放熱設計 CL - L251 Series LEDの性能を最大限に発揮させる上で、必須要件となっているのが放熱設計です。 適切な放熱設計をしていただくために、本書では製品の詳細な放熱構造と照明機器などの 熱設計時に必要と思われる資料を参考として提供します。 CONTENTS 1. はじめに P.2 2. パッケージ構造と熱抵抗 P.2 3. パッケージ外の熱設計 P.3 4-1. シミュレーション(CL - L251- C4) P.4 4-2. シミュレーション(CL - L251- C6) P.5 シチズン電子株式会社 〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1 TEL 0555-23-4121 http://ce.citizen.co.jp Copyright © 2010 CITIZEN ELECTRONICS CO., LTD. All Rights reserved. Ref.CE-P790 07/10 R1(0411) 放熱設計 CL - L251 Series LEDが発した熱を効率的に伝導できる、 放熱構造となっています。 1. はじめに 放熱構造の重要性について LEDの発光素子は投入電力に応じた光と熱を発します。し 郭部の特定部位の温度(ケース温度) :Tc[℃]を測定し、 ジャン かしLEDパッケージでの表面積は非常に小さく、パッケージレ クションとケース間の熱抵抗:Rj-c[℃/W]及び、発熱量㲈投入 ベルでの大気中への熱放射はほとんど期待できません。その 電力:Pd[W]を用いてTj[℃]を計算します。 ため、ヒートシンクなどの外部放熱器が必要となり、その放熱 CL-L251シリーズのパッケージは、熱抵抗:Rj-cを最小限 器との接続部位までは、主に熱伝導を利用した放熱構造とな に抑える構造により、発光素子で発生した熱を効率的に外部 ります。 放熱器まで伝導させることが可能です。 LEDパッケージでは、発光素子のジャンクション温度:Tjの 本書では、CL-L251シリーズの詳細な放熱構造を示すとと 管理が大変重要で、いかなる条件下においても仕様書の絶対 もに、照明機器などの熱設計時に必要な資料を提供する事で 最大定格値以下にする必要があります。 しかしながら、Tjを直 LEDの持つ性能を最大限に活かしていただく事を目的として 接的に測定することは困難であるため、通常はパッケージ外 います。 2. パッケージ構造と熱抵抗 ジャンクション温度把握のために CL-L251シリーズのパッケージを外部ヒートシンクに接続 伝わります。 ここで、発光素子のジャンクション部からパッケー した場合の断面構造例を図1(a)に示します。パッケージは、ア ジ外郭部のアルミニウム基板面までの熱抵抗がRj-cとなり、 ルミニウム基板と絶縁層ならびに通電用銅箔パターンの積層 パッケージ固有の熱抵抗値となります。 構造になっています。 従って、以下の式が成り立ちます。 ここで特徴的なのは、発光素子は熱伝導率の低い絶縁層上 Tj = Rj-c・Pd + Tc ではなく熱伝導率の高いアルミニウム基板に直接マウントされ ていることです。 これにより、発光素子で発生した熱を効率よく さらにパッケ ージ 外 部 のグリース( 接 着 剤 )の 熱 抵 抗 は パッケージ外部へ伝導することが可能となります。 Rb[℃/W]、ヒートシンクの熱抵抗はRh[℃/W]、周囲環境温 パッケージ外郭部のアルミニウム基板面は、放熱性のグリー 度はTa[℃]となります。 ス (または接着剤) を介してヒートシンクに熱的に接続されます。 図1(b)は図1(a)の断面図に沿っ 前述したように、発光素子のジャンクション部で発生する熱は た等価熱抵抗を示しています。 このよ 主に熱伝導を利用し、発光素子→素子マウント用接着剤→ア うに、ジャンクション温度:Tjと周囲 ルミニウム基板→グリース(接着剤)を介して、ヒートシンク ヒートシンクに 環 境 温 度:Taの間に、熱 抵 抗 R j - c 、 Tj ■図1(a)Cross Section Rb、Rhが直列に接続されることとな Rj-c ります。ここで、パッケージ外の熱抵 Tc 抗であるRbとRhをまとめて熱抵抗 Rb Cross-section diagram LED die Aluminum Bond Tj Rj-c Rc-aとすることもできます。 Tc ■図1(b)Thermal Resistance Connection Rj-c Tc Rc-a Rh つまり、以下の式も成り立ちます。 Rb Ta Heat Sink Tj Rh Ta Tj = ( Rj-c + Rc-a )・Pd + Ta Ta 2 Copyright © 2010 CITIZEN ELECTRONICS CO., LTD. All Rights reserved. シチズン電子株式会社 〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1 TEL 0555 -23 - 4121 http://ce.citizen.co.jp Ref.CE-P790 07/10 R1(0411) 放熱設計 CL - L251 Series パッケージ外熱抵抗と周囲環境温度の相関を 外部放熱機構を設計する上での参考としてお役立て下さい。 3. パッケージ外の熱設計 外部放熱機構のポイントについて 放熱用グリース (接着剤) とヒートシンクを合わせたパッケー 度:Taとパッケージ外熱抵抗:Rc-aの関係を駆動電流別に表 ジ外熱抵抗:Rc-a[℃/W]は、投入電力:Pd[W]、および周囲 したグラフです。 環境温度:Ta[℃]、ならびにパッケージ熱抵抗:Rj-c[℃/W]で 周囲環境温度:Taが高くなるほど、そして駆動電流値が大き 制限されます。 くなるほど許容されるパッケージ外熱抵抗:Rc-a=Rb+Rhが つまり、 小さくなっていきます。 つまりTjを仕様書上の絶対最大定格値である120℃に抑え Tj = ( Rj-c + Rc-a )・Pd + Ta Rc-a = ( Tj - Ta ) / Pd - Rj-c るためには、周囲環境温度が高くなるほど、そして駆動電流値 これをTjの関数にすると、 が大きくなるほど、 より熱抵抗の小さい㲈放熱性能の高いグリー ス(接着剤)およびヒートシンクが必要になることを示していま Rc-a = -Ta / Pd + Tj / Pd - Rj-c す。 よって、外部放熱部材選定の際には図2をひとつの目安とし となり、 傾き-1/ Pdで切片がTj / Pd - Rj-cの直線になります。 ていただき、最終的には実機による熱検証をお願い致します。 図2はCL-L251-C4パッケージにおいて、Tjを仕様書上の また参考のため、図3にCL-L251-C6パッケージにおける同 絶対最大定格値である120℃に想定した場合の、周囲環境温 様のグラフを示します。 ■図2 Ta-Rc-a(CL-L251-C4) ■図3 Ta-Rc-a(CL-L251-C6) (Ŋ/W) 35 240mA 30 350mA 350mA 25 480mA 30 480mA 25 560mA 700mA 20 20 15 840mA 15 10 10 5 5 0 Rj-c=4(Ŋ/W) 35 Rc-a 40 Rc-a (Ŋ/W) Rj-c=6(℃/W) 45 0 20 40 60 Ta 80 0 100 0 20 40 60 Ta (Ŋ) 3 80 100 (Ŋ) Copyright © 2010 CITIZEN ELECTRONICS CO., LTD. All Rights reserved. シチズン電子株式会社 〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1 TEL 0555 -23 - 4121 http://ce.citizen.co.jp Ref.CE-P790 07/10 R1(0411) 放熱設計 CL - L251 Series 4-1. シミュレーション(CL-L251-C4) 有効な熱設計のために 熱設計を行う際には、シミュレーションも有効な手段のひと Structure figure of analytical model つになります。参 考のため、下 記 条 件のもと、C L- L 2 5 1 - C 4 Tc point(Cathode) パッケージを熱伝導性シートでヒートシンクに接続した時の、 CL-L251-C4 シミュレーション結果を図4(a)、 ( b)に示します。 Thermal conductive grease 境界条件 周囲環境温度 : Ta=25℃ 熱伝導率 : 5W/m・K ヒートシンクの放熱係数 : 0.2 接触抵抗 W : 考慮しない L ( Variable ) モデル条件 H 熱伝導性シートの熱伝導率 : 1.2W/m・K 熱伝導性シートの厚み : t=0.12mm ヒートシンクの材質 : アルミ (フィン数=7) 外形 : W : 31.5mm H : 12mm L : (変化させる)mm ■図4(a)Characteristic of heat sink surface area - junction temperature Tj ■図4(b)Characteristic of heat surface sink area - input power (Ŋ)200 (U)11 10 Input Power : 4.63W(Rated input) 160 8 140 Tj MAX 120 100 80 60 7 6 5 4 Absolute Maximum Rating 3 40 2 20 1 0 Tj=120℃ 9 Input epower Junction temperature Tj 180 0 5000 10000 15000 20000 25000 Surface area of heatsink 30000 0 35000 40000 0 5000 10000 15000 20000 25000 Surface area of heatsink 2 (mm ) 30000 35000 40000 (mm2) ※上記データはシミュレーション値であり、実際の測定値を保障したものではありません。 実際に使用する条件で、評価、検証を行って下さい。 4 Copyright © 2010 CITIZEN ELECTRONICS CO., LTD. All Rights reserved. シチズン電子株式会社 〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1 TEL 0555 -23 - 4121 http://ce.citizen.co.jp Ref.CE-P790 07/10 R1(0411) 放熱設計 CL - L251 Series 4-2. シミュレーション(CL-L251-C6) Tc point(Cathode) また、下記の条件のもと、CL-L251-C6パッケージを熱伝 CL-L251-C6 導性シートでヒートシンクに接続した時の、シミュレーション 結果を図5(a)、(b)に示します。 Thermal conductive grease 境界条件 周囲環境温度 : Ta=25℃ 熱伝導率 : 5W/m・K L W ( Variable ) ヒートシンクの放熱係数 : 0.2 接触抵抗 : 考慮しない H モデル条件 熱伝導性シートの熱伝導率 : 4.5W/m・K 熱伝導性シートの厚み : t=0.12mm ヒートシンクの材質 : アルミ (フィン数=6) 外形 : W : 64mm H : 40mm L : (変化させる)mm 100 (Ŋ) (Ŋ)120 95 110 Junction Temperature Tj ■図5(b)Characteristic of input power - junction temperature Tj Junction temperature Tj ■図5(a) Characteristic of heat sink surface area - junction temperature Tj 90 Input Power : 6.7W ( Rated input ) 85 80 75 70 65 100 S = 26613mm2 90 80 70 60 50 40 30 60 0 50000 100000 150000 200000 Surface area of the heatsink 250000 20 300000 2 3 4 5 Pd (mm2) 6 7 8 (W) ※上記データはシミュレーション値であり、実際の測定値を保障したものではありません。 実際に使用する条件で、評価、検証を行って下さい。 5 Copyright © 2010 CITIZEN ELECTRONICS CO., LTD. All Rights reserved. シチズン電子株式会社 〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1 TEL 0555 -23 - 4121 http://ce.citizen.co.jp Ref.CE-P790 07/10 R1(0411) ● 本書に掲載している技術情報及びデータの使用によって生じる、 あるいは、使用できな かったことによって生じる不利益や損害、訴訟原因に対する責任、 その他あらゆる損害、 損失について、 シチズン電子株式会社はその責任を一切負いません。 ● 本技術情報及びデータは利用者に対し、現状で提供されるものであり、 シチズン電子株 式会社は、本技術情報及びデータ上の誤りその他の瑕疵のないこと、本技術情報及び データが特定目的に適合すること並びに本技術情報及びデータ及びその使用が利用者 又は利用者以外の第三者の権利を侵害するものでないこと、 その他のいかなる内容につ いての保証も行うものではありません。 ● シチズン電子株式会社は通知なしに技術情報及びデータを変更する権利を留保します。 掲載されている情報 (文章、写真、 画像など) は、著作権の対象であり、 法律によって保護されています。 これらの情報について、 「私的使用のための複製」 や 「引用」 など著作権法上認められた場合を除き、 シチズン電子株式会社の許可なく複製、 転用等する事は法律で禁止されています。 シチズン電子株式会社 〒403-0001 山梨県富士吉田市上暮地1-23-1 TEL 0555-23-4121 http://ce.citizen.co.jp お問い合わせ [email protected] 照明用LEDサイト http://ce.citizen.co.jp/lighting_led/jp/ Ref.CE-P790 07/10 R1(0411)