第14章 品質管理、環境への対応

品質管理、環境への対応
第 14
章
1 品質管理
1-1 品質管理体制
1-2 製品の信頼性
1-3 安全にお使いいただくために
2 環境への対応
章
14
品質管理、環境への対応
327
品質管理、環境への対応
1.
品質管理
[図1-1] 品質保証体系図
浜松ホトニクスの光半導体製品は、
医療・計測・産業・自
動車・情報・民生機器から学術研究まで幅広い分野で利
用されています。応用分野の拡大に伴い、製品の品質・信
頼性に対する要求も高度化しています。
このような市場か
らの要求に応えるために、
当社では品質改善活動に積極
的に取り組んでいます。
1-1
品質管理体制
品質方針
浜松ホトニクス固体事業部は、
「光半導体素子専業メー
カーとしての責任を自覚し、
お客様の期待する製品を供給
できる品質管理体制を確立し、産業と科学の発展に貢献
する」
を方針とし、
より良く、
より安く、
より速く、
地球に優しい
製品を世の中に供給し、
お客様に満足していただけるよう
努めています。
品質標準化
章
14
固体事業部では、ISO9001の品質マネジメントシステム
品質管理、環境への対応
を導入し、品質の標準化を図っています。基本となる要求
KOTHC032JC
事項を
「品質マニュアル」
に定め、
設計・材料・製造・検査・
出荷・設備管理のためのルールを
「要領・基準書」
にて文
書化し、
一貫した品質保証体制を確立しています。
設計、開発
図1-1に品質保証体系図を示します。
お客様および市場からの要求に基づき、新製品や特注
品の機能・信頼性・コストなどについて、製造実現の可能
性を検討します。
(1)設計開発へのインプット
お客様や市場の要求を確認し、機能・性能や適用され
る法規制などを整理し、
文書化します。
(2)設計開発からのアウトプット
設計者は、
インプットで与えられた要求事項や購買・製
328
1. 品質管理
造に関する適切な情報、安全・環境面に関する要求事項
査・製品検査を実施しています。検査の項目・方法・判定
を整理し、
アウトプット文書を作成します。
基準は、製品の仕様書に定めています。破壊試験やロット
評価は、
抜き取り検査を適用しています。
(3)設計審査
光半導体製品では、受光/発光面の汚れに対する管
設計開発からのアウトプットが、
設計開発へのインプット
理も重要です。梱包時には、振動・衝撃・温湿度・静電気
を満たせるかを審査します。
対策に加えて、受光/発光面が汚れないような梱包材質
や方法を採用しています。
(4)設計開発の検証
設計開発からのアウトプットが、
設計開発へのインプット
の要求事項を確実に満たすための検証を行います。製品
開発の試作段階に行います。
表1-1にQC工程図の例を示します。
工程が安定しているか、管理状態にあるかどうかを把握
するため管理図などによる統計的工程管理 (SPC)や工程
能力の評価を実施しています。管理図が異常な傾向を示し
(5)設計開発の妥当性確認
たり、工程能力が不十分な場合には原因を調査し、
フィード
製品がその用途に応じた要求事項を確実に満たすた
バックすることで工程の維持・改善を図っています。
めに、信頼性試験などを含めて、設計開発の妥当性を確
工程異常の処理
認します。
製品開発の量産段階に行います。
(6)製品認定
工程異常時の処理体系図を図1-2に示します。
設計 (製品の仕様書など)や工程 (製造、検査)、製品
(信頼性)、
購買 (外注、
仕入先)に関する会議を開催し、
製
[図1-2] 異常処理体系図
品の認定を行います。
工程管理
設計で意図した品質・信頼性を実現するために、QC工
程図・作業標準をもとに製造工程を管理します。光半導
体素子では、
前工程 (ウエハ処理)として、
酸化・フォトワー
ク・イオン注入・拡散・電極形成・エッチングなど、後工程
(組立)では、
ダイシング・ダイボンド・ワイヤボンド・封止が
主な製造プロセスです。
製品の仕様が満たされていることを検証するために、
製品の電気的/光学的特性および外観について工程検
KOTHB0029JA
[表1-1] QC工程図の例 (一部)
管理項目
章
工程
14
管理要領
適用文書
図記号
作業名
1
1-1
材料受入
ウエハ
1-2
リードフレーム
4-2
モールド樹脂
1-3
装置/条件・項目
測定器・見本
検査対象
記録
比抵抗、厚さ
外観
確認
目視
全数
全ウエハ
受入検査表
購入仕様書
作業手順書
寸法
外観
メッキ厚
工場顕微鏡
目視
膜厚計
1フレーム/ロット
1フレーム/ロット
3フレーム/ロット
受入検査表
検査手順書
特性
確認
購入時
確認
毎回
目視
全ウエハ
膜厚計
1ウエハ/ロット
確認
毎回
顕微鏡
顕微鏡
3ウエハ/キャリア
3ウエハ/キャリア
品質管理、環境への対応
番号
購入仕様書
4-4
2
2-1
2-2
ウエハ処理
酸化
酸化炉
温度、時間
ウエハ外観1
色、均一性
ウエハ外観2
酸化膜厚
フォトワーク フォトマスク
ウエハ外観3
パターン状態
精度、欠陥
ランシート
作業日誌
ランシート
作業日誌
作業手順書
ウエハプロセス
製造仕様書
作業手順書
ウエハプロセス
製造仕様書
329
製造工程において、設定した管理水準を超える不良、
光半導体製品の製造に使用する半導体ウエハ・電極
製品の品質に悪影響を及ぼす恐れのある異常が発生し
材料・薬品・ガスなどは高純度で高品質であることが要求
た場合には、直ちに異常ロットを識別し、他の仕掛品と区
され、
パッケージに使用するメタル材・セラミック材・プリント
別するとともに、原因の調査を行い処置を決定します。処
基板・成形樹脂などは高精度と高品質が要求されます。
こ
置の効果の確認とともに、
再発防止を確実に行います。
のような購買品について、
個別に厳正な審査を行い、
材料
登録を行った上で製品に使用しています。
設備・作業環境の管理
また、
購買品の要求仕様に基づいた受け入れ検査を実
施して購買品の品質確認を行っています。受け入れ後の
光半導体製品の品質・信頼性は、製造工程の作業環
購買品は、
設計が指定した保管条件に従って適切に管理
境によって大きく左右され、特に清浄度・温度・湿度には
された場所に保管し、購買品の品質の維持管理を行って
厳密な管理が要求されます。光半導体製品の製造は清
います。
浄度が管理されたクリーンルームで行います。
クリーンルー
ムには管理基準を設けて、清浄度・入退室の方法・服装・
[図1-3] 購買管理体系図
持ち込み品・作業方法などを厳密に定め、
清浄度の維持・
管理を行っています。
微細化やパッケージの多様化から静
電気放電 (ESD: Electro-Static Discharge)による損傷が
問題になるため、
静電気対策を実施しています。
静電気管
理対象品を取り扱う部署は、
静電気管理基準に従い静電
気管理区域を定め、設備・作業環境の管理方法、作業者
の服装、
取り扱い方法などの教育を行っています。
生産設備について、
改善や拡充の際の検証ならびに保
全管理を行っています。設備の始業点検・定期点検など
の具体的な方法を定めて予防保全を行い、品質トラブル
の防止と生産の安定化に努めています。
製品の識別とトレーサビリティ
お客様に納入された個々の製品から製造ロットや材料
ロットを特定するトレーサビリティを確保するため、各工程
の記録帳票類には使用材料や装置、製品情報の記入欄
を設け、
確実に製造履歴として残し保管しています。
必要な場合、以下の例のように製品に型名、製造年月、
製造シリアル番号などを表示しています。
章
14
品質管理、環境への対応
330
・例
S1234 3A 001
シリアル番号
製造月 (アルファベット順 1月…A、2月…B、12月…L)
製造年 (西暦年号の末尾)
型名
KOTHC0039JC
計測管理
購買品の管理
製品の検査を的確に行うために、計測装置の精度を確
製品品質に大きな影響を与える購買品の管理について
保する仕組み (トレーサビリティ)を実施しています。
計測装
は、仕入先と購買品の両方を審査登録する仕組みになっ
置の校正を行うための校正装置は、計測機器メーカーや
ています。
民間検査機関、
あるいは当社製品管理統括部の標準器に
仕入先については、
品質システム・環境システムおよびグ
よって国家基準にトレースされています。
また検査装置・基
リーン調達対応・事業継続能力などを審査し、基準を満た
準素子は、計測装置からトレースしています。
さらに、計測
した仕入先を登録し、購買・品質管理・設計部署が中心と
装置・検査装置の精度の低下や故障を検出・予防するた
なって、
新規および定期の仕入先監査を実施しています。
めに、
校正に加えて定期点検・始業点検を行っています。
1. 品質管理
[図1-4] 計測装置のトレーサビリティ
変更管理
品質・機能・信頼性・生産性の向上を目的として設計・
購買品・製造方法・設備などの変更を行います。
まず変更
計画書を作成して、変更の準備から完了までの業務計画
を明確にし、品質管理を含めた関係部署による変更会議
において計画の決定をします。最終的には、品質や信頼
性および生産性などへの影響を評価した上で変更を決定
します。
お客様への事前確認が必要な変更については、
変更前にお客様の承認を得てから実施します。
また、
必要
KOTHB0033JB
に応じて初期流動管理を実施し、変更による影響の最終
確認を行います。
[図1-5] 計測装置の点検の例 (フォトダイオード用)
[図1-7] 変更管理体系図
計測装置 (ソースメータ)
標準器 (キャリブレータ)
→
校正
定期点検
自社製検査装置
(フォトダイオード測定器)
基準素子
(フォトダイオード)
→
←
始業点検
[図1-6] 校正装置の校正証明書の例
章
KOTHC0026JB
14
品質管理、環境への対応
クレーム対応
お客様からのクレームは、
苦情処理体系に基づき、
迅速
に対応するよう努めています。
クレームの内容を確認し、原因の調査を行います。調査
結果は、
お客様に報告するとともに、設計・工程へフィード
バックし再発防止の対策を実施します。調査結果に基づ
き品質管理システムの見直しが必要と判断された場合に
は、
是正処置を行いその効果を確認します。
331
[図1-8] 苦情処理体系図
(2)光半導体製品の故障領域
光半導体製品の故障領域は、初期故障、偶発故障、磨
耗故障の3つの領域に分類されます。
それぞれの故障率の
時間推移を示した曲線はバスタブカーブと呼ばれます。
[図1-9] バスタブカーブの例
KOTHB0013JA
・初期故障
初期故障は、使用開始後の比較的早い時期に、設計・
製造上の欠点、使用環境の不適合などによって起こる故
障です。時間の経過とともに初期故障の故障率は減少し
ます。
出荷前にスクリーニング検査を行うことによって、初
KOTHC0028JC
期故障のあるデバイスを取り除いて、
市場における初期故
障率を改善することが可能です。
教育・訓練
固体事業部では、製品品質の維持・向上および従業員
のレベルアップの積極的推進を目的とした教育・訓練を
行っています。定期的に要員の力量を見直し、必要に応じ
た教育・訓練を計画し実施しています。
また、資格認定が
必要な業務を明確にし、
その業務に適合した従事者を認
章
14
定する制度を設けています。
教育の種類は新入社員教育・部門内教育・安全衛生
品質管理、環境への対応
教育など多岐にわたり、社外での情報収集も積極的に行
うなど、
知識や技術のレベルアップに努めています。
1-2
製品の信頼性
信頼性
(1)信頼性の定義
332
・偶発故障
偶発故障は、
初期故障の期間の後、
磨耗故障の期間の
前に偶発的に起こる故障です。散発的に故障が発生し、
故障率はほぼ一定になりますがゼロにはなりません。
・磨耗故障
磨耗故障は、疲労・磨耗・劣化現象などによって、時間
の経過とともに発生確率が増加する故障です。光半導体
製品の磨耗故障の例としては、エレクトロマイグレーショ
ン、温度変化の繰り返しによるワイヤ断線、紫外線やX線
照射による感度劣化などがあります。
(3) 信頼性試験
製品が所定の信頼性を満たしていることを確認するた
めに信頼性試験を実施します。製品認定時に行う信頼性
試験では、
想定される使用環境/期間において磨耗故障
が発生しないことを確認するために、長時間のストレス印
加を行います。信頼性試験は、構造的に類似した製品群
信頼性とは
「アイテムが与えられた条件の下で、与えら
ごとに代表製品を選定して行います。必要に応じて、個別
れた期間、要求機能を遂行できる能力」
とJIS信頼性用語
に試験も行います。一部の量産品については、開発段階
では定義されています。
当社では、
「保証期間 (またはそれ
に設定した品質が量産以降も維持されていることを確認
以上の期間)にお客様の使用環境の下で稼動に耐えうるこ
するため、年に一度、量産品からサンプルを抜き取り、定
と」
と考えています。
期信頼性試験を行って品質を確認しています。信頼性試
1. 品質管理
(4) 寿命予測
験の方法は、
JIS・JEITA・IEC・MIL規格などに準拠してい
ますが、光通信用デバイスはTelcordia GR-468規格に準
信頼性試験によって得られた磨耗故障データについ
拠するなど、
用途に合わせた試験も実施しています。
また、
車載用デバイスをはじめとした製品では、
お客様の要求を
取り入れた試験も実施しています。
て、時間経過における累積故障率を対数正規分布やワイ
ブル分布を用いて解析し、
信頼性試験の加速係数を掛け
合わせることによって、
特定の磨耗故障に至る活性化エネ
表1-2に信頼性試験の代表例を示します。
ルギーを算出したり、
基準となる累積故障率に達する時間
(磨耗故障寿命)を予測することができます。
[表1-2] 信頼性試験の例
試験名
寿命試験
試験条件例
高温保存
最高保存温度 Tstg max., 1000時間
EIAJ ED-4701/200 201
低温保存
最低保存温度 Tstg min., 1000時間
EIAJ ED-4701/200 202
高温高湿保存
85 ℃, 85%, 1000時間
EIAJ ED-4701/100 103
高温動作
最高動作温度 Topr max., 動作条件: 個別仕様による,
試験時間: 1000時間
EIAJ ED-4701/100 101
低温動作
最低動作温度 Topr min., 動作条件: 個別仕様による,
試験時間: 1000時間
EIAJ ED-4701/100 101
高温高湿動作
85 ℃, 85%, 動作条件: 個別仕様による, 試験時間:
1000時間
EIAJ ED-4701/100 102
不飽和蒸気加圧
120 ℃, 85%, 170 kPa, 96時間
EIAJ ED-4701/100 103
温度サイクル
最高保存温度 Tstg max., 30分, 最低保存温度 Tstg
min., 30分, 100サイクル
EIAJ ED-4701/100 105
X線照射
出力管電圧: 100 kV, 100万レントゲン
-
Hg光
253.7 nm, 1000時間
D2光
200 nm∼400 nm, 1000時間
引っ張り
荷重をかけて10秒保持
ねじり
リードを90°
曲げて回転
曲げ
荷重をつり下げ90°
曲げて戻す
紫外線照射
端子強度
-
振動
100 Hz∼2000 Hz, 加速度: 200 m/s2
掃引時間 (100 Hz∼2000 Hz∼100 Hz): 4分間
掃引の方向: X/Y/Z方向を各4回
EIAJ ED-4701/400 403
衝撃
最高加速度: 15000 m/s2, パルス幅: 0.5 ms
衝撃の方向: X1/(X2)/Y1/Y2/Z1/(Z2)の4方向を各3回
EIAJ ED-4701/400 404
水蒸気, 4時間
Pbフリー
手はんだ: 245 ℃, 2秒, リフロー: 225 ℃以上 (235
℃ピーク), 20秒
表面実装型以外
260 ℃, 10秒
表面実装型
前処理: JEDEC Level 5a (30 ℃, 60%, 48時間)∼
Level 1 (85 ℃, 85%, 168時間)
14
品質管理、環境への対応
加速エージング
はんだ付け性
はんだ耐熱性
その他
EIAJ ED-4701/400 401
章
強度試験
試験規格
JIS C60068-2-58
JIS C60068-2-58
Pbフリー: はんだ加熱処理 3回, 235 ℃以上 (240℃
ピーク), 10秒
静電破壊
C=100 pF, R=1.5 kΩ, 印加電圧: ±1 kV, 回数: 1回
EIAJ ED-4701/300 304
熱衝撃
100 ℃∼0 ℃, 10回
EIAJ ED-4701/300 307
輸送温度サイクル
-40 ℃∼+70 ℃, 5回
JIS C60721-3-2
耐溶剤性
溶剤の種類: イソプロピルアルコール, 浸漬時間: 5分,
ラビング: 5往復
EIAJ ED-4701/500 501
注) 個別製品の信頼性試験については、お問い合わせください。
333
[図1-10] ワイブルプロットによる故障率予測
② 断面観察: TSVの絶縁膜にクラックを確認
(電子顕微鏡; クロスセクションポリッシャ)
クラック
クラック
→フィードバック: 絶縁膜改質、
構造改善
(2) IC短絡
① 裏面観察: IR-OBIRCH顕微鏡で異常信号を確認
KOTHB0014JA
故障解析
故障解析とは、製造工程・市場などで発生した故障の
調査により、故障の原因および故障に至ったメカニズムを
究明することです。
この活動によって明らかにされたこと
は、
設計および製造にフィードバックされ、
同じ故障が発生
② 表面観察 (膜剝離後): 光学顕微鏡で異常信号部に
異物を確認
することを防いでいます。
[図1-11] 一般的な故障解析フロー
③ 断面観察: 電極間に異物を発見
(集束イオンビーム; 元素分析により異物から
Fe・Crを検出)
章
14
品質管理、環境への対応
334
KOTHC0066JA
→フィードバック: パーティクル管理の徹底、検査方法の強化
故障解析例
(1) 端子間リーク
① 側面観察: IR-OBIRCH顕微鏡で反応箇所確認
1. 品質管理
1-3
安全にお使いいただくために
取扱上の不具合事例
(1) 外力による不具合事例
① メタル配線の損傷
取扱上の注意
ベアチップ上のメタル配線が、
機械的接触により損傷し
製品を保管・使用する際には、納入仕様書に記載され
た事例。
ている保管/使用条件を順守していただく必要がありま
す。保管/使用条件を満たさない場合には、
リードの酸化
や汚れ、
パッケージの吸湿による問題などが発生する可能
性があります。
当社製品をお客様の製品で使用される場
合は、
必ず納入仕様書の締結をしていただくようにお願い
します。
製品によっては、一般的な取扱上の注意に加えて製品
固有の注意事項が存在する場合があります。製品に添付
② センサのパッケージの損傷
放熱器とのカップリングが不適切な場合 (グリスの粘
された取扱説明書に詳細が記載されているため、必ずお
度・均一性、
ネジの締め方が強すぎるなど)、
センサの放
読みください。
熱部に過大な負荷が加わり、
セラミック部と放熱部の接
光半導体製品の取扱上の注意の一例を表1-3に示します。
着部が破断した事例。
セラミック部
放熱部
[表1-3] 取扱上の注意の例
タイプ
取扱上の注意
製品例
製品に埃・汚れ・傷が付くと電気的特性および光学的特性が悪化する場合がある。製品を取り
扱う場合、清浄な場所で作業を行う、窓材には強い摩擦を加えない、
ピンセットや手袋を使うと
いった点に留意する。
特に高温・高湿環境では常温・常湿環境に比べて製品の劣化が加速する。不必要な高温・高湿
環境における保管・使用は避ける。
標準型Siフォトダイオード
フォトIC
メタル・セラミック・
プラスチック
パッケージ製品
保管条件
未開封品: 温度 15 ℃∼35 ℃, 湿度 45%∼75%, 3ヵ月以内
開封済品:温度 15 ℃∼35 ℃、湿度 5%未満、20日以内
チップ出荷品
開封・実装はクリーンルーム (クラス 10000以内)で行う。
チップの物理的損傷・汚染に留意し、取り扱いには細心の注意を払う。
お客様の実装方法とパッケージング材による信頼性への影響について、評価を行い確認する。
章
ベアチップ
14
窓なし製品
電子冷却素子やサーミスタへの誤配線は破損の原因となるので注意する。定格以上の電流・
電力で使用しない。
冷却の際は十分な放熱能力をもった放熱器を使用する。素子と放熱器の間の熱抵抗は、
でき
るだけ小さくする (放熱シートやシリコングリスを使用)。
電子冷却素子内蔵製品
導電マットを使用する、装置を接地するなど、作業場および設備について想定される障害の程
度に応じた対策を行う。
製品を取り扱う場合、
イオナイザによる除電、接地したリストストラップの着用など、想定される
障害の程度に応じた対策を行う。
化合物光半導体
イメージセンサ
長時間にわたる紫外線・X線の照射によって製品の特性は劣化 (暗電流の増加、感度の劣化など)
するため、不必要な紫外線・X線の照射は避ける。
放射線検出素子
X線イメージセンサ
フラットパネルセンサ
品質管理、環境への対応
保管条件
未開封品: 温度 15 ℃∼35 ℃, 湿度 45%∼75%, 3ヵ月以内
開封済品: 温度 15 ℃∼35 ℃, 低湿度デシケータに保管 (結露させないこと), 3ヵ月以内
開封・実装はクリーンルーム (クラス 10000以内)で行う。
チップの物理的損傷・汚染に留意し、取り扱いには細心の注意を払う。
ワイヤ部へ接触しない。汚れの除去は基本的にエアブローを使う。
封止やシンチレータ接着を行う場合、汚染や結露に注意する。
はんだ付けを行う場合、
こて先温度、
はんだ時間、
フラックスの飛散に注意する。
未封止品
電子冷却型
静電気対策品
紫外線・X線
計測用
335
③ 外力によるチップクラック
③ エネルギーの高い紫外線による感度低下
チップ上のシンチレータに強い外力が加わり、
チップク
KrFエキシマレーザが照射されたことにより、
ショットキ
ラックが発生した事例。
膜が損傷し、
照射エリアの感度低下が発生した事例。
④ イメージセンサのシンチレータの損傷
[図1-11] 感度均一性 (ショットキ型フォトダイオード)
チップ上のシンチレータの表面に治具などが接触して
傷つけ、
取得画像にも影響した事例。
シンチレータの損傷
取得画像
⑤ ケーブル付センサのケーブル断線
長期間の使用と繰り返し屈曲により、
ケーブルが断線し
た事例。
KGPDB0081JA
囲み部分のX線写真
(2) 環境による不具合事例
① 吸湿による樹脂剝離
はんだ付け時に、パッケージ樹脂の吸湿によるチップ
表面の樹脂はがれと、それに伴う受光部表面の反射
章
14
率の増加により感度低下が発生した事例。
品質管理、環境への対応
② パッケージの表面の汚れによる感度低下
ボイラーの炎検出用の受光素子で、パッケージ表面にス
スが付着し、光の透過率が下がり感度が低下した事例。
336
1. 品質管理 2. 環境への対応
2.
環境への対応
緊急時の対応訓練
固体事業部では事故や災害時の対応マニュアルなど
環境理念
を整備し、
各部署の業務内容に応じた緊急時の対応訓練
を定期的に行っています。
浜松ホトニクス固体事業部は、地球環境との調和が人
類にとって重要な課題の一つとして認識し、光技術の研
事業活動と環境負荷
究・応用・普及を通して新しいサイエンス、
新しい産業の創
出、および人類の真の健康を目指し、地球環境の保全に
事業活動による環境負荷を把握し、温室効果ガスや排
配慮して行動します。
水、廃棄物などの環境負荷低減に向けた取り組みを推進
しています。
環境方針
製品における環境への取り組み
固体事業部では、以下の環境方針に沿って、環境活動
を実施しています。
① 地球環境の保全活動を推進するため、事業部の環境
保全組織を整備して、環境マネジメントシステムを確立
する。
② 事業活動および製品が環境に与える影響を把握して、
製品の小型化や省電力化、長寿命化や省エネルギー
化など、利用用途に応じた環境負荷の低減に取り組んで
います。
(1)環境貢献製品
大気・水質といった環境計測や環境管理物質の含有
環境目的・環境目標を設定し、環境監査による環境保全
分析および身近な電気機器の省エネルギー化などに貢献
活動の見直し、
および環境管理の継続的な改善を図る。
する製品を製造しています。
③ 環境関連法規制および個別に取り決めた事項を順守
するとともに、必要に応じ自主基準を設定し、環境負荷
の低減に取り組む。
④ 環境汚染の予防、省エネルギー、省資源、廃棄物の削
減、
化学物質の適正管理に取り組む。
⑤ 環境に関する教育・社内広報活動により、全従業員の
例: 赤外線検出素子
赤外線検出素子は、
ガス特有の吸光ピークを測定し、
ガ
スの種類や濃度を測定する際に使用されます。温室効果
ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)に当社製品が搭載
されています。
環境方針の理解と、
環境意識の向上を図る。
[図2-1] 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」
環境管理の標準化
固体事業部は、
ISO14001環境マネジメントシステムを導
入し、環境経営や環境リスクの低減などの継続的改善に
章
14
取り組んでいます。
品質管理、環境への対応
環境監査
環境マネジメントシステムの適切な運用を図るため、外
部認証機関による外部審査および固体事業部による内部
監査を定期的に実施し、
システムの維持向上に努めてい
[図2-2] 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」に搭載された赤外線検出素子
ます。
(a) InGaAs PINフォトダイオード
(b) InGaAsリニアイメージセンサ
環境リスク低減への取り組み
固体事業部では大気・水質・騒音などの生活環境への
負荷を考慮した継続的改善を行い、
環境汚染の防止に努
めています。
337
(2)環境配慮型製品
(2)ハイリスク材料の管理
当社は地球環境保全や環境負荷低減を行う中で、製品
管理物質が含有されている可能性がある材料をハイリ
自体の環境対策を行い新製品・新技術の開発を推進し環
スク材として定め、
蛍光X線分析装置を用いた受け入れ検
境配慮型製品の拡販に努めています。
査を実施しています。
例: CCDエリアイメージセンサ S12071
CCDエリアイメージセンサ S12071は、
ノイズとなる暗電
流を従来品の1/20に抑制することで、従来品に比べ内蔵
電子冷却素子の冷却温度を上げることが可能になり、消
費電力を1/7に低減することができました。
また、
新たなパッ
ケージング技術の採用で、気密性および耐湿信頼性を大
幅に向上させ、
製品の長寿命化を図りました。
[図2-3] CCDエリアイメージセンサ S12071
グリーン調達
固体事業部では、
製品に関する環境法規制を順守し環
境負荷を最小限にするため、
グリーン調達指針および化
学物質管理基準を定めて環境負荷の小さい材料を優先
的に調達する活動を推進しています。
地球環境の保全に向けて
固体事業部では、地球環境保全のための環境活動を
行っています。
(1)化学物質使用量の管理
化学物質の適切な管理が行われない場合、環境汚染を
引き起こし、人の健康や生態系に悪影響を及ぼす恐れが
あります。固体事業部では、化学物質の大気や水域への排
出量や廃棄物などの移動量を的確に把握し、管理を強化
[図2-4] 内蔵電子冷却素子の消費電力
しています。
例
・ PRTR法対象化学物質の使用量管理
・ SDS情報の収集と社内公開
・ VOC排出量削減への取り組み
(2)廃棄物の削減、
分別リサイクル
固体事業部では、環境負荷低減や資源の有効活用の
観点から3R (リデュース、
リユース、
リサイクル)の推進と適
正処理を基本方針とし、
ゼロエミッションを掲げて活動を
推進しています。
また、社内で発生した廃棄物の分別徹
章
14
KMPDB0396JA
品質管理、環境への対応
データベース」
を構築・運用しています。
製品含有化学物質規制への対応
(3)省エネ、CO2排出量削減
浜松ホトニクスでは、製品含有化学物質管理のための
固体事業部では企業活動で使用するエネルギーを売
「環境管理物質運用基準」
を定め、欧州連合のRoHS指
上高原単位で前期比 1%以上削減することを掲げて省エ
令をはじめとする製品含有化学物質に関する規制順守に
ネ活動を展開しています。
また、製造工程において使用す
取り組んでいます。
る非エネルギー起源CO2などの温室効果ガスの削減も推
(1)RoHS規制管理物質
RoHS指令に定める6物質 (鉛、水銀、
カドミウム、六価クロ
ム、
ポリ臭化ビフェニール、
ポリ臭化ジフェニルエーテル)を
はじめとするIEC62474に定める物質の含有量を製品ごと
に管理しています。
また、各製品のRoHS指令への適否の判定は、見積もりの
段階で明確化するように見積書に表示しています。
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底を図るため、社内イントラネットを活用した
「廃棄物分別
進し、
地球温暖化防止へ積極的に取り組んでいます。