大電流ポータブル電子機器向けバッテリ・チャージャ

大電流ポータブル電子機器向けバッテリ・チャージャ・ソリューション
USB 入力とACアダプタ入力を多重化した、
リチウムイオン/LiFePO4 バッテリ向け 3.5Aチャージャ
デザインノート496
George H. Barbehenn
はじめに
ルチプレクサは、優先入力選択機能および各チャンネルで独
した入力電流制限を備えています。
LTC 4155 および LTC4156 は、2 入力を多重化したバッ
テリ・チャージャで、PowerPath™ 制 御を備えています。
I2C によるプログラミングが可能で、タブレット PC や大電
力密度アプリケーションなどのシステムに向けた USB OnThe-Go を特長にしています。LTC4155 のフロート電圧
(VFLOAT) の範囲はリチウムイオン・バッテリ向けに最適化
されており、LTC4156 はリチウム燐酸鉄 (LiFePO4) バッ
テリ向けに最適化されています。4A までのシステム負荷を
サポートし、バッテリ充電電流は最大 3.5A です。I2C は広
範囲の機能を制御し、USB On-The-Go 機能は USB コ
ネクタの ID ピンから直接制御されます。
®
アプリケーションには、大 電 流 AC アダプタ入 力または
USB 入力から充電可能な、大容量リチウムイオン・バッテリ
または LiFePO4 バッテリを搭載した機器 ( タブレット PC な
ど ) があります。標準的応用回路を図 1 に示し、その効率
を図 2 に示します。
こ の 2 入 力 マ ル チプレクサ を 実 現 するに は、 安 価 で
RDS(ON) が低い N チャネル MOSFET を使うことができま
す。これらの MOSFET は過電圧保護 (OVP) も提供し、
必要に応じてバックドライブ・ブロックや逆電圧保護 (RVP)
も行えます。バックドライブ・ブロックは、AC アダプタ入力
の電圧が USB をバックドライブすること ( またはその逆 ) を
入力マルチプレクサ
LTC4155/LTC4156 に内蔵された PowerPath に特有の
特長は、内部チャージポンプによって制御される N チャネル
MOSFET だけを使った 2 入力マルチプレクサです。入力マ
7
11
WALLSNS
WALLGT
SW
WALL
VOUTSNS
USB
L1
1µH
21, 22
23, 24, 25
C3
10µF
TO µC
TO µC
CHGSNS
19, 20
8
17
USBGT
BATGATE
USBSNS
16
BATSNS
14
NTCBIAS
4
ID
3 1, 2, 28 2
I C
3
IRQ
10
OVGCAP
CLPROG1 CLPROG2 GND VC
5
L1: COILCRAFT XFL4020-102ME
MN1: Si4430BDY
MP1: VISHAY Si5481DU-T1-GE3
R3
1.21k
6
29
NTC
PROG
12
C1
0.047µF
15
MP1
90.0
EFFICIENCY
TO BATTERY
87.5
R5
80k
1.8A
LIMIT
VBATSNS = 3.7V
1.5
POWER LOST
TO VOUT
1.0
0.5
0
1.5 2.0 2.5 3.0 3.5
CURRENT (A)
DN4GB F02
INCLUDES LOSSES FROM 2× Si7938DP OVP FETS
XFL4020-102ME INDUCTOR AND Si5481DU CHARGER FET
0
0.5
1.0
図 2.スイッチング・レギュレータの効率
18
R4
665Ω
図 1.バックドライブ保護なしの、簡単な入力
マルチプレクサを使用した標準的アプリケーション
3.0
2.0
POWER LOST
TO BATTERY
82.5
75.0
3.5
2.5
85.0
77.5
DN4GB F01
11/11/496
EFFICIENCY
TO VOUT
80.0
9
R1, 3.6k
VBUS
4.0
92.5
C2
22µF
13
LTC4155/LTC4156
MN1
95.0
TO SYSTEM
LOAD
POWER LOST (W)
VOUT
MN2
26, 27
EFFICIENCY (%)
R2, 3.6k
L、LT、LTC、LTM、Linear Technology および Linear のロゴはリニアテク
ノロジー社の登録商標です。PowerPath はリニアテクノロジー社の商標です。他
の全ての商標はそれぞれの所有者に所有権があります。
防ぎます。バックドライブ・ブロックは、片方または両方の入
力に対して実装することができます。 逆電圧保護は、保護
される入力に印加された負電圧が下流の回路に達するのを
防ぎます。
デュアル大電流入力アプリケーション
ダイオード構成の NPN(Q3 および Q4) は、ダイオードおよ
び NPN バイポーラ・トランジスタの B-C 接合を介して入力
から電流を流し、5M 抵抗を介してゲートをプルアップして、
相当するチャンネルの入力に近い MOSFET の過剰な VGS
を防ぐ役目をします。これにより、ゲートがソースより 2V 以
上低くなることを防ぎます。
OVP、RVP、およびバックドライブ 保 護を備えた、デュ
ア ル 3.5A 入 力 ア プリケ ー ション を 図 3 に 示 しま す。 一方の入力が 6V を超えていても、他方の入力の正常動作
FDMC8030 の MOSFET が、±40V の OVP 保 護 と を妨げることはありません。
RVP 保護を提供します。
AC アダプタまたは USB のどちらかが 0V を下回る入力
AC アダプタまたは USB のどちらかに 0V ~ 6V の入力
図 3 の回路で、どちらかの入力に 0V ~ 6V の入力が存在
するとき、対応するゲート信号は VIN の約 2 倍に上昇して、
2 個の N チャネル MOSFET をイネーブルし、その入力を
VBUS に接続します。低電圧ロックアウト (UVLO) は各チャ
ンネルで約 4.35V です。
LTC4155/LTC4156 は優先入力ビットを備えており、既定
では AC アダプタになります。両方の入力に有効な電圧が
存在すると、WALLGT だけがアクティブになります。I2C
によって優先入力ビットを変更し、両方の入力が存在すると
きに USB チャンネルを優先させることもできます。
AC アダプタまたは USB のどちらかに 6V を超える入力
どちらかの入力が 6V を超えると、対応する WALLGT ピン
または USBGT ピンが "L" になり、対応する MOSFET を
オフし、入力を切断します。 両方の入力が 5V で、優先入
力ビットによってイネーブルされている入力が 6V を超える
と、LTC4155/LTC4156 は自動的にシームレスに他方の
入力に切り替わり、VOUT に乱れは生じません。
Q3
Q1
R5
47k
USBSNS ピンと WALLSNS ピンは負入力を無視して、こ
れらのピンを –VF( 約 –0.6V) にクランプします。負電圧は
NPN バイポーラ・トランジスタのベース - エミッタ接合を順
方向にバイアスし、ゲートを入力に短絡して、ゲートがソー
スより約 0.5V より上がらないようにします。
一方の入力に負電圧が加わっても、他方の入力の正常動作
を妨げることはありません。
OTG 動作
LTC4155/LTC4156 は、
USB On-The-Go 動作がイネー
ブルされていると、USBGT ピンを "H" にドライブして、
VBUS を USB 入力に接続し、最大 500mA を供給できるよ
うにします。
まとめ
LTC4155/LTC4156 は、複数のシステム電源やバッテリ
充電機能をサポートする必要がある製品向けに、過電圧と
逆電圧に対して保護された、優先入力選択可能なマルチプ
レクサを実現します。オプションのバックドライブ・ブロック
は、未接続の入力に電圧が現れないようにします。
R1 3.6k
R3, 5M
TO WALL
INPUT
WALLSNS
WALLGT
LTC4155/LTC4156
TO USB
INPUT
MN1A
MN1B
MN2A
MN2B
VBUS
R4 5M
R2 3.6k
Q4
Q2
R6
47k
MN1, MN2 = FDMC8030
+
USBGT
USBSNS
OVGCAP
C1
OPT
0.01µF
DN4GB F03
図 3.OVP、RVP、およびバックドライブ・ブロック付き LTC4155/LTC4156 入力マルチプレクサ
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