GaAs MMIC CXG1400XR, アンテナチューニング用キャパシタ調整器 CXG1405XR Switchable Step Capacitor ソニーのアンテナスイッチは、独自の JPHEMT ※ 1 プロセスにより低挿入損失、高線形性を実現してきました。 今回はこれにキャパシタを内蔵することで、スイッチ切り替えによるキャパシタ調整器 (Switchable Step Capacitor、以下 SSC)“CXG1400XR, CXG1405XR”を商品化しました。 この SSC は、高い Q 値を持つ高精度容量を実現しています。 また、キャパシタを内蔵しているため、評価時における定数の載せ替えが不要となります。 さらに実装面積の削減にも寄与し、携帯電話に搭載される「FeliCa ※ 2 」アンテナチューニングをはじめ、 さまざまな用途での使用が可能です。 ※ 1 JPHEMT:Junction Gate Pseudomorphic High Electron Mobility Transistor ※ 2 「FeliCa」は、ソニー株式会社が開発した非接触 IC カードの技術方式です。「FeliCa」は、ソニー株式会社の登録商標です。 ■ 低通過損失、高線形性: 通過特性:0.30dB@900MHz, [email protected](RF-GND6) 高調波特性:2fo:72dBc@900MHz, 3fo:66dBc@900MHz(RF-GND6) ■ 高 Q 値、高精度キャパシタ内蔵: 容量ばらつき範囲 ± 7% 以内 ■ 小型低背パッケージ: 2.3mm×2.3mm×0.35mm(CXG1400XR) 2.0mm×2.0mm×0.35mm(CXG1405XR) ■ アンテナチューニングに対応した ロジック信号制御 1 ∼ 31pF まで 1pF ステップでの調整 (CXG1400XR) 1 ∼ 7pF まで 1pF ステップでの調整 (CXG1405XR)※ 3 ※ 3 0.5pF ス テ ッ プ(0.5 ∼ 7.5pF) で も 対応可能 低通過損失、高線形性 CXG 1400XR, CXG 1405XR の スイッチ 部は、ソニー独自の JPHEMT プロセス により、低 通 過 損 失を実 現しています (表- 1) 。 スイッチ部はキャパシタ選択時に通過損 失と見えるため、キャパシタの Q 値に影 響します。低通過損失は結果的に高い Q 値の実現に効果的です。 また、 「FeliCa」では電圧振幅が比較的高 い変調方式を採用しています。本製品は携 帯電話用アンテナスイッチで培った高線形 技術を用いており、 「FeliCa」でも良好な 通信特性を実現しています。 高 Q 値、高精度キャパシタ内蔵 内蔵されているキャパシタはMIMC ※技術 を採用しています。GaAs基板上に厚膜メッ キ積層技術を用いることで、高い Q 値で 高精度のキャパシタを実現しています。ま た、各経路のキャパシタばらつきは同一性 があるため、ビット制御による調整に適し ています(表- 1) 。 CXG 1400XR, CXG 1405XR は 通 常 の ア ンテナスイッチとは制御方法が異なり、 CTL 端子は各経路に割り当てられていま す。これによりキャパシタを組み合わせて 合成容量を作り出すことで、アンテナのイ ンピーダンスを最適化することができます (図- 4) 。 CXG 1400XR で は 1pF ス テ ッ プ で 1 ∼ 31pF ま で 調 整 す る こ と が で き ま す。 CXG 1405XR では 0. 5pF ステップでの調整 が可能です(表- 2) 。 ※ MIMC:Metal-Insulator-Metal Capacitor 小型低背パッケージ 設計者 CXG1400XRは小型低背であるXQFNパッ ケージを採用しています(図- 2(a)) 。キャ パシタを内蔵しているため、キャパシタを 外付け部品にした場合に比べ、実装面積 を低減できます(図- 2(b)) 。 CXG 1405XR はこれをさらに小型化した パッケージ(2. 0mm ×2. 0mm)です(図 - 2(a)) 。 アンテナチューニング対応ロジック制御 「FeliCa」アンテナのインピーダンス整合 の実用例を図- 3に示します。 池田 昌宏 今回紹介した CXG1400XR, CXG1405XR は、これまでの携帯電話音声向けアンテ ナスイッチとは異なるアンテナチューニ ング向けという新しい用途となります。 CXG1400XR は「FeliCa」 ア ン テ ナ チ ュ ーニング用として実際に携帯電話に搭載 されています。もちろん「FeliCa」以外 の用途でも使用可能です。現在はさまざ まなアンテナチューニング用 SSC を開発 しておりますので、ご興味のある方はぜ ひお問い合わせください。 表-1 主要特性 CXG1405XR 電気的特性 CXG1400XR 電気的特性 項目 記号 経路 RF-GND1 RF-GND2 Transmission Performance RF-GND3 S21 RF-GND4 RF-GND5 RF-GND6 Isolation ISO Harmonics 2fo 3fo 2fo 3fo RF-GND1 RF-GND2 RF-GND3 RF-GND4 RF-GND5 RF-GND6 RF-GND5 RF-GND6 Ictl Ictl CTL = ALL_H 条件 ∗1 ∗2 ∗1 ∗2 ∗1 ∗2 ∗1 ∗2 ∗1 ∗2 ∗1 ∗2 ∗2 ∗2 ∗2 ∗2 ∗2 ∗2 ∗3 ∗3 ∗3 ∗3 Pin = 27dBm Pin = 0dBm 標準値 38.5 5.4 34 3.0 28 1.3 22 0.7 17 0.45 0.2 0.3 20 20 20 20 20 20 72 66 72 66 1.85 1.80 単位 項目 条件 ∗1 ∗2 ∗1 ∗2 ∗1 ∗2 ∗1 ∗2 ∗2 ∗2 ∗2 ∗2 ∗3 ∗3 Pin = 27dBm Pin = 0dBm Transmission Performance RF-GND2 S21 RF-GND3 dB RF-GND4 dB dBc μA Isolation ISO RF-GND1 RF-GND2 RF-GND3 RF-GND4 Harmonics 2fo 3fo RF-GND4 Ictl Ictl CTL = ALL_H 標準値 39 5.8 35 2.8 29 1.4 0.2 0.3 21 20 20 21 72 66 1.6 1.6 単位 dB dB dBc μA ∗1 Pin = 0dBm, Frequency = 13.56MHz ∗2 Pin = 0dBm, Frequency = 900MHz ∗3 Pin = 27dBm, Frequency = 900MHz 表-2 制御論理表 CXG1400XR CXG1400XR State CTLA 1 H 2 L 3 H 4 L : : 31 H CXG1405XR F1 C1 = 1pF RF GND1 F2 経路 RF-GND1 図-1 ブロック図 F1 記号 C1 = 1pF RF GND1 C2 = 2pF F2 C2 = 2pF F3 C3 = 4pF GND2 F3 C3 = 4pF F4 C4 = 8pF F5 C5 = 16pF GND2 GND3 GND3 F4 CTLC L L L H : H CTLD L L L L : H CTLE L L L L : H Capacitor 1pF 2pF 3pF 4pF : 31pF GND4※ GND4 ※経路4に0.5pFを追加することも可能 GND5 F6 GND6 CTLB L H H L : H F1 C1 = 1pF F2 C2 = 2pF F3 C3 = 4pF F4 C4 = 0.5pF RF GND1 GND2 GND3 CXG1405XR (経路4 = 0.5pFの場合) State CTLA CTLB CTLC CTLD Capacitor 1 L L L H 0.5pF 2 H L L L 1pF 3 H L L H 1.5pF 4 L H L L 2pF : : : : : : 15 H H H H 7.5pF GND4 図-2(b) 実装面積比較(当社比) 図-2(a) 外形寸法図 CXG1405XR CXG1400XR 0.35 ± 0.05 2.3 12 9 13 0.35 ± 0.05 2.0 9 6 2.0 2.3 4 12 1 5 16 1 4 3 1pin mark 1pin mark 実装部品数: 1 実装部品数: 7 [単位: mm] 図-3 実用例( 「FeliCa」アンテナのインピーダンス整合) 「FeliCa」 アンテナ CXG1400XR (SP6T □2.3mm) 40%以上の 面積削減 7 10 8 従来品 (SP3T □2mm) × 2個 + 外付けキャパシタ ・・・セット基板上の実装面積 図-4 SSC によるチューニングイメージ図 制御信号 周波数 希望帯域