NJW4190 データシート

NJW4190
倍電圧出力 チャージポンプ IC
■概 要
NJW4190 は、+5V∼+17V の入力電圧に対し倍電圧を発生する
チャージポンプ IC です。入出力コンデンサとチャージポンプコン
デンサを外付けするのみで、倍電圧回路が構成できます。
従来品の NJU7660/NJU7662 の倍電圧回路に比べて、高出力電
流化、コンデンサの小型化が可能です。また ON/OFF 回路、出力
電圧コントロール機能、外部同期機能を備え、使い易さの向上を図
りました。
液晶パネル、CCD、センサのバイアス電圧用途やアンプの電源
生成用途に最適です。
また負電圧出力アプリケーション向けに NJW4191 をラインア
ップしています。
■外 形
NJW4190R
NJW4190M
■特 徴
●×2 倍出力
34V max.
●広動作電圧範囲
5V∼17V
●最大出力電流
55mA max.
●セラミックコンデンサ対応
●出力電圧コントロール機能
●ON/OFF 機能
●発振回路内蔵
300kHz typ.
●外部同期対応
1/4 分周 (A ver.)
●サーマルシャットダウン
●NJU7660/NJU7662 の倍電圧回路とコンパチブル*
●外形
NJW4190R
: VSP8
NJW4190M
: DMP8
*端子機能として一部コンパチブルになっていない箇所があります。
■端子配列
1
8
2
7
3
6
4
5
NJW4190R
NJW4190M
Ver.2013-02-12
ピン配置
1. FB
2. C+
3. V+
4. C5. GND
6. CLK
7. ON/OFF
8. VOUT
-1-
NJW4190
■ブロック図
ON/OFF
Level Shift
High: ON
Low : OFF
VOUT
Level
Shift
Thermal
Shut Down
C+
V
Clock
Generator
分周器
内部 CLK: 1/2
外部 CLK: 1/4
Level
Shift
+
CGND
CLK
FB
Vref
1.24V
■製品バージョン
品
NJW4190R-A
NJW4190M-A
名
分周器
外部 CLK: 1/4
■絶対最大定格 (Ta=25°C)
項
目
入力電圧
FB 端子電圧
ON/OFF 端子電圧
CLK 端子電圧
最大出力電流
記 号
+
V
VFB
VON/OFF
VCLK
IOUT
消費電力
PD
動作温度範囲
保存温度範囲
Topr
Tstg
定
格
単 位
+20
-0.3∼+6
-0.3∼+6
-0.3∼+6
55
VSP8: 595 (*1)
DMP8: 530 (*1)
-40∼+85
-40∼+150
V
V
V
V
mA
mW
°C
°C
(*1): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(2 層 FR-4)で EIA/JEDEC 準拠による
■推奨動作条件
項
目
電源電圧
外部クロック入力範囲
A バージョン (*2)
外部クロック DUTY 入力範囲
記 号
最 小
標 準
最 大
単 位
+
5
−
17
V
fCLK
300
–
2,000
kHz
DUTY
45
–
80
%
V
(*2): OUT 端子には外部クロック入力周波数(fCLK)を 1/4 分周した発振周波数が出力されます
-2-
Ver.2013-02-12
NJW4190
■電気的特性 (V+= 10V, VON/OFF= 5V, VFB= GND, VCLK=GND, C1=C2=C3=1µF, Ta=25°C)
項
目
記 号
条
件
最小
標準
最大
単位
RL=2kΩ
RL=無負荷
–
–
–
–
88
97
950
55
30
300
93
99.9
1,250
75
42
–
–
–
µA
µA
Ω
kHz
%
%
VON/OFF= L → H
VON/OFF= H → L
VON/OFF=1.7V
1.7
0
–
–
–
2
5.5
0.6
5
V
V
µA
-10%
–
1.24
0.01
+10%
1
V
µA
2.4
0
–
–
–
6
5.5
0.7
10
V
V
µA
全体
電源電流
出力抵抗
発振周波数
電力効率
電圧変換効率
IDD1
IDD2
RO
fOSC
PEF
VEF
ON/OFF 回路部
ON 制御電圧
OFF 制御電圧
ON/OFF 端子電流
VON
VOFF
ION/OFF
FB 回路部
検出電圧
FB 端子流入電流
VT
IFB
CLK 回路部
CLK 端子 High 電圧
CLK 端子 Low 電圧
CLK 端子流入電流
Ver.2013-02-12
VCLK_H
VCLK_L
ICLK
VON/OFF=5V, RL=無負荷
VON/OFF=GND
IOUT=20mA
VFB= L → H
VFB=5.5V
VCLK=5.5V
-3-
NJW4190
■アプリケーション回路例
1
FB
VOUT 8
2
C+
ON/OFF 7
3
V+
CLK
4
C-
GND 5
VOUT
C3
C2
+
V
R2
NJW4190
6
R1
C1
CLK
ON/OFF
High: ON
Low: OFF
-4-
Ver.2013-02-12
NJW4190
■特性例
電力効率対出力電流特性例
出力電圧対出力電流特性例
o
+
+
o
(V =10V, C1=C2=C3=1µF, Ta=25 C)
18
16
V
OUT
(V)
20
出力電圧
電力効率 PEF (%)
(V =10V, C1=C2=C3=1µF, Ta=25 C)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
0
10
20
30
40
50
出力電流 IOUT (mA)
14
12
10
60
0
10
出力抵抗温度特性例
+
(V =10V, C1=C2=C3=1µF)
360
発振周波数 fosc (kHz)
出力抵抗 RO (Ω)
(V =10V, C1=C2=C3=1µF, I OUT=20mA)
40
30
20
10
0
-50 -25
0
60
発振周波数温度特性例
+
50
20
30
40
50
出力電流 IOUT (mA)
25 50 75 100 125 150
o
周囲温度 Ta ( C)
340
320
300
280
260
240
-50 -25
0
25 50 75 100 125 150
o
周囲温度 Ta ( C)
FB検出電圧温度特性例
FB検出電圧 VT (V)
1.35
1.3
1.25
1.2
1.15
1.1
-50 -25
Ver.2013-02-12
(V+=10V, C1=C2=C3=1µF)
0
25 50 75 100 125 150
o
周囲温度 Ta ( C)
-5-
NJW4190
■特性例
電源電流温度特性例
電源電流対電源電圧特性例
+
o
(C1=C2=C3=1µF, RL=無負荷, Ta=25 C)
1400
(µA)
1200
800
600
400
1000
800
600
400
200
200
0
1200
DD1
1000
電源電流 I
電源電流 IDD1 (µA)
1400
(V =10V, C1=C2=C3=1µF, RL=無負荷)
0
5
10
15
+
電源電圧 V (V)
20
0
-50 -25
0
25 50 75 100 125 150
o
周囲温度 Ta ( C)
OFF時電源電流温度特性例
+
80
(V =10V, VON/OFF=GND, C1=C2=C3=1µF)
電源電流 I
DD2
( µA)
70
60
50
40
30
20
10
0
-50 -25
-6-
0
25 50 75 100 125 150
o
周囲温度 Ta ( C)
Ver.2013-02-12
NJW4190 ApplicationNJW4190
Manual
技 術 資 料
■ブロック・各機能説明
●FB 回路部
出力電圧をフィードバックすることで帰還抵抗 R1 と R2 によって分圧された電圧と、1.24V±10%の基準電圧とをコ
ンパレータによって比較します。このコンパレータの信号により発振の動作と停止を繰り返す間欠動作により、出力
電圧が一定に保たれます。また、過電圧保護としても使用できます。
●分周器
外部からクロックが入力されない場合、内蔵の発振回路により生成されたクロックは分周器において 1/2 分周され、
レベルシフト回路へ供給されます。これにより、チャージポンプの出力は内蔵の発振周波数=300kHz を 1/2 分周した
150kHz でスイッチング動作します。
また、外部からクロックが入力された場合、外部クロックは分周器において 1/4 分周 (A ver.)され、レベルシフト回路
へ供給されます。これにより、チャージポンプの出力は外部クロック周波数を 1/4 分周 (A ver.)した周波数でスイッチ
ング動作します。
●ON/OFF 機能
NJW4190 には、ON/OFF 機能が内蔵されています。ON/OFF 端子は内部にプルダウン抵抗が挿入されており、定常
時は OFFに設定されています。
ON/OFF端子に1.7V以上の電圧を印加することでチャージポンプ動作を開始します。
●サーマルシャットダウン機能
NJW4190 には、サーマルシャットダウン機能が内蔵されています。高温又は自己発熱により接合部温度が約 160℃
を超えると、内蔵サーマルシャットダウン回路が発振回路とレベルシフト回路を停止し、チャージポンプ動作を停止
します。接合部温度が約 150℃まで下がると、発振回路とレベルシフト回路を動作させ、チャージポンプ動作を開始
します。
Ver.2013-02-12
-7-
NJW4190
NJW4190Application Manual
技 術 資 料
■アプリケーション情報
C2
1µF/50V
1
FB
VOUT 8
2
C+
ON/OFF 7
NJW4190
V
+
C1
1µF/50V
+
3
V
CLK
4
C-
GND 5
6
VOUT
R2
C3
1µF/50V
R1
CLK
ON/OFF
High: ON
Low: OFF
C1
C2
C3
: Murata GRM21BB31H105K
: Murata GRM21BB31H105K
: Murata GRM21BB31H105K
●コンデンサの選択
NJW4190 は使用するコンデンサの種類と値によってチャージポンプの動作の安定性、リップル電圧およびノイズな
どのいくつかの重要なパラメータが決定されます。
リップル電圧やノイズを減らすには、入力コンデンサ C1 と出力コンデンサ C3 の両方に低 ESR(等価直列抵抗)のセ
ラミック・コンデンサを使用し、1µF 以上の容量にすることを推奨します。
与えられた負荷に対するリップル電圧の大きさは出力コンデンサ C3 および発振周波数の値によって決まります。出
力コンデンサ C3 を大きくすると、起動時の突入電流が増えますがリップル電圧が小さくなります。
ピーク・ツー・ピークリップル電圧はおおよそ次式で与えられます。
VRIP _ p −p ≅
IOUT
2 × fOSC × C 3
容量の大きい電解コンデンサを出力コンデンサ C3 に使用することで出力電圧の充電・放電時の dv/dt を小さくでき、
リップルを低減することができます。また高周波特性に優れたセラミック・コンデンサを出力コンデンサ C3 に使用
することで、高周波のスパイクノイズを低減することができます。アプリケーションに応じて、出力コンデンサ C3
にセラミック・コンデンサと電解アルミ・コンデンサを並列にしてください。RC フィルタなどのローパス回路を追
加することも有効な方法です。
また、発振周波数を大きくすることでリップル電圧を軽減することが可能です。
-8-
Ver.2013-02-12
NJW4190 ApplicationNJW4190
Manual
技 術 資 料
■アプリケーション情報(続き)
フライング・コンデンサ C2 はチャージポンプの強度を決定します。起動時に反転することがあるためフライング・
コンデンサ C2 には無極性コンデンサを使用してください。定格の出力電流を得るために、フライング・コンデンサ
C2 には低 ESR のセラミック・コンデンサを使用し 1µF 以上の容量にすることを推奨します。
最小出力抵抗の理論式は次式で与えられます。
R OL =
2 VIN − VOUT
1
≅
IOUT
fOSC C 2
実際の出力抵抗 RO は、スイッチの ON 抵抗 RON(SW)を加えたものとなり、次式で表されます。
R O = R ON(SW ) + R OL
NJW4190 の出力抵抗 RO は 30Ω(typ.)です。
●突入電流
NJW4190では特に起動時やシャットダウンからの解放時に突入電流が流れます。
V+からVOUT への電圧差が大きいと、
入力電源から電流スパイクも大きくなります。チャージポンプが動作している間、電流を制限するのはチャージポン
プの実効出力インピーダンスだけです。これにより、起動時やシャットダウンモード解放時には入力電源の安定化に
影響を与える場合があるため注意してください。
Ver.2013-02-12
-9-
NJW4190
NJW4190Application Manual
技 術 資 料
■アプリケーション情報(続き)
●出力電圧の設定
NJW4190 は出力電圧制御機能が内蔵されており、出力電圧は帰還
抵抗 R1,R2 で設定可能です(図1)。出力電圧の設定は、V+<VOUT と
なるように行ってください。出力電圧が設定値を超えるとチャージ
ポンプは停止し、出力電圧の低下によりチャージポンプの復帰の動
作を交互に繰り返す間欠動作となります。
ノイズなどによる誤動作防止のため帰還抵抗 R1 と R2 の和を 2MΩ
以下となるよう選定してください。まず、R2 を選定し、所要の出
力電圧になるように次式より帰還抵抗 R1 を算出してください。
FB
VOUT
VOUT
R2
NJW4190
C3
R1
GND
VOUT = (1+ R2/R1) ×1.24 [V]
図1 帰還抵抗の設定
出力電圧制御機能を未使用の場合には、
FB 端子を GND に接続してください。
出力電圧制御時は、負荷電流(無効電流など)によって、出力コ
ンデンサからの放電スピードが変化し、間欠動作によって発生
するリップル電圧の大きさが変化します。
入力電圧が高くなると、クロックごとに出力コンデンサ C3 に
供給される電荷が増えるため、間欠動作によるリップル電圧が
増加します。大容量のフライング・コンデンサ C2 を使用した
場合も同様にリップル電圧が増加します。
間欠動作によるリップル電圧を低減する方法としては、大容量
のコンデンサを出力コンデンサ C3 に使用することで出力電圧
の充電・放電時の dV/dt を小さくでき、低周波リップルを低減
することができます。軽負荷または高い入力電圧のアプリケー
ションでは、フライング・コンデンサ C2 を小容量にすれば低
周波リップルを低減できます。これは、クロックごとに出力コ
ンデンサ C3 に供給される電荷が少なくなるためです。ただし
小容量のフライング・コンデンサ C2 を使用すると、効率や最
大出力電流能力も低下します。
100mV/div AC
4µs/div
(V+=12V, VOUT≅20V, IOUT=30mA
R1=15kΩ, R2=240kΩ, C1=C2=C3=1µF)
図2 出力リップル電圧波形例
●外部クロック同期機能
NJW4190 は外部クロック同期機能が内蔵されています。外部クロック同期機能を使用する場合は、外部クロックの
DUTY は 45∼80%の範囲内、外部クロック周波数は 300kHz∼2MHz (A ver.)の範囲内で設定してください。また、外
部クロック同期機能を未使用の場合は、CLK 端子を GND に接続してください。
- 10 -
Ver.2013-02-12
NJW4190 ApplicationNJW4190
Manual
技 術 資 料
■アプリケーション情報(続き)
●アプリケーション上の注意
最大定格によって、VOUT 端子からの出力電流は 55mA に規定されています。
過電流が流れる場合は、外部で電流を制限するなどの対策を行ってください。
●レイアウト上の留意点
スイッチングノイズやリップル電圧等の影響を軽減するためにはプリント基板のレイアウト設計が重要です。全ての
コンデンサは可能な限り IC の近辺に配置してください。フィードバック抵抗はノイズの影響を受けやすいため、FB
端子近辺に配置してください。
図3 表面 PC Board Layout
図4 裏面 PC B Board Layout
■NJU7660/62 を用いた倍電圧アプリケーションでの置き換えについて
NJW4190 は NJU7660/62 からの高機能化を図った製品です。
置き換えを行う場合は、下記の条件を満たす必要あがります。
1pin:
6pin:
7pin:
NJU7660/62
NC 端子
VR 端子
OSC 端子
→
→
→
NJW4190
FB 端子のため、GND に接続
CLK 端子のため、GND に接続
ON/OFF 端子のため、5V に接続
NJU7660/62 では、起動回路として抵抗とダイオードが必要ですが、NJW4190 においてこれらの部品は不要です。
Ver.2013-02-12
- 11 -
NJW4190
MEMO
<注意事項>
このデータブックの掲載内容の正確さには
万全を期しておりますが、掲載内容について
何らかの法的な保証を行うものではありませ
ん。とくに応用回路については、製品の代表
的な応用例を説明するためのものです。また、
工業所有権その他の権利の実施権の許諾を伴
うものではなく、第三者の権利を侵害しない
ことを保証するものでもありません。
- 12 -
Ver.2013-02-12