サンケン電気株式会社 STA6940M アプリケーションノート

STA6940M アプリケーションノート Ver. 3.4
2012 年 7 月
STA6940M
アプリケーションノート
Ver. 3.4
部署名
MCD 事業部低圧モータグループ
本資料は、DC ブラシモーター駆動用 IC STA6940M に関する情報をまとめたもの
です。
本資料には開発中の製品も含まれておりますので、暫定的な内容が含まれています。
最新情報に関しては、弊社担当部門までお問合せ願います。
〔目次〕
1. はじめに.
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2. 特徴.
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.. 2 頁
3. 製品仕様.
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.. 2 頁
4. 減定格図.
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5頁
5. 外形図&捺印形状.
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5頁
6. 内部ブロック図&Pin 配列.
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6頁
7. 応用回路例.
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7頁
8. 真理値表.
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8頁
9.回路構成(制御用 IC 部)
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9頁
10.機能説明.
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10 頁
11.ご使用に際して.
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16 頁
12.熱設計資料.
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17 頁
13.代表特性例.
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20 頁
サンケン電気株式会社
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STA6940M アプリケーションノート Ver. 3.4
1.はじめに
この度、新たに「STA6940M」をリリースすることになりました。
本資料は、
「STA6940M」に関する情報をまとめたものです。
2.特徴
・主電源電圧 VBB=44V(max),実仕様:10V~40V
・Logic 電源電圧 VDD=3V~5.5V 対応
・出力電流 Io:4A(ave),8A(max)
・出力段全てに Nch MOS FET を使用し低損失化
・チャージポンプ回路内蔵
・正転/逆転/フリー/ブレーキ制御可能
・定電流制御可能
→ オフ時間:35μs 固定(Slow Decay)
・過電流保護(OCP)回路内蔵
→ オフ時間:142μs 固定(First Decay)
・過熱保護(TSD)回路内蔵
・ZIP タイプ 18pin モールドパッケージを採用(STA パッケージ)
3.製品仕様
表 3-1 絶対最大定格 (Ta=25℃)
項 目
記号
主電源電圧
VBB
44
V
Logic 電源電圧
VDD
6
V
出力電圧
Vo
-1.0 ~ VBB+1.5
Ⅴ
出力電流
Io(max)
8
A
Logic 入力電圧
VIN
‐0.3 ~ VDD+0.3
V
PWM REF 入力電圧
VPREF
‐0.3 ~ VDD+0.3
V
OCP REF 入力電圧
VOREF
‐0.3 ~ VDD+0.3
V
VRS
‐1 ~ 2
V
2.7
W
DC 駆動
3.0
W
PWM 駆動(Slow Decay)
3.2
W
PWM 駆動(Fast Decay)
検
出 電 圧
許容損失
PD
規
格 値
単位
ジャンクション温度
Tj
150
℃
動作周囲温度
Ta
‐20 ~ 85
℃
保存温度
Tstg
‐30 ~ 150
℃
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備
考
100us 以下
tw<1µs は含まず
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表 3-2 推奨動作範囲
項
目
記号
規格値
単位
Min
Max
10
40
V
4
A
5.5
V
備考
主電源電圧
VBB
出力電流
Io
Logic 電源電圧
VDD
PWM REF 入力電圧
VREF
1
V
VDD サージ電圧は±0.5V
以下にして下さい。
電流制御動作時
OCP REF 入力電圧
VOREF
2
V
過電流制御動作時
ケース温度
Tc
85
℃
パッケージ裏面温度
No Fin 時
3.0
表 3-3 電気的特性
特に断りなき場合、Ta=25℃,VBB=24V,VDD=5V の条件となります
定格
項目
記号
主電源電流
IBB
Logic 電源電流
IDD
チャージポンプ電圧
Vcp
VBB+5
V
チャージポンプ発振周波数
Fcp
360
KHz
主電源
VUVBL
7
V
VUVBH
7.8
V
VUVDL
2.3
V
VUVDH
2.5
V
チャージポンプ電圧
VUVCL
3.8
V
低電圧保護電圧※
VUVCH
4
V
出力MOS FET ON 抵抗
RDS(on)
0.1
出力MOS FET Di 順電圧
VF
0.95
出力MOSFET 耐圧
VDSS
※
低電圧保護電圧
Logic 電源
※
低電圧保護電圧
Logic 入力電圧
Logic 入力電流
Min.
Typ.
条件
20
mA
動作時
5
mA
0.13
53
0.25VDD
0.75VDD
Ω
ID=4A
V
IF=4A
V
V
IIL
±1
μA
IIH
±1
μA
Logic 入力最大応答周波数
fclk
100
PWM_REF 入力電圧
VPREF
0.1
PWM_REF 入力電流
IPREF
OCP_REF 入力電圧
VOREF
OCP_REF 入力電流
IOREF
VBB=10V~40V
V
VIL
VIH
単位
Max.
KHz
1.0
±10
0.1
V
μA
2.0
±10
V
μA
Clock Duty=50%時
PWM_Ref 設定端子
OCP_REF 設定端子
※各電源(3 箇所)の低電圧保護機能が 1 つでも働いている場合は出力が Disable となります。
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表 3-3 電気的特性(続き)
特に断りなき場合、Ta=25℃,VBB=24V,VDD=5V の条件となります
定格
項目
記号
PWM 検出電圧
VPSEN
過電流検出電圧
VOSEN
Sense 入力電流
ISENSE
Diag 出力電圧
VDIAGL
Diag Output Voltage
VDIAGH
Diag 出力電流
IDIAGL
Diag Output Current
IDIAGH
Diag 出力周波数
fDIAG
Min.
Typ.
Max.
VPREF
VPREF
VPREF
‐0.045 ‐0.015 +0.015
VOREF
VOREF
VOREF
‐0.045 ‐0.015 +0.015
±20
単位
条件
V
V
Sense 端子
μA
V
IDIAGL =1.25mA
V
IDIAGH =-1.25mA
mA
VDIAGL =0.5V
mA
VDIAGH =VDD-0.5V
90
KHz
PWM オフ期間内
ton(min)
5
μs
PWM オフ時間
tPOFF
35
μs
OCP 最小オン時間
toon
5
μs
OCP オフ時間
tOOFF
142
μs
PWM 最小オン時間
(ブランキング時間)
クロスオーバー
カレントディレイ時間
tCOCD
1.25
VDD-1.25
1.25
-1.25
150
750
PWM 動作時
OCP 動作時
ns
tcon
3.0
μs
IN → Out ON
tcoff
2.7
μs
IN → Out OFF
過熱保護動作温度
Ttsdon
140
℃
パッケージ裏面温度
過熱保護解除温度
Ttsdoff
115
℃
※飽和時
スイッチング時間
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4.減定格図
3.5
3.2W
3.0W
3
Θ j- a= 3 9 ℃/ W
2.7W
許容損失P[W]
2.5
Θ j- a= 4 2 ℃/ W
2
Θ j- a= 4 6 ℃/ W
1.5
1
DC駆動
PWM駆動(Slow Decay)
PWM駆動(Fast Decay)
0.5
0
0
10
20
30
40
50
60
周囲温度Ta[℃]
70
80
90
図 4-1 減定格図
5.外形図&捺印形状
Lot No
Type No
a.品名標示 STA6940M
Type Number
b.ロット番号
単位:mm
・端子材質:Cu
・端子処理:Ni メッキ+半田ディップ(鉛フリー)
Lot Number
第 1 文字
西暦年号下一桁
1st letter The last digit of year
第 2 文字
月
2nd letter
Month
1~9 月:アラビア数字
10 月 :O
11 月 :N
12 月 :D
(1 to 9 for Jan. to Sept. O for Oct.
N for Nov. D for Dec.)
第 3,4 文字
製造日
3rd &4th letter
day
01~31:アラビア数字
Arabic Numerals
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6.内部ブロック図&Pin 配列
図 6-1 内部ブロック図
VDD
CP1
7
CP2
13
12
CP
14
VBB VBB
1
18
MIC
Charge
Pump
Reg
UVLO
2
IN1
5
IN2
6
Diag
11
PWM_REF
8
Comp
OCP_REF
9
Comp
Logic Block
Pre_Driver
15
17
OB
4
Sense2
GND
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
OB
Reg
OCP
Cont o
記
OA
16
OSC
PWM
10
Pin 番号
OA
3
号
機
Sense1
能
VBB
主電源端子(モーター電源)
OA
モーター接続 A 端子
Sense1
IN1
IN2
VDD
PWM_REF
OCP_REF
Gnd
Diag
CP2
CP1
CP
Sense2
モーター定電流検出端子
正転/逆転/フリー/ブレーキ設定入力端子
ロジック電源端子
定電流設定入力端子
過電流設定入力端子
製品 Gnd 端子
PWM 動作&過電流検知出力端子
チャージポンプ用コンデンサ接続端子
モーター過電流検出端子
OB
モーター接続 B 端子
VBB
主電源端子(モーター電源)
※1pin と 18pin の VBB 端子はパッケージ内で接続されています。
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7.応用回路例
VDD=3V
c2
c1
5.5V
VDD
CP1
CP2
CP
VBB=10V
40V
VBB
IN1
IN2
OA
Diag
CB
+
STA6940M
1
DCM
OCP_REF
r4
5
+
CA
OB
2
PWM_REF
c3
GND
Sense2
Sense1
3
Rs
Gnd
Gnd
参考定数
r1=3KΩ
CA=100μF/50V
r2=1KΩ
CB=10μF/10V
r3=1KΩ
c1=0.1μF
r4=10KΩ
c2=0.1μF
r5=10KΩ
c3=0.1μF
Rs=0.22Ω
※検出抵抗 Rs の損失を考慮してください(損失 P ≒ Io  Rs  On Duty )
2
☆出力(OA,OB)に‐1.0Ⅴ以下の電圧が発生すると誤動作する場合がありますので、
各出力-Gnd 間にショットキーバリアダイオードを取り付けて下さい。
☆特に VDD ラインのノイズに注意してください。
VDD ラインのノイズが 0.5V 以上になると製品が誤動作する場合がありますので、
Gnd パターンの引き回しには十分に注意してください。
製品 Gnd(10pin)部から VDD 系 Gnd(S‐Gnd)と VBB 系 Gnd(P‐Gnd)を
分けるとノイズ低減の効果があります。
☆マイコン等で制御しない Logic 入力端子(IN1,IN2)は、必ず VDD 又は Gnd に
プルアップ/プルダウンをしてください。オープンで使用した場合には製品が
誤動作します。
☆Logic 出力(Diag)端子を使用しない場合は、必ずオープンにして下さい。
☆Sense1 端子と Sense2 端子は、必ず両端子共に検出抵抗 Rs と接続してください。
片側の Sense 端子が外れるとドライバの破壊する恐れがあります。
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8.真理値表
(1)Logic 入力(IN 端子)
STA6940M の入力論理は表 8-1 ようになります。
表 8-1 入力論理
入力
出力
状態
IN1
IN2
OA
OB
L
L
High Z
High Z
フリー
H
L
H
L
正転
L
H
L
H
逆転
H
H
L
L
ブレーキ
(2)Logic 出力(Diag 端子)
STA6940M は、ドライバの状態を示す Diag 出力を備えています。
表 8-2 に Diag の状態について示します。
表 8-2 Diag 出力状態
定電圧動作時
定電流 OFF 時間
発振
High Level
(90KHz)
保護機能動作時
Low Level
【ロジック端子に関しての注意】
ロジック入力(IN1,IN2)端子には、ノイズ耐量向上のためにローパスフィルター(LPF)を
設けています。又、各入力端子は CMOS 構成となっているためハイインピーダンスになり
ます。このため、ご使用の際は、
「Low レベル」or 「High レベル」に固定してご使用願います。
ロジック出力(Diag)端子は CMOS 構成となっていますので、電源や Gnd へ直接接続はしないで
ください。
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9.回路構成(制御用 IC 部)
【Reg】
出力 MOS FET のゲートドライブ回路(Pre-Drive)やリニア回路の動作に必要な電源を
生成する内部レギュレータになります。
【UVLO】
主電源,Logic 電源 およびチャージポンプに加わった電圧がドライバを動作するうえで
十分な電圧となって初めて出力がオンします。
各電源のうち 1 つでも規定値に達していない場合は、出力は Disable になります。
【Charge Pump】
Nch MOS FET で構成しているハイサイドゲートドライブ回路の供給源の電圧を生成
しています。このブロックにはチャージポンプ用に360KHzの発振器を搭載しています。
【Pre Drive】
出力段の Nch MOS FET のゲートドライブ回路になります。
ハイサイドドライブはチャージポンプ回路、ローサイドドライブは Reg からの供給でドライブ
電圧を生成しています。
【Current & OCP Control】
定電流制御および過電流動作時をコントロールするための回路です。
PWM_REF(定電流制御)と OCP_REF(過電流)に設定された電圧と検出電圧を比較し、それぞれ
オフ時間固定の制御を行います。
【OSC】
Current & OCP Control 内で生成するブランキング時間および各オフ時間を生成するための
原発の発振器になります。
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10.機能説明
(1)基本動作
VM
①モーターフリー動作(IN1:Low,IN2:Low)
全ての MOS FET をオフした状態となりモーターコイル
には電流が流れないためモーターはフリーの状態になります。
OFF
OFF
OA
OB
OFF
OFF
Rs
図 10-1 フリー動作
②モーター正転動作(IN1:High,IN2:Low)
VM
OA 端子に繋がるハイサイド MOS FET と OB 端子に繋がる
ローサイド MOS FET がオンすることでモーターコイルに電流が
ON
流れモーターが回転する状態になります。
OFF
OA
OB
IM
OFF
ON
Rs
図 10-2 正転動作
VM
③モーター逆転動作(IN1:Low,IN2:High)
OA 端子に繋がるローサイド MOS FET と OB 端子に繋がる
ハイサイド MOS FET がオンすることでモーターコイルに電流が
OFF
ON
OA
流れモーターが回転する状態になります。
OB
IM
ON
OFF
Rs
図 10-3 逆転動作
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VM
④モーターブレーキ動作(IN1:High,IN2:High)
OA 端子に繋がるローサイド MOS FET と OB 端子に繋がる
ローサイド MOS FET がオンすることでモーターコイル間を電気
OFF
OFF
OA
的にショートした状態になります。
OB
ON
ON
Rs
図 10-4 ブレーキ動作
(2)定電流動作(PWM)
モーター起動時の電流増加の制限や意図的に定電流駆動を
VM
行うことが出来ます。
動作としては、モーター電流 IM が流れる検出抵抗 Rs に
発生する電圧が PWM_REF 端子で設定した電圧 VPREF に
ON
OFF
OFF
達したところで定電流動作が行われます。モーター電流が
OA
定電流値に達した後逆起電力回生として 35μs のオフ時間
IM_ON
となります。このときの逆起電力の回生方法は、ローサイド
側の MOS FET とモーターコイルのループで行われます
OB
IM_OFF
Slow Decay:35μs
OFF
ON
(Slow Decay)。その後、オフ時間経過後に PWM オンした
Rs
際にはリンギングノイズの発生による誤動作を回避するため、
5μs の間はブランキング時間として定電流制御が無反応と
なる期間を設けています。
図 10-5 定電流動作
期間
35μs
期間
5μs
IPREF
IM
0
VPREF
VRS
0
Diag
0
※PWM オフタイミングと Diag の発振は非同期です。
図 10-6 定電流動作波形図
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(3)フェイズ PWM 制御
本製品に備わっている PWM 制御は上記で説明しましたようにブランキング時間とオフ
時間が固定による制御になります。このため PWM_REF 端子を低下してもブランキング時間
には必ず電流が流れるため、ブランキング時間に流れる電流増加分と PWM オフ時間に回生
する電流減少分の平衡がとれた電流が必ず流れてしまいそれ以下に電流値を下げることは
出来ません。
この対策としては以下に説明します「フェイズ PWM」の制御が必要となります。
フェイス PWM 制御は(2)項で説明した PWM 電流制御(内蔵コンパレータ制御)と異なり、
外部の入力信号の ON/OFF Duty による PWM 制御になります。
フェイズ PWM 制御の回生方式として「Fast Decay モード」と「Slow Decay モード」が
存在します。以下に各回生方式について説明します。
①Fast Decay モード
この方式は、回生時に出力 Disable 機能を応用した制御になります。つまり、回生時の
入力条件には IN1 と IN2 を共に「Low レベル」に設定します。
設定電流値は、ON Duty とパルス周波数により設定します。
又、ON Duty は、50%よりに長く設定する必要があります。
入力パルス周波数(PWM 周波数)としては、30KHz~50KHz での設定をお勧めします。
【入力条件】
・正転時-IN1:パルス入力,IN2:Low 固定
・逆転時-IN1:Low 固定 ,IN2:パルス入力
以下に動作図および波形図を示します。
Fast Decay
正転時
IN1
VM
IN2
ON
OFF
OFF
OA
IM_ON
OB
IM_ON
IM_OFF
IM_OFF
OFF
ON
Rs
OFF
IM_ON
+
IM_OFF
図 10-7 フェイズ PWM 制御(Fast Decay モード)
更に応用として、上記にて IN が Low 固定となっているところに、別の IN で入力
しているパルス信号を反転した信号を入力することでドライバの発熱を低減する効果が
期待できます。これは、上記で回生時に OFF している MOSFET を ON して回生する
制御となり「同期整流制御」と呼んでいます。
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②Slow Decay モード
この方式は、回生時にブレーキ機能を応用した制御になります。つまり、回生時の入力
条件に IN1 と IN2 を共に「High レベル」に設定します。
設定電流値は、ON Duty とパルス周波数により設定します。
又、ON Duty は、50%よりに短く設定する必要があります。
入力パルス周波数(PWM 周波数)としては、30KHz~50KHz での設定をお勧めします。
【入力条件】
・正転時-IN1:High 固定 ,IN2:パルス入力
・逆転時-IN1:パルス入力 ,IN2:Hihg 固定
以下に動作図および波形図を示します。
Slow Decay
正転時
IN1
VM
IN2
ON
OFF
OFF
OA
IM_ON
OB
IM_ON
IM_OFF
OFF
ON
IM_OFF
Rs
ON
IM_ON
+
IM_OFF
図 10-8 フェイズ PWM(Slow Decay モード)
(4)過電流動作(OCP)
VM
モーター軸を外部からロック時やモーターコイルショー
トなどの過渡応答の速い過電流発生時の保護を行います。
動作としては、モーター電流 IM が流れる検出抵抗 Rs に
ON
OFF
OA
発生する電圧が OCP_REF 端子で設定した電圧に達した
IM_OFF
First Decay 142μs
値に達した後逆起電力回生として 142μs のオフ時間となり
がオフになり電源に向かって回生されます(Fast Decay)。
OB
IM_ON
ところで定電流動作が行われます。モーター電流が過電流
ます。このときの逆起電力の回生方法は、全ての MOS FET
OFF
OFF
ON
OFF
Rs
図 10-9 過電流動作
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期間
142μs
IOREF
IM
0
VOREF
VRS
0
Diag
0
図 10-10 過電流時動作波形図
注意:過電流を検知してもドライバが Disable にはなりません。
(5)過熱保護(TSD)
本製品には、加熱保護(TSD)を内蔵しております。本製品の TSD は自己復帰形となります。
動作としては製品温度が上昇し、製品裏面温度が Ttsdon を超えたところで TSD が働き出力が
全て Disable になります。その後製品温度が冷めて、製品裏面温度が Ttsdoff を下回ったところ
で出力が Enable に復帰します。
又、下記に TSD と Diag の関係図を示します。
Diag[V]
VDD
Ttsdoff
Tc [
Ttsdon
]
注意)本製品の内部構成はマルチチップ構成(制御用 IC×1,MOSFET×4)になっています。
実際に温度を検知する回路は制御用 IC になります。主な発熱源である MOSFET とは
距離があるため熱の伝達が遅れます。このため、急激な温度変化には追従できません。
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(6)定電流動作と過電流動作の設定について
定電流動作の基準電圧 VPREF と過電流動作の基準電圧 VOREF の設定は自由に設定する
ことが出来ます。
①VPREF<VOREF の場合
定電流機能優先の条件になります。
過電流動作が行われる条件は、定電流動作におけるブランキング時間(5μs)より早く検出
電圧 VRS が VOREF に達することで機能します。
②VPREF>VOREF の場合
定電流機能を働かせずに過電流動作優先の条件になります。
(7)定電圧保護(UVLO)
主電源電圧 VBB,ロジック電源電圧 VDD,チャージポンプ電圧 VCP(VCP‐VBB)の
それぞれの端子に加わる電圧が規定値を越えないと出力が Enable になりません。
※チャージポンプ電圧 VCP は製品に内蔵されているチャージポンプ回路と外付けのコンデンサ
により昇圧されます。
VDD
VUVDH
0V
VBB
VUVBH
0V
VCP
VUVCH
VBB
Diag
0V
出力Disable
出力Enable
出力Disable
出力Enable
出力Disable
出力Enable
図 10-11 電源シーケンス図
※VBB および VDD の電源シーケンスに制約はありません。
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11.ご使用に際して
(1)PWM 制御時のモーター電流の定数設定(r1,r2,r3,Rs)
STA6940M における PWM 制御のモーター電流 Io の設定方法は、外付けする部品の
r1,r2,r3,Rs の定数により決まります(7 項の応用回路例より)。
以下に Io を求める計算式を示します。

r3
Io  
 VDD  0.015
 r1  r 2  r 3

  Rs

・・・・・式①
※2 重下線の項は基準電圧 VPREF になります。
VPREF を 0.1V 以下に設定すると製品のバラツキや配線パターンのインピーダンス等の影響を
受け電流精度が低下する可能性が高くなります。
STA6940M は、OFF 時間固定の他励式 PWM 電流制御方式を採用しています。
固定されている PWM オフ時間内にモーターコイルに蓄えられたエネルギが解消してしまう
とコイル電流は図 11-1 に示すような断続した電流として流れます。
つまり、PWM による平均電流が低下し、モータートルクも低下します。
このコイルに電流が断続的に流れ始める状態を制御電流の下限値と弊社では考えています。
制御電流値をこの下限値以下に設定しても製品が破壊することはありませんが、設定電流
に対し制御電流が悪化します。
Itrip大
Io
Itrip小
0
コイル電流が0になる
タイミングが発生する
図 11-1 制御電流下限モデル波形
(2)過電流保護の定数設定
上記(1)項と同様に 7 項の応用回路例を用いた際の過電流設定 IOCP の計算式を示します。
 r 2  r3
Iocp  
 VDD  0.015
 r1  r 2  r 3

  Rs

・・・・・式②
※2 重下線の項は基準電圧 VOREF になります。
(3)電源(VBB、VDD)の ON/OFF シーケンスに関して
本製品は、主電源 VBB とロジック電源 VDD の ON/OFF の順序に制限はありません。
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(4)内部ロジック回路に関して
・入力端子(IN1,IN2)
使用しない端子(論理レベル固定)がある場合には、オープンとはせずに、VDD または
GND へ接続をしてください。
オープンで使用した場合、製品が予期せぬ動作をする可能性があります。
・出力端子(Diag 端子)
Diag 端子は、図 11‐2 の等価回路に示すように、CMOS 出力となっています。
このため Diag 端子を使用しない場合は、必ずオープンとしてください。
図 11‐2 Diag 端子内部等価回路
VDD
静電気
保護回路
出力
12.熱設計資料
STA6940M の損失を正確に算出するには、モーターの実動作時の時定数や励磁モード、
入力周波数及びそのシーケンス等、変動するパラメータが必要になり現実的ではありません。
そこで、まずワースト条件にて、近似計算にて算出します。
最小限のパラメータのみを抽出した損失の計算式は以下の通りです。
①低電圧(DC)駆動時
P  Io 2  R DS(on)  2
②定電流(PWM)駆動時
P  Io 2  R DS(on)  2 
t ON
t OFF
+ (Io 2  R DS(on)+VF  Io)

t ON+t OFF
t ON+t O
P
: 製品損失
Io
: 動作電流≒Io
F F
RDS(on) : 搭載 MOSFET のオン抵抗
Rs
: 搭載検出抵抗
VF
: 搭載 MOSFET ボディダイオード
tON
: PWM オン時間
tOFF
: PWM オフ時間
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上記にて算出した製品損失を元に、下記 Fig12‐1 の温度上昇曲線を用いて製品のジャンクション
温度を推定します。
この時、最悪条件(動作周囲温度の最大値)にて、シャンクション温度が 150℃を超えなければ
問題はありませんが、最終判断は実動作における製品発熱を測定し、Fig12‐1 より損失および
ジャンクション温度を確認してください。
Fig12-1
製品温度上昇特性
2ch通電時:通常DC駆動
140
製品温度上昇Δ T [℃]
120
Δ Tj
ΔT‐aJ-a=46×P
=46×PDD
100
80
Δ
=35×P D
ΔTTc‐a
=35×P
60
c-a
D
40
20
0
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
パッ ケージ 許容損失P D [W ]
3ch通電時:PWM動作(Slow Decay)
140
温度上昇Δ T [℃]
120
Δ Tj
‐a
=42×P
ΔT
=42×PDD
J-a
100
80
Δ Tj
-a
=35×P
ΔT
=35×P
c-a
D D
60
40
20
0
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
3
3.5
パッ ケージ 許容損失PD[W ]
4ch通電時:フェイズPWM(Fast Decay)
140
温度上昇Δ T [℃]
120
=39×PDD
Δ ΔT
Tj ‐a
J-a=39×P
100
80
ΔTTjc-a-a
=35×P
Δ
=35×P
D D
60
40
20
0
0
0.5
1
1.5
2
2.5
パッ ケージ 許容損失PD[W ]
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製品に放熱板を付けて使用される場合、ΔTj-a を算出するパラメータの中で製品の熱抵抗θj-a
が変化します。
この値は、放熱板の熱抵抗をθFIN とすると
θj-a≒θj-c+θFIN=(θj-a-θc-a)+θFIN
となり、この式で算出したθj-a の値を代わりに使用して計算します。
また、実動作にて製品温度を測定しジャンクション温度を推定する場合は、次のように考えます。
まず、製品の樹脂捺印面の中央部の温度上昇を測定します(ΔTc-a)。
この温度上昇から前頁の温度上昇曲線グラフを見て、損失 P とジャンクション温度 Tj を推定します。
この際、製品の温度上昇ΔTc-a とジャンクション上昇温度ΔTj の関係は、
以下の計算式で近似できます。
ΔTj≒ΔTc-a+P×θj-c
になります。
☆注意事項
・ジャンクション温度が保証値(150℃)を超えないよう十分な熱評価をお願いします。
・この熱設計資料は、実際に製品を動作させる前にどの程度まで使用できるかを検討するための
資料です。
最終的には、実機にて製品発熱を確認して判断して下さい。
製品発熱の最大推奨値は以下の様になります。
・No Fin 時:Tc=85℃ max
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13.代表特性例
(1)出力 MOS FET オン抵抗 RDS(on)特性:1 石分
0.17
オン抵抗Rds(on)[Ω ]
0.15
0.13
0.11
0.09
0.07
0.05
0
25
50
75
100
125
ジャンクション温度Tj[℃]
150
175
(2)出力 MOS FET ボディダイオード順方向電圧 VF 特性:1 石分
0.9
0.85
ダイオードVF[V]
0.8
0.75
4A
0.7
3A
0.65
2A
0.6
0.55
1A
0.5
0
25
50
75
100
125
ジャンクション温度Tj[℃]
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