ
ーチェーンの下位に送ります。そこでこれらのピンの 22 pF コン
デンサはデイジーチェーンの下位デバイスの VDD に終端されま
す。ノイズ環境下で低電位デバイスの VDD と上位デバイスの VSS
の 2 つの電位をできるだけ近い電位に保つために、直接低イン
ピーダンス・パターンを使用して接続します。
アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に関して、あるいは利用に
よって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利
の使用を明示的または暗示的に許諾するものでもありません。仕様は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標
は、各社の所有に属します。※日本語資料は REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。
©2010 Analog Devices, Inc. All rights reserved.
本
社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル
電話 03(5402)8200
大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー
電話 06(6350)6868
CN-0197
Circuit Note
VDD1
VDD1
100nF
10kΩ
100nF
SDOhi
ALERThi
SDOhi
CNVSThi
ALERTlo
CNVST
PD
SDOlo
SDOhi
0.1µF
ADuM5401
ALERT
AD7280A
VIN3
VISO
CNVST
PD
VIN2
GNDISO
VID
SDO
VIN1
VSS0
VIB
GND1
VDRIVE
VIN4
VIN0
VOB
GND2
0.1µF
1µF
SCLK
VOA
VOB
SDI
CS
1kΩ
4-WIRE
SPI INTERFACE
VOC
VSEL
GNDISO
ALERT
VDD1
CNVST
GND1
VOD
SDO
SCLK
SDI
VIA
VIB
VIC
CS
RCOUT
GND1
ADG849
IN
D
S2
PD
BATTERY MANAGEMENT
CONTROLLER INTERFACE
10kΩ
1µF
+5V
+5V
09683-001
100nF
VIN6
VIN5
VREG
DVCC
AVCC
VDD1
VOA
VIA
ALERThi
10kΩ
ADuM1201
ALERTlo
100nF
0.1µF
VDD2
CREF
10kΩ
MASTER
VDD
10kΩ
100nF
1kΩ
10kΩ
VDD0
VSS
100nF
1kΩ
10kΩ
100nF
10kΩ
VREF
CREF
22pF
22pF
22pF
22pF
22pF
22pF
22pF
100nF
10kΩ
1µF
0.1µF
1µF
VIN0
VDD0
10µF
CShi
PDhi
VIN1
SDI
100nF
SDOhi
100nF
10kΩ
MASTER
VSS
10kΩ
SDO
VIN2
CNVSThi
100nF
VREG
DVCC
AVCC
VDRIVE
ALERT
AD7280A
VIN3
SDOlo
10kΩ
VIN4
SCLK
100nF
SCLKhi
100nF
10kΩ
VIN5
VREF
10kΩ
VIN6
CS
100nF
CShi
10kΩ
10kΩ
SCLKhi
VDD0
VDD
100nF
1kΩ
100nF
PDhi
10µF
S1
09683-012
図 1.AD7280A デイジーチェーン接続と絶縁回路(回路は簡略化されており、接続およびデカプリングのすべては示されてはいません。)
図 2.EVAL-AD7280AEDZ PCB の最上層
デイジーチェーン信号のための上方シールドを含みます。
Rev. 0 | Page 2 of 5
CN-0197
09683-013
Circuit Note
シールドされたデイジーチェーン信号を含みます。
09683-014
図 3.EVAL-AD7280AEDZ PCB の第 2 層
図 4.EVAL-AD7280AEDZ PCB の第 3 層
デイジーチェーン信号のための下方シールドを含みます。
Rev. 0 | Page 3 of 5
CN-0197
Circuit Note
PCB の左側で構成されている低電圧側を覆うように絶縁障壁の
グランド・フェンスが使用されています。このフェンスはビア
と組み合わせたガード・リングで構成され、基板を通して全層
のデジタル・グラウンドに接続されています。回路基板のエッ
ジ(縁)に到達した電源プレーンやグラウンド・プレーン上の
ノイズは外部に放射する可能性がありますが、このシールド構
造によってそのノイズは反射して戻されます。
入力―出力間ダイポール放射も又、グラウンド・プレーン間の
間隙を跨いで電流源を駆動する時に発生する可能性があります。
これを最小限にするために、絶縁間隙で(重複したシールドを
使ってクロスバリア結合を形成するためにグランド・プレーン
を PCB の全層に拡張した)連続シールドが使用されます;そし
て各層の絶縁間隙を最小に保ちます。ちなみにテスト基板で採
用している間隙は 0.4 mm です。この回路で使用している
ADuM5401 のような isoPower® デバイスで放射波を制御する推
薦方法に関しては Application Note AN-0971 を参照してください。
テスト結果
回路性能で重要な値は最終的な出力電圧測定の中のノイズの大
きさです。
図 5 は VIN3−VIN2 チャンネルについて得られた 10,000 個の測定
サンプルのヒストグラムです。このデータは AD7280 評価基板に
EVAL-CED1Z コンバータ評価と開発基板を接続して取得され
ました。設定の詳細はこの回路ノートの"回路の評価とテスト"
のセクションに述べられています。
セル電圧をシミュレーションするために電源で駆動する抵抗分
割ストリングを使用しました。取得されたコード 2675 は 標準
的なリチウムイオン・セル電圧の代表値 3.612 V を表します。ノ
イズの影響で主要なビンから外れているコードがわずかな割合
ある事に注意してください。
NUMBER OF OCCURRENCES
この回路は、優れた安定性と高精度で動作する事が証明されて
います。
絶縁されたチャンネルの他の組み合わせを iCoupler® ア
イソレーション製品で使用する事ができます。例えば、この回
路のように1チャンネル節約して AD7280A のPD信号を駆動す
るために VISO 出力電源を利用する代わりに、AD7280A へのPD
信号に対応する特別な絶縁チャンネルを追加する事ができます。
各アイソレータを通過する信号の選択も変更する事ができます。
この回路では、4 SPI 信号(SCLK, CS, SDI, SDO)は ADuM5401
アイソレータを通過し、CNVST と ALERT 信号は ADuM1201
アイソレータを通過します。
回路の評価とテスト
AD7280A 評価基板には図 1 に示された回路が使用されています。
AD7280A 評価基板とテスト方法の詳細については Evaluation
Board User Guide UG-252 をご覧ください。
必要な装置
AD7280A 評価基板を EVAL-CED1Z と一緒に使用する時は、す
べての電源(バッテリ接続を除いて)が EVAL-CED1Z から 96
ウエイ・コネクタを通して提供されます。 基板の出荷時には、
ユーザーが EVAL-CED1Z 基板といっしょに使用すると想定し
ています。全ての電源とコントロール信号を EVAL-CED1Z から
供給するように適切なリンクがセットされています。
EVAL-CED1Z、AD7280A と通信するソフトウエアは AD7280A
評価基板パッケージと共に提供されます。
EVAL-CED1Z 基板は評価基板に必要なすべての電源を供給し
ます。その電源は入力電圧100 V ~ 240 Vが可能で、世界使用の
対応するアダプタを含む、+7 V、15 WのACアダプタから供給さ
れます。電源はEVAL-CED1Zと共に提供されます。
EVAL-CED1Z とPCの USB ポートとの間の接続は
EVAL-CED1Z パッケージの一部として提供される標準の USB
2.0 接続ケーブルを介して行われます。
9000
7818
8000
バリエーション回路
7000
評価開始にあたって
6000
ハードウエアのセットアップとソフトウエアのインストールに
関する完全な詳細は UG-252 に含まれています。
5000
4000
機能ブロック図
3000
AD7280A 評価基板のブロック図をこの回路ノートと UG-252 の
中の図 1 に示します。
2076
2000
セットアップとテスト
1000
69
37
2671 2672 2673 2674 2675 2676 2677 2678 2679 2680 MORE
CODE
09683-005
0
図 5.10,000 サンプルのコード・ヒストグラム、VIN3 – VIN2 チャン
ネル
基本的なテストのセットアップは EVAL-CED1Z コンバータ評価
基板に AD7280A 評価基板を接続する事で構成されます。他の唯
一必要とする接続はリチウムイオン・バッテリ・スタックの接
続です。バッテリ・スタックは高精度 DC 電源で駆動される抵抗
分割でシミュレートできます。
Rev. 0 | Page 4 of 5
CN-0197
Circuit Note
より詳しい内容は
データシートおよび評価ボード
CN0197 Design Support Package:
http://www.analog.com/CN0197-DesignSupport
AD7280A 評価ボード (EVAL-AD7280AEDZ)
Cantrell, Mark. Application Note AN-0971, Recommendations
for Control of Radiated Emissions with isoPower Devices,
Analog Devices.
AD7280A
Converter Evaluation and Development Board (EVAL-CED1Z)
Chen, Baoxing. 2006. iCoupler® Products with isoPower™
Technology: Signal and Power Transfer Across Isolation
Barrier Using Microtransformers. Analog Devices, Inc.
MT-004 Tutorial, The Good, the Bad, and the Ugly Aspects of ADC
Input Noise—Is No Noise Good Noise? Analog Devices, Inc.
Wayne, Scott. “iCoupler® Digital Isolators Protect RS-232,
RS-485, and CAN Buses in Industrial, Instrumentation, and
Computer Applications.” Analog Dialogue (October 2005).
データシート
ADuM5401 データシート
ADuM1201 データシート
ADG849
データシート
改訂履歴
4/11—Revision 0:初版
「Circuits from the Lab/実用回路集」はアナログ・デバイセズ社製品専用に作られており、アナログ・デバイセズ社またはそのライセンスの供与者の知的所有物です。お客さ
まは製品設計で「Circuits from the Lab/実用回路集 」を使用することはできますが、その回路例を利用もしくは適用したことにより、特許権またはその他の知的所有権のもと
での暗示的許可、またはその他の方法でのライセンスを許諾するものではありません。アナログ・デバイセズ社の提供する情報は正確でかつ信頼できるものであることを期し
ています。しかし、「Circuits from the Lab/実用回路集 」は現状のまま、かつ商品性、非侵害性、特定目的との適合性の暗示的保証を含むがこれに限定されないいかなる種類
の明示的、暗示的、法的な保証なしで供給されるものであり、アナログ・デバイセズ社はその利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許権もしくはその他の権
利の侵害に関して一切の責任を負いません。アナログ・デバイセズ社はいつでも予告なく「Circuits from the Lab/実用回路集 」を変更する権利を留保しますが、それを行う義
務はありません。 商標および登録商標は各社の所有に属します。
©2011 Analog Devices, Inc. All rights reserved. 商標および登録商標は各社の所有に属します。
Rev. 0 | Page 5 of 5