LTC1250 超低ノイズ ゼロドリフト・ブリッジ・アンプ 特長 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 説明 超低ノイズ:0.75µVP-P Typ(0.1Hz ~ 10Hz) OP-07 より低い DC ~ 1Hz のノイズ 最大出力振幅で 1kΩ 負荷をドライブ可能 オフセット電圧:10µV(Max) オフセット電圧ドリフト:50nV/℃(Max) 同相除去比:110dB(Min) 電源電圧変動除去比:115dB(Min) 外付け部品が不要 標準 8 ピン・オペアンプとピン・コンパチブル 標準 8 ピン・プラスチック DIP パッケージと 8 ピン SO パッケージ LTC®1250 は高性能、超低ノイズ・ゼロドリフト・オペア ンプです。低フロント・エンド・ノイズと DC 精度を特 長としているため、低インピーダンスのブリッジ・トラ ンスデューサとともに使用するのに最適です。LTC1250 の標準入力ノイズは 0.1Hz から 10Hz で 0.75µV P-P、0.1Hz から 1Hz で 0.2µV P-P です。また、DC から 1Hz のノイズ は 0.35µVP-P であり、OP-07、OP-77、および LT1012 など の低ノイズ・バイポーラ・デバイスよりも優れています。 LTC1250 は業界標準のシングル・オペアンプ・ピン配列 を使用しており、外付け部品やゼロ調整信号が不要なた め、バイポーラ・オペアンプを差し替えることができます。 LTC1250 は、単一 5V 電源で 1kΩ 負荷時に 4.3V をドラ イブ可能な高機能の出力段を内蔵しています。±5V 電 源では、出力は 5kΩ 負荷に対して ±4.9V を振幅できま す。12V より高い単一電源電圧では、同相入力範囲にグ ランドが含まれます。±5V 電源では電源電流は 3mA で す。正および負の飽和からの過負荷回復時間は、それぞ れ 0.5ms と 1.5ms です。最適な低周波ノイズおよびオフ セット・ドリフトを実現するために、内部ゼロ調整クロッ クは 5kHz に設定されています。外部接続は不要です。 アプリケーション ■ ■ ■ ■ ■ ■ 電子式秤 ストレーン・ゲージ・アンプ 熱電対アンプ 高分解能データ収集 低ノイズ・トランスデューサ 計測アンプ 、 LTC、 LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。 他のすべての商標はそれぞれの所有者に所有権があります。 4933642を含め、 米国特許取得済み。 LTC1250 は、標準 8 ピン・プラスチック DIP パッケージ と 8 ピン SO パッケージで供給されています。 標準的応用例 差動ブリッジ・アンプ 2 5V 5V 50Ω GAIN TRIM 入力基準ノイズ 0.1Hz ∼ 10Hz VS = ±5V AV = 10k 1000pF 0.1µF 1 350Ω STRAIN GAUGE 2 7 LTC1250 3 1000pF –5V – + µV 18.2k 6 AV = 100 0 –1 4 18.2k –2 –5V 1250 TA01 0 2 6 4 TIME (s) 8 10 LT1250 TA02 1250fb LTC1250 絶対最大定格 (Note 1) 全電源電圧(V + ~ V –).......................................................... 18V 入力電圧.............................................(V+ + 0.3V)~(V – – 0.3V) 出力短絡時間..................................................................... 無制限 保存温度範囲....................................................... – 65℃~ 150℃ リード温度(半田付け、10 秒)........................................ 300℃ 動作温度範囲 LTC1250M(製造中止)................................. – 55℃~ 125℃ LTC1250C .............................................................. 0℃~ 70℃ パッケージ / 発注情報 TOP VIEW NC 1 8 NC –IN 2 7 V+ +IN 3 6 OUT V– 4 5 NC ORDER PART NUMBER TOP VIEW LTC1250CN8 N8 PACKAGE 8-LEAD PLASTIC DIP NC 1 8 NC –IN 2 7 V+ +IN 3 6 OUT V– 4 5 NC TJMAX = 110°C, θJA = 130°CW J8 PACKAGE 8-LEAD CERAMIC DIP TJMAX = 150°C, θJA = 100°CW (J8) ORDER PART NUMBER LTC1250CS8 S8 PART MARKING S8 PACKAGE 8-LEAD PLASTIC SO LTC1250MJ8 LTC1250CJ8 1250 TJMAX = 110°C, θJA = 200°CW OBSOLETE PACKAGE Consider the N8 or S8 for Alternative Source より広い動作温度範囲で規定されるデバイスについては、弊社へお問い合わせください。 電気的特性 ● は全動作温度範囲の規格値 VIN = ± 5V を意味する。それ以外は TA = 25℃での値。 SYMBOL PARAMETER CONDITIONS VOS Input Offset Voltage TA = 25°C (Note 2) ∆VOS Average Input Offset Drift (Note 2) MIN ● Long Term Offset Drift LTC1250M TYP MAX MIN LTC1250C TYP MAX ±5 ±10 ±5 ±10 ±0.01 ±0.05 ±0.01 ±0.05 50 0.75 0.2 UNITS µV µV/°C 50 nV/√Mo 1.0 0.75 0.2 1.0µVP-P µVP-P en Input Noise Voltage (Note 3) TA = 25°C, 0.1Hz to 10Hz TA = 25°C, 0.1Hz to 1Hz in Input Noise Current f = 10Hz 4.0 IB Input Bias Current TA = 25°C (Note 4) ±50 ±150 ±950 ±50 ±200 ±450 pA pA ±100 ±300 ±500 ±100 ±400 ±500 pA pA ● IOS Input Offset Current TA = 25°C (Note 4) ● 4.0 fA/√Hz CMRR Common Mode Rejection Ratio VCM = –4V to 3V ● 110 130 110 130 dB PSRR Power Supply Rejection Ratio VS = ±2.375V to ±8V ● 115 130 115 130 dB AVOL Large-Signal Voltage Gain RL = 10k, VOUT = ±4V ● 125 170 125 170 dB Maximum Output Voltage Swing RL = 1k RL = 100k ● ±4.0 4.3/–4.7 ±4.92 ±4.0 4.3/–4.7 ±4.95 V V SR Slew Rate RL = 10k, CL = 50pF GBW Gain-Bandwidth Product IS Supply Current No Load, TA = 25°C 10 10 1.5 1.5 3.0 ● 4.0 7.0 3.0 V/µs MHz 4.0 5.0 mA mA 1250fb LTC1250 電気的特性 ● は全動作温度範囲の規格値 VIN = ± 5V を意味する。それ以外は TA = 25℃での値。 MIN LTC1250M TYP MAX MIN LTC1250C TYP SYMBOL PARAMETER CONDITIONS fS Internal Sampling Frequency TA = 25°C VOS Input Offset Voltage TA = 25°C (Note 2) ∆VOS Average Input Offset Drift (Note 2) en Input Noise Voltage (Note 3) TA = 25°C, 0.1Hz to 10Hz TA = 25°C, 0.1Hz to 1Hz 1.0 0.3 IB Input Bias Current TA = 25°C (Note 4) ± 20 ±100 ±20 ±100 pA IOS Input Offset Current Maximum Output Voltage Swing TA = 25°C (Note 4) RL = 1k RL = 100k ±40 4.3 4.95 ±200 ±40 4.3 4.95 ±200 pA V V IS Supply Current TA = 25°C 1.8 2.5 1.8 2.5 mA fS Sampling Frequency TA = 25°C 3 4.75 ● 4.0 Note 1: 絶対最大定格はそれを超えるとデバイスの寿命に影響を及ぼす値。 Note 2: これらのパラメータは設計上保証されている。熱電対効果のため、 自動テスト時はこれらの電圧レベルの測定は行えない。 Note 3: 0.1Hz ~ 10Hz ノイズは、10s ウィンドウでは、DC 結合と規定。 0.1Hz ~ 1Hz ノイズは、100s ウィンドウで規定し、0.1Hz の RC ハイパス・フィ MAX UNITS 4.75 kHz ±2 ±5 ±2 ±5 ± 0.01 ±0.05 ±0.01 ±0.05 1.0 0.3 4.0 µV µV/°C µVP-P µVP-P 3 kHz ルタを使用。LTC1250 は、ノイズのサンプル・テストを行っている。 100% テストを行ったデバイスに関しては弊社にお問い合わせください。 Note 4: 0℃以下では、これらのパラメータは設計上保証されているが、 テストはしていない。 標準的性能特性 1.0 0.1Hz TO 10Hz 0.8 0.6 0.4 0.1Hz TO 1Hz 4 10 6 8 12 14 TOTAL SUPPLY VOLTAGE, V + TO V – (V) TA = 25°C 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 5 4 3 0.5 0.2 0 SAMPLING FREQUENCY (kHz) 1.2 6 TA = 25°C 3.5 SUPPLY CURRENT (mA) INPUT NOISE (µVP-P) 4.0 TA = 25°C 1.4 サンプリング周波数と電源電圧 電源電流と電源電圧 入力ノイズと電源電圧 1.6 16 1250 G01 0 4 10 6 8 12 14 TOTAL SUPPLY VOLTAGE, V + TO V – (V) 16 1250 G02 2 4 10 6 8 12 14 TOTAL SUPPLY VOLTAGE, V + TO V – (V) 16 1250 G03 1250fb LTC1250 標準的性能特性 入力ノイズと温度 4.5 電源電流と温度 8 VS = ±5V VS = ±5V 0.8 0.1Hz TO 10Hz 0.6 0.4 0.1Hz TO 1Hz SAMPLING FREQUENCY (kHz) 4.0 SUPPLY CURRENT (mA) INPUT NOISE (µVP-P) 1.0 3.5 3.0 2.5 0.2 50 25 75 0 TEMPERATURE (°C) 100 2.0 –50 –25 125 50 25 0 75 TEMPERATURE (°C) 電圧ノイズと周波数 2 GAIN (dB) 30 GAIN 40 10 100 1k FREQUENCY (Hz) 10k –20 1k 10k AV = 100, RL = 100k, CL = 50pF, VS = ±5V 1000 20 150 バイアス電流(振幅)と温度 VS = ±5V 100 10 –50 –20 10M 100k 1M FREQUENCY (Hz) –25 50 75 0 25 TEMPERATURE (°C) 100 同相入力範囲と電源電圧 140 TA = 25°C 6 同相除去比と周波数 VS = ±5V VCM = 1VRMS 120 4 100 2 0 –2 80 60 40 –4 20 –6 –8 125 1250 G09 CMRR (dB) INPUT COMMON MODE RANGE (V) 8 500µs/DIV 100 1250 G08 過負荷回復 –5 50 75 25 TEMPERATURE (°C) 0 1250 G07 0 40 PHASE: RL = 1k VS = ±5V OR SINGLE 5V TA = 25°C CL = 100pF 0 10 60 PHASE: RL = 100k 20 20 1 0 80 60 40 INPUT (V) 3 1250 G06 100 80 50 OUTPUT (V) 4 0 –50 –25 PHASE MARGIN (DEG) VOLTAGE NOISE (nV/√Hz) 利得 / 位相と周波数 60 0 5 1250 G05 100 VS = ±5V RS = 10Ω 70 0.2 6 125 100 1250 G04 0 VS = ±5V 1 0 –50 –25 80 サンプリング周波数と温度 7 BIAS CURRENT (|pA|) 1.2 2 3 5 4 6 SUPPLY VOLTAGE (±V) 7 8 1250 G11 0 1 10 100 1k FREQUENCY (Hz) 10k 100k 1250 G12 1250fb LTC1250 標準的性能特性 10 出力振幅と負荷抵抗、両電源 OUTPUT SWING (±V) VS = ±5V 5 4 VS = ±2.5V 3 NEGATIVE SWING POSITIVE SWING 1 AV = 1, RL = 100k, CL = 50pF, VS = ±5V 0 12 VS = 10V 10 8 6 VS = 5V 4 2 1µs/DIV VS = 16V 14 7 6 出力電圧振幅と負荷抵抗、 単一電源 16 VS = ±8V 8 2V/DIV 18 RL TO GND 9 OUTPUT SWING (V) 過渡応答 0 1 2 3 4 5 6 7 8 LOAD RESISTANCE (kΩ) 0 10 9 V – = GND RL TO GND 2 0 1 2 3 4 5 6 7 8 LOAD RESISTANCE (kΩ) 1250 G14 出力振幅と出力電流、± 5V 電源 6 OUTPUT VOLTAGE (V) 2 1 0 –1 –2 –3 4 3 2 1 –4 –5 0.01 0.1 1 OUTPUT CURRENT (mA) 0 0.01 10 0.1 1 OUTPUT CURRENT (mA) 1250 G16 短絡電流と温度 40 VS = SINGLE 5V 5 3 OUTPUT VOLTAGE (V) 出力振幅と出力電流、5V 単一電源 VS = ±5V 4 10 1250 G15 SHORT-CIRCUIT CURRENT (mA) 5 9 VS = ±15V 30 VOUT = V – 20 10 0 –10 –20 VOUT = V + –30 –40 –50 –25 10 0 50 25 75 TEMPERATURE (°C) 1250 G17 100 125 1250 G18 テスト回路 オフセット・テスト回路 DC ∼ 10Hz ノイズ・テスト回路 (DC ∼ 1Hz の場合は、全コンデンサ値に 10 を掛ける) 100pF 100pF 100k 100k 2 5V 2 10Ω – + 10Ω 7 LTC1250 3 6 OUTPUT 4 –5V 5V 5V – 7 LTC1250 3 + 800k 4 –5V 1250 TC01 2 6 0.02µF 3 – 8 1/2 LT1057 +4 –5V 0.04µF 6 800k 5 1 800k – + 1/2 LT1057 7 OUTPUT 0.01µF 1250 TC02 1250fb LTC1250 アプリケーション情報 入力ノイズ すべての CMOS アンプと同様に LTC1250 にも熱ノイズ と 1/f ノイズの 2 種類の低周波数ノイズが見られます。 LTC1250 ではいくつかの設計上の変更を行ってこれらの ノイズ源を最小限に抑えています。熱ノイズは、大きな 形状のトランジスタを使用してフロント・エンド・トラ ンジスタを高バイアス・レベルで動作させ、トランジス タの g M を上げることで最小限に抑えます。ゼロドリフ トのゼロ調整ループを最適化して 1/f コーナー周波数の 2 倍の周波数で実行すると 1/f ノイズへの対策を行うこ とができます。本来高い CMOS 1/f ノイズが低周波数の 熱ノイズ・レベル近くに軽減します。その結果、ノイズ・ スペクトラムは内部 5kHz クロック周波数未満の周波数 では、非常に小さくなり、10Hz では、最良のバイポーラ・ オペアンプに近づき、1Hz 未満では、それを上回ります (図 1)。これはすべて業界標準のピンアウトで実現され ています。LTC1250 には、外付けコンデンサ、ゼロ調整 信号やクロック信号も不要で、業界標準の 8 ピン DIP と 8 ピン SO パッケージに準拠しています。 80 VOLTAGE NOISE (nV/√Hz) 70 OP-27 60 OP-07 LTC1250 30 20 10 0 0.01 0.1 FREQUENCY (Hz) CF ≥ 55pF AV ここで、AV = 閉ループ利得です。CF は RF の値には依存 しないことに注意してください。高利得(AV > 50)また はループ・インピーダンスの低い回路では、安定性のた めの CF は不要です。 CF RF RIN CP – LTC1250 + 1250 F02 図 2. 寄生 CP による位相シフトを CF が相殺 VS = ±5V RS = 10Ω 50 40 定性に影響を及ぼします。帰還抵抗の両端にコンデンサ を追加することで入力の極をキャンセルするゼロを加 え、この影響を除去することができます(図 2)。この コンデンサの値は、次式から求められます。 1 LTC1250 F01 図 1. 電圧ノイズと周波数 入力容量と補償 大きな入力トランジスタは、各入力から V + に 55pF の 寄生容量を発生させます。この入力容量は外部帰還抵抗 に反応し、極を生成してアンプの安定性に影響を及ぼし ます。低利得、高インピーダンス構成では、帰還ネット ワークの利得 1 の周波数以下のところに極が発生して位 相余裕を劣化させ、リンギングや発振その他の不都合な 現象を発生させます。ただし、これはどのオペアンプに もいえることで、LTC1250 の入力の 55pF の容量は、1.9kΩ のような低い帰還ネットワーク・インピーダンスでは安 より大きな値の C F が、帯域制限された DC 回路によく 使用されますが、実際には低周波数ノイズを増大させる ことがあります。LTC1250 のゼロ調整回路は、外部帰還 ネットワークを含むループをそのサイクルの一部の間で 閉じます。このループは、150µs 以内に最終値に落ち着 く必要があります。そうならない場合は、1/f ノイズ・ スペクトラムが完全にキャンセルされず、デバイスの低 周波数ノイズが増加します。ループ補償不足の場合(R F が大きい、C F がない) 、150µs を超えてリンギングが発 生し、ノイズとオフセットが発生します。 これを解決するには、上記の CF を増やします。ただし、 C F の値が大きすぎると、ループが過補償になり、150µs 以内に最終値にならなくなりますので、注意が必要です。 この状態になっても LTC1250 のオフセットまたは出力 の安定性に影響はありませんが、1/f ノイズが上昇し始 めます。目安として、最良の 1/f 特性を得るには、R F C F 帰還の極は、 7kHz(1/150µs、ループが安定する周波 数)である必要があります。100kΩ より小さい帰還抵抗 では、100pF ∼ 500pF の値で十分です。これによって、 LTC1250 が適切にゼロ調整を行うのに最適な 7kHz にお ける利得値が得られます。大きな値の帰還抵抗(1MΩ を超える)を使用する場合は、LTC1250 およびプリント 基板の寄生要素が大きな役割を果たすため、正しい値を 1250fb LTC1250 アプリケーション情報 知るための実験が必要になります。小さな値の抵抗(5kΩ 未満)には、コンデンサは不要です。 入力バイアス電流 どのゼロドリフト・オペアンプにもいえることがです が、LTC1250 の入力に引き込まれる AC バイアス電流の スイッチング・スパイクはごくわずかです。温度が非常 に高いときを除き、DC リーク電流は無視できます。大 きなフロントエンド・トランジスタを使用すると、標準 のゼロドリフト・オペアンプに比べて 3 ∼ 4 倍のスイッ チング・スパイクが生じます。±50pA というバイアス電 流の仕様は、それでもほとんどのバイポーラ・デバイス より何倍も優れています。入力によってスパイクが一致 せず、いつもそうとは限りませんが、極性が逆のことも あります。したがって、入力でインピーダンス・マッチ ングをとっても(図 3)バイアス電流を相殺できるとは 限らず、かえってエラーが増える可能性があります。こ れは行わないようにしてください。 RF RIN – LTC1250 + 1250 F03 図 3. 抵抗を追加してもバイアス電流エラーが相殺されない 出力ドライブ LTC1250 には、性能を向上させた出力段が用意されて おり、ほぼ対称的な出力ソース / シンク電流を得ること ができます。この出力は、±5V 電源で 1kΩ 負荷に少な くとも ±4V の振幅ができ、低インピーダンス負荷に対 して 20mA を超える電流をシンクまたはソースするこ とができます。抵抗負荷が少なければ(R L 100kΩ)、 LTC1250 はどちらかのレールのミリボルト以内にまで振 幅します。単一電源アプリケーションでは、5V 電源で 通常、1kΩ 負荷に対して 4.3V 振幅となります。 外部エラーの防止 LTC1250 の入力ノイズ、オフセット電圧およびバイア ス電流仕様はいずれもプリント基板の寄生要素のレベル を十分下回ります。LTC1250 の銅製ピンの間に熱電対 があったり、それらを接続するのに錫 / 鉛の半田が使わ れていると、LTC1250 のオフセット電圧を上回ります。 特に半田ごてなどを使用した後などにはそのような現象 が発生します。また、LTC1250 の出力の負荷が非常に大 きいときは、チップの消費電力が大きくなり、パッケー ジの温度が上昇するとともに入力の熱電対への負荷も大 きくなります。LTC1250 は、このような状態でも規定の 精度を維持しますが、レイアウト時には回路のエラー防 止、補償に注意するようにしてください。低周波数ノイ ズ測定時には特に空気の流れに注意してください。近く に動くものがあると(人の動きなど)、シールドされて いない回路基板では非常に大きなノイズ・ピークが発生 することがあります。これらのエラー防止に関する詳細 およびアドバイスに関しては、LTC1051/LTC1053 データ シートを参照してください。 サンプリング動作 LTC1250 の ゼ ロ ド リ フ ト の ゼ ロ 調 整 ル ー プ で は、 約 5kHz で入力をサンプリングするため、2kHz 未満の信号 をエイリアシングなしに処理することができます。この 周波数を超えるとエイリアシング動作が発生しますが、 広帯域の内部回路では一般的にエラーは最小限に抑えら れています。LTC1250 の出力は、クロック周波数とその 高調波に小さなスパイクを発生させます。これらは帰還 構成が異なると振幅も異なってきます。低周波数または 帯域制限されたシステムは影響を受けにくいのですが、 高帯域幅のシステム(オーバーサンプリング A/D など) は、これらのクロックに乗るノイズにフィルタをかける ようにしてください。出力スパイクは大きな帰還コンデ ンサで最小限に抑えることができますが、それによって ノイズ性能に悪影響を及ぼします(前ページの「入力 容量と補償」を参照)。出力にスパイクをなくし、ノイ ズを最小限に抑える必要のあるアプリケーションでは LTC1250 の後にローパス・フィルタが必要になります。 通常は、簡単な RC でその役割を果たすことができます (図 4)。LTC1051/LTC1053 データ・シートには、ゼロド リフト・アンプのサンプリング動作に関する詳細が掲載 されています。 CF RF – LTC1250 + 47k 0.01 1250 F04 図 4. RC 出力の極によって帯域幅を 330Hz に制限する例 1250fb LTC1250 アプリケーション情報 単一電源動作 フォールト状態 LTC1250 は、4.5V という低い単一電源電圧で動作し、負 荷が小さいときは、出力振幅はどちらの電源電圧からの ミリボルト以内に収まります。入力段は、5V 単一電源 でグランドの 250mV 以内で同相範囲となり、11V を超 える単一電源ではグランドから同相範囲になります。単 一電源から電力を得ている場合は、多くのブリッジ・ト ランスデューサは、入力に対してグランドより上のバイ アスをかけ、単一電源アプリケーションの LTC1250 と 直接インターフェイスがとれるようにします。シングル・ エンデッドのグランドを基準にした信号はややレベル・ シフトして LTC1250 の入力とインターフェイスをとる 必要があります。 LTC1250 は、ラッチアップに陥ったり損傷を受けるこ となくほとんどの外部フォールト条件に耐えるように設 計されています。しかし、異常なまでに厳しいフォール ト条件では、デバイスが損傷を受けることがあります。 すべてのピンは、±25mA かどちらかの電源電圧を 5V 超 えるいずれか先に発生したフォールトに対して保護され ています。外部回路がこれらの制限値を超過する可能性 があるときは、直列抵抗または電圧クランプ・ダイオー ドを使用して損傷を防止します。 LTC1250 には、ESD による損傷に対する内部保護回路 があります。データ・シートのパラメータはすべてどの ピンにおいても 1kV の ESD を想定しています。1kV を 超えた場合は、入力バイアスとオフセット電流が増加し ますが、それ以外の仕様には影響をきたさず、入力ピン では、デバイスは最大 5kV、出力ピンでは 8kV まで機 能します。極端な ESD 条件は、標準的な静電気対策上 の注意を講じて防止する必要があります。 1250fb LTC1250 パッケージ寸法 J8 パッケージ 8 ピン CERDIP(細型 0.300 インチ、気密封止) (Reference LTC DWG # 05-08-1110) コーナー・リード・オプション (4 PLCS) 0.045 – 0.068 (1.143 – 1.727) フル・リード・ オプション 0.023 – 0.045 (0.584 – 1.143) 1/2リード・ オプション 0.005 (0.127) MIN 0.405 (10.287) MAX 8 7 6 5 0.025 (0.635) RAD TYP 0.220 – 0.310 (5.588 – 7.874) 1 0.300 BSC (0.762 BSC) 2 3 4 0.200 (5.080) MAX 0.015 – 0.060 (0.381 – 1.524) 0.008 – 0.018 (0.203 – 0.457) 0.385 ± 0.025 (9.779 ± 0.635) 0° – 15° 0.045 – 0.068 (1.143 – 1.727) 0.014 – 0.026 (0.360 – 0.660) 注記: リード線の寸法値は、半田ディップ/めっきまたは錫めっきのリードを含む 0.125 3.175 0.100 ± 0.010 MIN (2.540 ± 0.254) J8 0694 廃品パッケージ 1250fb LTC1250 パッケージ寸法 N8 パッケージ 8 ピン PDIP(細型 0.300 インチ) (Reference LTC DWG # 05-08-1510) .400* (10.160) MAX 8 7 6 5 1 2 3 4 .255 ± .015* (6.477 ± 0.381) .300 – .325 (7.620 – 8.255) .008 – .015 (0.203 – 0.381) ( +.035 .325 –.015 8.255 +0.889 –0.381 ) .045 – .065 (1.143 – 1.651) .065 (1.651) TYP .100 (2.54) BSC .130 ± .005 (3.302 ± 0.127) .120 (3.048) .020 MIN (0.508) MIN .018 ± .003 (0.457 ± 0.076) N8 1002 注記: 1. 寸法は、 インチ ミリメートル *これらの寸法には、 モールドのバリまたは突出部を含まない。 モールドのバリまたは突出部は、 0.254mm (0.010") を超えないこと 1250fb 10 LTC1250 パッケージ寸法 S8 パッケージ 8 ピン・プラスチック小型(細型 0.150 インチ) (Reference LTC DWG # 05-08-1610) .050 BSC .189 – .197 (4.801 – 5.004) NOTE 3 .045 ±.005 8 .245 MIN .160 ±.005 5 .150 – .157 (3.810 – 3.988) NOTE 3 1 推奨する半田パッド・レイアウト .010 – .020 × 45° (0.254 – 0.508) .053 – .069 (1.346 – 1.752) 0°– 8° TYP .016 – .050 (0.406 – 1.270) 6 .228 – .244 (5.791 – 6.197) .030 ±.005 TYP .008 – .010 (0.203 – 0.254) 7 .014 – .019 (0.355 – 0.483) TYP 注記: インチ 1. 寸法は、 (ミリメートル) 2. 図は実寸とは異なる 3. これらの寸法には、 モールドのバリまたは突出部を含まない。 モールドのバリまたは突出部は、 0.15mm (0.006") を超えないこと 2 3 4 .004 – .010 (0.101 – 0.254) .050 (1.270) BSC SO8 0303 1250fb リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提供する情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、その使用に関する責務は 一切負いません。また、ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。なお、日本語の資料は あくまでも参考資料です。訂正、変更、改版に追従していない場合があります。最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。 11 LTC1250 標準的応用例 差動熱電対アンプ リファレンス・バッファ 15V 3 3 1 4 7 + LTC1250 2 LM399 R3 1M 0.1% C1 100pF 7.5k – R1 10k 0.1% 6 5V 2 LTC1250 4 – 2 3 + R2 10k 0.1% TYPE K† ±10ppm ERROR AT ±15mA 1µVP-P OUTPUT NOISE 2.5µV/°C DRIFT (DUE TO LM399) 7 – VCM 1250 TA03 + 6 R6 7.5k 1% 4 –5V R4 1M 0.1% C2 100pF 5V R5 3k VIN 10mV/°C VOUT LT1025 GND R9 33k † VOUT 100mV/°C R7 500Ω FULL-SCALE TRIM R8 5k 1% 高精度を得るには、熱電対抵抗は 100Ω未満とすること –5V 1250 TA04 関連製品 製品番号 説明 注釈 LTC1050/LTC1051/ LTC1053 シングル / デュアル / クワッド高精度ゼロドリフト・オペアンプ VOS 最大 = 5µV、VSUPPLY 最大 = 16.5V LTC1150/LTC1151 シングル / デュアル ±15V ゼロドリフト・オペアンプ 高電圧動作 LTC2050/LTC2051/ LTC2052 シングル / デュアル / クワッド・ゼロドリフト・オペアンプ 単一電源 2.7V ∼ ±5V、SOT-23/MS8/GN16 パッケージ LTC2053 ゼロドリフト計測アンプ レール・トゥー・レール、MS8、116dB、2 抵抗セット利得 LTC2054/LTC2055 シングル / デュアル・ゼロドリフト・オペアンプ 150µA/ アンプ(最大) 、SOT-23/MS8 パッケージ LTC6800 レール・トゥ・レール入力 / 出力計測アンプ 低コスト、単一電源、MS8、2 抵抗セット利得 1250fb 12 リニアテクノロジー株式会社 〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6紀尾井町パークビル8F TEL 03- 5226-7291 ● FAX 03-5226-0268 ● www.linear-tech.co.jp LT/GP 0205 REV B • PRINTED IN JAPAN LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 1994