LT3092 プログラム可能な 200mA 2端子電流源 特長 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 概要 プログラム可能な2端子電流源 最大出力電流:200mA 広い入力電圧範囲:1.2V∼40V 入力/出力コンデンサが不要 抵抗比により出力電流を設定 SETピン電流の初期精度:1% 逆電圧保護 逆電流保護 ライン・レギュレーション:<0.001%/V (標準) 電流制限およびサーマル・シャットダウン 8ピンSOT-23、3ピンSOT-223、 8ピン3mm × 3mm DFN パッケージ アプリケーション 2端子フローティング電流源 GND 基準の電流源 ■ 可変電流源 ■ インライン・リミッタ ■ 本質安全回路 LT®3092はプログラム可能な2端子電流源です。 このデバイス は2本の抵抗のみで0.5mA∼200mA範囲の出力電流を設定 できます。数々のアナログ技術により、 出力電流をアクティブに 設定できます。LT3092は入出力コンデンサなしで安定し、高い DCおよびACインピーダンスを実現するので、本質安全アプリ ケーションで動作可能です。 SETピンは1%の初期精度と低い温度係数を特長としていま す。1.5V∼40Vでの電流レギュレーションは10ppm/Vよりも良 好です。 LT3092 は信号線と直列に接続して2端子電流源構成で動作 可能です。 センサのドライブ、 リモート電源に加え、 ローカル電 源用の高精度電流リミッタに最適です。 ■ 内部保護回路には、逆バッテリおよび逆電流保護、電流制 限、熱制限などがあります。LT3092は8ピンTSOT-23、3ピン SOT-223および8ピン3mm 3mm DFNパッケージで供給され ます。 ■ 、LT、LTC、LTM、Linear TechnologyおよびLinearのロゴはリニアテクノロジー社の登録商標 です。 その他すべての商標の所有権は、 それぞれの所有者に帰属します。 標準的応用例 調整可能な2端子電流源 SETピン電流と温度 VIN – VOUT = 1.2V TO 40V 10.100 IN 10.075 SET PIN CURRENT (µA) LT3092 10µA + – SET OUT RSET ROUT R SET ROUT 10.025 10.000 9.975 9.950 9.925 3092 TA01a ISOURCE = 10µA • 10.050 9.900 –50 –25 0 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 3092 TA01b 3092fb 1 LT3092 絶対最大定格 (Note 1)全ての電圧はVOUTを基準 SET、OUTを基準としたINピンの電圧. .............................. ±40V SETピンの電流(Note 6) ................................................. ±15mA SETピンの電圧(OUTを基準、Note 6) ............................... ±10V 出力短絡時間 ................................................................無制限 動作接合部温度範囲(Note 2、Note 8) Eグレード、Iグレード .................................... −40℃~125℃ MPグレード................................................... −55℃~125℃ 保存温度範囲................................................... −65℃~150℃ リード温度(STパッケージ、TS8パッケージのみ) 半田付け、10秒 ............................................................ 300℃ ピン配置 TOP VIEW OUT 1 OUT 2 NC 3 SET 4 TOP VIEW 8 IN 9 7 IN TAB IS OUT 6 NC 5 NC DD PACKAGE 8-LEAD (3mm × 3mm) PLASTIC DFN TJMAX = 125°C, θJA = 28°C/W, θJC = 10°C/W EXPOSED PAD (PIN 9) IS OUT, MUST BE SOLDERED TO OUT ON THE PCB. SEE THE APPLICATIONS INFORMATION SECTION. 3 IN 2 OUT 1 SET TOP VIEW ST PACKAGE 3-LEAD PLASTIC SOT-223 TJMAX = 125°C, θJA = 24°C/W, θJC = 15°C/W TAB IS OUT, MUST BE SOLDERED TO OUT ON THE PCB. SEE THE APPLICATIONS INFORMATION SECTION. 8 IN 7 IN 6 NC 5 SET NC 1 OUT 2 OUT 3 OUT 4 TS8 PACKAGE 8-LEAD PLASTIC TSOT-23 TJMAX = 125°C, θJA = 57°C/W, θJC = 15°C/W 発注情報 鉛フリー仕様 テープアンドリール 製品マーキング* パッケージ 温度範囲 LT3092EDD#PBF LT3092EDD#TRPBF LFJD 8-Lead (3mm × 3mm) Plastic DFN –40°C to 125°C LT3092IDD#PBF LT3092IDD#TRPBF LFJD 8-Lead (3mm × 3mm) Plastic DFN –40°C to 125°C LT3092EST#PBF LT3092EST#TRPBF 3092 3-Lead Plastic SOT-223 –40°C to 125°C LT3092IST#PBF LT3092IST#TRPBF 3092 3-Lead Plastic SOT-223 –40°C to 125°C LT3092MPST#PBF LT3092MPST#TRPBF 3092MP 3-Lead Plastic SOT-223 –55°C to 125°C LT3092ETS8#PBF LT3092ETS8#TRPBF LTFJW 8-Lead Plastic SOT-23 –40°C to 125°C LT3092ITS8#PBF LT3092ITS8#TRPBF LTFJW 8-Lead Plastic SOT-23 –40°C to 125°C 鉛ベース仕様 テープアンドリール 製品マーキング* パッケージ 温度範囲 LT3092EDD LT3092EDD#TR LFJD 8-Lead (3mm × 3mm) Plastic DFN –40°C to 125°C LT3092IDD LT3092IDD#TR LFJD 8-Lead (3mm × 3mm) Plastic DFN –40°C to 125°C LT3092EST LT3092EST#TR 3092 3-Lead Plastic SOT-223 –40°C to 125°C LT3092IST LT3092IST#TR 3092 3-Lead Plastic SOT-223 –40°C to 125°C LT3092MPST LT3092MPST#TR 3092MP 3-Lead Plastic SOT-223 –55°C to 125°C LT3092ETS8 LT3092ETS8#TR LTFJW 8-Lead Plastic SOT-23 –40°C to 125°C LT3092ITS8 LT3092ITS8#TR LTFJW 8-Lead Plastic SOT-23 –40°C to 125°C さらに広い動作温度範囲で規定されるデバイスについては、弊社または弊社代理店にお問い合わせください。 *温度グレードは出荷時のコンテナのラベルで識別されます。 鉛フリー仕様の製品マーキングの詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/leadfree/ をご覧ください。 テープアンドリールの仕様の詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/tapeandreel/ をご覧ください。 3092fb 2 LT3092 電気的特性 ●は全動作温度範囲での規格値を意味する。 それ以外はTJ = 25℃での値。(Note 2) PARAMETER CONDITIONS MIN TYP MAX UNITS 10 10 10.1 10.2 µA µA 2 4 mV mV –0.1 –0.5 –2 nA mV 0.03 0.003 0.2 0.010 SET Pin Current ISET VIN = 2V, ILOAD = 1mA 2V ≤ VIN ≤ 40V, 1mA ≤ ILOAD ≤ 200mA l 9.9 9.8 Offset Voltage (VOUT – VSET) VOS VIN = 2V, ILOAD = 1mA VIN = 2V, ILOAD = 1mA l –2 –4 Current Regulation (Note 7) ∆ISET ∆VOS ∆ILOAD = 1mA to 200mA ∆ILOAD = 1mA to 200mA l Line Regulation ∆ISET ∆VOS ∆VIN = 2V to 40V, ILOAD = 1mA ∆VIN = 2V to 40V, ILOAD = 1mA nA/V mV/V Minimum Load Current (Note 3) 2V ≤ VIN ≤ 40V l 300 500 µA Dropout Voltage (Note 4) ILOAD = 10mA ILOAD = 200mA l l 1.22 1.3 1.45 1.65 V V Current Limit VIN = 5V, VSET = 0V, VOUT = –0.1V l Reference Current RMS Output Noise (Note 5) Ripple Rejection Thermal Regulation ISET 300 mA 10Hz ≤ f ≤ 100kHz 0.7 nARMS f = 120Hz, VRIPPLE = 0.5VP-P, ILOAD = 0.1A, CSET = 0.1µF, COUT = 2.2µF f = 10kHz f = 1MHz 90 dB 75 20 dB dB 10ms Pulse Note 1:絶対最大定格に記載された値を超えるストレスはデバイスに永続的損傷を与える可 能性がある。長期にわたって絶対最大定格条件に曝すと、 デバイスの信頼性と寿命に悪影響 を与える可能性がある。 Note 2:注記がない限り、 全ての電圧はVOUTを基準にしている。LT3092EはTJがほぼTAに等しい などのパルス負荷条件のもとでテストされ、仕様が規定されている。LT3092EはTA = 25℃で全 数テストされている。−40℃と125℃の温度での性能は設計、特性評価および統計学的なプロ セス・コントロールとの相関で確認されている。LT3092Iは−40℃~125℃の全動作接合部温 度範囲で規定された全データシートの仕様に適合することが保証されている。LT3092MPは −55℃~125℃の動作接合部温度範囲で全数テストされ、保証されている。 Note 3:最小負荷電流はデバイスの消費電流に相当する。 全ての消費電流とドライブ電流はデ バイスの出力に供給されるので、最小負荷電流は安定化を維持するのに必要な最小電流であ る。 200 0.003 %/W Note 4:LT3092の場合、 Dropoutは所定の出力電流を供給するのに必要な最小入力-出力間電 圧差として規定されている。 Note 5:出力ノイズは、 リファレンス電流抵抗の両端に小容量のコンデンサを追加することに よって減少する。 このコンデンサの追加により、抵抗のショット・ノイズとリファレンス電流ノイ ズがバイパスされる(「アプリケーション情報」 を参照)。 Note 6:SETピンは、 1k抵抗と直列接続されたダイオードOUTピンによってクランプされる。 これ らのダイオードと抵抗には、過渡的な過負荷状態のときだけ電流が流れる。 Note 7:電流レギュレーションはパッケージでケルビン検出される。 Note 8:このデバイスには、 短時間の過負荷状態の間デバイスを保護する過温度保護機能が 備わっている。過温度保護機能がアクティブなとき、接合部温度は最大動作接合部温度を超 える。規定された最大動作接合部温度を超えた動作が継続すると、 デバイスの信頼性を損な う恐れがある。 3092fb 3 LT3092 標準的性能特性 SETピンの電流 SETピンの電流の分布 オフセット電圧(VOUTVSET) 2.0 N = 1326 10.075 1.5 10.050 1.0 OFFSET VOLTAGE (mV) SET PIN CURRENT (µA) 10.100 10.025 10.000 9.975 9.950 0.5 0.0 –0.5 –1.0 –1.5 9.925 9.900 –50 –25 0 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 3092 G01 10 10.20 9.90 10.10 SET PIN CURRENT DISTRIBUTION (µA) 9.80 –2.0 –50 –25 0 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 3092 G03 3092 G02 オフセットの分布 オフセット電圧 1.00 N = 1326 IOUT = 1mA OFFSET VOLTAGE (mV) 0.75 0.50 0.25 0 –0.25 –0.50 –0.75 –2 0 –1 1 VOS DISTRIBUTION (mV) 2 –1.00 0 5 10 15 20 25 30 35 INPUT-TO-OUTPUT VOLTAGE (V) 3092 G05 3092 G04 オフセット電圧 電流レギュレーション 20 50 10 CHANGE IN REFERENCE CURRENT WITH LOAD (nA) 100 OFFSET VOLTAGE (µV) 0 –50 –100 –150 –200 –250 –300 –350 –400 0 50 150 100 LOAD CURRENT (mA) 40 200 3092 G06 ∆IOUT = 1mA TO 200mA VIN – VOUT = 3V 0 –10 –20 –30 –40 –50 –60 –70 –80 –50 –25 0 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 3092 G07 3092fb 4 LT3092 標準的性能特性 損失電圧 最小出力電流 400 300 200 100 0 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 3092 G08 1.4 DROPOUT VOLTAGE (VIN – VOUT) (V) DROPOUT VOLTAGE (VIN – VOUT) (V) 500 TJ = –55°C 1.2 TJ = 25°C 1.0 TJ = 125°C 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0 25 損失電圧 1.2 ILOAD = 200mA 1.0 ILOAD = 100mA 0.8 0.6 0.4 0.2 0 –50 –25 50 75 100 125 150 175 200 LOAD CURRENT (mA) 0 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 3092 G10 3092 G09 電流制限 電流制限 500 400 450 350 400 300 CURRENT LIMIT (mA) CURRENT LIMIT (mA) 250 200 150 100 350 300 250 200 150 100 50 0 VIN = 7V VOUT = 0V 50 TJ = 25°C 0 –50 –25 2 6 8 10 0 4 INPUT-TO-OUTPUT DIFFERENTIAL VOLTAGE (V) 0 25 50 75 100 125 150 TEMPERATURE (°C) 3092 G12 3092 G11 ラインの過渡応答 ラインの過渡応答 8 6 1mA CURRENT SOURCE 1.0 CONFIGURATION 0.5 0 0 –0.5 –1.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 TIME (µs) 3092 G13 10 8 10mA CURRENT SOURCE CONFIGURATION 6 4 10 5 2 0 –5 –10 0 OUTPUT CURRENT DEVIATION (mA) 2 OUTPUT CURRENT DEVIATION (mA) 4 1.5 INPUT VOLTAGE (V) 0 –50 –25 1.4 1.6 INPUT VOLTAGE (V) MINIMUM OUTPUT CURRENT (µA) 600 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 TIME (µs) 3092 G14 3092fb 5 LT3092 標準的性能特性 ターンオン応答 8 6 INPUT VOLTAGE (V) INPUT VOLTAGE (V) ターンオン応答 1mA CURRENT SOURCE CONFIGURATION 4 2 0 0 0 5 15 0 10 5 0 10 15 20 25 30 35 40 45 50 TIME (µs) 2 0 TIME (µs) 3092 G16 出力インピーダンス 最小出力電流以下での残留出力 1G SET PIN = 0V VIN 600 100M VOUT VIN = 36V RTEST 500 OUTPUT IMPEDANCE (Ω) 700 OUTPUT VOLTAGE (mV) 10 15 20 25 30 35 40 45 50 3092 G15 800 VIN = 5V 400 300 200 ISOURCE = 1mA 10M ISOURCE = 10mA 1M 100k 100 0 5 OUTPUT CURRENT (mA) 0.5 10mA CURRENT SOURCE CONFIGURATION 4 OUTPUT CURRENT (mA) 1.0 8 6 10k ISOURCE = 100mA 1k 100 VRSET = 100mV 10 0 1000 RTEST (Ω) 1 2000 10 100 3092 G17 1k 10k 100k FREQUENCY (Hz) 1M 10M 3092 G18 ノイズ・スペクトル密度 REFERENCE CURRENT NOISE SPECTRAL DENSITY (pA/√Hz) 100 10 1 0.1 0.01 10 100 1k 10k FREQUENCY (Hz) 100k 3092 G19 3092fb 6 LT3092 ピン機能 (DD/ST/TS8) IN (ピン7、8/ピン3/ピン7、8) :入力ピン。 このピンは、 内部回路 をバイアスし出力負荷電流を供給するための電力を供給しま す。 デバイスが適正に動作して安定化を行うには、 このピンの 電圧はOUTピンの電圧より1.2V∼1.4V高くなければなりませ ん (出力負荷電流による̶「電気的特性」 の表の損失電圧の 規格を参照)。 NC (ピン3、5、6/NA/ピン1、6) :NC。 これらのピンは内部回路に 接続されておらず、 IN、 OUT、 GNDに接続するか、 またはフロー ト状態にすることができます。 OUT(ピン1 、2/ピン2/ピン2 、3 、4 ) :出力ピン。 これはデバイス の電力出力です。LT3092の設定可能な最小電流源の値は 0.5mAです。 この電流が流れないと、 デバイスは安定化されま せん。 SET (ピン4/ピン1/ピン5) :設定ピン。 このピンはエラーアンプの 非反転入力であり、回路の動作バイアス・ポイントの設定も行 います。10μAの固定電流源がこのピンから供給されます。2本 の抵抗で10μAと比較した抵抗比に応じたIOUTを設定します。 出力電流の範囲は0.5mAから最大定格の200mAのレベルま でです。 露出パッド/タブ(ピン9/タブ/NA) :出力ピン。DFNパッケージ の露出パッドとSOT-223パッケージのタブは、内部でOUTピ ンに接続されています。PCBでは、 これらをOUTピン (ピン1、2/ ピン2) に直接接続します。OUTピンに接続される銅領域とプ レーンの大きさにより、 パッケージの実効熱抵抗が決まります (「アプリケーション情報」 を参照)。 ブロック図 IN 10µA + – SET OUT 3092 BD 3092fb 7 LT3092 アプリケーション情報 はじめに LT3092は、2本の外付け抵抗のみを追加してプログラム可能 な2端子電流源として動作する汎用デバイスで、安定化のため にバイパス・コンデンサを外付けする必要はありません。 LT3092は使いやすく、高性能製品に求められる全ての保護機 能を備えています。逆電圧保護、逆電流保護、短絡保護、 ヒス テリシス付きのサーマル・シャットダウンなどの機能を搭載し ています。 LT3092は、入力コンデンサと出力コンデンサの有無にかかわ らず動作します。最もシンプルな電流源アプリケーションで は、最大200mAの出力定電流を設定するのに必要なのは2本 のディスクリート抵抗だけです。様々なアナログ手法により、電 流源の値を制御して変化させることができます。 このデバイスは、温度係数がゼロの高精度10μAリファレンス 電流源を使用して出力電流を設定します。 この10μAの電流 パ 源はパワー・オペアンプの非反転入力に接続されています。 ワー・オペアンプは、非反転入力の電圧のバッファされた低イ ンピーダンス出力を供給します。 入力コンデンサと出力コンデンサがない動作が好都合のア プリケーション分野が数多く存在します。 これらのアプリケー ションの中には、 フォールト状態や過負荷状態でサージ電流 に耐えることができない敏感な回路や、 スパークやアーク放電 を生じる恐れのあるエネルギー蓄積デバイスが安全規則によ り制限を受ける 「本質安全アプリケーション」 が含まれます。 2端子電流源モードの出力電流の設定 LT3092を2端子電流源として動作させる設定は容易です。 SETピンからの10μAのリファレンス電流を使用し、1本の抵抗 に低い電圧を発生させます。 この電圧は通常、100mV∼1Vの 範囲です (オフセット電圧、 ライン・レギュレーション、 などの誤 差を過大にすることなく解消するのに適したレベルは200mV です)。 この電圧は次いで、OUTピンから最初の抵抗に接続さ れた2本目の抵抗の両端に印加されます。基本的な電流源の 回路構成の接続と計算式を図1に示します。 10μAの電流源が発生するリファレンス電流を増幅して出力電 流を設定するので、SETピンへのまたはSETピンからのリーク 経路は、 リファレンス電流と出力電流に誤差を生じさせること があります。 このため、 テフロン、Kel-F等の高品質な絶縁材を 使用します。 また、全ての絶縁表面を洗浄してフラックスなどの 残留物を除去することが必要になる場合があります。湿度の 高い環境では、防湿を行うための表面のコーティングが必要 になることがあります。 SETピンの電位に近い電圧で動作する保護リングでSETピン と回路を取り囲むことにより、基板のリーク電流を最小限に抑 えることができます。 この保護リングはOUTピンに接続します。 回路基板の両側を保護する必要があります。 バルク・リーク電 流は保護リングの幅に応じて減少します。SETピンに流れ込 む、 またはSETピンから流れ出す10ナノアンペアのリーク電流 と、関連した回路によってリファレンス電流に0.1%の誤差が生 じます。 この大きさのリーク電流は、他のリーク電流源と結合 して、特に可能な動作温度範囲では大きなオフセット電圧とリ ファレンス電流のドリフトを生じることがあります。 IN LT3092 10µA IOUT ≥ 0 . 5mA + – VSET = 10µA • R SET SET OUT IOUT = VSET 10µA • R SET = ROUT ROUT + VSET RSET ROUT – IOUT 3092 F01 図1. 電流源として使用するLT3092 RSETとROUTの選択 図1では、RSETとROUTの両方の抵抗によって出力電流の値が 設定されます。 ここで、 これらの抵抗の比は分りますが、各抵 抗の値はいくらにすればよいのでしょうか。 最初に選択する抵抗はRSETです。選択する値は、SETピンと OUTピンの間のオフセットに起因する誤差を最小限に抑える のに十分な電圧を生じる値にします。RSET両端の電圧の妥当 な初期レベルは200mVです (RSETは20kに等しい)。 オフセッ ト電圧によって生じる誤差は数パーセントです。R SET両端の 電圧が低くなるに従って、 オフセットによる誤差の割合が大き くなります。 3092fb 8 LT3092 アプリケーション情報 この点から、ROUTはRSETから直接計算するので、ROUTの選 択は容易です。 ただし、抵抗の誤差も見込む必要があることに 注意してください。RSET両端の大きな電圧降下はオフセットに よる誤差を最小限に抑えるとともに、必要な動作ヘッドルーム を増大させます。 最高の温度係数を得るのに、 低ppmの温度係数を有する高価 な抵抗を使用する必要はありません。 その代わり、 LT3092の出 力電流はRSETとROUTの比率によって決まるので、 これらの抵 抗は温度特性が一致している必要があります。 同じ素材で作 られた安価な抵抗で一致した温度係数が得られます。詳細に ついては、 抵抗の製造元のデータシートを参照してください。 安定性と周波数補償 LT3092は、多くの電流源アプリケーションの安定化に入力コ ンデンサや出力コンデンサを必要としません。 クリーンで密な PCBレイアウトにより、LT3092にとって低リアクタンスで十分に 管理された動作環境が確保され、回路を周波数補償するコ ンデンサが不要になります。表紙の 「標準的応用例」 の回路は LT3092の使用が容易であることを示しています。 GND基準、電源基準、 または信号ライン経路でフロート状態 の場合があります。 リニアテクノロジーでは、LT3092の全ての アプリケーションでの状態で安定性をテストすることを強く推 奨しています。 長い配線やPCBトレースを使用したLT3092のアプリケーショ ンでは、誘導性リアクタンスが不安定性の要因になる可能性 があります。場合によっては、 (図2に示すように)入力ラインと 出力ラインに直列抵抗を追加することにより、 これらの高いQ になり得るラインを十分に減衰して安定性を確保することが できます。 ユーザーは、設計のヘッドルームの制約に対する必 要な抵抗値を求める必要があります。一般に、低出力電流レ ベル (< 5mA) での動作は自動的に大きな値の設定抵抗を必 要とし、直列インピーダンスを追加することなく必要な減衰を 行うことができます。 LT3092と直列接続されたライン・インピーダンスが、直列減 周波数補償ネットワー 衰抵抗が十分でないほど複雑な場合、 クが必要になる可能性があります。 いくつかのオプションが考 えられます。 電流源アプリケーションの中には、SETピンの抵抗と並列に 接続したコンデンサを使用して電流源のノイズを低減するも のもあります。 このコンデンサは電流源のソフトスタート機能も 実現します。 このコンデンサの接続を図7に示します (「ノイズ の抑制」 を参照)。 SETピンの抵抗の両端にコンデンサを接続して動作させる場 合、安定性の維持と生じる極の補償を行うため、通常、外部 補償が必要になります。次のパラグラフでは、LT3092にこの容 量またはその他の複雑なインピーダンスが接続された場合に LT3092を安定化させる手法について説明します。 リニアテクノ ロジーでは、生産を開始する前に最終部品を使用した状態で 安定性をテストすることを強く推奨しています。 LT3092の設計は様々な動作条件においてコンデンサなしで 安定することを目指していますが、LT3092が直面する入力イ ンピーダンスと出力インピーダンスのありうる全ての組み合わ せに対してテストすることは不可能です。 これらのインピーダン スには抵抗性、容量性、誘導性などの成分が含まれることが あり、複雑に分布したネットワークである可能性があります。 さ らに、電流源の値はアプリケーション間で異なり、 その接続は LONG LINE REACTANCE/INDUCTANCE RSERIES IN LT3092 10µA + – SET OUT RSET ROUT RSERIES 3092 F02 LONG LINE REACTANCE/INDUCTANCE 図2. 直列抵抗の追加による長い ライン・リアクタンスのデカップリングと減衰 3092fb 9 LT3092 アプリケーション情報 図3に、電流源の2つの端子の間に1個のコンデンサを接続し た最もシンプルな周波数補償ネットワークを示します。 この ケースでは、1000pF以下または1μF以上(ESR < 0.5Ω) のいず れかの値のコンデンサで回路を安定化することができます。 ア プリケーションによってはDC電圧を遮蔽するために、小容量 のコンデンサを使用できますが、信号ラインへのデータ転送 は可能です。 また、 アプリケーションの中には、 この容量範囲を許容できな いものや、設計に制約を与えるものがあります。 これを代表す る1つの回路例は、過負荷状態やフォールト状態がコンデン サに蓄積されたエネルギーによるスパークやアーク放電を生 じさせる可能性がある 「本質安全」回路です。1個のコンデン サでは対応できないアプリケーションの場合、電流源の2つ の端子の間に直列RCネットワークを接続した代案を図3に示 します。 このネットワークには2つの利点があります。1つ目は、 フォールト状態で生じ得るコンデンサの放電電流を制限し、 スパークやアーク放電を防止することです。2つ目は、 ほぼ全 ての値のコンデンサが使用できるように、小容量のコンデンサ に対する1000pFの上限と大容量のコンデンサに対する1μFの 下限の隙間を埋めることです。 これにより、 ループの周波数補 償の柔軟性が向上し、複雑なインピーダンス・ネットワークに 対するRCネットワークの微調整が可能になります。多くの場 合、 アプリケーション回路を安定化する最良のソリューション は直列RCネットワークです。特にコンデンサの値が1000pF∼ 1μFの場合には、標準的な抵抗値の範囲は100Ωから約5kと なります。 この場合も、 リニアテクノロジーでは、全ての動作条 件(特に電流源の入力と出力に複雑なインピーダンス・ネット ワークがある場合) におけるLT3092のあらゆるアプリケーショ ンの状態で安定性をテストすることを強く推奨しています。 LT3092電流源の下側をGND基準にするアプリケーションの 場合、 コンデンサを使用して電流源の上側をGNDにバイパス する必要が生じることがあります。場合によっては、 このコンデ ンサが既に存在していて容量を追加する必要がないかもし れません。 たとえば、LT3092が電源出力の可変電流源として 使用されている場合、 この出力バイパス容量がLT3092を十分 安定化します。バイパス・コンデンサを必要とするアプリケー ションもあります。 この場合も、小さい容量値に対して1000pF の上限が存在し、大きな値のコンデンサに対して1μF(ESR < 0.5Ω) の下限が存在するという、上述と同じコンデンサ値の要 件が当てはまります。必要に応じて直列RCネットワークを使 用することも可能で、 アプリケーションの要件に応じて使用し ます。 極端な場合には、回路を安定させるのにLT3092の入力と出 力の両方にコンデンサまたは直列RCネットワークが必要にな ることがあります。図4に、入力-出力間のコンデンサではなく、 入力と出力にコンデンサ・ネットワークを使用した一般的なア プリケーションを示します。電流源の入力は高インピーダンス になる傾向があるので、入力にコンデンサを接続しても低イン ピーダンスの出力にコンデンサを接続するのと同じ効果はな く、 同様の制限は当てはまりません。通常、0.1μF∼1μFの範囲 のコンデンサで入力のバイパスを十分に行え、入力容量の値 は無制限に大きくすることができます。 VIN IN LT3092 RCOMP 10µA SET RSET CIN CCOMP OR + – RIN 10µA + – CCOMP SET OUT ROUT 3092 F03 IN LT3092 RSET OUT ROUT 3092 F04 IOUT 図3. 電流源の入力-出力間の補償による 安定性の確保 COUT OR ROUT COUT 図4. 補償用に入力コンデンサや 出力コンデンサを使用可能 3092fb 10 LT3092 アプリケーション情報 入力や出力 (特に入力) にGND基準のコンデンサを使用した アプリケーションの場合、電源ラインと回路からのリターン・グ ランドのラインの長さに注意してください。長い電源ラインおよ びリターン・ラインと低ESRの入力コンデンサが組み合わさる 場合、 アプリケーション固有の電圧スパイク、発振および信頼 性の問題が生じることがあります。 これはLT3092の安定性に 対しては問題になりませんが、入力配線のインダクタンスによ り、低ESRのコンデンサが高いQの共振タンク回路を形成しま す。LT3092の入力に直列抵抗を追加するか、 または入力コン デンサを使用することにより、 この問題が解決される場合がよ くあります。多くの場合、0.1Ω∼1Ωの抵抗値でこの共振は十 分減衰します。 セラミック・コンデンサを使用する際には、特に注意が必要で す。セラミック・コンデンサは様々な誘電体を使用して製造さ れており、 それぞれ温度や印加される電圧によって動作が異 なります。最も一般的に使用されている誘電体は、Z5U、Y5V、 X5R、X7RのEIA温度特性コードで規定されています。Z5Uと Y5Vの誘電体は小型のパッケージで大きな容量を実現する のには適していますが、図5と図6に示すように、電圧係数と温 度係数が大きくなる傾向があります。5Vのレギュレータに使用 20 40 20 X5R CHANGE IN VALUE (%) CHANGE IN VALUE (%) 電圧係数と温度係数だけが問題になるわけではありません。 セラミック・コンデンサの中には圧電効果を示すものがありま す。圧電デバイスは機械的応力によって端子の両端に電圧を 生じます。 セラミック・コンデンサの場合、 システムの振動や熱 過渡によって応力が生じることがあります。 BOTH CAPACITORS ARE 16V, 1210 CASE SIZE, 10µF 0 –20 –40 –60 Y5V –80 –100 する場合、16V 10μFのY5Vコンデンサは、印加されたDCバイ アス電圧と動作温度範囲で1μF∼2μFの小さな実効値になる 可能性があります。X5RとX7Rの誘電体を使用すると、 さらに 安定した特性になり、 これらは出力コンデンサとしての使用に より適しています。X7Rタイプは全温度範囲にわたって安定性 が優れており、X5Rタイプは安価で大きな値のものが入手可 能です。X5RやX7Rのコンデンサを使用する場合でも注意す る必要があります。X5RとX7Rのコードは動作温度範囲と全 温度範囲での最大容量変化を規定するだけです。X5RとX7R のコンデンサのDCバイアスによる容量変化はY5VやZ5Uのコ ンデンサに比べると小さいですが、 それでもコンデンサの容量 が適切なレベルを下回るほど変化することがあります。 コンデ ンサのDCバイアス特性は部品のケースのサイズが大きいほど 向上する傾向がありますが、 動作電圧での必要な容量を検証 する必要があります。 –20 –40 2 4 8 6 10 12 DC BIAS VOLTAGE (V) 14 16 3092 F05 図5. セラミック・コンデンサのDCバイアス特性 Y5V –60 –80 0 X5R 0 BOTH CAPACITORS ARE 16V, 1210 CASE SIZE, 10µF –100 –50 –25 50 25 75 0 TEMPERATURE (°C) 100 125 3092 F06 図6. セラミック・コンデンサの温度特性 3092fb 11 LT3092 アプリケーション情報 ノイズの抑制 電流源のノイズを低減する必要がある場合、RSETの両端に小 容量のコンデンサを接続することができます (図7のCSET)。通 常、10μAのリファレンス電流源は2.7pA/√Hz(10Hz∼100kHz の帯域幅で0.7nARMS) のノイズ電流レベルを生じます。SETピ ンの抵抗は√4kT/R(k = ボルツマン定数(1.38 • 1023J/ K)、 Tは絶対温度) に等しいスポット・ノイズを生じ、 この値は10μA のリファレンス電流源によって生じるノイズに実効値として加 算されます。図7に示すように、RSETの両端にCSETコンデンサ を接続することにより、 このノイズ電流がバイパスされます。 こ のノイズ低減用コンデンサにより、R SET • CSETで得られる時 定数に比例して起動時間が長くなることに注意してください。 SETピンの抵抗の両端にコンデンサを接続する場合、通常、 外部からの極は安定を維持するために補償する必要がありま す。LT3092回路の補償の詳細については 「安定性と周波数補 償」 を参照してください。 「標準的性能特性」 の曲線は、 10Hz∼100kHzの帯域幅におけ るリファレンス電流のノイズ・スペクトル密度を示しています。 IN LT3092 RCOMP 10µA デバイスを並列接続するもう1つの方法では、部品数を少なく してデバイス間で電力を共有させる必要があります。個々の SETピンと個々のINピンをそれぞれ相互接続します。 出力は、 電流分担を均等にするバラスト抵抗としてPCトレースの小片 を使用して共通に接続します。 ミリオーム/インチを単位とする PCトレースの抵抗を表1に示します。 バラスト抵抗が必要とす るのはPCBのほんのわずかな領域です。 表1. PCボードのトレース抵抗 重さ (オンス) 幅10ミル 幅20ミル 1 2 54.3 27.1 27.1 13.6 トレース抵抗の単位はmΩ/インチ SETピンとOUTピンの間のワーストケースの室温のオフセット はわずか 2mVなので、非常に小さなバラスト抵抗を使用する ことができます。 CCOMP OR + – CCOMP SET OUT CSET RSET デバイスの並列接続 複数のLT3092を並列接続することによって高出力電流が得ら れます。 図8に示すように、 最も簡単なアプリケーションは2つの 電流源を並列に動作させ、入力と出力をそれぞれ相互接続し ます。 これにより、両電流源を合わせると1つのデバイスが供給 可能な値よりも大きな出力電流を供給することができます。 ROUT 3092 F07 図7. CSETの追加による電流ノイズの低減 図9に示すように、各LT3092は小さな40mΩのバラスト抵抗を 有し、 これは最大出力電流で80%より良好な均等な電流分担 を実現します。40mΩ(2個の並列デバイスでは20mΩ) の外付 け抵抗により、出力のコンプライアンス電圧は0.4Aの出力で 約8mV増大するだけです。 もちろん、3個以上のLT3092を並列 接続して、 さらに大きな出力電流を得ることもできます。 デバイ スをPCボード上に分散配置すると、熱を分散することもできま す。入力-出力間の差が大きい場合、直列入力抵抗により熱を さらに分散することができます。 熱に関する検討事項 LT3092の内部電源と熱制限回路は過負荷状態のときにデバイ ス自身を保護します。通常負荷状態を継続する場合、125 Cの 最大接合部温度を超えてはなりません。 接合部-周囲間の全て の熱抵抗源について注意深く検討してください。 これには (限定 されてはいませんが) 、 アプリケーションに応じて接合部-ケース 間、 ケース-ヒートシンク接続部間の熱抵抗、 ヒートシンク自体 の熱抵抗、 回路基板-周囲間の熱抵抗などが含まれます。PCB 上でその他すべての近接する熱源について検討します。 3092fb 12 LT3092 アプリケーション情報 IOUT IN LT3092 IN LT3092 10µA 300Ω 10µA 300Ω + – + – SET OUT 20k OUT 1.33Ω SET 1.33Ω 20k 3092 F08 IOUT, 300mA Figure 8. Connect Two LT3092s for Higher Current IOUT LT3092 LT3092 IN 10µA IN + – SET 1V Rx 10µA + – 40mΩ* Rx = VIN(MAX ) • R 90 % 40mΩ* SET R 2.5Ω 50k 3092 F09 *40mΩ PC BOARD TRACE IOUT, 400mA Figure 9. Parallel Devices 表面実装パッケージは、PCボード、銅トレースおよびプレーン の熱分散能力を使用することにより、必要な放熱を行います。 表面実装のヒートシンク、 メッキ・スルーホールおよび半田で 埋められたビアも、 パワー・デバイスが生じる熱を分散すること ができます。 接合部-ケース間の熱抵抗は、 デバイスの接合部から間近の ケース底面、 もしくは熱経路内の最も間近のピンの底面まで で規定されています。 これは熱流の最小熱抵抗経路です。 パッ ケージのこの領域から放熱材への可能な限り最良の熱流を 確保するには、 デバイスを適切に実装するだけです。 DFNパッケージの露出パッドとSOT-223パッケージのタブは 出力(VOUT)に電気的に接続されていることに注意してくだ さい。 一定のボード・サイズの銅面積に対する熱抵抗を以下の表に 示します。 全ての測定は、 静止空気中で、 1オンスのしっかりとし た内部プレーンと2オンスの外部トレース・プレーンを有し、合 計の仕上げボード厚が1.6mmの4層FR-4ボードで行いました。 PCBの層数、銅重量、 ボード・レイアウトおよびサーマル・ビア が熱抵抗の値に影響を与えます。高熱伝導のテスト・ボードの 詳細についてはJEDEC標準規格のJESD51-7を参照してくだ 3092fb 13 LT3092 アプリケーション情報 さい。低い熱抵抗を実現するには、細部にわたる注意深いレイ アウトに配慮する必要があります。複数の内部V OUTプレーン と複数のサーマル・ビアを使用したデモ用回路1531Aのボー ド・レイアウトは、DFNパッケージに対して28 C/Wの性能を実 現します。 表2. DDパッケージ、8ピンDFN 上面* 銅面積 2 裏面 2 ボード面積 熱抵抗 (接合部-周囲間) 2 SETピンの電流はごくわずかなので無視できます。 VIN(MAX CONTINUOUS)= 16.5(15V+10%) VOUT(MIN CONTINUOUS)= 11.4V(12V−5%) IOUT = 200mA これらの条件での電力損失は次のようになります。 (200mA)= 1.02W PTOTAL =(16.5−11.4V) 2500mm 2500mm 25°C/W 1000mm2 2500mm2 2500mm2 25°C/W 225mm2 2500mm2 2500mm2 28°C/W TJ = TA+PTOTAL • θJA 100mm2 2500mm2 2500mm2 32°C/W TJ = 50℃+ (1.02W • 30°C/W)= 80.6℃ 2500mm *デバイスは上面に実装される この例の場合、接合部温度は最大定格より低く、信頼性の高 い動作が保証されます。 表3. TS8パッケージ、8ピンSOT-23 上面* 銅面積 裏面 2500mm2 2500mm2 2 2 ボード面積 2500mm2 2 熱抵抗 (接合部-周囲間) 54°C/W 1000mm 2500mm 2500mm 54°C/W 225mm2 2500mm2 2500mm2 57°C/W 2 2 2 63°C/W 100mm 2500mm 2500mm *デバイスは上面に実装される 表4. STパッケージ、3ピンSOT-223 上面* 銅面積 裏面 ボード面積 2500mm2 2 2 2500mm2 20°C/W 2 2 24°C/W 2 29°C/W 2 225mm 2500mm 2500mm 2500mm2 熱抵抗 (接合部-周囲間) 2500mm2 1000mm 接合部温度は以下のようになります。 2500mm 20°C/W 保護機能 LT3092はいくつかの保護機能を搭載しているので、 アプリ ケーションの中でもバッテリ駆動の回路に最適です。電流制 限や熱制限など、通常の回路保護機能を備えているほか、 LT3092は逆入力電圧、逆出力電圧、OUTピンからSETピンへ の逆電圧に対しても保護されています。 電流制限保護と熱過負荷保護の機能は、 出力電流の過負荷 状態に対してデバイスを保護します。通常動作では、125 Cの 接合部温度を超えてはなりません。 サーマル・シャットダウン 回路の標準温度スレッショルドは165 Cで、約5 Cのヒステリ シスがあります。 熱抵抗と熱に関する詳細については、JEDEC標準規格のJESD51、 特にJESD51-12を参照してください。 LT3092のINピンはSETピンとOUTピンを基準にして 40Vの 電圧に耐えます。OUTピンがINピンより高いと、逆電流は1mA 以下(通常100μA以下) となり、LT3092と敏感な負荷を保護し ます。 接合部温度の計算 例:入力電圧が15V 10%、 出力電圧が12V 5%、 出力電流 が200mA、最大周囲温度が50 Cの産業用アプリケーション の場合、DFNパッケージの最大接合部温度はいくらになるで しょうか。 クランプ・ダイオードと1kの制限抵抗により、OUTピンの電圧 に対してLT3092のSETピンが保護されます。 これらの保護部 品には通常、過渡的な過負荷状態のときだけ電流が流れま す。 これらのデバイスは 10Vの差動電圧と 15mAのクロスピ ン電流に問題なく対応できるサイズになっています。 2 100mm 2 2500mm 2500mm *デバイスは上面に実装される 回路全体の電力は次のようになります。 (IOUT) PTOTAL =(VIN−VOUT) 3092fb 14 LT3092 標準的応用例 高電流用の電流源の並列接続 IN LT3092 バラスト抵抗を使用したLT3092の並列接続 IN LT3092 IN LT3092 IN LT3092 10µA 10µA 10µA 10µA + – + – + – + – SET OUT SET OUT R2 R1 R4 R3 SET OUT SET OUT R1 40mΩ R3 40mΩ 3092 TA02 IOUT ⎛ R2 R4 ⎞ ⎟ = 10µA • ⎜ + ⎝ R1 R3 ⎠ IOUT R4 2Ω R2 40.2k 3092 TA03 400mA 高電圧電流源 LT3092の100mA電流源での電力損失の低減 10µA 10µA D1 35V + – SET OUT R4 20k R3 2Ω Rx + – VMAX = ( VIN – VOUT )MAX Rx = OUT SET R2 20k IOUT ≥ 0 . 5mA IOUT = IN LT3092 IN LT3092 IN LT3092 VMAX 200mV • 90 % R1 R1 2Ω 200mV R1 3092 TA05 IOUT 100mA 10µA D2 35V + – + 200mV – SET OUT R2 20k R1 2Ω コンデンサによって安定性が向上するものの スルーレートは制限される IN LT3092 3092 TA04 10µA IOUT 100mA C1 + – LIMIT I dV ≤ 90 % • OUT dt C1 OUT SET R2 20k R1 2Ω 3092 TA06 IOUT 100mA 3092fb 15 LT3092 標準的応用例 リモート温度センサ DAC制御電流源 IOUT IOUT= =0.5mA 0.5mATO TO 100mA 100mA VIN IN LT3092 V+ ININ LT3092 LT3092 IN LT3092 10µA 10µA 10µA 10µA + – ++ –– + – SET OUT 49.9k MURATA NCP15WF104F03RC 1% 100k アクティブ負荷 SET SET DAC DACOUTPUT OUTPUT 0V0VTO TO1V1V 49.9Ω SET OUT OUT OUT 10k 10Ω 10Ω 100Ω OUTPUT 3092 3092 TA08 TA08 1mA INPUT IOUT 3092 TA09 LOAD 3092 TA07 200mAから無負荷消費電流に切り替わる 完全にフロート状態の電流源 パルス電流源、 負荷をグランドに接続 VIN VIN IN LT3092 ON OFF IN LT3092 10µA 10µA + – + – SET OUT 20k 1Ω VN2222LL OPTO-FET OUT 3092 TA11 100k IOUT 200mA LOAD SET NEC PS 7801-1A 4.99Ω 200mA 3092 TA10 3092fb 16 LT3092 標準的応用例 2端子AC電流リミッタ パルス電流源、 負荷をVINに接続 VIN LOAD IOUT IN LT3092 LT3092 10µA 10µA + – IOUT + – SET OUT 20k 1Ω 20k IOUT R= 0 . 2V IOUT IOUT ISET 3092 TA13 OFF ON 3092 TA12 電圧クランプ VIN 高精度電流源 10µA 10µA + – OUT 4.99Ω 10k SET 10k + – VOUT SET OUT 100k LT1634-1.25 10V 2N3906 3092 TA14 2N3904 10k IN LT3092 IN LT3092 10mA IOUT 124Ω 0.1% 3092 TA15 VIN – VOUT = 11V TRIP POINT 3092fb 17 LT3092 標準的応用例 2レベル電流源 VIN IN LT3092 10µA + – SET OUT 100k 4.99Ω 100k* 10V* VN2222LL* 10k* VOUT IOUT = 200mA, IF VIN – VOUT < 12V = 100mA, IF VIN – VOUT > 12V *CURRENT FOLDBACK CIRCUIT LIMITS THE LT3092 POWER DISSIPATION 3092 TA16 高効率電流源 0.22µF VIN + – VIN BOOST 36V 33µH SW SHDN BIAS C3 47µF LT3470A 100Ω 10µA ZVP3306F FB GND IN LT3092 1nF + – 1k SET OUT 20k 1Ω 3092 TA17 IOUT 3092fb 18 LT3092 パッケージ DDパッケージ 8ピン・プラスチックDFN (3mm 3mm) (Reference LTC DWG # 05-08-1698) R = 0.115 TYP 5 0.38 ± 0.10 8 0.675 ±0.05 3.5 ±0.05 1.65 ±0.05 2.15 ±0.05 (2 SIDES) 3.00 ±0.10 (4 SIDES) ピン1の トップ・マーク (NOTE 6) パッケージ の外形 0.25 ± 0.05 4 0.25 ± 0.05 0.75 ±0.05 0.200 REF 0.50 BSC 1.65 ± 0.10 (2 SIDES) 2.38 ±0.05 (2 SIDES) NOTE: 1. 図はJEDECのパッケージ外形MO-229のバリエーション (WEED-1) になる予定 2. 図は実寸とは異なる 3. すべての寸法はミリメートル 4. パッケージ底面の露出パッドの寸法にはモールドのバリを含まない モールドのバリは (もしあれば)各サイドで0.15mmを超えないこと (DD) DFN 1203 0.50 BSC 2.38 ±0.10 (2 SIDES) 0.00 – 0.05 推奨する半田パッドのピッチと寸法 1 底面図−露出パッド 5. 露出パッドは半田メッキとする 6. 網掛けの部分はパッケージの上面と底面のピン1の位置の参考に過ぎない STパッケージ 3ピン・プラスチックSOT-223 (Reference LTC DWG # 05-08-1630) .248 – .264 (6.30 – 6.71) .129 MAX .114 – .124 (2.90 – 3.15) .059 MAX .264 – .287 (6.70 – 7.30) .248 BSC .130 – .146 (3.30 – 3.71) .039 MAX .059 MAX .181 MAX .033 – .041 (0.84 – 1.04) .0905 (2.30) BSC 推奨半田パッド・レイアウト 10° – 16° .010 – .014 (0.25 – 0.36) 10° MAX .071 (1.80) MAX .090 BSC 10° – 16° .024 – .033 (0.60 – 0.84) .181 (4.60) BSC .012 (0.31) MIN .0008 – .0040 (0.0203 – 0.1016) ST3 (SOT-233) 0502 3092fb 19 LT3092 パッケージ TS8パッケージ 8ピン・プラスチックTSOT-23 (Reference LTC DWG # 05-08-1637) 0.52 MAX 2.90 BSC (NOTE 4) 0.65 REF 1.22 REF 1.4 MIN 3.85 MAX 2.62 REF 2.80 BSC 1.50 – 1.75 (NOTE 4) PIN ONE ID IPC CALCULATORを使った 推奨半田パッド・レイアウト 0.22 – 0.36 8 PLCS (NOTE 3) 0.65 BSC 0.80 – 0.90 0.20 BSC 0.01 – 0.10 1.00 MAX DATUM ‘A’ 0.30 – 0.50 REF 0.09 – 0.20 (NOTE 3) NOTE: 1. 寸法はミリメートル 2. 図は実寸とは異なる 3. 寸法にはメッキを含む 4. 寸法にモールドのバリやメタルのバリを含まない 1.95 BSC TS8 TSOT-23 0802 5. モールドのバリは0.254mmを超えてはならない 6. JEDECパッケージ参照番号はMO-193 3092fb 20 LT3092 改訂履歴 (Rev Bよりスタート) REV 日付 B 12/09 修正内容 発注情報の更新 頁番号 2 3092fb リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提供する情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、その使用に関する責務は一切負い ません。また、ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。なお、日本語の資料はあくまでも参考資 料です。訂正、変更、改版に追従していない場合があります。最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。 21 LT3092 標準的応用例 USB LEDドライバ リモート電源用電流リミッタ VIN USB IN LT3092 IN LT3092 10µA 10µA + – + – SET SET OUT 20k 100k ADJUST LIMIT 1Ω OUT 4.99Ω LDO VOUT 200mA LED 3092 TA18 3092 TA19 関連製品 製品番号 説明 注釈 LDO LT1761 100mA、低ノイズLDO 損失電圧:300mV、低ノイズ:20μVRMS、VIN = 1.8V∼20V、ThinSOT™パッケージ LT1762 150mA、低ノイズLDO 損失電圧:300mV、低ノイズ:20μVRMS、VIN = 1.8V∼20V、MS8パッケージ LTC1844 150mA、超低損失LDO 損失電圧:80mV、低ノイズ:<30μVRMS、VIN = 1.6V∼6.5V、1μF出力コンデンサで安定、 ThinSOTパッケージ LT1962 300mA、低ノイズLDO 損失電圧:270mV、低ノイズ:20μVRMS、VIN = 1.8V∼20V、MS8パッケージ LT1964 200mA、低ノイズ、負電圧LDO 損失電圧:340mV、低ノイズ:30μVRMS、VIN = 1.8V∼20V、ThinSOTパッケージ LT3008 20mA、45V、消費電流3μA、 マイクロパワーLDO 損失電圧:280mV、低消費電流:3μA、VIN = 2V∼45V、VOUT = 0.6V∼39.5V、 ThinSOTおよび2mm 2mm DFN-6パッケージ LT3009 20mA、20V、消費電流3μA、 マイクロパワーLDO 損失電圧:280mV、低消費電流:3μA、VIN = 1.6V∼20V、VOUT = 0.6V∼19.5V、 ThinSOTおよびSC70パッケージ LT3020 100mA、低電圧VLDO リニア・レギュレータ VIN = 0.9V∼10V、VOUT = 0.2V∼5V(最小)、VDO = 0.15V、IQ = 120μA、 ノイズ:< 250μVRMS、2.2μFセラミック・コンデンサで安定、DFN-8およびMS8パッケージ LTC3025 300mAマイクロパワーVLDO リニア・レギュレータ VIN = 0.9V∼5.5V、損失電圧:45mV、低ノイズ:80μVRMS、低消費電流:54μA、 6ピン2mm 2mm DFNパッケージ LTC3035 チャージ・ポンプ・バイアス・レギュレータ 付き300mA、VLDOリニア・レギュレータ LT3080/ 並列接続可能な1.1A、低ノイズ、 LT3080-1 低損失リニア・レギュレータ LT3085 VIN = 1.7V∼5.5V、VOUT = 0.4V∼3.6V、損失電圧:45mV、IQ = 100μA、 3mm 2mm DFN-8パッケージ 損失電圧:300mV(2電源動作)、低ノイズ =:40μVRMS、VIN = 1.2V∼36V、 VOUT = 0V∼35.7V、電流べースのリファレンス、抵抗1本でVOUTを設定、直接並列接続可能 (オペアンプ不要)、セラミック・コンデンサで安定、TO-220、SOT-223、MSOP-8 および3mm 3mm DFN-8パッケージ、LT3080-1バージョンはバラスト抵抗を内蔵 並列接続可能な500mA、低ノイズ、 低損失リニア・レギュレータ 損失電圧:275mV(2電源動作)、低ノイズ:40μVRMS、VIN = 1.2V∼36V、VOUT = 0V∼35.7V、 電流べースのリファレンス、抵抗1本でVOUTを設定、直接並列接続可能(オペアンプ不要)、 セラミック・コンデンサで安定、MSOP-8および2mm 3mm DFN-8パッケージ 電流センス・アンプ LT6106 低コスト36Vハイサイド電流センス・アンプ 36V(最大44V) の電流センス、2000:1のダイナミック・レンジ、PSRR = 106dB LT6107 SOT-23パッケージの 高温ハイサイド電流センス・アンプ 36V(最大44V) の電流センス、2000:1のダイナミック・レンジ、PSRR = 106dB、 55 C∼150 C(MPグレード) ThinSOTはリニアテクノロジー社の商標です。 3092fb 22 リニアテクノロジー株式会社 〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6紀尾井町パークビル8F TEL 03-5226-7291 FAX 03-5226-0268 www.linear-tech.co.jp ● ● LT 1209 REV B • PRINTED IN JAPAN LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2009