新製品紹介 高能率加工用エンドミル High Efficiency End Mill End mill:Epoch Mirus series EMXR・EMXN 日立ツールは高切り込み高送り時 示すように切削中に生じる細かい振 れ,欠損や折損が生じやすい。そこ に生じやすい課題を緩和し,高能率 動と各刃に生じる周期的な振動とが で日立ツールは問題となった傾斜切 加工が可能なエンドミル『エポックミ 互いに共振せず,本来生じる振幅に 削や突っ込み加工時の切り屑は外周 ルス』シリーズを製品化した。 近い値で切削が行われる。振幅が抑 刃側から多く排出されることに着目 一般のエンドミルで高切り込み高 制されたことより高切り込み時に生 した。すなわち,中心部側は刃先剛 送り加工を行った場合,切削抵抗の じやすいビビリ振動が抑制でき長期 性を重視し,ギャッシュは狭く,外 増大だけでなく,いわゆるビビリ振 にわたって品質変動の少ない加工が 周刃側はギャッシュを広く設計した 動も大きくなりやすい難点があっ 期待できる。 2 段ギャッシュ形状を採用すること によって,傾斜切削や突っ込み加工 た。この対策として『エポックミル さらにさまざまな加工に対して高 ス』は切り屑を細断し,切削抵抗を 能率加工ができるように,突っ込み 抑制できる波形状外周刃(タイプ R) 加工や傾斜切削ができるようにし 『エポックミルス』の採用例によ とチップブレーカー付き外周刃(タ た。一般のエンドミルで傾斜切削や れば図 3 に示す加工要領で 3 次元 イプ N) の 2 タイプを採用した (図 1) 。 突っ込み加工を行うと底刃のチップ 形状を加工した場合,一般ボールエ ビビリ振動を抑制するために,外周 ポケット(ギャッシュ)が狭く切り ンドミルによる等高線加工のおよそ 刃は各刃で位相を変化させるアンイ 屑詰まりにより折損しやすい。切り 8 分の 1 の時間で加工を完了するこ コールフェーズを採用し,各刃ごと 屑排出性を考慮し,ギャッシュを大 とができた。(表 1) の切削量を不均等にした。図 2 に きく設計すると切れ刃の剛性が失わ でも安定加工が可能となった。 (日立ツール株式会社) −1250.00 −1250.00 タイプ R −1300.00 −1350.00 1刃送り −1400.00 振幅 185.31 N −1450.00 タイプ N −1400.00 −1500.00 −1550.00 −1550.00 図1 エポックミルスシリーズ タイプ R とタイプ N Fig. 1 Epoch Mirus Series Type R & Type N 1.44 1.45 1.46 被共振時の −1450.00 −1500.00 −1600.00 1.42 1.43 1刃送り −1350.00 (N) (N) −1300.00 −1600.00 1.42 1.47 振幅値 振幅 280.71 N 1.43 (秒) 1.44 1.45 1.46 1.47 (秒) (a)Anequal phase type (b)Current type(equal phase) 図2 切削抵抗波形(a )アンイコールフェーズ:各刃の振動に共振 は見られない(b )均等位相品(共振して大振幅化) Fig. 2 Cutting-resistance of (a) anequal-phase- type and (b) currenttype tool:as a result,resonated wave was not observed on (a), though observed on (b) MIRUS 対ボールエンドミル 表 1 切削事例 Table 1 Cutting data エポックミルスタイプR 工具名称 被削剤 :S50C 機械主軸:HSK-A63 ワーク :100mm×100mm×80mm サイズ 使用工具:φ8 Mirus 加工工程 ボールエンドミル 加工工程 図3 加工形状と加工要領 Fig. 3 Work shape and process 56 日立金属技報 Vol. 27(2011) ボールエンドミル φ8 mm φ8 mm 工程 1.等高線加工 2.往復倣い加工 等高線加工 回転数 8,000 min−1 8,000 min−1 12,000 min−1 工具径 送り速度 φ8 mm(R4) 4,200 mm/min 4,200 mm/min 3,500 mm/min Z切り込み 8 mm − 0.8 mm XY切り込み 4 mm 3 mm 2.4 mm 5 min 5 min 加工時間 10 min 80 min