LT1533 - 超低ノイズ1Aスイッチング・レギュレータ

製品速報
最終電気的仕様
LT1533
超低ノイズ
1A スイッチング・レギュレータ
1997 年 9 月
■
LT® 1533は伝導EMI(ElectromagneticInterference)と放射EMIを
低減する新しい分類のスイッチング・レギュレータです。出力
大幅に低減された伝導 EMI と放射 EMI
(標準のアプリケーションで<60µVp-p)
低いスイッチング高調波
スイッチの電圧スルーレートと電流スルーレートを
個別に制御可能
■ 2 個の 1A 電流リミット・パワースイッチ
スイッチのスルーレートをユーザが制御することによって、
ノイズと EMI を著しく低減することが可能となります。また
スイッチャの高調波と効率が最適化されるように、電圧スルー
レートと電流スルーレートを個別に設定可能です。LT1533 は
正電圧と負電圧を安定化
■ 20kHz∼250kHzの発振器周波数
■ 外部クロックと容易に同期化
■ 広い入力電圧範囲:2.7V ∼ 23V
効率損失を最小限に抑え、高周波の高調波強度を 40dB も低減
することができます。
■
■
■
LT1533は低ノイズの構成に最適化されたデュアル出力スイッチ
電流モード・アーキテクチャを採用しています。このデバイス
低いシャットダウン電流:12µA (標準)
従来のスイッチャに比べてレイアウトが容易
■ 安定化されないアプリケーションの場合、
50%のデューティ・サイクルで出力可能
■
は 2 個の 1A パワースイッチの他に、発振器、制御回路、保護回
路など必要な全ての回路を内蔵しています。また独自のエラー・
アンプ回路により、正と負の両方の電圧を安定化させることが
できます。またスイッチング高調波をより正確に位置するため
■
に、内蔵の発振器を外部クロックと同期化可能です。保護機能
としては、サイクルごとの短絡保護、低電圧ロックアウト、サー
マル・シャットダウンを備えています。
高精度計測システム
■ 産業用オートメーション向け絶縁電源
■ 医療機器
■ ワイヤレス通信
■
■
最小電源電圧が低く、シャットダウン時に低消費であることか
ら、LT1533 はポータブル・アプリケーションに最適です。また
安定化されていない電源を使用するアプリケーションの場合は、
50% のデューティ・サイクル・モードにすることができます。
LT1533 は 16 ピン細型 SO パッケージで供給されます。
シングルボード・データ収集システム
、LTC、LT はリニアテクノロジー社の登録商標です。
5V から 12V への低ノイズ順方向プッシュ - プル DC/DC コンバータ
5V
+
CIN
4.7µF
14
11
3
CT
3300pF
DS1
T1*
1N4148
10 : 36
4
5
RT, 18k 6
VIN
SHDN
COL A
DUTY
COL B
SYNC
CT
PGND
LT1533
RVSL
RT
RCSL
10
CVC
0.01µF
VC
GND
NFB
9
8
FB
2
L2**
100µH
DS2
1N4148
15
B
+
L3**
100µH
C3
47µF
A
+
<60µV P-P
C4
47µF
Note 1
A
100µV/DIV
16
13
RVSL,15k
12
RCSL,15k
7
12V 出力ノイズ(BW=100MHz)
12V
200mA
B
5mV/DIV
R1
21.5k
1%
1533 TA01
R2
2.49k
1%
* COILTRONICS CTX02-13716-X1
** COILTRONICS CTX100-3
NOTE1: 25nH TRACE INDUCTANCE OR COILCRAFT B10T
リニアテクノロジーが供給する情報は正確で信頼できるものと確信しています。しかし、その使
用に関しては一切の責任を負いません。リニアテクノロジーはここに記載されたその回路の相互
の接続が、既存の特許を侵害しないという陳述は一切いたしません。
50ns/DIV
1533 TA02
1
LT1533
(Note 1)
入力電圧 (VIN) ............................................................. 30V
スイッチ電圧 (COL A, COL B) ....................................... 30V
TOP VIEW
SHDNピン電圧 ........................................................... 30V
フィードバック・ピン電流 ........................................ 10mA
ネガティブ・フィードバック・ピン電流 ................. ±10mA
保存温度範囲 ............................................ −65℃ ∼150℃
動作周囲温度範囲 .............................................. 0℃ ∼ 70℃
動作接合温度範囲 (Note 2) .................................. 0℃ to 125℃
リード温度 (半田付け、10 秒) ...................................... 300℃
NC 1
16 PGND
COL A 2
15 COL B
DUTY 3
14 VIN
SYNC 4
13 RVSL
LT1533CS
CT 5
12 RCSL
RT 6
11 SHDN
FB 7
10 VC
NFB 8
9
ORDER PART
NUMBER
GND
S PACKAGE
16-LEAD NARROW PLASTIC SO
TJMAX = 125°C, θJA = 100°C/ W
インダストリアルおよびミリタリ・グレードはお問い合わせ下さい。
注記がない限り、VIN = 5V、VC = 0.9V、VFB = VREF.COL A、COL B、SHDN、NFB、DUTY ピンはオープン。
SYMBOL
PARAMETER
CONDITIONS
Reference Voltage
Measured at Feedback Pin
MIN
TYP
MAX
UNITS
1.235
1.215
1.250
1.250
1.265
1.275
V
V
250
900
nA
0.003
0.03
%/V
– 2.500
– 2.420
Error Amplifiers
VREF
●
IFB
Feedback Input Current
VFB = VREF
●
FBREG
VNFR
Reference Voltage Line Regulation
2.7V ≤ V IN ≤ 23V
●
Negative Feedback Reference Voltage
Measured at Negative Feedback Pin with
Feedback Pin Open
●
– 2.550
INFR
NFBREG
Negative Feedback Input Current
VNFB = VNFR
●
– 37
Negative Feedback Reference Voltage
Line Regulation
2.7V ≤ V IN ≤ 23V
●
gm
Error Amplifier Transconductance
∆IC = ± 50µA
– 25
V
µA
0.002
0.05
%/V
1100
700
1500
●
1900
2300
µmho
µmho
IESK
Error Amplifier Sink Current
VFB = VREF + 150mV, VC = 0.9V, VSHDN = 1V
●
120
200
350
µA
IESRC
Error Amplifier Source Current
VFB = VREF – 150mV, VC = 0.9V, VSHDN = 1V
●
120
200
350
µA
VCLH
Error Amplifier Clamp Voltage
High Clamp, VFB = 1V
1.33
V
VCLL
Error Amplifier Clamp Voltage
Low Clamp, VFB = 1.5V
0.1
V
AV
Error Amplifier Voltage Gain
250
V/V
2
180
LT1533
注記がない限り、VIN = 5V、VC = 0.9V、VFB = VREF.COL A、COL B、SHDN、NFB、DUTY ピンはオープン。
SYMBOL
PARAMETER
CONDITIONS
MIN
TYP
MAX
UNITS
375
kHz
Oscillator and Sync
f MAX
Maximum Switch Frequency
f SYNC
Synchronization Frequency Range
RSYNC
SYNC Pin Input Resistance
VFBfs
FB Pin Threshold for Frequency Shift
250
fOSC = 250kHz
5% Reduction from Nominal
kHz
40
kΩ
0.4
V
45.5
50.0
%
%
200
ns
30
V
Output Switches
DCMAX
Maximum Switch Duty Cycle
DUTY Pin Open, RVSL = RCSL = 4.9k, fOSC = 25kHz
DUTY Pin Grounded, Forced 50% Duty Cycle
tIBL
Switch Current Limit Blanking Time
BV
Output Switch Breakdown Voltage
RON
Output Switch-On Resistance
ILIM(MAX)
Switch Current Limit Duty Cycle = 30%
1
A
ILIMSC
Switch Current Limit Duty Cycle = 80%
0.8
A
∆IIN/∆ISW
Supply Current Increase During
Switch-On Time
VDUTYTH
DUTY Pin Threshold
2.7V ≤ V IN ≤ 23V
ICOL A or ICOL B = 0.75A
●
●
44
25
0.5
●
Ω
0.85
16
mA/A
0.35
Slew Control
VSLEWR
Output Voltage Slew Rising Edge
Either A or B, RVSL, RCSL = 17k
11
V/µs
VSLEWF
Output Voltage Slew Falling Edge
Either A or B, RVSL, RCSL = 17k
14.5
V/µs
ISLEWR
Output Current Slew Rising Edge
Either A or B, RVSL, RCSL = 17k
1.3
A/µs
ISLEWF
Output Current Slew Falling Edge
Either A or B, RVSL, RCSL = 17k
1.3
A/µs
Supply and Protection
VIN
Recommended Operating Range
●
23
V
VIN(MIN)
Minimum Input Voltage
●
2.55
2.7
V
IVIN
Supply Current
●
12
18
mA
IVIN(OFF)
Shutdown Supply Current
2.7V ≤ V IN ≤ 23V, R VSL, RCSL, RT = 17k
2.7V ≤ V IN ≤ 23V, V SHDN = 0V
12
30
µA
VSHDNL
Shutdown Threshold
2.7V ≤ V IN ≤ 23V
●
0.8
1.2
V
ISHDN
Shutdown Input Current
●
は全温度範囲の規格値を意味する。
Note 1:絶対最大定格を超えるとデバイスが損傷する可能性がある。
2.7
●
0.4
–2
µA
Note 2:LT1533は −40℃ から125℃ の接合温度で動作するように
設計されている。しかし 0℃ から 100℃ の範囲を超えて検査および
保証はされない。
3
LT1533
最小入力電圧と温度
0.7
–50
0.6
25°C
–100
∆ILIM (A)
2.60
2.55
SWITCH VOLTAGE (V)
2.65
INPUT VOLTAGE (V)
スイッチ電圧の降下
ILIM の変化とデューティ・サイクル
0
2.70
125°C
–150
–200
2.50
2.45
–50 –25
–250
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
40
60
DUTY CYCLE (%)
80
0.2
100
0
0.2
350
1.28
300
1.27
250
1.26
200
1.25
150
1.24
100
1.23
50
1.22
0
1.21
–50
–100
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
INPUT VOLTAGE (V)
400
1.29
–2.40
35
–2.45
30
–2.50
25
–2.55
20
–2.60
–50 –25
0
15
25 50 75 100 125 150
TEMPERATURE (°C)
1533 G05
エラーアンプの出力電流
100
500
90
400
ERROR AMPLIFIER OUTPUT (µA)
SWITCHING FREQUENCY (% TYPICAL)
スイッチング周波数と
フィードバック・ピン電圧
80
70
60
50
40
30
20
300
200
100
0
–100
–200
–300
–400
10
0
0
0.1
0.3
0.4
0.5
0.2
FEEDBACK PIN VOLTAGE (V)
0.6
1533 G06
–500
0.85
1.05
1.45
1.25
FEEDBACK PIN (V)
1.65
1533 G07
IINPUT CURRENT (µA)
1.30
1.0
1533 G03
1533 G04
4
0.4
0.8
0.6
SWITCH CURRENT (A)
負帰還電圧と入力電流
FEEDBACK INPUT CURRENT (nA)
FEEDBACK VOLTAGE (V)
25°C
0.3
1533 G02
フィードバック電圧と入力電流
0
85°C
0
20
0
1533 G01
1.20
–50 –25
0.4
0.1
–300
0
125°C
0.5
LT1533
COL A, COL B (ピン 2、ピン 15):これらはパワースイッチの出
力コレクタです。エミッタは共通の検知抵抗を介して PGND に
戻ります。COL A と COL B は位相が変わるごとに交互にオン
になります。これらのピンには大量の電流が流れるので、放射
を最小限に抑えるために外部の配線を短くすることが必要で
す。簡単な昇圧アプリケーションの場合は、これらのコネクタ
を一緒に接続できます。
DUTY (ピン 3):DUTY ピンをグランドに接続すると、出力は
50% のデューティ・サイクルで切換ります。未使用時、DUTY
ピンはフローティング状態にします。
SYNC (ピン 4):SYNC ピンを使用して、発振器を外部クロック
に同期させることができます (詳しくは「アプリケーション情報」
の「発振器の同期化」の項を参照)。未使用時、SYNCピンはフロー
ティング状態にするか、グランドに接続します。
CT (ピン5):発振器コンデンサ・ピンはRT ピンと共に使用して、
発振器の周波数を設定します。RT = 16.9k の場合、
CT (NF) = 129/fOSC (kHz) です。
RT (ピン 6):発振器抵抗ピンにより発振器のコンデンサの充放
電電流を設定します。公称値は16.9kです。正確な発振器の周波
数を得るために、この抵抗を ± 25% 調整可能です。
FB (ピン 7):フィードバック・ピンは、起動時と短絡時に正電圧
V C (ピン 10):補償ピンは周波数補償と電流リミットのために
使用され、エラー・アンプの出力と電流コンパレータの入力に
なります。RC ネットワークをVC ピンからグランドに接続して
ループ周波数補償を行うことができます。
SHDN (ピン 11):シャットダウン・ピンはスイッチャをディス
エーブルするのに使用します。このピンをグランド接続すると
全ての内蔵回路がディスエーブルされます。この出力は通常
High (VIN) かフローティングに設定できます。
RCSL (ピン 12):グランドへの抵抗によって、コレクタ A および B
の電流スルーレートが設定されます。この抵抗の最小値は 3.9k、
最大値は 68k です。およその電流スルーレートは以下のように
なります。
ISLEW(A/µs) = 33/RCSL(kΩ)
RVSL (ピン 13):グランドへの抵抗によって、コレクタ A および B
の電圧スルーレートが設定されます。この抵抗の最小値は3.9k、
最大値は 68k です。およその電圧スルーレートは以下のように
なります。
VSLEW(V/µs) = 220/RVSL(kΩ)
V IN (ピン 14):入力電源ピン。このピンは 4.7µF 以上の低 ESR
コンデンサによってバイパスして下さい。
VINが2.55Vを下回る
と低電圧ロックアウトになり、出力のスイッチングが停止して
の検知と発振器周波数のシフトを行うために使用します。この
ピンはエラー・アンプの反転入力です。このアンプの非反転入
力は 1.25V の基準電源に内部で接続されます。未使用時、この
ピンはオープンにします。
VC ピンが Low になります。
NFB (ピン 8):このネガティブ・フィードバック・ピンは負の出
力電圧を検知するために使用します。このピンは100kのソース
抵抗を介して負帰還アンプの反転入力に接続されます。負帰還
アンプは帰還アンプに対して−0.5のゲインを提供します。未使
ようにします。これは配線インダクタンス (約 1 インチ) か、ある
いはワイヤや誘導コンポーネント (小型フェライト・ビーズなど)
を用いることによって可能です。このインダクタンスによって
オフ時に安定した電流スルーレート制御ループが維持されま
用時、このピンはオープンにします。
す。インダクタンスが大きすぎると (50nH 以上)、出力電圧の
スルーエッジで発振の恐れがあります。
GND (ピン 9):信号グランドです。内蔵のエラーアンプ、負帰
還アンプ、発振器、スルーレート制御回路、バンドギャップ基
準電源はこのグランドを基準とします。帰還分割器に常に接続
PGND (ピン16):パワースイッチのグランドです。このグランド
はパワースイッチのエミッタからきています。通常動作時、
このピンはグランドに対して約 25nH のインダクタンスを持つ
されるようにして、
VC 補償ネットワークに大量のグランド電流
が流れないようにして下さい。
5
LT1533
SHDN
VIN
PGND COL A
COL B
VC
LDO REGULATOR
+
NEGATIVE
FEEDBACK
AMP
INTERNAL VCC
–
+
NFB
OUTPUT
DRIVERS
–
–
FB
RVSL
SLEW CONTROL
–
gm
ERROR
+ AMP
+
RCSL
COMP
+
S
1.25V
Q
FF
R
RT
OSCILLATOR
CT
Q
T
SYNC
FF
BK
QB
GND
DUTY
スイッチング・レギュレータは不要なノイズを発生しやすいため、
ノイズに敏感なアプリケーションの電源としては敬遠されがち
です。効率や入出力電圧の制約上、スイッチング電源が必要と
なる場合は、標準的な電源によって発生するノイズを除去する
ために多くの労力が必要となります。ノイズを防止する方法と
しては、電源の発振器と外部クロックとの同期を確実にとるこ
とや、回路の他の部分を電源の発振器と同期化する、またノイズ
に敏感な動作の間は電源のスイッチングを停止するといったこ
とがあります。LT1533では、
本質的に低ノイズなスイッチング・
レギュレータ電源を設計可能にすることによって、電源ノイズ
を除去する作業を著しく簡略化しています。
LT1533は、
出力スイッチの電圧スルーレートと電流スルーレート
を制御するための独自の回路を備えた固定周波数電流モード・
スイッチング・レギュレータです。スルー制御機能によって、
伝導 EMI と放射 EMI を発生させる恐れのある電源部品に対し
て、より優れた制御が可能です。また電流モード制御により AC
電源とDC電源に対して優れたレギュレーションが可能となり、
ループ補償が簡略化されます。
6
1533 BD
電流モード制御
スイッチング・サイクルは、発振器の放電パルスによってRS フ
リップフロップがリセットされると開始され、出力ドライバの
1 つがオンになります (ブロック図参照)。内蔵抵抗の両端にス
イッチ電流が流れると検知され、この結果発生した電圧は増幅
されてエラー・アンプの出力 (VC ピン) と比較されます。電流
検知アンプの出力が VC ピンの電圧を超えるとドライバはオフ
になります。トグルのフリップフロップによって、2 個のドラ
イバがクロックサイクルを交互に使用できるようになります。
また、内部スロープ補償によってデューティ・サイクルが高い
場合の安定性が保証されます。
エラー・アンプを使用してスイッチ電流動作ポイントを設定する
ことにより、出力レギュレーションが得られます。エラー・アン
プは、フィードバック出力電圧と内蔵の 1.25V の基準電源の差
分を統合する相互インダクタンス・アンプです。電圧ではなく
電流を制御するこの方式により素早い過渡応答が可能となり、
サイクルごとに電流を制限できるため、出力スイッチに対する
保護が向上し、フィードバック・ループの補償を容易に行えます。
LT1533
VC ピンはループの補償、電流リミットの調整、ソフトスタート
の 3 つの目的で使用します。通常動作時の VC の電圧は 0.2V ∼
1.33V です。外付けクランプは電流リミットを下げるために使
用します。外付けクランプにコンデンサを組み合わせて、ソフ
トスタートを実行できます。
負帰還アンプは負の出力電圧を直接レギュレーション可能で
す。NFB ピンの電圧はゲイン− 0.5 によって増幅され、FB 入力
に対して駆動されます。すなわち、NFBピンによって−2.5Vに
安定化されると同時に、通常動作時のようにアンプの出力に
よってFBピンが1.25Vに内部で駆動されます。負帰還アンプの
入力インピーダンスはグランドを基準とし、100k (標準) です。
スルー制御
保護機能
LT1533 には 3 つの保護モードがあります。1 つは過電流リミッ
トモードです。これはVcピンのクランプ動作によって行われま
す。2 つ目はサーマル・シャットダウンモードで、チップの温度
が過度に上昇した場合に出力ドライバを 2 個ともディスエーブ
ルし、V C ピンを Low にします。3 つ目は低電圧ロックアウト
モードで、これも VIN が 2.5V 以下に低下した場合に両出力を
ディスエーブルし、VC ピンを Low に設定します。
50% デューティ・サイクル・モード
LT1533 は位相はずれのデュアル出力を備えているので、プッ
シュ−プル・トランスフォーマを駆動するのに最適です。単純
な DC トランスフォーマ・アプリケーションの場合、DUTY ピ
出力電圧と出力電流のスルーレート制御は 2 つのフィード
バック・ループで行われます。一方のループは出力スイッチの
コレクタ電圧dV/dtを制御し、
もう一方のループはエミッタ電流
dl/dt を制御します。出力スルー制御は、これら 2 つのスルー・
ンを使用して 50% のデューティ・サイクル・モードにすること
ができます。DUTY ピンをグランド接続することにより内蔵の
制御回路が無効になり、出力が発振器周波数の 2 分の 1 の 50%
デューティ・サイクルで切換わります。またスルー制御でも50%
イベントによって発生する電流と外付け抵抗 RVSL と R CSL に
よって流れる電流を比較することによって行われます。2 つの
制御ループを内部で結合することによって、電流スルー制御から
電圧スルー制御へとスムースに移行できます。
デューティ・サイクルモードが使用されます。
内蔵レギュレータ
制御回路のほとんどは、
VINピンから電源供給される内蔵の2.4V
の低損失レギュレータで動作します。
内部の低損失設計により、
デバイスの性能には影響を与えずにVINを2.7V∼23Vの範囲で
変えることができます。シャットダウン時、内蔵レギュレータ
はオフになり、VIN からわずかな電流 (標準 12µA) が流れるだ
けです。
スイッチング電源から EMI を低減することは、以前から設計者
にとって深刻な問題でした。多くのスイッチャは効率重視で設
計されているため、波形は高周波の高調波で満たされ、それが
電源の他の部分に伝播してしまいます。
LT1533はスイッチング誘導負荷でEMIを制御するために、より
重要な変数のうちの 2 つ、すなわちスイッチ電圧スルーレート
用することにより、従来のスイッチモード・コントローラに比
べてノイズと EMI が低減されます。これらの変数は制御可能
なので、このデバイスを用いて電源を構成した場合、EMI の発
生が大幅に低減され、設計時に問題に悩まされることも少なく
なります。
とスイッチ電流スルーレートを制御します。このデバイスを使
7
LT1533
EMIの原理について触れるのはこのデータシートの範囲外です
が、次に示す基本的なガイドラインに従うことにより、スイッ
チング・レギュレータ回路における EMI の発生を大幅に抑える
ことができます。
1. EMI 特性に優れたスイッチャ・トポロジーを採用します。
これにより通常、電流が連続して流れ続け、高速なスイッ
チ・ノードをなくすことができます。例えば、プッシュ−プ
ル設計の場合、発生する伝導エミッションが低くなります。
2. 伝導エミッションと放射エミッションのいずれか、あるいは
両方が問題かを確認します。この点を把握することによっ
て、ノイズが磁気によるものか、静電気によるものかを判断
できます。
3. 放射が低減されるように磁気部品を構成します。例えば、
オープン状態の磁気コアは避けて下さい。また、ロッドや
バレル上に構成された磁気部品はフラックスのために閉じ
た磁気のリターン・パスを提供しないため、隣接する敏感な
回路において問題が生じる恐れがあります。TorroidsとEコア
の使用が推奨されます。
抵抗もコンデンサもユーザが制御可能なので、発振器周波数を
容易にトリミング可能です。
外付けコンデンサ CT は次式で決まります。
CT(nF) = 2180/[fOSC(kHz) • RT(kΩ)]
fOSC は必要な発振器周波数で、単位は kHz です。
RT = 16.9kの場合は、次式のように簡略化されます。
CT(nF) = 129/fOSC(kHz)
高品質な低温度係数のコンデンサを選択して下さい。
RT の公称値は 16.9k です。RT によって電流が決まるので、コン
デンサを補正するような温度係数を持つものを選択してくださ
い。理想的には、抵抗もコンデンサも温度係数を低くしてくだ
さい。発振器周波数の製造上の許容値を下げるために、RT とCT
を組み込むことが可能です。
DUTYピンがHighまたはフローティング状態になると、発振器
の充電時に出力がオフになります。スルーレート制御により、
出力をオフにしてもすぐには遷移が生じません。出力がオフに
4. 最適な ESR になるようにコンデンサを選択します。問題の
多くは、コンデンサの ESR において電圧によって誘起され
た過渡状態が原因です。
なると、電流を少なくし、スイッチ電圧を上げることが必要と
なります。DUTY ピンがグランドに接続された場合は、出力が
オンかオフになり、クロックの充電が開始されます。
5. ボードレイアウトを慎重に行います。高電流ラインの配線
間の結合やdV/dtが高いラインの容量性結合が問題となる
場合があります。高電流コンポーネントを持つ電流ループ
の領域を最小限にすることも必要です。
FB ピンが 0.4V を下回ると発振器の充電時間が長くなるため、
発振周波数は約6:1まで上がります。この機能により、起動時や
スルーレートを制御することのメリットについて、以下に一般
的な例を示しながら説明します。
矩形波の高調波は1/fで基本波
から振幅しますが、矩形波のエッジのスルーレートが制限され
ていると、さらに 1/f の振幅が 1/fSLEW の周波数で発生します
(tSLEW はスルー期間の遷移時間)。これがLT1533 によってノイ
ズ特性を向上させるための基本原理です。
短絡時の電力消費が最小限に抑えられます。
ノイズ低減の面から発振器周波数は次の 2 点で重要となります。
1) 発振器の周波数が低くなるにつれて波形の高調波は低くなる
ため、フィルタリングが容易になります。2) 発振器によって出
力周波数の高調波の位置が制御されますが、これは検知に使用
されるある一定の周波数帯域幅を避けたい場合の問題を解決す
るのに役立ちます。
発振器の同期化
発振器周波数
発振器はスイッチング周波数を決定するため、これにより全て
の高調波の基本的な位置付けが決まります。高品質な外付けコ
ンポーネントを使用することは、発振器の周波数の安定性を
維持する上で重要です。この発振器はのこぎり波発振器です。
外付け抵抗 RT によって決定された電流によって、コンデンサ
CT の充放電が行われます。
放電の速さは充電速度の約10倍です。
8
より精度の高い周波数が求められる場合 (例えば高調波位置を
正確に) は、
発振器を外部クロックに同期化することができます。
発振器の周波数が要求される同期周波数より10% 低くなるよう
に RC タイミング・コンポーネントを設定してください。
SYNCピンを矩形波 (1.4V以上の振幅) で駆動してください。同期
矩形波の立ち上がりエッジでクロックの放電が開始されます。
同期パルス幅は最小 0.5µs です。
LT1533
内蔵発振器の充電スロープによって傾き補償が決まるため、
正の出力電圧の設定
デバイスと大きく異なる周波数に同期化する場合は注意が必要
です。同期化によって、コンデンサの充電サイクルで傾き補償
を開始できない場合は、低調波で発振が可能です。通常このこ
とは、同期周波数が発振器の自走周波数より1.5倍以上高くなる
正の出力電圧の検知は、通常、抵抗分割器を出力から FB ピンの
間に配置することによって行います。エラーアンプの正の入力
は1.25Vのバンドキャップ基準電圧に内部で接続されます。FB
ことがなければ問題にはなりません。
ピンはこの電圧を安定化します。
R1
スルーレートの設定
VOUT
FB PIN
R2
電圧と電流のスルーレートを設定するのは簡単です。これらの
1533 F01
スルーレートはRVSL とRCSL ピンからグランドに接続される外
付け抵抗によって決まります。スルーレートの値を決めるのは
容易ではありません。これにはいくつかの方法があります。
図1
図 1 から R1 は次式によって決まります。
まず最初に、3.9k の直列抵抗を持つ 50k の抵抗を各ピンに接続
します。通常次の手順で問題となるノイズをモニタできます。
測定の際には、プローブのグランドのリード線が短くなるよう
に注意してください。
通常は電圧と電流のスルー抵抗をほぼ等しくすることが必要で
す。各々の抵抗を個別に調整することによって、より最適な環
境が得られます。しかし、この 2 つの抵抗値の差が大きくなる
ほど、個別の制御に伴うロスが発生します。
一番低い抵抗値から設定していき、ノイズレベルがユーザのガイ
ドラインを満たすまでポットを調整します。スルーレートの波
形をゆっくりにすると多くの電力を消費するため、効率は下が
ることに注意してください。ユーザがスルーレートを調整しな
がらモニタすることもできます。
1つの抵抗でスルー設定をすることができます。この場合、RVSL
とRCSL ピンは一緒に接続します。2kから34k の抵抗 (個々の抵
抗値の半分) をこれらのピンとグランド間に接続できます。
エミッタのインダクタンス
パワー・グランドに低いインダクタンスを加えることによって、
スルーレートが速い場合に問題となり得る出力電流の立ち下が
りエッジの落ち込みを最小限に抑えることができます。通常は
25nH で充分です。50nH より大きくすると、電圧出力に不要な
発振が生じる恐れがあります。このインダクタンスはワイヤか
直線で 1 インチに相当するボード上の配線によって生成でき
ます。
V

R1 = R2 OUT − 1
 1.25 
FB バイアス電流にはわずかな誤差がありますが、R1 ‖R2 値が
最大 10k までは無視できます。
一言注意として、上記 R1 の両端にコンデンサを 1 つ接続するこ
とによって、フィードバック・ゼロを制御ループに追加するこ
とが時々あります。このフィードバック・ゼロによって FB ピン
が容量的にレギュレータの内部電圧 (2.4V 標準) より高く引っ
張られると、出力のレギュレーションがうまく行われない場合
があります。このような問題は、フィードバック・ピンに直列
抵抗を接続することによって防止できます。
負の出力電圧の設定
負の出力電圧は NFB ピンを使用して検知できます。この場合、
NFBピンが−2.5Vのときにレギュレーションが行われます。
NFBの入力バイアス電流は−2.5µA (INFB) で、これは分割器を
セットアップする際に考慮する必要があります。
図 2 から R1 を以下のように決定します。
 VOUT − 2.5 
R1 = R2 

 2.5 + R2 • 25µA 


9
LT1533
R1
–VOUT
NFB PIN
INFB
2. ドライバの飽和による消費電力
PVSAT = (VSAT)(I)(DCMAX)
R2
V SAT は出力飽和電圧で、約 0.1 +(0.4)(l)です。DCMAX は
最大デューティ・サイクルです。
1533 F02
図2
3.
R2の推奨値は2.5kです。FBピンを使用している場合、NFBピン
スルーレートに近似値を使用した場合の出力スルーによる
消費電力
は通常オープンのままです。
両極性の出力電圧の検知
正と負の両方の出力電圧を検知することからメリットを得られ
るアプリケーションがあります。これを行うには、各々に出力
電圧抵抗分割器を以前に述べた方法で個別に設定します。FBピ
ンと NFB ピンの両方を使用すると、LT1533 は正負どちらの出
力も設定された出力電圧を超えないように動作します。レギュ
レータは最も低い出力 (負荷が最大) によって制御されます。これ
により、いずれの側の出力も無負荷で安定化されずに高くなる
のを防止します。しかしこの方法においても出力負荷の安定化
との兼ね合いが必要です。
シャットダウン
シャットダウン・ピンを Low にすると、レギュレータはオフに
なり、消費電流は 20 µA 以下まで低減されます。
熱性に関する考慮事項
この IC の消費電力を計算するにあたっては、以下の注意が必要
です。出力スルーレートを遅くすると、エッジが高速な場合に
比べて多くの電力を消費します。しかしながら電源効率の低下
を最も抑えた状態で、
ノイズを大幅に改善することができます。
消費電力はトポロジーや入力電圧、スイッチ電流、スルーレー
トによって変わってきます。したがって、各アプリケーション
ごとにパッケージの温度を測定することが推奨されます。この
デバイスは規定の温度に達すると内部でシャットダウンされ、
デバイスの損傷を防止します。しかし、このことは温度面で慎
重に設計されている上でのことです。
1. 入力電流による消費電力

I 
PVIN = VIN11mA + 
60 

I は標準のスイッチ電流です。
10


2


2
2
 V I2 + ∆I

 VIN − VSAT 
I

 IN 

4 

4 



PSLEW = 
RCSL +
RVSL  fOSC


 9
220  109
 33  10 

 




( )
( )
( )
()
( )
(
)( )
V S A T および ∆ I が V I N および L と比べて小さい場合は、
以下のようになります。
()( ) ( )(
( )
( )


VIN R VSL 
 I RCSL
PSLEW = 
fOSC VIN I
+
9
9 
 33  10  220  10  


) ( )( )()
∆Iはスイッチのリップル電流、RCSL とRVSL はスルー抵抗、
fOSCは発振器の周波数です。
消費電力 PD はこの 3 つの総和になります。チップの接合温度は
次式から得られます。
TJ = TAMB + (PD)(θJA)
TAMB は周囲温度、θJA はパッケージの熱抵抗です。16 ピン SO
パッケージの場合、θJA は 100℃/W です。
例えば、fOSC=40kHzの場合、電流は標準0.4A、リップルは0.1A、
最大デューティ・サイクルは 90%です。スルー抵抗をいずれも
17k で VSAT を 0.26V と仮定した場合、次式が得られます。
PD = 0.176W + 0.094W + 0.158W = 0.429W
S16パッケージの場合、
ダイ接合温度は周囲温度以上の43℃です。
LT1533
周波数補償
T1
1:N
エラー・アンプの出力 (VC ピン) に直列の RC 回路を接続する
ことによって、ループ周波数を補償できます。図 3 に示すよう
に、主磁極はコンデンサ CVC とエラー・アンプの出力インピー
ます。
(1. 25)(VRIPPLE)(gm)(RVC)
VCPIN RIPPLE =
VIN
LO
VOUT
DS2
CO
Q1A
1533 F04
Q1B
図4
図4の構成には次の2つの均分法が適用されます。
N はトランスフォーマの電圧と時間 (sec) のバランスで決まり
ます。
N=
VOUT
VRIPPLE:出力リップル (VP-P)
gm:エラー・アンプの相互コンダクタンス
RC: VC ピンの直列抵抗
VSEC
+
ダンス (約400kΩ) によって生成されます。直列抵抗RVC によっ
てゼロが生成されることにより、ループがより安定化され、
過渡応答が改善されます。もう1つのコンデンサCVC2 は、通常、
メインの補償コンデンサの約1/10のサイズで、
VCピンにおける
スイッチング周波数のリップルを低減するのにしばしば使用さ
れます。VC ピンのリップルは、出力分周器で減衰されエラー・
アンプで増幅された出力電圧リップルが原因で発生します。この
コンデンサを使用した場合、VC ピンのリップルは次式で表され
DS1
VOUT + VF
DCMAX  VIN MIN − VSAT


( )
VIN(MIN)は最小入力電圧、DCMAX は最大デューティ・サイクル、
VSATは電圧を印加したドライバ
VFはダイオードの順方向降下、
を示します。
LOは必要なリップル電流と発振器の周波数によって決まります。
VOUT:DC 出力電圧
VC PIN
RVC
2k
CVC2
4.7nF
CVC
0.01µF
1533 F03
図3
不規則なスイッチングを防ぐために、V C ピンのリップルは
50mVp-p以下に維持してください。
VCピンのリップルは出力負
荷電流が最大の場合に最悪となり、また ESR 値が高い品質の劣
る出力コンデンサを使用した場合にも増加します。0.0047µFの
コンデンサをVCピンに追加すると、スイッチング周波数リップ
ルをわずか数ミリボルトにまで低減することができます。RC の
値を小さくしても同様にVC ピンのリップルを削減できますが、
ループの位相マージンが適切でなくなる場合があります。
LO =
(VOUT + VF)(1− DCMIN)
(IRIPPLE)(fOSC)
DCMIN は最大入力時のデューティ・サイクル、IRIPPLE は必要な
リップル電流、fOSC は発振器の周波数を示します。例えば、出力
200mA、リップル 40mA で、5V ± 10% ∼ 12V、150kHz のコン
バータの場合、以下が必要となります。
N=
12 + 0.4
(
)
90% 4.5 − 0.5
LO =
= 3.5,
(12 + 0.4)(1− 71%) = 600µH
(40mA)(150k)
磁気部品
磁気部品の設計もトポロジーによって決まります。プッシュ プル・コンバータの場合、トランスフォーマはほとんどエネル
ギーを蓄積しません。したがって電圧と電流を供給可能で、
飽和が発生しないことを条件として設計を行います。
11
LT1533
トランスフォーマは、一次インダクタンスが反射したLO インダ
クタンス (LO/N2) の5倍から10倍の大きさになるように設計す
る必要があります (この場合 49µH)。また電圧と時間の比率も、
次式から得られる値より大きくする必要があります。
(
VIN − VSAT
DCMAX
fOSC
)
入力コンデンサ
入力コンデンサは低ノイズのスイッチャを設計する際に重要な
コンポーネントです。コンデンサの ESR は高周波電流コンポー
ネントと作用して、スイッチャの伝導ノイズの多くを発生させ
ます。
(この場合24V-µs)
入力コンデンサは、バッテリや大きいコンデンサのような負荷
を接続すると、多くのサージ電流が流れる場合があります。
ソリッド・タンタル・コンデンサはこのような状態では正常に
コンデンサ
動作しないことがあります。ESR が 0.3Ω 以下の、1µF ∼ 22µF
の値が推奨されます。
低ノイズのスイッチャを実現するには、入出力コンデンサを正
しく選択することが重要です。一般に、プッシュ - プル・トポロ
ジーとその他の低ノイズ・トポロジーによって電流が連続的に
流れるため、必要な容量は小さくて済みます。しかしノイズは
コンデンサの ESR によって非常に影響を受けます。
入力コンデンサはある種の負荷のスイッチング時に発生する
サージ電流にも耐えられる必要があります。ソリッド・タンタ
ルコンデンサのなかには、このサージ電流に耐えられないもの
があります。
コンデンサのタイプと特性については、
Design Note 95で詳しく
説明していますが、ここではその概要を簡単に示します。
出力フィルタ・コンデンサ
通常、出力コンデンサは ESR を基準に選択します。これは ESR
によって出力リップルが決まるためです。ESR の標準値は
0.05Ω ∼0.5Ωの範囲です。
容量値はトポロジーに依存します。標準的な出力コンデンサは
AVX タイプのTPSで、22µF、25VでESR を0.2Ω以下に保証し
ます。ESR をさらに低減するには、複数の出力コンデンサを並
列に接続して使用できます。µFの値は特に重要ではありません。
小型の 22µFタンタル・コンデンサを使用すると、ESRも出力電
圧リップルも増大します。表1に標準的な表面実装型のソリッ
ド・タンタル・コンデンサをいくつか示します。
アルミ電解コンデンサ:安価ですが 100kHz 以上ではめったに
使用しません。
表1
サイズ
コンデンサ
ソリッド・タンタル・コンデンサ:小型で低インピーダンス。
一般に 50V 未満で使用。サージ電流に関して問題の可能性あり
E CASE
AVX TPS, Sprague 593D
0.1 to 0.3
AVX TAJ
0.7 to 0.9
(AVX TPSで説明)。
D CASE
AVX TPS, Sprague 593D
0.1 to 0.3
AVX TAJ
0.9 to 2.0
AVX TPS
0.2 (Typ)
AVX TAJ
1.8 to 3.0
AVX TAJ
2.5 to 10
OS-CON:アルミ電解タイプよりは低インピーダンスであるが、
25V 以下でのみ使用可能。形状が問題となる可能性あり。ESR
が非常に低い場合、ループの安定性に関して問題が生じること
C CASE
がある。
B CASE
セラミック・コンデンサ:高周波、高電圧のバイパスに広く
使用。ESR が非常に低い場合、ループの安定性に問題が生じる
ことがある。ESR が影響する前に ESL で共鳴する場合がある。
スイッチング・ダイオード
高周波ではほとんどのコンデンサが誘導インピーダンスを持ち
ますが、コンデンサを並列接続することによってこれを低減で
きます。
12
ESR (Ω 最大値)
スイッチング・ダイオードには通常1N5818 や MBR130 (1A/30V)
などのショットキー・ダイオードを使用します。低出力電流の
アプリケーションには、1N4148のスイッチング・ダイオードを
お奨めします。
LT1533
5V
14
VIN
COL A
PGND
SHDN
11
4
DUTY
COL B
SHDN
RCSL
SYNC
RVSL
8
T1**
2
25nH*
16
LT1533
3
D3
CIN
22µF
10V
15
12
D1
BAT85
1
3.3
D2
BAT85
1
3.3
3
C1
22µF
35V
C2
22µF
35V
D6
2
1N5819
×4
4k TO 68k
1
R3
332k
R4
150k
R5
R6
150k 332k
5
4
LT1175CS8
13
CT VC NFB FB
5 10 8 7
CT
3300pF
RT
R2
18k
10k
GND RT
9 6
D4
D5
68k
LT1121CS8
1, 2, 7, 8
3
12V
80mA
C3
2.2µF
25V
C4
2.2µF
25V
–12V
80mA
1533 F05
R1
43k
5V
*BEAD OR PCB TRACE
**COILTRONICS CTX02 13716-X1
図 5. 5V ∼ ± 12V の DC トランスフォーマ
安定化されていない電源を使用する
アプリケーション
FB ピンは周波数の変動を防ぐために、0.7V から 1.2Vの範囲で
DC バイアスする必要があります。こうすることによって V C
LT1533 を使用して、低ノイズの DC トランスフォーマによる
ピンが上側のクランプに確実に設定され、ピーク出力電流が流
れます。
安定化されていない電源を構成することができます。DCトラン
スフォーマはオープン・ループのスイッチング・レギュレータ
で、
出力電圧はトランスフォーマの巻数比によって決まります。
DCトランスフォーマによって、絶縁電源を低コストで実現でき
ます。
このようなアプリケーションの場合、LT1533 の DUTY ピンを
グランド接続します。これによって出力を 50% オン/50% オフ
のモードにすることができます。スルー制御のために、50% と
いう数値は多少変動があります。図 5 に5V ∼± 15V の DC トラ
ンスフォーマを示します。
このタイプのアプリケーションの場合、両方のスイッチの出力
が同時に遷移するという問題があります。これによって両方の
スイッチの一次側の巻き線に正のEMFが加わり、電流漏れが生
じます。
このデバイスの場合スルーレートを制御しているため、
このようなことは起こりません。両方のドライバがオンになる
と、流れる総電流が多少増加する場合がありますが、制御可能
スルーレートの調整は、RVSL とRCSL の両ピン上で3.9kの抵抗
を 50k のポットに並列に接続 (または両ピンを一緒に接続して
2k の抵抗を 25k のポットと並列に接続) して行います。抵抗値
を大きくしながら、適切なノイズに落ち着くまで出力ノイズや
他のシステムの信号をモニタしてください。システムの効率も
モニタできます。
このトポロジーはプッシュ-プル・コンバータほどノイズは低く
ありませんが、他のソリューションに比べると低ノイズの絶縁
電源を低コストで実現できます。
お問い合わせ先
弊社応用技術部門までお願いします。
な範囲のもので問題はありません。これらの出力は1つのセン
ス抵抗を共有しているため、両方の出力の電流の合計値が V C
ピンで設定された限界値を超えると、出力はいずれもオフにな
ります。
13
LT1533
3V から 5V の順方向プッシュ - プル DC/DC コンバータ
3V
+
CIN
4.7µF
14
11
3
CT
1.3nF
4
5
RT, 16.9k
6
10
CVC
0.01µF
14
T1
10 : 29
VIN
SHDN
COL A
DUTY
COL B
SYNC
CT
PGND
LT1533
RVSL
RT
RCSL
VC
GND
NFB
9
8
FB
DS1
1N5819
2
LO*
300µH
DS2
1N5819
15
+
5V
250mA
C1
47µF
NOTE 1
16
13
RVSL, 20k
12
RCSL, 20k
7
R2
2.49k
1%
R1
7.5k
1%
1533 TA03
*COILTRONICS CTX300-3
NOTE 1: 25nH TRACE INDUCTANCE
LT1533
寸法値は特に指定がない限り inch (mm)
S パッケージ
16 ピン・プラスチック SO (細型 0.150)
(LTC DWG # 05-08-1610)
0.386 – 0.394*
(9.804 – 10.008)
16
15
14
13
12
11
10
9
0.150 – 0.157**
(3.810 – 3.988)
0.228 – 0.244
(5.791 – 6.197)
1
0.010 – 0.020
× 45°
(0.254 – 0.508)
0.008 – 0.010
(0.203 – 0.254)
2
3
4
5
0.053 – 0.069
(1.346 – 1.752)
0.014 – 0.019
(0.355 – 0.483)
7
8
0.004 – 0.010
(0.101 – 0.254)
0° – 8° TYP
0.016 – 0.050
0.406 – 1.270
6
0.050
(1.270)
TYP
S16 0695
*DIMENSION DOES NOT INCLUDE MOLD FLASH. MOLD FLASH
SHALL NOT EXCEED 0.006" (0.152mm) PER SIDE
**DIMENSION DOES NOT INCLUDE INTERLEAD FLASH. INTERLEAD
FLASH SHALL NOT EXCEED 0.010" (0.254mm) PER SIDE
15
LT1533
PART NUMBER
DESCRIPTION
COMMENTS
LT1129
700mA Micropower Low Dropout Regulator
0.4V Dropout Voltage, Reverse Battery Protection
LT1175
500mA Negative Low Dropout Micropower Regulator
Positive or Negative Shutdown Logic
LT1377
1MHz High Efficiency 1.5A Switching Regulator
High Frequency, Small Inductor
LT1425
Isolated Flyback Switching Regulator
Excellent Regulation Without Transformer “Third Winding”
LTC®1436
High Efficiency Synchronous Switching Regulator
Adaptive PowerTM Mode, Phase Locked Loop
Adaptive Power is a trademark of Linear Technology Corporation.
16
リニアテクノロジー株式会社
〒 162-0814 東京都新宿区新小川町 1-14 NAO ビル 5F
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