DN411 - シンプルでコンパクトな4出力のポイント

シンプルでコンパクトな4出力のポイント・オブ・ロードDC/DC
µModuleシステム ‒ デザインノート411
Jian YinとEddie Beville
はじめに
基板アセンブリ、PCBのレイアウトおよびデジタルICの集積
化の進歩により、高密度に実装された高性能システムの新世
代が登場しています。これらのシステムの基板実装型ポイン
ト・オブ・ロード(POL)DC/DC電源に対しては、他のサブシ
ステムと同様のサイズ、性能および電力に関する厳しい要件
が課せられますが、これらの要求を、従来の電源モジュール
やコントローラ/レギュレータICで満たすことは困難です。
LTM4601 DC/DC µModuleTMコンバータは、ソリューショ
ン全体を高さの低いICのサイズにまで縮小して、これらの要
求を満たします。周波数同期と電圧トラッキングの機能を備
えているので、複数のLTM4601を多出力アプリケーション
用に簡単に素早く構成することができます。
4出力DC/DCコンバータによる電力システム
周波数同期と出力トラッキングを備えた4個のµModuleコ
ンバータを使った4出力DC/DC電源の写真を図1に示しま
す。4つの出力の動作波形は90°の相対位相差で相互に差
し挟まれていますので、入力電流の実効リップルが減少し
ます。このため、回路のバルク容量と回路サイズが大きく
減少します。
図1の各出力の効率を図2に示します。12Vの入力電圧で
は、各出力は、他の3つの出力をディスエーブルすることに
より、最大12Aまでテストされます。最大92%の高い効率
により、回路基板の低損失が保証されますので、システム
の高さを下げることができます。
図1の 簡 略ブロック図を図 3に 示します。詳 細 な回 路 図
に関しては、LTM4601のデータシートの22ページを参
照してくだ さい 。8 V∼16 Vの 中 位のバ ス入 力 が 4つ の
異なる出力 (1.5V/12A、1.8V/12A、2.5V/12Aおよび
3. 3V/10A) に変 換されます。出力電 圧はLTM4 6 01の
VFBピンの抵抗によって設定されます。4フェーズ発振器
であるLTC69 02が 9 0 °位相をずらせたクロック信号を
発生します。さらに、LTC6902のMODピンからV + に外
部抵抗を追加することにより、拡散スペクトラム周波数変
調(SSFM)を起動することができます。
������、
LT、
LTCおよびLTMはリニアテクノロジー社の登録商標で、
�Moduleは
リニアテクノロジー社の商標です。他のすべての商標はそれぞれの所有者に
所有権があります。
95
90
cm
EFFICIENCY (%)
85
80
75
70
3.3 VOUT
2.5 VOUT
1.8 VOUT
1.5 VOUT
65
60
0
2
8
6
10
4
OUTPUT CURRENT (A)
12
14
DN411 F02
図1. 4出力の103W DC/DCシステムをこの小さなスペース
に収めることができる(各LTM4601 µModule DC/DCコ
ンバータにはインダクタ、MOSFET、バイパス・コンデンサ
などが含まれている)
03/07/411
図2. 図1の回路の各出力の効率
出力トラッキング
LTM4601の出力電圧は別のコンバータの出力に比例させ
て、または一致させてトラッキングすることができます。図
1の回路は、3.3Vの出力(マスタ)を他のµModuleコンバータ
(スレーブ)のTRACK/SSピンに抵抗分割器を介して接続す
ることにより、同時トラッキングを実現しています。同時トラ
ッキングでは、
マスタの出力電圧はスレーブの出力電圧より
高くなければなりません。3.3Vマスタ電源のTRACK/SSピ
ンのソフトスタート・コンデンサにより、起動電圧のランプ・
レートが設定されます。出力トラッキングを使った4つの出力
の起動波形を図4に示します。
周波数同期
回路の、位相を180°
ずらせた1.8Vと3.3Vの出力の入力電流
リップルを図5に示します。図5で、3.3V出力の入力電流リッ
プルはそのPLLN信号に同期しています。したがって、位相を
90°
ずらせた4つの入力では、入力電流リップルが部分的に
キャンセルされるので、必要な入力容量が減少します。
まとめ
LTM4601の同期とトラッキングの機能により、4出力ソリ
ューションの相互に差し挟まれた位相が可能になりますの
で、入力容量が減少し、設計がコンパクトになります。高効
率と優れた熱性能により、11cm×11cmの4層PCBで合計
最大103Wを扱うことが可能になります。
LTM4601の動作周波数を外部クロックに同期させて望まし
くない周波数の高調波を減らすことができ、また、その動作
を他のLTM4601と相互に差し挟むことができます。図1の
ソフト・スタート
�����
��������
�������
トラッキング
��������
��������
�������
クワッド・
マルチフェーズ発振器
トラッキング
��������
��������
トラッキング
��������
��������
�または、
���������を使用
���������
図3. コンパクトな4出力のポイント・オブ・ロードDC/DC µModuleコンバータ・ソリューションの簡略回路図。LTC6902は
4個のµModuleコンバータの動作波形を相互に差し挟むので、リップル電流は相互にキャンセルされる。これにより、必要
な入力コンデンサのサイズが大きく減少する。スタートアップとシャットダウンの電圧トラッキングは、3.3V µModule(出
力1)の出力を他のµModuleコンバータに接続するだけで簡単に実現される
3.3V
2.5V
500mV/DIV
1.8V
1.5V
PLLN OF
3.3V OUTPUT
1V/DIV
50mA/DIV
AT 3.3V OUTPUT
INPUT
CURRENT
RIPPLES
20mA/DIV
AT 1.8V OUTPUT
10ms/DIV
0.5µs/DIV
DN411 F04
図4. 図1の回路の起動波形は出力の同時トラッキングを
示している
DN411 F05
図5. 周波数同期を使って電源の動作を相互に
差し挟むことにより、入力電流リップルが減少
する
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