S-35710シリーズ 車載用 www.sii-ic.com © SII Semiconductor Corporation, 2014-2016 125°C動作 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 コンビニエンスタイマは、低消費電流で、相対時間の時間管理に適したCMOSタイマICです。 S-35710シリーズは、タイマ値と内部レジスタに書き込みした値を比較し、値が一致したときに割り込み信号を出力します。 タイマは、24ビットのバイナリアップカウンタです。 ユーザは、2ワイヤシリアルインタフェースを介し、内部レジスタのデータ値を自由に設定できます。したがって、割り込み 信号発生までの時間を自由に設定可能です。 注意 本製品は、車両機器、車載機器へのご使用が可能です。これらの用途でご使用をお考えの際は、必ず弊社窓口までご相 談ください。 特長 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ アラーム割り込み機能 : 1秒 ~ 194日 (およそ半年) まで1秒単位で設定可能 低消費電流 : 0.2 μA typ. (水晶振動子 : CL = 6.0 pF、VDD = 3.0 V、Ta = +25°C) 広動作電圧範囲 : 1.8 V ~ 5.5 V 2ワイヤ (I2C-bus) によるCPUインタフェース 32.768 kHz水晶発振回路内蔵 動作温度範囲 : Ta = −40°C ~ +125°C 鉛フリー (Sn 100%)、ハロゲンフリー AEC-Q100進行中*1 *1. 詳細は、弊社営業部までお問い合わせください。 用途 ・ 各種システムスリープ期間中の時間管理 パッケージ ・ TMSOP-8 1 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 ブロック図 図1 2 車載用 125°C動作 2ワイヤ Rev.1.4_00 コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ AEC-Q100進行中 AEC-Q100の信頼性試験の詳細については、弊社営業部までお問い合わせください。 品目コードの構成 1. 製品名 S-35710 x xx A - K8T2 U 環境コード U:鉛フリー (Sn 100%)、ハロゲンフリー パッケージ略号とICの梱包仕様*1 K8T2:TMSOP-8、テープ品 動作温度 A:Ta = −40°C ~ +125°C オプションコード2*2 オプションコード1 B:水晶振動子CL = 9.0 pF C:水晶振動子CL = 6.0 pF D:水晶振動子CL = その他*3 製品名 *1. *2. *3. テープ図面を参照してください。 ユーザ選択されたオプション機能により付加される連番です。 弊社営業部までお問い合わせください。 2. パッケージ 表1 パッケージ名 TMSOP-8 パッケージ図面コード 外形寸法図面 テープ図面 リール図面 FM008-A-P-SD FM008-A-C-SD FM008-A-R-SD 3. 製品名リスト 表2 製品名 _______ *1 RST端子 プルアップ抵抗あり プルアップ抵抗なし INT端子の出力形態*2 タイムアウト方式*3 CMOS出力 ハンドシェイクタイムアウト S-35710B01A-K8T2U Nchオープンドレイン出力 ハンドシェイクタイムアウト S-35710C01A-K8T2U *1. プルアップ抵抗あり / なしが選択可能。"各端子の機能説明" を参照してください。 *2. Nchオープンドレイン出力 / CMOS出力が選択可能。"各端子の機能説明" を参照してください。 *3. ワンショットループタイムアウト / ハンドシェイクタイムアウトが選択可能。 " INT端子割り込み信号出力" を参照してください。 備考 上記以外の製品をご希望のときは、弊社営業部までお問い合わせください。 3 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 ピン配置図 1. TMSOP-8 表3 Top view 1 2 3 4 8 7 6 5 図2 4 端子番号 端子記号 _______ 1 RST 2 3 4 XOUT XIN VSS 5 INT 6 SDA 7 SCL 8 VDD 端子内容 端子一覧 I/O リセット信号入力端子 入力 水晶振動子接続端子 − GND端子 − 端子構成 CMOS入力 (プルアップ抵抗あり / なし 選択可能) − − Nchオープンドレイン出力 / 割り込み信号出力端子 出力 CMOS出力選択可能 Nchオープンドレイン出力、 シリアルデータ 双方向 CMOS入力 入出力端子 シリアルクロック 入力 CMOS入力 入力端子 正電源端子 − − 車載用 Rev.1.4_00 125°C動作 2ワイヤ コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ 各端子の機能説明 1. SDA (シリアルデータ入出力) 端子 I2C-busインタフェースのデータ入出力端子です。SCL端子のクロックパルスに同期して、SDA端子はデータの入出力 を行います。この端子はCMOS入力とNchオープンドレイン出力で構成されています。通常、SDA端子は抵抗でVDD 電位にプルアップし、ほかのオープンドレイン出力、あるいはオープンコレクタ出力のデバイスとワイヤードオア接 続して使用します。 2. SCL (シリアルクロック入力) 端子 I2C-busインタフェースのクロック入力端子です。このクロックパルスに同期してSDA端子はデータの入出力を行いま す。 3. _______ RST (リセット信号入力) 端子 _______ _______ リセット信号を入力する端子です。RST端子に "L" を入力したときタイマはリセットされます。RST 端子に "H" を _______ 入力したときINT端子は "H" になり、タイマが動作を開始します。RST 端子はチャタリング除去回路を内蔵していま _______ す。チャタリング除去回路については、" RST端子" を参照してください。 _______ また、RST端子はプルアップ抵抗あり / なしを選択できます。 4. INT (割り込み信号出力) 端子 割り込み信号を出力する端子です。ウェイクアップタイムレジスタに書き込みした時間になると割り込み信号を出力 します。割り込み信号出力 (タイムアウト方式) はワンショットループタイムアウト / ハンドシェイクタイムアウト をオプション選択できます。割り込み信号出力の動作については、" INT端子割り込み信号出力" を参照してくださ い。 また、INT端子の出力形態はNchオープンドレイン出力 / CMOS出力を選択できます。 5. XIN, XOUT (水晶振動子接続) 端子 XIN端子、XOUT端子間に水晶振動子を接続します。 6. VDD (正電源) 端子 正電源に接続してください。印加電圧値については、" 推奨動作条件" を参照してください。 7. VSS端子 GNDに接続してください。 5 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 端子の等価回路 SDA SCL 図3 SCL端子 図4 _______ _______ RST RST _______ 図5 RST端子 (プルアップ抵抗あり) INT 図7 INT端子 (Nchオープンドレイン出力) 6 SDA端子 _______ 図6 RST端子 (プルアップ抵抗なし) INT 図8 INT端子 (CMOS出力) 125°C動作 車載用 2ワイヤ Rev.1.4_00 コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ 絶対最大定格 表4 項目 記号 適用端子 絶対最大定格 単位 − _______ VSS − 0.3 ~ VSS + 6.5 *1 SDA, SCL, RST VSS − 0.3 ~ VSS + 6.5 _______ 入力電圧 VIN VSS − 0.3 ~ VDD + 0.3≦VSS + 6.5 RST *2 *3 SDA, INT VSS − 0.3 ~ VSS + 6.5 出力電圧 VOUT *4 VSS − 0.3 ~ VDD + 0.3≦VSS + 6.5 INT 動作周囲温度*5 Topr − −40 ~ +125 保存温度 Tstg − −55 ~ +150 *1. プルアップ抵抗なし品を選択した場合。 *2. プルアップ抵抗あり品を選択した場合。 *3. Nchオープンドレイン出力を選択した場合。 *4. CMOS出力を選択した場合。 *5. 結露や霜がない状態です。結露や霜は、端子間を短絡させるため誤動作の要因となります。 電源電圧 注意 VDD V V V V V °C °C 絶対最大定格とは、どのような条件下でも越えてはならない定格値です。万一この定格値を越えると、製品の劣化な どの物理的な損傷を与える可能性があります。 推奨動作条件 表5 項目 動作電源電圧 記号 条件 Ta = −40°C ~ +125°C VDD Min. 1.8 Typ. − Max. 5.5 (VSS = 0 V) 単位 V 発振特性 表6 (特記なき場合 : Ta = +25°C, VDD = 3.0 V, VSS = 0 V) (水晶振動子 : 日本電波工業株式会社製, NX3215SA (CL = 6.0 pF)) 項目 発振開始電圧 発振開始時間 IC間周波数偏差*1 *1. 参考値 記号 VSTA tSTA δIC 条件 Min. Typ. Max. 単位 − − 1.8 − −20 − − − 5.5 1 +20 V s ppm 10秒以内 7 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 DC電気的特性 表7 項目 記号 適用端子 消費電流1 IDD1 − 消費電流2 IDD2 − 高レベル入力リーク 電流 低レベル入力リーク 電流 高レベル出力リーク 電流 低レベル出力リーク 電流 高レベル入力電圧 低レベル入力電圧 高レベル出力電圧*3 低レベル出力電圧 低レベル入力電流*4 *1. *2. *3. *4. 8 _______ (特記なき場合 : Ta = −40°C ~ +125°C, VSS = 0 V) (水晶振動子 : 日本電波工業株式会社製, NX3215SA (CL = 6.0 pF)) 条件 単位 Min. Typ. Max. VDD = 3.0 V, Ta = −40°C ~ +85°C, 非通信時, − 0.2 0.35 μA _______ RST 端子 = VDD, INT 端子 = 無負荷 VDD = 3.0 V, Ta = +125°C, 非通信時, − 0.7 0.95 μA _______ RST 端子 = VDD, INT端子 = 無負荷 VDD = 3.0 V, fSCL = 1 MHz, 通信時, − 170 300 μA _______ RST 端子 = VDD, INT端子 = 無負荷 VIN = VDD −0.5 − 0.5 μA SDA, SCL, RST *1 VIN = VSS −0.5 − 0.5 μA IOZH SDA, INT *2 VOUT = VDD −0.5 − 0.5 μA IOZL SDA, INT *2 VOUT = VSS −0.5 − 0.5 μA 0.7 × VDD VSS − 0.3 0.8 × VDD − −100 − − − − −30 VSS + 5.5 0.3 × VDD − 0.4 −5 V V V V μA IIZH SDA, SCL, RST IIZL _______ _______ VIH SDA, SCL, _______ RST VIL SDA, SCL, RST VOH INT VOL SDA, INT _______ IIL RST プルアップ抵抗なし品を選択した場合。 Nchオープンドレイン出力を選択した場合。 CMOS出力を選択した場合。 プルアップ抵抗あり品を選択した場合。 − − IOH = −0.4 mA IOL = 2.0 mA VDD = 3.0 V, VIN = VSS 車載用 125°C動作 2ワイヤ Rev.1.4_00 コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ AC電気的特性 表8 測定条件 入力パルス電圧 VIH = 0.8 × VDD, VIL = 0.2 × VDD 入力パルス立ち上がり / 20 ns 立ち下がり時間 出力判定電圧 VOH = 0.7 × VDD, VOL = 0.3 × VDD 出力負荷 100 pF 入力パルス電圧 出力判定電圧 0.8 × VDD 0.7 × VDD 0.3 × VDD 0.2 × VDD 図9 表9 AC測定入出力波形 AC電気的特性 (Ta = −40°C ~ +125°C) VDD = 1.8 V ~ 2.5 V VDD = 2.5 V ~ 5.5 V 単位 Min. Max. Min. Max. SCLクロック周波数 fSCL 0 400 0 1000 kHz SCLクロック "L" 時間 tLOW 1.3 − 0.4 − μs SCLクロック "H" 時間 tHIGH 0.6 − 0.3 − μs SDA出力遅延時間*1 tAA − 0.9 − 0.5 μs スタートコンディションセットアップ時間 tSU.STA 0.6 − 0.25 − μs スタートコンディションホールド時間 tHD.STA 0.6 − 0.25 − μs データ入力セットアップ時間 tSU.DAT 100 − 80 − ns データ入力ホールド時間 tHD.DAT 0 − 0 − ns ストップコンディションセットアップ時間 tSU.STO 0.6 − 0.25 − μs SCL, SDA立ち上がり時間 tR − 0.3 − 0.3 μs SCL, SDA立ち下がり時間 tF − 0.3 − 0.3 μs バス開放時間 tBUF 1.3 − 0.5 − μs ノイズサプレッション時間 tl − 50 − 50 ns *1. SDA出力遅延時間は、SDA端子の出力形態がNchオープンドレイン出力のため、IC外部の負荷抵抗値、負荷容量値によ り決まります。出力負荷の関係を図11に示します。 項目 記号 9 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 tF tHIGH tR tLOW SCL tSU.STA tHD.DAT tHD.STA tSU.STO tSU.DAT SDA (S-35710入力) tBUF tAA SDA (S-35710出力) 図10 バスタイミング 15 最大プルアップ抵抗値 [k] 13 11 9 fSCL = 400 kHz 7 5 3 fSCL = 1.0 MHz 1 100 10 負荷容量値 [pF] 図11 10 出力負荷 1000 車載用 125°C動作 2ワイヤ Rev.1.4_00 コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ INT端子割り込み信号出力 INT端子の割り込み信号出力 (タイムアウト方式) は、下記のどちらかを選択できます。 ・ ワンショットループタイムアウト ・ ハンドシェイクタイムアウト 1. ワンショットループタイムアウト ワンショットループタイムアウトは、INT端子から "L" パルスの割り込み信号を繰り返し出力する方式です。 _______ RST 端子が "L" から "H" に変化した後タイマは動作を開始し、タイマ値とウェイクアップタイムレジスタに書き込 みした値が一致したときに、INT端子は "L" パルスを出力します。その後、S-35710シリーズは自動的にタイマをリセ ットし、カウントアップ動作を再開します。 備考 上記は、Nchオープンドレイン出力品の例です。 CMOS出力品の場合、INT端子出力はNchオープンドレイン出力品の逆論理になります。 1. 1 ライトモード カウントアップ動作中にウェイクアップタイムレジスタへ書き込みを行うと、タイマをリセットした後カウントアッ プ動作を再開します。この動作を "ライトモード" と呼びます。 _______ タイマ値とウェイクアップタイムレジスタに書き込みした値が一致する前にRST 端子に "L" を入力すると、タイマ とウェイクアップタイムレジスタはリセットされます。 図12 ワンショットループタイムアウトの出力タイミング例 (Nchオープンドレイン出力) 図13 ワンショットループタイムアウトの出力タイミング例 (CMOS出力) 11 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 1. 2 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 リードモード タイマが動作を開始したあと、ウェイクアップタイムレジスタへ書き込みを行わない場合、INT端子から割り込み信号 は出力されません。タイマは "FFFFFF h" で停止します。計時途中のタイマ値は、タイムレジスタを読み出しするこ とで確認できます。この動作を "リードモード" と呼びます。 _______ 再度タイマを動作させるためには、RST 端子を "L" から "H" にするかウェイクアップタイムレジスタへ書き込みを 行ってください。 ウェイクアップタイムレジスタへ書き込みを行わない場合は INT端子割り込み信号出力なし 図14 ウェイクアップタイムレジスタに書き込みを行わない場合 (Nchオープンドレイン出力) 図15 12 ウェイクアップタイムレジスタに書き込みを行わない場合 (CMOS出力) 車載用 125°C動作 2ワイヤ Rev.1.4_00 コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ ワンショットループタイムアウトの動作について、状態遷移図を図16、図17に示します。 Write 電源投入 R S T 端子 = "L" 初期状態 ウェイクアップタイムレジスタ = "0 h" タイマ = "0 h" INT端子 = "H"_______ R S T 端子 = "H" 1秒ごとにカウ ントアップ ________ R S T 端子 = "L" タイマリセット タイマ = "0 h" INT端子 = "H" 自動移行 1秒ごとにカウン Write トアップ Write 計時状態 INT端子 = "H" タイマ = "FFFFFF h" 計時停止状態 INT端子 = "H" タイマ = ウェイクアップタイムレジスタ 自動移行 計時停止状態 INT端子 = "L" パルス リードモード R S T 端子 = "L" 備考 図16 Read _______ Read ライトモード R S T 端子 = "L" Write 計時状態 INT端子 = "H" Read Read _______ _______ R S T 端子 = "L" _______ Write : ウェイクアップタイムレジスタライト命令 Read : タイムレジスタリード命令 ワンショットループタイムアウトの状態遷移図 (Nchオープンドレイン出力) Write 電源投入 R S T 端子 = "L" 初期状態 ウェイクアップタイムレジスタ = "0 h" タイマ = "0 h" INT端子 = "L"_______ R S T 端子 = "H" 1秒ごとにカウ ントアップ ________ R S T 端子 = "L" タイマリセット タイマ = "0 h" INT端子 = "L" 自動移行 1秒ごとにカウン Write トアップ Write 計時状態 INT端子 = "L" タイマ = "FFFFFF h" _______ R S T 端子 = "L" 計時停止状態 INT端子 = "H" パルス Read リードモード R S T 端子 = "L" 備考 図17 R S T 端子 = "L" _______ Read ライトモード _______ 計時停止状態 INT端子 = "L" タイマ = ウェイクアップタイムレジスタ 自動移行 Read Write 計時状態 INT端子 = "L" Read _______ Write : ウェイクアップタイムレジスタライト命令 Read : タイムレジスタリード命令 ワンショットループタイムアウトの状態遷移図 (CMOS出力) 13 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 2. ハンドシェイクタイムアウト ハンドシェイクタイムアウトは、INT端子から "L" レベルの割り込み信号を出力する方式です。 _______ RST端子が "L" から "H" に変化した後タイマは動作を開始し、タイマ値とウェイクアップタイムレジスタに書き込み した値が一致したときに、INT端子は "L" レベルを出力します。INT端子が "L" レベルを出力しているときタイマは停 止し、タイマ値を保持します。 _______ _______ タイマは、RST端子に "L" を入力することでリセットされます。その後、RST端子に "H" を入力するとINT端子は "H" になり、タイマはカウントアップ動作を再開します。 備考 上記は、Nchオープンドレイン出力品の例です。 CMOS出力品の場合、INT端子出力はNchオープンドレイン出力品の逆論理になります。 2. 1 ライトモード カウントアップ動作中にウェイクアップタイムレジスタへ書き込みを行うと、タイマをリセットした後カウントアッ プ動作を再開します。この動作を "ライトモード" と呼びます。 _______ タイマ値とウェイクアップタイムレジスタに書き込みした値が一致する前にRST端子に "L" を入力すると、タイマは リセットされます。 図18 ハンドシェイクタイムアウトの出力タイミング例 (Nchオープンドレイン出力) 図19 14 ハンドシェイクタイムアウトの出力タイミング例 (CMOS出力) 車載用 125°C動作 2ワイヤ Rev.1.4_00 2. 2 コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ リードモード タイマが動作を開始したあと、ウェイクアップタイムレジスタへ書き込みを行わない場合、INT端子から割り込み信号 は出力されません。タイマは "FFFFFF h" で停止します。計時途中のタイマ値は、タイムレジスタを読み出しするこ とで確認できます。この動作を "リードモード" と呼びます。 _______ 再度タイマを動作させるためには、RST端子を "L" から "H" にするかウェイクアップタイムレジスタへ書き込みを 行ってください。動作については、図14、図15を参照してください。 ハンドシェイクタイムアウトの動作について、状態遷移図を図20、図21に示します。 電源投入 Write _______ R S T 端子 = "L" 初期状態 ウェイクアップタイムレジスタ = "0 h" タイマ = "0 h" INT端子 = "H"_______ R S T 端子 = "H" _______ R S T 端子 = "L" タイマリセット タイマ = "0 h" INT端子 = "H" 自動移行 Write 計時状態 INT端子 = "H" タイマ = "FFFFFF h" 1秒ごとにカウン トアップ Write 計時状態 INT端子 = "H" Read Write Read _______ R S T 端子 = "L" Write _______ 計時停止状態 INT端子 = "H" R S T 端子 = "L" タイマ = ウェイクアップタイムレジスタ 計時停止状態 INT端子 = "L" 1 秒ごとにカウン トアップ Read リードモード Read _______ R S T 端子 = "L" Write タイマリセット ウェイクアップタイムレジスタ = "0 h" タイマ = "0 h" INT端子 = "L" Read ライトモード 図20 _______ R S T 端子 = "H" 備考 Write : ウェイクアップタイムレジスタライト命令 Read : タイムレジスタリード命令 ハンドシェイクタイムアウトの状態遷移図 (Nchオープンドレイン出力) 15 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 電源投入 Write _______ R S T 端子 = "L" 初期状態 ウェイクアップタイムレジスタ = "0 h" タイマ = "0 h" INT端子 = "L"_______ R S T 端子 = "H" _______ R S T 端子 = "L" タイマリセット タイマ = "0 h" INT端子 = "L" 自動移行 Write 計時状態 INT端子 = "L" タイマ = "FFFFFF h" 1秒ごとにカウン トアップ Write 計時状態 INT端子 = "L" Read Write Read _______ R S T 端子 = "L" Write _______ 計時停止状態 INT端子 = "L" R S T 端子 = "L" タイマ = ウェイクアップタイムレジスタ 計時停止状態 INT端子 = "H" 1 秒ごとにカウン トアップ Read リードモード Read _______ R S T 端子 = "L" Write タイマリセット ウェイクアップタイムレジスタ = "0 h" タイマ = "0 h" INT端子 = "H" Read ライトモード 図21 16 _______ R S T 端子 = "H" 備考 Write : ウェイクアップタイムレジスタライト命令 Read : タイムレジスタリード命令 ハンドシェイクタイムアウトの状態遷移図 (CMOS出力) 125°C動作 車載用 2ワイヤ Rev.1.4_00 コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ レジスタ構成 1. タイムレジスタ タイムレジスタは、3バイトのレジスタです。タイマの値をバイナリコードで記憶します。 タイムレジスタは、読み出しのみ可能です。 タイムレジスタは、TM23からTM0まで3バイト連続して読み出しを行ってください。 例: 3秒 (0000_0000_0000_0000_0000_0011) 45分 (0000_0000_0000_1010_1000_1100) 5時間30分 (0000_0000_0100_1101_0101_1000) TM23 TM22 TM21 TM20 TM19 TM18 TM17 TM16 B7 B0 TM15 TM14 TM13 TM12 TM11 TM10 TM9 B7 TM7 TM8 B0 TM6 TM5 TM4 TM3 TM2 TM1 B7 TM0 B0 図22 2. ウェイクアップタイムレジスタ ウェイクアップタイムレジスタは、3バイトのレジスタです。マイコンのウェイクアップ時間をバイナリコードで記憶 します。 ウェイクアップタイムレジスタは、書き込みと読み出しが可能です。 ウェイクアップタイムレジスタの書き込みと読み出しは、WU23からWU0まで3バイト連続して行ってください。 _______ ウェイクアップタイムレジスタの読み出しを行う場合、RST 端子を "H" に設定してください。 _______ RST端子を "L" に設定した場合、タイムレジスタのデータが読み出されます。 WU23 WU22 WU21 WU20 WU19 WU18 WU17 WU16 B7 B0 WU15 WU14 WU13 WU12 WU11 WU10 WU9 B7 WU7 WU8 B0 WU6 WU5 WU4 WU3 B7 WU2 WU1 WU0 B0 図23 17 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 シリアルインタフェース S-35710シリーズは、I2C-bus方式のシリアルインタフェースによりコマンドを送受信し、データのリード / ライトを行 います。 1. スタートコンディション SCLが "H" のときに、SDAが "H" から "L" へ変化することで、スタートコンディションとなり、アクセスが開始され ます。 2. ストップコンディション SCLが "H" のときに、SDAが "L" から "H" へ変化することで、ストップコンディションとなり、アクセスが終了し、 S-35710シリーズはスタンバイ状態となります。 tSU.STA tHD.STA tSU.STO SCL SDA スタート コンディション ストップ コンディション 図24 スタート / ストップコンディション 3. データ転送とアクノリッジ データ転送は、スタートコンディション検出後に1バイトずつ行います。SDAを変化させるときはtSU.DATとtHD.DATのス ペックに注意し、SCLが "L" のときに行ってください。もし、SCLが "H" のときに、SDAが変化すると、データ転送 中であってもスタート / ストップコンディションとして認識されます。これによって、現在のアクセスは中断されます ので注意してください。 データ転送時、1バイトのデータを受信するたびに、受信側のデバイスはアクノリッジを返します。例えば、図25のよ うに、S-35710シリーズが受信側のデバイスで、マスタデバイスを送信側とします。8ビット目のクロックパルスが立 ち下がると、マスタデバイスはSDAを解放します。そして、S-35710シリーズはアクノリッジとして、9ビット目のク ロックパルス中、SDAを "L" にします。S-35710シリーズからアクノリッジの出力がないときは、アクセスが正しく行 われていないことを示します。 SCL (S-35710入力) 1 tSU.DAT 8 9 tHD.DAT SDA (マスタデバイス出力) SDAを解放 High-Z アクノリッジ出力 (アクティブ "L") SDA (S-35710出力) High-Z スタート コンディション tAA 図25 18 アクノリッジ出力タイミング 125°C動作 車載用 2ワイヤ Rev.1.4_00 コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ 4. データ転送フォーマット スタートコンディション転送後の最初の1バイトは、スレーブアドレスと2バイト目以降のデータの転送方向を表すコマ ンド (リードライトビット) に割り付けられています。 S-35710シリーズのスレーブアドレスは、"0110010" に規定しています。続いて、リードライトビットが "0" のときは ウェイクアップタイムレジスタにデータを書き込み可能となり、"1" のときはウェイクアップタイムレジスタまたはタ イムレジスタのデータが読み出し可能となります。 ウェイクアップタイムレジスタにデータを書き込み可能な場合、B7からB0の順にマスタデバイスからデータを入力し てください。1バイトのデータが入力されるごとに、S-35710シリーズからアクノリッジ ("L") が出力されます。 ウェイクアップタイムレジスタまたはタイムレジスタのデータが読み出し可能な場合、1バイト単位でB7からB0の順に S-35710シリーズからデータが出力されます。1バイトのデータが入力されるごとに、マスタデバイスからアクノリッ ジ ("L") を入力してください。ただし、最後のバイトデータに対しては、アクノリッジを入力しないでください (NO_ACK)。これにより、データ読み出しの終了を知らせます。 マスタデバイスは最後のバイトデータに対する、アクノリッジを受信、または送信後、ストップコンディションを S-35710シリーズへ入力しアクセスを終了してください。 このとき、マスタデバイスがストップコンディションを入力せず、スタートコンディションを入力した場合は、リス タート条件となり、続けてスレーブアドレスを入力すると続けて送受信が可能です。 9 1 18 27 36 45 SCL データ書き込み SDA ST Slave address 0 A フォーマット Data データ読み出し SDA ST Slave address 1 A フォーマット Data B7 B1 R/W B7 B1 R/W B7 B7 リスタート フォーマット SDA ST Slave address 0 A ST Slave address 1 A B7 B0 A B0 A Data B0 B0 図26 A A A SP B0 SP B0 A Data B7 B0 A Data B7 A Data B7 : マスタデバイス入力データ ST : スタートコンディション : S-35710出力データ A Data B7 A Data A Data B7 B0 B7 A Data B7 A Data B7 A Data B7 B0 B1 R/W B7 B0 A Data A Data B7 B0 B1 R/W B7 B7 A B0 B0 SP B0 SP : ストップコンディション : アクノリッジ シリアルインタフェースのデータ転送フォーマット 19 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 5. タイムレジスタの読み出し はじめに、マスタデバイスからスタートコンディションとスレーブアドレスを転送します。S-35710シリーズのスレー ブアドレスは、"0110010" に規定しています。続いて、リードライトビットが "1" のときは、タイムレジスタのデータ が読み出し可能となります。 2バイト目 ~ 4バイト目が、タイムレジスタとなります。データはB7から1バイトずつ転送されます。 タイムレジスタの読み出しを終了するときは、マスタデバイスからB0出力後のアクノリッジに "1" (NO_ACK) を転送 し、その後ストップコンディションを転送します。 タイムレジスタは3バイトのレジスタです。タイムレジスタを3バイト読み出した後、さらに読み出しを続けると "1" が 読み出されます。タイムレジスタについては、" レジスタ構成" を参照してください。 1 9 18 27 36 SCL B1 R/W B7 B7 B0 スレーブアドレス (0110010) B7 B0 B7 STOP 0 1 1 0 0 1 0 1 NO_ACK TM0 TM1 TM2 TM3 TM4 TM5 TM6 TM7 ACK TM8 TM9 TM10 TM11 TM12 TM13 TM14 TM15 ACK TM16 TM17 TM18 TM19 TM20 TM21 TM22 TM23 ACK START SDA B0 タイムレジスタ (3バイト) このタイミングでカウンタの値を取り込み、シリアルデータとして転送 : マスタデバイス入力データ 3バイト目のデータ転送後、NO_ACKを入力してください。 : S-35710出力データ 図27 タイムレジスタの読み出しタイミング 6. ウェイクアップタイムレジスタの書き込み はじめに、マスタデバイスからスタートコンディションとスレーブアドレスを転送します。S-35710シリーズのスレー ブアドレスは、"0110010" に規定しています。続いて、リードライトビットに "0" を転送します。 続いて、2バイト目のデータを転送してください。B7はアドレスポインタのため "1" としてください。B6 ~ B1はダミー データのため、"0"、"1" どちらでもかまいません。B0はテストビットのため、必ず "1" としてください。 3バイト目 ~ 5バイト目がウェイクアップタイムレジスタとなります。 その後マスタデバイスからストップコンディションを転送することで、アクセスが終了します。 ウェイクアップタイムレジスタについては、" レジスタ構成" を参照してください。 ウェイクアップタイムレジスタの書き込みは、1バイトごとに実行します。そのため、3バイト連続で転送してください。 3バイト単位で転送しない場合、S-35710シリーズは意図した通りの動作をしない可能性がありますのでご注意くださ い。 1 9 18 27 36 45 SCL WU[23:16] 書き込みタイミング B1R/W スレーブアドレス (0110010) 1 1 B7 B0 ダミーデータ B7 *1 B0 B7 B0 ウェイクアップタイムレジスタ (3 バイト ) テストビットのため、必ず "1" にしてください。 アドレスポインタの設定 : マスタデバイス入力データ : S-35710 出力データ *1. B6 B1 はダミーデータのため "0"、"1" どちらでもかまいません。 図28 20 B7 ウェイクアップタイムレジスタの書き込みタイミング B0 STOP B7 WU[7:0] 書き込みタイミング ACK WU0 WU1 WU2 WU3 WU4 WU5 WU6 WU7 ACK WU8 WU9 WU10 WU11 WU12 WU13 WU14 WU15 ACK WU16 WU17 WU18 WU19 WU20 WU21 WU22 WU23 ACK 01100100 ACK START SDA WU[15:8] 書き込みタイミング 車載用 125°C動作 2ワイヤ Rev.1.4_00 コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ 7. ウェイクアップタイムレジスタの読み出し ウェイクアップタイムレジスタの読み出しは、リスタートフォーマットで行います。リスタートフォーマットについて は "4. データ転送フォーマット" を参照してください。 _______ ウェイクアップタイムレジスタの読み出しを行う場合、RST 端子を "H" に設定してください。 _______ RST端子を "L" に設定した場合、タイムレジスタのデータが読み出されます。 はじめに、マスタデバイスからスタートコンディションとスレーブアドレスを転送します。S-35710シリーズのスレー ブアドレスは、"0110010" に規定しています。続いて、リードライトビットに "0" を転送します。 2バイト目のB7はアドレスポインタです。ウェイクアップタイムレジスタ読み出しの場合は、"0" としてください。続 いて、B6 ~ B1はダミーデータを転送してください。B0はテストビットのため、必ず "1" としてください。この処理を "ダミーライト" と呼びます。 続いて、スタートコンディションとスレーブアドレス、リードライトビットを転送します。リードライトビットを "1" と すると、ウェイクアップタイムレジスタのデータが読み出し可能となります。 続いて、ウェイクアップタイムレジスタのデータがS-35710シリーズから出力されます。データはB7から1バイトずつ 転送されます。 ウェイクアップタイムレジスタの読み出しを終了するときは、マスタデバイスからB0出力後のアクノリッジに "1" (NO_ACK) を転送し、その後ストップコンディションを転送します。 ウェイクアップタイムレジスタは3バイトのレジスタです。ウェイクアップタイムレジスタを3バイト読み出した後、さ らに読み出しを続けると "1" が読み出されます。 ウェイクアップタイムレジスタについては、" レジスタ構成" を参照してください。 また、内部アドレスポインタは、ストップコンディションを認識するとリセットされます。そのため、ダミーライトの あとにストップコンディションを転送しないでください。ストップコンディションを転送後にレジスタの読み出しを行 うとタイムレジスタが読み出されます。 1 9 18 1 9 18 27 36 SCL B7 B0 ダミーデータ *1 01100101 B7 B1R/W B7 スレーブアドレス (0110010) B0 B7 B0 B7 B0 ウェイクアップタイムレジスタ (3 バイト ) テストビットのため、必ず "1" にしてください。 アドレスポインタの設定 3 バイト目のデータ転送後、 NO_ACK を入力してください。 ダミーライト : マスタデバイス入力データ : S-35710 出力データ *1. B6 B1 はダミーデータのため "0"、"1" どちらでもかまいません。 図29 STOP スレーブアドレス (0110010) 1 NO_ACK WU0 WU1 WU2 WU3 WU4 WU5 WU6 WU7 ACK WU8 WU9 WU10 WU11 WU12 WU13 WU14 WU15 ACK WU16 WU17 WU18 WU19 WU20 WU21 WU22 WU23 ACK B1 R/W 0 START B7 ACK 01100100 ACK START SDA ウェイクアップタイムレジスタの読み出しタイミング 21 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 SDAの解放 _______ S-35710シリーズのRST端子は、通信インタフェースのリセット動作を行いません。そのため、通常はストップコンディ ションを入力し内部インタフェース回路をリセットします。 しかし、SDAが "L" を出力した状態 (アクノリッジ出力時または読み出し時) であるとS-35710シリーズはマスタデバイ スからのストップコンディションを受け付けません。そのためアクノリッジ出力動作または読み出し動作を終了させる必 要があります。図30にSDAの解放方法を示します。 はじめに、マスタデバイスはスタートコンディションを入力します (S-35710シリーズのSDAは "L" を出力しているので、 S-35710シリーズはスタートコンディションを検出できません)。続けて、1バイトデータアクセス分のクロック (9クロッ ク) をSCLより入力します。この間、マスタデバイス側のSDAを解放してください。これにより通信中断前のSDAの入出 力が終了し、S-35710シリーズのSDAは解放状態になります。続けて、ストップコンディションを入力すると、内部回路 がリセットし、通常の通信が可能な状態に復帰します。 SDAの解放方法は、マスタデバイス側の電源電圧立ち上げ後、システムの初期化の際に実行することを強く推奨します。 スタート コンディション 1バイトデータアクセス分のクロック 1 SCL 2 8 ストップ コンディション 9 SDA (マスタデバイス出力) SDA (S-35710出力) "L" "L" またはHigh-Z "L" "L" またはHigh-Z SDA 図30 22 SDAの解放方法 High-Z 車載用 125°C動作 2ワイヤ Rev.1.4_00 コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ パワーオン検出回路 パワーオン検出回路が正常に動作するためには、図31に示すように、ICの電源電圧は0.2 V以下から立ち上げ、動作電源 電圧min.値の1.8 Vまでの到達時間を10 ms以内で立ち上げてください。 10 ms以内 1.8 V (動作電源電圧min.) 0.2 V以下 0V *1. *1 0 Vは、S-35710シリーズのVDD端子とVSS端子の電位差がないことを意味します。 図31 電源電圧の立ち上げ方 上記の条件でS-35710シリーズの電源電圧の立ち上げができない場合、パワーオン検出回路が正常に動作せず、発振が _______ _______ 開始しない可能性があります。その場合、"1. RST端子 = "L" で電源電圧を立ち上げる場合" および "2. RST端子 = "H" で電源電圧を立ち上げる場合" で示す動作を行ってください。 1. _______ RST端子 = "L" で電源電圧を立ち上げる場合 _______ _______ 電源電圧が1.8 V以上に到達するまで、RST 端子を "L" に設定してください。RST 端子が "L" に設定されている間 _______ に発振起動信号は "H" となり、水晶発振回路は正常に発振します。電源電圧が1.8 Vに到達した後RST端子が "H" に 設定されると、500 ms以内に発振起動信号が "L" になり、発振状態は維持されます。 _______ RST端子が "L" に設定されている間は、以下のように消費電流が増加します。 ・プルアップ抵抗なし品を選択した場合 : ・プルアップ抵抗あり品を選択した場合 : *1. 1.7 μA typ. 30 μA typ. 0 Vは、S-35710シリーズのVDD端子とVSS端子の電位差がないことを意味します。 _______ 図32 RST端子= "L" で電源電圧を立ち上げる場合 23 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 2. 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 _______ RST端子 = "H" で電源電圧を立ち上げる場合 _______ _______ 電源電圧が1.8 V以上に到達した後、RST端子を "L" に設定してください。RST_______ 端子が500 ms以上 "L" に設定され ると、発振起動信号が "H" となり、水晶発振回路は正常に発振します。その後RST 端子が "H" に設定されると、 500 ms以内に発振起動信号が "L" になり、発振状態は維持されます。 _______ RST端子が "L" に設定されている間は、以下のように消費電流が増加します。 ・プルアップ抵抗なし品を選択した場合 : ・プルアップ抵抗あり品を選択した場合 : *1. 1.7 μA typ. 30 μA typ. 0 Vは、S-35710シリーズのVDD端子とVSS端子の電位差がないことを意味します。 _______ 図33 _______ RST端子 = "H" で電源電圧を立ち上げる場合 _______ _______ RST端子はチャタリング除去回路を内蔵しています。RST端子の "H" 入力を確定するには、RST端子が "L" から "H" に変化した後クロック (8 Hz) の3.5周期 (0.438秒) 以上の期間を空けて、通信を行ってください。 _______ _______ RST端子のチャタリング除去については " RST端子" を参照してください。 24 車載用 125°C動作 2ワイヤ Rev.1.4_00 コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ _______ RST端子 1. チャタリング除去 _______ RST端子はチャタリング除去回路を内蔵しており、出力論理はアクティブ "L" です。 チャタリング除去のタイミングチャートを図34に示します。8 Hzでサンプリングを行い、シフトレジスタ回路を動作さ せます。3回のシフト動作を行い、DF1 ~ DF3がすべて "L" の場合にカウンタをリセットします。チャタリング除去中 _______ は、クロック (8 Hz) の2周期 (0.25秒程度) のパルス幅を除去することができます。 RST端子の "L" 入力を確定するに _______ _______ 端子 は、クロック (8 Hz) の3.5周期 (0.438秒) 以上の期間、RST端子の "L" 入力を維持してください。同様に、RST _______ の "H" 入力を確定するには、クロック (8 Hz) の3.5周期 (0.438秒) 以上の期間、RST端子の "H" 入力を維持してくだ さい。 クロック (8 Hz) ________ RST 端子入力信号 シフトレジスタ_DF1 シフトレジスタ_DF2 シフトレジスタ_DF3 チャタリング除去幅 2周期 チャタリング除去後の リセット信号 3.5周期 図34 カウンタリセット カウントアップ動作開始 3.5周期 チャタリング除去のタイミングチャート 2. 電源投入時の動作 _______ 電源投入時、RST 端子の状態に関係なく、チャタリング除去後のリセット信号は "L" となっています。そのため、 S-35710シリーズは初期状態 ("図16 ワンショットループタイムアウトの状態遷移図 (Nchオープンドレイン出力)"、 "図17 ワンショットループタイムアウトの状態遷移図 (CMOS出力)" および "図20 ハンドシェイクタイムアウトの 状態遷移図 (Nchオープンドレイン出力)"、"図21 ハンドシェイクタイムアウトの状態遷移図 (CMOS出力)" 参照) と なっており、ウェイクアップタイムレジスタへ書き込みはできません。チャタリング除去後のリセット信号が "L" のと き、ウェイクアップタイムレジスタへ書き込みを行うと、2バイト目以降でノーアクノリッジが出力されます。 電源投入後に水晶発振回路が発振を開始するとクロックが動作し、チャタリング除去後のリセット信号は "H" となり、 リードモードへ移行します。リードモードに移行することで、ウェイクアップタイムレジスタへ書き込みが可能になり ます。図35に電源投入時のタイミングチャートを示します。 また、図35に示したウェイクアップタイムレジスタの書き込み不可期間は、発振起動時間によって変わります。電源投 入直後、ウェイクアップタイムレジスタへの書き込み時ノーアクノリッジがS-35710シリーズから出力された場合、次 の通信は発振が安定するまで0.5秒 ~ 1秒程度の時間を空けることを推奨します。 VDD クロック (8 Hz) ________ RST 端子入力信号 シフトレジスタ_DF1 シフトレジスタ_DF2 シフトレジスタ_DF3 リードモードに移行 チャタリング除去後の リセット信号 ウェイクアップタイムレジスタ書き込み不可期間 図35 電源投入時のタイミングチャート 25 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 12 V SCL 10 k VOUT VR 10 k VIN S-35710 VDD 1 k S-19xxx 1 k 応用回路例 VCC VCC SDA RST VSS VSS CPU INT XIN XOUT VSS 図36 注意 1. システム電源を立ち上げて安定状態になってから通信を行ってください。 2. 上記接続図は動作を保証するものではありません。実際のアプリケーションで十分な評価の上、定数を設定して ください。 26 車載用 125°C動作 2ワイヤ Rev.1.4_00 コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ 水晶発振回路構成 S-35710シリーズはコンデンサ (Cg、Cd) が内蔵されています。そのため、発振周波数の調整は必要ありません。 しかし、水晶発振回路は外部ノイズや寄生容量 (CP) の影響を受けやすく、これらの影響は時計精度を悪化させる要因 になります。そのため、水晶発振回路の構成は下記のような対策を推奨します。 ・ ・ ・ ・ ・ バイパスコンデンサをS-35710シリーズの電源ピンに近接して配置する。 S-35710シリーズと水晶振動子は、極力近くに配置し基板配線を短くする。 XINとXOUT間の基板および端子間絶縁抵抗を高くする。 水晶発振回路の近くに信号線および電源線を通さない。 水晶発振回路の直下にGND層を配置する。 (多層基板の場合は、水晶発振回路から一番離れた層のみをGND層として配置する。中間層には回路パターンを配 置しない。) 水晶振動子 : 32.768 kHz CL = 6.0 pF ~ 9.0 pF S-35710 XIN Cg Rf Cd 寄生容量 (CP) XOUT Rd Rf = 100 MΩ (typ.) Rd = 100 kΩ (typ.) 図37 水晶発振回路構成 直下のレイヤにGND層を配置 (多層基板の場合は、発振回路から一番 離れた層のみをGND層として配置する。 中間層には回路パターンを配置しない。) XOUT XIN VSS S-35710 Top view 水晶振動子 周辺をGNDでシールド 図38 接続パターン図の推奨例 注意 1. 発振特性は、基板の寄生容量、寄生抵抗、水晶振動子、外付け容量など各部品の特性バラツキの影響を受けます。 水晶発振回路の構成は、これらの影響を考慮してください。 2. 自動車搭載機器でご使用の際は、水晶振動子、外付け容量、基板など各部品についても自動車搭載可能部品を選 定してください。 27 車載用 125°C動作 S-35710シリーズ 2ワイヤ コンビニエンスタイマ Rev.1.4_00 水晶振動子使用時の注意 ICと水晶振動子のマッチング評価を水晶振動子メーカに依頼してください。 推奨の水晶振動子特性値は、表10を参照してください。Ta = +85°Cを越える環境でご使用の際は、表10で示す発振余裕 度を常温にて確保することを推奨します。 表10 水晶振動子特性 水晶振動子CL値 (負荷容量) R1値 (等価直列抵抗) 9.0 pF 6.0 pF 80 kΩ max. 80 kΩ max. 起動時発振余裕度 5倍以上 5倍以上 注意事項 ・ 本ICは静電気に対する保護回路が内蔵されていますが、保護回路の性能を越える過大静電気がICに印加されないよう にしてください。 ・ 弊社ICを使用して製品を作る場合には、その製品での当ICの使い方や製品の仕様、出荷先の国などによって当ICを含 めた製品が特許に抵触した場合、その責任は負いかねます。 28 車載用 125°C動作 2ワイヤ コンビニエンスタイマ S-35710シリーズ Rev.1.4_00 諸特性データ (Typicalデータ) 1. 消費電流1 − 電源電圧特性 2. 消費電流2 − SCL周波数特性 Ta = +25°C, CL = 6.0 pF 1.0 500 IDD2 [A] 0.8 IDD1 [A] Ta = +25°C, CL = 6.0 pF 600 0.6 0.4 0.2 VDD = 5.0 V 400 300 VDD = 3.0 V 200 100 0.0 0 2 4 0 6 0 VDD [V] 3. 消費電流1 − 温度特性 CL = 6.0 pF VDD = 5.0 V 0.4 0.2 VDD = 3.0 V 25 50 Ta [C] 75 100 Ta = +25°C, CL = 6.0 pF 20 f/f [ppm] IDD1 [A] 0.6 0 10 0 10 20 125 0 f/f [ppm] IOL [mA] 25 50 Ta [C] 75 100 VDD = 5.0 V VDD = 3.0 V 0 2 _______ RST端子, Ta = +25°C プルアップ抵抗あり品 0 10 10 IIL [A] IOH [mA] 6 8. 低レベル入力電流 − 電源電圧特性 VDD = 3.0 V 15 4 VOUT [V] INT端子, Ta = +25°C CMOS出力 5 6 INT端子, SDA端子, Ta = +25°C 70 60 50 40 30 20 10 0 125 7. 高レベル出力電流 − VDD − VOUT特性 0 4 6. 低レベル出力電流 − 出力電圧特性 CL = 6.0 pF 0 2 VDD [V] 5. 水晶振動子の周波数偏差 − 温度特性 50 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 40 25 1500 4. 水晶振動子の周波数偏差 − 電源電圧特性 0.8 0.0 40 25 500 1000 SCL frequency [kHz] VDD = 5.0 V 20 20 30 40 50 25 60 0 2 4 VDD VOUT [V] 6 0 2 4 6 VDD [V] 29 2.90±0.2 8 5 1 4 0.13±0.1 0.2±0.1 0.65±0.1 No. FM008-A-P-SD-1.2 TITLE TMSOP8-A-PKG Dimensions No. FM008-A-P-SD-1.2 ANGLE UNIT mm SII Semiconductor Corporation 2.00±0.05 4.00±0.1 4.00±0.1 1.00±0.1 +0.1 1.5 -0 1.05±0.05 0.30±0.05 3.25±0.05 4 1 5 8 Feed direction No. FM008-A-C-SD-2.0 TITLE TMSOP8-A-Carrier Tape FM008-A-C-SD-2.0 No. ANGLE UNIT mm SII Semiconductor Corporation 16.5max. 13.0±0.3 Enlarged drawing in the central part 13±0.2 (60°) (60°) No. FM008-A-R-SD-1.0 TITLE TMSOP8-A-Reel No. FM008-A-R-SD-1.0 ANGLE UNIT QTY. 4,000 mm SII Semiconductor Corporation 免責事項 (取り扱い上の注意) 1. 本資料に記載のすべての情報 (製品データ、仕様、図、表、プログラム、アルゴリズム、応用回路例等) は本資料発 行時点のものであり、予告なく変更することがあります。 2. 本資料に記載の回路例、使用方法は参考情報であり、量産設計を保証するものではありません。 本資料に記載の情報を使用したことによる、製品に起因しない損害や第三者の知的財産権等の権利に対する侵害に関 し、弊社はその責任を負いません。 3. 本資料に記載の内容に記述の誤りがあり、それに起因する損害が生じた場合において、弊社はその責任を負いません。 4. 本資料に記載の範囲内の条件、特に絶対最大定格、動作電圧範囲、電気的特性等に注意して製品を使用してください。 本資料に記載の範囲外の条件での使用による故障や事故等に関する損害等について、弊社はその責任を負いません。 5. 本資料に記載の製品の使用にあたっては、用途および使用する地域、国に対応する法規制、および用途への適合性、 安全性等を確認、試験してください。 6. 本資料に記載の製品を輸出する場合は、外国為替および外国貿易法、その他輸出関連法令を遵守し、関連する必要な 手続きを行ってください。 7. 本資料に記載の製品を大量破壊兵器の開発や軍事利用の目的で使用および、提供 (輸出) することは固くお断りしま す。核兵器、生物兵器、化学兵器およびミサイルの開発、製造、使用もしくは貯蔵、またはその他の軍事用途を目的 とする者へ提供 (輸出) した場合、弊社はその責任を負いません。 8. 本資料に記載の製品は、身体、生命および財産に損害を及ぼすおそれのある機器または装置の部品 (医療機器、防災 機器、防犯機器、燃焼制御機器、インフラ制御機器、車両機器、交通機器、車載機器、航空機器、宇宙機器、および 原子力機器等) として設計されたものではありません。ただし、弊社が車載用等の用途を指定する場合を除きます。 弊社の書面による許可なくして使用しないでください。 特に、生命維持装置、人体に埋め込んで使用する機器等、直接人命に影響を与える機器には使用できません。 これらの用途への利用を検討の際には、必ず事前に弊社営業部にご相談ください。 また、弊社指定の用途以外に使用されたことにより発生した損害等について、弊社はその責任を負いません。 9. 半導体製品はある確率で故障、誤動作する場合があります。 弊社製品の故障や誤動作が生じた場合でも人身事故、火災、社会的損害等発生しないように、お客様の責任において 冗長設計、延焼対策、誤動作防止等の安全設計をしてください。 また、システム全体で十分に評価し、お客様の責任において適用可否を判断してください。 10. 本資料に記載の製品は、耐放射線設計しておりません。お客様の用途に応じて、お客様の製品設計において放射線対 策を行ってください。 11. 本資料に記載の製品は、通常使用における健康への影響はありませんが、化学物質、重金属を含有しているため、口 中には入れないようにしてください。また、ウエハ、チップの破断面は鋭利な場合がありますので、素手で接触の際 は怪我等に注意してください。 12. 本資料に記載の製品を廃棄する場合には、使用する地域、国に対応する法令を遵守し、適切に処理してください。 13. 本資料は、弊社の著作権、ノウハウに係わる内容も含まれております。 本資料中の記載内容について、弊社または第三者の知的財産権、その他の権利の実施、使用を許諾または保証するも のではありません。これら著作物の一部を弊社の許可なく転載、複製し、第三者に開示することは固くお断りします。 14. 本資料の内容の詳細については、弊社営業部までお問い合わせください。 1.0-2016.01 www.sii-ic.com