色素増感太陽電池の屋外発電特性 環境・エネルギー研究所 岡 田 顕 一 1・松 井 浩 志 2・田 辺 信 夫 3 Outdoor Performances of Dye-sensitized Solar Cell K. Okada, H. Matsui, and N. Tanabe 色素増感太陽電池はこれまでの太陽電池と比べて,低コストで環境に優しいといった特徴から次世代型 太陽電池として期待されている.当社ではこれまでその実用化を目指し,開発した高耐久性 DSC モジュー ルを屋外で実際に動作させたときの長期耐久性や発電量の測定を行ってきた.その結果,DSC は JIS 規格 に定められる標準条件で測定した発電効率よりも屋外設置環境での実発電効率の方が高く,同じ出力のモ ジュールを比較した場合には,従来のシリコン太陽電池よりも年間総発電量が大きくなることがわかった. Dye-sensitized solar cells are expected to be the next-generation solar cells that are lower-cost and more environmentally friendly than the conventional solar cells. Long-term durability and electric output of modules developed in Fujikura were measured in outdoor conditions to evaluate the performance of actual solar energy conversion. It was found that energy conversion efficiency of dye-sensitized solar cells measured in outdoor conditions was larger than the conversion efficiency measured under standard JIS conditions, and annual energy production of dye-sensitized solar cell is larger than the production of Si solar cell of the same rating output. 1.ま え が き - 近年,CO2 排出による地球温暖化の防止やエネルギー 安全保障の観点から,世界的に化石エネルギーから再生 光入射面 可能エネルギーへの積極的な転換が進められている.中 増感色素 でも太陽電池を用いた太陽光発電は設置場所の制約の少 なさや設備メンテナンスの容易さなどの特徴や,FiT の TiO2 ナノ結晶 ような各国の政策支援の効果から,他の再生可能エネル ギ ー と 比 較 し て 速 い ペ ー ス で 導 入 が 進 ん で き て お り, IEA では現在 20 GW の世界の累積導入量が 2030 年に 透明導電 ガラス は 872 GW に達する 1) と予想している.太陽電池には バルクシリコン型,薄膜シリコン型,各種化合物半導体 電解液 対極 図 1 DSC の断面構造 Fig. 1. Cross-section structure of DSC. 型など様々な方式があるが,今後も生産量,設置量が大 幅に伸びていくことから,資源の制約が少なく,低コス トで環境に優しい新しい太陽電池が強く求められてい る.その中で当社では次世代太陽電池として期待されて 発生した電荷の輸送の両方を半導体層で行うのに対し, いる DSC 2) に注目し,大型化・高耐久化といった実用 DSC は図 2(b)のように半導体と電解液が電荷輸送を 化を目指す研究を早い時期から行ってきた 3)−8) 行い,増感色素が光から電荷への変換をおこなう.この .図 1 に DSC の断面構造を,図 2 に従来の太陽電池と DSC の発 ように発電機構や材料が従来の太陽電池と異なるため, 電機構の違いを示す.半導体 pn 接合を用いた従来の太 性能や耐久性などの DSC の各種特性を評価する際は, 陽電池は図 2(a)に示すように,光から電荷への変換と, 従来太陽電池を対象とした JIS,IEC 規格に従った評価 とあわせて,実使用環境での検証試験を行う必要がある 9)−11) .そのため当社では開発した DSC を屋外で実際に 1 太陽光発電研究室 2 太陽光発電研究室長 3 環境・エネルギー研究所所長(博士(工学) ) 使用しながら,従来の太陽電池と比較した各種特性の評 価を行ってきた.本報では屋外での耐久性評価結果に関 42 色素増感太陽電池の屋外発電特性 略語・専門用語リスト 略語・専門用語 正式表記 DSC Dye-sensitized Solar Cell 説 明 色素増感太陽電池 PV Photovoltaic 光電変換 IEA International Energy Agency 国際エネルギー機関 FiT Feed-in Tariff 発電電力の固定価格買い取り制度 V.B. Valence Band 価電子帯.半導体で少数キャリアとして ホールが伝導するバンド C.B. Conduction Band 伝導帯.半導体で少数キャリアとして電 子が伝導するバンド HOMO Highest Occupied Molecular Orbital 最高被占軌道.半導体の価電子帯に相当 する分子軌道 LUMO Lowest Unoccupied Molecular Orbital 最低空軌道.半導体の伝導体に相当する 分子軌道 εf Fermi level フェルミ準位 AM-1.5 Air Mass 1.5 中緯度地域の大気の影響を加味した太陽 光スペクトル Isc(Jsc) Short Circuit Current(density) 短絡電流(密度) .太陽電池を短絡した ときに流れる電流(密度) Voc Open Circuit Voltage 開放電圧.太陽電池を回路から切り離し たときの端子間電圧 FF Fill Factor 形 状 因 子.IV 曲 線 の 形 を 代 表 す る 値. 最大出力÷(Voc × Isc) Vpm Maximum Power Voltage 最大出力動作電圧.太陽電池が最も効率 よく動作する電圧 e- LUMO ee- e- C.B. C.B. ε ε f I - / I 3- f HOMO + h h n 型半導体 h V.B. + V.B. TiO2 p 型半導体 (a) 従来太陽電池の発電機構 e- + 増感色素 電解液 (b) DSCの発電機構 図 2 DSC と従来太陽電池の発電機構の違い Fig. 2. Difference of working mechanism between ordinary solar cells and DSC. する前報 7)に引き続き,発電特性に関する評価結果を報 を図 4 に示す.設置場所は千葉県佐倉市(北緯 35.7 度, 告する. 東経 140.2 度),架台の設置条件は磁南方位で設置角 35 度とし,架台の傾斜面日射量(以後日射量)はサーモパ イルを用いた全天日射計(英弘精機 MS-802,ISO9060 2.発電特性の計測方法 Secondary standard)で測定した.評価用の高耐久性 DSC6)と市販多結晶シリコン太陽電池(以後,シリコン 2.1 屋外での発電特性計測 屋外測定で用いた計測システムの概要を図 3 に,外観 太陽電池)をこのシステムに設置し,それぞれの IV 特 43 2011 Vol.1 フ ジ ク ラ 技 報 日射量・気温 セル表面温度 IV 計測器 (電子負荷) IV 特性記録 シリコン太陽電池 計測時 − ∼ DSC サンプル 切替器 充電コントローラ DC48V 第 120 号 非計測時 電力測定 インバータ AC100V 負荷(照明) 鉛バッテリー 図 3 屋外測定システムの概要 Fig. 3. Design overview of measurement system for outdoor PV performance. 日射計 DSC サンプル 多結晶シリコン等 の各種太陽電池 図 4 屋外測定システムの外観 Fig. 4. Measurement system for outdoor PV performance. 20 20 2009/9/6 晴天日 15 15 変換効率 変換効率 シリコン太陽電池 1.5 DSC 10 0 0 12:00 16:00 20:00 1.5 DSC DSC の基準効率 (6.5%) 1 (×100 mW/cm2) 5 0.5 日射量 8:00 シリコン太陽電池 (ac%) 1 (×100 mW/cm2) 5 シリコン太陽電池 の基準効率 (14.5%) 日射量 (ac%) 日射量 10 4:00 2009/9/2 曇天日 0.5 日射量 0 0 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 図 5 DSC とシリコン太陽電池の一日の実効率推移 Fig. 5. Diurnal change of conversion efficiency of Si solar cell and DSC. 性を電子負荷(英弘精機,MP-160)を用いて 5 分ごと 換効率の入射光強度依存性,入射角度依存性,セル表面 に記録した.なお設置場所の周囲環境から,3 ∼ 10 月 温度依存性は ND フィルタや恒温プレートつき試料台を の晴天日には 16 時頃にシステムに影が差し日射計の出 用いて,標準状態からそれぞれに対応する条件のみを変 力と太陽電池の発電量に食い違いが生じるため,実動作 更して測定した. 状態でのエネルギー変換効率(以後,実効率)を算出す る際にはその時間帯をデータから除外した. 3.DSC の屋外発電特性 2.2 屋内での発電特性計測 セルの基準エネルギー変換効率(以後、基準効率)は 基準効率 6.5%の DSC を屋外に設置し,代表的な晴天 ソーラーシミュレータを用いて JIS 規格に定められる標 日(一日の累積日射量 6.2 kWh/day)と曇天日(同,1.1 準状態(AM-1.5,100 mW/cm 2 疑似太陽光,表面温度 kWh/day)の一日の実効率推移を測定した結果を図 5 25 ℃,光入射方向はセルに直交)で測定した.また変 に示す.この図で示す実効率はその時間の太陽電池の発 44 色素増感太陽電池の屋外発電特性 DSC 16 変換効率 変換効率 12 (ac%) 8 12 (ac%) 4 シリコン太陽電池 16 8 4 晴天日 曇天日 晴天日 曇天日 0 0 10- 3 10- 2 10- 1 100 10- 3 101 10- 2 日射量(×100 mW/cm2 ) 10- 1 100 101 日射量(×100 mW/cm2 ) 図 6 DSC とシリコン太陽電池の実効率と日射量の関係 Fig. 6. Relationship between effective conversion efficiency and incident solar energy. 1.6 1.2 DSC DSC シリコン太陽電池 1.4 1 変換効率︵正規化︶ 変換効率︵正規化︶ 1.2 1 0.8 0.6 θ 0.8 sc-Si 0.6 0.4 DSC シリコン太陽電池 0.2 AM 1.5 疑似太陽光 AM 1.5 疑似太陽光 0.4 0 0 20 40 60 80 0 100 30 60 90 入射角(°) 入射光強度(mW/cm2 ) 図 7 セル変換効率の入射光強度依存性 Fig. 7. Relationship between incident light intensity and conversion efficiency. 図 8 セル変換効率の角度依存性 Fig. 8. Relationship between incident light angle and conversion efficiency. 電 量(mW) を 太 陽 電 池 面 積(cm 2) と 日 射 量(mW/ 測 定 デ ー タ を プ ロ ッ ト し て い る.100 mW/cm2 か ら 2 cm2)で除したものであり,グラフには比較として基準 mW/cm2 までの範囲では日射量が小さくなるにつれて 効率 14.5%のシリコン太陽電池のデータを併せて示し DSC の実効率は向上していくが,シリコン太陽電池の た.DSC はシリコン太陽電池と異なり晴天日の昼には 実効率はほとんど変化しない.また,2 mW/cm 2 以下 ほぼ基準効率通りの,朝夕にはそれより高い実効率を示 の範囲ではどちらの太陽電池も実効率が低下するが,そ す傾向が見られ,また曇りの日には終日基準効率に対し の割合は DSC の方が小さい.このような差が現れる原 て高い実効率を示した.このように晴天日の正午付近を 因を探るため DSC とシリコン太陽電池の単セルサンプ 除き,ほとんどの時間帯で DSC の実効率は基準効率よ ルを用いて入射光強度,光入射角度,セル表面温度がそ りも高くなるため,年間の累積発電量は基準効率から予 れぞれのセルの変換効率に与える影響を調べた.図 7 想される値よりも高くなると期待される.これはシリコ に入射光強度と変換効率の関係を,図 8 に光入射角度と ン系の太陽電池において年間総発電量が基準効率から予 変換効率の関係を示す.DSC はシリコン太陽電池と異 想する値より低くなるといわれている 12) のと対照的で なり入射光強度が小さくなると変換効率が向上するのに ある.図 6 は DSC とシリコン太陽電池の実効率を日射 加え,光入射角度が大きくなっても影響を受けにくいた 量との関係で示したもので,図 5 の曇天日と晴天日の両 め,朝夕のように光が斜めに入射する場合や、曇天時の 45 2011 Vol.1 フ ジ ク ラ 技 報 (b) 第 120 号 (a) 1.4 1.2 変換効率︵正規化︶ 1 0.8 0.6 DSC 0.4 シリコン太陽電池 0.2 AM 1.5 疑似太陽光 0 0 20 40 60 80 セル表面温度(℃) モジュール表面温度の目安 (a)夏期 2009/8/13 12:00 54℃ (気温 31℃) (b)冬期 2009/2/05 12:00 29℃ (気温 8℃) 図 9 セル変換効率の表面温度依存性 Fig. 9. Relationship between surface temperature of cell and conversion efficiency. 16 (%) 基準効率 14.5% シリコン太陽電池の実効率 8 日射量 終日累積発電量/終日累積日射量 シリコン太陽電池 14 6 4 DSCの実効率 (kWh/m2/day) DSC 基準効率 5.5% 5 2 日射量 0 2009 12/17 0 2010 6/15 図 10 DSC とシリコン太陽電池の半年間の発電量推移 Fig. 10. Output of Si solar cell and DSC for 6 months. ように日射の散乱が強い場合に有利であることがこれら 4.年間の発電量予測 の結果からわかる.また図 9 に示すセルの表面温度と変 換効率の関係からは,シリコン太陽電池は表面温度が上 4.1 屋外発電量の実連続測定 が る に つ れ て 直 線 的 に 変 換 効 率 が 低 下 す る の に 対 し, 図 10 は基準効率 5.5%の DSC と 14.5%のシリコン太陽 DSC は 25 ∼ 55℃の範囲で標準状態よりも高い効率が得 電池を実際に屋外で半年間動作させて,その間の発電量 られることがわかる.晴天日の日中のセル表面温度は夏 を一日ごとの実効率としてプロットしたものである.計 に 55 ℃, 冬 に 30 ℃ 程 度 で あ り, こ の よ う な 条 件 で は 測開始時点と半年経過後で DSC の実効率に変化はなく, DSC の効率は基準効率より高くなる.屋外測定で得ら 計測期間内にセル劣化は起こっていない.またシリコン れた実効率にはこれら 3 つの特性が組み合わさっている 太陽電池が半年間のほぼ全期間を通して基準効率よりも ものと考えられる. 低めの実効率を示しているのに対し,DSC は晴天日で ほぼ基準効率程度,曇天や雨天日ではそれより高い値を 示していることがわかる.この期間の累積発電量はシリ 46 色素増感太陽電池の屋外発電特性 2000 2000 南向き 30°設置 横浜 平均年 (METPV-3) 1600 東壁面設置 1600 出現頻度 出現頻度 1200 1200 (時間 / 年) 800 (時間 / 年) 800 400 400 東 0 0 20 40 60 80 日射量(mW/cm2 ) 100 20 北 西 40 60 80 100 日射量(mW/cm2 ) 2000 2000 西壁面設置 1600 北壁面設置 1600 出現頻度 出現頻度 1200 1200 (時間 / 年) 800 (時間 / 年) 800 400 400 0 0 20 40 60 80 100 20 日射量(mW/cm2 ) 40 60 80 100 日射量(mW/cm2 ) 図 11 太陽電池モジュール設置方位に対する年間の日射量出現頻度 Fig. 11. Relationship between install direction of PV modules and appearance frequency of incident solar energy. 西壁面 7.2 MWh 北壁面 3.9 MWh 西壁面 10.0 MWh (1.4 倍) 南向き 30° 13.8 MWh N 南向き 30° 17.5 MWh (1.3 倍) 東壁面 6.9 MWh (a) シリコン太陽電池 北壁面 6.1 MWh (1.6 倍) 東壁面 9.7 MWh (1.4 倍) (b) DSC(カッコ内はシリコン太陽電池との比) 図 12 10 kW システム設置方位に対する年間発電量計算値 Fig. 12. Relationship between install direction and calculated annual output of 10 kW Si solar array. コン太陽電池で 94.0 kWh/m 2,DSC では 41.1 kWh/m2 点線で示した日射量と実効率の関係を利用することでそ であり,基準効率を比較した場合よりも性能差は小さ れぞれの太陽電池を種々の条件で設置したときのおよそ かった. の発電量を予想することができる.横浜で南向き 30°の 傾斜面と東西北方向の壁面に太陽電池を設置した場合の 年間日射量出現頻度を図 11 に示す.太陽電池の基準効 4.2 屋外発電量の計算による予測 日本各地での様々な方位の年間日射量は NEDO の委 率評価に用いる 100 mW/cm 2 という日射条件は実際に 託研究において日本気象協会が調査したデータベース はほとんど出現せず,低日射条件の時間の割合が非常に (METPV)が公開されている 13) 多い.さらに南斜面への設置と比べると東西北壁面への .このデータと図 6 に 47 2011 Vol.1 フ ジ ク ラ 技 報 設置では日射量の出現頻度が暗い側にシフトするため, 第 120 号 参 考 文 献 低照度時の実効率が高い DSC にとってはより有利な日 1) International Energy Agency, “Technology roadmap 射条件となる.これらの年間日射データを用いて各設置 Solar photovoltaic energy:2010”,2010 方位での発電量を予測計算した結果を図 12 に示す.同 定格出力のシステムを設置した場合,すべての方位で 2) B. O'Regan,et al.:“A Low-Cost,High-Efficiency DSC はシリコン太陽電池よりも高い予想発電量となっ Solar Cell Based on Dye-Sensitized Colloidal TiO 2 たが,特に北壁面に設置した場合にはシリコン太陽電池 Films”,Nature,No.353,pp.737‒740,1991 に対して 60 %程度多くの出力が得られる可能性がある 3) 松 井 浩 志 ほ か:「色 素 増 感 太 陽 電 池」, フ ジ ク ラ 技 報, 第 104 号,pp.37‒41,2003 ことがわかった. 4) 柳田祥三ほか:「ナノコンポジットイオンゲルを用いた 色素増感太陽電池」,フジクラ技報,第 107 号,pp.73‒ 5.む す び 78,2004 5) 江連哲也ほか:「900 × 1200 mm2 色素増感太陽電池モ 当社で開発した高耐久性 DSC が実際に屋外でどのよ ジュール」,フジクラ技報,第 110 号,pp.37‒41 2006 うな発電特性を示すか,シリコン太陽電池と比較しなが ら評価を行った.その結果 DSC はシリコン太陽電池と 6) 岡田顕一ほか:「高耐久性色素増感太陽電池」,フジク ラ技報,第 114 号,pp.48‒53,2008 異なり,光入射量が小さい場合や,セル表面温度が高い 場合に変換効率が向上し,光が斜めから入射しても効率 7) 臼 井 弘 紀 ほ か:「色 素 増 感 太 陽 電 池 の 屋 外 暴 露 試 験」, フジクラ技報,第 117 号,pp.38‒42,2009 が低下しにくいといった特徴をもつことや,それにより ソーラーシミュレータを用いた基準状態の変換効率より 8) トポン オンゴンほか:「色素増感太陽電池用カーボン も,屋外の実使用状態のほうが高い効率が得られること ナノチューブ電極」,フジクラ技報,第 118 号,pp.35‒ がわかった.実効率と日射量の関係から計算すると,同 38,2010 出 力 の シ リ コ ン 太 陽 電 池 と 比 べ て DSC は 設 置 条 件 に 9) T .Toyoda, et al.: “Outdoor performance of large scale よって 30 ∼ 60 %高い出力が得られると予想される.本 DSC modules”,J. Photochem. Photobiol. A,No. 164, pp.203‒207,2004 研究と並行して取り組んでいる変換効率向上を目指した 開発により,現在は基準効率でも 8ap %以上の高耐久性 10) N. Kato, et al.:“Degradation analysis of dye-sensitized DSC サブモジュールが製作できるようになってきてお solar cell module after long-term stability test under り,実使用条件の発電量で DSC は商用太陽電池と遜色 outdoor working condition”,Solar Energy Materials ないレベルに近づいている.今後実用化に向け,新たな & Solar Cells,93,pp.893‒897,2009 サンプルや設置条件を追加しながら引き続き屋外での詳 11) S. Sai, et al.,“The design and outdoor application of 細な動作特性解析を進めていきたいと考えている. dye-sensitized solar cells”,Inorganica Chimica Acta, 361,pp.786‒791,2008 本開発の一部は,独立行政法人新エネルギー・産業技 12) 浜川圭弘ほか:「太陽エネルギー工学 太陽電池」,培風 術開発機構(NEDO 技術開発機構)からの委託研究, 「太 館,p.260,1994 陽光発電未来技術研究開発 高耐久性色素増感太陽電池 13) 日 本 気 象 協 会: 平 成 17 年 度 NEDO 委 託 業 務 成 果 報 告 モジュールの研究開発」により実施した. 書「標準日射太陽光発電システム共通基盤技術研究開 発 標準日射データの地理的分解能向上に関する調査 研究」,2005 48