単電源および二電源のマイクロパワー・ レール to レール計装機器アンプ AD627 特長 機能ブロック図 マイクロパワー、85μA(Max)の電源電流 8ピン・プラスチック・ミニDIP (N)とSOIC (R) 広い電源電圧範囲(+2.2 V∼±18 V) 使い易さ 1本の外付け抵抗によるゲイン設定 8 RG RG 1 ゲイン範囲5(抵抗無し)∼1,000 ディスクリート・デザインより高性能 レール to レールの出力振幅 –IN 2 – 7 +VS +IN 3 + 6 OUTPUT –VS 4 高精度DC性能 AD627 5 REF 0.10%のゲイン精度(G=5) (AD627A) 10 ppmのゲイン・ドリフト(G=5) 125μV(Max)の入力オフセット電圧(AD627B) 200μV(Max)の入力オフセット電圧(AD627A) 1μV/℃(Max)の入力オフセット電圧ドリフト(AD627B) 動作、 低消費電力、 レール to レールの出力振幅により、 AD627はバッ 3μV/℃(Max)の入力オフセット電圧ドリフト(AD627A) テリ駆動アプリケーションに最適です。 レール to レール出力ステー 10 nA(Max)の入力バイアス電流 ジは、低い電源電圧で動作する場合、ダイナミックレンジを最大に ノイズ: 38 nV/√HzのRTIノイズ@ 1 kHz(G=100) します。二電源動作(±15 V)と低消費電力により、AD627は4 mA/ 優れたAC仕様 20 mAループ給電システムなどの工業用アプリケーションに最適で 77 dB(Min)CMRR(G=5) (AD627A) す。 83 dB(Min)CMRR(G=5) (AD627B) AD627は、他のマイクロパワー計装機器アンプとは異なり、性能 80 kHzの帯域幅(G=5) を犠牲にしません。低電圧オフセット、低オフセット・ドリフト、 0.01%までの整定時間: 135μs(G=5、5 Vステップ) 低ゲイン誤差、低ゲイン・ドリフトにより、ユーザー・システム内 でDC誤差を最小に保ちます。 AD627は全周波数範囲で優れたCMRR アプリケーション 4 mA/20 mAループ給電アプリケーション 低消費電力医用計測機器―ECG、EEG トランスデューサ・インターフェース 熱電対アンプ を提供することにより、全周波数範囲でも誤差を最小に維持しま す。CMRRは200 Hzまでの値を維持しているため、電源ノイズやラ イン高調波も除去されます。 AD627は、小さい回路ボード・スペースで優れた性能を提供し、 マイクロパワー・ディスクリート・デザインより低価格です。 工業プロセス制御 100 AD627 低消費電力データ収集システム 90 携帯型バッテリ駆動計測機器 80 70 AD627は単電源および二電源(+2.2 V∼±18 V)でレール to レー ル出力振幅を持つマイクロパワー計装機器アンプです。 AD627は優 れたAC仕様とDC仕様を提供し、 最大85μAという小さい電流で動作 します。 CMRR – dB 概要 60 50 従来型 低消費 電力デザイン 40 30 AD627は、1本の外付け抵抗だけでデバイスのゲインが可能で、8 20 ピンの業界標準ピン配置を持ち、優れた柔軟性を提供します。外付 10 け抵抗無しで、AD627はゲイン5に設定されます。外付け抵抗有りの 0 場合は、最大ゲイン1000まで設定することができます。 広い電源電圧範囲(+2.2 V∼±18 V)とマイクロパワー消費電流 により、AD627は広範囲なアプリケーションに適合します。単電源 1 10 100 周波数 – Hz 1k 10k 図1.CMRRと周波数の関係、±5 VS、ゲイン=5 アナログ・デバイセズ社が提供する情報は正確で信頼できるものを期していますが、 当社はその情報の利用、また利用したことにより引き起こされる第3者の特許または権 利の侵害に関して一切の責任を負いません。さらにアナログ・デバイセズ社の特許また は特許の権利の使用を許諾するものでもありません。 REV.0 アナログ・デバイセズ株式会社 本 社/東京都港区海岸1 - 1 6 - 1 電話03(5402)8200 〒105−6891 ニューピア竹芝サウスタワービル 大阪営業所/大阪市淀川区宮原3 - 5 - 3 6 電話06(6350)6868㈹ 〒532−0003 新大阪第2森ビル ADG627―仕様 単電源動作(特に指定のない限り、typ値は+25℃単電源、VS=+3 Vおよび+5 V 、RL=20 kΩ) AD627A モデル仕様 条件 ゲイン ゲイン範囲 ゲイン誤差1 G=5 G=10 G=100 G=1000 非直線性 G=5 G=100 ゲインの温度特性1 G=5 G>5 G=5+(200 kΩ/RG) Min Typ 5 短絡電流 ダイナミック応答 小信号−3 dB帯域幅 G=5 G=100 G=1000 スルー・レート 0.01%までの整定時間 G=5 G=100 0.01%までの整定時間 G=5 G=100 過負荷回復時間 1000 5 Typ Max 単位 1000 V/V 0.03 0.15 0.15 0.50 0.10 0.35 0.35 0.70 0.01 0.10 0.10 0.25 0.06 0.25 0.25 0.35 % % % % 10 20 100 100 10 20 100 100 ppm ppm 10 −75 20 10 −75 20 ppm/℃ ppm/℃ 50 250 445 3 1000 1650 10 25 150 215 1 500 1150 10 μV μV μV/℃ μV μV μV/℃ 0.1 2.5 86 100 110 110 100 120 125 125 入力電流 入力バイアス電流 全温度範囲 平均TC 入力オフセット電流 全温度範囲 平均TC 出力 出力振幅 Min VOUT=(−VS)+0.1 ∼(+VS)−0.15 電圧オフセット 入力オフセット、 VOSI2 全温度範囲 VCM=VREF=+VS/2 平均TC 出力オフセット、 VOSO 全温度範囲 平均TC 電源に対する入力換算 オフセット(PSRR) G=5 G=10 G=100 G=1000 入力 入力インピーダンス 差動 コモンモード 入力電圧範囲3 1 kΩ信号不平衡での DC ∼ 60 Hzのコモン モード除去比3 G=5 G=5 AD627B Max 3 20 0.3 0.1 2.5 86 100 110 110 10 15 3 20 0.3 1 2 1 VS=+2.2 V ∼ +36 V 20‖2 20‖2 (−VS)−0.1 100 120 125 125 dB dB dB dB 10 15 1 2 1 20‖2 20‖2 (+VS)−1 (−VS)−0.1 (+VS)−1 nA nA pA/℃ nA nA pA/℃ GΩ‖pF GΩ‖pF V VREF=VS/2 VS=+3 V、 VCM=0 V ∼ +1.9 V VS=+5 V、 VCM=0 V ∼ +3.7 V RL=20 kΩ RL=100 kΩ グランドへの短絡 77 77 90 90 (−VS)+25 (−VS)+7 83 83 96 96 (+VS)−70 (−VS)+25 (+VS)−25 (−VS)+7 dB dB (+VS)−70 mV (+VS)−25 mV mA ±25 ±25 80 3 0.4 +0.05/−0.07 80 3 0.4 +0.05/−0.07 kHz kHz kHz V/μs 65 290 65 290 μs μs 85 330 3 85 330 3 μs μs μs VS=+3 V、+1.5 V出力ステップ VS=+5 V、+2.5 V出力ステップ 50%入力過負荷 注 1 外付け抵抗RGの影響は含みません。 合計RTI誤差については表IIIを参照してください。 入力範囲、ゲイン範囲、コモンモード範囲についてはアプリケーションの節を参照してください。 仕様は予告なく変更されることがあります。 2 3 −2− REV.0 AD627 二電源動作(特に指定のない限り、typ値は+25℃の二電源、VS=±5 Vおよび±15 V、RL=20 kΩ) AD627A モデル仕様 条件 ゲイン ゲイン範囲 ゲイン誤差1 G=5 G=10 G=100 G=1000 非直線性 G=5 G=100 ゲインの温度特性1 G=5 G>5 G=5+(200 kΩ/RG) 電圧オフセット 入力オフセット、 VOSI2 全温度範囲 平均TC 出力オフセット、 VOSO 全温度範囲 平均TC 電源に対する入力換算 オフセット(PSRR) G=5 G=10 G=100 G=1000 合計RTI誤差=VOSI+VOSO/G Min Typ 5 ダイナミック応答 小信号−3 dB帯域幅 G=5 G=100 G=1000 スルー・レート 0.01%までの整定時間 G=5 G=100 0.01%までの整定時間 G=5 G=100 過負荷回復時間 5 Max 単位 1000 V/V VS=±5 V/±15 V VS=±5 V/±15 V 0.10 0.35 0.35 0.70 0.01 0.10 0.10 0.25 0.06 0.25 0.25 0.35 % % % % 10/25 10/15 100 100 10/25 10/15 100 100 ppm ppm 20 10 −75 20 ppm/℃ ppm/℃ 200 395 3 1000 1700 10 25 125 190 1 500 1100 10 μV μV μV/℃ μV μV μV/℃ −75 25 VCM=VREF=0 V 0.1 2.5 86 100 110 110 100 120 125 125 2 20 0.3 0.1 2.5 86 100 110 110 10 15 RL=20 kΩ RL=100 kΩ グランドへの短絡 (−VS)+25 (−VS)+7 100 120 125 125 2 20 0.3 1 5 5 dB dB dB dB 10 15 1 5 5 20‖2 20‖2 (+VS)−1 (−VS)−0.1 83 83 (+VS)−1 96 96 (+VS)−70 (−VS)+25 (+VS)−25 (−VS)+7 nA nA pA/℃ nA nA pA/℃ GΩ‖pF GΩ‖pF V dB dB (+VS)−70 mV (+VS)−25 mV mA ±25 ±25 80 3 0.4 +0.05/−0.06 80 3 0.4 +0.05/−0.06 kHz kHz kHz V/μs 135 350 135 350 μs μs 330 560 3 330 560 3 μs μs μs VS=±5 V、+5 V出力ステップ VS=±15 V、+15 V出力ステップ 50%入力過負荷 注 1 外付け抵抗RGの影響は含みません。 合計RTI誤差については表IIIを参照してください。 入力範囲、ゲイン範囲、コモンモード範囲についてはアプリケーションの節を参照してください。 仕様は予告なく変更されることがあります。 2 3 REV.0 1000 Typ 0.03 0.15 0.15 0.50 入力 入力インピーダンス 差動 20‖2 コモンモード 20‖2 VS=±1.1 V ∼ ±18 V (−VS)−0.1 入力電圧範囲3 1 kΩ信号不平衡での DC ∼ 60 Hzのコモン モード除去比3 G=5−1000 VS=±5 V、VCM=−4 V ∼ +3.0 V 77 90 G=5−1000 VS=±15 V、VCM=−12 V ∼ +10.9 V 77 90 短絡電流 Min VOUT=(−VS)+0.1 ∼(+VS)−0.15 入力電流 入力バイアス電流 全温度範囲 平均TC 入力オフセット電流 全温度範囲 平均TC 出力 出力振幅 AD627B Max −3− AD627―仕様 二電源動作および単電源動作共通 AD627A モデル仕様 条件 Min Typ AD627B Max Min Typ Max 単位 ノイズ 電圧ノイズ、1 kHz 合計RTIノイズ=√(eni)2+(eno/G)2 入力、電圧ノイズ、eni 38 38 nV/√Hz 出力、電圧ノイズ、eno 177 177 nV/√Hz G=5 1.2 1.2 μV p-p G=1000 0.56 0.56 μV p-p RTI、 0.1 Hz ∼ 10 Hz 電流ノイズ f=1 kHz 0.1 Hz ∼ 10 Hz 50 50 fA/√Hz 1.0 1.0 pA p-p 125 125 kΩ 1 1 基準入力 RIN RG=∞ 出力電圧範囲までの ゲイン1 電源 動作範囲 二電源 ±1.1 ±18 ±1.1 ±18 V 単電源 2.2 36 2.2 36 V 無負荷電流 60 全温度範囲 200 85 60 85 μA 200 nA/℃ 温度範囲 仕様性能に対して −40 +85 −40 +85 ℃ 注 1 入力範囲、ゲイン範囲、コモンモード範囲については、アプリケーションの節を参照してください。 仕様は予告なく変更されることがあります。 絶対最大定格1 オーダー・ガイド 電源電圧 ……………………………………………………… ±18 V モデル パッケージ パッケージ・ 内部消費電力2 オプション プラスチック・パッケージ(N) ………………………… 1.3 W スモール・アウトライン・パッケージ(R)……………… 0.8 W −IN、+IN ………………………………… −VS−20 V ∼ +VS+20 V コモンモード入力電圧 ………………… −VS−20 V ∼ +VS+20 V 差動入力電圧(+IN−(−IN) )…………………… +VS−(−VS) 出力短絡耐久時間 …………………………………………… 無限 保存温度範囲N、R ……………………………… −65℃ ∼ +125℃ 動作温度範囲 …………………………………… −40℃ ∼ +85℃ 端子温度範囲(ハンダ処理10 sec)………………………… +300℃ AD627AN プラスチックDIP AD627AR スモール・アウトライン(SOIC)R-8 N-8 AD627BN プラスチックDIP AD627BR スモール・アウトライン(SOIC)R-8 AD627AR-REEL 8ピンSOIC 13インチ・リール N-8 AD627AR-REEL7 8ピンSOIC 7インチ・リール AD627BR-REEL 8ピンSOIC 13インチ・リール AD627BR-REEL7 8ピンSOIC 7インチ・リール 注 1 2 上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えるとデバイスに永久的な損傷を与えること があります。この規定はストレス定格の規定のみを目的とするものであり、この仕様の動 作セクションに記載する規定値以上でのデバイス動作を定めたものではありません。デ バイスを長時間絶対最大定格状態に置くとデバイスの信頼性に影響を与えます。 自然空冷のデバイスに対する仕様 8ピン・プラスチックDIPパッケージ:θJA=90℃/W。 8ピンSOICパッケージ:θJA=160℃/W。 注意 ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。4000 Vもの高圧の静電気が人体やテスト装置に容易に帯電し、検知さ れることなく放電されることもあります。このAD627には当社独自のESD保護回路を備えていますが、高エネルギーの静 電放電にさらされたデバイスには回復不能な損傷が残ることもあります。したがって、性能低下や機能喪失を避けるため に、適切なESD予防措置をとるようお奨めします。 −4− WARNING! ESD SENSITIVE DEVICE REV.0 AD627 代表的な性能特性(特に指定のない限り、@ +25℃、VS=±5 V、RL=20 kΩ ) 100 –5.5 90 –5.0 80 –4.5 60 入力バイアス電流 – nA ノイズ – nV/√Hz, RTI 70 ゲイン = 5 50 40 30 ゲイン = 100 VS = +5V –4.0 VS = ±5V –3.5 –3.0 –2.5 VS = ±15V 20 ゲイン = 1000 –2.0 10 0 1 10 100 1k 周波数 – Hz 10k –1.5 –60 100k 図2.電圧ノイズ・スペクトル密度と周波数の関係 –40 0 –20 20 40 60 温度 – ℃ 80 100 120 140 図5.入力バイアス電流と温度の関係 100 65.5 90 64.5 70 合計電源電流 – µA 電流ノイズ – fA/√Hz 80 60 50 40 30 20 63.5 62.5 61.5 60.5 10 0 59.5 10 1 100 周波数 – Hz 1k 10k 図3.電流ノイズ・スペクトル密度と周波数の関係 0 5 10 15 20 25 合計電源電圧 – V 30 40 35 図6.電源電流と電源電圧の関係 –3.200 V+ –3.000 (V+) –1 –2.800 (V+) –2 出力電圧振幅 – V 入力バイアス電流 – nA VS = ±15Ω –2.600 –2.400 VS = ±1.5Ω VS = ±2.5Ω VS = ±5Ω ソース (V+) –3 (V–) +2 シンク (V–) +1 –2.200 VS = ±1.5Ω VS = ±2.5Ω VS = ±5Ω VS = ±15Ω –2.000 –15 V– –10 0 –5 5 コモンモード入力 – V 10 0 15 図4.IBIASとCMVの関係、VS=±15 V REV.0 5 10 15 出力電流 – µA 20 図7.出力電圧振幅と出力電流の関係 −5− 25 AD627 120 110 100 500mV 1s G = 1000 90 G = 100 PSRR – dB 100 90 80 70 G=5 60 50 40 10 0% 30 20 10 図8.0.1 Hz∼10 Hzの電流ノイズ(0.71 pA/DIV) 100 1k 周波数 – Hz 10k 100k 図11.正のPSRRと周波数の関係、±5 V 100 90 80 20mV 1s 70 G = 1000 PSRR – dB 100 90 60 50 G = 100 40 30 G=5 10 20 0% 10 0 10 図9.0.1 Hz∼10 HzのRTI電圧ノイズ(400 nV/DIV) 、G=5 100 1k 周波数 – Hz 10k 100k 図12.負のPSRRと周波数の関係、±5 V 120 110 100 G = 1000 2V 1s 90 PSRR – dB 100 90 80 G = 100 70 G=5 60 50 10 40 0% 30 20 10 図10.0.1 Hz∼10 HzのRTI電圧ノイズ(200 nV/DIV) 、G=1000 100 1k 周波数 – Hz 10k 100k 図13.正のPSRRと周波数の関係(VS=+5 V、0 V) −6− REV.0 AD627 10 400 整定時間 – µs 整定時間 – ms 300 1 200 100 0 0.1 5 10 100 ゲイン – V/V 0 1K 図14. 0.01%までの整定時間とゲインの関係、出力5 Vステップ、 RL=20 kΩ、CL=100 pF、VS=±5 V ±4 ±6 出力パルス – V ±8 ±10 図17. 0.01%までの整定時間と出力振幅の関係、G=5、 RL=20 kΩ、CL=100 pF 図15. 大信号パルス応答と整定時間、G=−5、RL=20 kΩ、 図18. 大信号パルス応答と整定時間、G=−100、RL=20 kΩ、 CL=100 pF(1.5 mV=0.01%) CL=100 pF(100μV=0.01%) 図16. 大信号パルス応答と整定時間、G=−10、RL=20 kΩ、 図19. 大信号パルス応答と整定時間、G=−1000、RL=20 kΩ、 CL=100 pF(1.0 mV=0.01%) REV.0 ±2 CL=100 pF(10μV=0.01%) −7− AD627 120 110 100 90 G = 1000 CMRR – dB 80 70 G = 100 60 50 G=5 40 30 20 10 0 1 10 100 1k 周波数 – Hz 10k 100k 図20.CMRRと周波数の関係、±5 VS、 (CMV=200 mV p-p) 図23.小信号パルス応答、G=+10、RL=20 kΩ 、CL=50 pF 70 60 G = 1000 50 G = 100 ゲイン – dB 40 30 G = 10 20 10 G=5 0 –10 –20 –30 100 1k 10k 100k 周波数 – Hz 図21.ゲインと周波数の関係(VS=+5 V、0 V) 、VREF=2.5 V 図24.小信号パルス応答、G=+100、RL=20 kΩ 、CL=50 pF 図22.小信号パルス応答、G=+5、RL=20 kΩ 、CL=50 pF 図25.小信号パルス応答、G=+1000、RL=20 kΩ 、CL=50 pF −8− REV.0 AD627 図26.ゲイン非直線性、VS=±2.5 V、G=5(4 ppm/DIV) 図29.ゲイン非直線性、VS=±15 V、G=100(7 ppm/DIV) 図27.ゲイン非直線性、VS=±2.5 V、G=100(8 ppm/DIV) 図30.ゲイン非直線性、VS=±15 V、G=+5(7 ppm/DIV) 図28.ゲイン非直線性、VS=±15 V、G=5(1.5 ppm/DIV) 図31.ゲイン非直線性、VS=±15 V、G=+100(7 ppm/DIV) REV.0 −9− AD627 動作原理 R1∼R4にレーザー・トリムを行い、ゲイン式の絶対値にできるだ AD627は、 二重の帰還ループを使用して構成された真の"計装機器 け近い値に調整しています。この方法により、すべての実用的なゲ アンプ"です。その一般的な特性は従来型の"2オペアンプ構成"の計 インで小さいゲイン誤差と高いコモン・モード除去比を保証してい 装機器アンプ特性と同じと見なすことができますが、 内部的な細部 ます。 にはある程度違いがあります。AD627は修正"電流帰還"方式を採用 しており、この方式はステージ間フィード・ホワード周波数補償と AD627の使用方法 組み合わせて、 DCより高い周波数 (特に電源周波数50 Hz∼60 Hz) で 基本接続 のCMRR(同相除去比)を低消費電力計装機器アンプに比べて改善 しています。 図33に、AD627の基本接続回路を示します。+VS端子と−VS端子 は電源に接続します。電源は、両極性電源(VS=±1.1 V∼±18 V)ま 図32に示すように、 A1はV1とR5の組み合わせにより帰還ループを たは単電源(−VS=0 V、+VS=+2.2 V∼+36 V)を使用することが 構成し、この帰還ループによりQ1のコレクタ電流を一定にします。 できます。電源はデバイス電源ピンの近くでキャパシタによりデ ゲイン設定抵抗(RG)が存在しない場合について考えます。抵抗R2 カップリングします。表面実装の0.1μFセラミック・チップ・キャ とR1はループを構成して、ゲイン1.25(にほぼ等しい)により、A1の パシタの使用が望まれます。 出力を反転端子の電圧に等しくします。A2により構成されるほぼ 入力電圧としてはシングル・エンド(−INまたは+INをグランド 同様の帰還ループは、Q2の電流値をQ1の電流値に実質的に等しく に接続)または差動が可能です。反転ピンと非反転ピンの電圧差が します。A2は出力電圧も与えます。両ループがバランスすると、非 設定されたゲインで増幅されます。ゲイン設定はゲイン抵抗(下 反転端子からVOUTまでのゲインは5になります。一方、A1の出力か 図)により設定します。出力信号は、出力ピンと外部からREFピン らVOUTまでのゲインは−4になります。A1の反転端子ゲイン(1.25) に与えられた電圧の差として出力されます(下図参照)。 とA2のゲイン(−4)の積は、反転端子と非反転端子からのゲインを ゲインの設定 等しくします。 AD627のゲインは抵抗RGにより、 すなわち正確にいえば、ピン1と 外付けゲイン抵抗 R1 100kΩ ピン8の間のインピーダンスにより設定されます。ゲインは次式に R4 100kΩ RG 従って設定されます。 REF R2 25kΩ +VS R3 25kΩ ゲイン=5+(200 kΩ/RG) +VS または 2kΩ 2kΩ –VS +IN Q2 Q1 –IN – RG=200 kΩ/(ゲイン−5) すなわち、可能な最小ゲインは5です(RG=∞のとき)。ゲインと –VS A1 – A2 + + R5 200kΩ + V1 – グレードに応じて、内部ゲイン精度は0.05%∼0.7%であり、全体ゲ OUTPUT イン誤差の低下を防止するためには0.1%の外付けゲイン抵抗で十 R6 200kΩ 分ですが、広い抵抗値範囲で0.1%を得ることはできず、非常に高価 –VS です。表Iに、1%の抵抗を使用する推奨ゲイン抵抗値を示します。 図32.簡単化した回路図 すべてのゲインに対して、 ゲイン抵抗値は標準抵抗表から採り得る 近い値をえらんであり、かつ理想値より大きい方を選んでありま 差動モード・ゲインは1+R4/R3に等しく(公称値5)、出荷時に す。この結果、常に所望ゲインより少し小さいゲインが得られま 0.01%の最終精度に調整されます。外付けのゲイン設定抵抗(RG)を す。これにより、抵抗偏差に起因して出力で信号がクリップされて 追加すると、ゲインを(R4+R1)/RGだけ増やすことができます。 しまうのを防止します。 ゲイン>5に対して、 AD627の内部抵抗は負の温度係数−75 ppm/ AD627の出力電圧は次式で与えられます。 VOUT=[VIN(+)−VIN(−)]×(5+200 kΩ/RG)+VREF ℃(max)を持ちます。−75 ppm/℃以下の負の温度係数を持つゲイ ン抵抗を使うと、全体回路のゲイン・ドリフトが減少する傾向を持 たせることができます。 +VS +VS +2.2V∼+36V +1.1V∼+18V 0.1 µF 0.1µF +IN +IN RG VIN RG RG RG VIN VOUT OUTPUT REF RG RG –IN OUTPUT REF –IN REF (INPUT) VOUT REF (INPUT) 0.1µF –1.1V∼–18V –VS ゲイン = 5 + (200kΩ/ RG ) 図33.単電源と二電源の場合の基本接続 − 10 − REV.0 AD627 V+ 外付けゲイン抵抗 +IN VDIFF 2 100kΩ 25kΩ RG 100kΩ 25kΩ REF VCM +VS +VS VDIFF 2 2kΩ –IN 2kΩ –IN Q2 Q1 +IN V– –VS –VS A1 A2 200kΩ VA OUTPUT 200kΩ –VS 図34.コモンモード成分を持つ差動信号の増幅 表I.ゲイン抵抗の推奨値 るためには、REFピンを低インピーダンス・ポイントに接続する必 ゲイン 1%標準表RGの値Ω 実際のゲイン 5 ∞ 5 6 200 k 6 7 100 k 7 8 68.1 k 7.93 9 51.1 k 8.91 10 40.2 k 9.98 15 20 k 15 20 13.7 k 19.6 25 10 k 25 30 8.06 k 29.81 40 5.76 k 39.72 50 4.53 k 49.15 60 3.65 k 59.79 70 3.09 k 69.73 80 2.67 k 79.9 90 2.37 k 89.39 100 2.1 k 99.24 200 1.05 k 195.48 500 412 489.44 1000 205 980.61 要があります。 単電源アプリケーションにおける入力範囲の制約 一般に、 達成可能な最大ゲインは使用可能な出力信号範囲により 制限されます。ただし、入力コモンモード電圧がゼロに近いか等し い単電源アプリケーションでは、 ゲインに対する制限を設定できま す。入力ピン、出力ピン、基準電圧ピンは仕様のページで公称範囲 が定められていますが、これらのピンの電圧範囲の間に総合イン ピーダンスが存在します。図34に、コモンモード成分VCMを持つ差 動電圧VDIFFにより駆動されているAD627の簡単化した回路図を示し ます。オペアンプA1の出力電圧は、VDIFF、VCM、REFピンの電圧、設 定されたゲインの関数になります。この電圧は次式で与えられま す。 VA1=1.25(VCM+0.5 V)−0.25 VREF−VDIFF(25 kΩ/RG−0.625) A1の電圧を−INピンと+INピン(V−とV+)の実際の電圧の関数 として表すこともできます。 VA1=1.25(V−+0.5 V)−0.25 VREF−(V+−V−)25 kΩ/RG A1の出力は、 負側レールの内側50 mVと正側レールの内側200 mV の振幅を持つことができます。上のいずれかの式から、VREFを増や すと(VREFはAD627の出力で正のオフセットとして機能しますが) 、 A1の電圧が減少する傾向を持つことが明らかになります。 図35と図 36に、単電源動作と二電源動作に対してゲインを5にした場合の、 REFピンに入力可能な最大電圧を示します。入力コモンモード電圧 を増加させると、A1出力電圧が増加しますが、コモンモード電圧が 基準電圧端子 基準端子電圧はゼロ出力電圧を定め、 負荷がシステムの他の部分 低い単電源アプリケーションでは、差動入力電圧または高過ぎる と正確なグランドを共用しない場合に便利であり、 出力に正確なオ REF電圧がA1出力をグランド・レールに駆動することがあります。 フセットを入力する手段を提供します。 バイポーラ信号を増幅する 両入力を上に約0.5 V(すなわちQ1とQ2のVBE分)シフトさせること 際に、 基準端子は仮想グランド電圧を提供することにも使用するこ により、下側の余裕をある程度増やすことができます。上式を使っ とができます。 て、 アンプA1の電圧が動作範囲内にあることを確認することができ AD627の出力電圧は基準端子の電圧を基準としているため、REF ます。 ピンを適切な"ローカル・グランド"に接続することにより、多くの 表IIに、 種々の単電源入力条件に対する最大ゲインの値を示しま グランド問題を解決することができます。ただし、最適なCMRを得 す。得られる出力振幅は0 Vを基準として示してあります。REFピ 表II.低コモンモード単電源アプリケーションに対する最大ゲイン VIN REFピン 電源電圧 RG (1%偏差) 最大ゲイン 出力振幅WRT 0 V ±100 mV、 VCM=0 V 2V +5 V ∼ +15 V 28.7 kΩ 12.0 0.8 V ∼ 3.2 V ±50 mV、 VCM=0 V 2V +5 V ∼ +15 V 10.7 kΩ 23.7 0.8 V ∼ 3.2 V ±10 mV、 VCM=0 V 2V +5 V ∼ +15 V 1.74 kΩ 119.9 0.8 V ∼ 3.2 V V−=0 V、 V+=0 V ∼ 1 V 1V +10 V ∼ +15V 78.7 kΩ 7.5 1 V ∼ 8.5 V V−=0 V、 V+=0 mV ∼ 100 mV 1V +5 V ∼ +15 V 7.87 kΩ 31 1 V ∼ 4.1 V V−=0 V、 V+=0 mV ∼ 10 mV 1V +5 V ∼ +15 V 7.87Ω 259.1 1 V ∼ 3.6 V REV.0 − 11 − AD627 ン電圧は2Vまたは1Vに設定して使用可能なゲインと出力振幅を最 入力と出力のオフセット誤差 大にするようにしてあります。大部分のケースでは、単電源を5 V AD627の小さい誤差は、 入力誤差と出力誤差の2つに起因します。 以上に上げる利点はありません(ただし、入力範囲0 V∼1 Vの場合 出力誤差は入力に換算する場合、Gで除算します。実際、入力誤差 は除きます)。 が高いゲインで支配的になり、 出力誤差は低いゲインで支配的にな ります。 与えられたゲインに対する合計オフセット誤差は次式で計 5 算されます。 4 合計誤差RTI=入力誤差+(出力誤差/ゲイン) 3 合計誤差RTO=(入力誤差×G)+出力誤差 VREF – V 2 種々のゲインに対するRTIオフセット誤差とノイズ電圧を表IIIに 最大V REF 示します。 1 0 表III.RTI誤差の原因 –1 最小V REF –2 最大合計RTI 最大合計誤差RTI 合計RTIノイズ –3 オフセット誤差 オフセット・ドリフト –4 mV mV/8C –5 –6 mV/8C nV/√Hz ゲイン AD627A AD627B AD627A AD627B AD627A & AD627B –5 –4 –3 –2 0 –1 VIN(–) – V 1 2 3 4 図35.基準電圧入力と負入力電圧の関係、VS=±5 V、G=5 5 最大V REF 4 5 450 250 5 3 95 10 350 200 4 2 66 20 300 175 3.5 1.5 56 50 270 160 3.2 1.2 53 100 270 155 3.1 1.1 52 500 252 151 3 1 52 1000 251 151 3 1 52 自作と購入の対比:アプリケーション誤差(typ値)の見積 3 VREF – V mV 図38に示す例は、 アンプを集積回路とディスクリート部品で構成 した場合の誤差を比較する例です。 抵抗ブリッジから出力される± 2 100 mVの信号(コモンモード電圧=+2.5 V)を増幅する例です。こ の例では、ディスクリート部品による2オペアンプ構成の計装アン 最小V REF 1 プとAD627の誤差を比較しています。ディスクリート構成では4本 の抵抗高精度ネットワーク(1%の一致誤差、50 ppm/℃トラッキン 0 –0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 VIN(–) – V 3 3.5 4 グ)を使っています。 4.5 各構成の誤差を表IVに示します。周囲と全温度で集積回路の計装 アンプは高精度であることが示されています。 ディスクリート構成の 図36.基準電圧入力と負入力電圧の関係、VS=+5 V、G=5 方が高価であることに注意して下さい。これは、基本的には低ドリフ トの高精度抵抗ネットワークが比較的高価であることが原因です。 出力バッファ AD627は20 kΩ以上の負荷を駆動するようにデザインされていま ディスクリート計装アンプ構成の入力オフセット電流は2つのオ すが、低い出力電圧振幅でこれより重い負荷を最大20 mAまで駆動 ペアンプのバイアス電流の差であり、 個々のオペアンプのオフセッ することができます(図7参照) 。20 mA以上の出力電流を出力で必 ト電流でないことに注意して下さい。また、抵抗ネットワークの値 要とする場合は、図37に示すようにAD627の出力をOP113のような は、 各オペアンプの反転入力と非反転入力が同じ信号源インピーダ 高精度オペアンプでバッファする必要があります (単電源動作の場 ンス(約350Ω)を持つように設定しますが、各オペアンプのオフ 合を表示)。このオペアンプは、600Ωと低い負荷を出力振幅0 V∼4 セット電流は、 キャラクタライズが必要な誤差をさらに追加します。 Vまで駆動することができます。 AC CMRRに起因する誤差 +VS 表IVで、コモンモード除去比に起因する誤差は、ブリッジ2.5 Vか 0.1µF VIN RG らのコモンモード電圧から起因する誤差です。 公称コモンモード除 0.1 µF + REF – 去比に起因するAC誤差は、 ACコモンモード電圧 (一般に50 Hz/60 Hz + AD627 0.1 µF OP113 – VOUT 電源周波数の干渉)の大きさを知らなければ計算できません。 4本のゲイン設定抵抗間の0.1%の不一致は、 2オペアンプ構成の計 0.1 µF 装アンプの低周波数CMRRを決定します。図38のカーブは、周囲温 –VS –VS 図37.出力バッファ 度での抵抗不一致の実際的な結果を示しています。図39に示す回路 (ゲイン=11)のCMRRは、4本の抵抗を使用して測定しており、これ − 12 − REV.0 AD627 +5V +5V +5V 350Ω 350Ω 350Ω 350Ω + + RG 40.2kΩ ±100mV 1% +10ppm/℃ AD627A 1/2 LT1078IS8 + – VOUT – 1/2 VOUT – LT1078IS8 + – 2.5V 3.15kΩ * 350Ω * 350Ω * 3.15kΩ * 2.5Ω AD627Aのゲイン = 9.98 (5+(200kΩ /RG)) "自作の"計装アンプ、G = 10 *1%抵抗精度、50ppm/℃トラッキング 図38.自作と購入の比較 表IV.自作と購入における誤差の表 誤差原因 AD627の回路計算 "自作"の回路計算 AD627の 自作の 合計誤差―ppm 合計誤差―ppm TA=+25℃での絶対精度 合計RTIオフセット電圧、mV 入力オフセット電流、nA (250μV+(1000μV/10)/100mV (180μV×2)/100 mV 1 nA×350Ω/100 mV 3500 20 nA×350Ω/100 mV 内部オフセット電流(自作の場合) 該当なし 3.5 0.7 nA×350Ω/100 mV CMRR、dB 77dB→141 ppm×2.5 V/100mV ゲイン 0.35%+0.1% 3600 70 2.45 (1%精度×2.5 V) /10/100 mV 3531 25000 1%精度 13500 10000 合計絶対誤差 20535 38672 50 ppm/℃×60℃ 3900 3000 +85℃までのドリフト ゲイン・ドリフト、ppm/℃ (−75+10) ppm/℃×60℃ 合計RTIオフセット電圧、 mV/℃ (3.0μV/℃+(10μV/℃/10) ) (2×3.5μV/℃×60℃) /100 mV ×60℃/100 mV 入力オフセット電流、pA/℃ 2600 (16 pA/℃×350Ω×60℃)/100 mV (33 pA/℃×350Ω×60℃)/100 mV 3.5 合計ドリフト誤差 6504 7207 全合計誤差 27039 45879 らの抵抗は、 ほぼ0.1%の不一致を持っています (R1=9999.5Ω、 R2= 120 999.76Ω、R3=1000.2Ω、R4=9997.7Ω)。予想通り、DCでのCMRRは 110 約84 dB(計算値は85 dB)と測定されましたが、周波数が増加する 100 と、CMRRは急に劣化します。例えば、電源周波数の200 mVのピー 90 CMRR – dB ク・トゥ・ピーク高調波は180 Hzで約800μVの出力電圧になりま す。これを考慮すると、入力範囲0 V∼2.5 Vを持つ12ビットのデー タ収集システムは、LSBの重みが610μVになります。 対照的に、AD627では内部抵抗の高精度レーザー・トリムと当社 80 70 60 の特許であるCMRトリミングを組み合わせて使うことにより、 より 50 高いDC CMRRとCMRRが平坦な広い帯域幅を得ています(図20参 40 照) 。 30 20 +5V VIN– VIN+ + 1 A2 + 1/2 AD296 A1 VOUT – 100 1k 周波数 – Hz 10k 100k 周波数特性 入力バイアス電流のグランド・リターン –5V R1 9999.5Ω 10 図40.図39に示すディスクリート部品による計装アンプのCMRR – 1/2 AD296 4200 7 R2 999.76Ω R3 1000.2Ω R4 9997.7Ω 入力バイアス電流は、 アンプの入力トランジスタをバイアスする ために流すDC電流です。これらは一般にトランジスタのベース電 流です。 変成器やAC結合のソースのような"フローティング"の入力 図39.0.1%抵抗の不一致例 ソースを増幅する場合、 バイアス電流を流すために各入力に直接流 入するDCパスが必要です。図41に、変成器結合、容量によるAC結 REV.0 − 13 − AD627 環境から分離するため、 多くのデータ収集部品は別々のアナログと 合、 熱電対アプリケーションに対するバイアス電流パスの構成方法 デジタルのグランド・リターンを持つようにします(図42) 。A/Dコ を示します。 ンバータのようなミックス信号部品のすべてのグランド・ピンは、 DC結合の抵抗ブリッジ・アプリケーションでは、一般に、バイア ス電流はブリッジ電源からブリッジを経由してアンプに流入るた "高品質"アナログ・グランド・プレーンを使用して戻します。ミッ め、このパスの構成は不要です。 クス信号部品のデジタル・グランド・ラインもアナログ・グランド・ ただし、 2つの入力から見えるインピーダンスが大きく、 その差が プレーンを使って戻す必要があります。これにより、アナログ・グ 非常に大きい(>10 kΩ)場合は、入力ステージのオフセット電流 ランドとデジタル・グランドの分離ルールが乱されるように見えま は、アンプの入力オフセット電圧に匹敵するDC誤差を発生させま すが、一般に、コンバータのデジタル・グランドとアナログ・グラ ンドの間の電位差をできるだけ小さくする(通常<0.3 V)という条 す。 +VS 件も存在します。アナログ・グランド・プレーンを通過するコン 7 バータのデジタル・リターン電流によるノイズの増加は、一般に無 –INPUT 2 – 1 RG AD627 8 +INPUT 視できます。アナログとデジタルの間の最大のアイソレーション VOUT 6 は、グランド・プレーンを電源に戻して接続することにより達成さ 5 3 + 基準電圧 4 れます。 負荷 使用できる電源が1個だけの場合は、デジタル回路とアナログ回 –VS 電源グランドへ 路で共用する必要があります。図43に、デジタル回路とアナログ回 図41a.変成器結合入力に対するバイアス電流のグランド・ 路の間の干渉を小さくする方法を示します。前のケースと同様に、 リターン アナログ・グランド・プレーンとデジタル・グランド・プレーンの –INPUT +VS 分離を使います(デジタル・グランド・プレーンの代わりに太いパ 7 ターンを使うこともできます) 。これらのグランド・プレーンは、電 2 – 1 RG AD627 8 +INPUT 6 源のグランド・ピンに接続する必要があります。分離されたパター VOUT ン(または電源プレーン)は、電源からデジタル回路とアナログ回 5 3 + 基準電圧 4 路のピンへ配線されます。理想的には各デバイスが固有の電源パ 負荷 ターンを持つことですが、1つのパターンがデジタル回路とアナロ –VS 電源グランドへ グ回路の両方に電流を流すために使用されていない限り、 これを複 図41b.熱電対入力に対するバイアス電流のグランド・リターン 数のデバイス間で共用することができます。 +VS –INPUT 2 – 入力保護 簡単化した回路図(図32)に示すように、反転入力と非反転入力 7 1 AD627 RG +INPUT 100kΩ 8 3 + 100kΩ はESDダイオードにより正電源と負電源にクランプされます。これ VOUT 6 に加えて各入力回路の2 kΩの直列抵抗が、過電圧に対する電流制 5 4 基準電圧 限機能を与えます。これらのESDダイオードは、10 mAの最大連続 負荷 電流に耐えることができます。したがって、±20 Vの過電圧(入力 –VS 電源グランドへ 電圧が電源電圧を超えることができる大きさ) に耐えることができ 図41c.AC結合入力に対するバイアス電流のグランド・リターン ます。これは全ゲインに対して成立し、パワーオンとパワーオフに も適用されます。 信号源とアンプは別々の電源から駆動されている レイアウトおよびグランド ため、後者は特に重要です。 グランド・リターンのインピーダンスを小さくするため(した 過電圧が20 V以上になることが予想される場合は、 外付けの直列 がって、DC誤差を小さくするため)、グランド・プレーンの使用を 抵抗による電流制限抵抗を追加して、ダイオード電流を10 mA以下 お薦めします。低レベル・アナログ信号をノイズの大きいデジタル に抑える必要があります。 アナログ電源 +5V –5V デジタル電源 +5V GND GND 0.1 µF 0.1 µF 0.1 µF 0.1 µF 7 2 – 4 AD627 3 + 5 6 1 4 VIN1 VDD 3 VIN2 ADC 14 6 AGND DGND AD7892-2 12 AGND VDD マイクロプロセッサ 図42.別々のアナログ電源とデジタル電源を使用する両極電源環境に対して最適なグランディング方法 − 14 − REV.0 AD627 電源 GND +5V 0.1 µF 0.1µF 0.1 µF 7 2 1 VDD 4 AD627 6 4 VIN ADC 5 3 AGND DGND 12 VDD DGND マイクロプロセッサ AD7892-2 図43.単電源環境における最適なグランド配線方法 RF干渉 を小さくすることにより、 この回路の3 dB信号帯域幅を広くするこ すべての計装機器アンプは高周波の帯域外信号を整流してしま とができます。性能は20 kΩ抵抗を使用した場合と同じですが、計 います。整流すると、これらの信号は出力にDCオフセット誤差と 装アンプの前の回路は低い値のインピーダンス負荷を駆動する必要 して出力されます。図44に示す回路は、計装アンプの通過帯域内の があります。 図44に示す回路は、両面にグランド・プレーンを持つPCボードを 性能を損なうことなく、RFIを抑圧する方法を提供します。抵抗R1 とキャパシタC1 (同様に、R2とC2)は、−3 dB BWがF=1/ (2πR1C1) 使って構成する必要があります。 すべての部品端子はできるだけ短 であるローパスRCフィルタを構成します。図示の部品定数を使う くします。抵抗R1と抵抗R2は共に1%のメタル・フィルム部品の使 と、このフィルタは約8 kHzの−3 dB帯域幅を持ちます。抵抗R1と 用が可能ですが、 キャパシタC1とキャパシタC2には±5%偏差のデ 抵抗R2はキャパシタからの回路入力を分離するために十分大きな値 バイスを使用して、 回路のコモンモード除去比の低下を防ぐ必要が としますが、一方、回路のノイズを大きくし過ぎないためにはあま あります。従来型の5%シルバ・マイカ部品またはPanasonic ±2% り大きくすることはできません。 アンプの通過帯域内のコモンモー PPSフィルム・キャパシタの使用をお薦めします。 ド除去比を維持するために、 キャパシタC1とキャパシタC2は5%の マイカ部品とする必要があります。 あるいは低価格20%部品をテス アプリケーション回路 トし、良く一致するデバイスを選別する必要があります。 従来型ブリッジ回路 図45に、 従来型抵抗ブリッジの出力信号を増幅するように設定し +VS +IN R1 20kΩ 1% たAD627を示します。この回路は二電源モードまたは単電源モード 0.01 µF 0.33 µF C1 1000pF 5% で動作します。一般に、ブリッジは計装アンプに使用される同じ電 源電圧から駆動されます。ブリッジの下側を計装アンプの負電源 (通常、0、−5 V、−12 Vまたは−15 V)に接続し、入力コモンモード R2 20kΩ 1% C3 0.022 µF RG AD627 VOUT 電圧を電源電圧の中点に位置するように設定することができます。 基準電圧 –IN C2 1000pF 5% C1∼C3は入力ピンのできるだけ 近くに配置します。 特に、入力信号がバイポーラの場合は、REFピンを電源電圧の中点 に設定することも適切な方法です。ただし、REFピンの電圧はアプ 0.01 µF 0.33 µF リケーションに合わせて変更することができます。このREFピンを –VS 入力範囲(VREF±VIN)を持つA/Dコンバータ(ADC)のVREFピンに接 続するのは、この良い例です。AD627の出力振幅が(−VS+100 mV) 図44.RF干渉を減衰させる回路 ∼(+VS−150 mV)の場合は、設定可能な最大ゲインは、この出力範 囲を単純に入力範囲で除算することにより得られます。 キャパシタC3は、 低い周波数でのコモンモード除去比を確保する +VS ために必要です。R1/R2とC1/C2はブリッジ回路を構成し、その出 0.1 µF 力信号は計装アンプの入力ピンに出力されます。C1とC2の間の不 一致はブリッジの平衡を損ない、 コモンモード除去比を小さくしま す。 C3はすべてのRF信号を確実にコモンモード (計装アンプの両入 VDIFF RG = 200kΩ GAIN-5 力で同じ値にする)にして、差動成分を入力しないようにします。 + AD627 0.1 µF この2つ目のローパス・ネットワークR1+R2とC3は、1/(2π(R1+ R2) (C3) )の−3 dB周波数を持ちます。C3の値として図示の0.022μ Fを使用すると、この回路の−3 dB信号BWは約200 Hzになります。 この周波数に対するDCオフセット・シフト(typ値)は1 mV以下で、 回路のRF信号除去比は57 dB以上になります。抵抗R1と抵抗R2の値 REV.0 − 15 − VOUT – –VS 図45.従来型のブリッジ回路 VREF AD627 +5V +5V +5V 0.1µF 0.1µF 0.1µ F DVDD AVDD D8102-2.7-6/99,1A VREF + 4–20mA TRANSDUCER LINE IMPEDANCE 4–20mA 24.9Ω G=5 ADmC812 MicroConverterTM AIN 0–7 AD627 – REF AGND DGND MicroConverterは、Analog Devices, Incの商標です。 図46.4 mA/20 mAレシーバ回路 4 mA∼20mA単電源レシーバ −200℃∼+200℃の温度範囲で、J型熱電対は−7.890 mV ∼10.777 図46に、 4 mA/20 mAトランスデューサからの信号を、 組み込み型 mVの範囲の電圧を出力します。AD627のゲインを100(RG=2.1 kΩ) マイクロコントローラを持つ12ビットADCであるADμC812にイン に設定し、AD627 REFピンの電圧を2 Vに設定すると、AD627の出力 ターフェースする方法を示します。4 mA∼20 mAトランスデューサ 電圧はグランドを基準として1.110 V∼3.077 Vの範囲になります。 入 からの信号はシングル・エンドです。一見すると、コンバータの高 力範囲またはREFピンの電圧が異なる場合は、内部ノードA1の電圧 インピーダンス・アナログ入力で電流/電圧変換するための簡単な (図34参照)がグランドより下に駆動されないことを確認すること シャント抵抗が必要であるように見えますが、リターン・パス(ト が重要です。このチェックは、単電源アプリケーションにおける入 ランスデューサまでの) 内の線路抵抗が電流に依存するオフセット 力範囲の制約の節で示した式を使って行うことができます。 誤差を発生させます。したがって、電流は差動で検出する必要があ +5V ります。 0.1µF この例では、 24.9Ωのシャント抵抗が100 mV (4 mA入力) ∼500 mV + (20 mA入力)の最大差動入力電圧をAD627に対して発生します。ゲ イン抵抗が存在しない場合、AD627は500 mV入力電圧を5倍の2.5 V RG 2.1kΩ J型熱電対 に増幅し、これはADCのフル・スケール入力電圧に該当します。4 AD627 2V mA側のゼロ電流はコード819に対応し、 LSBは4.9 mAに対応します。 熱電対アンプ VOUT REF – 図47.小さいコモンモード電圧を持つバイポーラ信号の増幅 AD627のコモンモード入力範囲がグランドの下側0.1 Vまで延びて いるため、 コモンモード成分が小さいかまたは存在しない小さな差 動信号を計測することができます。図47に、J型熱電対の一方がグラ ンドに接続された熱電対アプリケーションを示します。 外形寸法 サイズはインチと(mm)で示します。 8ピン・プラスチックDIP(N-8) 8ピンSOIC(R-8) 8 ピン1 0.210 (5.33) MAX 5 0.280 (7.11) 0.240 (6.10) 1 4 0.060 (1.52) 0.015 (0.38) 実装面 0.325 (8.25) 0.300 (7.62) 8 5 1 4 ピン1 0.195 (4.95) 0.115 (2.93) 0.1574 (4.00) 0.1497 (3.80) 0.102 (2.59) 0.094 (2.39) 0.0098 (0.25) 0.0040 (0.10) 0.015 (0.381) 0.008 (0.204) 実装面 0.0500 0.0192 (0.49) (1.27) 0.0138 (0.35) 0.0098 (0.25) BSC 0.0075 (0.19) 0.0196 (0.50) × 458 0.0099 (0.25) 8˚ 0˚ 0.0500 (1.27) 0.0160 (0.41) うにやさ ゅ い し ちき 0.160 (4.06) 0.115 (2.93) 0.022 (0.558) 0.100 0.070 (1.77) 0.014 (0.356) (2.54) 0.045 (1.15) BSC 0.130 (3.30) MIN 0.2440 (6.20) 0.2284 (5.80) み る 「この取扱説明書はエコマーク認定の再生紙を使用しています。」 ど りをまも − 16 − REV.0 PRINTED IN JAPAN 0.1968 (5.00) 0.1890 (4.80) 0.430 (10.92) 0.348 (8.84)