DN163 - 1mAオペアンプによる高精度ポータブル回路

1µAオペアンプによる高精度ポータブル回路 − デザインノート 163
Mitchell Lee 、 Jim Williams
わずか1µAの消費電力と高精度DC仕様で規定される新しい
デュアル・オペアンプにより、高性能なポータブル・アプリ
ケーションを実現できます。
LT®1495は、
375mVのオフセッ
ト、
2µV/℃のドリフト、
1nAのバイアス電流、
および100dBの
開ループ利得を備えています。
これらの特性と入念な設計に
より、
ポータブルな高性能回路を構築できます。
回路の内部AC結合により、A1のDC特性が総合的なDC性
能に影響を与えないよう防止し、極端に低いオフセット誤
差を達成しています。
望ましいマイクロパワー動作とA1の帯域幅のため、
5Hzのク
ロック・レートが必要です。
このように、
結果として総合帯域
幅は低くなります。
フルパワー帯域幅は約1V/sのスルーレー
ト時に0.05Hzです。
約5µVのクロック関連ノイズはCCOMP
を増やせば低減でき、
帯域幅も同様に減少します。
5.5µA、0.05µV/℃チョップ型アンプ
図1に5.5µAの電源電流しか必要としないチョップ型アンプ
を示します。
オフセット電圧は5µV、
ドリフトは0.05µV/℃で
す。
大きな閉ループ利得時にも、
108を超える利得により高精
度を達成しています。
電源流出13µAの0.03%リニアV/Fコンバータ
図2の電圧/周波数コンバータは、
LT1495の低消費電力の利点
をフルに活用したものです。
0V∼2.5Vの入力により、
0.03%の
直線性、
250ppm/℃ドリフト、
および10ppm/V電源除去特性を
備えた0Hz∼10kHzの出力を生成します。
最大消費電流はわず
か13µAで現在入手可能なICの1/200です。
コンパレータC1は、
D1、
D2、
および100pFのコンデンサで構成されるチャージ・ポ
ンプをスイッチングして、
負入力を0Vに維持します。
A1と関連
の部品は、
チャージ・ポンプ用の温度補償リファレンスを形成し
ています。
100pFコンデンサは一定の電圧まで充電されます。
したがって、
スイッチング反復レートだけが帰還を維持するた
めの回路の自由要素です。
コンパレータC1は、
入力電流に精密
に比例する反復レートで電荷の均一パケットを負入力に注ぎ
マイクロパワー・コンパレータC1AおよびC1Bで、2相の
5Hzクロックを形成します。
このクロックは入力関連スイッ
チをドライブし、
それによってDC入力を振幅変調した波形
がA1Aの入力に現れます。AC結合されたA1Aは利得1000
を実現し、
出力を上記の変調器に類似したスイッチ式復調器
に提示します。
復調器出力は回路の入力を再生したDC増幅波形で、
DC利得
段A1Bに供給されます。A1Bの出力は利得設定抵抗を通し
て入力変調器に帰還され、
アンプ全体の帰還ループを閉じま
す。
アンプ利得は帰還抵抗比
(この場合は1000)
で設定され
ます。
φ1
、LTC、LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。
CCOMP
0.2µF
1µF
5V
+
INPUT
φ2
1µF
A1A
1/2 LT1495
1M
φ2
–
1M
–
A1B
1/2 LT1495
10M
φ1
– 5V
OUTPUT
+
10k
10M
10M
10k
φ1
–
0.047µF
C1A
1/2
®
LTC
+ 1441
–
10M
10M
5V
C1B
1/2 LTC1441
+
– 5V
φ2
GAIN: 1000
OFFSET: 5µV
DRIFT: 50nV/°C
SUPPLY CURRENT: 5.5µA
BANDWIDTH: 0.2Hz
CLOCK RATE: 5Hz
CD4016 QUAD
図1. 消費電流が5.5µAの0.05µV/℃チョップ型アンプ
09/97/163
DN163 F01
270k
10M*
3.9M*
5V
–
390Ω
562k*
1µF
–
20M
3.9M
+
VIN
0V TO 2.5V
A1
1/2 LT1495
+
100k
5V
C1
LTC1440
0.0082µF
+
1.2
REFERENCE
LTC1440
12pF
1N4148
3.6M TYP
SELECT FOR 100Hz
AT VIN = 0.025V
360k
Q1: ZTX-849
*1% METAL FILM
†
POLYSTYRENE
D1
39k
15k
Q1
100pF†
10M
OUTPUT
0kHz TO 10kHz
0V – 2.5V = 0kHz – 10kHz
SUPPLY CURRENT = 6.2µA QUIESCENT
= 13.3µA AT f = 10kHz
LINEARITY: ± 0.03%
PSRR (4.4V TO 36V): 10ppm/V
TEMPERATURE DRIFT: 250ppm/°C
0.05µF
–
1N5712
A2
1/2 LT1495
D2
+
DN163 F02
図2. 消費電流がわずか13µAの0kHz∼10kHz電圧/周波数コンバータ
込みます。
この動作により回路の出力周波数は、入力電圧に
よってのみ厳密に決定されます。
シンクすることができ、
短絡時には電池を保護するために電
流制限されます。
起動または入力オーバドライブによって、
回路のAC結合帰還
をラッチすることができます。
これが発生するとC1の出力が
“L”
になります。
A2は10M/0.05µF遅れてこれを検出すると
“H”
になります。
これによって、
C1の正入力が高くなり、
Q1で負入
力を接地して通常の回路動作を開始します。
一度電源を投入したら、回路をターンオフする理由はあり
ません。1個のAAAアルカリ・セルは1200mAHの容量を備
えており、これはセルの5年間の貯蔵寿命中に回路に電源
を供給するのに十分なものです。
電圧出力精度は約0.17%で、電流出力精度は約1.2%です。
R1を調整して電圧
(0.1%/kΩ)
を較正し、R3を調整して出
力電流
(0.4%/kΩ)
を較正します。
最後の回路は図3の独自のポータブル・リファレンスであり、
2個のAAAアルカリ・セルから16µAしか流しません。
バッテ
リの寿命は5年であり、
これは貯蔵寿命と同じです。
ポータブル・リファレンス
2 AAA
ALKALINE
CELLS
–
Q1
ZTX214C
1/2 LT1495
LT1634Aのリファレンスは自己バイアスされており、問題
のあるライン・レギュレーションを完全に除去します。
LT1495オペアンプによって起動が保証されており、オペ
アンプの出力は最初に負レールから11mVで飽和します。
1µAの電流出力は、R3に印加されたリファレンス電圧の一
部から送られます。
ポータブル・リファレンスの電流出力はコモンよりはるかに
低くすることができ、これはQ1の45Vの破壊電圧によって
のみ制限されます。1.5V出力は最大700µAをソースまたは
R4
24k
5%
+
バッファされた1.5V電圧出力と安定化された1.5µA電流源の2
つの出力が用意されています。
電流源の対応は約1V∼−43Vま
での範囲です。
R3
249k
0.1%
+
1/2 LT1495
–
LT1634A-1.25
R1 TO R3: MAR5 SERIES
IRC (512) 992-7900
1µA
COM
1.5V
R1
200k
0.1%
R2
1M
0.1%
DN163 F03
図3. 2個のAAAセルで5年間動作する
ポータブル・リファレンス
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東京エレクトロンデバイス株式会社
株式会社トーメンエレクトロニクス
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 LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 1997