新製品紹介 低抵抗型刃先交換式ボールエンドミル Indexable Ball End Mill Ball end mill：Ball Precision F ABPF type (type-SF type-SC type-ST) 大物金型における製品意匠面とな 鋼用の「STタイプ」を開発 ，商品化 い角を設定し，刃先の耐欠損性も高 る 3 次元形状部の刃先交換式ボール した（ 図 1）。 め，低抵抗化を図った（ 図 3） 。 エンドミルでの仕上げ加工は，金型 図 2 に示すように，このボール 本製品は，大物金型で想定される の精度に直結する重要工程である。 エンドミルでは，先端部から外周部 突き出しの長い加工や，高硬度材な つまり，後工程である磨き工程の負 へ連なる円弧状切れ刃の中間部が， ど不安定要素の高い加工において 荷を左右するとともに，その金型で 工具回転方向前方へ，大きく湾曲状 も，びびり（ 工具の振動）を抑える 成形される製品の品質へ大きな影響 （ 凸状）に形成され，強いねじれ刃 を及ぼす。そのため，仕上げ面精度 形状となっている。そのため，被削 図 4 に高硬度材加工における摩耗 が良好で長寿命，なおかつ加工能率 材への食い付きが点接触となり，切 比較を示す。高硬度鋼向けSTタイプ の高い刃先交換式ボールエンドミル 削時の衝撃が緩和できる。 は，耐熱性に優れる材種 ATH80D のニーズは高まっている。 さらに，工具の切削性能を決める で，刃先は安定した摩耗形態を示し， そこで日立ツールは，低抵抗型刃 すくい角について，先端側では切り 長寿命である。さらに，切り屑排出 先交換式ボールエンドミル「F ABPF 屑排出性が良く，切り屑が薄肉とな 性も良いので仕上げ面精度が良好 形」の新しいラインアップとして， るようにすくい角を設定した。また， で，機械加工工程での能率向上と， プレス型用の「SFタイプ」，プラス 外周側では切り屑が厚肉となるの 機械加工後の磨き工程の工数削減に チック型用の「SCタイプ」，高硬度 で，刃先剛性を確保するためのすく 有効である。 （ 日立ツール株式会社） ことができる。 （a） （c） Low helix Tip High helix edge shape Periphery Tool rotatory direction （b） High helix 5 mm 10 mm 図 2 刃先形状の比較 （a）開発品 F ABPF 形（ 強ねじれ刃形インサート）刃先全体 （b）開発品刃先側面 （c）当社従来工具刃先側面 Fig. 2 Comparison of the edge shape (a) developed product F ABPF type (high helix edge shape) (b) side of developed product (c) side of our conventional product 図 1 低抵抗型刃先交換式ボールエンドミル F ABPF形 Fig. 1 Ball Precision F ABPF type [Cutting conditions] 3,000 Work material: S50C (220HB) Dry cutting (air-blow) Tool：ABPF30S32L (diameter = 30 mm) Cutting speed (vc): 200 m/min Feed rate (fz): 0.1, 0.15, 0.2 mm/t Axial depth of cut (ap): 15 mm Radial depth of cut (ae): 0.5 mm Cutting force (N) 2,500 Conventional (For high hardened steel) Conventional (For plastic mold) 2,000 Work material: SLD (59 HRC) Dry cutting (air-blow) Tool: ABPFM30 (diameter = 30 mm) Cutting speed (vc) ＝ 400 m/min Feed rate (fz) = 0.3 mm/tooth Flat milling: Axial depth of cut (ap): 0.3 mm Radial depth of cut (ae): 0.5 mm Side milling: Axial depth of cut (ap): 0.3 mm Radial depth of cut (ae): 0.3 mm Cutting length：650 m F ABPF type-ST F ABPF type-ST (For high hardened steel) 1,500 [Cutting conditions] Flat milling 1,000 F ABPF type-SC (For plastic mold) 500 0.05 0.1 0.15 Feed rate fz (mm/t) 図 3 切削抵抗の測定結果 Fig. 3 Cutting force results 0.2 Side milling Conventional Flank wear VBmax = 0.146 mm VBmax = 0.629 mm 1 mm 1 mm VBmax = 0.077 mm VBmax = 0.337 mm 1 mm 1 mm 0.25 図 4 高硬度材加工における摩耗比較 Fig. 4 Tool wear comparison when cutting high hardened steel 日立金属技報 Vol. 31（2015） 67