日本語参考資料 最新英語アプリケーション・ノートはこちら AN-1296 アプリケーション・ノート AD9129 の電源の最適化 著者: Corey Birdsall フセットでの近接位相ノイズを約 5 dB、シングル・トーン IMD を最大 5 dB、それぞれ改善していることが示されました。大部 分のコンデンサは冗長であることが示されました。これらは、 図 1 で×印で表してあります。図 1 で○印を付けたデカップリ ング・コンデンサ C1 と C2 は、6 MHz キャリアに対する ACLR を 5 dB 改善しました。図 1 で○印を付けたコンデンサ・アレイ CN1 と C25 も、6 MHz キャリアに対する ACLR を約 6 dB、 NSD を約 1 dB 改善しました。 はじめに AD9129 評価用ボードは、D/A コンバータ (DAC)の最適性能を保 証するため、電源のフィルタリング機能を内蔵しています。こ のアプリケーション・ノートでは、主要なフィルタリング部品 を取り外した場合の影響を調べます。ボード上のすべてのフェ ライト・ビーズおよび電源に接続された大部分のコンデンサを 取り外してみました。フィルタリング部品を取り外した場合の 影響を調べるために、位相ノイズ、ノイズ・スペクトル密度 (NSD)、スプリアス・フリー・ダイナミックレンジ (SFDR)、相 互変調歪み (IMD)、隣接チャンネル・リーク比 (ACLR) 性能を 測定しました。測定結果から、フェライト・ビーズは 20 Hz オ 図 1 で×印を付けたすべてのコンデンサを取り外しても、DAC 性能には影響しませんでした。 JP3 1 DVDD DVDD AVDD CN1 2 1 C25 2 1 CN3 2 1 CN4 2 3 4 3 4 3 4 3 4 5 6 5 6 5 6 5 6 7 8 7 8 7 8 7 8 47000pF GND 47000pF A2 ADP3339AKCZ-1.8-RL +5V P3 3 1 2 571-0500 DVDD IN OUT GND OUT 1 4 C62 1µF C0603 GND P4 1 2 47000pF GND 47000pF GND VSSA 1 TP2 RED E3 1 JPR0805 AVDD 1 2 P E4 1 2 C6 22µF C7343 N 2 C12 0.001µF C0402 C58 0.1µF C0603 C68 0.001µF C0402 C60 0.1µF C0603 P N 1 2 1 TP12 RED C19 22µF C7343 C50 0.1µF C0603 C53 0.1µF C0603 P C37 0.001µF C0402 N C38 P 4.7µF N C3528 U6 ADP3339AKCZ-1.8-RL 3 C39 47µF C7343 C61 0.1µF C0603 C40 0.001µF C0402 P N C41 P 4.7µF N C3528 C42 47µF C7343 OUT GND GND C59 0.1µF C0306 IN C13 0.1µF C0603 C14 0.1µF C0603 P N 1 C21 1µF C0603 GND VSSA OUT IN SD_N GND 3 7 GND DVDD C56 0.1µF C0402 C51 0.1µF C0402 GND E6 P TP21 BLK 1 GND 2 AVDD 115Ω C75 22µF C7343 N C77 0.1µF C0402 C76 0.1µF C0402 GND U4 2 2 1 C74 1µF C0603 ADP3333ARMZ-2.5-RL C16 4.7µF C3528 TP20 RED 2 JPR0805 GND VDD_USB 1 JP6 2 GND OUT 1 4 C73 1µF C0603 AVDD TP9 BLK 1 GND C43 0.1µF C0306 E1 115Ω GND AVDD C8 0.1µF C0402 1 JPR1206 571-0100 C104 47µF C7343 TP3 BLK 1 GND JP1 GND GND N C45 P 4.7µF N C3528 VDD_USB C9 0.1µF C0402 115Ω C17 1µF C0603 GND P C10 0.001µF C0402 2 115Ω 1 JP4 1 1 TP5 RED E9 2 1 JPR0805 115Ω C22 1µF C0603 GND P N C23 22µF C7343 GND 1 TP6 BLK C30 0.1µF C0402 2 VCC2.5 C31 0.1µF C0402 AVDD 1 2 571-0500 C11 1µF C0603 E5 P5 4 IN1 2 IN2 2 1 C18 C7343 22µF 115Ω N P C1 0.1µF C0402 C2 0.1µF C0402 OUT GND C15 1µF C0603 C7343 N 22µF C20 P 1 P GND 2 VSSA TP10 BLK C3 0.1µF C0402 C7 0.1µF C0402 AVDD GND GND E2 1 115Ω R1 120Ω N TP1 RED 2 JPR0805 ADJ 1 C24 C7343 22µF 1 JP2 1 3 R4 200Ω GND AVDD AVDD 12113-001 –5V U1 LM337IMP/NOPB 図 1.電源コンデンサの取り外し アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に関して、あるいは利用によって 生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を明示 的または暗示的に許諾するものでもありません。仕様は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標は、それぞれの所有 者の財産です。※日本語版資料は REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。 Rev. 0 ©2015 Analog Devices, Inc. All rights reserved. 本 社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル 電話 03(5402)8200 大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー 電話 06(6350)6868 AN-1296 アプリケーション・ノート –60 フェライト・ビーズの取り外し E1~E6 および E9 のフェライト・ビーズを、すべて取り外して 短絡しました。E7 と E11 のフェライト・ビーズは E8 と E10 の フェライト・ビーズドと並列であるため、E7 と E11 のフェライ ト・ビーズは不要と見なして取り外しました。AVDD 領域と DVDD 領域を同時に確実にパワーアップさせるために、E8 と E10 のフェライト・ビーズは残しました。フェライト・ビーズ の代わりにインダクタを使用できますが、いずれかの 1 つは DC 的に短絡している必要があると同時に無線周波数 (RF) アイ ソレーションを提供する必要があります。AVDD と DVDD は同 じ電圧であるため、同じ低ドロップアウト (LDO) レギュレータ から供給できますが、デジタル・ノイズが DAC 出力へ混入し ないようにするため、別々のフィルタリング回路と電源プレー ンが必要です。 WORST IMD3 (dBc) fOUT = 991MHz –80 400M 600M 800M FREQUENCY (Hz) 1.0G 1.2G 12113-003 200M 図 3.フェライト・ビーズ有りと無しの場合の IMD C1 と C2 の取り外し C1 と C2 を取り外すと、6 MHz キャリアでの ACLR 性能が約 5 dB 低下しました (図 4 参照)。ACLR 性能は 8 キャリア、256 直 交振幅変調 (QAM) 信号、33 mA のフルスケール電流、デジタル 側からの干渉のない状態、FIR40、2.3 GHz のクロック・レート で測定しました。8 キャリアの両側の 5.25 MHz 帯域幅チャンネ ルの性能を図 4 と図 5 に示します。 –56 fS = 2000MHz fS = 2200MHz fS = 2600MHz fS = 2800MHz fS = 2305MHz –58 C1, C2: TRUE C1, C2: FALSE –60 FERRITES: FALSE FERRITES: TRUE LOWER 5.25MHz (dBc) PHASE NOISE (dBc/Hz) –75 0 –80 –100 –70 –90 –70 fOUT = 51MHz FERRITES: FALSE FERRITES: TRUE –85 フェライト・ビーズを短絡すると、近接位相ノイズ性能が少し 低下します(図 2 参照)。この測定は、33 mA の最大フルスケー ル電流、デジタル側からの干渉のない状態で行いました。位相 ノイズの測定は、低出力周波数 51 MHz と高出力周波数 991 MHz の複数のクロック周波数で行いました。位相ノイズ性能は、 フェライト・ビーズを取り外したとき、991 MHz 信号の 20 Hz 以 内で約 5 dB 劣化しました。その他の場合、フェライト・ビード がある場合とない場合の性能は同じでした。 –90 fS =1800MHz fS = 2200MHz –65 –110 –120 –130 –62 –64 –66 –68 10 100 FREQUENCY (Hz) 1k 10k –72 –74 0 図 2.フェライト・ビーズ有りと無しの場合の位相ノイズ フェライト・ビーズを短絡すると、シングル・トーン IMD 性能 が最大 5 dB 劣化しました。図 3 に、フェライト・ビーズの有り /無しの場合の IMD を 2 つのクロック・レートで示します。こ の測定は、28 mA のフルスケール電流でデジタル側からの干渉 のない状態で行いました。 200M 400M 600M OUTPUT FREQUENCY (Hz) 800M 1.0G 12113-004 1 12113-002 –70 –140 図 4. C1 および C2 無しの場合の ACLR 下側 5.25 MHz チャンネル –56 fS = 2305MHz –58 C1, C2: TRUE C1, C2: FALSE UPPER 5.25MHz (dBc) –60 –62 –64 –66 –68 –70 –74 0 200M 400M 600M OUTPUT FREQUENCY (Hz) 800M 図 5. C1 および C2 無しの場合の ACLR 上側 5.25 MHz チャンネル Rev. 0 - 2/3 - 1.0G 12113-005 –72 AN-1296 アプリケーション・ノート –62 コンデンサ・アレイの取り外し fS = 2305MHz コンデンサ・アレイ CN1 と C25 を取り外すと、低い出力周波数 以外で、NSD 性能が約 1 dB 低下しました(図 6 参照)。NSD は 70 MHz を中心とするバンドパス・フィルタで測定しました。図 6 に、28 mA のフルスケール電流、デジタル側からの干渉のな い状態、2200 MHz と 2800 MHz のクロック・レートでの性能を 示します。この性能は、他のクロック・レートでも同じである ことが確認されました。 CAPACITOR ARRAYS: FALSE CAPACITOR ARRAYS: TRUE LOWER 2.5MHz (dBc) –64 –154 –156 –66 –68 –70 –72 0 200M –160 400M 600M 800M 1.0G OUTPUT FREQUENCY (Hz) 図 7. コンデンサ・アレイ無しの場合の ACLR 下側 5.25 MHz チャンネル –162 –164 –60 fS = 2200MHz fS = 2800MHz –166 fS = 2305MHz CAPACITOR ARRAYS: TRUE CAPACITOR ARRAYS: FALSE 400M 600M 800M 1.0G OUTPUT FREQUENCY (Hz) 1.2G 1.4G UPPER 5.25MHz (dBc) 200M 12113-006 –168 0 CAPACITOR ARRAYS: FALSE CAPACITOR ARRAYS: TRUE –62 図 6. コンデンサ・アレイ無しでの NSD コンデンサ・アレイを取り外すと、6 MHz、256 QAM キャリア での ACLR 性能が約 6 dB 低下しました(図 7 と図 8 参照)。 ACLR 性能は 8 キャリア、256 QAM 信号、33 mA のフルスケー ル電流、デジタル側からの干渉のない状態、FIR40、2.3 GHz の クロック・レートで測定しました。8 キャリアの両側の 5.25 MHz 帯域幅チャンネルの性能を図 7 と図 8 に示します。 –64 –66 –68 –70 –72 –74 0 200M 400M 600M 800M OUTPUT FREQUENCY (Hz) 1.0G 12113-008 NSD (dBm/Hz) –74 12113-007 –158 図 8. コンデンサ・アレイ無しの場合の ACLR 上側 5.25 MHz チャンネル 結論 フェライト・ビーズを取り外すと、位相ノイズ性能が約 5 dB、 IMD 性能が約 5 dB、それぞれ低下しました。AD9129 評価用ボ ード上の大部分のデカップリング・コンデンサは、性能に対す る明らかな影響を示さなかったので、これらは不要と判断しま した。負電源のデカップリング・コンデンサ C1 と C2 を取り外 すと、ACLR 性能が約 5 dB 低下しました。コンデンサ・アレイ CN1 と C25 を取り外すと、NSD 性能が約 1 dB、ACLR 性能が約 6 dB、それぞれ低下しました。 ©2015 Analog Devices, Inc. All rights reserved. Rev. 0 商標および登録商標は、それぞれの所有者の財産です。 - 3/3 -