技術資料 裏面入射型TDI-CCD 1 裏面入射型TDI-CCDとは 裏面入射型TDI (Time Delay Integration)-CCDは、 高 速撮像時などにおいて低照度下でも高いS/Nの画像が得 られるセンサです。TDI動作により、移動する対象物を積 速度で電荷転送を行う必要があります。 その速度は、式 (1)で表されます。 v = f × d ……… (1) v : 被写体移動速度、電荷転送速度 f : 垂直CCDの転送周波数 d : 画素サイズ (転送方向) 分露光することで、飛躍的に高い感度を得ることができま す。裏面入射型のため、紫外∼近赤外の幅広い波長域 (200∼1100 nm)で高い量子効率を実現しています。 図1-2の1段目で蓄積された電荷が2段目に転送される のと同時に2段目においても光電変換により電荷の蓄積 が行われます。 この動作をM段 (垂直段数)まで連続して [図1-1] TDI動作のイメージ 行った場合には、 M倍の電荷が蓄積されます。 このため、 リ TDI-CCD ニアイメージセンサに比べてM倍の感度を実現できます TDI-CCD (垂直段数が128の場合、 通常のリニアイメージセンサに比 カメラ べて128倍の感度が得られます)。蓄積された電荷はCCD レンズ の水平シフトレジスタから列ごとに出力され、 とぎれがない 信号強度 物体移動方向 TDI動作 2次元の画像が得られます。 またTDI動作では、 2次元動作 モード時よりも感度のバラツキが改善されます。 [図1-2] TDI動作による積分露光の模式図 CCDでは、 ポテンシャルウェルに信号電荷を保持して、 個々の電荷が混ざらないように転送して出力します。TDI 動作は、 このようなCCDの電荷転送の原理を巧みに利用 して、移動する物体を撮影したり、 あるいはCCDセンサ自 体が移動して、 静止物体をスキャンして撮影する場合に有 効な方法です。 通常、 センサ上に結像された画像は、 その位置に対応し た信号量として出力されます。 この方法では、蓄積時間の KMPDC0139JA [図1-3] TDI動作による撮影例 (a) 高速移動する対象物の撮影 間に結像された画像は必ず同じ位置にあることが必要で あり、何らかの理由で結像位置にずれが生じると画像の S/Nが低下します。被写体が移動する場合、結像位置が ずれることで画像にブレが発生し、 場合によってはまったく 画像にできないこともあります。 それに対してTDI動作は、 移動する被写体に対しても画 像化できるユニークな動作方法です。 FFT型CCDでは、 電 荷読み出しの際、列単位で電荷の垂直転送を行います。 その転送のタイミングと被写体の移動タイミングを合わせ、 CCD画素の垂直段数分の積分・露光をする方式がTDI動 作です。 TDI動作においては、被写体の移動と同じ方向に同じ 1 KMPDC0266JB (b) 高速回転する対象物の撮影 2 特長 高感度 (紫外∼近赤外域) 浜松ホトニクスのTDI-CCDは、裏面入射型の構造を採 用しており、紫外∼近赤外 (200∼1100 nm)の波長域で 高感度を実現しています。 [図2-1]分光感度特性 (窓なし時) (Typ. Ta=25 °C) 7000 KMPDC0267JA 図1-3 (b)においてCCDを2次元動作させてドラムが静 止した状態で撮影した場合、 図1-4 (a)のようにブレのない 画像を取得することができますが、 ドラムが回転していると 図1-4 (b)のように画像はブレてしまいます。 シャッタ時間を 受光感度 [V/(μJ · cm2)] 6000 5000 S10200-02-01 S10201-04-01 S10202-08-01 S10202-16-01 4000 3000 2000 1000 短くした場合、 ブレのない画像が得られますが、画像は図 1-4 (c)のように暗くなります。TDI-CCDは、 ドラムの回転と 0 200 300 400 500 600 同じ方向に同じ速度で電荷転送を行うため、図1-5のよう 波長 (nm) な明るくブレのない連続画像が得られます。 [図1-4] 2次元動作による撮影 700 800 900 1000 1100 KMPDB0268JB [図2-2]量子効率−波長 (窓なし時) (a) ドラム静止時 (Typ. Ta=25 °C) 100 裏面入射型TDI-CCD 90 80 (c) ドラム回転時 (シャッタ時間を短くした場合) 量子効率 (%) 70 (b) ドラム回転時 60 50 40 30 20 10 [図1-5] TDI動作による撮影 (ドラム回転時の連続画像) 0 200 表面入射型CCD 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 波長 (nm) KMPDB0269JC マルチポート化による高速ラインレート 高速移動サンプルの連続撮像をするために、 TDI-CCD には複数のアンプを配置し、画像の読み出しを並列に行 うことによって高速ラインレートを実現しています。 ピクセ ルレートは30 MHz/ポートで、 ラインレートは、 S10200-0201、 S10201-04-01、 S10202-08-01では50 kHz、 S10202-1601では100 kHzを実現しています。 2 [図2-3]センサ構造図 [代表例: S10201-04-01, 2048 (H) × 128 (V)画素, 片側4ポート × 2 (双方向転送)] は、画素もしくは電荷転送路の脇にドレインを設けた構造 で、 表面入射型CCDでは開口率が小さくなる欠点がありま す。一方、裏面入射型CCDでは、 この欠点を回避すること ポート ポート ポート ポート ができます [図2-6]。 128画素 なお、 オーバーフロードレイン電圧 (V OFD)とオーバーフ 512画素 ポート 512画素 ポート 512画素 ポート 512画素 双方向 転送 ローゲート電圧 (V OFG)によりアンチブルーミング機能を制 御する場合、印加電圧によりドレインから画素へ電荷が流 ポート 入したり、飽和電荷量が低下することがあります。印加電圧 は、適正な値に設定する必要があります [図2-7, 2-8]。 双方向の垂直転送が可能です。 KMPDC0268JA [図2-5] 撮像例 被写体を複数回にわたってスキャンする場合、 TDI-CCD (a) アンチブルーミングなし (b) アンチブルーミングあり では双方向転送機能によって図2-4 (a)のように戻る動作 が不要なため、検査スループットを向上させることが可能 です。 [図2-4] カメラのスキャン方向 (a) 単方向転送 スキャン 被写体 [図2-6] アンチブルーミング構造 (横型)とポテンシャル (2画素にオーバーフロードレインを設けた構造) 移動 (b) 双方向転送 被写体 A スキャン A’ 移動 [垂直画素部上面図] (c) 双方向転送のTDI-CCDを搭載したカメラ OFG OFD TDIカメラ チャンネルストップ 1 画素 被写体 N + P P-EPI N N N P+ Poly-Si SiO2 N-チャンネル 電荷ドリフト KMPDC0503JA バリア (クロック電圧: Low) アンチブルーミング ストレージ (クロック電圧: High) 受光面に強い光が入り信号電荷が特定量を超えた場 合に、 余剰電荷が隣接した画素や転送領域にあふれ出る 現象がブルーミング (オーバーフロー)です。 ドレインを設 けて余剰電荷を捨てることによりブルーミングを防止する ことをアンチブルーミングといいます [図2-5]。 CCDのアンチブルーミング構造には大きく分けて横型と 縦型があり、 当社のCCDでは横型を採用しています。 横型 3 ポテンシャル [A-A’の断面] KMPDC0286JB [図2-7] アンチブルーミングの概念図 (横型) VOFD VOFG 3 VPXV 従来品と新製品の比較 [表3-1] 従来品と新製品の特性比較 + N 従来品 新製品 S10200-02 S10201-04 S10202-08 S10202-16 S10200-02-01 S10201-04-01 S10202-08-01 S10202-16-01 Typ. 30 30 Max. 35 40 CCD変換効率 3.5 9.5 μV/e- 読み出しノイズ (30 MHz) 100 35 e- rms 1000 2857 - + P Nブルーミング P の発生するポテンシャル 項目 垂直Low レベル 適正なポテンシャル オーバーフロードレインのポテンシャルレベル 出力信号 周波数 画素への電荷の流入するポテンシャル 垂直High レベル ポテンシャル KMPDC0285JA [図2-8] 電圧設定とアンチブルーミング (概念図) High ダイナミックレンジ オーバーフローゲート電圧 MHz データシート参照 データシート参照 動作電圧 画素への電荷の流入が 発生する領域 単位 出力インピーダンス 300 - 150 Ω [図3-1] 出力波形 (fc=30 MHz) アンチブルーミングが 効く領域 (a) 従来品 (b) 新製品 1 画素 1 画素 Low ブルーミングが 発生する領域 Low オーバーフロードレイン電圧 High KMPDC0496JA 10 ns/div. 10 ns/div. KMPDB0405JA CCD変換効率の増大とアンプ設計の最適化により、 新製品は従来品に比べて出力振幅が大きく、帯域が向上 した理想に近い出力波形が得られています [図3-1]。 4 4 出力を使用してください。 なお、 ブランク画素出力には、垂 使い方 直画素で発生する信号を含みません。 [図4-2] 暗出力−素子温度 (代表例) 偽信号の低減 (ラインレート: 50 kHz, 垂直段数: 128) 10000 裏面入射型CCDを光入射方向から見た場合、水平シフ トレジスタはSiの厚い部分 (不感部分)で覆われています 1000 暗出力 (e-/pixel) が [図4-1]、長波長の光は不感部分を透過して、水平シフト レジスタで受光されて偽信号が発生することがあります。 偽信号は実際の信号に重畳され、 TDI動作の蓄積時間 の合計よりも水平転送時間が長い場合、偽信号の影響は 大きくなります。 100 10 偽信号の影響が大きい場合には、光の照射位置の調整、 水平シフトレジスタの遮光などの対策を行う必要があります。 1 20 30 40 50 60 素子温度 (°C) 暗出力の影響の低減 KMPDB0407JA [図4-3] ノイズ−素子温度 (代表例) 暗出力は、光入力のない状態における電流出力です。 計測用CCDでは、一般に1画素当たり1秒間に発生する電 (ラインレート: 50 kHz, 垂直段数: 128) 100 トータルノイズ 子数 (単位: electron/pixel/s)で表します。TDI動作の場 合、 各列の画素で発生する暗電流は垂直段数分蓄積され ノイズ (e- rms) るため、 1列単位で発生する電子数 (単位: electron/pixel) で表され、 その大きさはラインレートと段数などによって変 わります。 したがって、高速ラインレートで動作すると暗電 流は非常に小さくなります。 読み出しノイズ 10 ダークショットノイズ 暗出力は、素子温度が5∼7 ℃上昇するとほぼ2倍にな ります [図4-2]。素子温度が上がると、 ダークショットノイズ の影響が大きくなる場合があるため、 適正な放熱対策を行 1 20 う必要があります [図4-3]。 30 40 50 60 素子温度 (°C) 各列のダークオフセットを補正する必要がある場合は、 KMPDB0406JA 光が入射しない状態 (暗状態)にしたときの、有効画素の [図4-1]デバイス構造 (代表例: S10202-08-01, 外形寸法図において上面から見たCCDチップ概念図) OSb2 OSb3 OSb6 OSb7 OSb8 OSa2 OSa3 OSa6 OSa7 OSa8 OSa1 128段 Thinning OSb1 Thinning 8 ブランク 512画素 V=128 H=512 × 8 (ポート数) KMPDC0252JC 5 [図4-5] タイミングチャート (水平シフトレジスタ、リセットゲート) センサの発熱 Tpwh TDI-CCDは高速読み出しを行い、 マルチポート構造の Tprh Tpfh P1H ためセンサが高温になる可能性があります。素子温度が 上昇すると暗電流が増加するため、必要に応じて適切な P2H 放熱処理が必要です。放熱の方法については、「イメージ Tprr センサ/使用上の注意」を参照してください。 電荷転送時における消費電力は、動作電圧振幅の2乗 Tpfr Tpwr RG と読み出し周波数に比例します。 この場合、読み出し周波 数の大きい水平シフトレジスタにおける消費電力が支配的 KMPDC0497JA [図4-6] OS出力波形例 です。 このため、読み出しを行っていない側の水平シフトレ (fc=30 MHz) ジスタでは、発熱を低減するために駆動電圧をDC電圧に リセットフィールドスルー 設定して不要な電荷を捨てています (データシートのタイミ DCレベル (リセットレベル) ングチャートを参照)。 当社製評価回路を用いた場合の素子温度と動作時間の 関係の例を図4-4に示します (回路系は密封されており、 信号 放熱対策が施されていない状態)。 信号レベル [図4-4] 素子温度−動作時間 (S10201-04-01, 当社製評価回路, 代表例) 70 60 素子温度 (°C) 上図のような理想的な波形を得るためには、 回路の最適化が必要です。 空冷用ファンなし 50 KMPDB0409JA 40 高速信号処理回路 空冷用ファンあり 30 数MHz以上の読み出し速度が必要とされるCCDの信 20 号処理回路において、 ディスクリート部品だけで構成され 10 た回路ではクランプの高速動作やコンデンサへの速い充 0 0 5 10 15 20 25 30 放電特性を実現することは困難です。 35 CCDの信号処理に最適化されたアナログフロントエンド 動作時間 (min) KMPDB0408JA IC (CDS/ゲイン/オフセット回路、 A/D変換器などを1チッ プで構成したIC)を使用することで高速信号処理回路を 高速動作時のクロック、出力波形 水平シフトレジスタのクロック波形については、 リンギン グをできるだけ低減し、 クロック振幅の50% ± 10%で交差 させることを推奨します [図4-5]。 駆動条件が適正でない場合、 飽和電荷量・CCD転送効 率・読み出しノイズなどがデータシートに掲載された特性 値を満たさない場合があります。 また、 リセットゲートに入力 する波形は、 OS出力波形のDCレベル (リセットレベル)、 信 号レベルに平たんな領域ができるように調整してください [図4-6]。駆動回路には、 これらのクロックタイミングを微調 整できる機構が必要です。 構成できます [図4-7]。 読み出しノイズと出力信号周波数 一般的に、 出力信号周波数を低くすると、CCDの読み出 しノイズは小さくなります [図4-8]。 なお、 出力信号周波数を 低くした場合ラインレートも遅くなり、電荷転送中の暗出力 成分が大きくなり、 そのショットノイズがトータルノイズに影響 する場合があります。 読み出しノイズは、読み出し回路などのさまざまな要因 により変わります。 6 [図4-7] 高速信号処理回路例 (アナログフロントエンドICを使用) ClockDriverに接続 +DRV 0.1 μF + 4.7 μF 0.1 μF +DRV +VOD or +VRD 10 μF 0.1 μF 4.7 μF 0.1 μF 24 23 22 21 20 19 18 17 16 15 14 13 0.1 μF +1.8 VLDOOUT OSxx 4.7 μF + 0.1 μF 2.2 kΩ 0.1 μF 0.1 μF 0.1 μF 0.1 μF RG IOVDD LDOOUT CLI AVSS AVDD CCDINP CCDINM AVSS AVDD REFT REFB D11 D10 D9 D8 D7 DRVDD DRVSS D6 D5 D4 D3 D2 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 FPGAに接続 LDOEN SL SDI SCK GPO1 GPO2 VD HD DVSS DVDD D0(LSB) D1 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 0.1 μF 0.1 μF +3 V 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 +3 V +1.8 VLDOOUT + RGVDD HL RGVSS H4 H3 HVDD HVSS H2 H1 NC D13(MSB) D12 AD9979 +1.8 VLDOOUT FPGAに接続 0.1 μF KMPDC0500JA [図4-8] 読み出しノイズ−出力信号周波数 (代表例) ンが見える場合があり、 その出力差は数%程度です。 これ は、画素ごとに感度差があるためで、入射光の波長によっ 50 て影響が異なります。各列において、感度の異なる画素の 読み出しノイズ (e- rms) 40 構成は同じです。 このためTDI動作の場合は、 各列の画素 の平均感度は同じになります。 30 2次元動作のクロックタイミングチャートを図4-10に示し ます。 20 [図4-9] 2次元動作の均一光入射時の画像 (1ポート: 512 × 128画素) 10 0 10 20 30 40 出力信号周波数 (MHz) KMPDB0410JA 露光量の調整 TDI動作において、 ラインレートの変更により露光量を 変えることができます。 また、 光学系にフィルタを追加して光 量を調節することも有効な方法です。 なお、 当社の標準品 には垂直段数の切り替えによる露光量の調整機能はあり 拡大図 ません。 2次元動作 当社のTDI-CCDはTDI動作に加えて2次元動作も可能で、 光学系の確認や初期の評価に使用する場合があります。光 を入射した場合の2次元動作の画像を図4-9に示します。 画像のコントラストを強調するとジグザグの固定パター 7 出力のバラツキの補正 各ポートの出力には、読み出しアンプの特性の違いや、 回路配線長の違いなどによってバラツキを生じます。 また 各列においても動作条件によっては出力のバラツキを生じ る場合がありますので、必要に応じて補正機能を追加す ることを推奨します。 [図4-10] 2次元動作のタイミングチャート (a) Aポート読み出し 蓄積時間 (シャッタ開) OSb RGb H L P2Hb, SGb H L P1Hb H L 読み出し時間 (シャッタ閉) Tprv, Tpwv, Tpfv Tovrv TGb P1V H L H L P3V H L H L TGa H L P2V Tovrv 1 2 3 128 P1Ha P2Ha, SGa RGa OSa 拡大図 Tovr TGa H L P1Ha H L P2Ha, SGa H L RGa H L Tprh, Tpwh, Tpfh Tprs, Tpws, Tpfs Tprr, Tpwr, Tpfr OSa D1 D2 D3...D8 S1 S2 S509 S253 S510 S254 S511 S255 S512: S10200-02-01, S10201-04-01, S10202-08-01 S256: S10202-16-01 (b) Bポート読み出し 拡大図 OSb D1 D2 D3...D8 S1 S2 S509 S253 S510 S254 S511 S255 S512: S10200-02-01, S10201-04-01, S10202-08-01 S256: S10202-16-01 Tprr, Tpwr, Tpfr RGb H L P2Hb, SGb H L P1Hb H L TGb H L Tovr Tprh, Tpwh, Tpfh Tprs, Tpws, Tpfs 蓄積時間 (シャッタ開) 読み出し時間 (シャッタ閉) OSb RGb H L P2Hb, SGb H L P1Hb H L Tprv, Tpwv, Tpfv Tovrv TGb H L P2V H L H L P3V H L TGa H L P1Ha H L P2Ha, SGa H L RGa H L P1V 1 2 Tovrv 3 128 OSa KMPDC0498JB 8 5 出力回路の構造 [図5-1]FDAを採用したCCDの出力部 RD FDA (Floating Diffusion Amplifier)は、 最も広く使用 されている 「CCDの電荷検出の方式」です。FDAは、電 MOS1 RG 荷の検出ノードと、 それに接続されたリセット用MOSFET OD (MOS1)と電荷−電圧変換用MOSFET (MOS2∼6)により 構成されます [図5-1]。検出ノードに転送された電荷は、 P1 SG OG MOS2 MOS4 電荷−電圧変換用MOSFETで、 Q = C Vの関係により電荷 MOS6 から電圧に変換されます。 次の信号を読むために検出ノー ドは、 リセット用MOSFETによりリファレンスレベル (RDの MOS3 信号電荷 MOS5 Cfd OSA OSB 電圧)にリセットされます。 FDAでは、検出に伴うノイズはノードの容量によって決 外部負荷 抵抗 2.2 kΩ まりますが、Whiteによって提案されたCDS (Correlated Double Sampling: 相関2重サンプリング)によってほとんど 電荷転送 除去することができます。 KMPDC0502JA 信号電荷が出力されるタイミングは、 シフトレジスタの最 終クロックゲートであるサミングゲート (SG)がHighレベル TDIカメラ C10000シリーズ (関連製品) からLowレベルになるときと同期しています。 出力電圧は、3段ソースフォロワ回路でインピーダンス変 浜松ホトニクスは、 裏面入射型TDI-CCD S10201-04-01 換され (ゲイン<1)、OSA、OSBとして出力されます。 なお、 と駆動回路を内蔵したTDIカメラ C10000シリーズを製品 図5-1の外部負荷抵抗 (2.2 kΩ)は裏面入射型TDI-CCDに 化しています。 は含まれていないため、 外付けする必要があります。 C10000-801 (S10201-04-01内蔵) 製品情報 www.hamamatsu.com/jp/ja/C10000-801.html 本資料の記載内容は、平成27年6月現在のものです。 製品の仕様は、改良などのため予告なく変更することがあります。本資料は正確を期するため慎重に作成されたものですが、まれに誤記などに よる誤りがある場合があります。本製品を使用する際には、必ず納入仕様書をご用命の上、最新の仕様をご確認ください。 納入仕様書またはサンプル提供において、型名の末尾に暫定仕様を意味する(X)、開発仕様を意味する(Z)が付く場合があります。 本製品の保証は、納入後1年以内に瑕疵が発見され、かつ弊社に通知された場合、本製品の修理または代品の納入を限度とします。ただし、 保証期間内であっても、天災および不適切な使用に起因する損害については、弊社はその責を負いません。 本資料の記載内容について、弊社の許諾なしに転載または複製することを禁じます。 www.hamamatsu.com 仙台営業所 筑波営業所 東京営業所 中部営業所 大阪営業所 西日本営業所 〒980-0011 〒305-0817 〒105-0001 〒430-8587 〒541-0052 〒812-0013 仙台市青葉区上杉1-6-11 (日本生命仙台勾当台ビル2階) 茨城県つくば市研究学園D6街区8画地 (研究学園スクウェアビル7階) 東京都港区虎ノ門3-8-21 (虎ノ門33森ビル5階) 浜松市中区砂山町325-6 (日本生命浜松駅前ビル4階) 大阪市中央区安土町2-3-13 (大阪国際ビル10階) 福岡市博多区博多駅東1-13-6 (竹山博多ビル5階) TEL TEL TEL TEL TEL TEL (022) 267-0121 (029) 848-5080 (03) 3436-0491 (053) 459-1112 (06) 6271-0441 (092) 482-0390 FAX (022) 267-0135 FAX (029) 855-1135 FAX (03) 3433-6997 FAX (053) 459-1114 FAX (06) 6271-0450 FAX (092) 482-0550 固体営業推進部 〒435-8558 浜松市東区市野町1126-1 TEL (053) 434-3311 FAX (053) 434-5184 Cat. No. KMPD9004J03 Jun. 2015 DN 9