ひとつのICで5出力のポータブル電子機器用スイッチング 電源システム − デザインノート 150 Steve Hobrecht 高性能ポータブル電子システムが普及し、既存のインタ フェース標準やハードウェアとの互換性を維持するため に、システム電源電圧の数が増えてきました。このデザイ ンノートでは、多数の追加構成に適応できる内部回路を備 えたLTC ®1538-AUX、デュアル同期式スイッチング・レ ギュレータ・コントローラを使用して、5つの独立した出力 電圧を生成する方法を説明します。この例で選択した5つの 出力電圧は以下のとおりです。 ■ 5V±4%/25mAリニア・レギュレータ。スイッチング・レ ギュレータ・コントローラの状態に関係なくアクティブ状 態を維持します。 ■ 5V±2%/3A同期式スイッチング降圧レギュレータ ■ 3.3V±2%/6A同期式スイッチング降圧レギュレータ ■ 3.3V出力から電源を引き出す2.9V±5%/3Aピーク低ド ロップアウト・リニア・レギュレータ ■ 5V出力から電源を引き出す12V±5%/200mA同期式整流 フライバック出力 消費電流100mA、5Vスタンバイ・リニア・レギュレータ は、ポータブル・システムの 「ウェイクアップ」回路に効率 的に電力を供給でき、25mAを供給可能です。 VOUT5 2.90V 2.6A IOUT5 0.4A CH1 100mV/DIV, CH2 1A/DIV DN151 F01 図1. 2.9V出力過渡負荷ステップ性能 03/97/150 5 V および3 . 3 V スイッチング・レギュレータは、2 本の RUN/SSピンによって個別にアクティブになり、非常に効 率的な固定周波数動作を実行します。これは、高電流時に は同期降圧アーキテクチャを使用し、そして最大電流の約 10%∼15%以下 (各コントローラの電流感知抵抗によって決 定される) で動作するバースト・モードTM動作に切り替わる ことにより達成されます。 第1コントローラからの5V出力、または4.8V∼10V間の任 意の外部電圧をExtVCCピンに接続することができます。印 加された電圧が4.8V以上の場合は、この外部ソースからの 電力と電圧が内部5Vリニア・レギュレータに取って代わり ます。この手法により、内部リニア・レギュレータを流れ る電流と (VIN−5V) の電圧降下によって、ICで消費される電 力をなくすことによって効率を改善します。 2.9Vリニア・レギュレータは、3.3V出力から電力を引き出 して、図1に示すダイナミック性能を持つ広帯域幅、低ド ロップアウト・リニア・レギュレータの機能を実行しま す。 レギュレータの支配ポールは出力容量と負荷抵抗で設定さ れます。ユニティゲイン・クロスオーバ周波数よりも進ん だ位相を生成するために、出力コンデンサにいくらかの ESR (0.02Ωから0.1Ω) がある場合は、ループは安定してい ます。ここで使用されているAVX-TPSタンタル・コンデン サまたは三洋のOS-CONタイプのコンデンサは、複雑なイ ンピーダンス特性を有し、アンプのユニティゲイン交差周 波数において、ゼロに近い位相シフトを提供します。 12V/200mA出力は同期してドライブされ、第1コント ローラの一次巻線上に密結合された2次巻線があり、全負荷 およびライン状態で±5%の許容差を持つ高効率の出力を生 成します。出力電圧はSFB1入力ピンにフィードバックさ れ、内部1.19Vリファレンスと比較されます。このフィー ドバックによって、主コントローラを「強制同期」モードに 強制し、プライマリ5Vレギュレータに関係なく12V出力を 、LTC、LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。 バースト・モードはリニアテクノロジー社の商標です。 は、5Vおよび3.3V出力に1A、そして12V出力に67mAの負 荷を接続し場合に最大95%になります。 安定化させます。巻線比をわずかに高めリニア・レギュ レータを1個追加すれば、より厳密な安定化を達成すると同 時に、リップルをさらに低減することができます。 100 VIN = 12V 図2に図3の回路の総合効率を示します。 I2.9=Proportional 曲線は、 全出力が5V/3A、 3.3V/3A、 2.9V/3A、 12V/200mA のような最大設計負荷に比例する負荷が接続されたときの 効率を示します。たとえば、 2.9V出力に1A(最大設計負荷の 33 %)の負荷が接続されると、総合効率は90%に低下しま す。この同じ効率点で、 他の3つの出力に5V/1A、3.3V/1A、 12V/67mAの負荷が接続されます。36Wのピーク負荷の場 合、 上記で規定されるとおり、効率は85%に低下します。 EFFICIENCY (%) 90 100k 1% 80 I2.9 = PROPORTIONAL (SEE TEXT) 70 60 50 I2.9=0曲線は、負荷が接続されていない2.9V出力を除くす べての出力に、それぞれの最大負荷に比例する負荷が接続 される場合の効率を示しています。この曲線は27.3Wの 100%設計負荷を表したものです。この曲線では回路の効率 11.3k 1% I2.9 = 0 1 10 100 0.1 PERCENT OF DESIGNED MAXIMUM 36W LOAD (%) MAXIMUM LOADS: 5V/3A, 3.3V/3A, 2.9V/3A, 12V/0.2A DN150 F02 図2. 効率と設計最大負荷の割合 10 VOUT4 12V 0.2A CMDSH-3 M4 0.01µF 0.1µF 2 100W 1000pF 100W 1000pF TGL1 RUN/SS1 SW1 3 SENSE + 1 4 –1 5 1000pF 10k BOOST1 SENSE VPROG1 VIN BG1 INTVCC 6 56pF 220pF 470pF 1000pF 10k 56pF 392k, 1% 221k 1% 22pF 1000pF 220pF ITH1 PGND LTC1538-AUX 7 COSC BG2 8 SGND EXTVCC 9 SW2 SFB1 10 TGL2 ITH2 11 VOSENSE2 BOOST 2 12 SENSE – 2 AUXON 13 SENSE + 2 AUXFB 14 RUN/SS2 AUXDR + 0.1µF 28 22µF 35V ·2 M1A 27 26 0.033W 1/2W VOUT2 5V 3A M1B 0.1µF + MBRS140 23 4.7µF, 16V VIN 7V TO 28V 220µF 10V GND 22 M3 21 MBRS140 + 220µF 10V 0.02W 1/2W CMDSH-3 20 L1 M2 10µH 19 + 0.1µF 18 VOUT3 3.3V 3A 22µF 35V ·3 17 16 6.8nF 47W 15 27W 2N2907A 10W 10W 0.1µF 3.3µF 25V CMDSH-3 25 24 + + 1 T1 1:1.42 4.7k ZETEX ZTX849 10W 100W VIN 7V TO 28V; SWITCHING FREQUENCY = 200kHz T1: DALE LPE6562-A236 GAPPED E-CORE M1A, M1B = SILICONIX Si4936DY M2, M3 = SILICONIX Si4412DY M4 = INTERNATIONAL RECTIFIER IRLL014 INPUT CAPACITORS ARE 35V AVX-TPS SERIES 5V, 3.3V AND 2.9V OUTPUT CAPACITORS ARE AVX-TPSV LEVEL II SERIES VOUT1 5V STANDBY 22pF 316k 1% 221k 1% VOUT5 2.9V 3A + 330µF 6V ·2 DN150 F03 図3. システムの回路図 お問い合わせは当社または下記代理店まで(50 音順) 東京エレクトロンデバイス株式会社 株式会社トーメンエレクトロニクス 株式会社マクニカ 〒 224-0045 横浜市都築区東方町 1 TEL(045)474-5114 FAX(045)474-5617 〒 108-8510 東京都港区港南 1-8-27 TEL(03)5462-9615 FAX(03)5462-9695 〒 226-8505 横浜市緑区白山 1-22-2 TEL(045)939-6104 FAX(045)939-6105 リニアテクノロジー株式会社 162-0814 東京都新宿区新小川町 1-14 NAO ビル 5F TEL(03)3267-7891 FAX(03)3267-8510 http://www.linear-tech.com 0798 4K • PRINTED IN JAPAN ª LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 1997