参考回路:日本語版

日本語参考資料
最新版英語回路ノートはこちら
回路ノート
CN-0270
使用したリファレンス・デバイス
テスト済み回路設計集“Circuits from the Lab™ ”は共
通の設計課題を対象とし、迅速で容易なシステム
統合のために製作されました。さらに詳しい情報
又は支援は http://www.analog.com/jp/CN0270 をご覧
ください。
低消費電力 HART®モデム
AD5700,
AD5700-1
AD5420
D/A コンバータ、16 ビット、
4mA~20mA 出力
完全な 4mA~20mA HART ソリューション
評価および設計サポート環境
回路の機能とその利点
回路評価ボード
図 1 に示す回路は、業界最小の消費電力とフットプリントを
誇る HART1 準拠の IC モデムである AD5700 と 16 ビットの電
流出力 DAC である AD5420 を使用して、ライン給電される
HART 準拠 4 mA~20 mA のトランスミッタアプリケーション
を示します。
CN-0270 評価用ボード(EVAL-CN0270-EB1Z):
USB-SWD/UART-EMUZ を搭載
設計と統合ファイル
回路図、レイアウト・ファイル、部品表
AD5700-1 が 0.5%精度の内部発振器を提供するので、更に基板
スペースを節約します。
10µF
*NC
10µF
2.7V TO 5.5V
*C2
10kΩ
DVCC CAP2
10.8V TO 60V
C1
4.7nF
0.1µF
CAP1
0.1µF
AVDD
FAULT
REFIN
CLEAR
DIGITAL
INTERFACE
REFOUT
0.1µF
LATCH
SCLK
SDIN
AD5420
18Ω
IOUT
SDO
UART
INTERFACE
4mA TO 20mA
CURRENT LOOP
RL
RSET
GND
0.1µF
15kΩ
VCC
TXD
HART_OUT
CH
8.2nF
RH
27kΩ
CL
4.7nF
RXD
RTS
REF
1µF
AD5700
1.2MΩ
300pF
ADC_IP
AGND
DGND
1.2MΩ
150kΩ
150pF
10564-001
CD
図 1.HART を実装した AD5420 回路の簡略回路図
1
HART®は HART 通信協会の登録商標です。
アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に関して、あるいは利用に
よって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利
の使用を明示的または暗示的に許諾するものでもありません。仕様は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標
は、各社の所有に属します。※日本語資料は REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。
Rev. B
©2015 Analog Devices, Inc. All rights reserved.
本
社/〒105-6891 東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル
電話 03(5402)8200
大阪営業所/〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原 3-5-36 新大阪トラストタワー
電話 06(6350)6868
CN-0270
回路ノート
この回路は、例えば、Analog Rate Of Change や Output Noise
During Silence の仕様など、HART 協会によって定義された
HART の物理層の仕様を満たしています。
外付け部品の値の決定
HART(highway addressable remote transducer)標準規格の開発
により、従来の計装機器で使われてきた 4mA~20 mA のアナ
ログ信号と同時に、高い能力の 2 方向デジタル通信が可能とな
りました。これにより、リモート・キャリブレーション、フ
ォルト調査、追加のプロセス変数の送信などの機能が可能で
す。つまり、HART はピーク to ピーク 1mA の周波数シフ
ト・キー(FSK)信号を 4mA~20mA のアナログ電流信号に
重畳して変調する、2 方向デジタル通信です。
C1
C2
CAP1
AVDD
40Ω
BOOST
4kΩ
回路の説明
12.5kΩ
DAC
AD5420 を AD5700 HART モデムおよび UART インターフェー
スと組み合わせて、HART で可能な 4mA~20 mA の電流出力
を構成する方法を図 1 に示します。このような回路は、様々な
入力信号(RTD、TC、ohm)がスケーラブルな 4 mA~20 mA
のアナログ出力信号に変換される、ライン給電のフィールド・
トランスミッタによく使用されます。AD5700 からの
HART_OUT 信号は減衰され、AD5420 の RSET ピンに AC 結合さ
れます。外付けの RSET 抵抗を使用していない場合は、AD5420
と AD5700 を接続する別の方法がアプリケーション・ノート
AN-1065 に示されており、AD5700 HART モデムの出力を
CAP2 ピンを介して AD5420 と接続します。この回路ノートで
示す方法では、外付けの RSET 抵抗を使用する必要があります
が、別のアプリケーション・ノートのソリューションに比べ
優れた電源除去性能を示します。どちらのソリューションを
使用しても、AD5700 HART モデムの出力は(図 2 に示すよう
に)、電流の DC レベルに影響を与えることなく、4mA~20
mA のアナログ電流に変調されます。ダイオード保護回路 (D1
~ D4) については「過渡電圧保護」のセクションで詳述してい
ます。
CAP2
IOUT
RL
RSET
CH
CL
RH
10564-003
プロセス制御の計装機器では、多年にわたって 4mA~20mA
の通信が使用されてきました。この通信方法は信頼性が高く
堅牢で、たとえ長い通信距離においても環境からの干渉に強
い特長を持っています。ただし、1 つのプロセス制御動作に
加え 1 方向通信しか可能でないという制約があります。
デバイスのデジタル・スルーレート制御機能とフィルタ用の
C1 と C2 を組み合わせて使用することで、AD5420 の IOUT 信
号のスルーレートを制御することができます。コンデンサの
絶対値を決定する際には、モデムからの FSK 出力が歪みなしに
送られるようにします。したがって、モデムの出力信号に与
えられる帯域幅は 1200Hz と 2200Hz を通過させる必要があり
ます。この要件を満たす回路を図 3 に示します。この場合、
C2 はオープンのままにしておきます。
VHART
図 3. AD5420/AD5410 と AD5700 HART モデムの接続
HART_OUT ピン出力のローパスとハイパスのフィルタ回路は、
AD5420 のいくつかの内部回路とともに、RH、CL、CH、C1 に
よる作用によって選択されます。これらの部品の値を計算す
る際、ローパスとハイパスの周波数のカットオフ・ポイント
の目標値は、それぞれ>10kHz と<500Hz です。図 4 はシミュ
レーションした周波数応答をプロットしたもので、表 1 は、
他の部品の値は一定に保ちながら各部品の値を大きくした際
の周波数応答に対する影響を示しています。
–50
–55
–60
"1" = MARK
1.2kHz
I (IOUT) /HART (V) (dB)
–65
"0" = SPACE
2.2kHz
START
TXD
–70
–75
–80
–85
–90
–95
–100
–110
1
8-BIT DATA + PARITY
図 2.AD5700/AD5700-1 の変調波形のサンプル
Rev. B
10564-002
HART_OUT
10
100
1k
FREQUENCY (Hz)
10k
100k
10564-004
–105
STOP
図 4.シミュレーションによる周波数応答
表 1.各部品値を大きくした際の周波数応答への影響
CL
RH
C1 CH
部品
fL (Hz)
↓
↓
↓
↓
fH (kHz)
↓
変化なし
変化なし
変化なし
G (dB)
↓
↑
↓
↓
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CN-0270
回路ノート
HART に準拠
モデムの出力は 1200 Hz と 2200 Hz の周波数で構成される
FSK 信号です。この信号は 1 mA ピーク to ピークの電流信号
に変換する必要があります。これを実現するには、RSET ピン
の信号の振幅を減衰させる必要があります。これは AD5420
内部の電流ゲイン構成によります。モデムの出力振幅が 500
mV ピーク to ピークと仮定すると、その出力は 500/150 = 3.33
だけ減衰させる必要があり、RH と CL によって実現します。
図 1 の回路が HART に準拠するには、HART の物理層の仕様
を満たす必要があります。HART の仕様書には多数の物理層
の仕様が含まれています。この場合に最も重要な 2 つの仕様
は、Output Noise During Silence と Analog Rate of Change です。
Output Noise During Silence
HART デバイスが送信していないとき(サイレント)、
HART の拡張周波数帯域でノイズを結合させてはなりません。
過度のノイズはデバイス自体による、またはネットワーク上
の他のデバイスによる HART 信号の受信に干渉することがあ
ります。
この回路ノートでは、以下の部品値を使って測定しました。
•
•
•
•
C1 = 4.7 nF
RH = 27 kΩ
CL = 4.7 nF
CH = 8.2 nF
500 Ω 負荷の両端で測定した電圧ノイズは、拡張周波数帯域
で 2.2 mV rms を超える広帯域ノイズおよび相関ノイズの結合し
たノイズを含んではなりません。このノイズは HCF_TOOL-31
フィルタ(HART 協会から入手可能)を 500 Ω 負荷の両端に
接続し、フィルタの出力を真の RMS メータに接続して測定し
ました(図 6 参照)。出力波形のピーク to ピーク電圧を調べ
るために、オシロスコープも使用しました。
500 Ω の負荷抵抗両端で測定した 1200 Hz および 2200 Hz の変
調波形を図 5 に示します。チャンネル 1 は AD5420 の出力(4
mA 出力に設定)に結合され変調された HART 信号を示し、
チャンネル 2 は AD5700 TXD 信号を示しています。
MEASURE
CH1
p-p
512mV
AD5420 の出力電流は 4 mA、12 mA、20 mA に設定しました。
識別できるほどのノイズ差は測定されませんでした。
HCF_TOOL-31 バンドパス・フィルタ付きで測定した RMS 値
は 115 µV rms、フィルタなしで測定した RMS 値は 252 µV
rms でした。これらの値はいずれも充分に 2.2 mV rms(HART
フィルタ付き)および 138 mV rms(HART フィルタなしの広
帯域ノイズ)の要求される仕様範囲内でした。
CH1
NONE
CH1
NONE
CH1
NONE
2
CH1 200mV CH2 2.00V
M500µs
CH2
1.28V
10564-006
CH1
NONE
図 5. 500Ω 負荷の両端で測定した FSK 波形
Rev. B
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CN-0270
回路ノート
2.7V TO 5.5V
10µF
10µF
12V
C1
10kΩ
0.1µF
0.1µF
DVCC
CAP2
AVDD
CAP1
FAULT
REFIN
CLEAR
0.1µF
REFOUT
LATCH
SCLK
AD5420
4mA TO 20mA
CURRENT LOOP
SDIN
IOUT
SDO
RSET
GND
0.1µF
RL
500Ω
15kΩ
VCC
HART_OUT
TXD
27kΩ
RXD
DIGITAL TEST FILTER
HCF_TOOL-31
OSCILLOSCOPE OR
TRUE RMS METER
8.2nF
4.7nF
AD5700
RTS
CD
REF
XTAL1
8.2pF
1µF
1.2MΩ
3.6864MHz
300pF
XTAL2
AGND
150kΩ
ADC_IP
DGND
1.2MΩ
150pF
10564-007
8.2pF
図 6.HART の仕様のテスト回路
Rev. B
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CN-0270
回路ノート
図 7 と図 8 にそれぞれ 4 mA と 12 mA の出力電流のオシロス
コープのプロットを示します。フィルタの通過帯域利得は 10
であることに注意してください。チャンネル 1 とチャンネル
2 は、それぞれフィルタの入力と出力を示しています。
MEASURE
CH1
p-p
3.20mV
CH1
NONE
MEASURE
CH1
p-p
7.40V
CH2
p-p
7.20mV
CH1
FREQ
4.382Hz?
1
CH2
MAX
2.40mV
CH1 20.0mV
CH2 20.0mV
M 50.0ms
AC LINE
0.00V
CH2
p-p
160mV
10564-008
CH2
MIN
–5.60mV
2
CH2
MAX
80.0mV
図 7.4mA の出力電流の HART フィルタの
入力(CH1)と出力 (CH2)のノイズ
CH2
MIN
–80.0mV
MEASURE
CH1
p-p
2.40mV
CH1 5.00V
CH2
p-p
8.80mV
2
CH1 20.0mV CH2 20.0mV
M50.0ms
AC LINE
0.00V
10564-009
CH2
MAX
3.20mV
CH2
MIN
–5.60mV
図 8.12mA 出力電流の HART フィルタの
入力(CH1)と出力 (CH2)のノイズ
Analog Rate of Change
この仕様は、デバイスが電流を調節する際に、アナログ電流
の最大変化レートが HART 通信に干渉しないことを保証しま
す。電流のステップ変化は HART の信号に大きく影響を与え
ます。図 6 にテスト回路を示します。このテストでは最大変
化レートを保証するために、4mA から 20mA へ遅延なしに切
り替え、20mA から 4mA へも遅延なしに切り替えて周期波形を
出力するように AD5420 をプログラムしました。HART の仕様
を満たすには、フィルタの出力波形は 150 mV を超えるピーク
電圧を生じてはいけません。この要件を満たすと、アナログ
信号の最大帯域幅が DC から 25Hz の規定周波数帯域内である
ことが保証されます。
AD5420 の出力が 4mA から 20mA まで変化する時間は、通常
約 10 µs です。これは明らかに速すぎて、HART ネットワーク
に多大な影響を生じることになるでしょう。この変化レート
を下げるために、AD5420 は 2 つの機能を採用しています。
AP1 ピンと CAP2 ピンへのコンデンサの接続と、内部のデジ
タル・スルーレート制御機能です(詳細については AD5420
のデータシートを参照してください)。
Rev. B
M50.0ms
CH1
6.00V
図 9.AD5420 の出力 (CH1)と HART フィルタの出力 (CH2)、
SR Clock = 3、SR Step = 2、C1 = 4.7 nF、C2 = NC
CH1
NONE
1
CH2 50.0mV
10564-010
2
図 9 は AD5420 の出力と HART フィルタの出力を示しています。
フィルタ出力のピーク電圧は 80 mV の仕様内です。スルーレー
トの設定は SR CLOCK = 3 および SR STEP = 2 で、4 mA から 20
mA への遷移時間を約 120 ms に設定します。C1 は 4.7 nF、C2
は未接続です。この変化レートが遅すぎる場合は、スルー時
間を短くすることができます。ただし、これにより、フィル
タ出力のピーク電圧が増加するという影響が生じます。CAP1
から AVDD に接続したコンデンサを使って、これに対処する
ことができます。
C1 コンデンサの値は変更せず 4.7 nF のままで、スルーレート
制御の設定を SR CLOCK = 5 および SR STEP = 2 に変更した結
果を図 10 に示します。これにより、遷移時間は約 240ms にな
ります。C1 の値を大きくするか、スルーレートを遅く設定す
るか、または両方の組み合わせにより、フィルタ出力のピー
ク振幅をさらに縮めることができます。
MEASURE
CH1
p-p
7.40V
CH1
FREQ
2.252Hz?
1
CH2
p-p
78.0mV
2
CH2
MAX
38.0mV
CH2
MIN
–40.0mV
CH1 5.00V
CH2 50.0mV
M50.0ms
CH1
6.80V
10564-011
1
帯域幅を 25 Hz より低くするには、CAP1 と CAP2 のコンデン
サの値を非常に大きくする必要があります。最適なソリュー
ションは、外付けコンデンサと AD5420 のデジタル・スルー
レート制御機能を組み合わせて使用することです。2 つのコ
ンデンサ C1 と C2 はアナログ信号の変化レートを下げる効果
がありますが、仕様を満たすには不十分です。スルーレート
制御機能を有効にすることで、変化レートを柔軟に設定する
ことができます。
図 10. AD5420 の出力 (CH1)と HART フィルタの出力 (CH2)、
SR Clock = 5、SR Step = 2、 C1 = 4.7 nF、C2 = NC
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CN-0270
回路ノート
過渡電圧保護
AD5420 には通常の取り扱いによる損傷を防ぐ ESD 保護ダイ
オードが内蔵されています。しかしながら、産業分野の制御
環境では、I/O 回路がはるかに高い過度電圧にさらされること
があります。高い過度電圧から AD5420 を保護するために、図
1 に示すような外付けパワー・ダイオードとサージ電流制限抵
抗が必要になる場合があります。抵抗値に対する制約(図 1 で
は 18 Ω と表示)として、通常動作時、IOUT の出力レベルがそ
の電圧コンプライアンス・リミットの AVDD − 2.5V 以内にと
どまることと、2 個の保護ダイオードと抵抗が適切な電力定
格を有する点があります。4 mA~20 mA の出力で 18 Ω の場合、
端子でのコンプライアンス・リミットは V = IMAX × R = 0.36V
だけ減少します。また、過渡電圧サプレッサ(TVS)やトラ
ンゾーブを使って保護を強化することができます。これらは、
単方向と双方向サプレッサの両方が、広範囲のスタンドオフ
電圧定格およびブレークダウン電圧定格で提供されています。
電流出力の機能上の範囲で導通せずに可能な限り最低ブレー
クダウン電圧で TVS のサイズを決めます。遠くに接続されて
いる全てのノードも含め保護することを推奨します。
多くのプロセス制御アプリケーションでは、制御する装置と
制御される装置の間に絶縁バリアを置いて、発生し得る危険
な同相電圧から制御回路を保護し、絶縁する必要があります。
アナログデバイセズの iCoupler ファミリー製品は、2.5kV を超
える強化絶縁を提供します。iCoupler 製品の詳細については、
www.analog.com/icouplers をご覧ください。CLEAR などの重
要ではない信号を GND に接続し、FAULTと SDO は未接続の
ままにすることで、絶縁が必要な信号を 3 個のみに減らすこ
とができます。ただし、FAULTまたは SDO のどちらかは
AD5420 のフォルト検出機能にアクセスするために必要とな
るので注意してください。
また、回路ノート CN-0233 に、4 チャンネル・アイソレータ
を備えた ADuM3471 PWM コントローラおよびトランス・ド
ライバを使用した、電力とデータの絶縁に関する情報が記載
されています。さらに、回路ノート CN-0278 と回路ノート
CN-0321 の両方で、AD5422 と AD5700 を使用した HART ソ
リューションについて紹介しています。この 2 つのデバイス
は、 電圧および電流出力能力を備えています。
多チャンネルが必要な場合、AD5755-1 クワッド電圧および電
流出力 DAC を使用することができます。この製品は電流モー
ドでパッケージの消費電力を最小限に減らす先進のダイナミ
ック電力制御機能を内蔵しています。チャンネルごとに対応
する CHART ピンを備えているので、HART 信号を AD5755-1 の
電流出力に結合することができます。
ループから給電される 4 mA~20 mA の HART ソリューション
が要求される場合は、AD5421 と AD5700 HART モデムを組み
合わせることができます。この回路については、回路ノート
CN-0267 で詳しく説明しており、評価用ボードとして提供して
います。
回路評価とテスト
この回路は、評価用ボード EVAL-AD5700-1EBZ を使用してテス
ト済みです。アナログデバイセズの J-Link OB エミュレータ
(USB-SWD/UART-EMUZ)を使用して、評価ソフトウェアを実行
中の PC にこの評価用ボードをインターフェースすることがで
きます。このテスト・セットアップを図 11 に示します。
必要な装置
以下が必要です。
• CN-0270 評価用ボード(EVAL-CN0270-EB1Z)
• CN-0270 評価用ボード・ソフトウェア
(ftp://ftp.analog.com/pub/cftl/CN0270/)
• J-Link OB エミュレータ (USB-SWD/UART-EMUZ) :
バリエーション回路
EVAL-CN0270-EB1Z に付属
図 1 に示す回路のバリエーションとしては、AD5422(LFCSP
バージョン)を使用します。これは AD5420 に似ていますが、
電流出力チャンネルとともに、電圧出力チャンネルを備えて
いるので、PLC/DCS タイプのアプリケーションで一般に使用
されます。回路ノート CN-0065 に追加情報として、AD5422
と ADuM1401 デジタル・アイソレータを使用した、完全に絶
縁された出力モジュールに対する IEC 61000 準拠のソリュー
ションが示されています。
• USB ポート付き、Windows® XP 以上を搭載した PC
• 10.8V~36V の電源
• デジタル・テスト・フィルタ(HART 協会から入手可
能な HCF_TOOL-31)
• 負荷抵抗(500Ω)
• オシロスコープ(Tektronix DS1012B または相当品)
EVAL-CN0270-EB1Z
PC
RL
P3
TEST FILTER
(OPTIONAL)
TRUE RMS METER
OR
OSCILLOSCOPE
CURRENT
OUT
USB
P1
J-LINK
–
+
DC POWER SUPPLY
10.8V TO 36V
図 11.テスト・セットアップのブロック図
Rev. B
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10564-111
USB-SWD/UART-EMUZ
CN-0270
回路ノート
Output Noise During Silence テスト時の出力ノイズの場合、前
に述べたように、AD5700 モデムは送信していません(サイ
レント)。AD5420 は必要な電流を出力するように設定され、
電流は HCF(HART 協会)バンドパス・フィルタを通しまし
た。次に、Tektronix TDS1012B オシロスコープを使って出力ノ
イズを測定しました。
さらに詳しい資料
Analog Rate of Change の仕様により、AD5420 が電流を調節す
る際、アナログ電流の最大変化レートが HART 通信に干渉し
ないことが保証されます。電流のステップ変化は HART 信号
に影響を与えます。
HART Communication Foundation
このテストでは、最大変化レートを保証するため、どちらの
値でも遅延なしに 4 mA から 20 mA へ切り替わる周期波形を
出力するように AD5420 をプログラムしました。
AD5700 データシート/評価ボード
使用されたスルーレートの設定は SR CLOCK = 3 および SR
STEP = 2 で、C1 は 4.7 nF に、C2 はオープンに設定しました。
SR CLOCK は 3 の代わりに 5 に設定変更し、他の全ての設定と
部品値は変更せずに、スルーレートをさらに下げた条件でも測
定を行いました。
ソフトウェア操作の詳細については、CN-0270 Software User
Guide をご覧ください。
CN0270 Design Support Package: http://www.analog.com/CN0270DesignSupport
Application Note AN-1065:Configuring the AD5420 for HART
Communication Compliance, Analog Devices.
データシートと評価用ボード
AD5420 データシート/評価ボード
AD5700-1 データシート/評価ボード
改訂履歴
7/14—Rev. A to Rev. B
Changes to Figure 1 ............................................................................. 1
Changes to Figure 6 ............................................................................. 4
Changes to Common Variations Section, Circuit Evaluation and Test
Section, and Figure 11 .......................................................................... 6
5/12—Rev. 0 to Rev. A
Changes to Circuit Function and Benefits Section ............................... 1
Changes to Circuit Description Section................................................ 2
Changes to Common Variations ........................................................... 6
4/12—Revision 0: 初版
「Circuits from the Lab/実用回路集」はアナログ・デバイセズ社製品専用に作られており、アナログ・デバイセズ社またはそのライセンスの供与者の知的所有物です。お客さまは
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的許可、またはその他の方法でのライセンスを許諾するものではありません。アナログ・デバイセズ社の提供する情報は正確でかつ信頼できるものであることを期しています。し
かし、「Circuits from the Lab/実用回路集 」は現状のまま、かつ商品性、非侵害性、特定目的との適合性の暗示的保証を含むがこれに限定されないいかなる種類の明示的、暗示
的、法的な保証なしで供給されるものであり、アナログ・デバイセズ社はその利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許権もしくはその他の権利の侵害に関して一
切の責任を負いません。アナログ・デバイセズ社はいつでも予告なく「Circuits from the Lab/実用回路集 」を変更する権利を留保しますが、それを行う義務はありません。 商標お
よび登録商標は各社の所有に属します。
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Rev. B
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