LTC3200/LTC3200-5 低ノイズ、安定化 チャージ・ポンプDC/DCコンバータ 特長 概要 ■ LTC®3200/LTC3200-5は、低ノイズ、固定周波数スイッ チト・キャパシタ電圧ダブラです。2.7V∼4.5Vの入力か ら、最大100mAの出力電流で安定化出力電圧を供給しま す。外付け部品点数が少ないので(フライング・コンデ ンサ1個と、VINとVOUTに小型バイパス・コンデンサ2 個)、LTC3200/LTC3200-5は小型のバッテリ駆動アプリ ケーションに最適です。 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 低ノイズ固定周波数動作 出力電流:100mA 8ピ ン MSOP( LTC3200)お よ び 薄 型( 1mm)6ピ ン ThinSOTTM(LTC3200-5)パッケージで供給 スイッチング周波数:2MHz 固定5V±4%出力(LTC3200-5)または可変出力 VIN範囲:2.7V∼4.5V 自動ソフトスタートによる突入電流の低減 インダクタ不要 シャットダウン時:ICC<1µA アプリケーション ■ ■ ■ ■ ■ 白色LEDのバックライト Li-Ionバッテリのバックアップ電源 ローカル3Vから5Vへの変換 スマート・カード・リーダ PCMCIA用ローカル5V電源 新しいチャージ・ポンプ・アーキテクチャにより、ゼロ 負荷まで固定スイッチング周波数を維持し、出力と入力 の両方のリップルを減らします。LTC3200/LTC3200-5は サーマル・シャットダウン機能を備えているので、 VOUTからGNDへの連続短絡に耐えることができます。 内蔵ソフトスタート回路により、起動時の過度の突入電 流を防ぎます。 スイッチング周波数が高いので、小型のセラミック・コン デンサを使用することができます。低電流シャットダウン 機能により、負荷をVINから切り離して、消費電流を1µA以 下へ下げます。 LTC3200は8ピンMSOPパッケージで供給され、LTC3200-5 は6ピンThinSOTパッケージで供給されます。 、LTC、LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。 ThinSOTはリニアテクノロジー社の商標です。 標準的応用例 出力リップル電圧と負荷電流 2.7V∼4.5V入力から安定化された5Vを出力 40 VIN = 3V CFLY = 1µF TA = 25°C 4 VIN 2.7V TO 4.5V 1µF 5 2 3 OFF ON 6 C+ C– LTC3200-5 VIN VOUT 1 1µF GND VOUT = 5V ±4% IOUT UP TO 40mA, VIN ≥ 2.7V IOUT UP TO 100mA, VIN ≥ 3.1V OUTPUT RIPPLE (mVP-P) 1µF 30 COUT = 1µF 20 COUT = 2.2µF 10 SHDN ALL CAPACITORS = MURATA GRM 39X5R105K6.3AJ OR TAIYO YUDEN JMK107BJ105MA 0 3200-5 TA01 0 50 75 25 OUTPUT CURRENT (mA) 100 3200 TA02 1 LTC3200/LTC3200-5 絶対最大定格 (Note 1) VIN∼GND ..................................................... −0.3V∼6V VOUT∼GND ............................................... −0.3V∼5.5V VFB、SHDN∼GND ........................ −0.3V∼(VIN+0.3V) IOUT(Note 2) .......................................................... 150mA VOUT短絡時間 ........................................................ 無期限 動作温度範囲 (Note 3) .............................. −40℃∼85℃ 保存温度範囲 .......................................... −65℃∼150℃ リード温度 (半田付け、10秒) ................................ 300℃ パッケージ/発注情報 ORDER PART NUMBER TOP VIEW C+ VIN C– PGND 1 2 3 4 8 7 6 5 VOUT FB SHDN SGND MS8 PACKAGE 8-LEAD PLASTIC MSOP ORDER PART NUMBER TOP VIEW VOUT 1 6 C+ GND 2 5 VIN SHDN 3 4 C– LTC3200EMS8 LTC3200ES6-5 MS8 PART MARKING S6 PACKAGE 6-LEAD PLASTIC SOT-23 S6 PART MARKING LTNV TJMAX = 150°C, θJA = 230°C/W LTSH TJMAX = 150°C, θJA = 200°C/W より広い動作温度範囲で規定されるデバイスについては、弊社へお問い合わせください。 電気的特性 ●は全動作温度範囲の規格値を意味する。それ以外はTA=25℃での値。別途規定されない限り、VIN = 3.6V、CFLY = 1µF、CIN = 1µF、COUT = 1µF。 SYMBOL PARAMETER VIN Input Voltage VOUT Output Voltage ICC CONDITIONS MIN TYP MAX UNITS 4.5 V 5 5 5.2 5.2 V V 3.5 8 mA 1 µA ● 2.7 2.7V ≤ VIN ≤ 4.5V, IOUT ≤ 40mA 3.1V ≤ VIN ≤ 4.5V, IOUT ≤ 100mA ● ● 4.8 4.8 Operating Supply Current IOUT = 0mA, SHDN = VIN ● ISHDN Shutdown Current SHDN = 0V, VOUT = 0V ● VFB FB Voltage (LTC3200) IFB FB Input Current (LTC3200) VFB = 1.4V VR Output Ripple (LTC3200-5) VIN = 3V, IOUT = 100mA η Efficiency (LTC3200-5) VIN = 3V, IOUT = 50mA FOSC Switching Frequency VIH SHDN Input Threshold VIL SHDN Input Threshold IIH SHDN Input Current SHDN = VIN ● –1 IIL SHDN Input Current SHDN = 0V ● –1 tON VOUT Turn-On Time VIN = 3V, IOUT = 0mA, 10% to 90% 0.8 ms ROL Open-Loop Output Resistance VIN = 3V, IOUT = 100mA, VFB = 0V (Note 4) 9.2 Ω 1.217 ● –50 1.268 1.319 V 50 nA 30 1 ● mVP-P 80 % 2 MHz 1.3 V ● Note 1: 絶対最大定格はそれを超えるとデバイスの寿命に影響を及ぼす値。 Note 2: 長期電流密度制限に基づく。 2 ● 0.4 V 1 µA 1 µA Note 3: LTC3200/LTC3200-5は、0℃∼70℃の温度範囲で性能仕様に適合するこ とが保証されている。−40℃∼85℃の動作温度範囲での仕様は設計、特性評価 および統計学的なプロセス・コントロールとの相関で確認されている。 Note 4: ROL≡(2 VIN−VOUT)/IOUT LTC3200/LTC3200-5 標準的性能特性 (LTC3200-5) 出力電圧と電源電圧 5.1 OUTPUT VOLTAGE (V) OUTPUT VOLTAGE (V) TA = 25°C 5.00 CIN = COUT = CFLY = 1µF VSHDN = VIN CIN = COUT = CFLY = 1µF TA = 25°C TA = 85°C 5.05 6 5.2 CIN = COUT = CFLY = 1µF IOUT = 20mA 5.10 無負荷電源電流と電源電圧 TA = – 40°C 4.95 SUPPLY CURRENT (mA) 5.15 出力電圧と負荷電流 5.0 VIN = 3.2V VIN = 2.7V VIN = 3V 4.9 TA = 25°C 5 TA = 85°C 4 TA = – 40°C 4.90 4.85 2.7 3.0 3.3 3.6 3.9 SUPPLY VOLTAGE (V) 4.2 4.8 4.5 3 100 150 50 LOAD CURRENT (mA) 0 200 3200 F01 1.1 100 1.0 90 2.0 TA = 85°C 1.8 1.6 1.4 EFFICIENCY (%) THRESHOLD VOLTAGE (V) TA = – 40°C TA = 25°C 0.8 TA = 85°C 0.7 0.6 3.0 3.3 3.6 3.9 SUPPLY VOLTAGE (V) 4.2 4.5 4.5 VIN = 2.7V VIN = 3.2V 70 VIN = 3.7V 60 VIN = 4.5V 50 40 1.2 1.0 2.7 CIN = COUT = CFLY = 1µF TA = 25°C 80 TA = – 40°C 0.9 30 0.5 2.7 3.0 3.3 3.6 3.9 SUPPLY VOLTAGE (V) 4.2 4.5 1 10 LOAD CURRENT (mA) 100 3200 G06 3200 G04 3200 G05 短絡電流と電源電圧 250 OUTPUT CURRENT (mA) OSCILLATOR FREQUENCY (MHz) 2.2 4.2 効率と負荷電流 2.8 TA = 25°C 3.3 3.6 3.9 SUPPLY VOLTAGE (V) 3200 G03 VSHDNスレッショルド電圧と 電源電圧 3.0 2.4 3.0 3200 G02 発振器周波数と電源電圧 2.6 2.7 CFLY = 1µF TA = 25°C VOUT = 0V 200 150 100 2.7 3.0 3.3 3.6 3.9 SUPPLY VOLTAGE (V) 4.2 4.5 3200 G07 3 LTC3200/LTC3200-5 標準的性能特性 (LTC3200-5) TA = 25℃ VOUTソフトスタート立ち上がり 負荷過渡応答 出力リップル VSHDN 2V/DIV VOUT (AC COUPLED) 20mV/DIV COUT = 1µF VOUT 1V/DIV COUT = 3.3µF IL 10mA TO 90mA 50mA/DIV VOUT (AC COUPLED) 50mV/DIV COUT = 10µF VIN = 3V 200µs/DIV 32005 G08 VIN = 3.3V IL = 100mA 200ns/DIV 32005 G09 VIN = 3.3V COUT = 1µF 10µs/DIV 32005 G10 ピン機能 LTC3200/LTC3200-5 C+(ピン1/6):フライング・コンデンサの正端子。 VIN (ピン2/5):入力電源電圧。VINは1µF∼4.7µFの低ESR セラミック・コンデンサを使ってグランドへバイパスし ます。 C−(ピン3/4):フライング・コンデンサの負端子。 GND (ピン4、5/2):グランド。最適動作のため、グラン ド・プレーンへ接続します。 SHDN (ピン6/3):アクティブ“L”のシャットダウン入 力。SHDNを“L”にすると、LTC3200/LTC3200-5はディ スエーブルされます。SHDNをフロートさせてはいけま せん。 4 FB (ピン7):(LTC3200のみ)帰還入力ピン。出力分割器 はVOUTからFBへ接続して出力電圧をプログラミングし ます。 VOUT (ピン8/1):安定化された出力電圧。最高の性能を 得るため、VOUTは1µF∼4.7µFの低ESRセラミック・コン デンサを使って、できるだけピンの近くでバイパスしま す。 LTC3200/LTC3200-5 簡略ブロック図 LTC3200 SOFT-START AND SWITCH CONTROL VOUT 8 FB 7 6 SHDN 1 C+ 3 C– 2MHz OSCILLATOR – + CHARGE PUMP VIN 2 5 4 SGND PGND 3200 BD LTC3200-5 SOFT-START AND SWITCH CONTROL VOUT 3 SHDN 6 C+ 4 C– 1 2MHz OSCILLATOR – + CHARGE PUMP VIN 5 2 3200-5 BD GND 5 LTC3200/LTC3200-5 動作 動作(簡略ブロック図を参照) LTC3200/LTC3200-5はスイッチト・キャパシタ・チャー ジ・ポンプを使って、VINを安定化された出力電圧へ昇 圧します。内部抵抗分割器(LTC3200-5)によって出力電 圧を検出し、誤差信号に基づいてチャージ・ポンプの出 力電流を変調して安定化を達成します。2フェーズの非 重複クロックによってチャージ・ポンプのスイッチを起 動します。フライング・コンデンサはクロックの第1 フェーズにVINから充電されます。クロックの第2フェー ズでは、VINに直列に重ねられてVOUTへ接続されます。 このフライング・コンデンサの充放電が2MHz(標準)の 自走周波数で繰り返されます。 シャットダウン・モードではすべての回路が停止し、 LTC3200/LTC3200-5にはVIN電源から漏れ電流だけが流 れ ま す 。 さ ら に 、 VOUT が VIN か ら 切 り 離 さ れ ま す 。 SHDNピンはスレッショルド電圧が約0.8VのCMOS入力 で す 。 SHDNピ ン が ロ ジ ッ ク“ L”の と き 、 LTC3200/ LTC3200-5はシャットダウン状態になります。SHDNピ ンは高インピーダンスのCMOS入力なので、決してフ ロートさせてはいけません。このピンを確定した状態に 保つには、有効なロジック・レベルで常にドライブする 必要があります。 短絡・熱保護回路 LTC3200/LTC3200-5には過温度保護機能とともに短絡電 流制限が内蔵されています。短絡状態のあいだ、自動的 に出力電流を約225mAへ制限します。高温で、あるいは 入力電圧が高くて過度に自己発熱し、接合部温度が約 160℃を超えると、内蔵サーマル・シャットダウン回路 がチャージ・ポンプをシャットダウンします。接合部温 度が約155℃まで下がると、チャージ・ポンプを再度イ ネーブルします。LTC3200/LTC3200-5はVOUTの短絡状 態が解消するまで、ラッチアップを起こしたり損傷を受 けたりすることなしに、サーマル・シャットダウン状態 に入ったり、抜け出したり無期限に繰り返します。 ン時に可変LTC3200のVOUTが確実に0Vになるようにする には、ブリード抵抗をVOUTからGNDへ接続することがで きます。通常10k∼100kを許容できます。 ソフトスタート LTC3200/LTC3200-5はソフトスタート回路を内蔵してお り、起動時に過度の電流がVINに流れるのを防ぎます。 ソフトスタート時間は予め約1msにプログラミングされ ているので、起動電流は主に出力コンデンサに依存しま す。起動入力電流は次式を使って計算することができま す。 ISTARTUP = 2C OUT VOUT 1ms たとえば、2.2µFの出力コンデンサを使うと、LTC32005の起動入力電流は約22mAになります。出力コンデンサ が10µFだと、起動入力電流は約100mAになります。 LTC3200の出力電圧のプログラミング(FBピン) LTC3200-5バージョンは出力電圧をプログラミングする ための抵抗分割器を内蔵していますが、プログラミング 可能なLTC3200は外部抵抗分割器によって任意の電圧へ 設定することができます。倍電圧チャージ・ポンプを採 用しているので、利用可能な入力電圧の2倍より大きな 出力電圧を達成することはできません。必要な電圧分割 器の接続法を図1に示します。 電圧分割器の比は次式で与えられます。 R1 VOUT = –1 R2 1.268V 全電圧分割器抵抗の標準的値は数kΩ∼1MΩの範囲にす ることができます。 VOUT 8 R1 シャットダウン電流 出力電圧が入力電圧より高くなることがあるので、内部 ロジックを制御するための特殊な回路が必要です。 LTC3200がシャットダウン状態のとき、検出ロジックに は5µAの入力電流が流れます。ただし、この電流は出力 電圧(VOUT)が0Vでは流れなくなります。シャットダウ 6 FB 7 VOUT 1.268V 1 + R1 R2 ( ) COUT R2 PGND SGND 4 5 32005 F01 図1.可変LTC3200のプログラミング LTC3200/LTC3200-5 動作 利用可能な最大出力電流 可変LTC3200の場合、利用可能な最大出力電流および電 圧は実効開ループ出力抵抗ROLおよび実効出力電圧2VIN (最小)から計算することができます。 ROL + – 与えられた負荷に対する出力リップルの大きさは、 COUTの値によって決まります。COUTのサイズを大きく すると、最小ターンオン時間が長くなり、起動電流が増 える代りに、出力リップルが小さくなります。ピーク・ ツー・ピーク出力リップルはおよそ次式で与えられま す。 + 2VIN IOUT 推奨します。これらのコンデンサは0.47µF以上にする必 要があります。タンタル・コンデンサとアルミ・コンデ ンサはESRが高いので推奨できません。 VOUT – 32005 F02 VRIPPLEP − P ≅ 図2.等価開ループ回路 図2から、利用可能な電流は次式で与えられます。 IOUT = 2VIN – VOUT ROL 温度の関数としての標準的ROL値を図3に示します。 OUTPUT RESISTANCE (Ω) 11 IOUT = 100mA CFLY = 1µF VFB = 0V 10 VIN = 2.7V VIN = 3.3V 9 8 –50 75 0 25 50 –25 AMBIENT TEMPERATURE (°C) 100 32005 • F03 図3.標準的ROLと温度 VIN、VOUTコンデンサの選択 LTC3200/LTC3200-5とともに使われるコンデンサの種類 と値により、レギュレータ制御ループの安定性、出力 リップル、チャージ・ポンプの強度、および最小起動時 間などのいくつかの重要パラメータが決定されます。 ノイズやリップルを減らすには、CIN とCOUT の両方に低 ESR(< 0.1Ω)セラミック・コンデンサを使用することを IOUT 2fOSC • C OUT ここで、fOSCはLTC3200/LTC3200-5の発振周波数(標準 2MHz)で、COUTは電荷保存用出力コンデンサです。 出力コンデンサの種類と値の両方がLTC3200/LTC3200-5 の安定性に大きく影響することがあります。ブロック図 に示されているように、LTC3200/LTC3200-5はリニア制 御ループを使ってチャージ・ポンプの強度を調節し、出 力に必要な電流とつり合わせます。このループの誤差信 号は電荷保存用出力コンデンサに直接保存されます。こ の電荷保存用コンデンサは制御ループの支配的ポールを 形成するのにも寄与します。LTC3200-5のリンギングや 不安定性を防ぐには、出力コンデンサがすべての状態で 少なくとも0.47µFの容量を保つことが重要です。可変 LTC3200では、相互利得係数を考慮して、出力コンデン サは少なくとも0.47µF×5V/VOUTあることが必要です。 同 様 に 、 出 力 コ ン デ ン サ の ESRが 大 き す ぎ る と 、 LTC3200/LTC3200-5のループ安定性を低下させる傾向が あります。LTC3200-5の閉ループ出力抵抗は0.5Ωになる ように設計されています。負荷電流が100mA変化する と、出力電圧は約50mVだけ変化します。出力コンデン サのESRが0.3Ω以上あると、閉ループ周波数応答は単 純な1ポールの場合のようにはロールオフしなくなり、 負荷過渡応答が劣化して不安定になることがあります。 セラミック・コンデンサのESR特性は通常非常に優れて いるので、基板を密にレイアウトすれば安定性と過渡性 能が非常によくなります。 COUTの値により出力リップルの大きさが支配されるの と同様、CINの値により入力ピン(VIN)に現れるリップル の大きさが決定されます。 7 LTC3200/LTC3200-5 動作 チャージ・ポンプが入力充電フェーズあるいは出力充電 フェーズのどちらにあってもLTC3200/LTC3200-5への入 力電流は比較的一定ですが、クロックの非重複期間中は ゼロに下がります。非重複時間は短いので(約25ns)、こ れらの欠けた部分(ノッチ)は入力電源ラインをわずかに 乱すだけです。タンタルのようなESRが大きいコンデン サでは、入力電流変化とESRの積による入力ノイズが大 きくなることに注意してください。したがって、セラ ミック・コンデンサはESR特性が並外れて優れているの で重ねて推奨します。 図4に示されているように、非常に小さな直列インダクタ を通してLTC3200/LTC3200-5に電力を供給することによ り、入力ノイズをさらに減らすことができます。10nHの インダクタは高速電流ノッチを除去して、ほぼ一定の電 流負荷を入力電源へ与えます。コストを下げるため、約 1cm (0.4インチ) のPC基板のトレースを使って、10nHのイ ンダクタをPC基板上に作ることができます。 10nH VIN VIN 0.22µF 1µF LTC3200/ LTC3200-5 GND 32005 F02 図4.10nHのインダクタを使った 入力ノイズのさらなる低減 フライング・コンデンサの選択 注 意 : フ ラ イ ン グ ・ コ ン デ ン サ の 電 圧 は LTC3200/ LTC3200-5の起動時に反転することがあるので、フライ ング・コンデンサにはタンタルあるいはアルミのような 有極性コンデンサは決して使わないでください。フライ ング・コンデンサには必ず低ESRセラミック・コンデ ンサを使ってください。 フライング・コンデンサはチャージ・ポンプの強度を決定 します。定格出力電流を達成するために、フライング・コ ンデンサには少なくとも0.68µFの容量が必要です。 負荷が非常に軽いアプリケーションでは、スペースやコ ストを節約するため、フライング・コンデンサを小さく することができます。倍電圧チャージ・ポンプの最小出 力抵抗の理論値は次式で与えられます。 8 ROL(MIN) ≡ 2VIN – VOUT IOUT ≅ 1 fOSCC FLY ここで、fOSCはスイッチング周波数(2MHz標準)で、 CFLYはフライング・コンデンサの値です。スイッチ抵抗 がさらに加わるため、チャージ・ポンプは理論上の限界 よりも通常弱くなりますが、負荷が非常に軽いアプリ ケーションでは、最初にコンデンサ値を決定するときの ガイドラインとして上式を使うことができます。 セラミック・コンデンサ セラミック・コンデンサは材質が異なると高温や高電圧 では異なった率で容量を失います。たとえば、X5Rある いはX7Rの素材で作られたコンデンサでは−40℃∼85℃ の範囲で容量がほぼ保たれますが、Z5UあるいはY5Vタ イプのコンデンサでは同じ範囲で容量がかなり失われま す。Z5UおよびY5Vのコンデンサは電圧係数も非常に劣 り、定格電圧が印加されると60%以上の容量を失うこと があります。したがって、異なったコンデンサを比較す るとき、規定容量値を検討するより、与えられたケース 寸法に対して得られる容量を比較する方が多くの場合適 切です。たとえば、定格電圧および定格温度の全条件に わたって、0603ケースに入った、1µF、10VのY5Vセラ ミック・コンデンサは、同じケースで供給される 0.22µF、10VのX7Rよりも大きな容量を与えるとはかぎ りません。実際、LTC3200/LTC3200-5のほとんどのアプ リケーションでは、これらのコンデンサはほぼ等しいと みなすことができます。必要な容量を全温度および全電 圧にわたって確保するにはどんな値のコンデンサが必要 かを決定するには、コンデンサの製造元のデータシート を調べる必要があります。 セラミック・コンデンサの製造元とその連絡先を下に示 します。 AVX www.avxcorp.com Kemet www.kemet.com Murata www.murata.com Taiyo Yuden www.t-yuden.com Vishay www.vishay.com LTC3200/LTC3200-5 動作 電力効率 LTC3200/LTC3200-5の電力効率(η)は実効入力電圧が実 際の入力電圧の2倍あるリニア・レギュレータの電力効 率に似ています。こうなるのは、倍電圧チャージ・ポン プの入力電流は出力電流の約2倍だからです。理想的な 安定化電圧ダブラでは、電力効率は次式で与えられま す。 η≡ POUT VOUT • IOUT VOUT = = 2VIN PIN VIN • 2IOUT 中程度の出力電力から高い出力電力にかけては、 LTC3200/LTC3200-5のスイッチング損失と消費電流は無 視できるので、上式は有効です。たとえば、VIN = 3V、 IOUT = 50mA で VOUT を 5V に安定化しているとき測定さ れた効率は80%で、これは理論計算値83.3%に近い値で す。 VIN VOUT 1µF 高温における電力のディレーティング 高電力アプリケーションで過温度状態を防ぐために、図 6を使って、周囲温度と電力消費の最大限度の組合せを 決定します。 1.2 θJA = 175°C/W TJ = 160°C 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 1µF GND SHDN 熱管理 入力電圧が高く、出力電流が最大の場合、LTC3200/ LTC3200-5の電力消費がかなり大きくなることがありま す 。 接 合 部 温 度 が 約 160℃ を 超 え る と 、 サ ー マ ル ・ シャットダウン回路が自動的に出力を停止します。最大 接合部温度を下げるには、PC基板への十分な熱接続を おこなってください。GNDピン(LTC3200ではピン4/5、 LTC3200-5ではピン2)をグランド・プレーンへ接続し、 全面切れ目のないグランド・プレーンをPC基板の2層に わたってデバイスの下に確保すると、パッケージとPC 基板の熱抵抗を大きく減らすことができます。 POWER DISSIPATION (W) VIN > 5Vでの動作 5Vをいくらか超えた入力電圧でもLTC3200/LTC3200-5 は引き続き動作します。ただし、固定周波数なので、内 部スイッチングによる電荷がいくらかVOUTに結合し て、非常に軽い負荷では出力電圧がわずかに上昇しま す。高いVINにともなう出力過電圧の問題を避けるた め 、 1mAほ ど の 適 度 の 待 機 時 負 荷 電 流 に す る と 、 LTC3200/LTC3200-5が非常によいライン・レギュレー ションを保つのに役立つでしょう。これはVOUTから GNDへ接続した5kの抵抗で実現できます。 レイアウトの検討事項 LTC3200/LTC3200-5によって高いスイッチング周波数と 大きな過渡電流が生じるので、基板レイアウトには注意 が必要です。本格的グランド・プレーンを与え、すべて のコンデンサへの配線を短くすれば、性能が向上し、あ らゆる条件で優れたレギュレーションが得られます。 LTC3200-5のレイアウトの一例を図5に示します。 1µF 0 –50 LTC3200-5 32005 F03 図5.推奨レイアウト 75 0 25 50 –25 AMBIENT TEMPERATURE (°C) 100 32005 • F06 図6.最大電力消費と周囲温度 9 LTC3200/LTC3200-5 動作 LTC3200/LTC3200-5で消費される電力は、与えられた周 囲温度に対して、示されている線より常に下にくる必要 があります。LTC3200/LTC3200-5で消費される電力は次 式で与えられます。 PD ≡ (2VIN – VOUT)IOUT 最大熱抵抗θJAを仮定しており、これは全面切れ目のない グランド・プレーンを備え、LTC3200/LTC3200-5のグラ ンド・ピンへの接続が十分なプリント基板レイアウトに よって達成できます。この曲線の外側で動作させると、 接合部温度が160℃を超え、そのためサーマル・シャッ トダウン回路が起動するおそれがあります。 このディレーティング曲線は、6ピンThinSOTのLTC32005と8ピンMSOPの可変LTC3200の両方に対して175℃/Wの パッケージ寸法 MS8パッケージ 8ピン・プラスチックMSOP (LTC DWG # 05-08-1660) 0.043 (1.10) MAX 0.007 (0.18) 0.034 (0.86) REF 8 7 6 5 0° – 6° TYP 0.021 ± 0.006 (0.53 ± 0.015) SEATING PLANE 0.009 – 0.015 (0.22 – 0.38) 0.0256 (0.65) BSC 0.005 ± 0.002 (0.13 ± 0.05) ** 寸法にはモールドのバリ、突出部、またはゲートのバリを含まない。モールドのバリ、 DIMENSION DOES NOT INCLUDE MOLD FLASH, PROTRUSIONS OR GATE BURRS. MOLD FLASH, PROTRUSIONS OR GATE BURRS SHALL NOT EXCEED 0.006" (0.152mm) PER SIDE 突出部、またはゲートのバリは、各サイドで0.006" (0.152mm) を超えないこと。 DIMENSION DOES NOT INCLUDE INTERLEAD FLASH OR PROTRUSIONS. **** 寸法には、リード間のバリまたは突出部を含まない。リード間のバリまたは突出部は、 INTERLEAD FLASH(0.152mm) OR PROTRUSIONS SHALL NOT EXCEED 0.006" (0.152mm) PER SIDE 各サイドで0.006" を超えないこと。 10 0.118 ± 0.004* (3.00 ± 0.102) 0.118 ± 0.004** (3.00 ± 0.102) 0.193 ± 0.006 (4.90 ± 0.15) 1 2 3 4 MSOP (MS8) 1100 LTC3200/LTC3200-5 パッケージ寸法 S6パッケージ 6ピン・プラスチックThinSOT-23 (LTC DWG # 05-08-1634) 2.80 – 3.10 (.110 – .118) (NOTE 3) SOT-23 (Original) SOT-23 (ThinSOT) A .90 – 1.45 (.035 – .057) 1.00 MAX (.039 MAX) A1 .00 – 0.15 (.00 – .006) .01 – .10 (.0004 – .004) A2 .90 – 1.30 (.035 – .051) .80 – .90 (.031 – .035) L .35 – .55 (.014 – .021) .30 – .50 REF (.012 – .019 REF) 2.60 – 3.00 (.102 – .118) 1.50 – 1.75 (.059 – .069) (NOTE 3) PIN ONE ID .95 (.037) REF .25 – .50 (.010 – .020) (6PLCS, NOTE 2) .20 (.008) A DATUM ‘A’ L NOTE: NOTE: 1. DIMENSION: MILLIMETERS 1. CONTROLLING 標準寸法:ミリメートル MILLIMETERS ミリメートル 2. DIMENSIONS ARE IN 2. 寸法は (INCHES) (インチ) .09 – .20 (.004 – .008) (NOTE 2) A2 1.90 (.074) REF A1 S6 SOT-23 0401 3. NOT TO SCALE 3. DRAWING 図は実寸とは異なる 4. ARE INCLUSIVE OF PLATING 4. DIMENSIONS 寸法には半田を含む 5. DIMENSIONS ARE EXCLUSIVE OF MOLD FLASH AND METAL BURR 5. 寸法にはモールドのバリやメタルのバリを含まない 6. MOLD FLASH SHALL NOT EXCEED .254mm 6. モールドのバリは0.254mmを超えてはならない 7. PACKAGE EIAJ REFERENCE IS: 7. SC-74A パッケージのEIAJ参照番号: (EIAJ) FOR ORIGINAL オリジナルはSC-74A JEDEL MO-193 FOR THIN(EIAJ) THINはJEDEL MO-193 リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提供する情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、 その使用に関する責務は一切 負いません。 また、 ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。 なお、 日本語の資料はあくまで も参考資料です。 訂正、 変更、 改版に追従していない場合があります。 最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。 11 LTC3200/LTC3200-5 標準的応用例 LED電流制御付き白色あるいは青色LEDドライバ 1µF 1 2 3V TO 4.4V Li-Ion BATTERY 3 C+ C– VOUT VIN 1µF 1µF LTC3200 FB ON OFF 6 SGND SHDN UP TO 6 LEDS 8 PGND 7 5 82Ω 82Ω 82Ω 82Ω 82Ω 82Ω 4 32005 TA04 (APPLY PWM WAVEFORM FOR ADJUSTABLE BRIGHTNESS CONTROL) VSHDN t リチウムイオン・バッテリを使った5V白色あるいは青色LEDドライバ 1µF 4 5 3V TO 4.4V Li-Ion BATTERY 1µF C+ 1 VOUT VIN DRIVE UP TO 5 LEDS SHDN (APPLY PWM WAVEFORM FOR ADJUSTABLE BRIGHTNESS CONTROL) 100Ω 1µF LTC3200-5 3 ON OFF 6 C– GND 100Ω 100Ω 100Ω 100Ω 2 VSHDN 3200-5 TA03 t 安定化5V電源へのUSBポート 1µF 4 6 5 3 1 LTC3200-5 1µF 1µF VOUT 5V ±4% 50mA 2 32005 TA05 関連製品 製品番号 説明 注釈 LTC1682/-3.3/-5 低ノイズLDO付き倍電圧チャージ・ポンプ MS8およびSO-8パッケージ、IOUT = 80mA、出力ノイズ = 60µVRMS LTC1751/-3.3/-5 倍電圧チャージ・ポンプ 100mAでVOUT = 5V;80mAでVOUT = 3.3V;可変;MSOPパッケージ LTC1754-3.3/-5 シャットダウン機能付き倍電圧チャージ・ポンプ ThinSOTパッケージ;IQ = 13µA;IOUT = 50mA LTC1928-5 低ノイズLDO付き倍電圧チャージ・ポンプ 12 ThinSOT 出力ノイズ = 90µVRMS;VOUT = 5V;VIN = 2.7V∼4V リニアテクノロジー株式会社 〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6秀和紀尾井町パークビル8F TEL 03-5226-7291• FAX 03-5226-0268 • www.linear-tech.co.jp 32005f 0501 0.5K • PRINTED IN JAPAN LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2000