LTC3215 700mA 低ノイズ高電流 LED チャージポンプ 特長 n n n n n n n n n n n n n 概要 高効率動作:1 倍、1.5 倍、2 倍昇圧モードのいずれかに 自動切換え 超低損失 ILED 電流制御 最大 700mA の出力電流 低ノイズの固定周波数動作 広いVIN 範囲:2.9V ~ 4.4V オープン/ 短絡 LED 保護 シャットダウン時のLED 切断 低いシャットダウン電流:2.5µA 4%のLED 電流プログラミング精度 自動ソフトスタートにより、突入電流を制限 インダクタなし 小さいアプリケーション回路(全部品が高さ1mm 以下) 3mm×3mm 10ピンDFN パッケージ アプリケーション n n 携帯電話、PDA、デジタル・カメラ用 LEDトーチ/カメラ・ ライト電源 一般の照明アプリケーションやフラッシュ/ストロボ・ アプリケーション LTC®3215は、高電流 LEDに電力を供給するように設計され た低ノイズ、高電流チャージポンプ DC/DCコンバータです。こ のデバイスは、2.9V ∼ 4.4Vの入力から最大 700mAの負荷を ドライブできる高精度のプログラム可能な電流ソースを内蔵し ています。外付け部品数が少ない (フライング・コンデンサ2個、 プログラミング抵抗 1 本、バイパス・コンデンサ2 個)LTC3215 は、小型のバッテリ駆動アプリケーションに最適です。 内蔵のソフトスタート回路により、起動時の過度の突入電流 を防止します。スイッチング周波数が高いので、小型の外付 けコンデンサを使用できます。1 本の外付け抵抗を使用して LED 電流をプログラムします。LEDはシャットダウン時にVIN から切断されます。 ILED 電圧が非常に低い場合でも、超低損失電流ソースが 高精度のLED 電流を維持します。モードの自動切り換えは、 LED 電流ソースの両端の電圧をモニタし、ILED のドロップア ウトが検出された場合にのみモードを切り換えることにより、 効率を最適化します。LTC3215は小型の3mm 3mm 10ピン DFN パッケージで供給されます。 L、LT、LTC、LTM、Linear Technologyおよび Linearのロゴはリニアテクノロジー社の登録商 標です。その他すべての商標の所有権は、それぞれの所有者に帰属します。6411531を含む米 国特許によって保護されています。 標準的応用例 C1 2.2µF 効率とVIN C2 2.2µF 100 2.9V TO 4.4V CIN 2.2µF C1– C2+ VIN C2– CPO LTC3215 ILED DISABLE ENABLE LED1 EN ISET 70 60 50 40 30 20 0 3215 TA01a ILED = 200mA 80 10 20k 1% LED1: AOT2015 ILED 200mA CCPO 4.7µF EFFICIENCY (PLED/PIN) (%) 90 C1+ LED = AOT2015 VF = 3V TYP AT 200mA 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8 VIN (V) 4.0 4.2 4.4 3215 TA01b 3215fc 1 LTC3215 絶対最大定格 ピン配置 (Note 1) VIN からGND ..........................................................–0.3V ~ 5.5V CPOからGND ........................................................–0.3V ~ 5.5V EN ................................................................ –0.3V ~ VIN +0.3V ICPO、IILED (Note 2)........................................................ 1000mA CPOの短絡時間 ............................................................ 無期限 保存温度範囲.................................................... –65°C ~ 125°C 動作温度範囲(Note 3)....................................... –40°C ~ 85°C TOP VIEW C2+ 1 C1+ 2 10 C1– CPO 3 ILED 4 7 VIN ISET 5 6 EN 9 GND 11 8 C2– DD PACKAGE 10-LEAD (3mm × 3mm) PLASTIC DFN TJMAX = 125°C, θJA = 43°C/W EXPOSED PAD (PIN 11) IS GND, MUST BE SOLDERED TO PCB 発注情報 無鉛仕上げ テープアンドリール 製品マーキング パッケージ 温度範囲 LTC3215EDD#PBF LTC3215EDD#TRPBF LBPX 10-Lead (3mm × 3mm) Plastic DFN –40°C to 85°C さらに広い動作温度範囲で規定されるデバイスについては、弊社または弊社代理店にお問い合わせください。 非標準の鉛仕上げの製品の詳細については、弊社または弊社代理店にお問い合わせください。 無鉛仕上げの製品マーキングの詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/leadfree/ をご覧ください。 テープアンドリールの仕様の詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/tapeandreel/ をご覧ください。 電気的特性 l は全動作温度範囲での規格値を意味する。それ以外は TA = 25 Cでの値。VIN = 3.6V、CIN = C1 = C2 = 2.2µF、CCPO = 4.7µF。 PARAMETER CONDITIONS MIN TYP MAX UNITS 4.4 V 入力電源 VIN Operating Voltage ● 2.9 µA mA mA IVIN Operating Current ICPO = 0mA, 1x Mode ICPO = 0mA, 1.5x ICPO = 0mA, 2x Mode 300 7 9.2 IVIN Shutdown Current EN = LOW 2.5 7 3270 3400 µA LED 電流 LED Current Ratio (ILED/ISET) ILED = 200mA to 600mA ILED Dropout Voltage Mode Switch Threshold, ILED = 200mA ● 3139 120 mV 2.5 ms EN to LED Current On 130 µs Mode Switching Delay (LED Warm-Up Time) LED Current On Time mA/mA チャージポンプ(CPO) 1x Mode Output Voltage ICPO = 0mA VIN V 1.5x Mode Output Voltage ICPO = 0mA 4.6 V 2x Mode Output Voltage ICPO = 0mA 5.1 V 0.25 Ω 1x Mode Output Impedance 1.5x Mode Output Impedance VIN = 3.4V, VCPO < 4.6V 1.5 Ω 2x Mode Output Impedance VIN = 3.2V, VCPO < 5.1V 1.7 Ω CLK Frequency ● 0.6 0.9 1.2 MHz 3215fc 2 LTC3215 電気的特性 l は全動作温度範囲での規格値を意味する。それ以外は TA = 25 Cでの値。VIN = 3.6V、CIN = C1 = C2 = 2.2µF、CCPO = 4.7µF。 PARAMETER CONDITIONS MIN TYP MAX UNITS CPOの短絡検出 Threshold Voltage EN = High ● 0.5 1.5 V Test Current EN = Low, VCPO = 0V ● 10 30 mA High Level Input Voltage (VIH) ● 1.4 Low Level Input Voltage (VIL) ● Input Current (IIH) ● Input Current (IIL) ● ● 1.195 EN V 0.4 V –1 1 µA –1 1 µA 1.245 V 225 µA ISET VISET ISET = 50µA IISET 1.22 ● Note 1: 絶対最大定格に記載された値を超えるストレスはデバイスに永続的損傷を与える可 能性がある。長期にわたって絶対最大定格条件に曝すと、デバイスの信頼性と寿命に悪影響 を与える恐れがある。 Note 3:LTC3215Eは0°C ~ 85°Cの範囲で性能仕様に適合することが保証されている。–40°C ~ 85°Cの周囲動作温度範囲での仕様は設計、特性評価および統計学的なプロセス・コントロー ルとの相関で確認されている。 Note 2: 長期電流密度制限に基づく。10 秒未満の絶対最大条件で、10% 以下の動作デュー ティ・サイクルを想定している。連続動作時の最大電流は350mA。 標準的性能特性 (注記がない限り、TA = 25 C) 0.8 600 VIN = 3.6V 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 ILED = 500mA 800 400mA 400 300mA 300 200mA 200 100mA 100 0.1 0 ILED とRSET 1000 500 ILED PIN CURRENT (mA) DROPOUT VOLTAGE (V) 0.7 ILED ピンの電流と ILED ピンの電圧 0 400 600 200 LED CURRENT (mA) 800 3216 G01 0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 ILED PIN VOLTAGE (V) 1.0 3216 G02 ILED (mA) ILED のドロップアウト電圧と LED 電流 600 400 200 0 0 5 10 15 20 25 RSET (kΩ) 30 35 40 1573 G03 3215fc 3 LTC3215 標準的性能特性 (注記がない限り、TA = 25 C) 1.5 倍モードのチャージポンプの 開ループ出力抵抗(1.5VIN - VCPO)/ ICPO と温度 1 倍モードのチャージポンプの 開ループ出力抵抗と温度 VIN = 3.3V 0.27 VIN = 3.6V VIN = 3.9V 0.25 0.23 0.21 0.19 0.17 2.0 1.6 1.8 1.4 1.6 1.2 1.0 0.8 0.6 VIN = 3V VCPO = 4.2V CIN = C1 = C2 = 2.2µF CCPO = 4.7µF 0.4 0.2 0.15 –40 –15 10 60 35 TEMPERATURE (°C) 0 –40 85 –15 35 10 TEMPERATURE (°C) 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 発振器周波数と電源電圧 930 100 3.5 920 90 TA = 25°C 910 FREQUENCY (kHz) TA = 85°C TA = –40°C 2.0 1.5 1.0 TA = 25°C 900 TA = –40°C 890 TA = 85°C 880 870 860 0.5 850 0 2.9 3.1 3.3 3.5 3.7 3.9 4.1 INPUT VOLTAGE (V) 4.3 4.5 35 10 TEMPERATURE (°C) 85 60 3216 G06 4.0 2.5 –15 3216 G05 入力シャットダウン電流と 入力電圧 3.0 VIN = 3V VCPO = 4.8V CIN = C1 = C2 = 2.2µF CCPO = 4.7µF 0 –40 85 60 3216 G04 INPUT SHUTDOWN CURRENT (µA) 1.4 0.2 EFFICIENCY (PLED/PIN) (%) OUTPUT RESISTANCE (Ω) 0.29 1.8 OUTPUT RESISTANCE (Ω) ICPO = 200mA OUTPUT RESISTANCE (Ω) 0.31 2 倍モードのチャージポンプの 開ループ出力抵抗(2VIN - VCPO)/ ICPO と温度 840 2.9 3.1 3.3 3.5 3.7 3.9 4.1 SUPPLY VOLTAGE (V) 3216 G07 4.3 4.5 効率とVIN 80 200mA 400mA 70 600mA 60 50 40 30 20 10 LED = LXCL-PWF1 LUMILEDS VF = 3V TYP AT 200mA 0 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8 VIN (V) VCPO 50mV/DIV A/C COUPLED 4.2 4.4 3216 G09 3216 G08 1.5 倍モードの CPO 出力リップル 4.0 2 倍モードの CPO 出力リップル VCPO 20mV/DIV A/C COUPLED VIN = 3.6V ICPO = 200mA 500ns/DIV 3216 G10 VIN = 3.6V ICPO = 400mA 500ns/DIV 3216 G11 3215fc 4 LTC3215 標準的性能特性 (注記がない限り、TA = 25 C) チャージポンプ・モードのスイッチ ングと入力電流(ILED = 400mA) 効率とVIN ISET/ILED の電流比とILED 電流 100 3400 90 IVIN 500mA/ DIV EN2 5V/DIV VIN = 3V 1ms/DIV 3215 G12 3350 80 70 CURRENT RATIO EFFICIENCY (PLED/PIN) (%) VCPO 1V/DIV 60 50 40 30 20 10 0 100mA 200mA 400mA AOT2015 VF = 3V TYP AT 200mA 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8 VIN (V) 3300 25°C 3250 –40°C 85°C 3200 3150 4.0 4.2 4.4 3215 G13 3100 0 600 200 400 ILED CURRENT (mA) 800 3215 G14 ピン機能 – C2+、C1+、C2–、C1(ピン1、 2、8、10) :チャージポンプのフライ ング・コンデンサのピン。X5RまたはX7Rの2.2μFセラミック・ コンデンサをC1+とC1– 間および C2+とC2– 間に接続します。 CPO (ピン3) :出力。CPOはチャージポンプの出力です。このピ ンは、EN 入力を使ってイネーブルまたはディスエーブルするこ とができます。X5RまたはX7Rの4.7μFセラミック・コンデンサ をCPO からGNDに接続する必要があります。 ILED(ピン4) :出力。ILED はLED 電流源の出力です。LEDは CPO(陽極) とILED (陰極) の間に接続します。ILED ピンに流れ 込む電流は、ISET からGNDに接続されたプログラミング抵抗 によって設定されます。 ISET(ピン5) :LED 電流のプログラミング抵抗ピン。ISET ピンは 1.22Vにサーボ制御されます。このピンとGND 間に接続され た抵抗を使用してLED 電流レベルを設定します。2kΩ 以下の 抵抗を接続すると、LTC3215は過電流シャットダウン・モード になります。 EN(ピン6) :入力。ENピンは、デバイスをイネーブルするか シャットダウン・モードにするために使用します。 VIN(ピン7) :電源。LTC3215の電源電圧。VIN は2.2μF 以上 の低インピーダンスのセラミック・コンデンサを使ってGNDに バイパスします。 GND(ピン9) :チャージポンプのグランド。このピンは低イン ピーダンスのグランド・プレーンに直接接続します。 露出パッド (ピン11) :制御信号のグランド。最適な熱性能と 電気性能を得るには、このパッドを低インピーダンスのグラン ド・プレーンに半田付けする必要があります。 3215fc 5 LTC3215 ブロック図 2 10 C1+ 1 C1– 8 C2+ C2– CPO 3 1X MODE: CPO = VIN 1.5X MODE: CPO = 4.6V 2X MODE: CPO = 5.1V OSCILLATOR – + MODE CONTROL 7 6 VREF ILED DROPOUT DETECTOR 4 VIN EN CONTROL LOGIC CURRENT SOURCE CONTROL ISET GND 9 5 GND 11 3215 BD 動作 LTC3215はフラクショナル・スイッチト・キャパシタ方式の チャージポンプを使って、プログラムされた安定化電流で高 電流LEDに電力を供給します。デバイスは起動すると1倍モー ドになります。このモードでは、VIN はCPOに直接接続され ます。このモードでは、効率が最大になり、ノイズが最小にな ります。LTC3215は、LED 電流源がドロップアウトし始めるま ではこのモードに留まります。ドロップアウトが検出されると、 LTC3215はソフトスタート期間が経過した後1.5倍モードに切 り替わります。それ以降ドロップアウトが検出されると、デバイ スは2 倍モードに移行します。デバイスをシャットダウン・モー ドにしてから再度イネーブルすることにより、デバイスを1 倍 モードにリセットすることができます。 力に接続されます。他方、1.5倍モードでは、両方のフライング・ コンデンサが最初のクロック・フェーズの間直列に充電され、 2 番目のクロック・フェーズでVIN の上に並列に積まれます。フ ライング・コンデンサの充放電のこのシーケンスが 900kHz(標 準) の自走周波数で続けられます。 2フェーズの非重複クロックがチャージポンプのスイッチを起 動します。2 倍モードでは、 フライング・コンデンサは1つおきの クロック・フェーズでVIN から充電されます。片方のコンデンサ が VIN から充電されているとき、他方はVIN の上に積まれて出 2kΩ 以下の抵抗を接続すると (たとえば、短絡状態)、LTC3215 は過電流シャットダウン・モードになります。このモードは、デバ イスの高電力部分をシャットダウンすることによりデバイスへの 損傷を防ぎます。 LED 負荷に供給される電流は、内部のプログラム可能な電流 源によって制御されます。この電流の値は、適当なプログラミ ング抵抗を使って選択することができます。抵抗はISET ピンと GNDの間に接続します。所期の電流レベルを得るのに必要 な抵抗値は、式 1で求めることができます。 RSET = 3990/ILED (1) 3215fc 6 LTC3215 動作 CPOピンの電圧を検出し、誤差信号に基づいてチャージポン プの能力を調整して安定化を達成します。CPO 安定化電圧 は内部で設定され、表1に示されているようにチャージポンプ・ モードに依存します。 ROL 1.5VIN OR 2VIN 表 1.チャージポンプの出力レギュレーション電圧 チャージポンプ・モード + + – CPO 3215 F01 – VCPO 1.5 倍 4.6V 2倍 5.1V シャットダウン・モードではすべての 回 路 が オフされ、 LTC3215にはVIN 電 源から微 小 電 流が流れます。さらに、 CPOはVIN に弱く接続されます。ENピンが L に引き下げら れると、LTC3215はシャットダウン・モードになります。ENは 高インピーダンスのCMOS 入力なので、決してフロートさせて はいけません。このピンを確定した状態に保つには、有効なロ ジック・レベルで常にドライブする必要があります。 過熱保護 LTC3215は過熱保護機能を内蔵しています。接合部温度が 約 150 Cを超えると、サーマル・シャットダウン回路が ILED 出 力をシャットダウンします。接合部温度が約 135 Cまで再度 低下すると、ILED 出力を再度イネーブルします。LTC3215は熱 源が除かれるまで、ラッチアップを生じたり損傷したりすること なく、無期限にサーマル・シャットダウンへの出入りを繰り返し ます。 ソフトスタート 起動時の過度の突入電流とモードの過度の切替りを防ぐた め、LTC3215はソフト・スタート回路を内蔵しています。出力の 蓄電コンデンサに供給する電流量を約 250μsの間直線的に 増加させることにより、ソフトスタートが実現します。 チャージポンプの能力 LTC3215 が 1.5 倍モードまたは2 倍モードで動作する場合、 チャージポンプをテブナンの等価回路としてモデル化して、 利用可能な電流量を実効入力電圧と実効開ループ出力抵抗 (ROL) から求めることができます (図 1)。 図 1.チャージポンプの開ループのテブナン等価回路 ROL は発振器周波数、フライング・コンデンサの値、スイッチ 抵抗などいくつかの要素に影響されます。 図 1 から、1.5 倍モードまたは2 倍モードの出力電流はそれぞ れ次の値に比例することが分ります。 (1.5VIN – CPO)/ROL または(2VIN – CPO)/ROL (2) LED 電流の設定 LTC3215には高精度でプログラム可能な電流源が搭載され ており、LED 電流を、連続動作では350mAまで、パルス動作 では700mAまでドライブすることができます。ENピンをトグル することにより、パルス動作を実行できます。連続動作とパル ス動作のどちらでも、放熱を効果的に行うために適切な基板 レイアウトが必要です。 電流は1 本の外付け抵抗で設定できます。所期の電流レベル から抵抗値を計算するための式 1を、次のように再度使用し ます。 RSET = 3990/ILED (1) 複数の電流レベルを必要とするアプリケーションの場合、いく つかの方法を使って抵抗 RSET の値を変えることができます。 そのうち2つの方法を図 2に示します。図 2aの回路は、マイク ロコントローラのI/O出力を使って、もう1 本の抵抗(R2) をR1 と並列または直列に切り替え、ISET の実効電流を変えます。ま た、図 2bの回路は、パルス幅復調器(PWM) を使ってRSET を 流れる電流量を変え、それによってLED 電流を変化させます。 3215fc 7 LTC3215 動作 モードの切り替え LTC3215は、ILED ピンでドロップアウト状態が検出されると 1 倍モードから1.5 倍モードに自動的に切り替わり、続いて 1.5 倍モードから2 倍モードに切り替わります。デバイスは約 2ms 待ってから次のモードに切り替わります。この遅延により、 LEDの温度が上がって順方向電圧を減らすことができるの で、 ドロップアウト状態を解除できる可能性があります。 2.2µF C1+ µP VIO C1– C2+ 2.2µF C2– 2.9V TO 4.4V 4.7µF LTC3215 ILED EN VIO C1+ CPO 2.2µF ON/OFF TORCH/FLASH 2.2µF VIN 2.9V TO 4.4V デバイスを再度 1 倍モードにリセットするには、LTC3215を シャットダウンする必要があります (EN = L )。デバイスは、 シャットダウン後直ちにENピンにより1 倍モードにすること ができます。内部コンパレータは、CPOピンの電圧が VIN ピン の電圧以下に減衰するまで、メイン・スイッチが 1 倍モードで VINとCPOを接続できないようにします。 C1– C2+ VIN C2– CPO 2.2µF 4.7µF LTC3215 ILED ILED* EN ISET R2 2.2µF ISET R1 PWM 3215 F02a *ITORCH = [(1.22V/R1) – ((VIO – 1.22V)/R2)] • 3270 IFLASH = [(1.22V/(R1 • R2/(R1 + R2))] • 3270 (2a) 9.31k 1% 1k 3215 F02b 9.31k 1% 1µF (2b) 図2 3215fc 8 LTC3215 アプリケーション情報 VIN、CPOコンデンサの選択 LTC3215に使われるコンデンサの種類と値により、レギュレー タ制御ループの安定性、出力リップル、チャージポンプの能 力、最小起動時間などいくつかの重要なパラメータが決まり ます。 ノイズやリップルを減らすため、CVINとCCPO の両方に等価 直列抵抗(ESR) の小さいセラミック・コンデンサを使用するこ とを推奨します。タンタル・コンデンサやアルミ・コンデンサは ESR が大きいので推奨しません。 CCPO の値により、与えられた負荷電流に対する出力リップル の大きさが直接制限されます。CCPO のサイズを大きくすると、 起動電流が増えますが、 出力リップルは減少します。 1.5倍モー ドのピーク・トゥ・ピーク出力リップルはおよそ次式で与えられ ます。 VRIPPLE(P-P) = IOUT/(3fOSC • CCPO) (3) ここで、fOSC はLTC3215の発 振 器 周波 数( 標 準 900kHz)、 CCPO は出力の蓄電コンデンサです。 出力充電フェーズのどちらであってもLTC3215 への入力電流 は比較的一定ですが、クロックの非重複期間中はゼロに下が ります。非重複期間は短いので (約 15ns)、これらの欠けた部 分「切れ込み」 は入力電源ラインをわずかに乱すだけです。タ ンタルなどのESR が大きいコンデンサでは、入力電流変化と ESRの積による入力ノイズが大きくなることに注意してくださ い。したがって、セラミック・コンデンサはESR 特性が非常に 優れているので、ここでも推奨します。図 3に示されているよう に、非常に小さな直列インダクタを通してLTC3215に給電す ることにより、入力ノイズをさらに減らすことができます。10nH のインダクタにより高速電流ノッチが除去されるので、入力電 源への電流負荷がほぼ一定になります。コストを下げるため、 約 1cm(0.4") のPC 基板のトレースを使って、10nHのインダク タをPC 基板上に作ることができます。 10nH 0.1µF VIN 2.2µF LTC3215 GND 3215 F03 出力コンデンサの種類と値の両方が LTC3215の安定性に大 きく影響することがあります。ブロック図に示されているよう に、LTC3215は制御ループを使って、出力に必要な電流に適 合するようにチャージポンプの能力を調節します。このループ の誤差信号は出力の蓄電コンデンサに直接保存されます。こ の蓄電コンデンサは、制御ループの支配的ポールとしての役 割も果たします。リンギングや不安定動作を防ぐには、出力コ ンデンサがすべての状態で少なくとも2.2μFの実容量を維持 することが重要です。 警告:フライング・コンデンサの電圧はLTC3215の起動時に 反転することがあるので、フライング・コンデンサにはタンタル やアルミのような有極性コンデンサを決して使わないでくださ い。フライング・コンデンサには必ずセラミック・コンデンサを 使ってください。 同様に、出力コンデンサのESR が大きすぎると、LTC3215の ループ安定性が低下する傾向があります。LTC3215の閉ルー プ出力抵抗は76mΩになるように設計されています。負荷電 流が 100mA 変化すると、誤差信号は約 7.6mV 変化します。 出力コンデンサのESR が 76mΩ 以上あると、閉ループ周波数 応答は単純な1ポールの場合のようにはロールオフしなくな り、負荷トランジェント応答が悪くなったり不安定になること があります。積層セラミック・チップ・コンデンサ (MLCC) は一 般にESR 特性が非常に優れています。密な基板レイアウトと MLCCを組み合わせると非常に良いループ安定性が得られま す。CCPO の値により出力リップルの大きさが左右されるのと同 様、CVIN の値により入力ピン (VIN) に現れるリップルの大きさ が左右されます。チャージポンプが入力充電フェーズあるいは フライング・コンデンサによってチャージポンプの能力が決まり ます。定格出力電流を達成するためには、各フライング・コン デンサには少なくとも2.2μFの実容量が必要です。コンデンサ は材質が異なると、温度や電圧が上がるにつれて異なった率 で容量を失います。たとえば、X7Rの素材で作られたセラミッ ク・コンデンサは–40 C ∼ 85 Cで容量のほとんどを維持しま すが、Z5UまたはY5Vのタイプのコンデンサは同じ範囲でか なりの容量を失います。Z5Uおよび Y5Vのコンデンサは電圧 係数も非常に劣り、定格電圧が印加されると60% 以上の容 量を失うことがあります。したがって、異なったコンデンサを比 較するとき、規定容量値を比較するより、与えられたケース寸 法に対して得られる容量を比較する方が多くの場合適切で す。たとえば、定格電圧および定格温度の全条件にわたって、 図 3.入力ノイズの低減に使われた10nH のインダクタ (約 1cm の配線) フライング・コンデンサの選択 3215fc 9 LTC3215 アプリケーション情報 0603ケースに入った1μF、10VのY5Vセラミック・コンデンサ は、同じケースで供給される0.22μF、10VのX7Rよりも容量 が大きいとは限りません。最小容量を全温度および全電圧に わたって確保するのにどの値のコンデンサが必要かを決める には、コンデンサ・メーカのデータシートを調べます。 セラミック・コンデンサのメーカとその連絡先を表2に示します。 表 2.推奨コンデンサ・メーカ AVX www.avxcorp.com Kemet www.kemet.com Murata www.murata.com Taiyo Yuden www.t-yuden.com Vishay www.vishay.com TDK www.tdk.com LTC3215のPCBレイアウトを設計する際は、以下のガイドライ ンに従う必要があります。 レイアウトに関する検討事項とノイズ LTC3215によって高いスイッチング周波数とトランジェント電 流が生じるので、基板のレイアウトには注意が必要です。適正 なグランド・プレーンを与え、すべてのコンデンサへの配線を 短くすれば性能が向上し、あらゆる条件で十分なレギュレー ションが得られます。このようなレイアウトの一例を図 4に示し ます。 PIN 1 • 露出パッドは、ヒートシンクおよびノイズ保護用のメッキさ れたスルーホール・ビアを使って、切れ目のない低インピー ダンスのグランド・プレーンに接続された大きな銅プレーン に半田付けします。 • 入力コンデンサと出力コンデンサ (CINとCCPO) もできるだ けデバイスの近くに配置する必要があります。 • フライング・コンデンサもできるだけデバイスの近くに配置 し、各ピンからコンデンサのパッドへ伸びるトレースの幅を できるだけ広くする必要があります。 • VIN、CPOおよび ILED のトレースの幅はできるだけ広くする 必要があります。これは、インダクタンスを最小にし、高電 流アプリケーション用に十分な面積を確保するために必要 となります。 C1 CCPO フライング・コンデンサのC1+、C2+、C1–、C2– の各ピンには エッジ・レートの非常に高い波形が現われます。これらのピ ンのdv/dt が大きいと、隣接するPCBの配線との間にエネ ルギーの容量性結合を生じることがあります。フライング・ コンデンサが LTC3215の近くに配置されていないと (つま り、ループで囲まれた面積が大きいと)、磁界が発生するこ ともあります。容量性のエネルギー転移は、ファラデー・シー ルドを使って防ぐことができます。これは、敏感なノードと LTC3215のピンの間に配置する接地されたPCBのトレースで す。高品質のACグランドを確保するには、これをLTC3215ま で伸びた切れ目のないグランド・プレーンに戻します。 C2 • 適切な放熱を行うため、LEDのパッドを大きくしてできるだ け密な金属に接続する必要があります。 電力効率 RSET CIN 3215 F04 白色 LEDドライバ・チップの電 力効 率(η)を計 算するに は、LEDの 電 力を入 力 電 力と比 較します。これら2つ の 数値の差は、チャージポンプまたは電流源で失われた電 力を表します。数 学 的に表すと、電力効 率は次 式で求め られます。 図 4.基板レイアウトの例 η≡ PLED PIN (4) 3215fc 10 LTC3215 アプリケーション情報 LTC3215の効率は動作しているモードに応じて変動します。 LTC3215はパス・スイッチとして動作し、ILED ピンでドロップア ウトが検出されるまではVIN をCPOに接続するということを思 い出してください。この機能により、特定の入力電圧とLEDの 順方向電圧に対して可能な最適効率が得られます。スイッチ として動作しているとき、効率は次式で近似されます。 η≡ PLED VLED •ILED VLED = ≈ PIN VIN •IIN VIN (5) これは入力電流が LED 電流に非常に近くなるためです。 中程度の出力電力から高い出力電力では、LTC3215の消費 電流は無視できるので、上の式は有効です。 ILED ピンでドロップアウトが検出されると、LTC3215はチャー ジポンプを1.5 倍モードでイネーブルします。 1.5 倍の昇圧モードの効率は、実効入力電圧が実際の入力電 圧の1.5 倍あるリニア・レギュレータの効率に似ています。こう なるのは、1.5 倍チャージポンプの入力電流が負荷電流の約 1.5 倍だからです。理想的な1.5 倍チャージポンプでは、電力 効率は次式で与えられます。 ηIDEAL ≡ PLED VLED •ILED V = ≈ LED PIN VIN • 1.5ILED 1.5VIN 同様に、2 倍の昇圧モードの効率は、実効入力電圧が実際の 入力電圧の2倍あるリニア・レギュレータの効率に似ています。 理想的な2 倍チャージポンプでは、電力効率は次式で与えら れます。 ηIDEAL ≡ PLED VLED •ILED V = ≈ LED PIN VIN • 2 •ILED 2 • VIN (7) 熱管理 入力電圧が高く、出力電流が最大の場合、LTC3215 内の電 力損失がかなり大きくなることがあります。接合部温度が約 150 Cを超えると、サーマル・シャットダウン回路が自動的に 出力を停止します。最大接合部温度を下げるには、PC 基板 への十分な熱接続を行ってください。露出パッドをグランド・ プレーンに接続し、デバイスの下に切れ目のないグランド・プ レーンを確保すると、パッケージとPC 基板の熱抵抗を大きく 減らすことができます。 (6) 3215fc 11 LTC3215 パッケージ 最新のパッケージ図面については、http://www.linear-tech.co.jp/designtools/packaging/ を参照してください。 Package DDDD パッケージ 10-Lead Plastic DFN (3mm (3mm × 3mm) 10ピンプラスチックDFN 3mm) (ReferenceLTC LTCDWG DWG##05-08-1699 05-08-1699Rev RevC) C) (Reference 0.70 ±0.05 3.55 ±0.05 1.65 ±0.05 2.15 ±0.05 (2 SIDES) パッケージの 外形 0.25 ± 0.05 0.50 BSC 2.38 ±0.05 (2 SIDES) 推奨する半田パッドのピッチと寸法 R = 0.125 TYP 6 3.00 ±0.10 (4 SIDES) 0.40 ± 0.10 10 1.65 ± 0.10 (2 SIDES) ピン 1 のノッチ R = 0.20 または 0.35 45 の面取り ピン 1 のトップ・ マーキング (NOTE 6 を参照) 0.200 REF 0.75 ±0.05 0.00 – 0.05 5 1 (DD) DFN REV C 0310 0.25 ± 0.05 0.50 BSC 2.38 ±0.10 (2 SIDES) 底面図−露出パッド NOTE: 1. 図は JEDEC のパッケージ外形 MO-229 のバリエーション (WEED-2) になる予定 バリエーションの指定の現状については LTC の Web サイトのデータシートを参照 2. 図は実寸とは異なる 3. すべての寸法はミリメートル 4. パッケージ底面の露出パッドの寸法にはモールドのバリを含まない モールドのバリは (もしあれば)各サイドで 0.15mm を超えないこと 5. 露出パッドは半田メッキとする 6. 灰色の部分はパッケージの上面と底面のピン 1 の位置の参考に過ぎない 3215fc 12 LTC3215 改訂履歴 (改訂履歴は Rev C から開始) REV C 日付 概要 01/12 「標準的性能特性」のセクションのG10 ~ G14のグラフのタイトルを改訂 ページ番号 4、5 3215fc リニアテクノロジー・コーポレーションがここで提供する情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、その使用に関する責務は 一切負いません。また、ここに記載された回路結線と既存特許とのいかなる関連についても一切関知いたしません。なお、日本語の資料は あくまでも参考資料です。訂正、変更、改版に追従していない場合があります。最終的な確認は必ず最新の英語版データシートでお願いいたします。 13 LTC3215 標準的応用例 高電力カメラのライトとフラッシュ 2.2µF C1+ 2.9V TO 4.4V µP 2.8V 2.2µF C1– C2+ VIN C2– CPO 2.2µF 4.7µF LTC3215 ILED ON/OFF EN 2.8V TORCH/FLASH 30k 1% ILED 200mA/500mA ISET 10.5k 1% 3215 TA02 関連製品 製品番号 説明 注釈 LT1618 定電流、1.4MHz、1.5A 昇圧コンバータ VIN:1.6V ∼ 18V、VOUT(MAX) = 35V、IQ = 1.8mA、 ISD < 1µA、MSおよび DFN パッケージ LT1961 1.5A(ISW)、1.25MHz 高効率昇圧 DC/DCコンバータ VIN:3V ∼ 25V、VOUT(MAX) = 35V、IQ = 0.9mA、 ISD < 6µA、MS8E パッケージ LTC3205 250mA、1MHzマルチディスプレイLEDコントローラ VIN:2.8V ∼ 4.5V、VOUT(MAX) = 5.5V、IQ = 50µA、 ISD < 1µA、QFN パッケージ LTC3206 400mA、800kHzマルチディスプレイLEDコントローラ VIN:2.7V ∼ 4.5V、VOUT(MAX) = 5.5V、IQ = 180µA、 ISD < 1µA、QFN パッケージ LTC3214 500mAカメラLEDチャージポンプ 効率:94%、VIN:2.9V ∼ 4.4V、1 倍 /1.5 倍 /2 倍昇圧モード、 3mm 3mm DFN パッケージ LTC3217 600mA 低ノイズ、マルチLEDカメラ・ライト・チャージポンプ 最大 4つのLED、効率:92%、VIN:2.9V ∼ 4.5V、1 倍 /1.5 倍 / 2 倍マルチモード、 トーチおよびフラッシュ向けにISET ピンと イネーブルピンを個別装備、3mm 3mm QFN パッケージ LTC3216 個別のフラッシュ/トーチ電流制限付き1A 低ノイズ高電流 LEDチャージポンプ LTC3440/ LTC3441 600mA/1.2A(IOUT)、2MHz/1MHz 同期整流式昇降圧 DC/ VIN:2.4V ∼ 5.5V、VOUT(MAX) = 5.25V、IQ = 25µA、 DCコンバータ ISD < 1µA、MS/DFN パッケージ LTC3443 1.2A(IOUT)、600kHz 同期整流式昇降圧 DC/DCコンバータ VIN:2.4V ∼ 5.5V、VOUT(MAX) = 5.25V、IQ = 28µA、 ISD < 1µA、DFN パッケージ LTC3453 1MHz、500mA 同期整流式昇降圧高電力LEDドライバ LT3467/ LT3467A ソフトスタート機能搭載、1.1A(ISW)、1.3MHz/2.1MHz 高効 VIN:2.4V ∼ 16V、VOUT(MAX) = 40V、IQ = 1.2mA、 率昇圧 DC/DCコンバータ ISD < 1µA、ThinSOTおよび DFN パッケージ LT3479 3A、42V、3.5MHz 昇圧コンバータ VIN:2.9V ∼ 4.4V、VOUT(MAX) = 5.5V/6V、IQ = 300µA、 ISD < 2.5µA、DFN パッケージ VIN(MIN):2.7V ∼ 5.5V、VIN(MAX):2.7V ∼ 4.5V、IQ = 0.6mA、 ISD < 6µA、QFN パッケージ VIN:2.5V ∼ 24V、VOUT(MAX) = 40V、IQ = 5mA、 ISD < 1µA、DFNおよび TSSOP パッケージ 3215fc 14 リニアテクノロジー株式会社 〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6紀尾井町パークビル8F TEL 03-5226-7291 ● FAX 03-5226-0268 ● www.linear-tech.co.jp LT 0112 REV C • PRINTED IN JAPAN LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2007