低価格、デュアル/トリプル ビデオ・アンプ AD8072/AD8073 特長 機能ブロック図 非常に低価格 優れたビデオ特性(RL=150Ω) 10 MHzまで0.1 dBのゲイン平坦性 0.05%の微分ゲイン誤差 0.1°の微分位相誤差 低消費電力 3.5 mA/アンプの電源電流 +5 V∼+12 V単電源で動作 高速 100 MHz、−3 dBの帯域幅(G=+2) 500 V/μsのスルーレート 0.1%まで25 nsの高速セトリング時間 容易に使用 30 mAの出力電流 +5 V単電源で電源の1.3 Vまでの出力振幅 アプリケーション ビデオ・ライン・ドライバ パソコンのビデオ用拡張ボード システムのRGBまたはS−ビデオ用のアンプ 概要 AD8072(デュアル)とAD8073(トリプル)は、低価格が要求され ケージで供給されています。またAD8073は、14ピンのプラスチッ る高ボリュームのアプリケーションに使われることを念頭に置い クDIPとSOICパッケージで供給されています。両製品共に、0℃∼ た、低価格の電流帰還型アンプです。この製品は、低価格にも関わ +70℃の民生温度範囲で動作します。 らず150Ωのビデオ負荷に対して優れた性能を示します。しかも、 電源電流はアンプ毎にわずか3.5 mAです。さらにAD8073は、14ピ ンの幅狭SOICパッケージに3個のアンプを内蔵しています。これ は、小さなサイズが重要なアプリケーションに最適です。各アンプ の入出力は柔軟性が高く、ゲインを設けることも簡単です。 このデバイスは、各アンプ毎に30 mAの電流を出力できます。ま た一端を終端したビデオ負荷(150Ω)をドライブするのに最適で す。さらにこの電流帰還型アンプは、10 MHzまでの0.1 dBゲイン平 坦性を備えています。微分ゲインと微分位相はそれぞれ0.05%と 0.1°です。これにより、AD8072とAD8073はビジネス機器や民生用 ビデオ機器に最適な製品と言えます。 両製品共に、+5 V∼+12 V単電源で動作します。また、各アンプ は+5 V単電源でビデオ信号を扱うために、正/負電源から1.3 Vの 範囲まで出力できます。 100 MHzの広帯域幅、500 V/μsのスルーレートおよび0.1%まで 25 nsのセトリング時間等により、AD8072とAD8073は+5 V単電源 図1. 大信号周波数応答 または最高±6 Vの両電源を使う高速のアプリケーションで汎用的 に利用できます。AD8072は、8ピンのプラスチックDIPとSOICパッ アナログ・デバイセズ社が提供する情報は正確で信頼できるものを期していますが、 当社はその情報の利用、また利用したことにより引き起こされる第3者の特許または権 利の侵害に関して一切の責任を負いません。さらにアナログ・デバイセズ社の特許また は特許の権利の使用を許諾するものでもありません。 REV.0 アナログ・デバイセズ株式会社 本 社/東京都港区海岸1 - 1 6 - 1 電話03(5402)8200 〒105−6891 ニューピア竹芝サウスタワービル 大阪営業所/大阪市淀川区宮原3 - 5 - 3 6 電話06(6350)6868㈹ 〒532−0003 新大阪第2森ビル AD8072/AD8073―仕様 電気的特性(特に指定のない限り@TA=+25℃、VS=±5 V、RL=150Ω) AD8072J/AD8073J パラメータ 条件 ダイナミック性能 RF=1 KΩ Min Typ Max 単位 −3 dB帯域幅、小信号 ピーキング無し、 G=+2 80 100 0.1 dB帯域幅、小信号 ピーキング無し、 G=+2 8 10 MHz MHz スルーレート VO=4 Vステップ 500 V/μS 0.1%までのセトリング時間 VO=2 Vステップ 25 ns 歪み/ノイズ性能 RF=1 KΩ 微分ゲイン f=3.58 MHz、G=+2 0.05 0.15 % 微分位相 f=3.58 MHz、G=+2 0.1 0.3 度 クロストーク f=5 MHz 60 dB 入力電圧ノイズ f=10 kHz 3 nV/√Hz 入力電流ノイズ f=10 kHz(±IIN) 6 pA/√Hz DC性能 トランスインピーダンス 0.3 入力オフセット電圧 2 TMIN ∼ TMAX MΩ 6 8 オフセット・ドリフト 11 mV mV μV/℃ 入力バイアス電流(±) 4 入力バイアス電流ドリフト(±) 12 12 nA/℃ μA −入力抵抗 120 Ω +入力抵抗 1 MΩ 入力容量 1.6 pF 56 dB ±3.8 V V 入力特性 同相除去比 VCM=−3.8 V ∼ +3.8 V 入力同相電圧範囲 出力特性 +出力電圧振幅 3 3.3 −出力電圧振幅 2.25 3 V 30 mA 80 mA 出力電流 RL=10Ω 短絡回路電流 電源 動作範囲 電源除去比 VS=±4 V ∼ ±6 V アンプ毎の静止電流 動作温度範囲 ±2.5 ∼ ±6 V 70 dB 3.5 0 5 mA +70 ℃ 仕様は予告無しに変更する場合があります。 −2− REV.0 AD8072/AD8073 電気的特性(特に指定のない限り@TA=+25℃、VS=+5V、RL=2.5 Vに対して150Ω) AD8072J/AD8073J パラメータ 条件 Min Typ Max 単位 ダイナミック性能 RF=1 KΩ −3 dB帯域幅、小信号 ピーキング無し、G=+2 78 100 MHz 0.1 dB帯域幅、小信号 ピーキング無し、 G=+2 7.8 10 MHz スルーレート VO=2 Vステップ 350 V/μS 0.1%までのセトリング時間 VO=2 Vステップ 25 ns 歪み/ノイズ性能 RF=1 KΩ % 微分ゲイン f=3.58 MHz、G=+2、 1.5 Vに対するRL 0.1 微分位相 f=3.58 MHz、G=+2、 1.5 Vに対するRL 0.1 度 クロストーク f=5 MHz 60 dB 入力電圧ノイズ f=10 kHz 3 nV/√Hz 入力電流ノイズ f=10 kHz(±IIN) 6 pA/√Hz DC性能 トランスインピーダンス 0.25 入力オフセット電圧 1.5 TMIN ∼ TMAX MΩ 4 6 オフセット・ドリフト 9 mV mV μV/℃ 入力バイアス電流(±) 3 入力バイアス電流ドリフト(±) 10 10 nA/℃ μA −入力抵抗 120 Ω +入力抵抗 1 MΩ 入力容量 1.6 pF 54 dB +1.2 ∼ +3.8 V +1.5 ∼ +3.5 +1.3 ∼ +3.7 V 入力特性 同相除去比 VCM=+1.2 V ∼ +3.8 V 入力同相電圧範囲 出力特性 出力電圧振幅 出力電流 RL=10Ω 短絡回路電流 20 mA 60 mA ±2.5 ∼ ±6 V 電源 動作範囲 電源除去比 VS=+4 V ∼ +6 V 64 アンプ毎の静止電流 3 動作温度範囲 0 仕様は予告無しに変更する場合があります。 REV.0 −3− dB 4.5 mA +70 ℃ AD8072/AD8073 絶対最大定格1 最大消費電力 電源電圧 ……………………………………………………… 12.6 V AD8072およびAD8073が安全に消費できる最大消費電力は、 接合 内部消費電力2 温度の上昇に関連して制約を受けます。 プラスチックに実装されて AD8072 8ピン・プラスチック(N) ……………………… 1.3 W いるデバイスの最大安全接合温度は、約+150℃のプラスチックの AD8072 8ピンSO(SO-8)…………………………………… 0.9 W 溶解温度で決められます。この制限値を一時的に超えると、パッ AD8073 14ピン・プラスチック(N)……………………… 1.6 W ケージからチップにかかるストレスが変化し、 仕様パラメータが変 AD8072 14ピンSO(R)……………………………………… 1.0 W 動してしまいます。また接合温度が長期間+175℃を超えた場合、 入力電圧(同相) ……………………………………………… デバイスを破壊してしまうことがあります。 ±VS AD8072とAD8073は内部で短絡回路保護を施していますが、 すべ 差動入力電圧(同相) ……………………………………… ±1.25 V 出力短絡回路期間 ての状況下で最大接合温度 (+150℃) を超えないという保証にはな ………………………………………………… 電力ディレーティング曲線を参照 りません。適切に動作させるために、図2と図3の最大消費電力ディ レーティング曲線を参照して下さい。 動作温度範囲 NおよびRパッケージ ……………………… −65℃ ∼ +125℃ リード温度(ハンダ付け、10秒) ………………………… +300℃ 注 1 “絶対最大定格”を超えるストレスは、デバイスを永久的に破壊する場合があります。この 定格はデバイスの単なるストレスの度合いであり、基本的な動作あるいは動作の項に示す 他の条件においてこの定格は考慮されていません。デバイスをある項目についての絶対最 大定格の状態に長時間さらすとデバイスの信頼性に影響を与えます。 2 空冷無しのデバイスの仕様は: 8ピン・プラスチック・パッケージ:θJA=90℃/W 8ピンSOICパッケージ:θJA=140℃/W 14ピン・プラスチック・パッケージ:θJA=75℃/W 14ピンSOICパッケージ:θJA=120℃/W オーダー・ガイド パッケージ パッケージ モデル名 温度範囲 AD8072JN 0℃ ∼ +70℃ 8ピン・プラスチックDIP N - 8 オプション AD8072JR 0℃ ∼ +70℃ 8ピンSOIC SO - 8 AD8072JR-REEL 0℃ ∼ +70℃ リール8ピンSOIC SO - 8 AD8073JN 0℃ ∼ +70℃ 14ピン・プラスチックDIP N - 14 AD8073JR 0℃ ∼ +70℃ 14ピン幅狭SOIC R - 14 AD8073JR-REEL 0℃ ∼ +70℃ リール14ピンSOIC R - 14 図2. AD8072の最大消費電力と温度 図3. AD8073の最大消費電力と温度 注意 ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。4000 Vもの高圧の静電気が人体やテスト装置に容易に帯電し、検知され ることなく放電されることもあります。このAD8072とAD8073には当社独自のESD保護回路を備えていますが、 高エネルギー の静電放電にさらされたデバイスには回復不能な損傷が残ることもあります。したがって、性能低下や機能喪失を避けるた めに、適切なESD予防措置をとるようお奨めします。 −4− WARNING! ESD SENSITIVE DEVICE REV.0 AD8072/AD8073 図4. 全温度範囲に対する周波数応答:VS=±5V 図7. 0.1 dB平坦性と全温度範囲に対する周波数:VS=±5V 図5. 全温度範囲に対する周波数応答:VS=±5V 図8. 微分ゲインと位相、VS=+5V 図6. 0.1 dB平坦性と全温度範囲に対する周波数応答:VS=+5V 図9. 微分ゲインと位相、VS=±5V REV.0 −5− AD8072/AD8073 図10. クロストークと周波数応答 図13. オープン・ループ・トランスインピーダンスと周波数応答 図11. 歪みと周波数応答、VS=±5V 図14. 正規化した周波数応答、VS=±5V 図12. 歪みと周波数応答、VS=+5V 図15. 大信号周波数応答 −6− REV.0 AD8072/AD8073 図16. 出力抵抗と周波数応答、VS=±5V 図18. ノイズと周波数応答、VS=±5V 図17. ノイズと周波数応答、VS=±5V 図19. PSRRと周波数応答 図20. CMRRと周波数応答、VS=±5V REV.0 −7− AD8072/AD8073 図21. テスト回路、ゲイン=+2 図22. 2 Vステップ、G=+2、VS=±5 V 図25. 2 Vステップ、G=+2、VS=±2.5 V 図23. 200 mVステップ、G=+2、VS=±5 V 図26. 200 mVステップ、G=+2、VS=±2.5 V 図24. サイン波応答、G=+2、VS=±5 V 図27. サイン波応答、G=+2、VS=±2.5 V 注:VS=±2.5 V動作は、VS=+5 V単電源動作と同一です。 −8− REV.0 AD8072/AD8073 アプリケーション情報 オーバードライブからの回復 容量負荷をドライブ オペアンプが容量負荷をドライブする場合、 オペアンプの出力イ 出力または入力がその範囲を超えた際に、 アンプのオーバードラ ンピーダンスとコンデンサが形成する極による大きな位相シフトに イブ状態が発生します。アンプは、このオーバードライブ状態から よって、ピーキングまたは発振が発生する可能性があります。図30 回復し、通常動作に復帰しなければなりません。図28に示すよう の上部(RS=0Ω)は、図31の回路に示す50 pFのコンデンサをドラ に、AD8072およびAD8073は、正のオーバードライブから75 nsで、 イブする際のAD8072/AD8073のアンプの出力です。 また負のオーバードライブから30 nsで回復します。 ピーキングの量は、コンデンサと直列に抵抗を配置することに よって、著しく減少します。また図30の下部は、同じコンデンサを、 25Ω抵抗を直列に配置してドライブしたものです。通常、この抵抗 値は実験を行った上で決定します。容量負荷が数100 pFの場合、10 Ωから50Ωの範囲の値となります。 図28. 過負荷よりの回復、VS=±5V、VIN=8 Vp-p、RF=1 kΩ、 RL=150Ω、G=+2 帯域幅とフィードバック抵抗の値の関係 電流帰還型アンプのクローズ・ループ周波数応答は、フィード バック抵抗と関係があります。 フィードバック抵抗の値を小さくす 図30. 低容量をドライブ ると、帯域幅が広くなります。しかしフィードバック抵抗の値が非 常に小さい場合、ゲイン平坦性に影響を与える可能性があります。 実験を行った結果、AD8072/AD8073の最低抵抗値は649Ωでした。 この抵抗値未満では、ゲイン平坦性に影響を与え、デバイスのロッ ト毎の性能の違いが顕著になります。図29は、フィードバック抵抗 とゲイン抵抗が共に649Ωで、ゲインが+2の時のAD8072/AD8073 の周波数応答です。 一方、電流帰還型アンプの帯域幅は、フィードバック抵抗の値を 増すと減少します。このことは、システムのノイズ帯域幅を低下し たい場合に有効です。実験の結果、フィードバック抵抗の最大値は 2 kΩでした。図29は、フィードバック抵抗とゲイン抵抗が共に2 k Ωで、ゲインが+2の時の周波数応答です。 図29. 周波数応答とRF REV.0 −9− 図31. 容量負荷ドライブ回路 AD8072/AD8073 クロストーク レイアウト上の考察 内部のアンプ間のクロストークは、ドライブするアンプ、および AD8072とAD8073の仕様に規定された高速性能を引き出すために 何個のアンプをドライブするかによって異なります。この違いは、 は、基板レイアウトと部品選択に十分留意しなければなりません。 パッケージのピン配置とIC内部のレイアウトに関係があります。 適切なRF回路設計技術と低寄生容量の部品を選択することが基本 表Iは、いろいろな状況下でのクロストークの結果(代表値)を示 です。 しています。 プリント回路基板は、 低インピーダンスのグラウンドを設けるた めに、 基板の部品面の未使用部分もすべてグラウンド面を設置して 下さい。また浮遊容量を減らすために、入力ピンの近くにはグラウ 表I. AD8073JRクロストーク表(dB) ンド面を設けないで下さい。 受信アンプ 電源バイパス処理にはチップ・コンデンサを使用して下さい。こ AD8073JR 1 2 3 1 × −60 −56 ドライブする 2 −60 × −60 列に大きな値 (4.7μF−10μF) のタンタル電解コンデンサを配置し アンプ 3 −54 −60 × て下さい。しかし電源ピンの近くに配置する必要はありません。高 全部 −53 −55 −54 のコンデンサの一端をグラウンド面に接続し、 残りの一端を電源ピ ンの1/8インチ(約3 mm)以内に配置して下さい。さらにこれと並 速に変化する信号に電流を供給するために、 デバイスの出力ピンの 近くに配置して下さい。 浮遊容量を抑えるために、 フィードバック抵抗は反転入力ピンの 条件 近くに配置して下さい。反転入力上の容量が1 pF程度変化しても、 VS=±5V 高速性能に影響を与えます。 信号ラインが長い場合(約1インチ以上)、ストリップ・ライン技 RF=1 kΩ、RL=150Ω AV=+2 術を使用して下さい。これは、50Ωまたは75Ωのインピーダンス特 VOUT=ドライブするアンプで2Vp-p 性を持たせ、適切に終端するものです。 − 10 − REV.0 AD8072/AD8073 外形寸法 サイズはインチと(mm)で示します。 REV.0 8ピン・プラスチックDIP 14ピン・プラスチックDIP (N-8) (N-14) 8ピン・プラスチックSOIC 14ピン−SOIC (SO-8) (R-14) − 11 − PRINTED IN JAPAN ちき い し うにやさ ゅ み る 「この取扱説明書はエコマーク認定の再生紙を使用しています。」 ど りをまも − 12 − REV.0