参考回路:日本語版

日本語参考資料
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回路ノート
CN-0368
接続又は参考にしたデバイス
テスト済み回路設計集“Circuits from the Lab™ ”は共
通の設計課題を対象とし、迅速で容易なシステム
統合のために製作されました。さらに詳しい情報
又は支援は www.analog.com/jp/CN0368 をご覧くだ
さい。
AD7866
12 ビット A/D コンバータ、1MSPS、
デュアル、2 チャンネル、シリアル・
インターフェース付、逐次比較型
ADA4571
AMR 角度センサー、信号処理回路内
蔵
磁気抵抗による角度および直線位置の測定
評価および設計サポート環境
回路の機能とその利点
回路評価ボード
図 1 に示すコンパクトな 2 チップ回路は、角度位置と直線位
置の両方の測定に最適な異方性磁気抵抗(AMR)による非接
触測定のソリューションを提供します。この 2 チップ・シス
テムは、使用する磁石のサイズに応じて、180°で 0.2°以下の
角度精度を、0.5 インチの範囲で 2 ミル(0.002 インチ)の直
線精度を実現できます。
CN-0368 回路評価ボード(EVAL-CN0368-SDPZ)
システム・デモンストレーション・プラットフォーム
(EVAL-SDP-CB1Z)
設計と統合ファイル
回路図、レイアウト・ファイル、部品表
この回路は、工作機械の速度制御、クレーンの角度制御、ブ
ラシレス DC モーターおよびその他の工業用アプリケーショ
ンや車載アプリケーションなど、角度と長さを高速、高精度
で非接触測定することが重要なアプリケーションに最適で
す。
GAIN CONTROL
5V
VDD
ADA4571
AVDD
VTEMP
TEMPERATURE SENSOR
3.3V
5V
RANGE
DVDD
REF SELECT
VA2
VDRIVE
22nF
GC
BRIDGE DRIVER
10kΩ
NC
AD7866
VB2
A0
EMI
FILTER
+
G = 40
VSIN
DRIVER
–
VA1
DOUTA
SDP
10nF
SCLK
BIAS
EMI
FILTER
OSCILLATOR
FAULT DETECTION
+
G = 40
DRIVER
CS
VCOS
–
DOUTB
VB1
NC
10nF
AGND
GND
DGND
DCAP A
470nF
DCAP B
470nF
VREF
100nF
13118-001
AMR BRIDGE
SENSORS
図 1. 磁気抵抗による角度および直線位置の検出システム(簡略回路図:全接続の一部およびデカップリングは省略されています)
アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に関して、あるいは利用に
よって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利
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Rev. 0
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本
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電話 06(6350)6868
CN-0368
回路ノート
回路説明
磁気抵抗(MR)の理論
ADA4571 は、シグナル・コンディショニング・アンプ、ADC
ドライバ、および温度補償用の温度センサーを内蔵した磁気
センサー(AMR)です。ADA4571 は周囲の磁界の角度位置
を示す 2 つのアナログ出力を生成します。
磁気抵抗は、外部磁界の影響を受けると物質の抵抗値が変化
する性質です。最も普及している MR センサーは AMR 技術
をベースにしています。
M
ADA4571 には AMR センサーと固定ゲイン(G = 公称 40)の
計装アンプが含まれています。ADA4571 は、回転磁界の角度
に関係するクリーンで増幅したコサインとサインの出力信号
を供給します。出力電圧範囲は電源電圧に比例します。
Ø
13118-002
センサーは、相対角度が 45°の 2 個のパーマロイ・ホイートス
トン・ブリッジを内蔵しています。x-y センサー平面内の回転
磁界により、センサーと磁界方向間の角度(α)の 2 倍の角周
波数の 2 つのサイン波出力信号が生じます。x-y 平面の均一磁
界内では、出力信号は z 方向(エア・ギャップ)の物理的な
位置の影響を受けません。
HX
図 2. 異方性磁気抵抗の例
AMR 効果の例を図 2 に示します。導体を流れる電流(I)は
外部磁界(HY)の影響を受けます。導体の抵抗値は磁化ベク
トル(M)と電流ベクトル(I)の角度(Ø)の関数として変
化します。磁化ベクトルは内部磁界(HX)と加えられた外部
磁界(HY)を合計したものです。
サイン出力とコサイン出力の出力電圧振幅は VDD の 7%~93%
です。2 つの診断域(VDD の 0%~7%と VDD の 93%~100%)
があることにより、全ての内部接続ボンディング・ワイヤの
断線を検出できます。
抵抗値が最大になるのは磁化ベクトル(M)が電流ベクトル
(I)と平行になったときです。抵抗値が最小になるのは磁化
ベクトル(M)が電流ベクトル(I)と垂直になったときで
す。
ADA4571 は 8 ピン SOIC パッケージを採用しています。
VSIN 出力と VCOS 出力の出力インピーダンスは 50Ω で、外
付けの 10nF コンデンサとともに 318kHz のノイズ・フィルタ
を形成します。
AMR 効果を有効に利用するには、導体自体が機械的応力の影
響を受けにくく、磁気拘束力の影響を受けやすい素材でなけ
ればなりません。これらの理由で、パーマロイ(ニッケル
80%、鉄 20%)合金が AMR センサーの製造に最も多く使わ
れています。
AD7866 はデュアル・チャンネルの同時サンプリング、12 ビ
ット、1MSPS SAR ADC です。RANGE ピンの極性により、ア
ナログ入力範囲と出力コーディングが決まります。チップ・
セレクトがローになるときにこのピンをロジック・ハイに接
続すると、次に変換されるアナログ入力範囲は 0V~2 × VREF
(0V~5V)になり、AMR センサーADA4571 からの 0.35V~
4.65V の信号に対して、ヘッドルームは約 350mV のままとな
ります。
パーマロイの特性
パーマロイ・ストリップには、角度測定システムの開発時に
設計上の課題となる特性が 2 つあります。
1 つ目は、パーマロイの直線動作領域が狭いことです(図 3
参照)。磁化ベクトル(M)と電流ベクトル(I)の角度
(Ø)が大きいときだけ、応答が直線になります。残念なが
ら、パーマロイは応答が直線になるとすぐに飽和してしまい
ます。
また、REFSEL ピンをローに接続すると、ADC は 2.5V の内部
リファレンス電圧を使用するように設定されます。この電圧
は VREF ピンから供給できますが、システムの他の場所で使う
にはバッファが必要です。ADC の適切な動作を保証するため
に、DCAPA ピンと DCAPB ピンは 470nF のコンデンサでデカッ
プリングしています。
R
R0 + ΔR
AD7866 はセンサーの両方のチャンネルを同時にサンプリン
グします。デジタル・ワードは通常 DOUTA および DOUTB で得
られ、各データ・ストリームは先頭の 1 ビットの 0、それに
続く 3 ビットのステータス・ビット、次いで 12 ビットの変換
データで構成されます。ただし、さらに 16 クロック・サイク
ルの間 CSピンをローに保持することで、両方のデジタル・ワ
ードを 1 つのチャンネル DOUTA から得ることができます。し
たがって、SPI インターフェースにより、1 本のデータ・ライ
ンで両方のチャンネルにアクセスすることができます。
HY
–1.0 –0.5
0
0.5
1.0
H0
13118-003
R0
図 3. パーマロイの磁界 対 抵抗値
AD7866 の 2 個の ADC のそれぞれへの入力に 2 チャンネル・
マルチプレクサが備えられています。A0 入力ピンをロジック
0 にすると A1 入力と B1 入力が変換可能になり、A0 入力ピン
をロジック 1 にすると A2 入力と B2 入力が変換可能になりま
す。ADA4571 からの温度センサーの出力を AD7866 の A2 入
力に接続することで、システムのソフトウェアによる温度キ
ャリブレーションを行うことができます。
Rev. 0
I
HY
2 つ目は、パーマロイは極性に対する感度がないことです。
磁化ベクトル(M)と電流ベクトル(I)の角度(Ø)の正負
に関係なく、パーマロイ・ストリップの抵抗値は減少しま
す。
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CN-0368
回路ノート
バーバーポール
センサーの基礎
パーマロイ・ストリップの直線性および極性に対し感度がな
い点を改善するのに使われる一般的な方法は、図 4 に示すよ
うに、ストリップの軸に対して 45°の角度でアルミのストラ
イプ(縞模様)を追加することです。これはバーバーポール
(理髪店の赤青白が巻かれた棒状の看板)と呼ばれます。バ
ーバーポールの間を流れる全ての電流は最短経路(垂直経
路)をとるので、電流ベクトル(I)と磁化ベクトル(M)の
角度が 45°シフトします。
標準的な AMR センサーは 2 個のホイートストン・ブリッジ
で構成されており、図 7 に示すように、一方のブリッジは他
方のブリッジに対して 45°の相対角度を持っています。
–VO1
VCC1
GND
+VO1
–VO2
VCC2
ALUMINUM STRIPES
HY
I
HY = 0
GND
13118-007
HX
13118-004
M
+VO2
図 7. ADA4571 のデュアル・ホイートストン・ブリッジ構成
図 4. パーマロイ・ストリップのバーバーポール効果
回転磁界は、図 8 に見られる sin (2ø) と cos (2ø) の出力を生じ
ます。両方の信号とも 180°の範囲を周期とするので、追加部
品や基準点なしでは 360°全体の測定は不可能です。
バーバーポールをパーマロイ・ストリップに追加した結果を
図 5 に示します。電流ベクトルは 45°シフトしますが、磁化ベ
クトルは変化せず元のままです。グラフの中央で直線的な挙
動が見られることに注意してください。
DIAGNOSTIC BAND
93% VDD
R
VCOS
R0 + ΔR
LINEAR REGION
VOFFSET
V p-p
50% VDD
0
0.5
H0
1.0
VSIN
7% VDD
図 5. バーバーポール型パーマロイの磁界 対 抵抗値
0
90
270
MAGNETIC ANGLE, α (Degrees)
磁界強度
チャンネル感度
ADA4571 センサーの各チャンネルの公称感度は 52mV/°で
す。つまり、磁化ベクトルとセンサーの方向が 1°変化すると
出力電圧が 52mV 変化します。感度は角度に対して一定では
ありません。感度が低下する領域は、各出力電圧の波形の傾
きがゼロに近づく部分です。
磁石を選択する際は、図 6 に示すように、センサーと磁石間
のエア・ギャップを考慮します。磁石がセンサーに近接して
いない(距離 d が非常に大きい)場合、最小電磁界強度の条
件を確実に満たすため、より強力またはより大きな磁石が必
要になる可能性があります。
図 8 を見ると、コサイン出力(緑線)は磁化ベクトルの角度
が 0°、90°、180°、270°の近くで感度が低下しています。同様
に、サイン出力(赤線)は 45°、135°、225°、315°付近で感度
が低下しています。幸いなことに、片方のチャンネルの感度
が低いとき、他方のチャンネルは感度が高い領域にありま
す。
MAGNET
13118-006
d
SENSOR
360
図 8. 電磁抵抗センサーの出力電圧
ADA4571 のデータシートの仕様を確実に満たすためには
25kA/m の最小電磁界強度が必要です。この励起磁界は
ADA4571 パッケージ内の検出素子の中心と交差する必要があ
ります。
図 6. 回転シャフト角度測定のための磁石の方向と
エア・ギャップ
Rev. 0
DIAGNOSTIC BAND
180
13118-008
HY
–1.0 –0.5
13118-005
R0
-3/9 -
CN-0368
回路ノート
図 11 は、磁石を数回回転させたときのモーターの機械的角度
とセンサーの計算した磁界角度を比較した結果です。この計
算には 2 つの出力の比の逆正接関数を使用します。この誤差
はキャリブレーションなしでは±1°に達します。
システム帯域幅、磁界の回転
磁界の角速度は、回路の帯域幅を理解する上で 1 つの重要な
要素です。ADC は 1μs ごとに 1 サンプルを変換します。1°の
分解能を実現するために、磁界が変化できるのは 1ms に 1°
(2.778kHz)だけです。そうでないと、ADC は磁界の変化に
対応するのに十分な速度でサンプリングすることができませ
ん。この制限により、1MSPS の ADC に対する磁界の使用可
能な最大角速度が 2.778kHz に設定されます。
1.5
ERROR (Degrees)
1.0
回転測定テストの結果
直径方向に磁化された N42 磁石(直径 = 0.5 インチ、厚さ =
0.125 インチ)を金属棒の端に取り付けます。高精度 DC モー
ターにより、この棒の精密な角度制御を行うことができま
す。センサーを磁石の表面に対して正確に実装します。エ
ア・ギャップを 2mm に設定します。センサーが磁気で十分に
飽和されている限り、測定結果はエア・ギャップの影響をほ
とんど受けません。
–0.5
13118-011
–1.5
0
50
100
150
200
250
300
350
400
MECHANICAL ANGLE (Degrees)
図 11. オフセット補正前の機械的角度 対 角度誤差
図 9 はセットアップの機能図です。図 10 は、シャフトの端に
配置したデータ収集に使用するセットアップの写真です。こ
のセットアップは、ブラシレス DC モーター、実装装置、磁
石、対応する ADA4571 センサーを搭載した PCB で構成され
ています。
オフセット補正のみを行った誤差を図 12 に示します。サイン
とコサインの振幅ミスマッチ、非直線性、直交性などに対す
る補正のための調整を追加する必要はありません。オフセッ
トは、各チャンネルが機械的に 1 回転するときのピーク to ピ
ーク値または平均値を使って求めます。各チャンネルからこ
のオフセットを差し引いて、センサーの直線応答を求めま
す。最大誤差は±0.2°に達しますが、大部分の範囲で誤差は
±0.1°を下回ります。
EVAL-SDP-CB1Z
USB
0.25
EVAL-SDP-CB1Z
MR SENSOR
0
–1.0
モーターの回転によってセンサーと交差する回転磁界が生じ
ると、角度計算とデータ収集に適したサインとコサインの出
力電圧を繰り返し生成します。
USB
MAGNET
0.5
0.20
0.15
+6V
ERROR (Degrees)
0.10
EVAL-CN0189-SDPZ
0.05
0
–0.05
–0.10
図 9. データ収集のテスト・セットアップ
(シャフトの端に配置)
–0.15
13118-012
+6V
13118-009
CN-CN0368-SDPZ
–0.20
–0.25
0
50
100
150
200
250
300
350
400
MECHANICAL ANGLE (Degrees)
13118-010
図 12. オフセットのみを補正した後の機械的角度 対 角度誤差
図 10. ブラシレス DC モーターを使用した
ベンチテスト・セットアップの写真
Rev. 0
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CN-0368
回路ノート
直線位置のテスト結果
CALIPER
1.0005in
インクリメンタル型(相対位置測定)の直線位置測定システム
を構成するために必要な変更はごくわずかです。図 13 に示す
ように、磁石を N 極と S 極が交互に配置された多磁極棒磁石
に置き換えます。
PCB
MAGNET
+6V
SENSOR
EVAL-CN0368-SDPZ
USB
13118-014
D=
SENSOR
EVAL-SDP-CB1Z
1
POLE LENGTH
2
図 14. 直線測定用のデータ収集テスト・セットアップ
P
P = POLE LENGTH
13118-013
D
図 13. 直線位置測定用磁石、PCB およびセンサー
センサーは、磁石と平行に移動すると、磁極の長さだけ進む
ごとに 180°回転する磁界を検出します。磁石の磁極の長さ
(P)とセンサーの角度精度(ΔØ = 0.05°)により理論上の精
度(Δx)が決まります。
Δx = P × ΔØ/180°
13118-015
この方法により、1 つの磁極の長さだけのアブソリュート型
(絶対位置)測定システムが得られます。磁石に複数の磁極
があれば、通過した磁極の数を数えることで、さらに正確な
測定値が得られます。センサーと磁石間の理想的な距離は磁
石の磁極の長さの半分です。
EVAL-CN0368-SDPZ PCB は、磁石をデジタル・ノギスのアー
ムに装着してテストします。EVAL-CN0368-SDPZ PCB は、
ADA4571 の AMR センサー(U5)の面が磁石面に垂直になる
ように装着されています。磁石が動くと、ノギスが移動距離
を 0.0005 インチの精度で表示します。同時に、磁力線がセン
サーと交差し、使用可能な出力電圧を発生します。セットア
ップの図を図 4 に、写真を図 15 に示します。
図 15. ベンチテスト・セットアップの写真
セットアップに使用する磁石は長さが 2 インチで、センサー
から 1 インチ離します。直線動作検出に推奨するセンサーと
磁石間のエア・ギャップは、磁石の磁極の長さの半分に等し
い値です。磁石を x 軸に沿って動かしながらデータを集め、
評価用ソフトウェアの測定値をノギスのデジタル・ディスプ
レイに表示される値と比較します。1.0 インチの範囲で記録さ
れた出力位置の誤差を図 16 に示します。誤差は全範囲で±2
ミルです。
0.002
0.001
ERROR (Inches)
0
–0.001
–0.002
–0.003
–0.005
–0.5
–0.4
–0.3
–0.2
–0.1
0
0.1
0.2
DISTANCE TRAVELLED (Inches)
図 16. 磁界の位置誤差:1.0 インチの範囲
Rev. 0
-5/9 -
0.3
13118-016
–0.004
CN-0368
回路ノート
0.035
測定範囲を 0.4 インチに制限すると、より良好な測定結果が
得られます。0.4 インチでは図 8 に示されている三角関数波の
直線部分に一致しており、測定を 30˚の範囲に制限しているこ
とに注意してください。この変更された範囲に新しいゲイン
補正係数を適用すると、図 17 に示すように、誤差は±1 ミル
になります。
0.030
0.25” DOWN
0.25” UP
0.5” DOWN
0.5” UP
0”
ERROR (Inches)
0.025
0.0010
0.020
0.015
0.010
0.0005
0
0
–0.005
–0.5
–0.0005
–0.4
–0.3
–0.2
–0.1
0
0.1
0.2
0.3
0.4
DISTANCE TRAVELLED (Inches)
0.5
13118-019
ERROR (Inches)
0.005
図 19. 磁界の位置誤差:垂直方向の位置ずれ
–0.0010
–0.1
0
0.1
DISTANCE TRAVELLED (Inches)
0.2
13118-017
–0.0015
–0.2
このような大きな誤差は、ゲイン補正係数を変更すると小さ
くできますが、完全に除去することはできません。磁石から
の距離を負方向に大きくすると磁界強度と磁力線の方向に影
響を与え、データの一部が復元できなくなります。
次に一般的な誤差源は、図 20 に示す回転方向の位置ずれで
す。センサーと磁石は垂直軸に対しては理想的な位置に置か
れていますが、センサーが磁石面に平行ではありません。
図 17. 磁界の位置誤差:0.4 インチの範囲
13118-018
13118-020
図 18 に示すように、センサーは磁石本体の中央に位置するよ
うに置かれています。一般的な誤差源である垂直方向の位置
ずれは、センサーが磁石の位置に対して上下に動く際に生じ
ます。
図 18. ベンチテスト・セットアップの写真:
垂直方向の位置ずれ
図 19 はセンサーと磁石の垂直方向の位置ずれによって生じる
誤差を示しています。このテストは、データを収集する前
に、PCB を 0.25 インチと 0.5 インチだけ上下に動かして行い
ます。1.0 インチの測定範囲では、ターゲットを上下に 0.25
インチ動かすと計算値に数ミルの誤差が加わります。センサ
ーを上下に 0.5 インチ動かすと測定値はさらに悪化し、元の
測定値に数十ミルの誤差が加わります。
Rev. 0
-6/9 -
図 20. ベンチテスト・セットアップの写真:
回転方向の位置ずれ
CN-0368
回路ノート
0.020
回転方向の位置ずれに関する測定値を図 21 に示します。緑線
は平行な状態で記録された誤差を示しており、赤線と青線は
センサーを磁石面に対して左右に回転させることによって追
加される誤差を示しています。
ERROR (Inches)
0.020
RIGHT
STRAIGHT
LEFT
0.010
0.005
0
–0.005
0.005
–0.010
–0.5
0
–0.4
–0.3
–0.2
–0.1
0
0.1
0.2
0.3
0.4
DISTANCE TRAVELLED (Inches)
–0.005
0.5
13118-023
ERROR (Inches)
0.015
0.010
0.1”
1”
0.5”
0.015
図 23. 磁界の位置誤差:平面内距離のばらつき
–0.4
–0.3
–0.2
–0.1
0
0.1
0.2
0.3
0.4
DISTANCE TRAVELLED (Inches)
0.5
このような大きな誤差は、ゲイン補正係数を変更すると小さ
くできますが、完全に除去することはできません。磁石から
の距離を負方向に増減すると磁界強度と磁力線の方向に影響
を与え、データの一部が復元できなくなります。
13118-021
–0.010
–0.5
図 21. 磁界の位置誤差:回転方向の位置ずれ
最後の一般的な誤差源は、図 22 に示すセンサーと磁石の距離
です。センサーと磁石間の理想的な距離は磁石の長さの半分
です。この距離を増減すると、データ・セットに誤差が生じ
ます。磁石とセンサーの距離が近すぎる状態のベンチテス
ト・セットアップを図 22 に示します。
13118-022
角度位置のアプリケーションに関する測定と計算全てに使用
される LabVIEW®評価用ソフトウェアのスクリーンショット
を図 24 に示します。Linear Measurement tab のスクリーンシ
ョットを図 25 に示します。
図 22. ベンチテスト・セットアップの写真:
平面内距離のばらつき
13118-024
磁石とセンサー間の距離を 0.1 インチ、0.5 インチ、1 インチ
に設定してから、データ・セットを収集します。設定を変え
た誤差を図 23 に示します。
図 24. CN0368 評価用ソフトウェア
Rotary Measurement Tab のスクリーンショット
Rev. 0
-7/9 -
CN-0368
回路ノート
電源ラインはトレース幅をできるだけ大きくして低インピー
ダンス経路を与え、電源ラインのグリッチ影響を減らしま
す。クロックなどの高速スイッチング・デジタル信号は、デ
ジタル・グラウンドを使ってボード上の他の部分からシール
ドします。この PCB の写真を図 26 に示します。
図 25. CN0368 評価用ソフトウェア Linear Measurement Tab
のスクリーンショット
図 26. EVAL-CN0368-SDPZ ボードの写真
バリエーション回路
キャリブレーション時に、各ホイートストン・ブリッジの最
大電圧 VMAX と最小電圧 VMIN の出力を決定します。これらの
値を知ることにより、電圧をデジタル・コードに対してより
正確にマッピングすることができます。Select Calibration
Method ドロップダウン・ボックスを使った VMAX と VMIN の値
を決定する方法は 2 つあります。
1MSPS を上回るサンプリング・レートを必要とする場合に
は、AD7352(3MSPS で 12 ビット)、AD7356(5MSPS で 12
ビット)、AD7357(4.25MSPS で 14 ビット)の同時サンプリ
ング ADC を検討してください。
12 ビットあるいは 14 ビット以上の分解能を必要とする場
合、AD7655(1MSPS で 16 ビット)を使用することができま
す。
1 つ目は、磁気を 360°回転させ、ソフトウェアで VMAX と
VMIN を特定する方法です。この場合、ソフトウェアでは各チ
ャンネルのオフセット電圧を計算し、これらの値を使って磁
界角度を決定します。
回路の評価とテスト
この回路は、EVAL-SDP-CB1Z システム・デモンストレ-シ
ョン・プラットフォーム(SDP)ボードと EVAL-CN0368SDPZ 回路ボードを使用します。これら 2 枚のボードは 120 ピ
ン接続用コネクタを備えているので、手早くセットアップし
て回路の性能を評価することができます。
2 つ目は、磁気を 360°回転させ、ソフトウェアで VMAX、
VMIN、および VTEMP を特定する方法です。このプロセスはそ
の後異なる温度で繰り返されます。ソフトウェアでは、これ
らの変数を使って各チャンネルのオフセット電圧と温度依存
性を計算し、その後、磁界角度を計算します。
EVAL-CN0368-SDPZ には、この回路ノートで説明したように
評価用の回路が含まれています。EVAL-SDP-CB1Z ボード
は、CN0368 評価用ソフトウェアとともに使用し、EVALCN0368-SDPZ 回路ボードからデータを収集します。
PCB レイアウト時の考慮事項
高精度を必要とする回路では、ボード上の電源とグラウン
ド・リターンのレイアウトを考慮することが重要です。PCB
では、デジタル部とアナログ部をできるだけ分離するように
します。CN-0368 システムの PCB は、面積の大きいグラウン
ド・プレーン層と電源プレーン・ポリゴンを積み重ねた 4 層
基板を使用しています。レイアウトとグラウンディングの詳
細については MT-031 チュートリアルを、デカップリング技
術については MT-101 チュートリアルを参照してください。
必要な装置
以下の装置が必要です。
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適切にノイズを抑え、リップルを下げるため、全ての IC への
電源は 1µF と 0.1µF のコンデンサでデカップリングします。
これらのコンデンサはできる限りデバイスの近くに配置しま
す。全ての高周波デカップリングにはセラミック・コンデン
サを推奨します。
Rev. 0
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13118-025
CN-0368 の設計サポート・パッケージは
www.analog.com/CN0368-DesignSupport で入手できます。
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USB ポート付き Windows® XP(32 ビット)、Windows
Vista(32 ビット)、または Windows 7(32 ビット)搭載
PC
EVAL-CN0368-SDPZ 回路ボード
EVAL-SDP-CB1Z SDP ボード
6V 電源または AC アダプタ
CN0368 評価用ソフトウェア
センサー・パッケージでの最小磁界強度が 25kA/m のネ
オジム磁石
CN-0368
回路ノート
評価開始にあたって
テスト
CN0368 評価用ソフトウェア CD を PC にセットして評価用ソ
フトウェアをロードします。マイコンピュータから評価用ソ
フトウェア CD のあるドライブを探し、Readme ファイルを開
きます。Readme ファイルの指示に従って評価用ソフトウェ
アをインストールして使用してください。
DC バレル・ジャック(コネクタ J4)に給電します。CN0368
評価用ソフトウェアを起動し、PC からの USB ケーブルを
EVAL-SDP-CB1Z のミニ USB コネクタに接続します。
USB 通信が確立すると、EVAL-SDP-CB1Z ボードを使用し
て、EVAL-CN0368-SDPZ との間でシリアル・データの送受信
および収集を行うことができます。
機能ブロック図
EVAL-SDP-CB1Z については、SDP ユーザー・ガイドを参照
してください。
テスト・セットアップの機能ブロック図を図 27 に示します。
6V
POWER
SUPPLY
テスト・セットアップとキャリブレーションについての詳
細、およびデータ・キャプチャのための評価用ソフトウェア
の使用方法については、CN-0368 ソフトウェア・ユーザー・
ガイドに記載されています(www.analog.com/CN0368UserGuide)。
PC
J4
さらに詳しい資料
EVAL-SDP-CB1Z
J1
120-PIN
CONNECTOR
CN-0368 Design Support Package:
www.analog.com/CN0368-DesignSupport
13118-027
EVAL-CN0368-SDPZ
MT-031 Tutorial:Grounding Data Converters and Solving the
Mystery of “AGND” and “DGND”, Analog Devices.
図 27. テスト・セットアップのブロック図
MT-101 Tutorial:Decoupling Techniques, Analog Devices.
セットアップ
AN-688 Application Note:Phase and Frequency Response of
iMEMS Accelerometers and Gyros, Analog Devices
EVAL-CN0368-SDPZ の 120 ピン・コネクタを EVAL-SDPCB1Z のコネクタに接続します。120 ピン・コネクタの両端に
ある穴を利用し、ナイロン製ハードウェアを使って 2 枚の基
板をしっかり固定します。
データシートと評価ボード
AD7866 データシート
電源をオフにして、6V の DC バレル・ジャックをコネクタ J4
に接続します。EVAL-SDP-CB1Z に付属の USB ケーブルを
PC の USB ポートに接続します。この時点では、まだ USB ケ
ーブルを SDP ボード上のミニ USB コネクタに接続しないで
ください。
ADA4571 データシート
改訂履歴
3/15—Revision 0: 初版
ネオジム磁石を IC の上面に直接、または IC と磁石の距離を
最小にした磁石回転用治具に取り付けます。
センサーの出力電圧は浮遊磁界により誤差を生じる恐れがあ
るので、他の磁界発生源を IC から遠ざけることが重要です。
「Circuits from the Lab/実用回路集」はアナログ・デバイセズ社製品専用に作られており、アナログ・デバイセズ社またはそのライセンスの供与者の知的所有物です。
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できるものであることを期しています。しかし、「Circuits from the Lab/実用回路集 」は現状のまま、かつ商品性、非侵害性、特定目的との適合性の暗示的保証
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/実用回路集 」を変更する権利を留保しますが、それを行う義務はありません。 商標および登録商標は各社の所有に属します。
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Rev. 0
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