250kSPSの12ビット・インピーダンス・ コンバータ、ネットワーク・アナライザ AD5934 特長 概要 最大周波数100kHzのプログラマブルなピークtoピーク出力を 持つ励起電圧 シリアルI2Cインターフェースから設定可能な周波数掃引機能 周波数分解能:27ビット (<0.1Hz) インピーダンス測定範囲:100Ω∼10MΩ 位相測定機能 システム精度:0.5% 動作電源電圧:2.7∼5.5V 温度範囲:−40∼+125℃ 16ピンSSOPパッケージ AD5934は高精度のインピーダンス・コンバータ・システム・ソリューションで、 周波数ジェネレータと250kSPSの12ビットA/Dコンバータ (ADC) を内蔵し ています。この周波数ジェネレータでは、既知の周波数で外付けの複素 インピーダンスを励起することができます。インピーダンスからの応答信号 は内蔵のADCでサンプリングされ、内蔵のDSPエンジンで離散フーリエ 変換 (DFT) が行われます。このDFTアルゴリズムは、各出力周波数で実 数 (R) と虚数 (I) のデータワードを返します。 掃引時の各周波数ポイントでのインピーダンスの大きさと相対位相は、次 の2式から容易に計算できます。 インピーダンスの大きさ = R2+I 2 アプリケーション 電子化学的解析 生体電気インピーダンス解析 インピーダンス・スペクトロスコピー 複素インピーダンス測定 腐食監視保護装置 生物医学的センサーおよび車載センサー 近接センシング 非破壊検査 材料特性解析 燃料電池/バッテリの状態監視 位相 = Tan−1(I / R) 表1. 関連デバイス 製品番号 説明 AD5933 2.7∼5.5V。1MSPS、12ビット・インピーダンス、温度 センサー内蔵、16ピンSSOP。 機能ブロック図 MCLK AVDD DVDD DDSコア (27ビット) DAC ROUT SCL SDA VOUT I2C インターフェース Z(ω) AD5934 実数 レジスタ 虚数 レジスタ RFB 1024ポイントDFT VIN ADC (12ビット) ゲイン LPF AGND 05325-001 VDD/2 DGND 図1 アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用 に関して、あるいはその利用によって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いませ ん。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を明示的または暗示的に許諾するものでもあ りません。仕様は予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標は、各社の所有に属します。 日本語データシートは、REVISIONが古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。 ©2005 Analog Devices, Inc. All rights reserved. REV.0 アナログ・デバイセズ株式会社 本 社/東京都港区海岸1-16-1 電話03 (5402)8200 〒105-6891 ニューピア竹芝サウスタワービル (代)〒532-0003 大阪営業所/大阪府大阪市淀川区宮原3-5-36 電話06(6350)6868 新大阪MTビル2号 AD5934 目次 特長 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 ゲイン係数の温度変動‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥16 アプリケーション ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 インピーダンス誤差‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥16 概要 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 周波数掃引の実行‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥18 機能ブロック図 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 レジスタ・マップ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥19 仕様 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3 コントロール・レジスタ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥19 I2Cシリアル・インターフェースのタイミング特性 ‥‥‥‥‥‥5 スタート周波数レジスタ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20 絶対最大定格 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6 周波数インクリメント・レジスタ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20 ESDに関する注意 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6 インクリメント数レジスタ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥21 ピン配置と機能の説明 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥7 セトリング・タイム・サイクル数レジスタ‥‥‥‥‥‥‥‥21 代表的な性能特性 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥8 ステータス・レジスタ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥22 用語の説明‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10 実数データ・レジスタと虚数データ・レジスタ (16ビット)‥‥‥22 システムの説明‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥11 シリアル・バス・インターフェース‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥23 送信段‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12 一般的なI2Cのタイミング ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥23 周波数掃引コマンドのシーケンス‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13 AD5934に対する書込み/読出し ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥24 受信段‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13 ブロック書込み‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥24 DFTの動作 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13 AD5934の読出し動作 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥25 インピーダンスの計算‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥14 代表的なアプリケーション‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥26 インピーダンスの大きさの計算‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥14 生物医学:血液インピーダンスの無侵襲測定‥‥‥‥‥‥‥26 ゲイン係数の計算‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥14 センサー/複素インピーダンスの測定‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥26 ゲイン係数を使用したインピーダンスの計算‥‥‥‥‥‥‥14 電子インピーダンス・スペクトロスコピー‥‥‥‥‥‥‥‥27 周波数によるゲイン係数の変動‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥14 AD5934のリファレンスの選択 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥28 2ポイント・キャリブレーション ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15 レイアウトおよび構成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥29 2ポイント・ゲイン係数の計算 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15 電源のバイパスとグラウンディング‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥29 ゲイン係数のセットアップ構成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15 外形寸法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥30 ゲイン係数の再計算‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15 オーダー・ガイド‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥30 改訂履歴 6/05―Revision 0: Initial Version 2 REV.0 AD5934 仕様 特に指定がない場合のテスト条件:VDD=3.3V、MCLK=16.776MHz、出力励起電圧=2Vp-p (30kHz) 、5番ピンと6番ピンとの間に200kΩを接続、 帰還抵抗=200kΩ (4番ピンと5番ピンとの間に接続) 、PGAゲイン=×1。 表2 パラメータ Min Yバージョン1 Typ Max 単位 テスト条件/コメント システム インピーダンス範囲 0.001 10 MΩ 総合システム精度 0.5 % システム・インピーダンス誤差ドリフト 30 ppm/℃ 送信段 出力周波数範囲2 出力周波数分解能 1 100 0.1 kHz Hz DDS技術を使い0.1Hz未満の分解能が 可能 MCLK周波数 16.776 MHz 最大システム・クロック周波数 Vp-p 出力電圧の分布については図4参照 送信出力電圧 レンジ1 AC出力励起電圧3 1.98 DCバイアス4 1.48 V AC励起信号のDCバイアス。図5参照 DC出力インピーダンス 200 Ω TA=25℃ VOUTでのグラウンドへの短絡電流 ±5.8 mA TA=25℃ AC出力励起電圧3 0.97 Vp-p 図6参照 DCバイアス4 0.76 V 出力励起信号のDCバイアス。図7参照 DC出力インピーダンス 2.4 kΩ VOUTでのグラウンドへの短絡電流 ±0.25 mA レンジ2 レンジ3 AC出力励起電圧3 0.383 Vp-p 図8参照 DCバイアス4 0.31 V 出力励起信号のDCバイアス。図9参照 DC出力インピーダンス 1 kΩ VOUTでのグラウンドへの短絡電流 ±0.20 mA AC出力励起電圧3 0.198 Vp-p 図10参照 DCバイアス4 0.173 V 出力励起信号のDCバイアス。図11参照 DC出力インピーダンス 600 Ω VOUTでのグラウンドへの短絡電流 ±0.15 mA グラウンドへの短絡電流 ±0.15 mA レンジ4 システムAC特性 信号/ノイズ比 60 dB 全高調波歪み −52 dB 広帯域 (0∼1MHz) −56 dB 狭帯域 (±5kHz) −85 dB スプリアスフリー・ダイナミック・レンジ REV.0 3 AD5934 パラメータ Min Yバージョン1 Typ Max 単位 テスト条件/コメント 受信段 入力リーク電流 1 nA VINピンへ 入力容量5 0.01 fF VOUTとGNDとの間のピン容量 帰還容量CFB 3 pF I/V変換アンプの帰還容量 (帰還抵抗と並列に出現) A/Dコンバータ5 分解能 12 ビット サンプリング・レート 250 kSPS ADCスループット・レート ロジック入力 入力ハイレベル電圧 (VIH) 0.7×VDD 入力ローレベル電圧 (VIL) 0.3×VDD 入力電流6 1 μA TA=25℃ 入力容量 7 pF TA=25℃ 電源条件 VDD 5.5 V IDD (ノーマル・モード) 2.7 10 15 mA 17 25 mA VDD=5.5V IDD (スタンバイ・モード) 7 mA VDD=3.3V、 「コントロール・レジスタ」の 9 mA VDD=5.5V VDD=3.3V 項を参照。 IDD (パワーダウン・モード) 0.7 5 μA VDD=3.3V 1 8 μA VDD=5.5V 1 Yバージョンの温度範囲=−40∼+125℃、代表値は25℃。 2 出力励起周波数の下限は、AD5934に入力されるクロックをスケーリングすることにより下げることができます。 3 AC出力励起電圧のピークtoピーク値は、次式に従って電源電圧でスケーリングすることができます。VDDは電源電圧です。 2 出力励起電圧(Vp-p)= × VDD 3.3 4 出力励起電圧のDCバイアス値は、次式に従って電源電圧でスケーリングすることができます。VDDは電源電圧です。 2 出力励起バイアス電圧(V)= × VDD 3.3 5 設計または特性評価により保証。出荷テストは実施していません。VOUTピンの入力容量は、ピン容量をI/V (電流電圧) 変換アンプのオープンループ・ゲインで除算した値に等しく なります。 6 8番ピン、15番ピン、16番ピンに流入する電流の累積。 4 REV.0 AD5934 I2Cシリアル・インターフェースのタイミング特性 VDD=2.7∼5.5V。特に指定のない限り、すべての仕様はTMIN∼TMAX。1 表3 パラメータ2 TMIN、TMAXでの規定値 単位 説明 FSCL 400 kHz (max) SCLクロック周波数 t1 2.5 μs (min) SCLのサイクル・タイム t2 0.6 μs (min) tHIGH、SCLのハイレベル時間 t3 1.3 μs (min) tLOW、SCLのローレベル時間 t4 0.6 μs (min) tHD、STA、スタート/繰返しスタート状態のホールド・タイム t5 100 ns (min) tSU、DAT、データ・セットアップ・タイム t63 0.9 μs (max) tHD、DAT、データ・ホールド・タイム 0 μs (min) tHD、DAT、データ・ホールド・タイム t7 0.6 μs (min) tSU、STA、繰返しスタートのセットアップ・タイム t8 0.6 μs (min) tSU、STO、ストップ状態のセットアップ・タイム t9 1.3 μs (min) tBUF、ストップ状態とスタート状態との間のバス開放時間 t10 300 ns (max) tF、送信時のSDAの立上がり時間 0 ns (min) (CMOS互換) tR、受信時のSCLとSDAの立上がり時間 300 ns (max) tF、送信時のSCLとSDAの立下がり時間 0 ns (min) (CMOS互換) tF、受信時のSDAの立下がり時間 250 ns (max) tF、受信時のSDAの立下がり時間 20+0.1 CB4 ns (min) tF、送信時のSCLとSDAの立下がり時間 400 pF (max) 各バス・ラインの容量負荷 t11 CB 1 図2参照。 2 設計および特性評価により保証。出荷テストは実施していません。 3 SCLの立下がりエッジの不定を避けるため、マスター・デバイスは、SDA信号に対して300ns以上のホールド・タイムを用意する必要があります (SCL信号のVIH MINを基準として) 。 4 CBは、1つのバス・ラインの合計容量 (pF) です。tRとtFは、0.3VDDと0.7VDDの間で測定。 SDA t9 t3 t11 t10 t4 SCL t6 t2 t5 t7 t1 繰返し スタート 状態 スタート 状態 図2. I2Cインターフェースのタイミング図 REV.0 5 t8 ストップ 状態 05325-002 t4 AD5934 絶対最大定格 特に指定のない限り、TA=25℃。 上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えるとデバイスに恒久的な損 傷を与えることがあります。この規定はストレス定格のみを指定するもので 表4 あり、この仕様の動作セクションに記載する規定値以上でのデバイス動作 パラメータ 定格 GNDに対するDVDD −0.3∼+7.0V GNDに対するAVDD1 −0.3∼+7.0V GNDに対するAVDD2 −0.3∼+7.0V GNDに対するSDA/SCL −0.3∼VDD+0.3V GNDに対するVOUT −0.3∼VDD+0.3V GNDに対するVIN −0.3∼VDD+0.3V GNDに対するMCLK −0.3∼VDD+0.3V を定めたものではありません。デバイスを長時間絶対最大定格状態に置 くと、デバイスの信頼性に影響を与えることがあります。 動作温度範囲 拡張工業用 (Yグレード) −40∼+125℃ 保存温度範囲 −65∼+160℃ 最大ジャンクション温度 150℃ SSOPパッケージ θJA熱抵抗 139℃/W θJC熱抵抗 136℃/W リフロー・ハンダ (鉛フリー) ピーク温度 260℃ ピーク温度の時間 10∼40秒 注意 ESD(静電放電) の影響を受けやすいデバイスです。人体や試験機器には4,000Vもの高圧の静電気が容易に蓄積され、検 知されないまま放電されることがあります。本製品は当社独自のESD保護回路を内蔵してはいますが、デバイスが高エネルギ ーの静電放電を被った場合、回復不能の損傷を生じる可能性があります。したがって、性能劣下や機能低下を防止するため、 ESDに対する適切な予防措置を講じることをお勧めします。 6 REV.0 AD5934 ピン配置と機能の説明 NC 1 16 SCL NC 2 15 SDA RFB 4 VIN 5 AD5934 14 AGND2 上面図 (実寸ではありません) 13 AGND1 12 DGND VOUT 6 11 AVDD2 NC 7 10 AVDD1 MCLK 8 9 NC=未接続 DVDD 05325-003 NC 3 図3. ピン配置 すべての電源ピン (9番ピン、10番ピン、11番ピン) を相互接続し、2.7∼5.5Vの単電源で動作させることを推奨します。また、すべてのグラウンド信号 (12番ピン、13番ピン、14番ピン) を相互接続することも推奨します。 表5 ピン機能の説明 ピン番号 記号 説明/コメント 1、2、3、7 NC 未接続 4 RFB 外付けの帰還抵抗。4番ピンと5番ピンとの間に接続して、受信側のI/V変換アンプのゲイン設定に使います。 5 VIN 受信トランスインピーダンス・アンプへの入力。電圧VDD/2の仮想グラウンドを提供。 6 VOUT 励起電圧信号出力 8 MCLK システムのマスター・クロック。ユーザが入力 9 DVDD デジタル電源電圧 10 AVDD1 アナログ電源電圧1 11 AVDD2 アナログ電源電圧2 12 DGND デジタル・グラウンド 13 AGND1 アナログ・グラウンド1 14 AGND2 アナログ・グラウンド2 15 SDA I2Cデータ入力 16 SCL I2Cクロック入力 REV.0 7 AD5934 代表的な性能特性 30 35 MEAN = 0.7543 SIGMA = 0.0099 MEAN = 1.9824 SIGMA = 0.0072 30 25 20 デバイス数 デバイス数 25 20 15 15 10 10 05325-064 0 1.92 1.94 1.96 1.98 2.00 2.02 2.04 0 0.68 2.06 0.72 0.74 0.76 0.78 0.80 0.82 0.84 0.86 電圧(V) 図4. レンジ1:出力励起電圧の分布(VDD=3.3V) 図7. レンジ2:DCバイアスの分布(VDD=3.3V) 30 MEAN = 0.3827 SIGMA = 0.00167 MEAN = 1.4807 SIGMA = 0.0252 25 20 20 15 15 10 10 5 5 0 1.30 1.35 1.40 1.45 1.50 1.55 1.60 1.65 1.70 0 0.370 1.75 05325-077 デバイス数 25 05325-072 0.375 0.380 0.385 0.390 0.395 0.400 電圧(V) 電圧(V) 図5. レンジ1:DCバイアスの分布(VDD=3.3V) 図8. レンジ3:出力励起電圧の分布(VDD=3.3V) 30 30 MEAN = 0.9862 SIGMA = 0.0041 MEAN = 0.3092 SIGMA = 0.0014 25 20 20 デバイス数 25 15 15 10 5 5 0 0.95 05325-066 10 0.96 0.97 0.98 0.99 1.00 1.01 0 0.290 1.02 05325-074 デバイス数 0.70 電圧(V) 30 デバイス数 05325-073 5 5 0.295 0.300 0.305 0.310 0.315 0.320 電圧(V) 電圧(V) 図6. レンジ2:出力励起電圧の分布(VDD=3.3V) 図9. レンジ3:DCバイアスの分布(VDD=3.3V) 8 REV.0 AD5934 15.8 30 MEAN = 0.1982 SIGMA = 0.0008 25 14.8 14.3 IDD(mA) 20 15 10 13.8 13.3 12.8 12.3 11.8 0 0.192 05325-070 5 0.194 0.196 0.198 0.200 0.202 0.204 05325-088 デバイス数 AVDD1、AVDD2、DVDDは相互接続 出力励起周波数=30kHz RFB、ZCALIBRATION=100kΩ 15.3 11.3 10.8 0 0.206 2 4 6 8 10 12 14 16 電圧(V) MCLK周波数(MHz) 図10. レンジ4:出力励起電圧の分布(VDD=3.3V) 図12. クロック周波数 対 電源電流(代表値) 18 0.4 30 MEAN = 0.1792 SIGMA = 0.0024 VDD = 3.3V TA = 25°C f = 32kHz 0.2 25 0 位相誤差(度) デバイス数 20 15 10 –0.2 –0.4 –0.6 5 –1.0 0 0.160 0.165 0.170 0.175 0.180 0.185 0.190 0.195 0.200 0.205 REV.0 05325-028 05325-075 –0.8 0 50 100 150 200 250 300 電圧(V) 位相(度) 図11. レンジ4:DCバイアスの分布(VDD=3.3V) 図13. 位相誤差(代表値) 9 350 400 AD5934 用語の説明 総合システム精度 AD5934は、2.7∼5.5Vの電源電圧で、広範なインピーダンス値を0.5%未 S/N比(信号/ノイズ比、SNR) SNRは、測定した出力信号のrms値と、ナイキスト周波数より下のそれ 満の誤差で正確に測定できます。 以外の全スペクトル成分のrms値総和との比です。SNRはdB値で表し ます。 スプリアスフリー・ダイナミック・レンジ(SFDR) 注目する周波数と一緒に、基本周波数の高調波とこれらの周波数のイ メージが、DDSデバイスの出力に現れます。スプリアスフリー・ダイナミッ 全高調波歪み(THD) THDは基本波に対する高調波のrms総和の比です。ここで、V1は基本 ク・レンジは、注目する帯域内に現れる最大のスプリアスまたは高調波を 意味します。広帯域SFDRは、0からナイキストまでの帯域内での、最大高 波のrms振幅であり、V2、V3、V4、V5、V6は、それぞれ2次から6次ま での高調波のrms振幅です。 調波振幅または基本波振幅を基準としたスプリアス振幅を与えます。狭 AD5934の場合、THDは次のように定義されます。 帯域SFDRは、基本周波数を中心とする±200kHz帯域幅内での最大ス プリアスまたは高調波の減衰量を与えます。 THD (db)= 20 log 10 V2 2+V3 2+V4 2+V5 2+V 26 V1 REV.0 AD5934 システムの説明 MCLK DDSコア (27ビット) DAC ROUT COS VOUT SIN SCL I2C インターフェース マイクロコントローラ SDA Z(ω ) AD5934 実数 レジスタ 虚数 レジスタ RFB MACコア (1024 DFT) プログラマブル・ ゲイン・アンプ(PGA) MCLK VIN ADC (12ビット) X5 X1 LPF VDD/2 05325-078 データの ウインドウ化 図14. ブロック図 AD5934は高精度のインピーダンス・コンバータ・システム・ソリューションで、 周波数ジェネレータと250kSPSの12ビットADCを内蔵しています。この周 AD5934を使うと、ユーザ定義のスタート周波数、周波数分解能、掃引 のポイント数で周波数掃引を実行できます。さらに、VOUTピンとVINピ 波数ジェネレータでは、既知の周波数で外付けの複素インピーダンスを 励起できます。インピーダンスからの応答信号は内蔵のADCでサンプリ ンのと間に接続した外付けの未知インピーダンスを励起する出力正弦波 信号のピークtoピーク値を設定することもできます。 ングされ、内蔵のDSPエンジンでDFT処理されます。このDFTアルゴリズ ムは、掃引の各出力周波数で実数 (R) と虚数 (I) のデータワードを返しま す。インピーダンスの大きさと位相は次式から容易に計算できます。 表6に、設定可能な4つの出力ピークtoピーク電圧と対応する各レンジの DCバイアス・レベルを示します。 表6 インピーダンスの大きさ = R2+I 2 位相 = Tan−1(I / R) インピーダンスZ (ω) を特性化するには、一般に図15に示すような結果を 得るように周波数掃引を実行する必要があります。 出力励起電圧振幅 出力DCバイアス・レベル レンジ1:1.98Vp-p 1.48V レンジ2:0.99Vp-p 0.74V レンジ3:383mVp-p 0.31V レンジ4:198mVp-p 0.179V 送信段に対する励起信号は、1Hz未満の分解能が可能なDDS技術を 使用して内部で生成されます。受信段では未知インピーダンスからの入 力信号電流を受け取って信号処理を行い、その結果をデジタル化しま 05325-033 インピーダンス す。DDSのクロックは、MCLKに入力された外付けリファレンス・クロック から生成されます。 周波数 図15 REV.0 11 AD5934 とDDSからの必要なインクリメント周波数出力に基づいて式2から計算 した値となります。 送信段 図16に示すように、AD5934の送信段は、特定の周波数で出力励起信 号を供給する27ビットの位相アキュムレータDDSコアから構成されていま す。位相アキュムレータへの入力は、START FREQUENCY (スタート周 波数) レジスタ値から得られます (RAMロケーション82 h、83 h、84 hを参 周波数インクリメント・コード = 照) 。位相アキュムレータは27ビットの分解能を提供しますが、スタート 周波数レジスタの上位3ビット (MSB) は内部で0に固定されているため、 設定できるのはスタート周波数レジスタの下位24ビットのみです。 この周波数分解能は、I 2 Cインターフェースを経由してFREQUENCY 周波数インクリメント・コード = INCREMENT (周波数インクリメント) レジスタにシリアルにロードされる24 ビットワードにより設定されます。 (2) 10 Hz 16 MHz ≡ 00053E 16進数 16 00 hexをレジスタ85 hに、05 hexをレジスタ86 hに、3E hexをレジスタ87 h 周波数掃引は、スタート周波数、周波数インクリメント、インクリメント数の に、それぞれ設定します。 3つのパラメータで設定されます。 インクリメント数 スタート周波数 これは9ビットワード長で、 掃引の周波数ポイント数を表します。この値は、 この24ビットワードは、内蔵RAMのアドレス82 h、アドレス83 h、アドレス 84 hに書き込まれます ( 「レジスタ・マップ」の項を参照) 。スタート周波数 内蔵RAMのアドレス88 hとアドレス89 hに書き込まれます ( 「レジスタ・マ ップ」の項を参照) 。設定可能な最大ポイント数は511です。 レジスタにロードされる必要なコードは、マスター・クロック周波数とDDS からの必要なスタート周波数出力に基づいて式1から計算した値となり たとえば、掃引が150ポイントの場合、00 hexをレジスタ88 hに、96 hex をレジスタ89 hに、それぞれ設定します。 ます。 必要な出力スタート周波数 MCLK 16 × 227 (1) 3個のパラメータ値が書き込まれた後に、アドレス80 hとアドレス81 hにあ るCONTROL(コントロール) レジスタにスタート周波数掃引コマンドを発 行することにより掃引が開始されます ( 「レジスタ・マップ」の項を参照) 。 STATUS(ステータス) レジスタ (レジスタ8F h) のビット2は、各掃引ポイン たとえば、掃引を30kHzから開始し、MCLKに16MHzのクロック信号が 接続されている場合、設定するコードは次のように求められます。 スタート周波数コード = × 227 たとえば、掃引分解能が10Hzで、MCLKに16MHzのクロック信号が接 続されている場合、設定するコードは次式で求めます。 AD5934では、最小周波数分解能を0.1Hzまで下げることができます。 スタート周波数コード = 必要な周波数インクリメント MCLK 16 30 kHz 16 MHz 16 × 227 トの周波数測定完了を示します。次の周波数掃引ポイントへのインクリ メントは、ユーザ制御のもとで行われます。測定結果は2つのレジスタ (94 h、95 hと96 h、97 h) に格納されるので、コントロール・レジスタへイン クリメント周波数コマンドを発行して次の掃引ポイントへ移動する前に、 読み出すことができます。コントロール・レジスタへ繰返し周波数コマンド ≡ 3D70A3 16進数 を発行して現在の周波数ポイント測定を繰り返す機能も用意されてい ます。この機能は、連続した読出し値の平均をとる場合に便利です。 3D hexをレジスタ82 hに、70 hexをレジスタ83 hに、A3 hexをレジスタ 84 hに、それぞれ設定します。 周波数掃引が全周波数ポイントで完了すると、ステータス・レジスタのビ ット3がセットされて、掃引の完了を示します。このビットがセットされると、 その後のインクリメントはディスエーブルになります。 周波数インクリメント この24ビットワードは、内蔵RAMのアドレス85 h、アドレス86 h、アドレス 87 hに書き込まれます ( 「レジスタ・マップ」の項を参照) 。周波数インクリ メント・レジスタにロードされる必要なコードは、マスター・クロック周波数 12 REV.0 AD5934 周波数掃引コマンドのシーケンス 受信段 以下の手順を行うことによって、周波数掃引が実行されます。 受信段は、I/V変換アンプ、プログラマブル・ゲイン・アンプ (PGA) 、アン チエイリアシング・フィルタ、ADCの順に構成されています。受信段の回 1.スタンバイ・モードを発行します。 スタート周波数掃引コマンドを発行する前に、コントロール・レジスタ 路図を図17に示します。未知インピーダンスはVOUTピンとVINピンの間 に接続されます。最初のI/V変換アンプの構成では、VINピンの電圧は、 (レジスタ80 h) にスタンバイ・モード・コマンドを発行してデバイスをス VDD/2に設定されたDC値を持つ仮想グラウンドとなります。未知インピ タンバイ・モードにする必要があります。このモードでは、VOUTピンと VINピンが内部でグラウンドに接続されるため、外付けインピーダン ーダンスを流れる信号電流はVINピンに流入し、電流/電圧コンバータ の出力に電圧信号を発生させます。I/V変換アンプのゲインは、4番ピン スの両端またはインピーダンスとグラウンドとの間にDCバイアスは発 生しません。 (RFB) と5番ピン (VIN) の間に接続される、ユーザ選択可能な帰還抵 抗によって決定されます。PGA段の選択されたゲインと組み合せて帰 還抵抗値を選択し、信号をADCのリニア範囲 (0V∼VDD) 内に維持す 2. 初期化モードを発行します。 一般に、高いQの複素回路は、安定状態に到達するために長い時 ることが重要です。 間を要します。このようなインピーダンスの測定を可能にするため、こ のモードでは、実際のインピーダンス測定を行う周波数掃引モードが PGAでは、コントロール・レジスタのビットD8のステータスに応じて ( 「レジ スタ・マップ」の「レジスタ81 h」 を参照) 、I/V変換アンプの出力をゲイン5 開始される前に、必要なセトリング・タイムが完全に制御されます。 または1に設定することができます。その後、信号はローパス・フィルタ処 理されて、250kSPSの12ビットADCに入力されます。 コントロール・レジスタにスタート周波数による初期化コマンドを設定 すると、初期化モードが開始されます。このモードでは、インピーダン スが設定されたスタート周波数で励起されますが、測定は行いませ RFB R 5×R C ん。必要なセトリング・タイムがタイムアウト (時間切れで終了) してから、 コントロール・レジスタにスタート周波数掃引コマンドが発行され、ス R VIN R ADC VDD/2 LPF 3. スタート周波数掃引モードを発行します。 コントロール・レジスタにスタート周波数掃引コマンドを発行して、この モードを開始します。このモードでは、設定したセトリング・タイム・サイ 05325-038 タート周波数掃引モードが開始します。 図17. 受信段 クル数が経過した後にADCが測定を開始します。各周波数ポイント で測定が開始される前に必要なセトリング・タイムは、出力周波数サ イクルの整数値(セトリング・タイム・サイクル数) となり、この値はレジス ADCからのデジタル・データはAD5934のDSPコアに直接渡され、そこで サンプリングされたデータに対してDFT処理が行なわれます。 タ8A hとレジスタ8B hに設定することができます。 (図28参照) 。 表6に示すピークtoピーク出力励起信号の4種類のレンジを生成するた めに、DDS出力信号はプログラマブルなゲイン段に渡されます。ピーク DFTの動作 toピーク出力励起電圧は、コントロール・レジスタのビットD10とビットD9を DFTアルゴリズムは次式で表されます。 掃引の各周波数ポイントについてDFTが計算されます。AD5934の セットすることにより選択され(「コントロール・レジスタ」の項を参照)、 VOUTピンに出力されます。 1023 X ( f ) = Σ ( x (n)(cos(n) – j sin(n))) n=0 R(ゲイン) ここで、X ( f )は周波数ポイントf での信号パワー、x (n)は周波数 f で DDSコアによって提供されるサンプリング用テスト・ベクトルで、cos(n)と DAC VOUT VBIAS 05325-034 位相 アキュムレータ (27ビット) sin(n)を含むADC出力です。 この乗算は、各周波数ポイントで1024回サンプルされた全てが加算さ れます。この結果は実数成分と虚数成分を表す2個の16ビット・レジス 図16. 送信段 タに格納され、データは2の補数フォーマットで格納されます。 REV.0 13 AD5934 インピーダンスの計算 インピーダンスの大きさの計算 各周波数ポイントに対するインピーダンス計算の最初のステップは、その ゲイン係数を使用したインピーダンスの計算 次の例は、前式から得たゲイン係数を使用し、未知インピーダンスを測 定する方法です。この例では、未知インピーダンスを510kΩと仮定して ポイントでDFTの大きさを計算することです。 います。 DFTの大きさは次式で計算します。 周波数30kHzで未知インピーダンスを測定した後、実数レジスタと虚数 大きさ = R2+I 2 レジスタに次のデータが格納されているものと仮定します。 ここで、Rはレジスタ・アドレス94 hとレジスタ・アドレス95 hに格納されて 実数レジスタ:=0AEB hex=−1473 (10進) いる実数値であり、Iはレジスタ・アドレス96 hとレジスタ・アドレス97 hに 虚数レジスタ:=0DB3 hex=3507 (10進) 2 2 大きさ = ((−1473) +(3507) ) = 3802.863 格納されている虚数値です。 たとえば、ある周波数ポイントでの実数レジスタと虚数レジスタの値を次 のように仮定すると、 そうすると、この周波数ポイントで測定されたインピーダンスは次式で得 られます。 1 インピーダンス = ゲイン係数 × 大きさ 実数レジスタ:=038B hex=907 (10進) 虚数レジスタ:=0204 hex=516 (10進) 大きさ = (9072+5162) = 1043.506 1 = Ω 515.819273 E−12 × 3802.863 この数値をインピーダンスに変換するには、ゲイン係数と呼ばれるスケー リング係数を乗算する必要があります。ゲイン係数は、既知インピーダン = 509.791 kΩ スをVOUTピンとVINピンの間に接続してシステムをキャリブレーションす るときに計算されます。 周波数によるゲイン係数の変動 AD5934は有限な周波数応答を持つため、ゲイン係数も周波数によって ゲイン係数は一度計算すると、VOUTピンとVINピンの間に接続された 任意の未知インピーダンスの計算に使用できます。 変動を示します。このために、周波数範囲に対してインピーダンス計算 に誤差が発生します。図18に、シングル・ポイント・ゲイン係数計算に基 づくインピーダンスの変化を示します。この誤差を最小にするため、周波 ゲイン係数の計算 数掃引は、できるだけ小さい周波数範囲に限定する必要があります。 ゲイン係数の計算例を次に示します。次のように仮定します。 101.5 出力励起電圧=2V (p-p) キャリブレーション・インピーダンス値、ZCALIBRATION=200kΩ 101.0 インピーダンス(kΩ) PGA gain=×1 I/V変換アンプのゲイン抵抗=200kΩ キャリブレーション周波数=30kHz 周波数ポイント変換後の実数レジスタと虚数レジスタの代表的な値は、 次のようになります。 100.5 100.0 99.5 98.5 54 (−3996)2+(8830)2 = 9692.106 05325-085 99.0 実数レジスタ:=F9C hex=−3996 (10進) 虚数レジスタ:=227E hex=8830 (10進) 大きさ = VDD=3.3V キャリブレーション周波数=60kHz TA=25℃ 測定されたキャリブレーション・インピーダンス=100kΩ 56 58 60 62 64 66 周波数(kHz) 1 ゲイン係数 = ゲイン係数 = アドミタンス コード 1 200 kΩ 9692 .106 インピーダンス = 大きさ 図18. シングル・ポイント・ゲイン係数計算を使用したインピーダンスの変化 = 515.819E – 12 14 REV.0 AD5934 2ポイント・キャリブレーション ゲイン係数のセットアップ構成 また、周波数変動をリニアであると仮定し、2ポイント・キャリブレーション によりゲイン係数を調整することで、この誤差を最小にすることができま ゲイン係数を計算するときは、受信段はリニア領域で動作していることが 重要です。このためには、励起信号範囲、電流/電圧ゲイン抵抗、 す。図19に、2ポイント・ゲイン係数計算に基づくインピーダンスの変化を 示します。 PGAゲインを慎重に選択する必要があります。図20に示すシステム全体 のゲインは次式で得られます。 ゲイン設定抵抗 出力励起電圧範囲 × × PGAゲイン ZUNKNOWN 101.5 101.0 VDD=3.3V キャリブレーション周波数=60kHz TA=25℃ 測定されたキャリブレーション・インピーダンス=100kΩ RFB 100.0 VOUT ZUNKNOWN VIN ADC 99.5 PGA (X1またはX5) VDD 99.0 図20. システム電圧ゲイン 05325-086 98.5 54 56 58 60 62 64 66 この例では、システム設定を次のように仮定します。 周波数(kHz) 図19. 2ポイント・ゲイン係数計算を使用したインピーダンスの変化 VDD=3.3V ゲイン設定抵抗=200kΩ ZUNKNOWN=200kΩ 2ポイント・ゲイン係数の計算 PGA設定=×1 次に2ポイント・ゲイン係数計算の例を示します。次のように仮定します。 ADCへ入力されるピークtoピーク電圧は2Vp-pですが、ユーザがPGA ゲイン×5を選択すると、この電圧ではADCが飽和してしまいます。 出力励起電圧=2V (p-p) キャリブレーション・インピーダンス値、ZUNKNOWN=100.0kΩ PGAゲイン=×1 電源電圧=3.3V ゲイン係数の再計算 I/V変換アンプのゲイン抵抗=100kΩ キャリブレーション周波数=55kHzおよび65kHz 次のパラメータを変更する場合、ゲイン係数の再計算が必要となります。 2ポイントのキャリブレーション周波数で計算されたゲイン係数の代表的 ¡電流/電圧ゲイン設定抵抗 ¡出力励起電圧 な値は、次のようになります。 ¡PGAゲイン 55kHzで計算されたゲイン係数=1.031224E-09 65kHzで計算されたゲイン係数=1.035682E-09 ゲイン係数の差 (ΔGF) =1.035682E-09− 1.031224E-09=4.458000E-12 掃引の周波数スパン (ΔF) =10kHz したがって、60kHzで必要とされるゲイン係数は次式で得られます。 4.458000E−12 × 5kHz +1.031224E-09 10kHz 必要なゲイン係数=1.033453E-9 「インピーダンスの計算」の項で説明したように、インピーダンスが計算さ れます。 REV.0 LPF 05325-089 インピーダンス(kΩ) 電流/電圧ゲイン設定抵抗 100.5 15 AD5934 レンジ2(1∼10kΩ) ゲイン係数の温度変動 出力励起電圧=2Vp-p 温度による代表的なインピーダンス誤差変動は、およそ30ppm/℃です。 図21に、2ポイント・ゲイン係数キャリブレーションを使用した100kΩイン キャリブレーション・インピーダンス値、ZCALIBRATION=1kΩ PGAゲイン=×1 ピーダンスに対する温度変動によるインピーダンスの変化を示します。 電源電圧=3.3V I/V変換アンプのゲイン抵抗=1kΩ 101.5 2.0 +125°C 101.0 100.5 RFB = 1kΩ キャリブレーション・インピーダンス=1kΩ TA = 25°C 1.6 5kΩ %インピーダンス誤差 +25°C 100.0 –40°C 99.5 98.5 54 VDD=3.3V キャリブレーション周波数=60kHz 測定されたキャリブレーション・インピーダンス=100kΩ 56 58 60 62 64 1.4 10kΩ 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 05325-080 99.0 05325-087 インピーダンス(kΩ) 1.8 0.2 66 周波数(kHz) 0 10 35 図21. 温度によるインピーダンスの変化 (2ポイント・ゲイン係数計算を使用) 60 100 周波数(kHz) 図23. レンジ2:周波数に対する代表的な%インピーダンス誤差 インピーダンス誤差 レンジ3(10∼100kΩ) 出力励起電圧=2Vp-p 測定のインピーダンス・レンジを最小にすると、AD5934の測定性能を最 適 化できます。6 種 類のインピーダンス・レンジで動 作させた際の AD5934の性能例を次に示します。各ケースで、ゲイン係数は高精度抵 キャリブレーション・インピーダンス値、ZCALIBRATION=10kΩ PGAゲイン=×1 電源電圧=3.3V 抗を使って算出されています。 I/V変換アンプのゲイン抵抗=10kΩ レンジ1(0.1∼1kΩ) 0.3 出力励起電圧=2Vp-p キャリブレーション・インピーダンス値、ZCALIBRATION=100Ω 0.2 %インピーダンス誤差 PGAゲイン=×1 電源電圧=3.3V I/V変換アンプのゲイン抵抗=100Ω 7 5 50kΩ 100kΩ 0.1 0 –0.1 0.5kΩ 1kΩ 4 05325-081 –0.2 –0.3 10 3 35 60 100 周波数(kHz) 2 図24. レンジ3:周波数に対する代表的な%インピーダンス誤差 1 05325-079 %インピーダンス誤差 6 RFB = 0.1kΩ キャリブレーション・インピーダンス=0.1kΩ TA = 25°C RFB = 10kΩ キャリブレーション・インピーダンス=10kΩ TA = 25°C 0 10 35 60 100 周波数(kHz) 図22. レンジ1:周波数に対する代表的な%インピーダンス誤差 16 REV.0 AD5934 レンジ4(100kΩ∼1MΩ) レンジ6(9∼10MΩ) 出力励起電圧=2Vp-p 出力励起電圧=2Vp-p キャリブレーション・インピーダンス値、ZCALIBRATION=100kΩ PGAゲイン=×1 キャリブレーション・インピーダンス値、ZCALIBRATION=9MΩ PGAゲイン=×1 電源電圧=3.3V I/V変換アンプのゲイン抵抗=100kΩ 電源電圧=3.3V I/V変換アンプのゲイン抵抗=9MΩ 1.0 4 500kΩ 1MΩ 0.5 2 RFB = 10MΩ キャリブレーション・インピーダンス=10MΩ TA = 25°C 0 %インピーダンス誤差 0 %インピーダンス誤差 –0.5 –1.0 –1.5 –2.0 –2 –4 9.5MΩ 10MΩ –6 –2.5 –3.5 10 35 60 –8 –10 100 10 周波数(kHz) 出力励起電圧=2Vp-p キャリブレーション・インピーダンス値、ZCALIBRATION=100kΩ PGAゲイン=×1 電源電圧=3.3V I/V変換アンプのゲイン抵抗=100kΩ RFB = 1MΩ キャリブレーション・インピーダンス=1MΩ TA = 25°C %インピーダンス誤差 –1 –3 –5 1.5MΩ 2MΩ 05325-083 –7 –9 10 35 60 100 周波数(kHz) 図26. レンジ5:周波数に対する代表的な%インピーダンス誤差 REV.0 60 100 図27. レンジ6:周波数に対する代表的な%インピーダンス誤差 レンジ5(1∼2MΩ) 1 35 周波数(kHz) 図25. レンジ4:周波数に対する代表的な%インピーダンス誤差 3 05325-084 RFB = 100kΩ キャリブレーション・インピーダンス=100kΩ TA = 25°C 05325-082 –3.0 17 AD5934 周波数掃引の実行 関連レジスタへ周波数掃引パラメータを設定 (1)スタート周波数レジスタ (2) インクリメント数レジスタ (3)周波数インクリメント・レジスタ AD5934をスタンバイ・モードに設定 リセット:コントロール・レジスタに対してリセット・ コマンドを発行して、デバイスをスタンバイ・モードに設定 コントロール・レジスタに スタート周波数での初期化コマンドを設定 十分なセトリング・タイム経過後に、 コントロール・レジスタに スタート周波数掃引コマンドを設定 ステータス・レジスタをポーリングして、 DFT変換の完了を確認 N Y 実数データ・レジスタと虚数データ・ レジスタから値を読み出す コントロール・レジスタへインクリメント周波数コマンド または繰返し周波数コマンドを設定 Y ステータス・レジスタをポーリングして、 周波数掃引の完了を確認 N AD5934を パワーダウン・モードに設定 05325-047 Y 図28. 周波数掃引のフローチャート 18 REV.0 AD5934 レジスタ・マップ 表7 レジスタ名 レジスタ・アドレス レジスタ・データ 読出し/書込みレジスタ CONTROL (コントロール) 80 h D15∼D8 読出し/書込み 81 h D7∼D0 読出し/書込み 82 h D23∼D16 読出し/書込み 83 h D15∼D8 読出し/書込み START FREQUENCY (スタート周波数) 84 h D7∼D0 読出し/書込み 85 h D23∼D16 読出し/書込み 86 h D15∼D8 読出し/書込み 87 h D7∼D0 読出し/書込み 88 h D15∼D8 読出し/書込み 89 h D7∼D0 読出し/書込み 8A h D15∼D8 読出し/書込み 8B h D7∼D0 読出し/書込み STATUS (ステータス) 8F h D7∼D0 読出し専用 REAL DATA (実数データ) 94 h D15∼D8 読出し専用 95 h D7∼D0 読出し専用 96 h D15∼D8 読出し専用 97 h D7∼D0 読出し専用 FREQUENCY INCREMENT (周波数インクリメント) NUMBER OF INCREMENTS (インクリメント数) NUMBER OF SETTLING TIME CYCLES (セトリング・タイム・サイクル数) IMAGINARY DATA (虚数データ) コントロール・レジスタ 表8. 16ビット・レジスタ 表9. コントロール・レジスタ・マップ 80 h D15∼D8 読出しまたは書込み 81 h D7∼D0 読出しまたは書込み ビット コントロール・レジスタは16ビット・レジスタで、AD5934の制御モードを設 定します。コントロール・レジスタの上位4ビットは、周波数掃引の実行、 デバイスのパワーダウン、コントロール・レジスタ・マップで定義されている その他の制御機能などを提供するようにデコードされています。 レジスタ・ロケーションの80 hを書込み専用にし、かつ81 hの内容を変 更しないように選択することができます。コントロール・レジスタは、ブロッ ク書込みコマンドの一環として書込みを行ってはいけないことに注意し てください。また、コントロール・レジスタでは励起電圧とシステム・クロッ D14 D13 D12 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 1 0 0 1 1 0 0 0 1 1 0 0 0 1 0 1 0 0 1 0 1 0 1 D10 0 0 1 1 D9 0 1 0 1 D11 クを設定できます。コントロール・レジスタに対してリセット・コマンドを実行 しても、掃引に関連する設定値(スタート周波数、インクリメント数、周波 数インクリメント) はリセットされません。リセット・コマンドの後、コントロー ル・レジスタにスタート周波数での初期化コマンドを発行し、周波数掃 引シーケンスを再起動する必要があります (図28参照) 。 D8 D7 D6 D5 D4 D3 リセット時のデフォルト値:パワーアップ時にD15∼D0はA0 00Hにリセッ トされます。AD5934は、AD5934の制御モードを設定する16ビット・コン トロール・レジスタ (アドレス80hおよび81h) を内蔵しています。 D2 D1 D0 REV.0 D15 19 1 0 動作なし スタート周波数での初期化 スタート周波数掃引 インクリメント周波数 繰返し周波数 動作なし 動作なし パワーダウン・モード スタンバイ・モード 動作なし 動作なし 動作なし 出力電圧範囲 レンジ1 (2.0Vp-p typ) レンジ3 (200mVp-p typ) レンジ4 (400mVp-p typ) レンジ2 (1.0Vp-p typ) PGAゲイン0=×5、1=×1 予備。0に設定 予備。0に設定 予備。0に設定 リセット 外部システム・クロック 必ず1に設定 必ず0に設定 予備。0に設定 予備。0に設定 AD5934 コントロール・レジスタのデコード スタート周波数レジスタ スタート周波数での初期化 このコマンドにより、DDSは設定済みのスタート周波数を無期限に出力 表10. 24ビット・レジスタ できます。このコマンドを使用し、未知のインピーダンスを初期に励起し ます。ユーザ指定時間の経過後に出力未知インピーダンスがセトリング 82 h D23∼D16 読出しまたは書込み 83 h D15∼D8 読出しまたは書込み したとき、スタート周波数掃引コマンドを起動して周波数掃引を開始し 84 h D7∼D0 読出しまたは書込み ます。 スタート周波数レジスタには、起点となる周波数が24ビットのデジタル値 で格納され、後続の周波数掃引はその周波数から開始されます。たと スタート周波数掃引 このモードでは、設定したセトリング・タイム・サイクル数が経過した後に えば、30kHzの周波数から掃引を開始する場合(16.00MHzのクロック を使用) 、3D hexをレジスタ・ロケーション82 hに、70 hexをレジスタ・ロケ ADCが測定を開始します。各周波数ポイントで測定を開始する前に、 出力周波数サイクルの整数値(セトリング・タイム・サイクル数) をレジスタ 8A hとレジスタ8B hに設定できます (図28参照) 。 ーション83 hに、A3 hexをレジスタ・ロケーション84 hに、それぞれ設定し インクリメント周波数 スタート周波数レジスタに設定されるコードは次のとおりです。 ます。この設定により、出力周波数は30kHzから開始されます。 インクリメント周波数コマンドを使用し、掃引の次の周波数ポイントに進 みます。これは、前のステップからのデータが転送され、DSPにより検証 された後に行われます。AD5934がこのコマンドを受信すると、設定済 30 kHz 16 MHz 16 スタート周波数コード = みのセトリング・タイム・サイクル数の期間待ち、その後ADC変換プロセ スを開始します。 × 227 ≡ 3D70A3 16進 繰返し周波数 リセット時のデフォルト値:パワーアップではD23∼D0はリセットされませ コントロール・レジスタに繰返し周波数コマンドを発行し、現在の周波数 ん。リセット・コマンドでは、このレジスタの値はリセットされません。 ポイント測定を繰り返す機能も用意されています。この機能は、連続し た読出し値の平均をとる場合に便利です。 周波数インクリメント・レジスタ パワーダウン 表11 AD5934のパワーアップ時のデフォルト状態は、パワーダウン・モードです。 コントロール・レジスタには、コード1010000000000000 (A000h) が格納さ れます。このモードでは、出力と入力のVOUTピンおよびVINピンは内 部でGNDに接続されます。 85 h D23∼D16 読出しまたは書込み 86 h D15∼D8 読出しまたは書込み 87 h D7∼D0 読出しまたは書込み スタンバイ・モード デバイスを一般動作向けに立上げます。スタンバイ・モードでは、VINピ 周波数インクリメント・レジスタには、掃引の連続周波数ポイント間の周 波数インクリメントを表す24ビット値が格納されます。たとえば、30Hzの ンとVOUTピンは内部でグラウンドに接続されます。 インクリメント・ステップの場合(16.0MHzクロックを使用) 、00 hexをレジ リセット スタ・ロケーション85 hに、0F hexをレジスタ・ロケーション86 hに、BA hex をレジスタ・ロケーション87 hに、それぞれ設定します。 リセット・コマンドを使用して掃引に割り込むことができます。スタート周 波数レジスタ、インクリメント数レジスタ、周波数インクリメント・レジスタの インクリメント周波数は次式を使って計算します。 値は上書きされません。周波数掃引コマンド・シーケンスを再起動する ためには、スタート周波数での初期化コマンドが必要です。 周波数インクリメント ・コード = 出力電圧範囲 このコマンドを使用してVOUTの励起電圧範囲を設定できます。 10 Hz 16 MHz 16 × 227 ≡ 00053E 16進 00 hexをレジスタ85 hに、05 hexをレジスタ86 hに、3E hexをレジスタ87 h PGAゲイン このコマンドでは、ADCへ入力する応答信号を5倍または1倍に増幅で に、それぞれ設定します。 きます。 リセット時のデフォルト値:パワーアップではD23∼D0はリセットされませ ん。リセット・コマンドでは、このレジスタの値はリセットされません。 20 REV.0 AD5934 インクリメント数レジスタ 表12. 16ビット・レジスタ ビットD15∼D9=ドントケア 88 h D15∼D8 読出しまたは書込み ビットD8∼D0=周波数インクリメント数 89 h D7∼D0 読出しまたは書込み 整数値をバイナリ・フォーマットで 格納 このレジスタは、周波数掃引の周波数ポイントの数を指定します。ポイントの数は、9ビットワード (D8∼D0) で表されます。D9∼D15はドントケアです。 このレジスタは、スタート周波数レジスタとインクリメント周波数レジスタと組み合わせて、掃引動作の周波数掃引範囲を指定します。設定可能な最大 インクリメント数は511です。 リセット時のデフォルト値:パワーアップではD8∼D0はリセットされません。リセット・コマンドでは、このレジスタの値はリセットされません。 セトリング・タイム・サイクル数レジスタ 表13. 16ビット・レジスタ D15∼D11=ドントケア 8A h D15∼D8 読出しまたは書込み D10∼D9=2ビット・デコード D8=セトリング・タイム数のMSB D10 D9 0 0 デフォルト 0 1 サイクル数×2 1 0 予備 1 1 サイクル数×4 セトリング・タイム・サイクル数 整数値をバイナリ・フォーマットで格納 8B h D7∼D0 読出しまたは書込み このレジスタは、スタート・コマンド、インクリメント・コマンド、または繰返し周波数コマンドを受信した後で、かつADCが応答信号の変換を開始する前に、 未知インピーダンスを通過することができる出力励起のサイクル数を指定します。このセトリング・タイム・サイクル数レジスタ値は、周波数スタート/インク リメント/繰返しコマンドとADC変換開始との間の遅延を決定します。サイクル数は、9ビットワード (D8∼D0) で表されます。セトリング・タイム・サイクル数 レジスタに設定された値は、ビットD10∼D9のステータスに応じて、2倍または4倍でインクリメントさせることができます。上位5ビット (D15∼D11) はドント ケアです。設定可能な最大出力サイクル数は511×4=2044サイクルです。たとえば、励起信号=30kHzとします。この周波数の設定タイミングとこの信 号が最初にADCによりサンプリングされるタイミングとの間の最大遅延は、511×4×33.33μs=68.126msです。ADCは1024個のサンプルを取得し、結 果はレジスタ94 h∼レジスタ97 hに実数データと虚数データとして格納されます。変換プロセスには16.777MHzクロックを使用して約1msを要します。 リセット時のデフォルト値:パワーアップではD10∼D0はリセットされません。リセット・コマンドでは、このレジスタの値はリセットされません。 REV.0 21 AD5934 有効な実数/虚数データ ステータス・レジスタ 現在の周波数ポイントに対するデータ処理が完了するとセットされ、実 表14. 8F h 8ビット・レジスタ D7∼D0 読出し専用 数/虚数データが読出し可能であることを示します。DDSスタート/イ ンクリメント/繰返しコマンドが発行されると、リセットされます。また、コ ビット数 ントロール・レジスタにリセット・コマンドが発行されると、このビットは0にリ セットされます。 ステータス・レジスタは、測定テストが正常に完了したことを確認するとき に使います。D7∼D0の各ビットは、AD5934の特定の機能のステータス を示します。 周波数掃引の完了 掃引の最後の周波数ポイントのデータ処理が完了すると、セットされま D0、D4∼D7はドントケア・ビットで、測定のステータスを示しません。 す。コントロール・レジスタにスタート周波数掃引コマンドが発行されると、 このビットはリセットされます。また、コントロール・レジスタにリセット・コマ ビットD1のステータスは、ある周波数ポイントのインピーダンス測定のス ンドが発行されたときも、このビットはリセットされます。 テータスを示します。このビットは、AD5934が現在の周波数ポイントのイ ンピーダンス測定を完了したときにセットされます。このとき、有効な実数 データと虚数データがレジスタ94 h∼レジスタ97 hに格納されていること 実数データ・レジスタと虚数データ・レジスタ (16ビット) を示します。このビットは、スタート・コマンド、インクリメント・コマンド、繰返 し周波数コマンド、またはリセット・コマンドを受信したときにリセットされ 表16. ます。また、このビットはパワーアップ時にもリセットされます。 ビットD2のステータスは、設定済み周波数掃引のステータスを示します。 このビットは、インクリメント数レジスタに設定されたすべてのインクリメント が完了したときにセットされます。このビットは、パワーアップ時およびリセ 94 h D15∼D8 読出し専用 95 h D7∼D0 読出し専用 表17. ット・コマンド受信時にリセットされます。 96 h 97 h 表15. ステータス・レジスタ ステータス・レジスタ・ コントロール・ アドレス ワード 機 能 8F h 0000 0001 予備 8F h 0000 0010 有効な実数/虚数データ 8F h 0000 0100 周波数掃引の完了 8F h 0000 1000 予備 8F h 0001 0000 予備 8F h 0010 0000 予備 8F h 0100 0000 予備 8F h 1000 0000 予備 実数データ 2の補数データ 虚数データ D15∼D8 D7∼D0 読出し専用 読出し専用 2の補数データ これらのレジスタには、現在の周波数ポイントに対して測定されたインピ ーダンスの実数成分と虚数成分を表すデジタル値が格納されます。値 は16ビットの2の補数フォーマットで格納されます。この値を実際のインピ ーダンス値に変換するには、大きさ、つまり(虚数2と実数2)にアドミタン ス/コード値(ゲイン係数と呼ばれる) を乗算してアドミタンスを求め、そ れをインピーダンスに変換します。ゲイン係数は、各AC励起電圧/ゲイ ンの組合わせによって異なります。 リセット時のデフォルト値:これらのレジスタはパワーアップ時またはリセッ ト・コマンドの受信時にリセットされません。両レジスタのデータはステー タス・レジスタのビットD1がセットされる場合のみ有効であり、現在の周 波数ポイントでの処理が完了したことを示します。 22 REV.0 AD5934 シリアル・バス・インターフェース AD5934の制御は、12C準拠のシリアル・インターフェース・プロトコルを介 8ビットのデータとそれに続くアクノレッジ・ビット (マスターまたはスレーブか ら出力) が、9個のクロック・パルスでシリアル・バスに出力されます。クロ して行われます。AD5934は、マスター・デバイスの制御を受けるスレー ブ・デバイスとしてこのバスに接続されます。AD5934は7ビットのシリア ックがハイレベルのときにデータラインがローレベルからハイレベルに遷 移するとストップ信号と解釈されるため、データラインの遷移はクロック信 号のローレベル期間で発生し、ハイレベル期間中は安定している必要 ル・バス・スレーブ・アドレスを持っています。デバイスがパワーアップされ ると、デフォルトのシリアル・バス・アドレス0001101 (0D hex) をもちます。 があります。動作が書込みの場合、スレーブ・アドレスに続く最初のデー タバイトはコマンド・バイトです。このコマンド・バイトは、スレーブ・デバイ 一般的なI2Cのタイミング スに次に実行される内容を知らせます。このコマンド・バイトとしては、ス 一般的なI2Cプロトコルは、この項の説明に従って動作します。図29に、 レーブ・デバイスにブロック書込みが行われることを知らせる命令である 場合、または後続のデータを書き込むレジスタ・アドレスをスレーブに知 I2C準拠のインターフェースを使用した一般的な読出し動作と書込み動 作のタイミング図を示します。 らせる場合があります。データはR/Wビットに従って一方向にのみ転送 されるので、読出し動作中にスレーブ・デバイスへコマンドを送信するこ シリアル・クロック・ライン (SCL) がハイレベルの間にシリアル・データ・ラ イン (SDA) がハイレベルからローレベルに遷移してスタート状態を確立 とはできません。読出し動作を実行する前に書込み動作を実行して、 することにより、マスターがデータ転送を開始します。このスタート状態は、 これから実行する読出し動作の種類および/またはデータを読み出す アドレスをスレーブに知らせることが必要な場合があります。 データ・ストリームが後ろに続くことを示します。スレーブはスタート状態に 応答し、それに続く8ビットをシフト入力します。この8ビットは7ビットのスレ 全データバイトの読出しまたは書込みが終了すると、ストップ状態が確 ーブ・アドレス (MSBファースト) とR/Wビットで構成されています。R/Wビ ットはデータ転送の方向、すなわちデータがスレーブ・デバイスに書き込 立されます。書込みモードでは、マスターが10番目のクロック・パルスの 間にデータラインをハイレベルにプルアップして、ストップ状態をアサートし まれるか、読み出されるかを指定します (0=書込み、1=読出し) 。 ます。読出しモードでは、マスター・デバイスは9番目のクロック・パルスの スレーブは、アクノレッジ (ACK) ビットと呼ばれる9番目のクロック・パルス 前のローレベル期間にSDAラインを解放しますが、スレーブ・デバイスは このラインをローレベルにすることはありません。これはノーアクノレッジ の前のローレベル期間中に、データラインをローレベルに引き込んで応 答します。選択されたデバイスが読出し/書込みの対象となるデータを (NACK) と呼ばれています。マスターは10番目のクロック・パルスの前の ローレベル期間にデータラインをローレベルにし、続いて10番目のクロッ 待つ間、バス上の他の全デバイスはアイドル状態を維持します。 ク・パルスでデータラインをハイレベルにして、ストップ状態をアサートし R/Wビットが0の場合は、マスターがスレーブ・デバイスに対して書込みを 行います。 ます。 R/Wビットが1の場合は、マスターがスレーブ・デバイスから読出しを行い ます。 SCL 0 マスターからの スタート・コマンド 0 0 1 1 スレーブ・アドレス・バイト 0 1 D7 R/W AD5934からの ACK 図29 REV.0 23 D6 D5 D4 D3 レジスタ・アドレス D2 D1 D0 マスター/ スレーブからのACK 05325-048 SDA AD5934 AD5934では、レジスタ・ロケーションにポインタを設定するとき、書込み バイト・プロトコルも使用します。これを使用するのは、同じアドレスから AD5934に対する書込み/読出し インターフェース仕様では、さまざまなタイプの読出し動作と書込み動作 に対してプロトコルを規定しています。ここでは、AD5934で使うプロトコ の後続1バイトの読出し、またはそのアドレスから開始されるブロック読 出しまたはブロック書込みに対してです。 ルを説明します。以下の図では、次の省略記号を使用しています。 S スタート P R ストップ 読出し W A A 書込み アクノレッジ レジスタ・ポインタを設定する場合、次のシーケンスを使用します。 1.マスター・デバイスがSDAでスタート状態をアサートします。 2. マスターが、7ビットのスレーブ・アドレス、それに続いて書込みビット (ローレベル) を送信します。 3. アドレス指定されたスレーブ・デバイスがSDA上でACKをアサートし ます。 ノ―アクノレッジ書込みバイト/コマンド・バイト 4. マスターがポインタ・コマンド・コードを送信します (表18のポインタ・コ ユーザ・コマンド・コード マンド=1011 0000を参照) 。 インターフェースに対する読出し/書込みは、表18のコマンド・コードを使 用して行います。これについてはここで詳しく説明しますが、簡単に参 5. スレーブがSDA上でACKをアサートします。 照できるようにグループ化してあります。 6. マスターがデータバイトを送信します (ポインタが指示するレジスタ・ロ ケーション) 。 表18 7. スレーブがSDA上でACKをアサートします。 コード名 1010 0000 ブロック書込み コードの説明 8. マスターがSDA上でストップ状態をアサートし、 トランザクションを終了 します。 このコマンドは、複数バイトをRAM に書き込むときに使います。 「ブロッ S スレーブ・ アドレス W ポインタ・コマンド 1011 0000 A A 指示するレジスタ・ ロケーション A P ク書込み」の項を参照。 1010 0001 ブロック読出し このコマンドは 、複 数 バ イトを 05325-050 コマンド・ コード 図31. レジスタ・アドレスへのポインタの設定 RAM/メモリから読み出すときに 使います。 「ブロック読出し」の項を 1011 0000 アドレス・ポインタ 参照。 ブロック書込み このコマンドにより、メモリ内の任意 この動作では、マスター・デバイスがスレーブ・デバイスにデータ・ブロッ のロケーションにアドレス・ポインタを クの書込みを行います。ブロック書込みのスタート・アドレスは事前に設 定しておく必要があります。AD5934の場合は、これはレジスタ・アドレス 設定できます。このデータは、ポイ を設定するポインタを設定することにより行われます。 ンタが指示するレジスタ・アドレスを 1. マスター・デバイスがSDAでスタート状態をアサートします。 格納します。 2. マスターが、7ビットのスレーブ・アドレス、それに続いて書込みビット 書込みバイト/コマンド・バイト この動作では、マスター・デバイスがデータバイトをスレーブ・デバイスへ (ローレベル) を送信します。 3. アドレス指定されたスレーブ・デバイスがSDA上でACKをアサートし ます。 送信します。書込みバイトとしては、RAMロケーションへのデータバイト の書込みまたはコマンド動作が可能です。レジスタへデータを書き込む 4. マスターが8ビットのコマンド・コード (1010 0000) を送信し、ブロック ときは、次のコマンド・シーケンスに従う必要があります。 書込みが行われることをスレーブ・デバイスに知らせます。 1.マスター・デバイスがSDA上でスタート状態をアサートします。 5. スレーブがSDA上でACKをアサートします。 2. マスターが、7ビットのスレーブ・アドレス、それに続いて書込みビット (ローレベル) を送信します。 6. マスターがデータバイトを送信し、送信するデータバイト数をスレー ブ・デバイスに知らせます。 3. アドレス指定されたスレーブ・デバイスがSDA上でACKをアサートし 7. スレーブがSDA上でACKをアサートします。 ます。 8. マスターが複数のデータバイトを送信します。 4. マスターがレジスタ・アドレスを送信します。 9. スレーブが各データバイトの後にSDA上でACKをアサートします。 5. スレーブがSDA上でACKをアサートします。 7. スレーブがSDA上でACKをアサートします。 S 8. マスターがSDA上でストップ状態をアサートし、 トランザクションを終了 W A ブロック 書込み A 書込みバイト数 A バイト0 A バイト1 A バイト2 A P 図32. ブロック書込み スレーブ・ アドレス W A レジスタ・ アドレス A レジスタ・ データ A P 05325-049 します。 S スレーブ・ アドレス 05325-051 10. マスターがSDA上でストップ状態をアサートし、 トランザクションを終 了します。 6. マスターがデータバイトを送信します。 図30. レジスタ・アドレスへのレジスタ・データの書込み 24 REV.0 AD5934 AD5934の読出し動作 ブロック読出し AD5934は次のI2C読出しプロトコルを使用します。 この動作では、マスター・デバイスがデータ・ブロックをスレーブ・デバイ スから読み出します。ブロック読出しのスタート・アドレスは、事前にポイ ンタを設定することにより、設定しておく必要があります。 受信バイト AD5934では、受信バイト・プロトコルを使用し、アドレス・ポインタ設定済 1. マスター・デバイスがSDA上でスタート状態をアサートします。 みのレジスタ・ロケーションから1バイトのデータを読み出します。 2. マスターが、7ビットのスレーブ・アドレス、それに続いて書込みビット (ローレベル) を送信します。 この動作では、マスター・デバイスが次の手順でスレーブ・デバイスから 3. アドレス指定されたスレーブ・デバイスがSDA上でACKをアサートし 1バイトを受信します。 ます。 1.マスター・デバイスがSDA上でスタート状態をアサートします。 4. マスターがコマンド・コード (1010 0001) を送信し、ブロック読出しが 2. マスターが、7ビットのスレーブ・アドレス、それに続いて読出しビット 行われることをスレーブ・デバイスに知らせます。 (ハイレベル) を送信します。 5. スレーブがSDA上でACKをアサートします。 3. アドレス指定されたスレーブ・デバイスがSDA上でACKをアサートし ます。 6. マスターがバイト・カウント・データバイトを送信し、送信するデータバ イト数をスレーブに知らせます。 4. マスターがデータバイトを受信します。 7. スレーブがSDA上でACKをアサートします。 5. マスターがSDA上でNACKをアサートします (スレーブは、マスターが データを受信したことをチェックする必要があります) 。 8. マスター・デバイスがSDA上で繰返しスタート状態をアサートします。 6. マスターがSDA上でストップ状態をアサートし、 トランザクションを終了 9. マスターが、7ビットのスレーブ・アドレス、それに続いて読出しビット これは、読出しビットをハイレベルに設定するために必要となります。 します。 S スレーブ・ アドレス R A レジスタ・ データ A P 05325-052 (ハイレベル) を送信します。 10. スレーブがSDA上でACKをアサートします。 11. マスターが複数のデータバイトを受信します。 12. マスターが各データバイトの後にSDA上でACKをアサートします。 図33. レジスタ・データの読出し 13. 最終バイトの後にNACKが生成されて、読出しの終了を知らせます。 14. マスターがSDA上でストップ状態をアサートし、 トランザクションを終 了します。 スレーブ・ アドレス スレーブ・ アドレス R W A A バイト0 ブロック 読出し A A バイト1 バイト 読出し数 A バイト2 図34. ブロック読出しの実行 REV.0 25 A S A P 05325-053 S AD5934 代表的なアプリケーション この節では、AD5934の代表的なアプリケーションについて説明します。 センサー/複素インピーダンスの測定 容量近接センサーの動作原理は、RLC共振回路内の容量の変化に基 づいています。容量変化によりRLC回路の共振周波数が変化し、この 生物医学:血液インピーダンスの無侵襲測定 変化は図36のように評価することができます。 既知のウィルス株がすでにウィルスを含んでいる血液サンプルに加えら れると化学反応が起き、それによってある条件下で血液のインピーダン まず、RLC回路を共振領域にチューニングすることが必要です。共振周 スが変化します。さまざまな周波数に対するこの作用を特性評価すると、 特定のウィルス株を検出することができます。たとえば、ある病気はある 波数で、RLC回路のインピーダンスが最大になります。このため、プログ ラマブルな周波数掃引とチューニング機能が必要となり、AD5934がこ 周波数で特定の特性インピーダンスを示しますが、他の周波数では示 れらを提供します。 しません。このため、種々のウィルスを検出するためにさまざまな周波数 を掃引することが必要になります。27ビットの位相アキュムレータを持つ AD5934では、1Hz未満の精度で周波数チューニングが可能になり ます。 では、各テストに必要とされる特定の周波数にチューニングできるため、 このアプリケーションに最適です。 16 ADuC702x 2 15 上面図 (実寸では ありません) 3 AD5934 FO 14 4 上面図 (実寸では ありません) 13 5 12 6 11 このタイプのセンサーの使用例としては、列車接近測定システムがありま 7 10 す。軌道上を近付いてくる列車の磁界が、特性評価できる程の大きさ まで共振周波数を変えます。この情報をメインフレーム・システムに送り 8 9 RFB 周波数(Hz) 図36. 共振周波数の変化の検出 プローブ 返して、ネットワーク上の列車の位置を表示します。 7V 2 ADR43x AD5934のもう1つのアプリケーションは、駐車車両の検出です。組込み 6 型ユニットにAD5934を組み込み、駐車場所の下に設置されたコイルに 接続します。AD5934は、配線構成に応じて80∼100kHzの範囲の単一 10µF 4 05325-057 0.1µF 05325-058 近接インピーダンス(Ω) AD5934を使用し、 プローブで血液サンプルに刺激信号を注入できます。 応答信号を解析し、血液の実効インピーダンスを表にします。AD5934 1 物体の接近による 共振の変化 共振周波数 周波数を出力します。この配線は、共振回路としてモデル化できます。 コイルを既知のインピーダンス値と既知の周波数でキャリブレーション し、ループ・インピーダンスを常時モニタします。車両がコイルの上に駐 図35. ウィルス株検出のための血液サンプルの測定 車すると、コイルのインピーダンスが変化するため、AD5934が車両の存 在を検出します。 26 REV.0 AD5934 測定自体が腐食作用を発生しないようにするため、金属を最小の電圧 で励起する必要があります。この最小電圧は通常、AD5934が出力で 電子インピーダンス・スペクトロスコピー AD5934は、腐食モニタリングの分野で利用できることがわかりました。 航空機や船舶で使用されるアルミニウムなどの金属は温度や湿度など きる200mVの領域内にあります。近くに設置したADuc702xのようなプロ セッサまたは制御ユニットが、10分毎に0.1∼100 kHzのシングル・インピ さまざまな条件に曝されるため、金属の腐食は継続的な評価を必要と します。AD5934は、このタイプの測定に対して、市販されている大型で ーダンス掃引を記録し、制御ユニットに結果をダウンロードします。0.1∼ 高価なユニットに比べ、正確かつ小型のソリューションを提供します。 1 k H z 領 域 のシステム精 度を実 現 するため、システム・クロックは 16.776MHzの公称クロック周波数から500kHzへ分周する必要がありま 金属の腐食は、抵抗(Rp) とコンデンサ (Cp) の並列接続に直列接続さ す。クロック分周は、AD9834などの外付けのダイレクト・デジタル・シンセ サイザをプログラマブル分周器として用いてデジタル的に実現することが れた抵抗(Rs) からなるRC回路によって数学的にモデル化できます。代 表的なシステム金属は、Rs=10Ω∼10kΩ、Rp=1kΩ∼1MΩ、Cp=5 できます。この分周器はMCLKにクロック信号を提供し、近くのマイクロ プロセッサからデジタル的に制御することができます。 ∼70μfの値を持ちます。 腐食をモニタリングする際の注目する周波数範囲は、0.1Hz∼100kHz です。 REV.0 27 AD5934 AD5934のリファレンスの選択 AD5934から最適性能を引き出すためには、高精度電圧リファレンスの 選択に注意する必要があります。AD5934は、3本のリファレンス入力 ADR395の使用を推奨します。このデバイスの無負荷時静止電流は 100μA未満です。また、0.1∼10Hzの範囲で8μVp-pの非常に優れた (AVDD1、AVDD2、DVDD) を持っています。これらのリファレンス入力 ノイズ性能も持っています。 の電圧は、同じ電源電圧から得ることを推奨します。 長期ドリフトは、リファレンスの時間的なドリフト性能を表します。優れた 高精度アプリケーション向けの電圧リファレンスの選択で考慮すべき誤 差原因としては、初期精度、ppmドリフト、長期ドリフト、出力電圧ノイズ 長期ドリフト仕様を持つリファレンスを使うと、ソリューション全体が製品 寿命を通して安定します。周囲条件下でシステム出力電圧の温度依存 の4つがあります。これらの誤差を小さくするため、初期精度の高いリフ 性を小さくするためには、優れた温度係数仕様を持つリファレンスを選 ァレンスの使用を推奨します。また、ADR43Xファミリーのデバイスのよう な出力調整機能を持つリファレンスを選択すると、リファレンス電圧を公 択する必要があります。 称値以外の電圧に設定することにより、システム誤差を調節できます。 調整機能は、温度に対しても使用できるので、誤差をなくすことができ 比較的低いノイズが要求される高精度アプリケーションでは、リファレン スの出力電圧ノイズを考慮する必要があります。必要なシステム・ノイズ ます。 分解能に対して可能な限り出力ノイズ電圧が小さいリファレンスを選択 AD5934に必要な電源電流は極めて小さいため、このデバイスは低消 することが重要です。ADR433のような高精度電圧リファレンスは、0.1∼ 10Hzの領域で低い出力ノイズ・レベルを持っています。AD5934の電源 費 電 力アプリケーションに最 適です。この場 合 、電 圧リファレンス として推奨する高精度リファレンスの例を表19に示します。 表19. AD5934に使用できる高精度リファレンス 製品番号 初期精度(mV max) 出力電圧(V) 温度ドリフト(ppm/℃ max) 0.1∼10Hzのノイズ(μVp-p typ) ADR433B ±1.4 3.0 3 3.75 ADR433A ±4.0 3.0 10 3.75 ADR434B ±1.5 4.096 3 6.25 ADR434A ±5 4.096 10 6.25 ADR435B ±2 5.0 3 8 ADR435A ±6 5.0 10 8 ADR439B ±2 4.5 3 7.5 ADR439A ±5.4 4.5 10 7.5 28 REV.0 AD5934 レイアウトおよび構成 電源ラインはできるだけ太いパターンにしてインピーダンスを下げ、電源 ライン上のグリッチによる影響を軽減させます。クロックなどの高速なス 電源のバイパスとグラウンディング 精度が重要な回路では、ボード上の電源とグラウンド・リターンのレイア ウトを注意深く行う必要があります。AD5934を実装するPCボードは、ア イッチング・デジタル信号は、デジタル・グラウンドを使ってボード上の他 の部分からシールドしてください。 デジタル信号とアナログ信号の交差は、 できるだけ回避する必要があります。ボードの両側のパターンが交差す ナログ部とデジタル部を分離して、ボード内でそれぞれまとめて配置す るように設計する必要があります。複数のデバイスがAGNDとDGNDの 接続を必要とするシステム内でAD5934を使用する場合は、この接続は る場合は、互いに直角となるように配線し、ボードを通過するフィードス ルーの影響を減らすようにします。最適なボード・レイアウト技術は、ボー 1ヵ所で行う必要があります。グラウンド・ポイントはAD5934のできるだけ 近くに配置する必要があります。 ドの部品側をグラウンド・プレーン専用として使い、信号パターンはハン ダ面に配置するマイクロストリップ技術ですが、両面ボードでは必ずしも この方法が可能とは限りません。 AD5934の電源は、10μFと0.1μFのコンデンサでバイパスする必要が あります。コンデンサはデバイスのできるだけ近くに配置し、0.1μFのコ ンデンサは理想的にはデバイスの直近に配置することが望まれます。10 μFコンデンサはタンタル・ビード型を使います。0.1μFコンデンサの等価 直列抵抗 (ESR) は小さく、かつ等価直列インダクタンス (ESL) も小さいこ とが重要です。一般的なセラミック型コンデンサが適しています。この 0.1μFのコンデンサは、内部ロジックのスイッチングにより発生する過渡 電流に起因する高周波に対してグラウンドへの低インピーダンス・パスを 提供します。 REV.0 29 AD5934 外形寸法 16 TDS04/2006/PDF 6.50 6.20 5.90 9 5.60 5.30 5.00 1 8.20 7.80 7.40 8 1番ピン 1.85 1.75 1.65 2.00 MAX 0.05 MIN 0.65 BSC 0.38 0.22 0.25 0.09 実装面 8 4 0 0.95 0.75 0.55 平坦性 0.10 JEDEC規格MO-150-ACに準拠 図37. 16ピン・シュリンク・スモール・アウトライン・パッケージ[SSOP] (RS-16) 寸法表示:mm オーダー・ガイド 1 モデル 温度範囲 パッケージ パッケージ・オプション AD5934YRSZ1 −40∼+125℃ 16ピン・シュリンク・スモール・アウトライン・パッケージ (SSOP) RS-16 AD5934YRSZ-REEL71 −40∼+125℃ 16ピン・シュリンク・スモール・アウトライン・パッケージ (SSOP) RS-16 EVAL-AD5934EB −40∼+125℃ 評価用ボード Z=鉛フリー製品 アナログ・デバイセズ社またはその二次ライセンスを受けた関連会社からライセンスの対象となるI2Cコンポーネントを購入した場合、購入者にはこれら のコンポーネントをI2Cシステムで使用するフィリップス社のI2Cの特許権に基づくライセンスが許諾されます。ただし、フィリップス社が規定するI2C規格仕 様に準拠したシステムが必要です。 D05325-0-6/05(0)-J 30 REV.0