日本語版

2.5 V/3.0 V
高精度リファレンス電圧
AD780
機能ブロック図
特長
ピン設定可能な 2.5 V または 3.0 V 出力
超低ドリフト: 3 ppm/°C max
+VIN
NC
2
7
AD780
高精度: 2.5 V または 3.0 V ±1 mV max
R10
低ノイズ: 100 nV/√Hz
R11
NC 1
ノイズ削減機能を内蔵
低静止電流: 1 mA max
6
VOUT
5
TRIM
R13
出力トリム機能
Q6
使用中のリファレンス電圧のプラグイン・アップグレードが可能
R16
R14
TEMP 3
シリーズ・モード動作またはシャント・モード動作(±2.5 V、±3.0 V)
R15
R4
4
8
GND
NC = NO CONNECT
O/P SELECT
2.5V – NC
3.0V – GND
00841-001
TEMP 出力ピンを装備
Q7
R5
図 1.
製品説明
AD780 は超高精度電圧バンド・キャップ・リファレンス電圧で
あり、4.0 V~36 V の入力から 2.5 V または 3.0 V の出力を発生
します。AD780 は、小さい初期誤差、低温度ドリフト、低出力
ノイズ、任意値の容量を駆動できる能力を持つため、高分解能
ADC と DAC の性能向上および汎用の高精度リファレンス電圧
アプリケーション向けに最適です。独自の低ヘッドルーム・デ
ザインにより、5.0 V 10%入力から 3.0 V 出力を発生するため、
既存の 2.5 V リファレンス電圧を使用した性能に比べて、ADC
のダイナミック・レンジを 20%も広げます。
AD780 を使うと、最大 10 mA の電流をソースまたはシンクする
ことができ、かつシリーズ・モードまたはシャント・モードで
動作可能なため、外付け部品なしで正または負の電圧を出力す
ることができます。このため、実質的にすべての高性能リファ
レンス電圧アプリケーションに適しています。AD780 には競合
するリファレンス電圧とは異なり、不安定な領域がありません。
電源に 1 µF のバイパス・コンデンサを使用すると、すべての負
荷条件でデバイスは安定します。
AD780 には TEMP 出力ピンがあり、温度に比例して変化する電
圧を出力するため、このデバイスを温度トランスジューサとし
て使用することができると同時に、安定な 2.5 V または 3.0 V の
電圧を出力させることもできます。
Rev. E
AD780 は、LT1019(A)–2.5 と AD680 に対するピン互換の性能ア
ップグレード・バージョンです。後者は、低消費電力アプリケ
ーションを対象としています。
AD780 では 3 種類のグレードを PDIP パッケージと SOIC パッケ
ー ジ で 提 供 し て いま す 。 AD780AN、 AD780AR、 AD780BN、
AD780BR、AD780CR は、−40°C~+85°C での動作仕様です。
製品のハイライト
1. AD780 は 4 V~36 V の入力電圧からピン設定可能な 2.5 V ま
たは 3.0 V の電圧を出力します。
2. 初期精度と温度係数のレーザ・トリミングにより、外付け
部品なしで小さい温度誤差を実現しています。AD780BN の
最大変動は、−40°C~+85°C で 0.9 mV です。
3. さらに高精度を必要とするアプリケーションに対しては、
オプションの微調整接続を用意しています。
4. AD780 のノイズは 0.1 Hz~10 Hz で 4 mV p-p(typ)と極めて小
さく、かつ広帯域スペクトル・ノイズ密度は 100 nV/√Hz
(typ)です。必要に応じて、外付けコンデンサを 2 個使用する
と、さらにこのノイズを小さくすることができます。
5. TEMP 出力ピンを使うと、AD780 を温度トランスジューサ
として構成することができると同時に安定なリファレンス
電圧を出力することもできます。
アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に
関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、
アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を明示的または暗示的に許諾するものでもありません。仕様
は、予告なく変更される場合があります。本紙記載の商標および登録商標は、各社の所有に属します。
※日本語データシートは REVISION が古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。
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本
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電話 06(6350)6868
AD780
目次
仕様...................................................................................................... 3
温度に対する電源電流 .................................................................. 8
絶対最大定格 ...................................................................................... 4
ターンオン時間 .............................................................................. 8
注...................................................................................................... 4
ダイナミック性能 .......................................................................... 8
ESD の注意 ..................................................................................... 4
ライン・レギュレーション .......................................................... 9
動作原理 .............................................................................................. 5
AD780 の応用 ..................................................................................... 6
高分解能 5 V データ・コンバータ用の高精度リファレンス電
圧 ..................................................................................................... 9
ノイズ性能 ...................................................................................... 6
5 V 電源からの 4.5 V リファレンス電圧 ..................................... 9
ノイズの比較 .................................................................................. 7
負の(–2.5 V)リファレンス電圧 ................................................... 10
温度性能.......................................................................................... 7
外形寸法 ............................................................................................ 11
TEMP 出力ピン .............................................................................. 7
オーダー・ガイド ............................................................................ 12
温度トランスジューサ回路 .......................................................... 8
改訂履歴
5/04—Data Sheet Changed from Rev. D to Rev. E
Updated Format ....................................................................... Universal
Changes to Temperature Transducer Circuit section ............................ 8
Changes to Ordering Guide ................................................................ 12
1/04—Data Sheet Changed from Rev. C to Rev. D.
Changes to SPECIFICATIONS ............................................................ 2
Updated ORDERING GUIDE .............................................................. 3
Updated OUTLINE DIMENSIONS ................................................... 10
5/02—Data Sheet Changed from Rev. B to Rev. C.
Updates to packages ........................................................................... 10
Rev. E
- 2/12 -
AD780
仕様
特に指定がない限り、TA = 25°C、VIN = 5 V。
表 1.
Parameter
AD780AN/AD780AR
Min
Typ
Max
Min
OUTPUT VOLTAGE
2.5 V Out
3.0 V Out
2.495
2.995
2.4985
2.9950
2.505
3.005
AD780CR
Typ
Max
2.5015
3.0050
AD780BN/AD780BR
Min
Typ
Max
Unit
2.499
2.999
2.501
3.001
V
V
OUTPUT VOLTAGE DRIFT 1
−40°C to +85°C
−55°C to +125°C
7
20
7
20
3
ppm/°C
ppm/°C
LINE REGULATION
2.5 V Output, 4 V ≤+VIN ≤ 36 V, T MIN to TMAX
3.0 V Output, 4.5 V ≤+VIN ≤ 36 V, T MIN to TMAX
10
10
10
10
10
10
µV/V
µV/V
LOAD REGULATION, SERIES MODE
Sourcing 0 mA < IOUT< 10 mA
TMIN to TMAX
Sinking −10 mA < IOUT< 0 mA
−40°C to +85°C
−55°C to +125°C
50
75
75
75
150
50
75
75
75
150
50
75
75
75
150
µV/mA
µV/mA
µV/mA
µV/mA
µV/mA
LOAD REGULATION, SHUNT MODE
I < ISHUNT< 10 mA
75
75
75
µV/mA
QUIESCENT CURRENT, 2.5 V SERIES MODE 2
–40°C to +85°C
−55°C to +125°C
0.75
0.8
1.0
1.3
0.75
0.8
1.0
1.3
0.75
0.8
1.0
1.3
mA
mA
MINIMUM SHUNT CURRENT
0.7
1.0
0.7
1.0
0.7
1.0
mA
OUTPUT NOISE
0.1 Hz to 10 Hz
Spectral Density, 100 Hz
4
100
LONG-TERM STABILITY 3
TRIM RANGE
TEMPERATURE PIN
Voltage Output @ 25°C
Temperature Sensitivity
Output Resistance
20
20
4.0
500
SHORT-CIRCUIT CURRENT TO GROUND
TEMPERATURE RANGE
Specified Performance (A, B, C)
Operating Performance (A, B, C) 4
4
100
4.0
560
1.9
3
620
500
30
–40
–55
–40
–55
560
1.9
3
620
500
20
± ppm/1000 Hr
±%
560
1.9
3
620
30
+85
+125
–40
–55
1
最大出力電圧ドリフトはすべてのパッケージに対して保証されています
2
3.0 V モードでは、静止電流が 100 µA(typ)増加します。 また、Iq は 5 V の入力電圧から 2 µA/V で増加します。
3
長時間安定性仕様は非累積的です。 後続の 1,000 時間のドリフトは、最初の 1,000 時間より大幅に小さくなります。
4
µV p-p
nV/√Hz
4.0
30
+85
+125
4
100
mV
mV/°C
kΩ
mA
+85
+125
°C
°C
動作温度範囲は、デバイスが動作する温度限界値として定義されます。 規定の温度範囲の外側では、デバイスの性能が規定性能より低下することがあり
ます。
Rev. E
- 3/12 -
AD780
絶対最大定格
GND
表 2.
Parameter
Values
+VIN to Ground
TRIM Pin to Ground
TEMP Pin to Ground
Power Dissipation (25°C)
Storage Temperature
Lead Temperature
(Soldering 10 sec)
Output Protection
36 V
36 V
36 V
500 mW
−65°C to +150°C
300°C
GND
Output safe for indefinite short to ground
and momentary short to VIN.
Class 1 (1000 V)
上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えるとデバイスに恒
久的な損傷を与えることがあります。この規定はストレス定格
の規定のみを目的とするものであり、この仕様の動作セクショ
ンに記載する規定値以上でのデバイス動作を定めたものではあ
りません。デバイスを長時間絶対最大定格状態に置くとデバイ
スの信頼性に影響を与えます。
NC 1
+VIN 2
+VIN
2.5V/3.0V O/PSELECT
(NC OR GND)
7 NC
8
AD780
6 VOUT
TOP VIEW
GND 4 (Not to Scale) 5 TRIM
NC = NO CONNECT
00841-002
TEMP 3
図 2.ピン配置、8 ピン PDIP および SOIC パッケージ
TRIM
VOUT
2.5V/3.0V
O/P SELECT
00841-003
ESD Classification
TEMP
図 3.チップ・レイアウト
注
両 VOUT パッドは出力に接続する必要があります。
チップ厚: アナログ・デバイセズのバイポーラ・チップの標準厚
は 24 mil ± 2 mil です。
チップ寸法: 表示寸法には±2 mil の偏差があります。
裏面処理: 標準の裏面はシリコン(非メッキ処理)。アナログ・デ
バイセズは、大部分のアプリケーションに対してチップ裏面の
金メッキ処理を推奨していません。
エッジ: ダイヤモンド鋸を使ってウエハーをチップに切断するた
め、チップのエッジは垂直になります。この技術は、チップの
切り欠きと比べて、チップ形状とサイズをより均一にします。
垂直なエッジにより取り扱い(ピンセットでのピックアップな
ど)が容易になると同時に、形状とサイズが均一であるため、サ
ブストレートのデザインとチップの取り付けが容易になります。
表面処理: 標準のチップ表面処理は、ガラス層による不活性化で
す。ボンディング・パッドとスクライブ・ライン以外の全面を
覆います。
メタル層: アナログ・デバイセズのバイポーラ・チップのメタル
層はアルミニウムです。最小厚は 10,000 Å です。
ボンディング・パッド: すべてのボンディング・パッドの最小
サイズは 4.0 mil×6.0 mil です。パッシベーション・ウインドウ
の最小サイズは、3.6 mil×5.6 mil です。
ESD の注意
ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。電荷を帯びたデバイスや回路ボードは、検知されないまま放電
することがあります。本製品は当社独自の特許技術である ESD 保護回路を内蔵してはいますが、デバイスが高エネ
ルギーの静電放電を被った場合、損傷を生じる可能性があります。したがって、性能劣化や機能低下を防止するた
め、ESD に対する適切な予防措置を講じることをお勧めします。
Rev. E
- 4/12 -
AD780
動作原理
バンド・ギャップ・リファレンス電圧は、低電源電圧と低消費
電力のリファレンス電圧アプリケーションに対する高性能ソリ
ューションです。この技術では、正の温度係数を持つ電圧と負
の係数を持つトランジスタの Vbe とを組み合わせて、固定のバ
ンド・ギャップ電圧を発生しています。
AD780 のバンド・ギャップ・セルには、エミッタ面積差が 12 倍
もある 2 個の NPN トランジスタ(Q6 と Q7)が含まれています。
両 Vbe の差により、R5 に PTAT 電流が発生します。この電流に
より、R4 の両端に PTAT 電圧が発生し、この電圧と Q7 の Vbe
と組み合わせることにより、温度に対して変化しない電圧(Vbg)
が発生されます。抵抗の高精度レーザ・トリミングとその他の
当社の特許取得済み回路技術を使って、ドリフト性能をさらに
強化しています。
+VIN
NC
2
7
高ゲイン・アンプでの低ヘッドルーム・デザインは AD780 の独
自な機能であり、この機能により 4.5 V と低い入力電圧から高
精度の 3 V 出力を発生します(4.0 V の入力からは 2.5 V を発生)。
また、このアンプ・デザインを使用すると、出力端子に電流を
供給する際にデバイスは+VIN = VOUT で動作することができます。
このため、AD780 は 2 端子シャント・レギュレータとして動作
することができるので、外付け部品なしで−2.5 V または−3.0 V
のリファレンス電圧を出力することができます。
また、PTAT 電圧を使用して、約 2 mV/°C のレートで増加する
温度計電圧(ピン 3)を出力することもできます。
AD780 の NC (ピン 7)は+VIN に接続された 20 kΩ 抵抗であり、製
造時テストのみに使用されます。LT1019 のセルフ・ヒータ・ピ
ン(ピン 7)を使用中の場合には、ヒータ電源への負荷が異なるこ
とに注意する必要があります。
AD780
R10
AD780 の出力電圧は、アンプの帰還ループ内にある抵抗 R13、
R14、R15 の設定により決定されます。この設定により、 R15
(ピン 8)のグラウンドへの接続の有無に応じて、出力が 2.5 V ま
たは 3.0 V に設定されます。
R11
NC 1
6
VOUT
5
TRIM
R13
Q6
Q7
R16
R5
R14
TEMP 3
R15
R4
NC = NO CONNECT
8
O/P SELECT
2.5V – NC
3.0V – GND
00841-004
4
GND
図 4.回路図
Rev. E
- 5/12 -
AD780
AD780の応用
AD780 は、外付け部品なしで仕様性能を実現することができま
す。電源をピン 2 に接続しピン 4 をグラウンドに接続すると、
ピン 8 のグラウンドへの接続の有無に応じて、ピン 6 に 2.5 V ま
たは 3.0 V が出力されます。
アプリケーションでの負荷容量が 1 nF を超える場合には、1 µF
のバイパス・コンデンサ(+VIN と GND の間に接続)を使う必要が
あります。AD780 の 2.5 V モードでは 5 V で 700 µA(typ)の Iq が
流れ、この電流は 36 V まで約 2 µA/V で増加します。
1
2
7
+VIN
NC
VOUT 6
NC
AD780
1mF
RNULL
TRIM 5
1
0.1
0.1
1
10
LOAD CAPACITOR, C1 (mF)
R POT
100
図 6.補償コンデンサと負荷コンデンサの組み合わせ
TEMP
GND
O/P SELECT
2.5V – NC
3.0V – GND
4
8
NC = NO CONNECT
負荷に過渡現象がある場合には、C1 と C2 により AD780 のセト
リング性能も改善されます。ノイズ性能の改善を図 7、図 8、図
9、図 10 に示します。
00841-005
3
10
00841-006
COMPENSATION CAPACITOR, C2 (nF)
100
AMPLIFIER GAIN = 100
図 5.オプションの微調整回路
100mV
初期誤差は、VOUT、TRIM、GND の間に接続した 25 kΩ のポテ
ンショメータを 1 個使って除去することができます。この機能
は 4%の調整範囲を持つ粗調整であり、他のリファレンス電圧に
対する互換性のために用意されています。微調整は、大きな値
の抵抗(たとえば 1 MΩ~5 MΩ)をポテンショメータのワイパー
に直列に接続することにより行うことができます(図 5 参照)。
出力に対する比として表される調整範囲は、2.5 V モードまたは
3.0 V モードに対して、単純に 2.1 kΩ/RNULL 以上の値になります。
1s
100
90
10
0%
たとえば、100 ppm/°C のヌル抵抗を使用した調整回路で発生す
る 1 mV (0.03%) の 出 力 シ フ ト に よ り 、 出 力 ド リ フ ト 増 は
0.06 ppm/°C 以下になります(0.03% × 200 ppm/°C。これは AD780
の内部抵抗も 100 ppm/°C 以下の温度係数を持つためです)。
00841-007
外付けヌル抵抗は、除去される VOUT のパーセント値に等しい影
響を総合的な温度係数に対して与えます。
0.1 TO 10Hz
図 7.単体でのノイズ性能
NO AMPLIFIER
20mV
ノイズ性能
10ms
100
出力とグラウンドとの間に負荷コンデンサ(C1)を、TEMP ピン
とグラウンドとの間に補償コンデンサ(C2)をそれぞれ接続する
と、AD780 の優れたノイズ性能を必要に応じてさらに向上させ
ることができます。図 6 に適切な値を示します。
90
00841-008
10
0%
10Hz TO 10kHz
図 8.単体でのノイズ性能
Rev. E
- 6/12 -
AD780
2.0
+VIN
NC
1.6
VOUT 6
NC
1.2
AD780
1µF
TRIM 5
C2
TEMP
GND
O/P SELECT
2.5V – NC
3.0V – GND
4
8
C1
0.8
0.4
0
00841-009
3
NC = NO CONNECT
–0.4
図 9.ノイズ削減回路
–0.8
–60
00841-011
7
ERROR (mV)
1
2
–40
–20
0
20
40
60
80
TEMPERATURE (°C)
100
120
140
図 11.AD780BN の温度ドリフト(typ)
ノイズの比較
AD780 の広帯域ノイズ性能も ppm で表すことができます。C1
と C2 を使用したときの性能は 0.6 ppm (typ)です。外付けコンデ
ンサなしでの性能は 1.2 ppm(typ)です。
この性能は、LT1019 の仕様性能のそれぞれ 1/7 と 1/3 以下に改
善されています。
NO AMPLIFIER
20µV
TEMP 出力ピン
AD780 には、温度に比例して変化する TEMP 出力(ピン 3)があ
ります。この出力を使うと、システム周囲温度の変化をモニタ
ーして、必要に応じて、システムのキャリブレーションを開始
することができます。電圧 VTEMP は 25°C で 560 mV であり、温
度係数は約 2 mV/°C です。
図 12 に、非反転ゲイン= 5 のオペアンプ出力から取得した、温
度に対する VTEMP 特性カーブ(typ)を示します。
10ms
100
90
4.25
4.00
CIRCUIT CALIBRATED AT 25°C
REFER TO FIGURE 13
VOLTAGE (VOUT)
3.75
10
00841-010
0%
10Hz TO 10kHz
10mV PER °C
3.25
3.00
2.75
2.50
図 10.C1 = 100 µF と C2 = 100 nF によるノイズ性能の改善
2.00
–75
AD780 は、特許取得済みの回路デザイン技術、高精度薄膜抵抗、
ドリフト・トリム機能の組み合わせを使って、温度に対して優
れた性能を提供します。温度性能は ppm/°C を使って規定されて
います。これは、温度特性には非直線性があるためにデバイス
のテストと仕様にはボックス・テスト方法が使用されているた
めです。この非直線性は、図 11 に示す S 型カーブ特性を持って
います。ボックス・テスト方法では、このカーブを囲む長方形
ボックスを規定温度範囲での最大出力電圧と最小出力電圧を含
むように定めます。規定のドリフトは、このボックスの対角線
の傾きに一致します。
00841-012
2.25
温度性能
Rev. E
3.50
–50
–25
0
25
50
75
TEMPERATURE (°C)
100
125
150
図 12.温度ピンの伝達特性
TEMP 電圧はバンド・ギャップ・コア回路から得ているため、
このピンから電流を取り出すと、VOUT に大きな影響があります。
OP07、AD820、AD711 (これらはすべて VOUT で 100 µV 以下の
変化を発生)のような適切なオペアンプにより TEMP 出力をバッ
ファするように注意してください。ITEMP と VOUT の間の関係は、
∆VOUT = 5.8 mV/µA ITEMP (2.5 V レンジ)
または
∆VOUT = 6.9 mV/µA ITEMP (3.0 V レンジ)
- 7/12 -
AD780
0.85
VOUT に対する電流依存ファクタの敏感さに注意してください。
TEMP ピンに大きな電流が流れると(例え数十 µA でも)、VOUT と
TEMP 出力が損傷を受けます。
0.80
温度トランスジューサ回路
+25°C
0.75
+125°C
0.70
0.65
0.60
00841-014
QUIESCENT CURRENT (mA)
C1 と C2 の選択は、主に、出力高周波ノイズが早期にロールオ
フする比較的平坦な応答に対する必要性によって決定されます
が、これらのコンデンサの選択には大きな余裕があります。た
とえば、TEMP ピンに大きな C2 を接続して出力ピンには容量を
接続しないことも可能です。ただし、TEMP ピンには非常に小
さい容量または大きな容量を接続する必要があります。中間の
容量値では発振が生ずることがあります。いずれの場合でも、
図 6 の推奨事項に従う必要があります。
–55°C
4
36
図 13 に示す回路は、フルスケール出力範囲を広げるためにゲイ
ン= +5 程度で TEMP 出力の電圧を増幅する温度トランスジュー
サです。出力が正確に 10 mV/°C で変化するようにデジタル・ポ
テンショメータを使って出力を調整することができます。
温度に対する抵抗変化を小さくするときは、金属薄膜抵抗のよ
うな低温度係数を持つ抵抗を使う必要があります。
5V
2
+VIN
TEMP 3
AD820
AD780
GND
4
RB
1.27kΩ
(1%)
図 14.温度に対する電源電流(typ)
ターンオン時間
出力電圧が規定の誤差範囲内で最終値に到達するために要する
時間は、ターンオン・セトリング・タイムとして定義されます。
これに影響を与える主な 2 つのファクタは、アクティブ回路の
セトリング時間とチップ内の温度勾配が安定するために要する
時間です。セトリング性能(typ)を図 15 に示します。AD780 は
10 µs 以内に最終値の 0.1%以内に整定します。
10mV/°C
5V
RF
6.04kΩ (1%)
RBP
200Ω
VIN
0V
00841-013
1µF
INPUT VOLTAGE (V)
VOUT
2.500V
図 13.差動温度トランスジューサ
2.499V
AD780 の静止電流は、温度と入力電源範囲に対して少し変化し
ます。工業用製品のテスト規定値は 1 mA に、軍用温度範囲に
対しては 1.3 mA に、それぞれ規定されています。入力電圧と温
度の変動に対する性能(typ)を図 14 に示します。
00841-015
2.498V
温度に対する電源電流
10µs/DIV
図 15.ターンオン・セトリング・タイム性能
ダイナミック性能
AD780 の出力ステージは、優れたスタティックおよびダイナミ
ック負荷レギュレーションを持つようにデザインされています。
図 16 と図 17 に、0 mA~10 mA の負荷を駆動するときの AD780
の性能を示します。
Rev. E
- 8/12 -
AD780
+VIN
ILOAD
OUTPUT CHANGE (50mV/DIV)
0mA
2
AD780
VOUT
6
1mF
VOUT
0V
VL
VOUT
(CL = 1000pF)
00841-019
4
00841-016
249W
10mA
図 16.抵抗負荷での過渡電圧テスト回路
10ms/DIV
図 19.ダイナミック容量負荷でのセトリング
ILOAD
ライン・レギュレーション
10mA
ライン・レギュレーションとは、規定された入力電圧の変化に
よる出力電圧の変化を意味します。ワーストケースの非安定化
電源条件をシミュレートし、µV/V 値で測定することを意図して
います。図 20 に、4.0 V < VIN < 15.0 V での性能(typ)を示します。
VOUT (CL = 0pF)
200
T = 25°C
100
10ms/DIV
図 17.過渡抵抗負荷でのセトリング
ダイナミック負荷としては、抵抗と容量が可能です。たとえば、
長い容量性ケーブルを使って負荷を接続することができます。
図 18 と図 19 に、1000 pF を 0 mA~10 mA の負荷で駆動すると
きの AD780 の性能を示します。
0
–100
00841-020
OUTPUT CHANGE (mV)
00841-017
OUTPUT CHANGE (50mV/DIV)
0mA
–200
4
高分解能 5 V データ・コンバータ用の高精度リフ
ァレンス電圧
2
VOUT
6
CL
1000pF
1mF
4
VL
VOUT
0V
図 18.容量負荷での過渡電圧テスト回路
00841-018
249W
Rev. E
15
図 20.出力電圧変化対入力電圧
+VIN
AD780
10
INPUT VOLTAGE (V)
AD780 は、大部分の 5 V 高分解能 ADC 向けのリファレンス電
圧として最適です。AD780 は任意の容量負荷に対して安定で、
優れたダイナミック負荷性能を持ち、3.0 V 出力によりコンバー
タに対して高価なバッファアンプを追加することなく最大ダイ
ナミック・レンジを提供します。 AD780 が適している多くの
ADC の 内 の 1 つ は、高 速サ ンプリ ング 16 ビット ADC の
AD7884 です(図 21 参照)。このデバイスは、この機能を実現す
るためにこれまで高精度 5 V リファレンス電圧、抵抗デバイダ、
バッファ・アンプを必要としていました。
- 9/12 -
AD780
VSUPPLY
5V
AD7884
0.1µF
2
1kΩ
+VIN
1µF
2N2907
2
VREF + F
6
6
AD780
OP90
AD780
2
2.5V/3.0V
SELECT
4
8
VREF + S
–
6
VOUT
2.5kΩ
4
10µF
0.1µF
4
0.1µF
00841-021
GND
7
3 +
4kΩ
0.01%
5kΩ
0.01%
図 23.5 V 単電源からの 4.5 V リファレンス電圧
図 21.高速 16 ビット ADC の AD7884 向けの高精度 3 V リファレンス電圧
AD780 は、AD7710/AD7711/AD7712 のような高分解能コンバー
タに対しても最適です(図 22 参照)。これらの製品の仕様は 2.5 V
の内蔵リファレンス電圧で規定されていますが、AD780 を 3 V
モードで使用すると、絶対精度、温度安定性、ダイナミック・
レンジを向上させることができます。オプションのノイズ削減
コンデンサを 2 個使用した例を図 22 に示します。
3.9Ω
00841-023
VOUT
負の(–2.5 V)リファレンス電圧
AD780 をシャント・モードで使い、入力と出力をグラウンドに
接続し、AD780 の GND ピンをバイアス抵抗を介して負電源に
接続すると、負の出力電圧を発生することができます(図 25 参
照)。
5V
AD7710
2
2
7
+VIN
NC
+VIN
1µF
VOUT 6
NC
AD780
1µF
AD780
3
TRIM 5
3
100µF
GND
2.5V/3.0V
O/P SELECT
4
8
REF IN–
00841-022
100nF
1
REF IN+
6
R=
5 V 高分解能 ADC によっては、4.5 V までのリファレンス電圧
を使用することができる場合があります。AD780 を使うと、図
23 に示す回路を使って 5 V 電源から高精度 4.5 V リファレンス
電圧を発生することができます。この回路は、4.7 V と低い電源
電圧から安定化した 4.5 V 出力を発生することができます。10
µF の高品質タンタル・コンデンサと 0.1 µF のセラミック・コン
デンサとの並列接続と 3.9 Ω の抵抗により、50 MHz 付近で低出
力インピーダンスを実現することができます。
GND
O/P SELECT
2.5V – NC
3.0V – GND
4
8
–2.5 VOUT
NOTES
1. IL = LOAD CURRENT
2. IS MIN = MINIMUM SHUNT CURRENT
3. NC = NO CONNECT
VOUT – (V–)
IL + IS MIN
V–
図 22.高分解能 Σ-∆ ADC の AD7710 向けの高精度 2.5 V または 3.0 V
リファレンス電圧
5 V 電源からの 4.5 V リファレンス電圧
TEMP
00841-024
VOUT
図 24. 負電圧(−2.5 V のシャント・モード・リファレンス電圧)
–2.5 V のこの高精度リファレンス電圧は、最大 100 mA を負荷
に供給することができ、AD780 をシリーズ・モードで使い、さ
らに図 25 に示すブートストラップ回路を使うと、実現すること
ができます。
+5V
+VIN
2
1kΩ
OUT
6
AD780
8
+5V
4
CONNECT IF
–3V OUTPUT
DESIRED
–2.5V (IL ≤ 100mA)
–
OP07
2N3906
+
–5V
1000pF
図 25.−2.5 V の高負荷電流リファレンス電圧
Rev. E
- 10/12 -
00841-025
–5V
AD780
外形寸法
5.00 (0.1968)
4.80 (0.1890)
8
5
4.00 (0.1574)
3.80 (0.1497) 1
6.20 (0.2440)
5.80 (0.2284)
4
1.27 (0.0500)
BSC
0.25 (0.0098)
0.10 (0.0040)
1.75 (0.0688)
1.35 (0.0532)
0.51 (0.0201)
COPLANARITY
0.31 (0.0122)
SEATING
0.10
PLANE
0.50 (0.0196)
× 45°
0.25 (0.0099)
8°
0.25 (0.0098) 0° 1.27 (0.0500)
0.40 (0.0157)
0.17 (0.0067)
COMPLIANT TO JEDEC STANDARDS MS-012AA
CONTROLLING DIMENSIONS ARE IN MILLIMETERS; INCH DIMENSIONS
(IN PARENTHESES) ARE ROUNDED-OFF MILLIMETER EQUIVALENTS FOR
REFERENCE ONLY AND ARE NOT APPROPRIATE FOR USE IN DESIGN
図 26.8 ピン標準スモール・アウトライン・パッケージ[SOIC]
小型ボディ(R-8)
寸法: mm (インチ)
0.375 (9.53)
0.365 (9.27)
0.355 (9.02)
8
5
1
4
0.295 (7.49)
0.285 (7.24)
0.275 (6.98)
0.325 (8.26)
0.310 (7.87)
0.300 (7.62)
0.100 (2.54)
BSC
0.180
(4.57)
MAX
0.150 (3.81)
0.130 (3.30)
0.110 (2.79)
0.022 (0.56)
0.018 (0.46)
0.014 (0.36)
0.015
(0.38)
MIN
SEATING
PLANE
0.060 (1.52)
0.050 (1.27)
0.045 (1.14)
0.150 (3.81)
0.135 (3.43)
0.120 (3.05)
0.015 (0.38)
0.010 (0.25)
0.008 (0.20)
COMPLIANT TO JEDEC STANDARDS MO-095AA
CONTROLLING DIMENSIONS ARE IN INCHES; MILLIMETER DIMENSIONS
(IN PARENTHESES) ARE ROUNDED-OFF INCH EQUIVALENTS FOR
REFERENCE ONLY AND ARE NOT APPROPRIATE FOR USE IN DESIGN
図 27.8 ピン・プラスチック・デュアルインライン・パッケージ[PDIP]
(N-8)
寸法: インチ(mm)
Rev. E
- 11/12 -
AD780
Model
Initial Error
Temperature Range
Temperature Coefficient
Package Option
Qty. per Tube/Reel
AD780AN
AD780AR
AD780AR-REEL7
AD780ARZ1
AD780BN
AD780BR
AD780BRZ1
AD780BR-REEL
AD780BR-REEL7
AD780BRZ1
AD780BRZ-REEL71
AD780CR
AD780CR-REEL7
AD780CRZ1
±5.0 mV
±5.0 mV
±5.0 mV
±5.0 mV
±1.0 mV
±1.0 mV
±1.0 mV
±1.0 mV
±1.0 mV
±1.0 mV
±1.0 mV
±1.5 mV
±1.5 mV
±1.5 mV
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
−40°C to +85°C
7 ppm/°C
7 ppm/°C
7 ppm/°C
7 ppm/°C
3 ppm/°C
3 ppm/°C
3 ppm/°C
3 ppm/°C
3 ppm/°C
3 ppm/°C
3 ppm/°C
7 ppm/°C
7 ppm/°C
7 ppm/°C
PDIP
SOIC
SOIC
SOIC
PDIP
SOIC
SOIC
SOIC
SOIC
SOIC
SOIC
SOIC
SOIC
SOIC
48
98
750
98
48
98
98
2,500
750
98
750
98
750
98
1
Z = 鉛フリー製品
Rev. E
- 12/12 -
C00841–0–5/04(E)-J
オーダー・ガイド