高効率変圧器用アモルファスコアXXX KB

新製品紹介
高効率変圧器用アモルファスコア
Amorphous Core for Energy Efficient Transformer
Amorphous transformer core:AMTC series
変圧器の損失は負荷に依存しない
性電磁鋼板と比較して,その板厚が
および方向性電磁鋼板を用いた単相
待機電力に相当する無負荷損
(鉄損)
約 1/10,硬度が約 3 倍,かつ 1/2 以
モデルコアの鉄損と皮相電力の動作
と負荷の二乗に比例する負荷損
(銅
下の温度で磁場中熱処理が必要であ
磁束密度依存性を示す。これらによ
損)
があり,無負荷損の低減には低鉄
る。このため,アモルファス変圧器の
りアモルファスコア AMTC シリーズ
損の磁性材料を用いる必要がある。
製造には専用のコア製造設備の導入
は方向性電磁鋼板と比較してすべて
日立金属は高効率変圧器のコア用
が必要でアモルファス変圧器普及の
の動作磁束密度で鉄損が小さく,1.5
磁性材料としてアモルファス合金
ための障害のひとつとなっていた。
T より低い動作磁束密度で皮相電
Metglas ® 2605HB1M を製品化して
この課題の解決に向け,日立金属
力が小さいことが分かる。
いる。アモルファス合金をコアに用
はアモルファスコア AMTC シリーズ
アモルファスコア AMTC シリーズ
いるアモルファス変圧器は,方向性
の生産・供給を開始した。図 1 にそ
の供給により,アモルファス変圧器
電磁鋼板をコアに用いた変圧器と比
の外観写真を示す。単相 2 脚,単相
を製造した経験のないメーカーもア
較して無負荷損を約 1/3 に抑えるこ
3 脚,3 相 3 脚,3 相 5 脚コアの生産
モルファス変圧器の製造が容易にな
とが 可能であり,米国,中国,イン
が可能で,2,500 kVA(油入り)
,1,500
り,高効率なアモルファス変圧器の
ド,日本などで採用が進んでいる。
kVA(乾式)の容量まで提供可能で
普及が進むことが期待される。
しかし,アモルファス合金は方向
ある。表 1,図 2,図 3 に 2605HB1M
(高級金属カンパニー)
表 1 Metglas® 2605HB1M と方向性電磁鋼板を用いた単相モデルコ
アの各動作磁束密度における鉄損と皮相電力
Table 1 Core loss and apparatus power for single phase model core
®
based on Metglas 2605HB1M and grain-oriented electrical steel
動作磁束密度(T)
150 mm
図 1 アモルファスコア AMTC シリーズの外観
Fig. 1 Amorphous core AMTC series
Core loss (W/kg)
0.9
1.6
50 Hz
Apparatus power (VA/kg)
1.0
1.0
1.1
1.2
1.3
1.35
1.4
1.45
1.5
1.55
1.6
1.7
0.8
0.7
0.6
方向性電磁鋼板
0.5
0.4
Metglas®2605HB1M
0.3
0.2
0.1
0
1.0
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
1.6
1.7
1.4
®
52
日立金属技報 Vol. 30(2014)
皮相電力(VA/kg)
HB1M 方向性電磁鋼板
0.12
0.36
0.15
0.42
0.19
0.49
0.24
0.58
0.28
0.63
0.35
0.68
0.47
0.74
0.71
0.82
1.29
0.92
1.06
1.87
50 Hz
1.2
1.0
方向性電磁鋼板
0.8
0.6
0.4
0.2
0
1.0
Induction (T)
図 2 Metglas 2605HB1M,方向性電磁鋼板を用いた単相モデル
コアの鉄損と動作磁束密度依存性(日立金属評価)
Fig. 2 Core loss vs. induction for single phase core based on
Metglas ® 2605HB1M and grain-oriented electrical steel
(measured by Hitachi Metals, Ltd.)
鉄損(W/kg)
HB1M 方向性電磁鋼板
0.10
0.27
0.12
0.32
0.14
0.38
0.16
0.45
0.17
0.49
0.19
0.53
0.20
0.57
0.22
0.62
0.25
0.67
0.73
0.87
Metglas®2605HB1M
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
1.6
1.7
Induction (T)
®
図 3 Metglas 2605HB1M,方向性電磁鋼板を用いた単相モデ
ルコアの皮相電力と動作磁束密度依存性(日立金属評価)
Fig. 3 Apparatus power vs. induction for single phase core based
®
on Metglas 2605HB1M and grain-oriented electrical steel
(measured by Hitachi Metals, Ltd.)