日本語版

14ビット、40MSPS/65MSPS
A/Dコンバータ
AD6644
AD6644は、当社の新SoftCellTMトランシーバ・チップセットの構
成にも使われています。AD6644は、ナイキスト帯域にわたり
100dBのマルチトーン、スプリアス・フリー・ダイナミックレンジ
(SFDR)
を達成しています。この壁を破った動作特性によって、
一般的にADCの制限を受けるマルチモード・デジタル・レシー
バ(ソフトウェア・ラジオ)
における負荷が軽減されます。ノイズ特
性は格段に優れており、代表的なS/N比は74dBとなっています。
A D 6 6 4 4 は 、また 、広 チャンネル 帯 域 システム( C D M A 、
W-CDMA)
に設計されるシングル・チャンネル・デジタル・レシー
バにも有効です。オーバー・サンプリングを用いて、高調波を解
析帯域の外に排除できます。また、オーバー・サンプリングは、
デシメーション・レシーバ(例:AD6620)の利用を容易にし、解
析帯域におけるノイズ・フロアを低減できます。従来のアナロ
グ・フィルタを動作の安定したデジタル部品に置き換えることに
より、モデムのレシーバをより少ない“RF”部品で構成でき、製
造コストの低減、生産性と信頼性の向上が実現します。
AD6644は、アナログ・デバイセズの高速コンプリメンタリ・バイ
ポーラ・プロセス
(XFCB)
に基づいて構成されており、革新的な
マルチパス回路アーキテクチャを採用しています。ユニット
は、−25∼+85℃で動作保証された52ピンの低背クワッド・プ
ラスチック・フラットパック
(LQFP)
にパッケージされています。
特長
サンプル・レート65MSPSを保証
40MSPSバージョンも供給
サンプリング・ジッター<300fs
100dBマルチトーンSFDR
消費電力:1.3W
差動アナログ入力
デジタル出力
2の補数フォーマット
3.3V CMOSコンパチブル
出力ラッチのためのデータ・レディ
アプリケーション
マルチチャンネル、マルチモード・レシーバ
AMPS、IS-136、CDMA、GSM、
第3世代のシングル・チャンネル・デジタル・レシーバ
アンテナ・アレイ・プロセス処理
通信機器の構成部品
レーダー、赤外線画像処理
計測機器
概要
製品のハイライト
AD6644は、高速、高性能のモノリシック14ビットA/Dコンバータで
す。トラック・アンド・ホールド
(T/H)
とリファレンスを含む、必要な
全機能をオンチップで内蔵し、完全な変換ソリューションを提供
します。AD6644は、CMOSコンパチブルのデジタル出力を供給
します。AD6644は、AD9042(12ビット、41MSPS)
およびAD6640
(12ビット、65MSPS、IFサンプリング)
の後継機種にあたる、第3
世代の広帯域A/Dコンバータ・ファミリーとなる製品です。
マルチチャンネル、マルチモード・レシーバ用として設計された
1. 65MSPSのサンプル・レートを保証。
2. 完全差動形式のアナログ入力段。
3. デジタル出力は3.3V電源で動作可能であり、デジタル
ASICとのインターフェースを容易化。
4. 完全なソリューション:リファレンスおよびトラック/
ホールド内蔵
5. 小型の表面実装型プラスチック52ピンLQFPパッケージ。
機能ブロック図
AV CC
DVCC
A1
TH1
AIN
TH2
A2
TH4
TH3
TH5
ADC3
AIN
VREF
2.4V
ADC1
DAC1
ADC2
5
ENCODE
ENCODE
6
DAC2
AD6644
5
デジタル・エラー訂正ロジック
内部
タイミング
MSB
GND
DMID OVR DRY
D13
D12
LSB
D11
D10
D9
D8
D7
D6
D5
D4
D3
D2
D1
D0
アナログ・デバイセズ社が提供する情報は正確で信頼できるものを期していますが、そ
SoftCellは、アナログ・デバイセズの商標です。
の情報の利用または利用したことにより引き起こされる第3者の特許または権利の侵害
に関して、当社はいっさいの責任を負いません。さらに、アナログ・デバイセズ社の特
許または特許の権利の使用を許諾するものでもありません。
REV.0
アナログ・デバイセズ株式会社
本 社/東京都港区海岸1-16-1 電話03
(5402)8400 〒105-6891
ニューピア竹芝サウスタワービル
大阪営業所/大阪市淀川区宮原3-5-36 電話06(6350)6868(代) 〒532-0003
新大阪第二森ビル
AD6644―仕様
DC特性(AVCC=5V、DVCC=3.3V、TMIN=−25℃、TMAX=+85℃)
パラメータ
温度
分解能
精度
ノー・ミスコード
オフセット誤差
ゲイン誤差
微分非直線性(DNL)
積分非直線性(INL)
温度ドリフト
オフセット誤差
ゲイン誤差
電源除去比(PSRR)
リファレンス出力(VREF)
アナログ入力(AIN、AIN)
差動入力電圧範囲
差動入力抵抗
差動入力容量
電源
電源電圧
AVCC1
DVCC
電源電流
IAVCC(AVCC=5.0V)
IDVCC(DVCC=3.3V)
消費電力
試験
レベル
Min
AD6644AST-40
Typ
Max
Min
14
保証
3
−6
±0.25
±0.50
AD6644AST-65
Typ
Max
14
ビット
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
II
II
II
II
V
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
V
V
V
V
10
95
±1.0
2.4
10
95
±1.0
2.4
ppm/℃
ppm/℃
mV/V
V
全範囲
全範囲
25℃
V
V
V
2.2
1
1.5
2.2
1
1.5
Vp-p
KΩ
pF
全範囲
全範囲
II
II
全範囲
全範囲
全範囲
II
II
II
−10
−10
−1.0
4.85
3.0
+10
+10
+1.5
5.0
3.3
5.25
3.6
245
30
1.3
276
36
1.5
−10
−10
−1.0
4.85
3.0
保証
3
−6
±0.25
±0.50
単位
+10
+10
+1.5
mV
%FS
LSB
LSB
5.0
3.3
5.25
3.6
V
V
245
30
1.3
276
36
1.5
mA
mA
W
注
1 AVCCは、4.85∼5.25Vの範囲で変化させられます。ただし、定格AC(高調波)動作特性は、AVCC=5.0∼5.25Vの範囲においてのみ有効です。
仕様は予告なく変更されることがあります。
デジタル特性(AVCC=5V、DVCC=3.3V、TMIN=−25℃、TMAX=+85℃)
パラメータ
エンコード入力(ENC、ENC)
差動入力電圧1
差動入力抵抗
差動入力容量
ロジック出力
(D13∼D0、DRY、OVR)
ロジック互換性
ロジック“1”電圧2
ロジック“0”電圧2
出力符号化
DMID
温度
試験
レベル
全範囲
25℃
25℃
IV
V
V
全範囲
全範囲
V
V
全範囲
V
Min
AD6644AST-40
Typ
Max
0.4
Min
AD6644AST-65
Typ
Max
0.4
10
2.5
10
2.5
CMOS
2.5
0.4
2の補数
DVCC/2
CMOS
2.5
0.4
2の補数
DVCC/2
単位
Vp-p
kΩ
pF
V
V
V
注
1 全AC仕様は、ENCODEおよびENCODEを差動で駆動した場合のものです。動作特性対エンコード電力については図22を参照してください。
2 デジタル出力ロジック・レベル:DVCC=3.3V、CLOAD=10pF。10pFを超える容量性の負荷により動作特性が劣化します。
仕様は予告なく変更されることがあります。
スイッチング特性(AVCC=5V、DVCC=3.3V、ENCODEおよびENCODE=最大変換レートMSPS、TMIN=−25℃、
TMAX=+85℃)
パラメータ
温度
試験
レベル
最大変換レート
最小変換レート
エンコード・パルス幅ハイ
エンコード・パルス幅ロー
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
II
IV
IV
IV
Min
AD6644AST-40
Typ
Max
40
Min
AD6644AST-65
Typ
Max
65
15
10
10
15
6.5
6.5
単位
MSPS
MSPS
ns
ns
仕様は予告なく変更されることがあります。
2
REV.0
AD6644
AC特性1(AVCC=5V、DVCC=3.3V、ENCODEおよびENCODE=最大変換レートMSPS、TMIN=−25℃、TMAX=+85℃)
パラメータ
S/N比
アナログ入力
@−1dBFS
2.2MHz
15.5MHz
30.5MHz
SINAD2
アナログ入力
@−1dBFS
2.2MHz
15.5MHz
30.5MHz
2
高調波最悪値
(2次または3次)
アナログ入力
2.2MHz
@−1dBFS
15.5MHz
30.5MHz
2
高調波最悪値(4次以上)
アナログ入力
2.2MHz
@−1dBFS
15.5MHz
30.5MHz
2トーンSFDR2、3、4 全範囲
2トーンIMD除去2、4
F1、F2@−7dBFS
アナログ入力帯域幅
温度
試験
レベル
25℃
25℃
25℃
II
II
II
74.5
74.0
73.5
72
72
72
74.5
74.0
73.5
dB
dB
dB
25℃
25℃
25℃
II
II
V
74.5
74.0
73.0
72
72
74.5
74.0
73.0
dB
dB
dB
25℃
25℃
25℃
II
II
V
92
90
85
83
83
92
90
85
dBc
dBc
dBc
25℃
25℃
25℃
V
II
II
V
93
92
92
85
85
93
92
92
dBc
dBc
dBc
全範囲
25℃
V
V
Min
AD6644AST-40
Typ
Max
100
Min
AD6644AST-65
Typ
Max
100
90
250
単位
dBFS
90
250
dBc
MHz
注
1 全AC特性は、ENCODEおよびENCODEを差動で駆動した場合のものです。
2 定格AC動作特性は、AVCC=5∼5.25Vで得られます。
3 アナログ入力信号電力は、−7dBFSから−100dBFSまでを掃引した場合のものです。
4 F1=15MHz、F2=15.5MHz
仕様は予告なく変更されることがあります。
スイッチング特性(AVCC=5V、DVCC=3.3V、ENCODEおよびENCODE=最大変換レートMSPS、TMIN=−25℃、
TMAX=+85℃、CLOAD=10pF)
パラメータ
名称
温度
試験
レベル
AD6644AST-40/45
Min
Typ
Max
tENC
tENC
tENCH
tENCL
全範囲
全範囲
全範囲
全範囲
V
V
IV
IV
6.2
6.2
tDR
tE_DR
全範囲
IV
2.6
全範囲
全範囲
IV
IV
10.3
15.1
全範囲
全範囲
全範囲
IV
IV
IV
3.8
3.0
3.0
全範囲
全範囲
IV
IV
6.2
15.9
単位
1
ENCODE入力パラメータ
Encode期間1 @65MSPS
Encode期間1 @40MSPS
Encodeパルス幅ハイ2@65MSPS
Encodeパルス幅ロー@65MSPS
ENCODE/DATAレディ
Encodeの立ち上がりからDataレディの立ち下がりまで
Encodeの立ち上がりからDataレディの立ち上がりまで
@65MSPS
(デューティ
・サイクル50%)
@40MSPS
(デューティ
・サイクル50%)
ENCODE/DATA(D13:0)、OVR
ENCからDATAのローへの立ち下がりまで
ENCからDATAのローからの立ち上がりまで
ENCODEからDATA遅延まで(ホールド・タイム)3
ENCODEからDATA遅延まで(セットアップ・タイム)4
Encode=65MSPS(デューティ・サイクル50%)
Encode=40MSPS(デューティ・サイクル50%)
REV.0
tE_FL
tE_RL
tH_E
tS_E
3
15.4
25
7.7
7.7
3.4
tENCH+tDR
11.1
15.9
5.5
4.3
4.3
tENC−tE_FL
9.8
19.4
9.2
9.2
ns
ns
ns
ns
4.6
ns
12.3
17.1
ns
ns
9.2
6.4
6.4
ns
ns
ns
11.6
21.2
ns
ns
AD6644―仕様
パラメータ
名称
DATA READY(DRY5)/DATA、OVR
2
DataレディからDATA遅延まで
(ホールド・タイム)
Encode=65MSPS
(デューティ・サイクル50%)
Encode=40MSPS
(デューティ・サイクル50%)
2
DataレディからDATA遅延まで
(セットアップ・タイム)
@65MSPS
(デューティ・サイクル50%)
@40MSPS
(デューティ・サイクル50%)
アパーチャ遅延
アパーチャ不確定性(ジッター)
温度
試験
レベル
Min
全範囲
全範囲
IV
IV
8.0
12.8
全範囲
全範囲
25℃
25℃
IV
IV
V
V
3.2
8.0
AD6644AST-40/65
Typ
Max
tH_DR
tS_DR
tA
tJ
注6
8.6
13.4
注6
5.5
10.3
100
0.2
単位
9.4
14.2
ns
ns
6.5
11.3
ns
ns
ps
ps rms
注
1 いくつかのタイミング・パラメータは、tENCおよびtENCHの関数です。
2 tH_DRおよびtS_DRに対するデューティ・サイクルの変化を補償するために以下の式を用います。
NewtH_DR=(tH_DR−%変化(tENCH)
)×tENC/2
NewtS_DR=(tS_DR−%変化(tENCH)
)×tENC/2
3 ENCODEからDATA遅延(ホールド・タイム)は、A/Dコンバータを通じた絶対最小伝播遅延です。
4 ENCODEからDATA遅延(セットアップ・タイム)は、65MSPS(デューティ・サイクル50%)に対して相対的に計算されます。任意のエンコードに対するtS_Eの計算には以下の式を用います。
NewtS_E=tENC(NEW)−tENC+tS_E(即ち40MSPSに対しNewtS_E(TYP)=25×109+9.8×109=19.4×109)
5 DRYは、エンコード・クロックを反転し遅延したものです。クロックのデューティ・サイクルに変化が生ずると、これに対応して、DRYのデューティ・サイクルにも変化が生じます。
6 DataレディからDATA遅延(tH_DRおよびtS_DR)は、65MSPS(デューティ・サイクル50%)に対して相対的に計算され、tENCおよびデューティ・サイクルに依存します。任意のエンコードに対するtH_DR
およびtS_DRの計算には以下の式を用います。
NewtH_DR=tENC(NEW)/2−tENCH+tH_DR(即ち40MSPSに対しNewtH_DR(TYP)=12.5×109−7.69×109+8.6×109=13.4×109)
NewtS_DR=tENC(NEW)/2−tENCH+tS_DR(即ち40MSPSに対しNewtS_DR(TYP)=12.5×109−7.69×109+5.5×109=10.3×109)
仕様は予告なく変更されることがあります。
tA
N+3
N
AIN
N +1
N+2
N+4
t ENC
ENC, ENC
t ENCH
N
t ENCL
N +1
N+2
t E_FL
t E_DR
t E_RL
D[13:0], OVR
N+3
N–3
t H_E
t S_E
N–2
N–1
t S_DR
t DR
N+4
N
t H_DR
DRY
図1
タイミング図
4
REV.0
AD6644
絶対最大定格1
パラメータ
Min
Max
試験レベルの解説
I
100%製造テスト済み。
単位
II
電気
AVCC電圧
0
7
V
AVCC
V
IV
パラメータは、設計および特性試験により保証。
25
mA
V
パラメータは、代表値(typ)のみ。
0
7
アナログ入力電圧
0
デジタル入力電圧
0
デジタル出力電流
両端において設計および特性の双方について保証済み。
V
III
DVCC電圧
アナログ入力電流
25℃において100%製造テスト済み、および温度範囲の
AVCC
V
4
mA
サンプル・テストのみ。
環境2
動作温度範囲
(周辺)
+85
℃
最大接合温度
−25
150
℃
ピン温度
(ハンダ付け、10秒)
300
℃
+150
℃
保管温度(周辺)
−65
注
1 上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えると、デバイスに永久的な損傷を与えることが
あります。この定格はストレス定格の規定のみを目的とするものであり、この仕様の動作セ
クションに記載する規定値以上でのデバイス動作を定めたものではありません。デバイスを
長期間絶対最大定格条件に置くと、デバイスの信頼度に影響を与えることがあります。
2 熱インピーダンス代表値(52ピンLQFP)
、θJA=33℃/W;θJC=11℃/W。
これらの計測は、静止した空気の中に置かれたソリッド・グラウンド・プレーンを持った
6層のボードについて行われたものです。
オーダー・ガイド
モデル
温度範囲
パッケージ
パッケージ・オプション
AD6644AST-40
AD6644AST-65
AD6644AST/PCB
−25∼+85℃(周辺温度)
−25∼+85℃(周辺温度)
52ピンLQFP(低背形クワッド・プラスティック・フラットパック)
52ピンLQFP(低背形クワッド・プラスティック・フラットパック)
AD6644AST-65搭載の評価ボード
ST-52
ST-52
注意
ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。4000Vもの高圧の静電気が人体やテスト装置に容易に帯電し、
検知されることなく放電されることがあります。本製品には当社独自のESD保護回路を備えていますが、高エネル
ギーの静電放電を受けたデバイスには回復不可能な損傷が発生することがあります。このため、性能低下や機能喪
失を回避するために、適切なESD予防措置をとるようお奨めします。
REV.0
5
WARNING!
ESD SENSITIVE DEVICE
AD6644
ピン機能説明
ピン番号
記号
機能
1、33、43
DVCC
3.3V電源(デジタル)
、出力段のみ
2、4、7、10、13、15、17、19、21、23、
GND
グラウンド
25、27、29、34、32
3
2.4V(アナログ・リファレンス)、0.1μFのマイクロ波チップ・コンデンサ
VREF
でグラウンドにバイパス。
5
ENCODE
エンコード入力、変換は立ち上がりエッジで開始。
6
ENCODE
ENCODEの反転、差動入力。
8、9、14、16、18、22、26、28、30
AVCC
5Vアナログ電源。
11
AIN
アナログ入力。
12
AIN
AINの反転、差動アナログ入力。
20
C1
内部電圧リファレンス。0.1μFのマイクロ波チップ・コンデンサでグラウンドにバイパス。
24
C2
内部電圧リファレンス。0.1μFのマイクロ波チップ・コンデンサでグラウンドにバイパス。
31
DNC
無接続。
32
OVR
オーバーレンジ・ビット。ハイになるとアナログ入力が±FSを超えたことを示す。
35
DMID
出力データ電圧中間点。ほぼ、(DVCC)/2に等しい。
36
D0(LSB)
デジタル出力ビット(LSB)
、2の補数
37∼41、44∼50
D1∼D5、D6∼D12
デジタル出力ビット、2の補数
51
D13(MSB)
デジタル出力ビット(MSB)
、2の補数
52
DRY
データ・レディ出力
D4
GND
D5
D6
DVCC
D8
D7
D10
D9
D12
D11
DRY
D13 (MSB)
ピン配置
52 51 50 49 48 47 46 45 44 43 42 41 40
DVCC 1
39 D3
ピン1
目印
GND 2
VREF 3
38 D2
37 D1
36 D0(LSB)
GND 4
ENCODE 5
35 DMID
ENCODE 6
GND 7
AV CC 8
AD6644
34 GND
上面図
(実寸ではありません)
33 DVCC
32 OVR
AV CC 9
GND 10
AIN 11
31 DNC
AIN 12
GND 13
28 AV CC
30 AV CC
29 GND
27 GND
C2
GND
AV CC
GND
C1
GND
AV CC
GND
GND
AV CC
AV CC
GND
AV CC
14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
DNC=無接続
6
REV.0
ADP3020
最小変換レート
最も低い周波数のアナログ信号のS/N比が、保証された限界
から3dB以上劣化しないようなエンコード・レートです。
仕様の定義
アナログ帯域幅
基本周波数(FFT解析によって決定される)のスペクトル・
パワーが3dB減衰するアナログ入力周波数です。
最大変換レート
パラメータの試験が行われるエンコード・レートです。
アパーチャ遅延
ENCODEコマンドの立ち上がりエッジの50%の時点と、ア
ナログ入力がサンプルされる時点の間の遅延です。
出力伝播遅延
ENCODEおよびENCODEの差動の交点、および全出力ビッ
トが有効なロジック・レベルにある時点との間の遅延です。
アパーチャ不確定性(ジッター)
アパーチャ遅延のサンプル間における変動です。
ノイズ(A/Dコンバータの任意の範囲について)
差動アナログ入力抵抗、差動アナログ入力容量、
差動アナログ入力インピーダンス
各アナログ・ポートにおいて測定される実数および複素数
のインピーダンスです。抵抗は静的に測定され、容量およ
び差動入力インピーダンスはネットワーク・アナライザを
用いて測定されます。
VNOISE =
FS dBm – Signal
10
dBFS
ここで、Zはインピーダンス、FSは対象の周波数に対するデ
バイスのフルスケール、S/N比は特定の入力レベルに対する
値であり、信号はA/Dコンバータの信号レベルをフルスケー
ルの下方へのdB値で示したものです。この値には、熱ノイ
ズと量子化ノイズの両方が含まれます。
差動アナログ入力電圧範囲
フルスケールの応答を得るために、コンバータに供給すべ
きピークtoピークの差動電圧です。ピーク差動電圧は、あ
る1つのピンでの電圧を測定し、これを位相が180度異なる
他のピンの電圧から減算して計算されます。ピークtoピー
ク差動は、入力位相を180度回転させて、再びピークの測定
を行うことによって計算されます。ここで、2つのピークの
測定結果から差異が計算されます。
電源除去比
入力オフセット電圧の変化の電源電圧の変化に対する比です。
SINAD(Signal-to-Noise-and-Distortion)
信号のrms振幅(フルスケールの1dB下に設定)の、高調波
を含みDC成分を含まない他のスペクトル成分すべてを加算
したもののrms値に対する比です。
微分非直線性
任意のコードの幅の理想的な1LSBのステップからの偏差です。
S/N比(高調波なし)
信号のrms振幅(フルスケールの1dB下に設定)の、最初の
5つの高調波を含まずDC成分を含まない他のスペクトル成
分すべてを加算したもののrms値に対する比です。
エンコード・パルス幅/デューティ・サイクル
パルスのハイの幅は、定格動作を達成するためにENCODE
パルスが1の状態になければならない最小の時間であり、パ
ルスのローの幅は、ENCODEパルスが0の状態になければな
らない最小の時間です。t ENCHの変化におけるタイミングの
関係を参照してください。これらの仕様は、任意のクロッ
ク・レートについて、受容可能なENCODEのデューティ・
サイクルを定義します。
スプリアス・フリー・ダイナッミック・レンジ(SFDR)
信号のrms振幅の、ピーク・スプリアス・スペクトル成分の
rms値に対する比です。ピーク・スプリアス成分は、高調波
であるかどうかを問いません。dBc(信号レベルが低くなる
につれ劣化)またはdBFS(常にコンバータのフルスケール
と比較される)のいずれかによって表します。
フルスケール入力電力
dBmの単位で表されます。次の式によって計算されます。
V 2 Full Scale rms
| Z| Input
Power Full Scale =10 log
0 . 001
2トーン相互変調歪み除去
いずれかの入力トーンのrms値の、最悪の3次相互変調生成
信号のrms値に対する比であり、dBcで表されます。
2トーンSFDR
いずれかの入力トーンののrms値の、ピーク・スプリアス成
分のrms値に対する比です。ピーク・スプリアス成分は、
IMD生成信号であるかどうかを問いません。dBc(信号レベ
ルが低くなるにつれ劣化)またはdBFS(常にコンバータの
フルスケールと比較される)のいずれかによって表します。
高調波歪み、2次
信号のrms振幅の第2の高調波成分のrms値に対する比であ
り、dBcによって表されます。
高調波歪み、3次
信号のrms振幅の第3の高調波成分のrms値に対する比であ
り、dBcによって表されます。
他のスプリアスの最悪値
信号のrms振幅の最悪スプリアス成分(2次および3次の高調
波を除く)のrms値に対する比であり、dBcで表されます。
積分非直線性
最小二乗法によって決定された「最適な直線」を用いて基準
線からの伝達関数の偏差を1LSB単位で測定したものです。
REV.0
| Z | × 0 . 001 ×10
7
AD6644
等価回路
DVCC
VCH AV CC
カレント・
ミラー
AIN
BUF
T/H
500 Ω
VCL
VREF
BUF
VCH AV CC
DVCC
500 Ω
AIN
VREF
D0∼ D13, OVR, DRY
T/H
BUF
VCL
図2
アナログ入力段
カレント・
ミラー
図5
デジタル出力段
負荷
AV CC
AV CC
AV CC
AV CC
10k Ω
AV CC
10k Ω
ENCODE
ENCODE
AV CC
2.4V
VREF
10k Ω
10k Ω
100 µ A
負荷
図6
図3
2.4Vリファレンス
ENCODE入力
AV CC
DVCC
VREF
AV CC
10k Ω
AV CC
DMID
カレント・
ミラー
10k Ω
C1 または C2
図4
補償ピン、C1またはC2
図7
8
DMIDリファレンス
REV.0
代表的な性能特性―AD6644
0
75.0
ENCODE = 65MSPS
AIN = 2.2MHz @ –1dBFS
SNR = 74.5dB
SFDR = 92dBc
–10
–20
–30
ENCODE = 65MSPS, AIN = –1dBFS
TEMP= – 25℃,+25℃,+85℃
74.5
T= – 25℃
–40
74.0
S/N比−dB
–50
–60
–70
–80
T= + 85℃
T= + 25℃
73.5
73.0
–90
–100
72.5
–110
–120
–130
0
5
図8
10
15
周波数−MHz
20
25
72.0
30
2.2MHzシングル・トーン
5
0
図11
10
15
周波数−MHz
20
25
30
ノイズ 対 アナログ周波数(ナイキスト)
94
0
ENCODE = 65MSPS
AIN = 15.5MHz @ –1dBFS
SNR = 74dB
SFDR = 90dBc
–10
–20
–30
ENCODE = 65MSPS, AIN = –1dBFS
92
TEMP= – 25℃,+25℃,+85℃
90
–40
最悪高調波−dB
–50
–60
–70
–80
–90
T= + 25℃
T= – 25℃,+85℃
88
86
84
–100
–110
82
–120
–130
0
5
図9
10
15
20
周波数−MHz
25
80
30
15.5MHzシングル・トーン
5
0
図12
10
15
20
アナログ入力周波数−MHz
25
30
高調波 対 アナログ周波数(ナイキスト)
75
0
ENCODE = 65MSPS
AIN = 30MHz @ –1dBFS
SNR = 73.5dB
SFDR = 85dBc
–10
–20
–30
ローノイズ・アナログ・ソース
74
73
–40
S/N比−dB
–50
–60
–70
–80
–90
72
アナログ・ソースの位相ノイズに
より性能が劣化
71
70
–100
–110
69
AIN = –1dBFS
ENCODE = 65MSPS
–120
–130
0
5
図10
REV.0
10
15
20
周波数−MHz
25
68
30
30MHzシングル・トーン
0
10
図13
9
20
50
70
30
40
60
アナログ入力周波数−MHz
80
90
ノイズ 対 アナログ周波数(IF)
100
AD6644
0
100
95
最悪の他のスプリアス
–20
90
–30
–40
85
高調波−dBc
ENCODE = 65MSPS
AIN = 15MHz,
15.5MHz @ –7dBFS
ディザなし
–10
ENCODE = 65MSPS
AIN = –1dBFS
–50
80
–60
75
–70
–80
70
–90
高調波(2次、3次)
–100
65
–110
60
55
–120
–130
10
0
20
30
40
50
60
70
80
90
100
5
0
10
アナログ周波数−MHz
図17
高調波 対 アナログ周波数(IF)
120
110
110
100
dBFS
100
最悪のスプリアス−dBFSおよびdBc
最悪のスプリアス−dBFSおよびdBc
図14
ENCODE = 65MSPS
AIN = 15.5MHz
90
80
dBc
70
60
SFDR = 90dB
基準線
50
40
30
20
15
20
周波数−MHz
25
30
15MHzおよび15.5MHzの2トーン
dBFS
ENCODE = 65MSPS
F1 = 15MHz
F2 = 15.5MHz
90
80
dBc
70
60
SFDR = 90dB
基準線
50
40
30
20
10
10
0
–80
–70
–20
–60
–50
–30
–40
アナログ入力電力レベル – dBFS
図15
–10
0
–77
0
–67
–57
–47
–37
–27
入力電力レベル −(F1=F2)dBFS
図18
シングル・トーンSFDR
–7
–17
2トーンSFDR
100
0
ENCODE = 65MSPS
AIN = 19MHz,
19.5MHz @ –7dBFS
ディザなし
–20
–30
AIN = 2.2MHz @ –1dBFS
S/N比、最悪のスプリアス−dBおよびdBc
–10
–40
–50
–60
–70
–80
–90
–100
–110
–120
–130
5
0
図16
10
15
20
周波数−MHz
25
95
90
85
80
75
S/N比
70
65
60
30
最悪のスプリアス
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
ENCODE−MHz
図19
19MHzおよび19.5MHzの2トーン
10
S/N比、最悪のスプリアス対エンコード
REV.0
AD6644
0
0
ENCODE = 65MSPS
AIN = 15.5MHz @ –29.5dBFS
ディザなし
–10
–20
–20
–30
–30
–40
–40
–50
–50
–60
–60
–70
–70
–80
–80
–90
–90
–100
–100
–110
–110
–120
–120
–130
0
5
10
図20
15
20
周波数−MHz
25
–130
30
0
90
80
60
50
40
SFDR = 90dB
基準線
30
–80
–30
–20
–70 –60
–50
–40
アナログ入力電力レベル−dBFS
–10
ディザなし SFDR
S/N比、最悪のスプリアス−dBおよびdBc
2.2MHz
最悪のスプリアス
ENCODE = 65MSPS
85
30.5MHz
80
S/N比
75
30.5MHz
70
–10.0
5.0
–5.0
0
ENCODE入力電力−dBm
SFDR = 90dB
基準線
–80
–60
–20
–70
–50
–40
–30
アナログ入力電力レベル−dBFS
図24
95
2.2MHz
SFDR = 100dB
基準線
30
0
–90
0
ENCODE = 65MSPS
AIN = 15.5MHz
ディザ@−19dBm
40
10
図21
REV.0
ディザあり1M FFT
50
10
図22
30
60
20
65
–15.0
25
70
20
90
15
20
周波数−MHz
100
ENCODE = 65MSPS
AIN = 15.5MHz
ディザなし
70
0
–90
10
図23
最悪のスプリアス−dBc
最悪のスプリアス−dBc
80
5
ディザなし1M FFT
100
90
ENCODE = 65MSPS
AIN = 15.5MHz @ –29.5dBFS
ディザ@−19dBm
–10
10.0
15.0
S/N比、最悪のスプリアス 対 クランプされた
エンコード電力
11
ディザありSFDR
–10
0
AD6644
低ジッターのECL/PECLが利用可能な場合には、以下に示すように
差動ECL/PECL信号をAC結合して入力ピンをエンコードできます。
優 れ たジッター 特 性 を 示 す デバ イスとして M o t o r o l a の
MC100LVEL16
(または同ファミリー製品)
があります。
動作原理
AD6644 A/Dコンバータ
(ADC)
は、3段階のサブレンジ・アーキテクチ
ャを採用しています。これにより、低消費電力で小ダイ・サイズであり
ながら、必要な精度と速度を達成しています。
機能ブロック図に示すように、AD6644はコンプリメンタリ
(相補型)
ア
ナログ入力ピンAINとAINを備えています。各アナログ入力は、2.4V
を中心として、このリファレンスから±0.55Vの範囲でスイングします
(図2)
。AINとAINの位相差は180度なので、差動アナログ入力信
号は、2.2Vピークtoピークとなります。
両アナログ入力は、最初のトラック/ホールド、TH1の前にバッファさ
れます。ENCODEパルスがハイの状態では、TH1はホールド・モード
となります。TH1にホールドされた値は、5ビットの粗いADC1に入力
されます。ADC1のデジタル出力は、5ビットDACであるDAC1を駆動
します。DAC1は、レーザー・
トリミングで達成される14ビット精度を必
要とします。DAC1の出力は、TH3入力の遅延されたアナログ出力
から減算されて、第1の残差信号を生成します。TH2は、ADC1のデ
ジタル遅延を補償するアナログ・パイプライン遅延を供給します。
第1の残差信号は、5ビットのADC2、5ビットのDAC2、パイプライン
TH4で構成された第2の変換ステージに加えられます。第2のDAC
は、10ビットの精度をトリムなしに達成できる必要があります。TH5に
対する入力は、DAC2の量子化された信号をTH4によってホールドさ
れた第1の残差信号から減算して生成される、第2の残差信号です。
TH5は、最後の6ビットのADC3を駆動します。
ADC1、ADC2、ADC3からのデジタル出力は加算されて、デジタル誤
差補正ロジックの中で補正されて最終的な出力データを生成します。
結果として、2の補数の形式でコードされた14ビット・パラレルのデジタ
ルCMOSコンパチブル・ワードが得られます。
VT
0.1 µ F
0.1 µ F
T1–4T
AD6644
0.1 µ F
ENCODE
VT
図26
エンコード用の差動ECL
アナログ入力
高速・高ダイナミックレンジの最新A/Dコンバータの大半と同様に、
AD6644のアナログ入力は差動です。差動入力では、信号がアナ
ログ段で処理されるため、オンチップでの動作特性を大きく向上でき
ます。この特性改善の大部分は、偶数次の高調波を高い比率で
除去する差動アナログ段によるものです。これらは、プリント基板のレ
ベルでも利点があります。第1に、差動入力は、グラウンドおよび電源
ノイズのような浮遊信号に対して高いコモン・モード除去比がありま
す。また、これらは、ローカル発振器のフィード・スルーなどのコモン・モ
ード信号に対しても良好な除去特性を示します。
AD6644の入力電圧範囲は、グラウンドから2.4Vだけオフセットされ
ています。各アナログ入力は、500Ωの抵抗を介して2.4Vのバイアス
電圧および差動バッファの入力に接続されています
(図2)
。入力の
抵抗ネットワークは、フォロアを適切にバイアスして直線性および範囲
を最適化します。このため、AD6644を駆動するアナログ・ソースは、
入力ピンに対してAC結合する必要があります。AD6644の差動入力
インピーダンスは1kΩなので、アナログ入力の電源要求事項はわず
か−2dBmであり、ほとんどの場合ドライバ・アンプが省略できます。こ
の高入力インピーダンスを最大限に活用するために、20:1のトランス
が必要となります。これは大きな変圧比であり、満足な特性が得られ
ない結果にもなりえます。この場合には、より低いステップ・アップ比を
使用できます。AD6644のアナログ入力を駆動するために推奨され
る方法としては、4:1のRFトランスを用いることです。例えば、R Tが
6 0 . 4 Ωに設 定され R S が 2 5 Ωに設 定された場 合には、入 力は
4.8dBmのフルスケール・
ドライブで50Ωのソースとマッチします。トラン
スの2次側の直列抵抗
(RS)
を用いてトランスをADCから絶縁してくだ
さい。これにより、ADCからのダイナミックな電流がトランスの2次側に
還流することを防止できます。終端抵抗
(RT)
は、
トランスの1次側に
設ける必要があります。
AD6644の適用
AD6644のエンコード
AD6644のエンコード信号は、動作特性の劣化を防止するために、
高品質で位相ノイズが極めて少ないソースを使う必要があります。
14ビット精度を維持するためには、エンコード・クロックの位相ノイズに
ついて厳しい条件が課されます。ジッターの多いクロック・ソースを用
いた場合には、70MHzの入力信号についてのS/N比特性が、簡単
に3∼4dBも劣化します。完全な詳細については、当社のアプリケー
ション・ノートAN501“Aperture Uncertainty and ADC System
Performance”
を参照してください。
最適な動作のためには、AD6644を差動クロックで駆動する必要が
あります。エンコード信号は、通常、
トランスまたはコンデンサを介して
ENCODEおよびENCODEピンにAC結合されます。これらのピンは
内部的にバイアスされており、バイアスを追加する必要はありません。
以下にAD6644をクロックする望ましい方法を示します。クロック・ソー
ス
(低ジッター)
は、RFトランスによってシングル・エンドから差動に変換
されます。トランスの2次側の配線間のバックtoバックのショットキ・ダイ
オードは、AD6644へ入力されるクロックの幅を、差動で約0.8Vp-p
に制限します。これにより、クロックの大きな電圧スイングがAD6644
の他の部分に送り込まれる
(フィード・スルー)
のを防止し、ENCODE
入力に加わるノイズを制限します。適当な制限抵抗
(一般的に100
Ω)
が1次側に直列に設けられた場合には、水晶クロック発振器を
使ってRFトランスを駆動することもできます。
クロック・ソース
ENCODE
ECL/
PECL
T1–4T
アナログ
入力信号
RS
AIN
RT
AD6644
RS
AIN
0.1 F
図27
トランス結合アナログ入力回路
ENCODE
100Ω
AD6644
ENCODE
HSMS2812
ダイオード
図25
水晶クロック発振器−差動エンコード
12
REV.0
AD6644
源の各ピンをデバイスと直接にデカップリングするために、高品質のセ
DC結合が必要なアプリケーションでは、当社の新しい差動出力の
オペアンプAD8138によってAD6644をドライブできます
(図28)
。
ラミック・チップ・コンデンサの使用を強く推奨します。AD6644のピン
AD8138オペアンプは、シングルエンドと差動の変換を行い、これによ
出力は、高周波数、高解像度の設計の実現を容易とします。すべ
りシステム全体としてのコストが低減でき、レイアウトにおける制約が最
てのデジタル出力は、チップの両側に分離して配置されており、入力
小化されます。
は絶縁のために他方に配置されています。
デジタル経 路の配 置には注 意が 必 要です。デジタルの出力が
CF
A6644のアナログ部に結合されるのを防止するために、これらの出力
499Ω
に最小限の容量性負荷を接続するべきです。AD6644の出力は、1
5V
VIN
0.1µ F
499Ω
25Ω
VOCM
AD8138
25Ω
499Ω
ゲートのみのファンアウトとすることを推奨します。
AIN
AD6644
AIN
デジタル
出力
エンコード回路のレイアウトも重要です。回路にノイズが受信されると、
デジタル化プロセスが阻害され、全体としての性能が低下します。エ
VREF
ンコード・クロックは、デジタル出力およびアナログ入力から絶縁する
499Ω
必要があります。
CF
図28
DC結合アナログ入力回路
ジッターについての配慮
A/DコンバータのSN比
(SNR)
は予測可能です。A/Dコンバータのコ
電源
電源ソースの選択は慎重に行う必要があります。リニア電源を強く推
ードに正規化された場合、式1の3つの項によってS/N比が正確に示
奨します。スイッチング電源は、AD6644によって
「受信」
される可能性
がコンバータのノイズに影響を与えます。
されます。これらは、ジッター、平均DNL、誤差です。これらの各項
のある輻射成分を持つ傾向があります。各電源ピンは、パッケージ
のなるべく近くで0.1μFのチップ・コンデンサでデカップルしてください。
SNR = –20 × log
AD6644のデジタル電源とアナログ電源ピンは分離されています。ア
(1 + ε )
2N
2
+ ( 2×π× fANALOG × t J RMS ) 2 +
VNOISE
2N
2 1/2
RMS
(1)
ナログ電源にはAV CCと表示され、デジタル電源ピンにはDV CCと表
fANALOG=
アナログ入力周波数。
示されます。AVCCおよびDVCCは、独立した電源としてください。これ
t JRMS=
エンコードのrmsジッター
(エンコード・ソースおよび内部
は、デジタルの高速な出力スイングにより、スイッチング電流がアナロ
エンコード回路の合計rms値)
グ電源と結合することがあるからです。AVCCは、5Vから5%以内に
ε=
A/Dコンバータの平均DNL
(典型的には0.41LSB)
保持するよう注意してください。AD6644はDVCC=3.3Vで仕様規定
N=
A/Dコンバータのビット数
されていますが、これは、この電圧がASICに共通する電源となって
VNOISE RMS= A/Dコンバータのアナログ入力
(代表値は2.5LSB)
に対
いるためです。
するrms熱ノイズです。
出力負荷
AD6644用のデータ・レシーバは慎重に設計してください。デジタル出
AD6644のような14ビットA/Dコンバータでは、アナログ周波数が増大
力によってシリーズの抵 抗( 例えば 1 0 0 Ω )
を駆 動して、次に
ことがあります。下の図は、ジッターが増大につれてのAD6644のS/N
74LCX574などのゲートに接続することを推奨します。容量性負荷を
比変化の予測を示したものです。図は上記の式から求められたもの
最小限にするために。各出力ピンに対しては、1つのゲートだけを接
です。
続してください。この例を、図30の評価ボードの概略図に示します。
アパーチャ・ジッターについての詳細は、当社のアプリケーション・ノー
するにつれ、アパーチャ・ジッターがS/N比特性に大きな影響を与える
AD6644のデジタル出力は、1V/nsの安定した出力スルーレートを持
トAN501“Aperture Uncertainty and ADC System Performance”
を
っています。代表的なCMOSゲートは、PCBの配線との組み合わせ
参照してください。
で10pF程度の負荷を持っています。このため、各ビット・スイッチで、
ビットあたり10mA
(10pF×1V/1ns)
のダイナミックな電流がデバイスか
80
ら流出します。フルスケールの遷移によって、出力段を介して最大
AIN = 30MHz
140mA
(14ビット×10mA/ビット)
の電流が発生する可能性があります。
AIN = 70MHz
75
シリーズ抵抗は、出力段に流入する可能性のある電流を制限する
S/N比−dB
ために、AD6644のなるべく近くに設置してください。これらのスイッチ
ング電流は、グラウンドとDV CCピンの間に閉じ込められます。標準
TTLのゲートは、AD6644のダイナミックなスイッチング電流を大きく増
大させてしまうので、採用を避けてください。また、容量性負荷が増
70
AIN = 110MHz
65
加することにより、出力のタイミングが遅れてタイミング仕様が無効とな
AIN = 150MHz
60
ることにも注意してください。デジタル出力のタイミングは10pFの負荷
AIN = 190MHz
について保証されたものです。
55
0
レイアウトについての情報
評価ボードの概略図
(図30)
は、AD6644の代表的な構成例を示し
図26
たものです。最良の結果を得るためには多層基板を推奨します。電
REV.0
0.1
13
0.2
0.3
0.4
ジッター – ps
0.5
エンコード用の差動ECL
0.6
AD6644
評価ボード
AD6644の評価ボードは簡素な構成となっており、デバイス
エンコード信号は、内蔵の水晶発振器U5による生成も可能
の評価に必要な回路がすべて含まれています。外部接続の
またはENCODEのラベルがあるBNCコネクタを介した外部
必要があるのは電源、クロック、アナログ入力のみです。
エンコード・ソースに置き換え可能です。外部ソースを使
評価ボードには、ENCODEのための内部クロック発振器の
用する場合には、高品質で位相ノイズの極めて低いソース
オプションが含まれます。AD6644のアナログ電源ピンへの
にしてください。
電源は、パワー端子ブロック(PCTB2)を介して接続され
AD6644の出力データは、74LCX574(U7、U2)ラッチによ
ています。デジタル・インターフェースの電源は、J6の1ピ
ってラッチされます。これらのラッチのクロックは、ジャ
ンを介して接続されています。J2コネクタは、SoftCell受信
ンパE3∼E4またはE4∼E5の選択により決定されます。E3∼
シグナル・プロセッサ(AD6620、AD6624)評価ボードに
E5は、クロックにゲートによる遅延をかけたもので、E4を
直接に接続されており、システム性能の完全な評価を実現
E5に接続することにより、AD6644のDataレディにより出力
します。
データをラッチできます。クロックは、BUFLAT(ピン19、
アナログ入力は、BNCコネクタを介して接続されており、
20)のラベルがある出力データ(J2)からも分配されます。
です。内蔵発振器は、OPT_CLKのラベルがあるSMAコネク
これはAD6644の入力にトランス結合されています、トラン
スの巻線比は1:4となっており、AD6644を駆動するための
入力電力を低減しています。
AD6644部品一覧
項目
数量
参照番号
解説
1
2
2
C1、C2
タンタル・チップ・コンデンサ10μF
1
C3、C7、C8、C9、C10、C11、C16、C30、C31、
セラミック・チップ・コンデンサ0508、0.01μF
C32、C4、C22、C23、C24、C25、C26、C27、
C28、C29
3
8
C12、C13、C14、C17、C18、C19、C20、C21
セラミック・チップ・コンデンサ0508、0.01μF
4
1
CR1
HSMS2812表面実装型ダイオード
5
1
E3、E4、E5
3ピン・ヘッダー
6
4
F1、F2、F3、F4
フェライト(オプション)
7
2
J1、J6
PCTB2
8
1
J2
50ピン2列ヘッダー
SMAコネクタ
9
1
J3
10
2
J4、J5
BNCコネクタ
11
1
R1
表面実装型抵抗1206、100Ω
表面実装型抵抗1206、60.4Ω
12
1
R2
13
4
R3、R4、R5、R8
表面実装型抵抗0805、449Ω(オプション、DC結合のみ)
14
2
R6、R7
表面実装型抵抗0805、25Ω
15
1
R9
表面実装型抵抗0805、348Ω
16
1
R10
表面実装型抵抗0805、615Ω
17
1
R35
表面実装型抵抗0805、49.9Ω
18
30
R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、
表面実装型抵抗0402、100Ω
R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51、
R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、
R60、R61、R62、R63、R64、R65
19
2
T2、T3
表面実装型トランス小型回路、巻線比1:4
20
1
U1
AD6644AST 14ビット 65MSPS A/Dコンバータ
21
2
U2、U7
74LCX574 8回路ラッチ
22
1
U3
AD8138シングル/差動アンプ(オプション、DC結合のみ)
23
2
U4、U6
NC7SZ32 2入力ORゲート
24
1
U5
CTSリーブ・フルサイズMX045水晶クロック発振器
14
REV.0
K1115
2
AIN
J5
2
1
1
8
C4
100nF
14
R2
60.4 Ω
R35
49.9 Ω
GND OUT
ENC
J4
SMA
OPT_CLK
J3
7
VCC
1
R1
100 Ω
C3
100nF
6
4
2
1
3P3VD
5VA
V
R8
499 Ω
6
V–
V
3
AD6644ST/PCB概略図(GS02357D概略図)
C30
100nF
R7
25 Ω
ENC
ENC
E5
E3
R6
25 Ω
GND
5VA
5VA
GND
AIN
AIN
GND
13
12
11
10
9
8
7
6
5
GND 4
3
3P3V 1
GND 2
U1
BUFLAT
GND
AIN
AIN
AD6644ST
3P3V
PCTB2
1
2
J1
C8
100nF
D0
D1
D2
D3
GND
GND
AV CC
DNC
AV CC
OVR
DVCC
GND
DMID
14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
AV CC
GND
AV CC
GND
ENC
ENC
GND
VREF
GND
DVCC
52 51 50 49 48 47 46 45 44 43 42 41 40
1
2
C9
100nF
F1
FERRITE
C1
10 µF
GND
C7
100nF
30
5VA
29 GND
28 5VA
27 GND
31
32
35
PREF
34 GND
33 3P3V
36
37
38
39
+
注:点で表示した線は、オプションのアナログ入力です。
3
T1–4T
4
1
2
1:4
5
6
T3
5
4
CR1
VREF
R4
499 Ω
2
+
GND
1
8
2
U3
R5
499 Ω
5VA
C27
100nF
1
3
VREF
E4
C32
100NF
OPT_LAT
NC7SZ32
DR_OUT
4
HSMS2812
C28
100nF
GND
3
AD8138
R3
499 Ω
C29
100nF
1:4
1
2
T1–4T 3
R9
348 Ω
2
R10
615 Ω U4 5
3P3V
T2
C22
100nF
DRY
AV CC
U5
DR_OUT
D13
GND
NC
GND
D5
1
D4
F3
FERRITE
D12
D11
D10
D9
D8
AV CC
GND
AV CC
GND
C1
5VA
GND
5VA
GND
5VA
GND
BNC
BNC
3P3V
GND
D7
D6
DVCC
GND
5VA
GND
15
GND
AV CC
GND
C2
GND
図30
AV CC
+
GND
5VA
REV.0
C10
100nF
C2
10 µF
R43
R42
R41
R40
R39
R38
R36
R45
R46
R47
R48
R49
R50
R51
R44
C11
100nF
C16
100nF
GND 1
100 Ω 2
100 Ω 3
100 Ω 4
100 Ω 5
100 Ω 6
100 Ω 7
100 Ω 8
GND 9
GND 10
GND 1
100 Ω 2
100 Ω 3
100 Ω 4
100 Ω 5
100 Ω 6
100 Ω 7
100 Ω 8
100 Ω 9
GND 10
U7
20
19
20
C12
10nF
C17
10nF
C13
10nF
C18
10nF
74LCX574
Q0
18
Q1
17
D2
Q2
16
Q3
D3
15
D4
Q4
14
D5
Q5
13
D6
Q6
12
D7
Q7
11
GND CLOCK
D0
D1
OUT_EN VCC
U2
GND
3
+V
H1
H2
H3
H4
C20
10nF
1
2
F4
FERRITE
C14
10nF
4
実装用穴
100 Ω
100 Ω
100 Ω
100 Ω
100 Ω
100 Ω
100 Ω
C19
10nF
BUFLAT
3P3VD
R63
R62
R61
R60
R59
R58
R37
NC7SZ32
2
1
U6 5
3P3VD
3P3VD
100 Ω
R65
100 Ω
R52
R53
100 Ω
R54
100 Ω
100 Ω
R55
100 Ω
R56
100 Ω
R57
R64
100 Ω
BUFLAT
BUFLAT
74LCX574
D0
D1
19
Q0
18
Q1
17
D2
Q2
16
D3
Q3
15
D4
Q4
14
D5
Q5
13
D6
Q6
12
D7
Q7
11
GND CLOCK
OUT_EN VCC
J6
C23
100nF
C21
10nF
B05
B04
B03
B02
B01
B00
GND
GND
GND
GND
GND
GND
OVR
GND
B13
B12
B11
B10
B09
B08
B07
B06
GND
C24
100nF
5VA
PCTB2
1
2
20
28
30
27
29
36
38
40
42
44
46
48
50
35
37
39
41
43
45
47
49
C25
100nF
3P3V
C26
100nF
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
GND
3P3VD
HEADR50
34
33
32
26
25
31
24
23
22
18
19
21
16
14
13
17
12
11
15
8
6
10
9
5
7
2
4
3
J2
2
1
1
F2
FERRITE
AD6644
+
AD6644
図31
AD6644ST/PCB上面シルクスクリーン
図32
AD6644ST/PCB上面銅配線
16
REV.0
AD6644
図33
AD6644ST/PCB下面シルクスクリーン
図34
REV.0
AD6644ST/PCB下面銅配線
17
AD6644
図35
図36
AD6644ST/PCBグラウンド層−第2層および第5層(ネガ表示)
AD6644ST/PCB“スプリット”電源層−第3層および第4層(ネガ表示)
18
REV.0
AD6644
外形寸法
サイズはインチと(mm)で示します。
52ピン・プラスチック低背型クワッド・フラットパック
(ST-52)
0.063 (1.60)
MAX
0.472 (12.00) SQ
0.030 (0.75)
0.018 (0.45)
39
27
40
26
実装面
0.394
(10.0)
SQ
上面図
(ピンは下部)
14
52
0.006 (0.15)
0.002 (0.05)
0.057 (1.45)
0.053 (1.35)
REV.0
1
13
0.026 (0.65)
BSC
19
0.015 (0.38)
0.009 (0.22)
PRINTED IN JAPAN
TDS5/2000/2000
AD6644
このデータシートはエコマーク認定の再生紙を使用しています。
20
REV.0