SM3320A 光センサ IC Application Note 1. 概要 紙幣等の印刷物に複数の波長の光を順次照射し、その反射光または透過光を検出してイメージを得る システムに SM3320 を使い、受光部を構成する方法を紹介します。 2. SM3320 の特長 SM3320 は、以下の素子を内蔵した光センサ IC です。少ない外付け部品でセンサモジュールを構成す ることができます。 ・ 波長対感度特性が滑らかなフォトダイオード(以下 PD と表記) ・ 蓄積時間制御部を内蔵した電荷蓄積型 IV 変換器 ・ 利得を可変できるポストアンプ ・ アナログ出力マルチプレクサ Postamplifier Preamplifier Multiplexer OUT Charge Storage type Variable Gain VDD GND OE SE DATA CLK A1 Serial Interface A0 REF Reference Voltage Source A2 Photodiode 図 1. SM3320 機能ブロック図 SEIKO NPC CORPORATION - 1 SM3320A 3. イメージセンシング 3.1. システム概要 光センサ ( 反射光測定) LED 紙幣 光センサ ( 透過光測定) 紙搬送機構 図 2. イメージセンシング概要 SM3320 は、図 2 のように光源および光センサならびに紙搬送装置で構成される紙幣認証等のイメー ジセンシングシステムを構成するために作られた IC です。高インピーダンスの PD とプリアンプが同一 チップに入っている為、ノイズを拾いにくく、クリアな画像を得ることができます。また、シリアルイ ンターフェースや出力マルチプレクサを内蔵している為、マルチスポットセンサを少ない外付け部品で 構成することができます。 3.2. 検出方法 SM3320 は、広い範囲の波長の光を検出することができます。その反面、SM3320 単体では色(波長)の識 別はできません。そこで、単色の光源で対象物に光を照射し、その反射光や透過光を検出する方法をと ります。照射する光の波長を変えることにより、各色ごとのイメージデータを得ることができます。 PD分光感度特性 0.6 受光感度[A/W] 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 300 400 500 600 700 800 波長[nm] 900 1000 1100 1200 図 3. 分光特性 SEIKO NPC CORPORATION - 2 SM3320A 光源とセンサを一組にして使うことができます。図 4 では透過光の検出の例を示していますが、図 5 のように LED と同じ側に置くと反射光の検出ができます。また、図 6 のように導光板を使ってエッジラ イト方式で照射する方法もあります。 light3 light2 light1 light3 light2 light1 light3 light2 light1 light3 light2 light1 LED 紙幣 SM3320 To A/D Converter 図 4. 個別照射(透過光検出) SM3320 SM3320 LED LED SM3320 LED SM3320 LED To A/D Converter light3 light2 light1 light3 light2 light1 light3 light2 light1 light3 light2 light1 紙幣 図 5. 個別照射(反射光検出) light3 light3 LED エッジライト方式導光板 light2 LED light2 light1 紙幣 light1 SM3320 To A/D Converter 図 6. エッジライト方式 SEIKO NPC CORPORATION - 3 SM3320A 3.3. 受光モジュール構成 複数のセンサを使う時の制御方法を紹介します。SM3320 の A0,A1,A2 端子を VDD または VSS に接続し、 各 IC に個別のアドレスを与えます。接続される IC のアドレスは全て別個のアドレスでなくてはなりま せん。1 つのモジュールで最大 8 個まで IC を接続することができます。 OE,SE,DATA,CLK 端子には、CPU から同一の信号を与えます。OUT 端子も全て共通に接続して AD コンバ ータ(ADC)に接続します。 CPU から SM3320 に指示を与える際に、アドレスデータと設定データを一緒に送り、アドレスの一致し た IC だけが指示された機能を実行します。 REF A0 A1 A2 OUT REF A0 A1 A2 OUT REF A0 A1 A2 OUT REF A0 A1 A2 OUT Address "0" Address "1" Address "2" Address "3" DATA OE CLK SE DATA OE CLK SE DATA OE CLK SE Address "6" Address "7" REF A0 A1 A2 OUT REF A0 A1 A2 OUT REF A0 A1 A2 OUT DATA OE CLK SE Address "5" REF A0 A1 A2 OUT DATA OE CLK SE DATA OE CLK SE DATA OE CLK SE DATA OE CLK SE Address "4" ADC CPU 図 7. 受光モジュール結線図例 3.4. 制御のしくみ SM3320 はシリアルインターフェースを使い制御を行います。シリアルインターフェースにより以下の 動作を行います。 ① プリアンプ・トランスインピーダンス選択、ポストアンプゲイン設定(レジスタ書込み) ② 選択されたトランスインピーダンス、ゲインデータ読出し(データ読出し) ③ 指定された IC のアナログ信号出力(OUT 端子) シリアルデータは、R/W ビット、アドレスデータ、設定データ(プリアンプ・トランスインピーダンスお よびポストアンプゲイン)で構成され、アドレスデータが一致した IC だけが指定された機能を実行します。 SEIKO NPC CORPORATION - 4 SM3320A 3.5. シリアルデータ構成 3.5.1. トランスインピーダンス・ポストアンプゲイン設定 16 ビット構成です。MSB ファーストで入力します。OE 端子“L”または“OPEN“の時、この構成に なります。 表1 MSB LSB アドレス don’t care 0:W アドレス R/W A2 A1 データ A0 NC NC NC NC プリアンプトランス ポストアンプ インピーダンス ゲイン 帰還容量 変換時間 CS1 CS0 TS1 TS0 GS3 GS2 GS1 GS0 帰還容量:プリアンプ電荷蓄積部の蓄積容量のこと MSB の R/W ビットを“0”にすると、アドレスが一致した IC にトランスインピーダンス、ポストア ンプゲインが書込まれます。トランスインピーダンスおよびポストアンプゲインの説明は 5 章で行いま す。 3.5.2. トランスインピーダンス・ゲイン読込 表2 MSB LSB アドレス don’t care 1:R アドレス R/W A2 A1 データ A0 NC NC NC NC プリアンプトランス ポストアンプ インピーダンス ゲイン 帰還容量 変換時間 CS1 CS0 TS1 TS0 GS3 GS2 GS1 GS0 MSB の R/W ビットを“1”にすると、アドレスが一致した IC に設定されたトランスインピーダンス、 ポストアンプゲインを読取ることができます。 3.5.3. アナログ信号出力 8 ビット構成です。MSB ファーストで入力します。OE 端子“H”の時、この構成になります。 表3 アドレス 1:R アドレス 0:W R/W A2 A1 don’t care A0 NC NC NC NC OE 端子を“OPEN”にすると、SM3320 の OUT 端子にはアナログ信号が常時出力となります。これは 1 個の IC だけ単独に使う時の為で、複数の SM3320 をワイヤードオアで使う時には、OE 端子を“OPEN” にしないでください。 SEIKO NPC CORPORATION - 5 SM3320A 4. イメージ信号読取 4.1. 読取シーケンス 14us+17us+変換時間最大値*2 最短約91us 出 力 ゲイン 設定 SIF 光照射 アンプ 波長1 照射 波長1 測定 出 力 ゲイン 設定 波長2 照射 約14us以上 波長3 照射 波長2 測定 IC 出力 出力 出 力 ゲイン 設定 波長3 測定 IC 出力 IC 出力 60、120、240、480us以上 約17us以上 OE SE DATA CLK CLK 10MHz CLK 10MHz IC1 IC2 IC3 IC4 IC5 IC6 IC7 IC8 60us(コード00) 120us(コード01) 設定 設定 設定 設定 設定 設定 設定 設定 240us(コード10) 480us(コード11) 各IC出力命令 OUT 8out 7out 6out 5out 4out 3out 2out 1out 図 8. 読取シーケンス イメージ信号を読取るシーケンスは以下のようになります。 ① 照射する波長に合せたトランスインピーダンス・ポストアンプゲイン設定。(この値は実験等であらか じめ調べておく必要があります。) ② 光照射、変換時間の最大値の 2 倍以上の時間が必要です。上限はありません。 ③ アナログ信号出力命令、SM3320 の出力が安定するまでセトリングタイム 2us 以上待ってから出力さ れたアナログ信号を AD コンバータで読取る。 ④ 光照射 OFF、その後、次の波長の①トランスインピーダンス・ゲイン設定へ移行する。 SEIKO NPC CORPORATION - 6 SM3320A 4.2. トランスインピーダンス・ゲイン設定 この機能は、光照射の有無に関係なく設定することができます。連続で設定する場合、次の設定まで の間に 100ns 空けてから設定してください。 OE "L" or "OPEN" 1740nsMIN 100nsMIN SE 40nsMIN DATA W A2 A1 A0 don't care CS1 CS0 TS1 TS0 GS3 GS2 GS1 GS0 140nsMIN 40nsMIN 100nsMIN(fck10MHzMAX) 100nsMIN CLK OUT OE:"L" "Hi-Z" OUT OE: OPEN "Enable" 図 9. トランスインピーダンス・ポストアンプゲイン設定 4.3. トランスインピーダンス・ポストアンプゲイン読込 トランスインピーダンス・ゲインデータの読出しも、設定と同じく光照射の有無に関係なく設定する ことができます。 OE "L" or "OPEN" SE 1740nsMIN SM3320 DATA端子出力モード 100nsMIN 40nsMIN DATA R A2 A1 A0 40nsMIN don't care CS1 CS0 TS1 TS0 GS3 GS2 GS1 GS0 100nsMIN 100nsMIN CLK OUT OE:"L" "Hi-Z" OUT OE:"OPEN" "Enable" 図 10. トランスインピーダンス・ポストアンプゲイン読込 SEIKO NPC CORPORATION - 7 SM3320A 4.4. 光測定(電荷蓄積) 光照射から最初の IC の読取までに、変換時間の 2 倍以上の時間を確保する必要があります。変換時 間はトランスインピーダンス設定ビット TS1,TS0 の値により異なります。変換時間は、SM3320 内蔵の CR 発振器のバラツキ等の影響で幅があります。[00]の時 20us(typ),30us(max)、[01]の時 40us(typ),60us(max)、 [10]の時 80us(typ),120us(max)、[11]の時 160us(typ),240us(max)です。 光照射 読取が終わるまで照射する 変換時間最大値の2倍以上の時間 OE セトリングタイム(2us)以上 SE DATA A2 A1 A0 don't care A2 A1 A0 don't care A2 CLK OUT 図 11. 光測定(電荷蓄積) 4.5. アナログ信号出力 アナログ信号出力の場合、アドレスを含んだ 8 ビットのデータを送ります。SE 信号の立下りに同期し て OUT 端子に信号が出力されます。新たなアドレスが送られてきた時、その IC は OUT 端子が High-Z になり、新しいアドレスに一致した IC の信号が出力されます。OE 端子が“L”になると、全ての IC の OUT 端子が High-Z になります。 光照射 2000nsMIN 40nsMIN OE SE 40nsMIN 900nsMIN DATA A2 A1 A0 don't care A2 A1 A0 don't care 100nsMIN 100nsMIN CLK セトリング時間 2us OUT 1st IC Signal 2nd IC Signal ディセーブル時間 0.1us 図 12. アナログ信号出力 SEIKO NPC CORPORATION - 8 SM3320A 5. トランスインピーダンス・ポストアンプゲイン設定方法 5.1. トランスインピーダンス SM3320 のプリアンプは、図 13 に示す電荷蓄積型の IV 変換器です。図の SW は SM3320 内部で制御 されていて、外から与える必要はありません。TS1,TS0 によって 4 つの内から 1 つを選ぶことができま す。SW が閉じている時は、アンプ出力は 0V です。SW が開いてからの時間を t とすると、アンプの出 力⊿V は、⊿V=ip*t/C となります。アンプ出力は、光電流 ip および蓄積時間 t に比例し、容量 C に反比 例します。光電流に比例する出力電圧が得られるので、あたかもインピーダンスのように扱うことがで きるので、Zt=t/C をトランスインピーダンスと呼んでいます。 SW C ip ∆V= - ∆V + AGND ip*t C トランスインピーダンス Zt t Zt= C -Bias 図 13. 電荷蓄積型 IV 変換器 この蓄積時間(Typ)は、変換時間(Typ)から 10us 引いた時間です。トランスインピーダンスは、容量と 変換時間の影響を受けますが、これを上手く打消す構成をとっています。CR 発振器の発振容量と蓄積容 量には同じ構造の容量を用いています。単位容量が大きくなった時は、発振周波数が下がり、蓄積時間 が長くなります。また、単位容量が小さくなった時は、発振周波数が上がり、蓄積時間が短くなります。 発振容量と蓄積時間は比例している為、トランスインピーダンスは、容量のばらつきを打消すことがで きます。 SM3320 は、サンプルアンドホールド回路を内蔵している為、電荷蓄積中であっても、その前に蓄積 した信号を保持していますので、内部タイミングに関係なく、いつでも信号を得ることができます。内 部タイミングと光照射の同期を取ることができないので、蓄積時間いっぱいに光照射された信号を得る 為には、必要測定時間として変換時間(Max)の 2 倍の時間が必要になります。また、光照射はアナログ信 号読取が終了するまで続けてください。 蓄積 時間 Typ Max Typ 0 0 20us 30us 10us 0 1 40us 60us 30us 1 0 80us 120us 70us 1 1 160us 240us 150us trd:アナログ信号読取時間 TS1 TS0 変換 時間 表 4. トランスインピーダンス 必要測定 光照射 トランスインピーダンス 時間 時間 Min Min CS[00] CS[01] CS[10] CS[11] 60us 60us+trd 0.5MΩ 1.0MΩ 2.0MΩ 4.0MΩ 120us 120us+trd 1.5MΩ 3.0MΩ 6.0MΩ 12.0MΩ 240us 240us+trd 3.5MΩ 7.0MΩ 14.0MΩ 28.0MΩ 480us 480us+trd 7.5MΩ 15.0MΩ 30.0MΩ 60.0MΩ 各時間の関係は以下のようになっています。 変換時間(Typ)=蓄積時間+10us 変換時間(Max)=変換時間(Typ)×1.5 必要測定時間=変換時間(Max)×2 光照射時間=必要測定時間+アナログ信号読取時間 SEIKO NPC CORPORATION - 9 SM3320A 5.2. ポストアンプゲイン 4 ビットのデータでポストアンプのゲインを設定することができます。トランスインピーダンスの刻み よりも小さな刻みで微調整を行えます。 GS[3:0] GS3 0 0 0 0 0 0 0 0 設定データ GS2 GS1 0 0 0 0 0 1 0 1 1 0 1 0 1 1 1 1 GS0 0 1 0 1 0 1 0 1 表 5. ポストアンプゲイン ゲイン (倍) GS3 1.00 1 1.08 1 1.17 1 GS[3:0] 1.27 1 1.38 1 1.50 1 1.63 1 1.78 1 設定データ GS2 GS1 0 0 0 0 0 1 0 1 1 0 1 0 1 1 1 1 GS0 0 1 0 1 0 1 0 1 ゲイン (倍) 1.94 2.13 2.33 2.57 2.85 3.17 3.55 4.00 5.3. 設定の基本的な考え方 トランスインピーダンスは、0.5MΩ~60MΩと選べる範囲が広く、刻みは粗くなっています。さらに、 TS1,TS0 の選択は、光照射時間に制限を与えます。 一方、ポストアンプゲインは、1 ステップで約 1.09 倍の近似等比級数となっています。 そこで、感度が大きく変わる、波長や観測方法(透過光、反射光)ごとにトランスインピーダンスを選び、 微調整をポストアンプゲインで変えることを推奨します。 また、照射する光量を変えることでも調整できます。 SEIKO NPC CORPORATION - 10 SM3320A 5.4. 設定手順 図 14. 設定フローチャート SEIKO NPC CORPORATION - 11 SM3320A 5.5. 光電流の推定方法 光電流がどれ位になるかは、実験で求める必要がありますが、既に Si フォトダイオードのディスクリ ート部品でシステムを構成している場合、フォトダイオードの代わりに SM3320 を使った時に得られる 光電流を大まかではありますが推測することができます。 単位面積あたりの光感度は、フォトダイオードを構成している素材の物性でほぼ決まりますので、同 一の光を照射した時の単位面積あたりの光電流は、ほぼ同等と考えることができます。ディスクリート 部品の受光面積と光電流が分かっていれば、SM3320 の光電流を計算で推測できます。SM3320 の受光面 積は 1mm2 です。 推測例を表 6 に示します。 表 6. 明部分の光電流推測例 光の種類 透過 反射 透過 赤 反射 透過 緑 反射 透過 青 反射 透過 紫外 反射 赤外 SM3320 ディスクリートPD 受光面積 光電流 受光面積 光電流 (uA) (uA) (mm2) (mm2) 1 0.2 0.8 4 1 0.5 2 4 1 0.15 4 0.6 0.65 1 4 2.6 1 0.1 4 0.4 1 0.6 4 2.4 1 0.05 4 0.2 1 4 0.3 1.2 1 4 0.005 0.02 1 4 0.2 0.8 5.6. 設定例 ここで紹介するのは、ディスクリート部品で構成されていた、イメージセンシングシステムに SM3320 を使用する場合の設定例です。 5.6.1. 要求仕様 測定波長数: 5(IR,R,G,B,UV,透過) センサ数: 8 紙送り速度: 200mm/s 紙送りピッチ: 0.5mm(5 波長測定する間に進む長さ、SM3320 の受光が 0.5mm であるので、見ない部分 を作らない) 1 ラインあたりの測定時間: 2.5ms SIF クロック周波数: 1MHz(設定 18us/1 波長、信号出力 9us/1 波長) SEIKO NPC CORPORATION - 12 SM3320A 5.6.2. 光電流の推定 ディスクリート部品受光面積: 4mm2 表 7. 光電流推定表 光の種類 赤外 赤 緑 青 紫外 透過 透過 透過 透過 透過 ディスクリートPD 受光面積 光電流 (mm2) (uA) 4 4 4 4 4 受光面積 (mm2) 0.8 0.6 0.4 0.2 0.02 SM3320 光電流 (uA) 1 1 1 1 1 0.2 0.15 0.1 0.05 0.005 5.6.3. ポストアンプのフルレンジの設定(目標値) 電源電圧: 5V にします。 OUT 端子の出力電圧が保障されるのが 0.7*VDD で、基準電圧が 0.1*VDD なので、出力電圧としては 0.7*5-0.1*5=3V になりますので、フルレンジ 3V にします。 5.6.4. ポストアンプゲインの仮選択 中間値の 1.94 倍 GS[3:0] 1000(8Hex)とします。 5.6.5. プリアンプのフルレンジの計算 3÷1.94≒1.546V プリアンプのフルレンジ 1.546V 5.6.6. トランスインピーダンスの選択 各波長ごとのトランスインピーダンスを計算して、近いものを選択します。TS[1:0]は同じものを使っ た方が制御が楽なので、できるだけ揃える。UV は、短い時間では無理なので、TS[1:0][11]を選択します。 表 8. トランスインピーダンス選択 目標値 選択値 変換時間 ZT 明電流 ZT (uA) 計算値(MΩ) TS[1:0] Max(us) CS[1:0] (MΩ) 0.2 7.73 [10] 120 [01] 0.15 10.30666667 [10] 120 [10] 0.1 15.46 [10] 120 [10] 0.05 30.92 [10] 120 [11] 0.005 309.2 [11] 240 [11] 7 14 14 28 60 プリアンプ フルレンジ 1.4 2.1 1.4 1.4 0.3 SEIKO NPC CORPORATION - 13 SM3320A 5.6.7. ポストアンプゲインの選択 ポストアンプのフルレンジが、目標値に近くなるようなゲインを選択します。 UV は最大のトランスインピーダンスおよびゲインにしてもフルレンジ 1.2V しか得られませんが、こ れ以上の電圧が必要な場合は、照射する光パワーを上げる必要があります。 表 9. ポストアンプゲイン選択 光の種類 赤外 赤 緑 青 紫外 透過 透過 透過 透過 透過 プリアンプ ポストアンプ 必要測 PD 明電流 ZT フルレンジ ゲイン フルレンジ 定時間 0.2 7 1.4 1.94 2.716 240 0.15 14 2.1 1.38 2.898 240 0.1 14 1.4 1.94 2.716 240 0.05 28 1.4 1.94 2.716 240 0.005 60 0.3 4 1.2 480 設定コード CS TS GS 0110 1000 1010 0100 1010 1000 1110 1000 1111 1111 5.6.8. 総処理時間の確認 クロックを 1MHz にした場合、トランスインピーダンスおよびゲイン設定に 1 つの IC で 18us 必要に なります。8 個セットすると 144us、同様にアナログ出力で 9*8=72us 必要です。 表 10. 処理時間チェック 光の種類 CS TS 赤外 赤 緑 青 紫外 透過 透過 透過 透過 透過 0110 1010 1010 1110 1111 GS 1000 0100 1000 1000 1111 フルレンジ 設定時間 測定時間 読取時間 (V) (us) (us) (us) 2.716 144 240 72 2.898 144 240 72 2.716 144 240 72 2.716 144 240 72 1.2 144 480 72 総処理時間 (us) 456 456 456 2520 456 696 目標の 2.5ms を超えてしまいました。 対策としては、もっと短い変換時間にするか、シリアルインターフェースクロック周波数を上げる等 が考えられますが、もっと短い変換時間にするという対策を採ることにします。 IR の変換時間(Max)を 60us とし、ZT を 6MΩポストアンプゲインを 2.33 に設定します。 その修正を入れた結果が表 11 で、処理時間も目標の 2.5ms に収めることができました。 表 11. 再設定結果 光の種類 CS TS 赤外 赤 緑 青 紫外 透過 透過 透過 透過 透過 1001 1010 1010 1110 1111 GS 1010 0100 1000 1000 1111 フルレンジ 設定時間 測定時間 読取時間 (V) (us) (us) (us) 2.796 144 120 72 2.898 144 240 72 2.716 144 240 72 2.716 144 240 72 1.2 144 480 72 総処理時間 (us) 336 456 456 2400 456 696 SEIKO NPC CORPORATION - 14 SM3320A 6. 実装に関する情報 6.1. フットパターン参考例 図 15. フットパターン参考例 SEIKO NPC CORPORATION - 15 SM3320A ※この資料に記載されている商品のご使用に際しては、次の点にご注意くださいますようお願い申し上げます。 1.この資料に記載されている商品は、パーソナル機器・工作機器・計測機器などの一般的な信頼性を必要とする電子機器および 電気機器に使用されることを目的として設計・製造されたものであり、航空宇宙機器・原子力制御機器・医療機器・輸送機器・防 災機器・防犯機器などの極めて高い信頼性・安全性を必要とする機器に使用されることを想定したものではありません。また、そ の故障または誤動作が直接人命に関わる商品に使用されることを想定したものではありません。本資料の商品をこのような機器 に使用するご希望がありましたら、必ず事前に当社営業部までお問い合わせください。 なお、事前のご相談無しに本資料の商品をそのような機器に使用され、そのことによって発生した損害等については、当社では 一切の責任を負いかねますのでご了承ください。 2.この資料に記載されている内容は、商品の特性や信頼性等の改善のため予告なしに変更されることがありますので予めご了承 下さい。 3.この資料に記載されている内容については、その商品の使用に際して第三者の知的財産権その他の権利を侵害していないこと を保証するものではなく、また、その実施権の許諾が行われるものでもありません。したがって、その使用に起因する第三者の権 利に対する侵害について当社は責任を負いかねますのでご了承下さい。 4.この資料に記載されている回路等の定数は一例を示すものであり、量産に際しての設計を保証するものではありません。 5.この資料に記載されている商品の全部または一部が外国為替及び外国貿易法その他の関係法令に定める物資に該当する場 合は、それらの法令に基づく輸出の承認、許可が必要になりますので、お客様にてその申請手続きをお願いいたします。 セ イ コ - N P C 株 式 会 社 本社・東京営業所 〒104-0032 東京都中央区八丁堀 1-9-9 TEL 03-5541-6501 FAX 03-5541-6510 那須塩原事業所 〒329-2811 栃木県那須塩原市下田野 531-1 TEL 0287-35-3111(代) FAX 0287-35-3120 関 西 営 業 所 〒550-0004 大阪市西区靭本町 2-3-2 TEL 06-6444-6631(代) FAX 06-6444-6680 http://www.npc.co.jp/ Email: [email protected] ND12028-J-01 2012.09 SEIKO NPC CORPORATION - 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