NJM2267 データシート

NJM2267
2 回路入り 75Ω ドライバ内蔵 6dB ビデオアンプ
■ 概 要
NJM2267 は 2 回路入りのビデオ信号用 6dB アンプです。2 回路共クランプ
回路を内蔵しており,ビデオ信号の DC レベルを固定して使用できます。また
それぞれに 75Ω ドライバ回路も内蔵しており,TV モニター等に直結できます。
動作電源電圧 4.85∼9V,周波数特性は 7MHz で,S-VHS,Hi バンドビデオ
等にも適しています。
■ 特 徴
●広動作電源電圧範囲
4.85∼9.0V
●2 回路入り
●クランプ回路内蔵
●75Ω ドライバー内蔵
●出力サグ補正機能内蔵
●広帯域周波数特性
7MHz
●低消費電流
14.0mA(2 回路)
●外形 DIP8,DMP8,SSOP8
■ 推奨動作条件
電源電圧 V+
4.85∼9.0V
■ 用 途
●VTR,ビデオカメラ,AV テレビ,ビデオディスクプレーヤー等
■ ブロック図
■ 外 形
NJM2267D
NJM2267M
NJM2267V
■ 絶対最大定格
電
項
源
目
電
圧
記 号
V+
消
費
電
力
PD
囲
囲
Topr
Tstg
動
保
作
存
温
温
Ver.2012-01-16
度
度
範
範
定
格
10
(D タイプ) 500
(M タイプ) 300
(V タイプ) 250
-40∼+85
-40∼+125
単 位
V
mW
°C
°C
-1-
NJM2267
■ 電 気 的 特 性(測定条件 V+ = 5V,Ta =25°C)
項
目
記 号
条
件
電
源
電
流
ICC
入力無信号
電
圧
利
得
GV
VIN:1MHz,1VP-P 正弦波入力
最 小
標 準
最 大
単 位
-
14.0
18.2
mA
5.7
6.0
6.7
dB
性
Gf
VIN:1VP-P 正弦波 7MHz / 1MHz
-
-
±1.0
dB
微
分
利
得
DG
VIN:1VP-P 標準ステアケース信号入力
-
1.0
3.0
%
微
分
位
相
周
波
数
特
DP
VIN:1VP-P 標準ステアケース信号入力
-
1.0
3.0
deg
チャンネル間クロストーク
CT
VIN:4.43MHz 1VP-P 正弦波入力
-
-70
-
dB
チャンネル間ゲインオフセット
GCH
VIN:1MHz,1VP-P,GCH=VOUT1-VOUT2
-
-
±0.5
dB
VCL
1.79
1.91
2.03
V
GSAG
35
45
-
dB
ク ラ ン プ 端 子 電 圧
サ
グ
端
子
利
得
■ 電気的特性の測定方法(V+ = 5.0V,Ta =25°C)
項
電
電
源
圧
目
電
利
記 号
流
得
スイッチ条件
条
S1 S2 S3 S4 S5 S6
件
ICC
H
H
⑦pin 流入電流
GV
H
H ON ON
VIN1(VIN2):1MHz,1VP-P 正弦波入力,VOUT1(VOUT2)
:測定
VOUT1 / VIN1,VOUT2 / VIN2 にて判定
Gf
H
H ON ON
VIN1(VIN2):1MHz,1VP-P の電圧利得測定→GV1M
VIN1(VIN2):7MHz,1VP-P の電圧利得測定→GV10M
周 波 数 特 性
Gf = GV10M - GV1M にて判定
微
分
利
得
DG
H
H ON ON
微
分
位
相
DP
H
H ON ON
VIN1(VIN2):標準ステアケース信号入力,VOUT3(VOUT4):測定
チャンネル間
クロストーク
CT
H
L ON ON
VIN1:4.43MHz,1VP-P 正弦波入力,VOUT2:測定,VOUT2/VIN1 にて判定
チャンネル間
ゲインオフセット
GCH
クランプ端子電圧
VCL
H
H
GSAG
H
H
TP3(TP4):測定→Vo1A(Vo2A),TP5(TP6):測定→Vso1A(Vso2A)
H
H
ON ON TP3(TP4):測定→Vo1B(Vo2B),TP5(TP6):測定→Vso1B(Vso2B)
サグ端子利得
VIN1(VIN2):標準ステアケース信号入力,VOUT3(VOUT4):測定
VIN2:4.43MHz,1VP-P 正弦波入力,VOUT2:測定,VOUT1/VIN2 にて判定
H
H ON ON
VOUT1 / VIN1 電圧利得測定→GV1,VOUT2 / VIN2 電圧利得測定→GV2
GCH = GV1 - GV2 にて判定
TP1(TP2)
:測定
GSAG=20log{ (Vo1B - Vo1A) / (Vso1A - Vso1B) } にて判定
GSAG=20log{ (Vo2B -Vo2A) / (Vso2A - Vso2B) } にて判定
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■ 測 定 回 路
■ 使用上の注意
・発振対策
軽負荷時(RL»1kΩ)の発振に対しては,カットオフ周波数 70MHz
程度の LPF を挿入すると効果的です。
例)
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■ 端 子 説 明(V+ = 5.0V,Ta = 25°C)
端子 No.
端子名称
記 号
機
能
1
クランプ入力端子
VIN1
1.9V クランプ,
1VP-P コンポジッ
トまたは Y 系信号入力。
2
GND
GND
グランド
3
サグ補正機能端子
VSAG1
出力のカップリング C により発
生するサグを外付け C によりサ
グ補正端子に帰還させること
で,サグの無い出力を得ること
ができます(ブロック図参照)
。
サグ補正機能を使用しない場合
は④pin と直結して使用してく
ださい。
4
出力端子
VOUT1
6dB アンプ出力,75Ω ラインを
ドライブ出来ます。
5
出力端子
VOUT2
6dB アンプ出力,75Ω ラインを
ドライブ出来ます。
6
サグ補正機能端子
VSAG2
出力のカップリング C により発
生するサグを外付け C によりサ
グ補正端子に帰還させること
で,サグの無い出力を得ること
ができます(ブロック図参照)
。
サグ補正機能を使用しない場合
は⑤pin と直結して使用してく
ださい。
7
V+
V+
電源
8
クランプ入力端子
VIN2
1.9V クランプ,
1VP-P コンポジッ
トまたは Y 系信号入力。
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内 部 等 価 回 路
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■クランプ回路について
(1)シンクチップクランプの動作
入力回路のシンクチップクランプ回路について説明します。シンクチップクランプ回路(以下ではクランプ回路)は、ビデ
オ信号の最低電位であるシンクチップを一定の電位に保つように動作します。
クランプ回路は、外付けの入力コンデンサ Cin の充放電を行う回路であり、ビデオ信号のシンクチップで外付けの入力コン
デンサ Cin に電荷を充電し、シンクチップの電位を固定します。ビデオ信号のシンクチップ以外の期間は、IC 内部への微小な
放電電流によりコンデンサ Cin から電荷を放電します。
このようにクランプ回路はビデオ信号の 1 水平期間毎に入力コンデンサ Cin の充放電行うことでビデオ信号のシンクチップ
を一定の電位に固定します。
ビデオ信号のシンクチップ部以外の期間では、微小な放電電流によって入力コンデンサ Cin から電荷を放電します。この放
電による電位低下は入力コンデンサ Cin の大きさに依存します。入力コンデンサの値を小さくすると H サグと呼ばれる歪が発
生します。このため、入力コンデンサの容量は 0.1uF 以上にしてください。
【クランプ回路】
【Vin 端子の信号波形】
(A)Cin が大きい場合
(B)Cin が小さい場合(H サグの発生)
(2)クランプ回路の入力インピーダンス
クランプ回路の入力インピーダンスは、入力コンデンサへの充電期間と放電期間で異なります。充電期間の入力インピーダ
ンスは、数 kΩです。一方、放電期間の入力インピーダンスは、微小な放電電流が IC 内部に流れるため、非常に高く数 MΩで
す。このように入力インピーダンスはクランプ回路の動作状態によって変わります。
(3)信号源のインピーダンス
入力端子に接続する信号源のインピーダンスは 200Ω以下としてください。信号源のインピーダンスが大きい場合には信号
が歪んでしまうことがあります。信号源のインピーダンスが大きい場合には、インピーダンス変換用にバッファを挿入するよ
うにお願いします。
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NJM2267
■サグ補正について
サグ補正回路は、出力カップリング容量と負荷抵抗で構成されるハイパスフィルターによる周波数低域の減衰を補正する回
路です。周波数低域の減衰は、ビデオ信号の垂直期間でのサグを発生させます。Vsag 端子のコンデンサ Csag が増幅器の負
帰還に挿入されており、周波数低域で利得を増加し、周波数低域の減衰を補正します。
サグ補正回路使用例
サグ補正回路未使用例
Vout 端子と Vout1 端子の波形
「サグ補正回路使用時」
Vout 波形
Vout1 波形
1 垂直期間
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「サグ補正回路未使用時」
Vout 波形
Vout1 波形
1 垂直期間
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サグ補正回路は、Vout 端子に低周波成分を増幅した信号を生成します。輝度変化の大きな信号を出力する場合、この輝度変
化分を補正する信号を Vout 端子に生成します。この時、信号が Vout 端子のダイナミックレンジを超えてしまい、同期信号が
欠けるなどの波形歪を引き起こす場合があります。
ビデオ信号が白 100%から黒となるような輝度変化が大きな信号を出力する場合、下図(緑波形)のように出力信号が Vout
端子のダイナミックレンジを超えるため信号が欠けることがあります。
入力信号
Vout 波形
Vout 端子のダイナミックレンジを超えてしまうため、
同期信号が欠けています。
Vout のダイナミックレンジ
Vout1 波形
ダイナミックレンジを超える波形歪の対処方法
SAG 補正回路によって Vout 端子の信号がダイナミックレンジを超えてしまう場合は以下のように対処します。
1.サグ補正コンデンサ Csag を小さくする。
→Csag を小さくすると輝度変化時に信号の変動が小さくなり、ダイナミックレンジを確保しやすくなります。しかし、
サグ特性は悪化するため出力コンデンサ Cout を大きくする必要があります。
2.サグ補正回路を使用しない。
→輝度変化による波形歪は起こりません。
しかし、サグが発生してしまいますので、出力コンデンサ Cout を大きくする必要があります。
3.電源電圧を高くする。
→内部の基準電圧は電源電圧と GND を分圧して生成しています。電源電圧を高くすることによってダイナミックレンジ
を確保することができます。
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NJM2267
Vcc=9.0V
Cout=330uF
Cout=220uF
Cout=100uF
Cout=47uF
Cout=33uF
【サグ補正回路使用時のサグ特性】
(Csag=10uF)
入力信号:バウンス信号(IRE0%、IRE100%、30Hz)
、負荷 RL=150Ω
波形=黄:入力信号、緑:Vout 信号、紫:Vout1 信号、赤:波形クリップ期間
Vcc=5.0V
Vcc=7.0V
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NJM2267
Vcc=9.0V
Cout=330uF
Cout=220uF
Cout=100uF
Cout=47uF
Cout=33uF
【サグ補正回路使用時のサグ特性】
(Csag=22uF)
入力信号:バウンス信号(IRE0%、IRE100%、30Hz)
、負荷 RL=150Ω
波形=黄:入力信号、緑:Vout 信号、紫:Vout1 信号、赤:波形クリップ期間
Vcc=5.0V
Vcc=7.0V
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NJM2267
Vcc=9.0V
Cout=330uF
Cout=220uF
Cout=100uF
Cout=47uF
Cout=33uF
【サグ補正回路使用時のサグ特性】
(Csag=33uF)
入力信号:バウンス信号(IRE0%、IRE100%、30Hz)
、負荷 RL=150Ω
波形=黄:入力信号、緑:Vout 信号、紫:Vout1 信号、赤:波形クリップ期間
Vcc=5.0V
Vcc=7.0V
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Vcc=9.0V
Cout=330uF
Cout=220uF
Cout=100uF
Cout=47uF
Cout=33uF
【サグ補正回路使用時の波形(Csag=10uF)
】
入力信号:黒→白 100%、負荷 RL=150Ω
波形=黄:入力信号、緑:Vout 信号、紫:Vout1 信号、赤:波形クリップ期間
Vcc=5.0V
Vcc=7.0V
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Vcc=9.0V
Cout=330uF
Cout=220uF
Cout=100uF
Cout=47uF
Cout=33uF
【サグ補正回路使用時の波形(Csag=10uF)
】
入力信号:白 100%→黒、負荷 RL=150Ω
波形=黄:入力信号、緑:Vout 信号、紫:Vout1 信号、赤:波形クリップ期間
Vcc=5.0V
Vcc=7.0V
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Vcc=9.0V
Cout=330uF
Cout=220uF
Cout=100uF
Cout=47uF
Cout=33uF
【サグ補正回路使用時の波形(Csag=22uF)
】
入力信号:黒→白 100%、負荷 RL=150Ω
波形=黄:入力信号、緑:Vout 信号、紫:Vout1 信号、赤:波形クリップ期間
Vcc=5.0V
Vcc=7.0V
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Vcc=9.0V
Cout=330uF
Cout=220uF
Cout=100uF
Cout=47uF
Cout=33uF
【サグ補正回路使用時の波形(Csag=22uF)
】
入力信号:白 100%→黒、負荷 RL=150Ω
波形=黄:入力信号、緑:Vout 信号、紫:Vout1 信号、赤:波形クリップ期間
Vcc=5.0V
Vcc=7.0V
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Vcc=9.0V
Cout=330uF
Cout=220uF
Cout=100uF
Cout=47uF
Cout=33uF
【サグ補正回路使用時の波形(Csag=33uF)
】
入力信号:黒→白 100%、負荷 RL=150Ω
波形=黄:入力信号、緑:Vout 信号、紫:Vout1 信号、赤:波形クリップ期間
Vcc=5.0V
Vcc=7.0V
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Vcc=9.0V
Cout=330uF
Cout=220uF
Cout=100uF
Cout=47uF
Cout=33uF
【サグ補正回路使用時の波形(Csag=33uF)
】
入力信号:白 100%→黒、負荷 RL=150Ω
波形=黄:入力信号、緑:Vout 信号、紫:Vout1 信号、赤:波形クリップ期間
Vcc=5.0V
Vcc=7.0V
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Cout=1000uF
Cout=470uF
Cout=330uF
Cout=220uF
Cout=100uF
【サグ補正回路未使用時のサグ特性(Vcc=5.0V)
】
入力信号:バウンス信号(IRE0%、IRE100%、30Hz)
波形=黄:入力信号、緑:Vout 信号、紫:Vout1 信号
RL=150Ω
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■ 特 性 例
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消費電流対周囲温度特性例
入力端子電圧対周囲温度特性例
出力端子電圧対周囲温度特性例
サグ端子電圧対周囲温度特性例
サグ端子利得対周囲温度特性例
電圧利得対周囲温度特性例
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■ 特 性 例
周波数特性対周囲温度特性例(クランプ入力)
微分利得対周囲温度特性例
微分位相対周囲温度特性例
消費電流対電源電圧特性例
入力端子電圧対電源電圧特性例
出力端子電圧対電源電圧特性例
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■ 特 性 例
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サグ端子電圧対電源電圧特性例
サグ端子利得対電源電圧特性例
電圧利得対電源電圧特性例
周波数特性対電源電圧特性例
微分利得対電源電圧特性例
微分位相対電源電圧特性例
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■ 特 性 例
電圧利得対周波数特性例
小振幅電圧利得対周波数特性例
チャンネル間クロストーク対周波数特性例
電圧利得対負荷特性例
周波数特性対負荷特性例
微分利得対負荷特性例
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■ 特 性 例
微分位相対負荷特性例
微分利得対 APL 特性例
微分位相対 APL 特性例
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■ 使用上の注意
クランプ形式への入力端子は,IC 内部から入力端子の外に向かって微少な端子電流が流れる回路構成となります。こ
の端子電流により,入力端子に外付けされた DC カット用コンデンサに電荷がチャージされることで入力端子電圧が不
安定になります。
クランプ形式への入力については,入力と GND 間に 1MΩ 程度の抵抗を入れて下さい。
例)
<注意事項>
このデータブックの掲載内容の正確さには
万全を期しておりますが、掲載内容について
何らかの法的な保証を行うものではありませ
ん。とくに応用回路については、製品の代表
的な応用例を説明するためのものです。また、
工業所有権その他の権利の実施権の許諾を伴
うものではなく、第三者の権利を侵害しない
ことを保証するものでもありません。
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