放熱設計 CLL020 Series ※CLL022 Seriesを含む LEDの性能を最大限に発揮させる上で、必須要件となっているのが放熱設計です。 適切な放熱設計をしていただくために、本書では製品の詳細な放熱構造と照明機器などの 熱設計時に必要と思われる資料を参考として提供します。 CONTENTS 1. はじめに P.2 2. パッケージ構造と熱抵抗 P.2 3. パッケージ外の熱設計 P.3 4-1. シミュレーション(CLL020-1202A1) P.4 4-2. シミュレーション(CLL020-1203A1) P.5 4-3. シミュレーション(CLL020-1204A1) P.6 シチズン電子株式会社 〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1 TEL 0555-23-4121 http://ce.citizen.co.jp Copyright © 2010 CITIZEN ELECTRONICS CO., LTD. All Rights reserved. Ref.CE-P1613 10/11 放熱設計 CLL020 Series LEDが発した熱を効率的に伝導できる、 放熱構造となっています。 1. はじめに 放熱構造の重要性について LEDの発光素子は投入電力に応じた光と熱を発します。 し 外 郭 部 の 特 定 部 位の 温 度(ケース温 度) :T c [ ℃ ]を測 定し、 かしLEDパッケージでの表面積は非常に小さく、パッケージ ジャンクションとケース間の熱抵抗:Rj-c[℃/W]及び、発熱量 レベルでの大気中への熱放射はほとんど期待できません。そ ≒投入電力:Pd[W]を用いてTj[℃]を計算します。 のため、ヒートシンクなどの外部放熱器が必要となり、その放 CLL020シリーズのパッケージは、熱抵抗:Rj-cを最小限に 熱器との接続部位までは、主に熱伝導を利用した放熱構造と 抑える構造により、発光素子で発生した熱を効率的に外部放 なります。 熱器まで伝導させることが可能です。 LEDパッケージでは、発光素子のジャンクション温度:Tjの 本書では、CLL020シリーズの詳細な放熱構造を示すとと 管理が大変重要で、いかなる条件下においても仕様書の絶 もに、照明機器などの熱設計時に必要な資料を提供する事 対最大定格値以下にする必要があります。 しかしながら、Tjを でLEDの持つ性能を最大限に活かしていただく事を目的とし 直接的に測定することは困難であるため、通常はパッケージ ています。 2. パッケージ構造と熱抵抗 ジャンクション温度把握のために CLL020シリーズのパッケージを外部ヒートシンクに接続 シンクに伝わります。ここで、発光素子のジャンクション部か した場合の断面構造例を図1(a)に示します。パッケージは、 らパッケージ外郭部のアルミニウム基板面までの熱抵抗が アルミニウム基板と絶縁層ならびに通電用銅箔パターンの Rj-cとなり、パッケージ固有の熱抵抗値となります。 積層構造になっています。 従って、以下の式が成り立ちます。 ここで特徴的なのは、発光素子は熱伝導率の低い絶縁層 Tj = Rj-c・Pd + Tc 上ではなく熱伝導率の高いアルミニウム基板に直接マウント されていることです。これにより、発光素子で発生した熱を効 さらに パッケージ 外 部 のグリース( 接 着 剤)の 熱 抵 抗 は 率よくパッケージ外部へ伝導することが可能となります。 Rb[℃/W]、ヒートシンクの熱抵抗はRh[℃/W]、周囲環境温度 パッケージ外郭部のアルミニウム基板面は、放熱性のグリ はTa[℃]となります。 ース(または接着剤)を介してヒートシンクに熱的に接続され 図1(b)は図1(a)の断面図に沿っ ます。前述したように、発光素子のジャンクション部で発生す た等価熱抵抗を示しています。この る熱は主に熱伝導を利用し、発光素子→素子マウント用接着 ように、ジャンクション温度:T jと周 剤→アルミニウム基板→グリース(接着剤)を介して、ヒート 囲環境温度:Taの間に、熱抵抗Rj-c、 Rb、Rhが直列に接続されることとな ■図1(a)Cross Section Cross-section diagram LED die ります。ここで、パッケージ外の熱抵 Tj 抗であるRbとRhをまとめて熱抵抗 Aluminum Bond Rj-c Rc-aとすることもできます。 Tc ■図1(b)Thermal Resistance Connection Tj Rj-c Tc Rb Rj-c Tc Rc-a Rh つまり、以下の式も成り立ちます。 Rb Ta Heat Sink Tj Rh Ta Tj = ( Rj-c + Rc-a )・Pd + Ta Ta 2 Copyright © 2010 CITIZEN ELECTRONICS CO., LTD. All Rights reserved. シチズン電子株式会社 〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1 TEL 0555 -23 - 4121 http://ce.citizen.co.jp Ref.CE-P1613 10/11 放熱設計 CLL020 Series パッケージ外熱抵抗と周囲環境温度の相関を 外部放熱機構を設計する上での参考としてお役立て下さい。 3. パッケージ外の熱設計 外部放熱機構のポイントについて 放熱用グリース(接着剤)とヒートシンクを合わせたパッ 温度:Taとパッケージ外熱抵抗:Rc-aの関係を駆動電流別に ケージ外熱抵抗:Rc-a[℃/W]は、投入電力:Pd[W]、および周 表したグラフです。 囲環境温度:Ta[℃]、ならびにパッケージ熱抵抗:Rj-c[℃/W] 周囲環境温度:Taが高くなるほど、そして駆動電流値が大 で制限されます。 きくなるほど許容されるパッケージ外熱抵抗:Rc-a=Rb+Rh つまり、 が小さくなっていきます。 つまりTjを仕様書上の絶対最大定格値である150℃に抑える Tj = ( Rj-c + Rc-a )・Pd + Ta Rc-a =( Tj - Ta ) / Pd - Rj-c ためには、周囲環境温度が高くなるほど、そして駆動電流値が これをTjの関数にすると、 大きくなるほど、 より熱抵抗の小さい≒放熱性能の高いグリー ス(接着剤)およびヒートシンクが必要になることを示していま Rc-a = -Ta / Pd + Tj / Pd - Rj-c す。 よって、外部放熱部材選定の際には図2をひとつの目安とし となり、傾き-1/Pdで切片がTj/ Pd - Rj-cの直線になります。 ていただき、最終的には実機による熱検証をお願い致します。 図2はCLL020-1202A1パッケージにおいて、Tjを仕様書上 図3にCLL020-1203A1、図4にCLL030-1204A1、パッケージ の絶対最大定格値である150℃に想定した場合の、周囲環境 における同様のグラフを示します。 ■図2 Ta-Rc-a(CLL020-1202A1) ■図3 Ta-Rc-a(CLL020-1203A1) Rj-c=3.7(℃/W) (℃/W)60 50 240mA 120mA 180mA 80mA Rj-c=2.6(℃/W) (℃/W)40 30 360mA 180mA 270mA 120mA 40 20 30 20 10 10 0 0 0 10 20 30 40 50 60 Ta 70 0 80 10 20 30 40 Ta (℃) 50 60 70 80 (℃) ■図4 Ta-Rc-a(CLL030-1204A1) Rj-c=2.1(℃/W) (℃/W)30 25 480mA 240mA 360mA 160mA 20 15 10 5 0 0 20 40 Ta 60 80 (℃) 3 Copyright © 2010 CITIZEN ELECTRONICS CO., LTD. All Rights reserved. シチズン電子株式会社 〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1 TEL 0555 -23 - 4121 http://ce.citizen.co.jp Ref.CE-P1613 10/11 放熱設計 CLL020 Series 4-1. シミュレーション(CLL020-1202A1) Structure figure of analytical model 有効な熱設計のために Tc point(Cathode) 熱設計を行う際には、シミュレーションも有効な手段のひ CLL020-1202A1 とつ に なります。参 考 の た め 、下 記 条 件 のもと、C L L 0 2 0 Thermal conductive grease 1202A1パッケージを熱伝導性シートでヒートシンクに接続 した時の、シミュレーション結果を図5(a)、(b)に示します。 境界条件 L 周囲環境温度 : Ta=25℃ 解析空間 : 300mm×300mm×(250+L)mm 壁面条件 : 上面=Open、他面=25℃ 放熱条件 : 自然対流 W ( Variable ) H モデル条件 熱伝導性シートの熱伝導率 : 4.5W/m・K 熱伝導性シートの厚み : t=0.12mm ヒートシンクの材質 : アルミ (フィン数=6) 外形 : W 64mm × H 40mm (可変)mm *断面積:1099mm 2、L: ■図5(a) Characteristic of heat sink surface area - junction temperature Tj ■図5(b)Characteristic of input power - junction temperature Tj (℃)60 (℃) 80 58 70 56 Input Power : 4.4W 60 54 52 50 50 40 48 30 46 10 42 40 S = 200,000mm2 20 44 0 50,000 100,000 150,000 200,000 Surface area of the heatsink 250,000 0 300,000 0 2 4 6 Input power (mm2) 8 10 12 (W) ※上記データはシミュレーション値であり、実際の測定値を保障したものではありません。 実際に使用する条件で、評価、検証を行って下さい。 4 Copyright © 2010 CITIZEN ELECTRONICS CO., LTD. All Rights reserved. シチズン電子株式会社 〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1 TEL 0555 -23 - 4121 http://ce.citizen.co.jp Ref.CE-P1613 10/11 放熱設計 CLL020 Series 4-2. シミュレーション(CLL020-1203A1) Structure figure of analytical model 有効な熱設計のために Tc point(Cathode) 熱設計を行う際には、シミュレーションも有効な手段のひ CLL020-1203A1 とつ に なります。参 考 の た め 、下 記 条 件 のもと、C L L 0 2 0 Thermal conductive grease 1203A1パッケージを熱伝導性シートでヒートシンクに接続 した時の、シミュレーション結果を図6(a)、(b)に示します。 境界条件 L 周囲環境温度 : Ta=25℃ 解析空間 : 300mm×300mm×(250+L)mm 壁面条件 : 上面=Open、他面=25℃ 放熱条件 : 自然対流 W ( Variable ) H モデル条件 熱伝導性シートの熱伝導率 : 4.5W/m・K 熱伝導性シートの厚み : t=0.12mm ヒートシンクの材質 : アルミ (フィン数=6) 外形 : W 64mm × H 40mm (可変)mm *断面積:1099mm 2、L: ■図6(a) Characteristic of heat sink surface area - junction temperature Tj ■図6(b)Characteristic of input power - junction temperature Tj (℃)70 (℃) 90 80 Input Power : 6.6W 65 70 60 60 50 55 40 50 30 S = 200,000mm2 20 45 10 40 0 50,000 100,000 150,000 200,000 Surface area of the heatsink 250,000 0 300,000 0 5 10 Input power (mm2) 15 20 (W) ※上記データはシミュレーション値であり、実際の測定値を保障したものではありません。 実際に使用する条件で、評価、検証を行って下さい。 5 Copyright © 2010 CITIZEN ELECTRONICS CO., LTD. All Rights reserved. シチズン電子株式会社 〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1 TEL 0555 -23 - 4121 http://ce.citizen.co.jp Ref.CE-P1613 10/11 放熱設計 CLL020 Series 4-3. シミュレーション(CLL020-1204A1) Structure figure of analytical model 有効な熱設計のために Tc point(Cathode) 熱設計を行う際には、シミュレーションも有効な手段のひ CLL020-1204A1 とつ に なります。参 考 の た め 、下 記 条 件 のもと、C L L 0 2 0 Thermal conductive grease 1204A1パッケージを熱伝導性シートでヒートシンクに接続 した時の、シミュレーション結果を図7(a)、(b)に示します。 境界条件 L 周囲環境温度 : Ta=25℃ 解析空間 : 300mm×300mm×(250+L)mm 壁面条件 : 上面=Open、他面=25℃ 放熱条件 : 自然対流 W ( Variable ) H モデル条件 熱伝導性シートの熱伝導率 : 4.5W/m・K 熱伝導性シートの厚み : t=0.12mm ヒートシンクの材質 : アルミ (フィン数=6) 外形 : W 64mm × H 40mm (可変)mm *断面積:1099mm 2、L: ■図7(a) Characteristic of heat sink surface area - junction temperature Tj ■図7(b)Characteristic of input power - junction temperature Tj (℃)75 (℃)100 90 70 80 Input Power : 8.8W 65 70 60 60 50 55 40 30 50 S = 200,000mm2 20 45 10 40 0 50,000 100,000 150,000 200,000 Surface area of the heatsink 250,000 0 300,000 0 5 10 15 Input power (mm2) 20 25 (W) ※上記データはシミュレーション値であり、実際の測定値を保障したものではありません。 実際に使用する条件で、評価、検証を行って下さい。 6 Copyright © 2010 CITIZEN ELECTRONICS CO., LTD. All Rights reserved. シチズン電子株式会社 〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1 TEL 0555 -23 - 4121 http://ce.citizen.co.jp Ref.CE-P1613 10/11 ● 本書に掲載している技術情報及びデータの使用によって生じる、あるいは、使用できな かったことによって生じる不利益や損害、訴訟原因に対する責任、その他あらゆる損害、 損失について、 シチズン電子株式会社はその責任を一切負いません。 ● 本技術情報及びデータは利用者に対し、現状で提供されるものであり、シチズン電子株 式会社は、本技術情報及びデータ上の誤りその他の瑕疵のないこと、本技術情報及び データが特定目的に適合すること並びに本技術情報及びデータ及びその使用が利用者 又は利用者以外の第三者の権利を侵害するものでないこと、その他のいかなる内容につ いての保証も行うものではありません。 ● シチズン電子株式会社は通知なしに技術情報及びデータを変更する権利を留保します。 掲載されている情報(文章、写真、画像など)は、著作権の対象であり、法律によって保護されています。 これらの情報について、 「私的使用のための複製」や「引用」など著作権法上認められた場合を除き、 シチズン電子株式会社の許可なく複製、転用等する事は法律で禁止されています。 シチズン電子株式会社 〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1 TEL 0555-23-4121 http://ce.citizen.co.jp お問い合わせ [email protected] 照明用LEDサイト http://ce.citizen.co.jp/lighting_led/jp/ Ref.CE-P1613 10/11