AN3338 アプリケーションノート SLLIMM™ small low-loss intelligent molded module By Carmelo Parisi, Giovanni Tomasello and Mitsuhiro Ohkubo イントロダクション 近年、さまざまなモータ制御分野において高性能かつ低損失で、よりコンパクトでより信頼 性の高いものが求められています。例として家庭用途では食器洗い洗浄器、冷蔵庫コンプレッ サ、エアコンのコンプレッサ駆動、脱水・再循環ポンプなど、また低パワー産業用アプリケー ションとしてミシン、ポンプなどが上げられます。 ST マイクロエレクトロニクスはこれらの要求にあった新しい製品ファミリ SLLIMMTM シリ ーズ(SLLIMMTM: small low-loss intelligent molded module)を開発しました。 本製品ファミリは高効率でコンパクトなデュアルインラインの IPM(インテリジェントパワー モジュール)で、特別なオプション機能(後述)も搭載しています。 SLLIMM 製品ファミリは最適なシリコンチップを組み込んでさらに 3 つの主要インバータブ ロックを搭載しています。 • パワーステージ − 6 つの耐久性の高い IGBT − 6 のフリーホイリングダイオード • ドライバ回路 − 3 つの高耐圧ゲートドライバ − 3 つのディスクリートゲート抵抗 − 3 つのブートストラップダイオード • 保護回路とオプション機能 − 電流センス用高性能オペアンプ − 過電流、短絡検出用コンパレータ − 温度コントロール用 NTC センサ − スマートシャットダウン機能 − デッドタイム、インターロッキング機能 − 電源電圧低下検出ロックアウト機能 また、最高水準の DBC 実装技術により完全に絶縁された SLLIMM パッケージ(SDIP)が最適 なコスト、品質レベルで極めて低い熱抵抗性能を提供します。 ディスクリートで実現されたインバータ(パワーデバイス、ドライバ、保護回路などを含む) に比べて、SLLIMM ファミリは、主要機能が最適化され組み込まれているため、回路設計をよ り容易にし、部品点数を削減し、製品を軽量化でき、さらに高い信頼性を実現できます。 June 2012 1/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 本アプリケーションノートは、SLLIMM ファミリの詳細を紹介し、SLLIMM ファミリを使用 するモータドライバ設計者の方々へ、効率・信頼性の高い設計をするためのガイドラインを提 供します。 1 インバータ設計 インバータ設計の 設計の基本と 基本と SLLIMM ソリューション インバータのスイッチングによるメリット(効率、信頼性、サイズ、コスト等)は多くの市場 の要求に応えられるため、数十ワットから数十メガワットの範囲の多くのモータドライブアプ リケーションではインバータにより機能を実現することが求められています。 Figure1 はモータドライブアプリケーション例です。IGBT とフリーホイリングダイオードで 実現されるパワーステージ、IGBT のゲートドライバ回路、DSP やマイコンで実現される制御 機能、それから保護機能のためのセンサと制御信号のためのフィードバック信号から構成され ます。 これらをディスクリートで実現しようとすると高い組み立てコストが発生し、高い信頼性リ スクがあり、部品点数が増えるため製品そのものの重量も多くなります。また、回路設計、レ イアウト設計においても多くの部品を、寄生のインダクタなども考慮して配置することが必要 になってきます。近年では SLLIMM のような IPM を使用することでそれらの設計工数とリスク を大幅に減らすことが可能になりました。 Figure 1:インバータブロック インバータブロック図 インバータブロック図 Mains Microcontroller Gate driver Bridge rectifier Power stage M Sensors Feedback 近年 IPM の市場はその組み込みレベルの向上もあり急速に拡大しています。ST の SLLIMM ファミリでも、多くの部品を一つのパッケージに組み込んでおり、30 点以上のディスクリート 部品を減らすことが可能です。 ST の SLLIMM ファミリを使用することで設計時間が短縮され、製造時に要求されるさまざ まな注意が不要になります。また高い自由度を持った広範囲のアプリケーションで、高い信頼 2/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 性と高い品質が実現できます。これらは Figure 2 から容易に確認できます。Figure2 は ST の SLLIMM ファミリを使用した場合のメリッをディスクリートで同機能を構成した場合と比較し て示しています。 また、内部でのパワーステージとドライバチップは最適化されたシリコンチップと回路で実 現されており、最適化されているボードレイアウトとともに効率の最大化、ノイズ及び EMI の 低減が可能となりました。また短遅延での高いレベルの保護機能も実現できるようになってい ます。 Figure 2: ディスクリート構成 ディスクリート構成と 構成と SLLIMM ソリューションの ソリューションの比較 1.1 製品概要 SLLIMM は 300W-2.0kW までの広い範囲のアプリケーションに適合するよう設計されていま す。アプリケーション例として以下のようなものが挙げられます。 • • • • • • 食器荒い洗浄器 冷蔵庫のコンプレッサ駆動 エアコンのコンプレッサ駆動 ミシン 低パワー産業用アプリケーション 小型ファン、ポンプ 組み込まれている主要な性能、機能は以下の通りです。 • • 定格 600V、10~20A 3 相 IGBT インバータ − 6 つの低損失、短絡保護付き IGBT 3/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module • • • • • • • − 6 つの低順電圧・ソフトリカバリ・フリーホイリングダイオード 3 つのゲートドライバ IC と保護回路 − スマートシャットダウン機能 − 過電流、短絡検出用コンパレータ − 電流センス用高性能オペアンプ − 3 つのブートストラップダイオード − インターロック機能 − 電源電圧低下保護機能 UV 温度モニタ用 NTC サーミスタ 各相電流センス毎のオープンエミッタ端子 DBC による完全に絶縁され、優れた放熱特性を持つパッケージ 定格絶縁電圧 2500VRMS スイッチングスピードを最適化する受動部品 ゲートドライバの最適化されたバイアス回路とノイズフィルタリング回路 Figure3 は SLLIMM でインバータを構成したブロック図です。 Figure 3: SLLIMM block diagram Mains Bridge rectifier Gate driver UVLO / Dead time Level Shift Smart Comparator Shut Down Bootstrap diode Half bridge Op-Amp Gate driver Microcontroller UVLO / Dead time Level Shift Smart Comparator Shut Down Bootstrap diode Half bridge Op-Amp Gate driver UVLO / Dead time Level Shift Smart Comparator Shut Down Bootstrap diode Half bridge Op-Amp NTC temperature monitoring SLLIMM Feedback 4/74 M SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module IGBT とフリーホイリングダイオードで構成された 3 つのハーフブリッジは、モータ制御ア プリケーションで全体的に効率が向上するようモータ制御アプリケーションに最適に設計され ています。この最適な設計により dV/dt、di/dt が低くなっており、定常損失、スイッチング損 失、EMI エミッションも改善されています。 また、内部のゲートドライバ IC は要求仕様によって 2 レベルの選択が可能です。一つは基本 機能をもった低コストソリューション向けです。もう一つは高機能制御向きオプションをもっ たフル機能バージョンです。 完全に絶縁された 25 リードまたは 38 リードの SDIP パッケージ(SDIP-25L/SDIP-38L)が使 用可能で、DBC 技術により高い放熱性能と 2500VRMS という絶縁性能を達成しています。それ によりコンパクトなサイズでの高い品質と高い信頼性レベルを達成します。 5/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 製品ラインアップ 製品ラインアップと ラインアップとネーミング Table 1: SLLIMM 製品ラインアップ 製品ラインアップ Basic version Features Fully featured version STGIPS10K60A STGIPS14K60 STGIPL14K60 STGIPS20K60 STGIPL20K60 Voltage (V) 600 600 600 600 600 Current @ TC = 25 °C (A) 10 14 15 18 20 Rth(j-c) max single IGBT (°C/W) 3.8 3 2.8 2.4 2.2 SDIP-25L SDIP-25L SDIP-38L SDIP-25L SDIP-38L 44.4x22.0x5.4 44.4x22.0x5.4 49.6x24.5x5.4 44.4x22.0x5.4 49.6x24.5x5.4 DBC substrate Yes Yes Yes Yes Yes NTC Yes No Yes No Yes Integrated bootstrap diode Yes Yes Yes Yes Yes SD function No Yes Yes Yes Yes Comparator for fault protection No Yes (1 pin) Yes (3 pins) Yes (1 pin) Yes (3 pins) Smart shutdown function No Yes Yes Yes Yes Op amps for advanced current sensing No No Yes No Yes Interlocking Function Yes Yes Yes Yes Yes Package type Package size (mm) X, Y, Z Undervoltage lockout Yes Yes Yes Yes Yes Yes (3 pins) Yes (3 pins) Yes (3 pins) Yes (3 pins) Yes (3 pins) Yes Yes Yes Yes Yes High side IGBT input signal Active High Active High Active High Active High Active High Low side IGBT input signal Active High Active Low Active Low Active Low Active Low Open Emitter configuration 3.3/5 V input interface compatibility Figure 4: SLLIMM ネーミング ST G IP zz iii w vvv x Option VCES voltage divided by 10 IGBT Technology SLLIMM™ (IPM) H = Very fast K = Short circuit rugged W = Ultra fast Package Nominal current S = SDIP-25L molded L = SDIP-38L molded 6/74 IC current at TC=25°C SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 1.2 内部回路 Figure 5: STGIPS10K60A 内部回路 7/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 6: STGIPS14K60/STGIPS20K60 内部回路 8/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 7: STGIPL14K60/STGIPL20K60 内部回路 9/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 1.3 絶対最大定格 絶対最大定格は各値のデバイスの許容限界を表し、通常は設計の最悪条件として使用され ます。絶対最大定格の仕様は温度、周波数、電圧等の仕様決め時のテスト条件に依存するため、 実際に使用するアプリケーションの条件で変わってしまうことに注意が必要です。 例として Table 2 に SLLIMM STGIPL14K60 の条件を示します。これはデータシートに記載 がありますので、詳細についてはそれぞれデータシートから確認可能です。 Table 2: STGIPL14K60 のインバータ部 インバータ部 Symbol Parameter Value Unit VPN P-NU, NV, NW 間供給電圧 450 V VPN(surge) P-NU, NV, NW 間供給(サージ)電圧 500 V 600 V VCES (1) コレクタエミッタ間電圧 (VIN = 0) (2) 各 IGBT のコレクタ連続電流(TC = 25 °C) 15 A (3) 各 IGBT のコレクタ瞬時電流 30 A PTOT 各 IGBT のトータル消費電力(TC = 25 °C) 44 W tSCW 短絡耐量, VCE = 0.5·V(BR)CES, (1) Tj = 125 °C, V CC = Vboot = 15 V, VIN = 0÷5 V 5 us ±IC ±IC (1) HINU, HINV, HINW; LINU , LINV , LINW と GND 間 (2) 下記 式(1)の反復計算による (3) パルス幅は最大ジャンクション温度の制限有 I C ( TC ) = T j max − TC Rth( j −c ) ⋅VCE( sat )(max)(@T j max,I C ( TC )) (1) SLIMM は VCES 定格 600V で、パワーステージは IGBT(及びフリーホイリングダイオー ド)から構成されています。 一般的に IPM 内部の寄生インダクタンスは約 100V までサージ電圧を発生させますので、 許容可能な P-N 間の最大サージ電圧 VPN(surge)は 500V です。さらに、デバイスと外部の DC リンクコンデンサ間の寄生インダクタンスも 50V のサージ電圧を発生させることを考慮す ると、供給可能な P-N 間の電圧 VPN は 450V となります。 Figure 8 に示すように、出力パワーステージの寄生インダクタンスには 2 つの要素が考 えられ、一つは SLLIMM の内部レイアウトに依存するもので、もう一つはボードレイアウ トに依存するものです。 10/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 8: 出力パワーステージ 出力パワーステージの 寄生インダクタンス パワーステージの寄生インダクタンス IGBT の電圧は絶対最大定格 以上になりうる di/dt と寄生インダクタンスの 影響でスパイク電圧が SLIMM ピンから観測される 平坦な VPN V PN V PN(surge ) P High di/dt value HVIC to motor U, V, W C + V bus N SLLIMM SLLIMM 内部レイアウトに 起因する寄生インダクタンス PCB レイアウトに起因する 寄生インダクタンス • ±IC: IGBT 毎のコレクタ電流 許容可能なコレクタ DC 連続電流(TC = 25 °C) 。T Ic は式 1(10 ページ)から計算されます。 • tSCW: 短絡耐量 SLLIMM 内部にはモータ制御に適合した IGBT が組み込まれていますが、短絡のセルフ保護 は一つの主要な機能になっています。tSCW は反復しない場合の短絡耐量です。もし短絡が発 生しこの耐量時間を超えると製品寿命が激減します。SLLIMM 動作中はこれらの条件を超え ないことを強く推奨します。 11/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Table 3: STGIPL14K60 制御部 Symbol Parameter Value Unit VOUT OUTU,OUTV,OUTW, と GND (VCC=15 V)間の出力許容電圧 Vboot -21 to Vboot +0.3 V VCC 低電圧側電源 -0.3 to 21 V VCIN コンパレータ入力電圧 -0.3 to VCC +0.3 V -0.3 to 620 V HIN, LIN とGND間、ロジック入力電圧GND -0.3 to 15 V オープンドレイン電圧 -0.3 to 15 V 許容される出力のスルーレート 50 V/ns Vbooti – OUTi間 for i = U,V,W ブーストストラップ電圧 Vboot VIN V SD / OD dVOUT/dt • VCC: 制御部電源電圧 Vcc は制御部の電源電圧です。SLLIMM のノイズ耐性を高めるため外部でのフィルタリン グが推奨されます。通常、無視できない ESR をもつ比較的大きな電解コンデンサと、数百 nF オーダーのセラミックコンデンサをそれぞれ一つ使用して構成されます。SLLIMM 内部 には既に小さなフィル多様コンデンサが内蔵されています。(Figure5、Figure6、Figure7 の 内部回路を参照) SLLIMM を適切に使用するための Vcc 条件については Table 4 を参照ください。 Table 4: 電源電圧と 電源電圧とデバイス動作 デバイス動作 VCC voltage (typ. value)(1) < 12 V 12 V – 13.5 V Operating behavior UV(制御電源の電圧低下検出)スレッショルド以下のため、制御回路は完全 には ON にならず、デバイス動作は保障されません。 IGBT は動作しますが、ゲート電圧が低いため定常時・スイッチング時とも 損失が増加します。 13.5 V – 18 V 通常の使用条件です。 18 V – 21 V IGBT は動作します。スイッチングスピードは速く、飽和電流は大きくなり ます。EMI の増加と短絡破壊のリスクが増加します。 > 21 V 制御回路破壊の可能性があります。 (1) STGIPS10K60A 以外. 詳細は各データシート参照 12/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Table 5: STGIPL14K60 システム全体 システム全体 Symbol Parameter Value Unit VISO 各ピンとヒートシンク間に電圧を印加した際の絶縁耐性 (AC voltage, t = 60 sec.) 2500 V 動作時のジャンクション温度 -40 to 150 °C モジュールケースの動作温度 -40 to 125 °C Tj (1) TC (1) SDIP モジュールに組み込まれたパワーチップの最大定格ジャンクション温度は 150℃ で す (@TC = 100 °C) 。 SDIP の 安 全 確 保 の た め 平 均 の ジ ャ ン ク シ ョ ン 温 度 は Tj(avg)≤125 °C として下さい (@TC≤100 °C) 。 2 電気的特性と 電気的特性と機能 本章ではパワーステージの主な機能と、SLLIMM のすべての機能の詳細をあわせて紹介しま す。 2.1 IGBT SLLIMM は、その進んだ PowerMESHTM プロセスで製造された IGBT を使用し、インバータ 機能の低損失化を実現しました。このパワーデバイスは標準的なスイッチング周波数を使用す るモータ制御向けに設計されており、VCE(sat)電圧ドロップとスイッチング速度(tfall)の優れたバ ランスを提供します。定常時及びスイッチング時の損失が最小化される結果、身の回り品の環 境負荷を減らすことができます。実システムの詳細な損失解析については 4 章で紹介します。 この IGBT ファミリはモータ制御アプリケーションで期待される 5us 短絡耐量をもっています。 2.2 フリーホイリングダイオード SLLIMM ファミリは Turbo 2 超高速高耐圧ダイオードを搭載し、フリーホイリングダイオー ドの trr/VF のトレードオフ関係、逆回復ソフトネスのバランスを注意深く調整しています。その 結果インバータの全体的な性能を改善し、モータ制御で特に重要になりうる EMI の大幅な低下 を達成しています。 2.3 高耐圧ゲートドライ 高耐圧ゲートドライバ ゲートドライバ SLLIMM は BCD(Bipolar, CMOS, DMOS)オフラインテクノロジーを使って設計された汎用の 高耐圧ゲートドライバ IC(HVIC)を搭載しています(Figure 9 参照)。特に FOC:フィールドオリエ ンテッドコントロール向けモータ制御に最適であり、この分野おいて必要なすべての機能を提 供し、ローサイド、ハイサイドの両方の IGBT ドライブに必要な電流を供給できます。このゲ 13/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module ートドライバは高電圧のレベルシフトコントロールがもとめられるすべてのアプリケーション で使用でき、内部にブートストラップダイオード(特許取得済み)を搭載しています。 Figure 9: 高耐圧ゲートドライバ 高耐圧ゲートドライバ IC イメージ それぞれのゲートドライバ IC はハーフブリッジを構成する 2 つの IGBT をコントロールし、 デッドタイム、インターロック、内部ブートストラップダイオード等の基本的な機能をもつと ともにスマートシャットダウン(特許取得済み)、異常検出用コンパレータ、電流センス用高性 能オペアンプも搭載されています。Table 1(6 ページ)にデバイスごとの機能が一覧になってい ます。 このアプリケーションノートでは SLLIMM に関連する高耐圧ゲートドライバの特徴について 紹介します。さらに詳細を確認したい場合は AN2738 を参照ください。 14/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 10: 高耐圧ゲートドライバブロック 高耐圧ゲートドライバブロック図 ゲートドライバブロック図 Bootstrap driver VCC Floating structure BOOT + VCC UV detection from µC HIN Shoottrough prevention CSD OUT SD/OD GND to motor U,V,W VCC VBias Shutdown latch Smart shut down LVG driver LVG N +5V CP+ + CIN Comp - RSF CSF + VREF DT CDF RDF Dead time + Op-amp HVIC SLLIMM 2.3.1 VBias VCC OPOUT to ADC to DC-link CBOOT HVG S R LIN from µC from/to µC HVG driver Level shifter Logic +5V RSD P UV UV DETECTION detection from LVG VBOOT - OP+ OPRSHUNT 駆動信号入力 高耐圧ゲートドライバ IC は 2 つの駆動信号入力があり、ハイサイドとローサイドを別々に制 御可能です。製品毎の入力仕様については Table1(6 ページ)を参照してください。 ハイサイドとローサイドの IGBT が両方同時に ON となり貫通電流が流れてしまう(クロスコ ンダクション)のを防ぐために内部でデッドタイムをもっています(詳細は 2.3.4)。 駆動信号入力は TTL/CMOS 3.3V に対応しており、ノイズ耐性対策として約 1V のヒステリ シスを持っています。この低電圧駆動が可能なことによりマイコンや DSP、FPGA 等の高性能 なコントローラから直接制御可能となっています。 Figure 11 と Figure 12 に示すように駆動信号入力は内部プルダウン(またはプルアップ)抵 抗が内蔵されていて、駆動入力信号が途切れた場合でも論理が安定するようになっています。 もし駆動信号入力がオープンになってしまった場合でもハイサイド、ローサイドのゲートドラ イブ信号はローレベルになります。外部のプルダウン(またはプルアップ)抵抗は必要なく、部 品点数と回路スペースの削減が可能です。 15/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 11: STGIPS10K60A の論理入力構成 Bootstrap driver VBOOT P VCC UV detection UV detection High side level shifting driver Logic HIN Shoot-trough prevention LIN OUT Low side driver HVIC N SLLIMM Figure 12: STGIPS14K60, STGIPL14K60, STGIPS20K60, STGIPL20K60 の論理入力構成 Bootstrap driver VBOOT P VCC UV detection UV detection High side level shifting driver Logic HIN OUT +5V Shoot-trough prevention Low side driver LIN Shutdown SD N Smart SD CIN + HVIC - SLLIMM Table 6 に代表的な内部プルダウン(プルアップ)抵抗を示します。 16/74 VREF SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Table 6: 内部プルアップ 内部プルアップ/プルダウン プルアップ プルダウン抵抗値 プルダウン抵抗値 Input pin ハイサイドゲートドライブ HINU, HINV, HINW ローサイドゲートドライブ LINU, LINV, LINW ハイサイドゲートドライブ HINU, HINV, HINW ローサイドゲートドライブ LINU , LINV , LINW SD / OD shutdown 2.3.2 PN 入力論理 内部プルアップ 内部プルアップ 内部プルダウン 内部プルダウン STGIPS10K60A Active high 500 kΩ STGIPS10K60A Active high 500 kΩ Active high 85 kΩ STGIPS14K60 STGIPL14K60 STGIPS20K60 STGIPL20K60 STGIPS14K60 STGIPL14K60 STGIPS20K60 STGIPL20K60 STGIPS14K60 STGIPL14K60 STGIPS20K60 STGIPL20K60 Active low Active low 720 kΩ 125 kΩ 高電圧レベルシフト 高電圧レベルシフト 高電圧のレベルシフト回路も内蔵されていて、低電圧の駆動制御入力と 600V までの高耐圧 のハーフブリッジを直接つなげることができます。これは BCD オフラインテクノロジーによ りバイポーラトランジスタ、低・中電圧 CMOS のアナログ・デジタル回路、600V 越のブレーク ダウン電圧をもつ高耐圧 DMOS トランジスタを一つのシリコン上に組み込めるため可能になっ ています。 この機能により外部でのフォト・カプラを使用した絶縁が不要となり、部品点数と消費電力 の削減が可能です。その他の利点として高速ドライブと、入力から出力までの遅延が短いこと が挙げられます。 2.3.3 電源電圧低下保護 SLLIMM の Vcc 電圧は常に電源電圧低下保護機能 (UVLO:アンダーボルテージロックアウ ト)により監視されています。電源電圧が OFF スレッショルド VCC_thOFF を下回るとゲートドラ イバの出力が OFF になり、ON スレッショルド VCC_thON を上回るとゲートドライバ出力を ON にします。ノイズ耐性改善のため約 1.5V のヒステリシスを持っています。この VCC_thOFF と VCC_thON の関係・動作は後述されるブートストラップ電圧 Vboot の VBS_thOFF と VBS_thON と同様の 動作です。(ブートストラップについては 2.3.11~2.3.13 参照) もし本デバイスが UVLO 検出された状態になると両サイドのゲートドライバ出力はローレベ ルになり、パワーステージの出力を Hi-Z にします。 UVLO のタイミングチャートを Figure 13 に示します。各ステップは以下の通りです。 17/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module • • • • • t1: Vcc 電圧が ON スレッショルドを超えると、ゲートドライバは次の駆動信号入力か ら動作しはじめます。回路はまだリセット状態です。 t2: 駆動信号入力が受けられるようになり、IGBT が ON します。 t3: Vcc が OFF スレッショルドを下回ると UVLO が検出されます。IGBT は駆動信号入 力にかかわらず OFF します。ここではまだ回路はリセット解除状態です。 t4: ゲートドライバは Vcc が ON スレッショルドを上回ると再スタートします。 ゲートドライバはリセット状態で、次の駆動信号入力にから動作しはじめます。 t5: 駆動信号入力が再び受けられるようになり、IGBT が再度 ON します。 Figure 13: 電源電圧低下保護タイミングチャート 電源電圧低下保護タイミングチャート VCC_thON VCC ≈ ≈ VCC_thOFF IC SET Circuit state RESET Time 2.3.4 t1 ≈ ≈ HIN/LIN RESET t2 t3 t4 t5 デッドタイムと デッドタイムとインターロック機能 インターロック機能 ハイサイドとローサイドの IGBT が同時に ON 状態になり貫通電流がながれてしまう(クロス コンダクション)のを防ぐため SLLIMM はデッドタイムとインターロック機能を内蔵しています。 インターロック機能は、駆動信号入力がハイサイドとローサイドが両方とも同時に ON にな った際、内部で両ゲートドライバ出力をローレベルにします。デッドタイムはゲートドライバ ー間の立ち上がり信号と立下り信号の間に挿入されます。もしデッドタイムの終了前に外部か らゲートドライバ出力を立ち上げるよう駆動入力が入っても、デッドタイムが終了するまでは 無視されます。 18/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Table 7: STGIPS10K60A のインターロック論理表 インターロック論理表 Logic Input (VI) Outputs Condition LIN HIN LVG HVG H H L L L L L L H L H L L H L H インターロック ハーフブリッジトライステート 0 “logic state” ハーフブリッジトライステート 1 “logic state” ローサイドダイレクトドライブ 1 “logic state” ハイサイドダイレクトドライブ STGIPS10K60A のデッドタイムは標準で 320ns に設定されています。 Table 8: STGIPS14K60, STGIPL14K60, STGIPS20K60, STGIPL20K60, STGIPN3H60 イ ンターロック論理表 論理表 ンターロック Logic Input (VI) Outputs Condition シャットダウンイネーブル ハーフブリッジトライステート インターロック ハーフブリッジトライステート 0 “logic state” ハーフブリッジトライステート 1 “logic state” ローサイドダイレクトドライブ 1 “logic state” ハイサイドダイレクトドライブ Note: SD LIN HIN LVG HVG L X X L L H L H L L H H L L L H L L H L H H H L H X: not important. 標準的なデッドタイムは内部で 600ns に設定されています。安全のため SLIMM の持つデッ ドタイムに、さらに外部コントロールから 1.2µs~1.5µs のデッドタイムを追加してください。 Figure 13 に STGIPS14K60, STGIPL14K60, STGIPS20K60, STGIPL20K60 のデッドタイム とインターロック機能について図解します。 19/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 14: デッドタイムタイミングチャート 2.3.5 異常検出コンパレータ 異常検出コンパレータ SLLIMM ファミリは過電流・温度異常など電圧を通して検出される異常に対し優れた保護機 能を実現するために最大で 3 つまでコンパレータを搭載しています。(6 ページ、Table 1 参照) このコンパレータの反転入力はデータシートに規定されるリファレンス電圧になっており、 非反転入力が CIN ピンからハーフブリッジ毎に利用可能になっています。(Figure 10 参照) 20/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module このコンパレータ入力に外部のシャント抵抗を接続し、過電流・短絡検出機能を容易に構成 することができます。詳細は次の 2.3.6 で説明します。また、3 つコンパレータを別々に使い 3 つの独立したコントロールを組み込むことが可能です。 2.3.6 短絡検出と 短絡検出とスマートシャットダウン SLLIMM はスマートシャットダウン機能をもち、出力電流をモニタし、過電流・短絡保護時 に 200ns というかなり短かい遅延時間でコンパレータがゲートドライバを OFF します。 スマートシャットダウンは斬新な回路(特許取得済み)で実現されており、保護時操作までの 遅延を短くできその時間とは独立して、ユーザーが異常検出時の保護時間を設定でき、 2.3.5 及び Figure 10 でも触れましたが、シンプルな過電流検出機能を実現するためにコンパ レータ入力を外部シャント抵抗に接続できます。誤検出を防ぐために RC フィルタ(RSF,CSF)が 必要です。コンパレータの出力は内部の MOSFET をコントロールしますが、この MOSFET は SD /OD ピンからのオープンドレイン出力になっています。また、このピンは SD 入力と共通 になっています。 コンパレータが動作するとゲートドライバデバイスはシャットダウン状態に入り、このデバ イスのすべての出力はローレベルになりハーフブリッジはトライステートのままです。通常の 過電流検出機能の構成では、コンパレータ出力は単安定機能と、異常検出時に保護時間を付加 するための RC 遅延回路のついた SD /OD ピンに接続されます。 一般的な異常検出システムとは異なって、この新しいスマートシャットダウン機能は内部に 専用の制御信号を持ち、異常検出時に外付けキャパシタの放電を待たずに、ゲートドライバ出 力を瞬時に OFF にします。これにより異常検出からゲートドライバ出力 OFF までの時間を最 短にできます。実際に異常検出からゲートドライバ OFF までの時間は外部 SD /OD ピンの RC 回路の影響を受けることはありません。ゲートドライバ出力を瞬時に OFF にすると、SD 信号 がスレッショルド以下になるまではオープンドレインを ON し続けますが、SD 信号がスレッ ショルドを下回るとオープンドレインは OFF します。(Figure 16 参照) このように、スマートシャットダウン機能は SLLIMM 保護の遅延に影響することなく、SD ピ ンからの RC 回路による遅延を自由に延長できます。Figure 15 にスマートシャットダウンのブ ロック図を示します。 21/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 15: スマートシャットダウン機能構成回路 スマートシャットダウン機能構成回路 LIN LVG HIN HVG VBias SD Q FSD S + CP+ Comp - + VREF Q R SET dominant FF HVIC SLLIMM Except for STGIPS10K60A 通常動作では出力は駆動入力信号に従います。もし異常が検出されると、FSD(Fault Signal)が 1にセットされて FF(フリップフロップ)がその信号を受け取ります。その結果 FF 出力は SLLIMM 出力をローレベルにし、同時にオープンドレイン出力の MOSFET を ON します。も し、FSD が異常検出後直ちに 0 に戻った場合でも、ゲートドライバ出力は SD ピンからの立ち 下がり信号と、立ち上がり信号の両方が検出されるまではローレベルを保ちます。 実際、ゲートドライバを OFF している FF 出力が SD ピンからの立ち下がり信号の入力によ りリセットされる場合でも、AND 回路により SD ピン入力がゲートドライバ出力を OFF する ように働きます。また、一旦オープンドレインの MOSFET が ON すると、MOSFET は SD ピ ン電圧がローレベルと検出されるまでは OFF されません。 また FF は SET 優先回路になっているため FSD がハイレベルを保っている時に SD ピンから ローレベルが入力されても FF 出力が不安定になることはありません。 2.3.7 短絡保護タイミングチャート 短絡保護タイミングチャートと タイミングチャートとスマートシャットダウン機能 スマートシャットダウン機能 短絡保護機能の各タイミングの動作について Figure 16 に示します。各ステップは以下の通 りです。 ♦ t1: 出力電流が最大許容値以下のとき SLLIMM は通常動作です。 ♦ t2: 出力電流が最大許容値(ISC)を超えると過電流・短絡異常が検出されて保護機能が働き ます。CIN ピン(コンパレータ入力ピン)に接続されたシャント抵抗の電圧が VREF を超え 22/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module てコンパレータ出力がトリガし、ゲートドライバをシャットダウン状態にいれます。両 サイドのドライバ出力をローレベルにし、ハーフブリッジをトライステートにします。 IGBT のゲートドライブは専用制御信号で約 200ns で OFF にして、ハーフブリッジを トライステートに保つとともに、内部の MOSFET M1 を ON します。(スマートシャ ットダウン機能)。SD 信号レベルは時定数τA で下がり始めます。τA は式(2)から計算さ れます。 τ A = (RON _ OD // RSD )⋅ CSD (2) ♦ t3: SD 信号レベルがロースレッショルド Vsd_L_THR を下回ると、駆動信号入力が無効に なります。スマートシャットダウン機能は終了し M1 は OFF になり SD 信号レベルは 時定数τB で上がりはじめます。τB は式(3)から計算されます。 τ B = RSD ⋅ CSD (3) ♦ t4: SD 信号レベルがハイスレッショルド Vsd_H_THR 上回ると駆動信号入力が有効になり ます。 Figure 16: スマートシャットダウンの スマートシャットダウンのタイミングチャート ISC 時間要素 SD 放電時間 τA = (RON_OD //RSD )*CSD IC VREF SD 再充電時間 τB = RSD *CSD RC circuit time constant VSHUNT (··VCIN) シャットダウン回路 シャットダウン回路 HVG/LVG VBias RSD SD Vsd_H_THR Vsd_L_THR τA τB τΑ << τΒ from/to µC CSD SD/OD Smart shut M1 down M1 RON_OD SLLIMM HIN/LIN Time t1 t2 t3 t4 23/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 2.3.8 電流検出シャント 電流検出シャント抵抗 シャント抵抗の 抵抗の選択 CIN と GND 間につないだシャント抵抗で過電流検出が可能です(Figure 10 参照) 。電流が短 絡とみなされる電流量 ISC を超えると CIN ピンの電圧レベルが VREF を超えるため短絡保護機能 が働きます。保護機能を十分な信頼性をもって安定に動作させるために、電流センス抵抗はノ ンインダクティブタイプで高い性能と高い環境耐性が要求されます。また、過電流の誤検出を 防ぐために、レイアウト、回路依存の寄生インダクタンスも最小になるよう注意が必要です。 以上の理由からシャント抵抗と RC フィルタ部品はできるだけ SLLIMM のピン側に配置しま す。さらに追加の注意事項について 5.1 で説明します。 電流センス抵抗の値は、設計仕様・要求性能毎に異なったガイドラインに従って計算します が、共通する手順は次の通りです。 • • • • 過電流のスレッショルド(IOC_th)を決める。例えば IGBT の通常動作電流+20%~30%。 シャント抵抗の値を計算。Figure 22 に例を示します。より詳細についてはユーザマニ ュアル UM0969, UM0900, UM1036 を参照してください。 計算値に近い入手可能なシャント抵抗を決める。 シャント抵抗の定格を計算する。抵抗の自己発熱による温度上昇を考慮して定格に余裕 を持たせることに注意します。ディレーティング率∆P(T)%から式(4)のように計算して ください。 2 RSHUNT ⋅ I RMS PSHUNT ( T ) = ∆P( T )% (4) IRMS は IGBT 電流の実効値です。 シャント抵抗の定格マージンは少なくとも計算された電力の 30%以上とることを推奨します。 24/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 2.3.9 RC フィルタ回路 フィルタ回路 Figure17 に示すようにシャント抵抗は 2 通りの方法で使用可能です。 Figure 17: 短絡保護回路例 NU NV NW CIN NU RSHUNT_U R NV SHUNT_V NW R SHUNT_W R SF RSHUNT C SF SLLIMM SLLIMM 1 シャント抵抗回路 シャント抵抗回路 CIN RSF R SHUNT C SF 31 シャント抵抗回路 シャント抵抗回路 シャント抵抗部にはノイズ対策のため RC 回路が必要です。Figure17 のいずれの方法でもイ ンバータの 3 相全ての合計電流を検出できます。 RC フィルタは RSF と CSF で構成されますが、時定数は以下式(5)の通りです。 tSF = RSF ⋅ CSF (5) RC 回路の時定数に加えてゲートドライバのターンオフ遅延 tisd と IGBT のターンオフ時間 toff(数十 ns オーダー)を、短絡が検出されてから IGBT を OFF するまでの全遅延時間 tTotal とし て考える必要があります。これが短絡検出後 IGBT が完全に OFF するまでに必要な時間で式(6) のようになります。 tTotal = tSF + tisd + toff (6) IGBT の短絡耐量は 5µs で、RC フィルタの時定数 tSF は 1~2us が推奨です。 3 つのシャント抵抗(RSHUNT_U, RSHUNT_V, RSHUNT_W)を使用する回路では各相の電流をモニタす ることができます。 25/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 18 に短絡検出の例を示します。スマートシャットダウン機能により短絡検出後、瞬時 に保護機能が動作するのが分かります。主なステップは以下の通りです。 • • • t1: Ic は増加し始めますが、CN ピンの RC 回路の遅延により短絡はまだ検出されていま せん。 t2: VCIN 電圧が VREF を超えて短絡が検出されます。スマートシャットダウン機能が動作 して SLLIMM が OFF されます。 t3: SLLIMM は過電流検出から 300ns 以下(td(off)を含む)で IGBT を OFF にしています。 出力 Disable までの全時間は t2-t3 となり、全 SC 時間は t1-t3 となります。 Figure 18: 短絡発生例 2.3.10 過熱保護 STGIPS10K60A, STGIPL14K60, STGIPL20K60 は NTC(負の温度特性をもつ)サーミスタを持 っています。簡易過熱保護と、ゆっくりとした温度変化におけるケース温度測定に使用でき、 マイコンはリアルタイムで温度を確認できます。SLLIMM 自体の熱インピーダンスとその時定 数がありますので、パワーデバイスによって引き起こされるスピードの早いジャンクション温 度変化は、NTC で測定できるまでに遅れが生じ、検出することはできません。そのため、ゆっ くりとした温度変化は NTC を使ってモニタすることができますが、急激な温度変化を持つよう な短絡保護には使えません。 Figure 19 に NTC サーミスタの抵抗値特性を示します。その特性は線形ではなく、式 7 であ らわされます。 26/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module R( T ) = R25 ⋅ e 1 1 B − T 298 (7) T:ケルビン温度、B:SLLIMM 動作領域での定値、R25:25 °C での抵抗値 B と R25 は各データシートから確認可能です。 Figure 19: NTC 抵抗値の 抵抗値の温度特性 分圧回路を使った過熱保護と温度モニタの回路例を Figure 20 に示します。 27/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 20: 過熱保護回路例 +VDD T1 NTC T2 + ROT VNTC_th COT SD SLLIMM 過熱検出時に SLLIMM にシャットダウン信号を送るため外部にコンパレータを SLLIMM を使 います。VNTC_th は設計時に固定されるスレッショルド電圧で非反転入力に接続します。反転 入力は NTC と ROT で分圧された電圧に接続し、反転入力レベルが VNTC_th を超えるとコンパレ ータ出力が SD をローに引っ張って IGBT を OFF にします。 分圧レベルを決めるためにはまず最大許容温度(TOT_Max)を決める必要があります。サーミス タの抵抗値は式 7 と Figure 19 から求められ、分圧抵抗 ROT は次の分圧式から得られます。 V −( T ) = ROT ⋅VDD RNTC ( T ) + ROT (8) T = TOT_Max のときは V-(TOT_Max) = VNTC_th. 動作の安全と、自己発熱による測定温度への影響を減らすためサーミスタの損失は減らす必 要があります。全使用範囲でサーミスタへ与えられる電力は 50mW を超えないようにするべき です。この条件を考慮して最大許容温度(TOT_Max)は次のようになります。 VDD RNTC ⋅ I = RNTC ⋅ RNTC + ROT 2 2 ≤ 50mW (9) 最後に、NTC サーミスタ信号のノイズ除去のために 10nF~100nF のデカップリングコンデ ンサ(COT)をつけます。 28/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 2.3.11 電流センスオペアンプ 電流センスオペアンプ SDIP-38L の SLLIMM は FOC(フィールドオリエンテッドコントロール)向けにオペアンプを 3 つ内蔵しています。典型的な FOC アプリケーションでは 3 つのハーフブリッジの電流をシャ ント抵抗でモニタしています。連続的な電流変動はハーフブリッジをコントロールする PWM と同じ周期の離散的な電圧値に変換されます。これはバイポーラのアナログ信号で、電流の方 向は電圧の極性に反映されます。(Figure21 参照) Figure 21: 3 相システム 3-phase driver Sinusoidal Vector Control VS VS Sensing: Discontinuous Voltage at fPWM frequency VS Power stage 3-phase motor IPHASE この電圧値は AD コンバータから読み取る必要がありますが、AD コンバータのダイナミック レンジを最大限利用するためにレベルシフト、ゲイン調整の必要があります。Figure 22 に一般 的な構成例と波形例を示します。 29/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 22: 一般的な 一般的な電流センス 電流センス構成 センス構成と 構成と波形 to DC-link センス電圧波形 to motor シフト後 増幅後 フィルタ後 VREF R3 R5 RSHUNT Vsense ROUT OP+ + Op -amp OP- R 2 R4 C2 ハーフブリッジ 電流センス Vsense 電圧の レベルシフト R1 ゲイン調整と フィルタリング to ADC COUT ROUT オペアンプ 発振防止抵抗 COUT ADC の折り返し防止 コンデンサ ベクトル制御に使用される AD コンバータのフルスケールは通常約 3.3V です。電圧として読 み込まれた値はシフトされてフルスケールの 1/2 (1.65V)シフトされて、想定される最大電圧が AD コンバータのフルスケールに合うようにゲイン調整されます。 いくつかのセンス回路についてはユーザーマニュアル UM0969, UM0900, UM1036 にも紹介 がありますので参照可能です。 2.3.12 ブートストラップ回路 ブートストラップ回路 3 相インバータの IGBT のローサイドのエミッタは共通リファレンス GND としてマイナス DC(VDC-)に接続され、ローサイドのゲートドライバからも共通となります。一方ハイサイド IGBT のエミッタは動作状態中に VDC+と VDC-が切り替わります。ゲートドライバ電圧 VGE の基 準となるエミッタが VDC+/VDC-と切り替わるための VGE を安定してドライブするのは一見困難 です。しかし、ブートストラップ回路を使用することでシンプルで安価なハイサイドのドライ ブ電圧を実現できます。 ブートストラップ回路は通常高耐圧のファスト・リカバリ・ダイオードを使用して実現され ます。SLLIMM ファミリはブートストラップ回路用ダイオードを内蔵しているため外部にダイ オードが必要ありません。(特許取得済み) 高耐圧 DMOS がローサイドのドライバと同期して 動作します。内部のチャージポンプが DMOS ドライバ電圧を供給します。Figure 23 にブート ストラップ回路の動作を示します。 30/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module ブートストラップダイオードと DMOS を通した電流路で、VOUT 電圧が VCC 電圧より低いと き(ローサイド IGBT が ON)、フローティングになっているコンデンサ CBOOT に電荷が充電され ます(Figure 20 ブートストラップ充電経路参照)。ハイサイドの IGBT が ON になるときは充 電された VBOOT からドライブに必要な電荷が供給されます(Figure 20 ブートストラップ放電経 路参照)。 このブートストラップ回路は 3 つのハーフブリッジでそれぞれに組み込まれており、同様に 動作します。 Figure 23: ブートストラップ回路 ブートストラップ回路 CBOOT の値を決めるためには以下の点について考慮が必要です。 • • • CBOOT 電圧は電源電圧低下保護(UVLO)レベルより高くなければなりません。これによ りハイサイドの IGBT ゲートが適切な電圧でドライブされます。この電圧が UVLO を下 回ると、異常検出を示すことなく IC が OFF となり出力がなくなりますので注意が必要 です。 CBOOT 電圧はローサイド IGBT やブートストラップ回路中の電圧低下の影響を受けます。 ハイサイド IGBT が ON の間に CBOOT の電荷は主に IGBT ゲートに供給されますが、リ ーク電流、自己消費電流なども考慮が必要です。 31/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 2.3.13 ブートストラップコンデンサの ブートストラップコンデンサの選択 ブートストラップコンデンサのサイズは、単純にはハイサイドのドライバがフローティング で、IGBT ゲートの一回のドライブで必要な充電電荷量だけから計算します。この場合は IGBT ドライブに使われる PWM の デューティー比や、PWM 変調(6 ステップ、12 ステップ、サイン 波)の影響は考慮していませんが、実際はそれぞれの用途に応じて最適なブートストラップコン デンサを決める必要があります。 ブートストラップコンデンサの充電時はローサイドの IGBT が ON になり、VCBOOT 電圧は式 (10)のようになります。 VCBOOT = VCC − VF − VRDS( on ) − VCE( sat ) max (10) VCC: ゲートドライバ電源電圧 VF: ブートストラップダイオード順電圧 VCE(sat)max: ローサイド IGBT のエミッタ-コレクタ電圧間最大電圧 VRDS(on): DMOS の ON 電圧ドロップ IGBT ゲートに電荷を供給することで VCBOOT 電圧は低下しますが、IGBT を ON しつづけられる 電圧を保つだけの CBOOT コンデンサ容量を持つ必要があります。IGBT が ON の間の電圧低下最 小値(ΔVCBOOT)は式(11)のように計算されます。 ∆VCBOOT = VCC − VF − VRDS( on ) − VGE(min) − VCE( sat ) max (11) また、VCBOOT はブートストラップ ON スレッショルド(VBV_thON)以上でなければなりません。 VCBOOT (min) > VBS _ thON (12) VGE(min): ハイサイド IGBT のエミッターコレクタ間最小電圧 VBS_thON: ブートストラップ ON スレッショル電圧(データシート参照) VCBOOT 電圧低下要因を考慮して、ハイサイド IGBT が ON の間に供給する電荷は式(13)のよ うに計算されます。 QTOT = QGATE + (I LKGE + I QBO + I LK + I LKDiode + I LKCap )⋅ t Hon + QLS QGATE: IGBT ゲートチャージのトータル電荷 ILKGE: IGBT ゲート・エミッタ間リーク電流 IQBO: ブートストラップ回路自己消費電流 ILK: ブートストラップ回路リーク電流 ILKDiode: ブートストラップダイオードリーク電流 32/74 (13) SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module ILKCap: ブートストラップコンデンサリーク電流(電解コンデンサ使用時のみ) tHon: ハイサイド ON 時間 QLS: 内部のレベルシフタに必要な電荷 最終的にブートストラップコンデンサの最小値は式(14)のようになります。 C BOOT = QTOT ∆VCBOOT (14) ブートストラップの選択を容易にするため、式 14 に基いて Figure 24 にブートストラップコ ンデンサ容量とスイッチング周波数の関係を最小許容低下電圧(∆VCBOOT)毎に示します。このグ ラフは STGIPS20K60 と STGIPL20K60 (ワーストケース)で計算し、デューティーサイクルは 50%で変調はサイン波です。その他の全てのデバイス用ブートストラップコンデンサ容量も同 じグラフから計算できます。 Figure 24: ブートストラップコンデンサと ブートストラップコンデンサとスイッチング周波数 スイッチング周波数 5 STGIPx20K60 δ=50% CBOOT Calculated (uF) 4 3 ∆VCBOOT=0.1V 2 ∆VCBOOT=0.3V ∆VCBOOT=0.5V 1 0 0 5 10 15 20 fsw (kHz) PWM コントロールやさらなるリーク電流、それからボードレイアウトの影響から最悪の状 況を考慮すると、実際のコンデンサ容量は Figure 24 から求められた値の 2~3 倍とする必要が あります。また、ブートストラップコンデンサは ESR の低いことがもとめられ、電解コンデン 33/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module サを使用する場合はセラミックコンデンサを電解コンデンサに並列に SLLIMM のピンに直接お くことが推奨されます。 2.3.14 ブートストラップコンデンサの ブートストラップコンデンサの初期充電 電源投入時にブートストラップコンデンサは初期充電時間(tCHARGE)で充電されて、式(12)で 示されたように VCBOOT は ON スレッショルド VBS_thON を超える必要があります。通常動作時は VCBOOT は常にブートストラップ OFF スレッショルド(VBS_thOFF)を以上を保つ必要があります。 電源投入時は最初ローサイド IGBT のみが ON になる期間があり、その後 PWM 動作が開始し ます。その様子を Figure 25 に示します。 • • • t1: ブートストラップコンデンサはローサイド IGBT を経由して充電を開始します。 t2: ブートストラップコンデンサ電圧(VCBOOT) はブートストラップ ON スレッショルド 電圧に到達します。 t3: ブートストラップコンデンサの充電が完了しハイサイド IGBT ゲートチャージのた めの電荷供給が開始されます。ブートストラップコンデンサはローサイド IGBT が ON の間に再充電されます。 Figure 25: ブートストラップコンデンサの ブートストラップコンデンサの初期充電 VCC DC Bus VPN HVG LVG VBS_thON VBS_thOFF VCBOOT Time 34/74 t1 t2 t3 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module この初期充電の時間は式(15)で計算されますが、安全のため少なくともこの 3 倍は見る必要 があります。 tCHARGE ≥ CBOOT ⋅ RDS ( on ) δ VCC * ln ∆ V CBOOT (15) δは PWM のデューティー比で RDS(on) は 120 Ωがデータシートにある標準値です。 実用的な例として PWM 周波数 12.5kHz、デューティー比 50%、∆VCBOOT = 0.1 V のモータ 制御を考えます。ゲートドライバ電源(VCC)は 17.6V です。Figure 24 を参考にブートストラッ プコンデンサは 1.5µF と選べますが、実際の容量 CBOOT はレイアウト等の影響を考慮して、そ の 2~3 倍の 3.0~4.5µF になります。実際に入手可能な容量値を選択して 3.3µF とします。する と式(15)から初期充電時間は次のように計算されます。 t CHARGE 3.3 ⋅ 10 −6 ⋅ 120 17.6 ≥ ⋅ ln = 4 ms 0.5 0.1 (16) 安全のため初期充電時間は、少なくともその 3 倍の 12ms とします。 3 パッケージ SLLIMM はコンパクトなパッケージで高電力密度、優れた放熱特性、絶縁特性(>2500 VRMS) を提供します。SDIP はトランスファモールド構造のデュアルインラインパッケージで 25 ピン と 38 ピン (SDIP-25L) のパッケージが使用可能です。パッケージ内で制御回路は PCB 基板に 実装されていて、パワーステージには最先端の DBC テクノロジーが採用されています。問題 を引き起こす可能性のあるあらゆる空隙を防ぐために真空はんだ付けプロセスが採用されてい ます。それらによる放熱性能と損失低減は SLLIMM ファミリの信頼性の向上につながっていま す。 SLLIMMはトランスファモールド法、DBCテクノロジー、真空はんだ付け等の技術と内部設 計の最適化により、優れた放熱特性、温度変化を繰り返す中での優れた安定性、高信頼性を小 型・最適なコストで提供します。 3.1 DBC 基板 DBC はダイレクト・ボンディング・カッパーを表し、Figure 26 のように銅とセラミックを 直接接合させるプロセスを示します。元々大電力の半導体モジュールでは電気的絶縁と温度管 理に優れているため、銅基板を直接接合する技術が使われてきました。 35/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 26: DCB 基板 DBC テクノロジーの優れた点は、まず厚い銅のメタライゼーションにより大電流を流せるこ とと、次に銅の表面での熱膨張係数がシリコンと近いことです。 DBC はアルミナセラミック(Al2O3)に直接接合された 2 層の銅プレートを持ちます。DBC は それまで使用されていたような銅の重く、厚いプレートに代わって非常に薄い基板を提供しま す。 いくつかの層で構成される DBC 基板を持つ SLLIMM は、他にくらべて非常に低い熱抵抗を 持ちます。 DBC セラミック基板 セラミック基板の 基板の特徴 DBC のもつ特徴は、その物理的な強さです。優れた形状安定強度や接合強度をもち、腐食耐 性にも秀でています。その他にも以下のような点が挙げられます。 • • • • • • 卓越した絶縁性能 優れた放熱性能 熱膨張係数がシリコンに近くインターフェース層が不要 熱拡散率 プリント基板か絶縁型金属基板(IMS)のような構成 環境負荷が少ない 3.2 PCB PCB(プリント基板)はゲートドライバ IC を実装しこれらの電流経路を接続します。PCB 基板 を使うと、先進機能を追加したり、ゲートドライバの最適なバイアスを提供するための受動部 品(抵抗やコンデンサなど)いくつか追加したりと、さまざまな回路調整が可能です。例えば、 ゲートドライバのピンに直接フィルタコンデンサを実装して SLLIMM のノイズ耐性を改善し、 ユーザへより安全な使用条件を提供します。Figure 27 に内部 PCB の詳細を示します。 36/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 27: PCB 構造 3.3 パッケージ構造 パッケージ構造 Figure 28 と Figure 29 に SDIP-25L と SDIP-38L の内部構造を示します。 37/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 28: SDIP-25L パッケージの パッケージの概観と 概観と内部構造 Top view Bottom view z x SLLIMM SDIP-25L HVIC PCB IGBT FWD DBC Int rnal view 38/74 y Main dimensions x = 44.4 mm y1 = 22 mm (body only) y2 = 25.22 mm (including leads) z1 = 5.4 mm (body only) z2 = 11.6 mm (including leads) SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 29: SDIP-38L パッケージの パッケージの概観と 概観と内部構造 Top view Bottom view z x SLLIMM SDIP-38L HVGD PCB IGBT FWD DBC Internal view y Main dimensions x = 49.6 mm y1 = 24.5 mm (body only) y2 = 29.1 mm (including leads) z1 = 5.4 mm (body only) z2 = 10.91 mm (including leads) 39/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 3.4 パッケージ外形 パッケージ外形と 外形と寸法 Figure 30: SDIP-25L パッケージの パッケージのパッケージ外形 パッケージ外形と 外形と寸法 40/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Table 9: SDIP-25L パッケージ寸法 パッケージ寸法 (mm) Dimension Min. A A1 A2 A3 B B1 B2 C C1 C2 e e1 e2 e3 F F1 R T 44 0.95 1.2 39 21.6 11.45 24.83 5 6.4 11.1 1.95 3.2 4.3 6.1 0.8 0.3 1.35 0.4 Typ. 25.22 2.35 3.6 4.7 6.5 1 0.5 0.55 Max. 44.8 1.75 2 39.8 22.4 12.25 25.63 5.8 7.4 12.1 2.75 4 5.1 6.9 1.2 0.7 2.15 0.7 41/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 31: SDIP-38L パッケージの パッケージのパッケージ パッケージ外形 ケージ外形と 外形と寸法 42/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Table 10: SDIP-38L パッケージ寸法 パッケージ寸法 (mm) Dimension Min. A A1 A2 A3 B B1 B2 B3 B4 C C1 C2 e e1 e2 e3 e4 e5 e6 F F1 R1 T1 49.1 44.1 1.37 1.23 24 27.1 28.6 11.25 12.05 5 6.4 10.41 1.1 3.2 5.8 4.6 5.6 6.3 4.5 0.8 0.35 1.3 0.45 Typ. 27.6 29.1 1.3 3.4 6 4.8 5.8 6.5 4.7 1 0.5 0.55 Max. 50.1 45.1 1.47 2.23 25 28.1 29.6 12.45 13.25 6 7.4 11.41 1.5 3.6 6.2 5 6 6.7 4.9 1.2 0.65 2.1 0.65 3.5 入出力ピン 入出力ピン ここでは SLLIMM の入出力ピンを紹介します。より詳細な推奨レイアウトについては 5.1 を 参照してください。 43/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 32: Pinout of SDIP-25L package 44/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Table 11: SDIP-25L パッケージ入出力 パッケージ入出力ピン 入出力ピン Name Pin # STGIPS10K60A 1 2 3 LINU U 相ブートストラップ電圧 LINU LINV U 相ローサイド駆動入力 (アクティブロー) 電源 V 相ハイサイドリファレンス出力 V 相ブートストラップ電圧 Ground V 相ローサイド駆動入力 (アクティブハイ) V 相ローサイド駆動入力 (アクティブロー) V 相ハイサイド駆動入力 HINV OUTW VbootW 14 U 相ローサイド駆動入力 (アクティブハイ) U 相ハイサイド駆動入力 LINV LINW STGIPS14K60 STGIPS20K60 STGIPS10K60A U 相ハイサイドリファレンス出力 HINU VCC OUTV VbootV GND 10 11 12 13 STGIPS14K60 STGIPS20K60 OUTU VbootU 4 5 6 7 8 9 Description W 相ハイサイドリファレンス出力 W 相ブートストラップ電圧 LINW W 相ローサイド駆動入力 (アクティブハイ) W 相ローサイド駆動入力 (アクティブロー) W 相ハイサイド駆動入力 HINW 15 T1 SD / OD NTC サーミスタ 1 SD 入力 (アクティブロー) / オープンドレイン (コンパレータ出力) 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 T2 CIN NTC サーミスタ 2 コンパレータ入力 NW W P NV V P NU U P W 相マイナス DC 入力 W 相出力 プラス DC 入力 V 相マイナス DC 入力 V 相出力 プラス DC 入力 U 相マイナス DC 入力 U 相出力 プラス DC 入力 45/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 33: Pinout of SDIP-38L package 46/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Table 12: SDIP-38L パッケージ パッケージ入出力ピン 入出力ピン STGIPL14K60 STGIPL20K60 Pin # Name Description 1 2 OUTU VbootU U 相ハイサイドリファレンス出力 U 相ブートストラップ電圧 3 LINU U 相ローサイド駆動入力(アクティブロー) 4 5 6 7 8 9 10 HINU OP-U OPOUTU OP+U CINU OUTV VbootV U 相ハイサイド駆動入力 U 相オペアンプ反転入力 U 相オペアンプ出力 U 相オペアンプ非反転入力 U 相コンパレータ入力 V 相ハイサイドリファレンス出力 V 相ブートストラップ電圧 11 LINV V 相ローサイド駆動入力(アクティブロー) 12 13 14 15 16 17 18 HINV OP-V OPOUTV OP+V CINV OUTW VbootW V 相ハイサイド駆動入力 V 相オペアンプ反転入力 V 相オペアンプ出力 V 相オペアンプ非反転入力 V 相コンパレータ入力 W 相ハイサイドリファレンス出力 W 相ブートストラップ電圧 19 LINW W 相ローサイド駆動入力(アクティブロー) 20 21 22 23 24 25 HINW OP-W OPOUTW OP+W CINW VCC 26 SD / OD 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 GND T2 T1 NW W P NV V P NU U P W 相ハイサイド駆動入力 W 相オペアンプ反転入力 W 相オペアンプ出力 W 相オペアンプ非反転入力 W 相コンパレータ入力 電源 シャットダウン入力 (アクティブロー) /オープンドレイン(コンパレータ出力) Ground NTC サーミスタ端子 2 NTC サーミスタ端子 1 W 相マイナス DC 入力 W 相出力 プラス DC 入力 V 相マイナス DC 入力 V 相出力 プラス DC 入力 U 相マイナス DC 入力 U 相出力 プラス DC 入力 47/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module ハイサイドバイアス電圧 ハイサイドバイアス電圧ピン 電圧ピン/ハイサイドバイアス ピン ハイサイドバイアス電圧 ハイサイドバイアス電圧リファレンス 電圧リファレンス ピン: VbootU-OUTU, VbootV-OUTV, VbootW-OUTW • ブートストラップにより、IGBT のハイサイドゲートに電圧を供給するシンプルで効率 的なフローティング電源を実現します。 • SLLIMM ファミリはブートストラップダイオードを内蔵しているため、外付けにブート ストラップダイオードが必要ありません。基板のスペース、部品点数が削減できコスト が削減できます。 • ブートストラップ回路により IGBT ハイサイドのための外部電源は必要なくなります。 • ブートストラップコンデンサはローサイドの IGBT が ON の間に Vcc から充電されます。 • 電源リップル、ノイズの影響による誤動作を防ぐため、ESR, ESL の低いコンデンサを これらのピン側に配置します。 • ブートストラップの値はアプリケーションに大きく依存します。(2.3.12 参照) ゲートドライババイアス電圧 ゲートドライババイアス電圧 ピン: VCC • 内部に組み込まれた制御 IC の電源供給ピン • 電源リップル、ノイズの影響による誤動作を防ぐため、ESR, ESL の低いコンデンサを これらのピン側に配置します。 ゲートドライバグランド ピン: GND • 内部に組み込まれた制御 IC の基準グランドピン • ノイズの影響を避けるため、主な電力回路の電流がこのピンを通らないようにします。 (5.1 参照) 駆動信号入力 ピン: HINU, HINV, HINW; LINU, LINV, LINW; LINU , LINV , LINW • • 内蔵 IGBT のコントロール信号入力 HINU, HINV, HINW; LINU, LINV, LINW はアクティブハイです。仕様上のスレッショルド電 圧を上回る入力で対応する IGBT が ON します。 • LINU , LINV , LINW はアクティブローです。仕様上のスレッショルド電圧を下回る入 • 力で対応する IGBT が ON します。 それぞれの入力ピンは可能な限り短くしノイズの影響を受けないようにします。 内部コンパレータ 内部コンパレータ非反転入力 コンパレータ非反転入力 ピン: CINU, CINV, CINW • • • • 48/74 電流センス用シャント抵抗が各相に接続されてて短絡検出機能を構成できます。 シャント抵抗は検出レベルにあったものを選択する必要があります。 ノイズ除去のためRCフィルタ(通常~1µs)を各CINピンに接続します。 シャント抵抗と各CINピン間の距離はできるだけ短くします。 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module • もしVref (データシート参照)より高い電圧が入力されるとSLLIMMは自動でシャットダウ ンして、 SD / ODピンがプルダウンされます。 シャットダウン、 シャットダウン、オープンドレイン ピン: SD / OD • SD / ODピンはEnable/Disableピンとして動作します。 • SD / ODピン信号はアクティブローです。これらのピンに仕様上のスレッショルド以下 の電圧が入力されると、SLLIMMはシャットダウンして、各ハーフブリッジはトライス テートになります。 • SD / ODピン状態は、内部ステータス(2.3.6参照)にも接続されていて、コンパレータが トリガすると SD / ODピンはFALUTピンとしてプルダウンされます。 • SD / ODピンがオープンドレインでプルダウンされるときは、プルアップ抵抗を介して 3.3Vか5Vにプルアップされる必要があります。 サーミスタ ピン: T1, T2 • 温度モニタように内部NTCが使用できます。 • 外付けの分圧抵抗を使って温度変化を電圧でモニタできます。(2.3.10参照) • IGBTのジャンクション温度が早く変化するのはNTCでは検出できません。 内蔵オペアンプ 内蔵オペアンプ (STGIPL14K60,STGIPL20K60のみ) ピン: OP-U, OP-V, OP-W; OPOUTU, OPOUTV, OPOUTW; OPU, OPV, OPW ピン • このオペアンプは内部で使用されておらず、完全に自由に使えます • FOCに最適化されています。 • コンパクトで効率的なレイアウトを可能にし部品点数を減らせます。 プラスDC ピン: ピン OP • インバータのプラス電源ピンで、内部でIGBTのハイサイドコントロールに接続されてい ます。レイアウト設計の自由度向上のため同じ機能のピンが3つあります。 • DCリンクコンデンサまでの配線や、PCBレイアウトのインダクタンスによるサージ電圧 を抑えるためPピン側にスムージングフィルタ用コンデンサをおきます。通常フィルム コンデンサが使われます。 マイナス DC ピン: NU, NV, NW • インバータのマイナス電源ピンです。 • IGBTの各相エミッタに接続されています。 • アプリケーションのパワーグランドはロジックグランドから切り離し、またスター結線 のように一点につなげる必要があります。 49/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module インバータ出力 インバータ出力 ピン: U, V, W • モータ等のインバータの負荷に接続されます。 4 電力消費と 電力消費と損失 インバータの全損失は定常損失、スイッチング損失、OFF 時損失の合計です。それらは基本 的に IGBT とフリーホイリングダイオードのようなインバータ部のパワーデバイスで発生しま す。定常損失(Pcond)は導通状態に ON 抵抗で発生する損失です。また、スイッチング損失(Psw) はスイッチが ON/OFF する際に発生する損失であり、OFF 時損失は阻止電圧とリーク電流から 発生するもので無視できるレベルの損失です。 したがって全損失はこれら全ての合計になり、式(17)ようになります。 Ptot ≈ Pcond + Psw (17) Figure 34 にハードスイッチングの例を示します。通常このようにしてモータドライバ制御な どのスイッチングアプリケーションで発生する主な損失を規定します。 Figure 34: IGBT の損失 VCE IC 10% VCE 10% IC VCE(sat) 10% IC Esw(off) Esw(on) tc(on) 10% VCE conduction tc(off) 4.1 定常損失 定常損失 定常損失は IGBT とフリーホイリングダイオードの定格電流時の順電圧ドロップで発生しま す。これは IGBT とダイオードの順方向特性の線形近似を使用して計算できます。IGBT のスレ 50/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module ッショルド VTO、ダイオードのスレッショルド VFO を DC 電圧で表して、コレクタ-エミッタ間 の ON 抵抗を RCE、ダイオードの順方向 ON 抵抗を RAK とした直線近似例を Figure 35(水色)に 示します。 Figure 35: IGBT とダイオードの ダイオードの出力特性近似 出力特性近似 RAK = ∆VFM / ∆IFM ∆IFM RCE = ∆VCE / ∆IC ∆ IC ∆VFM ∆VCE VTO VFO AM09345v1 IGBT、ダイオードのいずれも順方向特性は温度依存性があり、規定された温度以下で検討す る必要があります。 IGBT の線形近似は式 18、ダイオードの線形近似は式 19 のようになります。 vce (ic ) = VTO + RCE ⋅ ic (18) v fm (i fm ) = VFO + RAK ⋅ i fm (19) IGBT とダイオードの定常損失は導通電流と電圧の積分からもとめられ、式 18,19 を代入して それぞれ式 20、21 のようになります。 Pcond_IGBT = Pcond_Diode = ( ) 1 T 1 T v ⋅ i (t)dt = VTO ⋅ ic (t) + Rce ⋅ ic2 (t) dt ce c ∫ ∫ 0 0 T T (20) ( (21) ) 1 T 1 T v ⋅ i (t)dt = VFO ⋅ i f (t) + RAK ⋅ i 2f (t) dt f f ∫ ∫ T 0 T 0 T は基本周期です。 51/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 実際の PWM 変調などを考慮すると SLLIMM の実使用状況での損失を計算することは非常に 困難です。そのため以下の想定をします。 1. VVVF インバータを PWM でサイン波に変調している 2. スイッチング周波数は十分高く、出力電流はサイン波になっている 3. 付加は理想インダクタとする これらの想定のもと、インバータ出力電流は式 22 のようになります。 i = Î cos(θ - φ ) (22) Î:ピーク電流値、θ:ωt、φ:電圧電流間の位相 定常時の電力損失は次のように求められます。 dt = Pcond_IGBT π V ⋅ Î = TO 2π π V Î Pcond_Diode = FO 2π dθ ω π +φ 2π ω +φ RCE ⋅ Î 2 2 2 ∫−π +φ ξ cos(θ - φ )dθ + 2π ∫−π +φ ξ cos (θ - φ )dθ 2 2 (23) 2 +φ RAK Î 2 ∫−π +φ (1 − ξ ) cos(θ - φ )dθ + 2π 2 T= , 2 π +φ ∫ (1 − ξ ) cos (θ - φ )dθ 2 2 (24) π − +φ 2 ξは PWM のデューティー比で次のように表せます。 ξ= 1 + ma ⋅ cosθ 2 (25) ma は PWM の変調度です。 以上から式 23,24 を計算して定常時の電力損失として、式 26 及び 27 が得られます。 2 1 ma ⋅ cosφ RCE ⋅ Î 1 ma ⋅ cosφ Pcond_IGBT = VTO ⋅ Î + + + 8 2π 8 3π 2π (26) 2 1 ma ⋅ cosφ RAK ⋅ Î 1 ma ⋅ cosφ Pcond_Diode = VFO ⋅ Î − + − 8 2π 8 3π 2π (27) 52/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module IGBT とダイオードをあわせた損失はその合計で次のようになります。 Pcond = Pcond_IGBT + Pcond_Diode (28) これは IGBT,ダイオード一つの損失なので、3 相インバータの全損失はこの 6 倍になります。 4.2 スイッチング損失 スイッチング損失 スイッチング損失は、Figure 34 に示すようにスイッチングの遷移期間(ton 及び toff)に発生す るパルス状の電力消費です。スイッチング損失はスイッチング遷移中のコレクタ電流とコレク タ-エミッタ間電圧の電力積分として実験波形からも求められます。しかし、計算から損失を求 める場合には、実動作中の損失が電圧・電流・温度などの多くのパラメータに依存して変化し てしまうため、4.1 節(4.1 定常損失)と同様の仮定をします。 この仮定の下での OFF から ON、ON から OFF へのそれぞれのスイッチング損失は式 29,30 のようになります。 Eon ( θ ) = Êon cos(θ - φ ) (29) Eoff ( θ ) = Êoff cos(θ - φ ) (30) Êon/Êoff:Tjmax、と最大 Îc の時の最大値、θ :ωt、φ:電圧と電流間の位相 デバイスの損失はそのスイッチング周波数 fsw を考慮して式 31 のようになります。 π 1 Psw = 2π ∫ 2 π +φ - +φ 2 ( EIGBT + EDiode ) ⋅ f swdθ = ( EIGBT + EDiode ) ⋅ f sw π (31) EIGBT と EDiode で IGBT とフリーホイリングダイオードの全損失を表します。また 3 相インバ ータの全損失はこの 6 倍になります。 Figure 36 は STGIPL14K60 の実際のターンオンとターンオフの波形です。条件は以下の通り です。 • VPN=300V、IC=7A、Tj=25°C 、フルブリッジ、誘導性負荷、波形はハイサイド IGBT 53/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 赤の波形が、スイッチング遷移期間に発生するパルス状の損失で、IC (シアン)と VCE(緑)の掛 け算から求められたものです。それぞれの波形で µJ 表示されているエネルギーはデジタルオ シロスコープの積分機能で求められたもので、スイッチング損失のエネルギー値です。 Figure 36: STGIPL14K60 通常の 通常のスイッチング波形 スイッチング波形 Turn on ton = 264ns STGIPL14K60 High side Tj=25°°C Turn off toff = 332ns STGIPL14K60 High side Tj=25°°C VHIN VHIN IC IC VCE VCE VHIN = 5V/Div Eon=142µ µJ(*) VCE = 100V/Div Eoff=100µ µJ(*) IC = 2A/Div Eon = ∫ (VCE · IC) dt t = 80ns/Div (*) Eon and Eoff are the areas under the red plots 4.3 熱抵抗について 熱抵抗について 動作中に発生する損失によってSLLIMM中の半導体のジャンクション温度が上がり、それは 製品の性能と寿命に影響します。また、製品の信頼性と安全ため、ジャンクション温度はデー タシートで記載された限界以下でなくてはならず、適切な冷却システムでパワーICから環境へ 熱を逃がす必要があります。 もっとも標準的な方法はヒートシンクを使って周囲へ、場合によってはファンを使用して、 熱を逃がす方法です。強制エアーフローを使わない場合はヒートシンクの大きさは50%以上大 きいものが必要です。適切な放熱方式の選択がアプリケーション設計者にとって最初に必要に なってくるとともに、放熱設計は高効率と高信頼性のために非常に重要になってきます。そし て、パッケージとその熱抵抗が放熱を考える際の基本的な要素になります。 熱抵抗は熱の伝導路の熱伝導能力を定量化したものであり、通常その伝導路の電力消費とそ こでの温度上昇から式32のようにあらわされます。 Rth = 54/74 ∆T ∆P (32) SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module データシートに規定されている熱抵抗は Rth(j-a)は自然空冷または強制空冷システムで一般的 に使われます。これはジャンクション温度と周囲温度間の温度差を、電力消費で割ったもので、 式 33 のようにあらわされます。 Rth(j-c) = T j − Tc (33) PD SLLIMM ファミリの最先端 DBC テクノロジーによって熱抵抗(Rth(j-c))がとても低いというメ リットが得られます。DBC 基板はヒートシンクへの接触面として使用され、熱抵抗を下げるた め熱伝導グリースや他の素材がヒートシンクと DBC の間に使用されます。熱抵抗は当然それ らの素材の特性や厚みにも依存します。 基本的にそれらの要素の合計から、熱抵抗(Rth(j-c))は Figure 37 ようにあらわせます Figure 37: シングル IGBT 熱抵抗等価回路 Rth(j-a) SLLIMM Junction Rth(j-c) Power Stage Tj Case IGBT FWD DBC Heatsink Ptot Rth(c-h) Rth(h-a) Tc Th Ambient Tamb 電力損失 Ptot は周期的に発生しますので、遷移期間の熱インピーダンスも考慮されなければ なりません。これは同じ熱伝導路の温度差の時間変化を対応する電力で割って式 34 のように あらわされます。 Zth ( t ) = ∆T ( t ) ∆P (34) 先ほどの熱抵抗の抵抗だけのモデルとは異なりますが、熱インピーダンスは RC 回路で等価 的にあらわすことができます。損失がパルス状に変化したときは、熱コンデンサの働きでジャ ンクション温度の上昇に遅れが発生します。この特徴を使うことで SLLIMM の短い時間での過 55/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 電流時の熱解析が可能です。Figure 38 にシングル IGBT の SLLIMM 製品でのジャンクションか ら 周 囲 ま で の 熱 イ ン ピ ー ダ ン ス の 時 間 変 化 を 示 し ま す 。 こ こ で の SLLIMM 製 品 は STGIPS14K60 (SDIP-25L) と STGIPL14K60 (SDIP-38L)です。グラフから分かるように、熱イ ンピーダンスは約 10 秒で飽和します。 Figure 38: 熱インピーダンス Zth(j-a)特性 STGIPL14K60 4 3 3 Z th(j-c) (°C/W) Zth(j-c) (°C/W) STGIPS14K60 4 2 1 0 1.E-05 2 1 1.E-04 1.E-03 1.E-02 1.E-01 1.E+00 1.E+01 1.E+02 0 1.E-05 1.E-04 time (sec) 1.E-03 1.E-02 1.E-01 1.E+00 1.E+01 1.E+02 time (sec) 一般的には消費電力も時間変化します。デバイス温度は式34の畳み込み積分をから式35のよ うに計算されます。 t ∆T ( t ) = ∫ Zth ( t − τ ) ⋅ P( τ )dτ (35) 0 この計算を実施するにあたってはシミュレーションツールを使うのが非常に便利です。熱イ ンピーダンスの遷移モデルにより時間的に変化するジャンクション温度上昇を簡単に見積もる ことが可能です。 熱の電気的モデルを使うことで熱インピーダンスZth(t)はRC回路であらわせます。RCの繰り 返し回路の段数がモデルの精度に該当してきます。シミュレーションでの計算では9段のRCの 合成によりモデルの精度を高めています。 Figure 39にカウエルの方法による熱インピーダンスのRC等価回路を示します。 56/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 39:カウエル カウエルの カウエルの方法による 方法による熱抵抗 による熱抵抗 RC 等価回路 Tj Ptot(t) Zth(t) R1 C1 R2 C2 R3 C3 R4 C4 R5 C5 R6 C6 R7 C7 R8 C8 R9 C9 Tcase AM09349v1 熱伝導のRC回路モデルでは熱抵抗と熱容量を、抵抗とコンデンサで表します。温度差はRC 回路モデル中の電圧、電力はRC回路モデル中の電流となります。ケース温度はDC電圧源とあ らわされジャンクション温度の初期値となります。 熱インピーダンスモデルは測定データに合わせた方程式から生成しています。Table 13にそ の方程式の変数である抵抗、コンデンサの値を示します。 Table 13: カウエルの カウエルの RC 熱等価回路定数 Element STGIPS10K60A STGIPS14K60 STGIPL14K60 STGIPS20K60 STGIPL20K60 R1 (°C/W) 8.80E-02 1.61E-02 8.15E-03 1.00E-04 3.85E-03 R2 (°C/W) 1.54E-02 9.42E-02 1.07E-01 5.00E-03 1.50E-02 R3 (°C/W) 3.16E-01 1.20E-02 5.00E-02 7.00E-02 5.17E-03 R4 (°C/W) 3.96E-03 3.50E-01 2.00E-01 1.03E-02 4.68E-02 R5 (°C/W) 8.16E-01 5.86E-01 6.57E-01 6.00E-01 4.18E-01 R6 (°C/W) 4.32E-01 1.58E-03 1.00E-02 1.15E-01 6.71E-02 R7 (°C/W) 1.23E-02 7.50E-01 8.00E-01 1.00E-03 1.27E-01 R8 (°C/W) 4.48E-01 1.60E-02 2.00E-02 1.00E-01 6.14E-01 R9 (°C/W) 1.66E+00 1.10E+00 9.50E-01 1.55E+00 1.00E+00 C1 (W·sec/°C) 3.20E-04 9.20E-04 1.00E-03 1.80E-03 1.50E-03 C2 (W·sec/°C) 6.30E-04 9.07E-05 9.96E-05 3.09E-05 9.82E-05 C3 (W·sec/°C) 9.00E-05 1.00E-03 9.59E-05 8.94E-05 9.62E-05 C4 (W·sec/°C) 5.00E-04 4.14E-05 1.85E-05 9.29E-05 9.48E-05 C5 (W·sec/°C) 5.00E-03 1.40E-02 9.68E-03 1.20E-02 9.97E-03 C6 (W·sec/°C) 1.20E-02 3.57E-05 2.00E-02 7.04E-05 7.86E-05 C7 (W·sec/°C) 1.49E-03 3.00E-03 1.76E-03 2.93E-04 2.91E-03 C8 (W·sec/°C) 8.09E-04 5.75E-04 8.27E-04 9.43E-04 5.50E-02 C9 (W·sec/°C) 1.20E-01 1.54E-01 5.00E-01 1.00E-01 6.21E-02 57/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 4.4 電力損失計算例 前節まで電力損失の計算と熱の取り扱いについて見てきましたが、それらを利用して、3相 VVVF インバータの、最大コレクタ電流とスイッチング周波数特性がシミュレーションできま す。ドライブ条件はサイン波変調PWM、 6ステップ 120°通電です。 Figure 40にSLLIMMの安定状態での最大電流を示します。ケース温度が100℃のときのジャ ンクション温度が最大の150℃まで上がった場合になっています。これはシステムの信頼性が 保障される一般的な動作条件です。シミュレーションで考慮された条件は以下の通りです。 • VPN = 300 V, ma = 0.8, cosφ = 0.6, Tj = 150 °C, T C=100°C, fSINE = 60 Hz, 最大の Rth(j-c),、定常時の VCE(sat) と Etot Figure 40: 最大電流 IC(RMS) vs スイッチング周波数 スイッチング周波数 fsw シミュレーション結果 シミュレーション結果 22 Maximum IC(RMS) current (A) 20 18 16 14 12 10 8 6 4 4 8 12 16 20 fsw (kHz) STGIPS10K60A STGIPS14K60 STGIPL14K60 STGIPS20K60 STGIPL20K60 AM0935v1 58/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 5 設計と 設計と実装の 実装のガイドライン このセクションでは SLLIMM ファミリを適切に製品に組み込むために、メインレイアウトの 最適設計と実装、適切なハンドリングと組み立てについての主要な推奨について紹介します。 5.1 推奨レイアウト 推奨レイアウト 高電圧、高周波スイッチングを使用した製品では、PCBレイアウトの最適化は非常に重要で 場合によっては致命的な影響を引き起こします。PCBレイアウト設計は配線長・配線幅や部 品・回路の配置場所、配線の適切な引き回しや、さまざまなシステムのトレードオフ関係を持 つ要素の調整等、多方面からの検討が必要であり非常に複雑です。 よいレイアウトは、適切な機能と期待された性能を発揮する助けになります。逆に、レイア ウト設計がよくなければ、EMIノイズ(放射及び受けとり)の増加や回路寄生成分によるスパイク 電圧の上昇が発生し、損失が増加し、さらに制御やセンシングの誤動作を引き起こす要因にも なります。 SLLIMMを使ったコンパクトソリューションは最適化されたゲートドライバ回路を搭載して ます。内部は寄生成分を減らすように最適に設計されており、ユーザはグランド回りとノイズ フィルタ等の検討に注力することができます。 ここでは3相のアプリケーションを念頭において、レイアウト設計のガイドラインを紹介し ます。 5.1.1 • • • • • • • • 一般的な 一般的なガイドライン PCB 配線はできるだけ短く、回路はできるだけ小さくしノイズの発生を抑える 高電圧スイッチング信号と信号線の距離を保つ。特に各相出力線は大電流、大電圧の変 動があるので、信号線はオペアンプ、コンパレータを使うアナログ回路から隔離する。 センス抵抗 RSENSE はローサイドのピン SLLIMM (NU, NV, NW)のできる限り近くに配置す る。また、センス抵抗を SLLIMM のグランドラインに直接つなげることで寄生インダ クタンスを減らす。寄生インダクタンスを更に減らすために、低インダクタンスタイプ の表面実装抵抗を使用する。 グランドループを作らないため、シングル配線は 2 箇所の異なった場所でグランド接続 する。 RC フィルタは効果を高めるため、SLLIMM のできるだけピンそば近くに置く。 サージ破壊を防ぐため、整流コンデンサと P, N ピンの間はできるだけ短く配線する。 高周波、高耐圧のノンインダクティブタイプ 0.1 から 0.22µF のコンデンサを P と N ピ ンの間に置くことが推奨される。 GND や HV のような固定電圧線はデジタル・アナログの信号線をスイッチング(OUTU, OUTV OUTW 等)から発生するノイズのシールドとして使用可能。 一般的にそれぞれのハーフブリッジはスター結線にして、RSENSE はそれぞれ近くに配 置するとともに、パワーグラウンドの近くに置く。 59/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 41 と 42 に全ての SLIMM 製品の標準的な推奨項目をまとめます。 Figure 41: 標準的な 標準的な推奨項目 1 60/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 42: 標準的な 標準的な推奨項目 2 特にいくつかのレイアウト間違いには注意が必要です。Figure 43, 44 に間違った PCB 設計 例を示します。 61/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 43: 悪いレイアウト例 レイアウト例 1 62/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 44: 悪いレイアウト例 レイアウト例 2 5.2 実装と 実装と放熱 実装時の注意事項は熱や圧力を避けヒートシンクに SDIP-25L、SDIP-38L を取り付ける際に 放熱性能や絶縁をベストにするための基本的なルールです。詳細については TN0107 を参照く ださい。 5.2.1 ヒートシンク ヒートシンクを使う際の注意事項は、ヒートシンクの効率を最大にし、デバイスへの負荷を 最小にするためのものです。表面の凹凸をなくすことは SLIMM とヒートシンクの密着度を高 めるための基本です。 63/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module シリコングリース層や放熱接着剤を使用する際もパッケージとヒートシンクの間隔は 100µm から 200µm にして接着部の熱抵抗を低くします(Figure 45)。接着面は均一に薄くコーティング し、空隙のできないように注意します。SLLIMM の動作温度全範囲で性質の安定した高品質グ リースを使用してください。 Figure 45: 推奨位置と 推奨位置とシリコングリース厚 シリコングリース厚 シリコン SLLIMM グリースの厚み 100~200μm Heatsink 5.2.2 実装トルク 実装トルク SLLIMM をヒートシンクに取り付ける際は、組み立て中に必要以上の力が掛からないように 注意します。Table 14 にヒートシンクの固定トルクを示します。 不適切な実装はデバイスにダメージを与え、ねじ止めが強すぎると DBC 基盤やモールド樹 脂のひび割れなどを引き起こす恐れがあります。片側だけのねじ止めにより発生する物理的ス トレスを避けてください。両方のねじをある程度強く締めた後、規定されたトルクまでトルク レンチで固定します。Figure 47 はねじ止め手順です。 Table 14: 実装トルク 実装トルクと トルクとヒートシンクの ヒートシンクの凹凸 Limits Parameter Units Min. Typ. Max. Mounting torque (M3 screw) 0.4 0.7 1.0 Nm Heatsink flatness -50 100 µm SDIP-25L package weight SDIP-38L package weight 64/74 13 17 g g SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 46: 銅ヒートシンクの ヒートシンクの表面凹凸測定 65/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 47: 推奨ねじ 推奨ねじ止 ねじ止め手順 5.2.3 ハンドリングと ハンドリングと保存について 保存について 半導体デバイスへの不適切な取り扱いによる温度や物理的ストレスは電気的特性や信頼性に 重大な影響を及ぼします。SLLIMM は ESD に敏感なデバイスであり ESD ショックにより破壊 されてしまう可能性があります。パワーデバイスを取り扱う全ての装置は、標準の ESD 対策 (運搬、保管、組み立てを含む)に沿っている必要があります。 運搬 SLLIMM を運搬する際には注意が必要です。運搬中に物理的な変動やショックにさらされては いけません。 • SLLIMM の動作の信頼性を組み込み前に損なわないため、投げたり、落としたりするこ とは厳禁です。 • 濡れた状態は危険で、湿度もパッケージに悪影響を及ぼす可能性があります。 • 実装中にはパッケージのみをつかむようにして、リードを触らないようにします。 • パッケージを、曲げたり、上下さかさまにして押したり、均一でない力を与えたりする と端子や樹脂が破壊される可能性があります。 保管 • • • 66/74 保管中に外部から圧力、負荷を加えない 湿度は 40%から 75%の範囲に保ち、温度は 5℃から 35℃の間に保つ。 リードの半田付け性能は参加や腐食で劣化します。保管場所の温度変化は最小にするこ とが求められます。 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module • • ほこりの多いような汚い環境や、有害なガスがあるところでは保管できません。 帯電防止の容器を使用します。 電気的ショック 電気的ショックと ショックと温度による 温度による損傷 による損傷 • 怪我や損傷をさけるため動作中の SLLIMM 製品やヒートシンクにはさわってはいけま せん。 67/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 5.2.4 パッケージ仕様 パッケージ仕様 Figure 48: SDIP-25L パッケージ仕様 パッケージ仕様 68/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Figure 49: SDIP-38L パッケージ仕様 パッケージ仕様 69/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 6 References [1] STGIPS10K60A datasheet [2] STGIPS14K60 datasheet [3] STGIPL14K60 datasheet [4] STGIPS20K60 datasheet [5] STGIPL20K60 datasheet [6] AN2738 application note [7] UM0969 user manual [8] UM0900 user manual [9] UM1036 user manual [10] Minimum-Loss Strategy for Three-Phase PWM Rectifier, IEEE, JUNE 1999 [11] TN0107 technical note INDICE アプリケーションノート ................................................ Error! Bookmark not defined. SLLIMM™ ........................................................................ Error! Bookmark not defined. small low-loss intelligent molded module ......................... Error! Bookmark not defined. イントロダクション .............................................................................................................. 1 1 インバータ設計の基本と SLLIMM ソリューション................................................. 2 1.1 製品概要 .................................................................................................................. 3 1.2 内部回路 .................................................................................................................. 7 1.3 絶対最大定格 ........................................................................................................ 10 2 電気的特性と機能 ........................................................................................................ 13 2.1 IGBT....................................................................................................................... 13 2.2 フリーホイリングダイオード ............................................................................ 13 2.3 高耐圧ゲートドライバ ........................................................................................ 13 2.3.1 駆動信号入力 ................................................................................................ 15 2.3.2 高電圧レベルシフト .................................................................................... 17 2.3.3 電源電圧低下保護 ........................................................................................ 17 2.3.4 デッドタイムとインターロック機能 ........................................................ 18 2.3.5 異常検出コンパレータ ................................................................................ 20 2.3.6 短絡検出とスマートシャットダウン ........................................................ 21 2.3.7 短絡保護タイミングチャートとスマートシャットダウン機能 ............ 22 70/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module 3 4 5 6 2.3.8 電流検出シャント抵抗の選択.................................................................... 24 2.3.9 RC フィルタ回路 ............................................................................................. 25 2.3.10 過熱保護........................................................................................................ 26 2.3.11 電流センスオペアンプ................................................................................ 29 2.3.12 ブートストラップ回路................................................................................ 30 2.3.13 ブートストラップコンデンサの選択........................................................ 32 2.3.14 ブートストラップコンデンサの初期充電................................................ 34 パッケージ.................................................................................................................... 35 3.1 DBC 基板 .............................................................................................................. 35 3.2 PCB ........................................................................................................................ 36 3.3 パッケージ構造.................................................................................................... 37 3.4 パッケージ外形と寸法........................................................................................ 40 3.5 入出力ピン............................................................................................................ 43 電力消費と損失............................................................................................................ 50 4.1 定常損失................................................................................................................ 50 4.2 スイッチング損失................................................................................................ 53 4.3 熱抵抗について.................................................................................................... 54 4.4 電力損失計算例.................................................................................................... 58 設計と実装のガイドライン........................................................................................ 59 5.1 推奨レイアウト.................................................................................................... 59 5.1.1 一般的なガイドライン................................................................................ 59 5.2 実装と放熱............................................................................................................ 63 5.2.1 ヒートシンク................................................................................................ 63 5.2.2 実装トルク.................................................................................................... 64 5.2.3 ハンドリングと保存について.................................................................... 66 5.2.4 パッケージ仕様............................................................................................ 68 References ...................................................................................................................... 70 71/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Japanese for Footer (Disclaimer for Japanese translation) ) この資料は、STMicroelectronics NV 並びにその子会社(以下 ST)が英文で記述した資料(以下、「正規 英語版資料」)を、皆様のご理解の一助として頂くために ST マイクロエレクトロニクス㈱が英文から和 文へ翻訳して作成したものです。この資料は現行の正規英語版資料の近時の更新に対応していない 場合があります。この資料は、あくまでも正規英語版資料をご理解頂くための補助的参考資料のみに ご利用下さい。この資料で説明される製品のご検討及びご採用にあたりましては、必ず最新の正規英 語版資料を事前にご確認下さい。ST 及び ST マイクロエレクトロニクス㈱は、現行の正規英語版資料 の更新により製品に関する最新の情報を提供しているにも関わらず、当該英語版資料に対応した更新 がなされていないこの資料の情報に基づいて発生した問題や障害などにつきましては如何なる責任も 負いません。 (English translation for above Japanese) ) This translation has been translated into Japanese made by STMicroelectronics K.K. from a material prepared in English by STMicroelectronics NV and its subsidiaries (hereinafter collectively called “ST”)(such material being hereinafter called “Regular English Document”) in order to help customers understand the content thereof. 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STMicroelectronics and STMicroelectronics K.K. shall not be responsible for any problems, faults or whatsoever which may result from any information in this translation not updated corresponding to the renewal of the current Regular English Document, despite the fact that such Renewal provides the latest information as to the products. 72/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Disclaimer よくお読 よくお読み下さい: さい: 本書記載の内容は ST 製品に関してのみ適用されるものです。STMicroelectronics NV およびそ の子会社(以下、ST)は、本書、本製品ならびに本書に記載されたサービスの内容を予告なく 変更、修正、改定もしくは改良する権利を留保します。 すべての ST 製品は ST の販売条件に従って販売されます。 本書記載の ST 製品およびサービスの選択並びに使用については購入者が全ての責任を負うも のとし、本書記載の ST 製品およびサービスの選択並びに使用に関して ST は一切の責任を負い ません。 本書は、明示されているか否かに関わらず、また禁反言によるとよらずに関わらず、いかなる 知的財産権の実施権を許諾するためのものではありません。本書で第三者の製品もしくはサー ビスに言及する場合、そのような言及は、ST が当該第三者の製品、サービスまたはそれらに含 まれる知的財産権を利用する実施権を許諾したとみなすものではなく、またいかなる用法であ れ当該第三者の製品、サービスまたはそれらに含まれる知的財産権の使用を保証するものでは ありません。 ST の販売条件に 販売条件に規定される 規定される場合 される場合を 場合を除き、ST は、商品性、 商品性、特定目的への 特定目的への適合性 への適合性(その 適合性 その他管轄 その他管轄の 他管轄の如 何を問わず法律 わず法律で 法律で認められる同等 められる同等のもの 同等のもの)、 のもの 、若しくは特許権 しくは特許権、 特許権、著作権その 著作権その他 その他の知的財産権の 知的財産権の侵害 に関する黙示 する黙示の 黙示の保証を 保証を含め、ST 製品の 製品の使用または 使用または販売 または販売に 販売に関する明 する明示または黙示 または黙示の 黙示の保証をすべ 保証をすべ て放棄します 放棄します。 します。 権限のある 権限のある ST の代表者二人 代表者二人による 二人による書面 による書面での 書面での明示 での明示の 明示の許可がある 許可がある場合 がある場合を 場合を除き、ST 製品を 製品を軍事用 軍事用、 航空技術 航空技術、 技術、宇宙用、 宇宙用、救命用 救命用、若しくは生命維持 しくは生命維持用 生命維持用に用いること、 いること、または または不具合若 不具合若しくは しくは誤動作 により負傷 により負傷または 負傷または死亡事故 または死亡事故、 死亡事故、深刻な 深刻な財産上または 財産上または環境上 または環境上の 環境上の損害を 損害を招くおそれのある製品 くおそれのある製品または 製品または システムへ システムへ使用することは 使用することは、 することは、推奨、 推奨、認可、 認可、保証されておりません 保証されておりません。「 されておりません。「自動車向 。「自動車向け 自動車向け」として指定 として指定 されていない ST 製品を 製品を自動車用 自動車用に用いることは いることは、使用者自身 使用者自身の 自身の責任において 責任においてなさ においてなされるものと なされるものと します。 します。 本書に説明されている記述または技術的特徴とは異なる条件で ST 製品が再販された場合、本 書に記載される ST 製品またはサービスについての ST による保証は直ちに失われるものとし、 いかなる形であれ、ST の責任を生ぜしめること、若しくはその責任が延長されることはないも のとします。 ST および ST ロゴは各国における STMicroelectronics の商標または登録商標です。 本書の情報はそれ以前に提供された全ての情報に優先します。 ST ロゴは STMicroelectronics の登録商標です。その他の名称は、それぞれの所有者に帰属しま す。 © 2012 STMicroelectronics - All rights reserved STMicroelectronics企業グループ オーストラリア-ベルギー-カナダ-チェコ共和国-フィンランド-フランス-ドイツ-香港-インドイスラエル-イタリア-日本-マレーシア-マルタ-モロッコ-フィリピン-シンガポ-ル-スペインスウェ-デン-スイス-イギリス-アメリカ合衆国 www.st.com 73/74 SLLIMM™ Small Low-Loss Intelligent Molded Module Disclaimer Please Read Carefully: Information in this document is provided solely in connection with ST products. STMicroelectronics NV and its subsidiaries (“ST”) reserve the right to make changes, corrections, modifications or improvements, to this document, and the products and services described herein at any time, without notice. All ST products are sold pursuant to ST’s terms and conditions of sale. Purchasers are solely responsible for the choice, selection and use of the ST products and services described herein, and ST assumes no liability whatsoever relating to the choice, selection or use of the ST products and services described herein. No license, express or implied, by estoppel or otherwise, to any intellectual property rights is granted under this document. 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