耐応力性を向上させた高飽和磁束密度フェライト材料

新製品紹介
耐応力性を向上させた高飽和磁束密度フェライト材料
Stress Insensitive Ferrites with High Saturation Magnetic Flux Density
Ferrite materials : NL25S, MD25S
通信機器や自動車用電装品などに
「NL25S」「MD25S」の磁歪が零に
用いられるインダクターやアンテナ
近くなるように主組成の配合を改善
対応(図4)。
などの部品は,信頼性向上のために
するとともに,微量添加物や仮焼・
・ NL25S :低損失であることを最
樹脂モールドが施される場合がある
粉砕・焼結などフェライト材料のプ
優先とし,かつ応力印加時の損失
が,機器の小型・低背化の進行,使
ロセス条件の最適化を行うことによ
も従来材対比で約 1/2 以下に低減
用環境の変化などにより,樹脂モー
り,飽和磁束密度を低下させること
したことを特長とする材料。
ルドの応力に起因するこれら部品の
なく耐応力性を向上させた。
・ MD25S :応力依存性がほとん
磁気特性劣化が無視できないものに
1. 特 長
どなく,高応力印加時でも安定し
(2)広範な用途での低損失化要求に
なっている。日立金属はインダクター
新材質「NL25S」
「MD25S」は,日
やアンテナのコア材として,高い飽
立金属従来の高飽和磁束密度フェラ
和磁束密度(Bs)を有しながら,樹
イト材(透磁率μ 300材)と比べて,
脂が固化する過程や熱膨張係数の違
(1)同等の飽和磁束密度(Bs)を有
いで生じる応力に対して磁気特性変
し,応力印加によるインダクタン
化の小さいフェライト材料「NL25S」
ス変化率(
「MD25S」を開発した(図1)。
た磁気特性を有することを特長と
する材料。
2. 用 途
各種パワーインダクター,チョー
クコイル,アンテナ等(図1)
L/L)を 1/4 以下に
低減。(図2,図3)
(a)
Compression
Wire
10 mm
Ferrite core
(Shape: 2 mm x10 mm)
Change in inductance, ⊿L/L(%)
(情報部品カンパニー)
(b)
2
MD25S(μ250)
0
-2
NL25S(μ250)
-4
-6
Conventional material
(μ 300)
-8
-10
0
10
20
30
40
50
60
Axial compressive stress(MPa)
図1 各種フェライトコア
Fig. 1 Ferrite cores for inductors
図2 応力によるインダクタンス変化(a)測定方法(b)測定結果
Fig. 2 Change in inductance due to axial compressive stress
(a) test fixture and (b) evaluated result
500
450
New materials
MD25S NL25S
(μ250)
( μ250)
(a)
μ300
μ400
400
(b)
Compression
350
μ500
300
μ800
Wire
Conventional
materials
250
μ500
200
0
2
4
6
8
10
Change in inductance,|⊿L/L|(%)
under an axial compressive stress of 49 MPa
図3 応力下のインダクタンス変化率と飽和磁束
密度(100 ℃)の関係
Fig. 3 Relationship between change in
inductance, |⊿L/L|, and saturation
magnetic flux density, Bs, under an axial
compressive stress of 49 MPa at 100℃
Core loss, Pcv(kW/m3)
Saturation magnetic flux density,
Bs(mT)at 100℃
550
Ferrite core
(Shape: 8 mm x 4 mm x 2 mmt)
3,000
Conventional material
(μ300 )
2,000
1,000
NL25S
(μ250)
0
0
10
20
30
40
MD25S
(μ250)
50
60
Axial compressive stress(MPa)
図4 応力下のコアロス変化(1 MHz, 25 mT at 23 ℃)(a)測定方法(b)測定結果
Fig. 4 Change in core loss, Pcv, due to axial compressive stress under
activation flux of 25 mT and frequency of 1 MHz at 23 ℃
(a) test fixture and (b) evaluated result
日立金属技報 Vol. 26(2010) 75