環境会計

環境会計
環境経営を評価する
とともに 、経営の意
リコーグループの環境会計の位置付け
研究・開発
思決定支援ツールと
材料・部品調達
製 造
流通・販売
使用・保守
回収・リサイクル
Step 1
なる環境会計の確立
セグメント環境会計
そのプロジェクトが「環
境経営」に合致したも
のであるか否かを評価
を目指します。
社
内
リコーグループは、1999年
に初めて環境会計を公表
Step 2
エコバランス環境会計
リコー、
リコーグルー
プのステージ・部門
ごとの「環境経営」
の達成度を評価
して以来、外部から一定の
評価を得てきましたが、経
27ページを参照。
営の意思決定支援ツール
とするには、まだ多くの課
Step 3
題が残されています。今後
コーポレート環境会計
アカウンタビリティ
ーとしての外部コミ
ュニケーション
社
外
は、内部環境会計ツールで
ある「セグメント環境会計」
「エコバランス環境会計」
31ページを参照。
を活用し、環境経営の推
進に役立てるとともに、社
リコーグループのコーポレート環境会計
環境省ガイドライン
会とのコミュニケーション
ツールである「コーポレート
環境会計」の精度向上や
リコーオリジナル
効 果
コスト
環境保全効果(物量)
環境保全コスト
(環境費用・環境投資)
スタンダード化にも積極的
経済効果(金額)
実質的効果
指 標
環境負荷の統合
社会コストの削減額
(金額換算)EPS ver.2000
みなし効果の算出基準
偶発的効果の算出基準
環境経営指標
(32ページ参照)
(32ページ参照)
に働きかけていきます。
セグメント環境会計(Step1)
エコバランス環境会計(Step2)
*1
コーポレート環境会計(Step3)
もっとも導入が容易で、
しかも現場即応型
エコバランス環境会計 は、環境保全活
日本の環境省「環境会計ガイドライン」に
の環境会計が「セグメント環境会計」です。
動のPDCAを回すための内部環境会計
沿って、外部とのコミュニケーションを図る
事業活動の全行程から、任意の工程やプ
ツールで、管理機能を重視しています。製
ためのツールです。
リコーグループでは、
ロジェクトを取り出して、任意の期間にお
造工程など、環境負荷の大きい工程から
エコバランス環境会計のデータから必要
ける予測・効果把握に活用します。ROI
段階的に全行程の把握へと拡大していく
な部分を取り出し、
自社開発による計算式・
(Return on Investment:投資利益率)
方法もあります。
リコーグループでは、環境
指標*1をもとに環境保全コストと効果(物
の考え方に基づいて、環境に関する投資
経営情報システム*2から得られる各工程
量・金額)
を算出し、第三者検証を受けて
対効果を明確にし、環境経営の意思決定
の環境負荷情報をもとに、各工程および
公開*2しています。今後も精度向上を図
につなげるための内部環境会計ツール
グループ全体の環境会計を行います。
ここ
るとともに、比較可能性の高いツールとな
です。
リコーグループでは、
リサイクル事業
で得られた結果は、環境行動計画の立
るよう、財務諸表のようなスタンダード化
グループ各社・
のセグメント環境会計 など、
案や、部門別業績評価に活用されます。
に向けて積極的に働きかけていきます。
各部門での活用が進んでいます。
*1 27ページを参照。
*1 計算式・指標は32ページを参照。
*2 25ページを参照。
*2 2002年度のコーポレート環境会計は31ページを参照。
*
*
58ページを参照。ほかにも17、47、50、52、53ページに
セグメント環境会計を記載しています。
29
PDCAを効果的に回すための「エコバランス環境会計」
各工程の環境負荷
社内環境保全活動のPDCAをまわすための管理機能重視
環境影響評価
環境行動計画立案
各工程の環境影響
お客様
の視点
Plan
環境綱領と
環境行動計画の策定
各工程の社会コスト
Action
学習と成長
の視点
Do
各工程の経営情報
各工程の環境保全効果・経済効果
部門業績評価
環境経営指標
社内ビジネス・
プロセスの
視点
環境保全
の視点
Check
各工程の環境保全コスト
財務的
視点
環境行動計画の達成
確認、エコ・バランス、
環境会計などにおける
目標 の 達 成 状 況 の
チェック
環境配慮型製品の利益貢献度の把握
●複写機の環境配慮による利益貢献率
世の中の環境負荷削減と企業利益の
評価結果
増大を同時に推進する環境経営を実現
機種選定の意思決定についてうかがった
品の環境負荷削減率に基づき設定)で
するには、環境負荷の少ない製品を開
ところ、19.8%のお客様が「環境配慮」を
割ることにより、環境配慮ポイント1ポイント
発し、
より多くのお客様にご利用いただく
選択基準のひとつにされていたことがわ
当たりの平均貢献率0.29が導き出されます。
ことが重要です。
しかし、
その効果を環境
かりました。
さらに、
これらのお客様に「環
これは、従来実施したコンジョイント分析の
会計で測定するには、精度の高い指標が
境配慮の度合」を回答していただいた結
結果0.32、および顧客満足度調査の結
必要になります。
リコーグループでは、各
果、平均値は35.9%でした。これらの数
果0.26の中間値であることからも、適切な
製品が環境負荷低減に配慮しているレ
字を掛け合わせることにより
(19.8×35.9)
、
数値であると考えられます。このため、利
を付け、
ベルに応じて「環境配慮ポイント 」
環境配慮型製品の利益貢献率は7.11
益貢献率の精度に一定の向上が認めら
機種別の環境技術開発による利益貢
%となります。
れることから、今年度からは「R&D利益
*
●利益貢献率の精度向上
「利益貢献率」を「環境配慮ポイント」
(製
献度を算出しています。2002年度は、環
境配慮ポイントの貢献率(利益に占める
貢献額」
を実質的効果に表示しています。
お客様の機種選定理由と利益貢献率
割合)
を明確にすることを目的に、
リコー
選 定 理 由
機 種 名
複写機を購入されたお客様の意識調査
を実施しました。次ページ「コーポレート環
境会計」の「R&D(環境研究開発)によ
る利益貢献額」は、
これに基づいて算出
利益貢献率
環境配慮が含まれている割合
全体に占める割合
複写機 A(モノクロ)
17.9%
34.8%
6.23%
複写機 B(モノクロ)
24.6%
37.9%
9.32%
複写機 C(カラー)
15.4%
34.6%
5.33%
全 体
19.8%
35.9%
7.11%
しています。
* 前身機に対する環境負荷削減率をLCA視点で算出して
設定しています。
利益貢献率と環境配慮ポイントとの関係(一部機種のみ)
機 種 名
環境配慮ポイント
利益貢献率
1ポイント当たりの貢献率
複写機 A(モノクロ)
26
6.23%
0.24%
複写機 B(モノクロ)
25
9.32%
0.37%
複写機 C(カラー)
22
5.33%
0.24%
合 計
73
20.88%
0.29%(平均)
※上記の結果から、2002年度の環境配慮ポイント1ポイントの利益貢献率=0.29に設定しました。
30
2002年度 リコーグループのコーポレート環境会計
BVQI 検証済み
(5)
コスト単位 : 億円 (外貨レート : 1$ = 121.96円、1EURO = 121.00円)
コ ス ト
経 済 効 果
項 目
環境投資 環境費用
事業エリア内
コスト
主な費用項目
金額効果
分類
10.9
a
節電や廃棄物処理効率化など
50.9
b
生産付加価値への寄与
69.4
c
汚染による修復リスクの回避、訴訟の回避など
58.9
a
リサイクル品売却額など
[21.1]
S
社会における廃棄物処理コストの削減
3.6
b
報道効果、環境教育効果など
36.1
a
R&D(環境研究開発)による利益貢献額
[5.6]
S
製品省エネ性能向上によるユーザー支払電気代削減
8.2
b
環境宣伝効果額など
項 目
公害防止費用 ………7.40(億円)
3.5
25.6
地球環境保全費用 … 3.36(億円)
資源循環費用………14.84(億円)
上・下流コスト
0.5
65.3
製品の回収、再商品化のための
費用など
管理活動コスト
0.4
39.8
環境対策部門費用、環境マネジメント
システム構築・維持費用
研究開発コスト
0.9
15.9
環境負荷低減のための研究、開発費用
社会活動コスト
0.0
2.8
環境報告書作成、環境広告のための費用など
環境損傷コスト
0.9
0.9
土壌汚染の修復、環境関連の和解金など
その他のコスト
0.0
0.3
その他環境保全に関連するコスト
総 計
6.2
150.6
な し
238.0
(a:105.9 b:62.7 c:69.4)合計
a : 実質的効果
b : みなし効果
[26.7]
S合計
c : 偶発的効果
S : 社会的効果
(お客様での効果)
・環境投資比率 : 2.2%
・環境研究開発費比率 : 1.9%
〈 =環境投資(6.2)/ 設備投資総額(281.9)〉 〈 =環境研究開発費総額(15.9)/ 研究開発費総額(835)〉
■ 2002年度の環境会計レビュー
は逓減してきています。ただし、環境負
コストなどから環境経営指標を捉えるこ
リコーグループ全体としての環境保全コ
荷総量自体は、2000年度と比較して半
とが可能となりました。今後、製品ベー
ストは、
リサイクル関連コスト及び環境マ
減しており、決して低い水準の推移では
スでの環境経営指標の評価や環境行
ネジメントシステムの維持コストが増加し
ないと考えられます。また各環境経営指
動計画の目標値として扱えるような環境
たため、昨年度比で約17%の増加にな
標は順調に推移しており、特に注目して
経営指標の検討を進めてまいります。
りました。項目別の経済効果に関して特
いる環境負荷利益指数に関しても昨年
* 27ページを参照。
筆すべき点は、製品リサイクル関連コス
度比約18%増加の1,423.7となり、2000
トを表している上・下流コストが昨年度比
年度比で約2.6倍と大幅な改善を実現
34%増加したものの、
リサイクル製品販
しました。2003年度は、約6%の増加を見
売による収益が約76%増加し、
リサイク
込んでいます。
ル事業の黒字化に向けて確実に収支
なお、現在、内部環境会計の充実を図
が改善している点です。一方、環境保全
るため、エコバランス環境会計*の確立
環境負荷利益指数
効果は、
これまで大幅な環境負荷削減を
を進めており、
まずは日本国内画像製品
社会コスト利益率
実現してきましたが、2002年度において
事業における環境負荷、環境影響、環境
売上総利益(億円)
31
リコーグループの売上総利益と環境経営指標の推移
2000年度 2001年度 2002年度
環境収益率
1.27
1.21
1.58
環境効果率
1.61
1.95
1.81
538.8
1,204.1
1,423.7
40.9
100.8
108.9
6,133
6,999
7,453
対象範囲 ●集計対象:リコーグループ主要89社 2ページ参照。
●集計対象期間:2002年4月1日から2003年3月31日
(コスト、環境負荷総量) ※ 環境負荷削減量は2001年度実績と2002年度実績との比較です。
※ 社会コストは108Euro / t - CO 2(¥13,068/ t - CO 2)
を基準に計算
環 境 保 全 効 果
換算係数
環境負荷削減量 (t)
環 境 負 荷
削減換算値 社会コスト削減額
換算係数
総 量 (t)
負荷換算値
社会コスト
事業所での環境負荷削減量
CO2 ……………………… -3,054.4
1.0
-3,054
-0.40
CO2 ………… 286,198
1.0
286,198
37.40
NOx ……………………………… 1.5
19.7
29
0.00
NOx ……………… 189
19.7
3,716
0.49
SOx ……………………………… 9.5
30.3
289
0.04
SOx ………………… 14
30.3
422
0.06
1
0.00
BOD ………………… 22
0
0.00
15,483
2.02
廃棄最終処分量 … 1,490
154,955
20.25
47,025
6.15
PRTR対象物質排出量
78,211
10.22
59,773
7.81
523,502
68.42
BOD …………………………… 33.2
廃棄最終処分量 …………
0.02
148.9
104.0
(リコー基準にて
各物質毎に換算)
PRTR対象物質排出量
0.02
104.0
(リコー基準にて
各物質毎に換算)
製品での環境負荷削減量
CO2 ………………… 8,709.3(t)
NOx ……………………… 7.1(t)
SOx ……………………… 5.7(t)
廃棄最終処分量 … 26,422.0(t)
集計範囲は国内のみ
環境経営指標
2002年度結果
1.58
環境収益率(REP : Ratio of Eco Profit)
1.81
環境効果率(REE : Ratio of Eco Effect)
1,423.7
環境負荷利益指数(Eco Index)
社会コスト利益率(RPS : Ratio of Profit to Social cost)
108.9
(1)実質的効果の算出式
算出式
経済効果総額(238.0)
/環境保全コスト総額(150.6)
{経済効果総額(238.0)+社会コスト削減額(7.81+26.7)}/ 環境保全コスト総額(150.6)
売上総利益(745,349,000千円)/環境負荷総量(523,502)
売上総利益(7,453億円)/社会コスト総額(68.42億円)
3)偶発的効果の算出式
光熱水道費削減額
前年度光熱水道費 ─ 当年度光熱水道費
偶発的効果金額
基準金額×発生係数×影響係数
廃棄物処理費削減額
前年度廃棄物処理費 ─ 当年度廃棄物処理費
対象項目
汚染防止に関わる改善項目
有価物売却額
廃棄物分別による有価物の売却額
基準金額
訴訟、操業停止、修復における基準金額を設定
係 数
発生頻度、影響範囲で発生係数と影響係数を設定
リサイクル製品・パーツ売上 リサイクルした製品および部品の売上
補助金
国などからの環境関連の補助金額
R&D利益貢献額
製品粗利×環境配慮ポイントによる粗利寄与率
(2)みなし効果の算出式
生産付加価値寄与額
(生産高−原材料費)×事業エリア内コスト/製造経費
(4)社会的効果(顧客サイドでの製品使用による経済効果)の算出式
総電力量
製品消費電力量×販売台数
報道効果
新聞で取り上げられた紙面面積 /
1頁の紙面面積×1頁あたりの広告費用
電気代削減効果
(旧製品総電力量−新製品総電力量)×電気代単価
環境教育効果
内部環境教育受講者×外部で受講した場合の費用
廃棄物処理費削減効果
(回収製品重量−最終処分重量)×外部処理単価
宣伝効果
環境ホームページアクセス数×環境報告書単価
32