NJM2671 データシート

NJM2671
ステッピングモータコントローラ/ドライバ
ステッピングモータコントローラ ドライバ
■ 概要
■ 外形
NJM2671は2相ユニポーラステッピングモータ用
ドライバで、モータ部出力は最大耐圧60V、最大電流500
mAの性能を持っています。
モータコントロール方式は汎用のSTEP/DIR方式(回
転数/方向に対応)を採用しており、コントロール信号により
簡単にHALF/FULLステップモードの切替が可能です。
耐圧60Vと電源電圧範囲が広いことにより、高速モータ
アプリケーションへの応用や、耐圧余裕による信頼性の向上も
実現します。
NJM2671D2
NJM2671E2
■ 特徴
● モータ部電源電圧 60V
● 連続出力電流 2chX500mA
● ドライバ、フェーズロジック内蔵
● 外部フェーズロジックリセット端子付(RESET)
● フェーズ原点モニタリング出力端子付(MO)
● 熱遮断回路内蔵
● 外形 DIP16/EMP16
■ 端子配列
PB2
1
16
VCC
PB1
2
15
MO
14
RESET
GND
3
NJM
2671D2
PA1
4
13
NC
PA2
5
12
NC
DIR
6
11
INH
STEP
7
10
HSM
φB
8
9
φA
PB2
1
16
VCC
PB1
2
15
MO
GND
3
14
RESET
PA1
4
13
NC
PA2
5
12
NC
DIR
6
11
INH
STEP
7
10
HSM
φB
8
9
φA
NJM
2671E2
図 1 端子配列図
-1-
NJM2671
■ブロック図
ブロック図
VCC
MO
POR
φA
φB
PHASE
LOGIC
STEP
DIR
HSM
PB2
PB1
RESET
RESET
PA2
PA1
INH
TSD
GND
図 2 ブロック図
■ 端子説明
端子番号
1
2
3
4
5
6
7
端子名
PB2
PB1
GND
PA1
PA2
DIR
STEP
8
9
10
φB
φA
HSM
11
12
13
14
15
16
INH
NC
NC
RESET
MO
Vcc
-2-
説明
B2フェーズ出力。最大500mAシンキングオープンコレクタ出力。
B1フェーズ出力。最大500mAシンキングオープンコレクタ出力。
VccのGND電源端子。
A1フェーズ出力。最大500mAシンキングオープンコレクタ出力。
A2フェーズ出力。最大500mAシンキングオープンコレクタ出力。
方向指令入力。モータの回転方向を決定します。
モータのステッピング用のパルス入力。STEP信号の各ネガティブエッジで内
部フェーズロジックが動作します。
ハーフステップモード時のBフェーズ用ゼロ電流シーケンスモニタ出力。
ハーフステップモード時のAフェーズ用ゼロ電流シーケンスモニタ出力。
ハーフ/フルステップモード切替入力。
Hでフルステップモード、Lでハーフステップモードとなります。
フェーズ出力OFF入力。Hですべてのフェーズ出力がOFFになります。
接続されません。
接続されません。
フェーズロジックイニシャライズ入力。
フェーズ出力イニシャル状態検出出力。
ロジック部電源電圧端子。
NJM2671
■絶対最大定格
絶対最大定格 (Ta=25°C )
項目
フェーズ出力電圧
フェーズ出力電流
ロジック部電源電圧
ロジック入力電圧範囲
ロジック入力電流
ロジック出力電流
接合部温度
動作温度
保存温度
消費電力(DIP)
消費電力(EMP)
ピン番号
1,2,4,5
1,2,4,5
16
6,7,10,11,14
6,7,10,11,14
8,9,15
記号
VPCEO
IP
VCC
VI
II
IO
Tj
Topr
Tstg
PD
PD
最小
0
0
0
-0.3
-10
−
-40
-40
-55
−
−
最大
60
500
7
6
−
6
+150
+85
+150
1.6
1.3
単位
V
mA
V
V
mA
mA
°C
°C
°C
W
W
■推奨動作条件
推奨動作条件
項目
フェーズ出力電圧
フェーズ出力電流
ロジック部電源電圧
動作接合部温度
セットアップタイム
ステップパルス幅
リセットパルス幅
記号
最小
標準
最大
単位
VPCEO
IP
VCC
Tj
tS
tP
tR
10
0
4.75
-20
400
800
800
−
−
5
−
−
−
−
55
350
5.25
+125
−
−
−
V
mA
V
℃
nS
nS
nS
■電気的特性
電気的特性
項目
記号
条件
最小
標準
最大
単位
INH=LOW
INH=HIGH
−
45
60
mA
−
−
12
170
−
−
mA
℃
IP=350mA
−
−
−
−
−
−
0.85
500
3
V
µA
µS
2.0
−
−
−
−
−
0.8
20
−
V
V
µA
µA
−
0.6
V
全体
消費電流
サーマルシャットダウン温度
フェーズ出力部
飽和電圧
リーク電流
ターンオン、ターンオフ時間
ロジック入力部
Hレベル電圧
Lレベル電圧
入力電流(Hレベル)
入力電流(Lレベル)
ロジック出力部
飽和電圧
Icc1
Icc2
Ttsd
VPCE Sat
IPL
td
Vi=2.4V
VIH
VIL
IIH
IIL
VI =2.4V
VI =0.4V
−
−
-400
VO Sat
IO=1.6mA
−
-3-
NJM2671
■ 基本アプリケーション
C≧10μF
VMM
+5V
C≧10μF
MO
ΦA
ΦB
OPTIONAL
SENSOR
R1
R2
VCC
CMOS,TTL-LS
Input/Output Device
STEP
STEP
CW/CCW
DIR
HALF/FULL STEP
RESET
NORMAL/INHBIT
HSM
RESET
MOTOR
NJM2671
PB2
PB1
PA1
PA2
INH
GND
D1-D4
11DF2or31DF2
GND
GND(VCC)
日本インター
GND(VMM
C=4,700pF
図 3 基本アプリケーション回路例
■ 機能説明
NJM2671は、ユニポーラ巻線方式のステッピングモータを駆動するための、定電圧駆動方式の高性能モータ
ドライバです。
モータのモーションコントロール方式として、汎用的なSTEP−DIR方式を採用しており、パルスジェネレー
タを用意頂くことにより、簡単にステッピングモータのコントロールができます。
また、フェーズ出力が60Vmax.と高耐圧ですのでユニポーラ巻線方式駆動でしばしば問題となるモータ電源に
対してのフェーズ出力の耐圧マージン余裕が増えるとともに、フェーズターンオフ時の電力抑制回路の設計が簡単に
なります。
■ ロジック入力部
すべての入力部はLS−TTL互換です。ロジック入力部がオープン状態の場合は、回路はそれをHレベルとして
受け取ります。NJM2671には、ステッピングモータを適切に制御するのに必要なフェーズロジックが内蔵され
ています。
STEP−ステッピングパルス
STEP信号(パルス)の各ネガティブエッジ毎に、内蔵フェーズロジックのシーケンスがUPします。フルステッ
プモードでは、このパルス信号でステッピングモータは基本ステップ角の角度を回転します。ハーフステップモード
では、基本ステップ角を移動するためには、2つのパルスが必要です。
DIR信号(方向)とHSM信号(ハーフ/フルモード) はSTEPのネガティブエッジ中にラッチされるため、ネガ
ティブエッジの前に確立されている必要があります。図4のセットアップタイム ts に注意してください。
DIR−方向
DIRは、ステップを行う方向を決定します。実際のステッピングモータの回転方向は、NJM2671とモータ
間の接続によって異なります。DIRはいつでも変更はできますがSTEPのネガティブエッジと同時は1パルス分
のミスステップとなる可能性があるため、避けてください。図4のタイミング図を参照してください。
HSM−ハーフ/
HSM−ハーフ/フルステップモード切換
ステッピングモータがフルステップまたはハーフステップのどちらかでコントロールされるかを決定します。
HSMがLレベルになると、内蔵フェーズロジックはハーフステップモードとなります。HSMはいつでも変更でき
-4-
NJM2671
ますが、STEPのネガティブエッジと同時は1パルス分のミスステップとなる可能性があるため、避けてください。
図4のタイミング図を参照してください。
INH−フェーズ出力OFF
INHがHレベルになると、すべてのフェーズ出力がOFFになり、電流消費が減少します。
RESET−リセット
2相のステッピングモータは、基本ステップの倍数4の角度毎に同一巻線励磁シーケンスを繰り返します。これに
対応して、フェーズロジックはフルステップモードでは4パルス毎、ハーフステップモードでは8パルス毎にフェー
ズロジックシーケンスを繰り返します。
RESETは強制的にフェーズロジックをシーケンススタート状態にイニシャライズします。
RESETがLレベルになると、
フェーズロジックをイニシャライズするとともにフェーズ出力をOFFとします。
RESETがHレベルに復帰すると、フェーズ出力は、フェーズロジックのシーケンススタート状態の励磁パター
ン出力となります。図5のリセットタイミング図を参照してください。
■ POR−パワーオン・リセット機能
Vccに接続された内部パワーオン・リセット回路は、フェーズロジックをリセットし、電源投入中のフェーズ出
力をOFFさせることでミスステップを防止します。
また電源投入毎にフェーズ出力は、フェーズロジックのシーケンススタート状態の励磁パターン出力となります。
■ フェーズ出力部
フェーズ出力部は、4つのオープンコレクタトランジスタで構成されており、図3で示すようにステッピングモー
タに直接接続されています。
■ φA、φB−バイポーラフェーズロジック出力
φA、φB出力は、フェーズロジックから生成され、励磁シーケンスが1相励磁か2相励磁かを外部からモニタで
きる信号です。通常、ハーフステップからフルステップへの切換は適切なタイミングで行わないとミスステップを発
生します。φA、φB出力を利用し2相励磁状態(φA=φB=Lレベル)でHSMの切換を実行することで、ミスス
テップを防止してハーフステップからフルステップの変更ができます。
■ MO−相原点モニタ
フェーズロジックのシーケンススタート位置またはPOR、外部RESET後に励磁シーケンスがイニシャル状態
位置であることを外部に示すためにLレベルを出力します。
ステッピングモータを使用したシステムで、機械原点位置の検出の際に、機械原点センサとMOのANDを原点と
することで、より分解能の高い機械原点位置が実現します。
Vcc
約3.0V∼4.0V
STEP
HSM,DIR
RESET
STEP,RESET
PB1/PA1
ts
tp
Ip
PB2/PA2
通常シーケンス
フェーズ出力OFF
通常シーケンス
td
POR動作
図 4 タイミング定義図
内部フェーズロジック
イニシャライズ後出力
図 5 POR及び外部リセットタイミング
-5-
NJM2671
POR
DIR
H
INH
L
HSM
H
STEP
H
φB
ON
PB1
OFF
PB2
ON
PA1
OFF
PA2
ON
φA
ON
MO
ON
①
②
③
④
①
②
③
④
①
図 6-1 フルステップモード、CWシーケンス
POR
DIR
L
INH
L
HSM
H
STEP
H
φB
ON
PB1
OFF
PB2
ON
PA1
OFF
PA2
ON
φA
ON
MO
ON
①
②
③
④
①
②
③
④
POR
H
INH
L
HSM
L
STEP
H
φB
ON
PB1
OFF
PB2
ON
PA1
OFF
PA2
ON
φA
ON
MO
ON
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
POR
L
INH
L
HSM
L
STEP
H
φB
ON
PB1
OFF
PB2
ON
PA1
OFF
PA2
ON
φA
ON
MO
ON
POR
H
INH
H
HSM
L
STEP
H
φB
ON
PB1
OFF
PB2
OFF
PA1
OFF
PA2
OFF
φA
ON
MO
ON
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
3
OFF
ON
ON
OFF
4
OFF
ON
OFF
ON
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
1
OFF
ON
OFF
OFF
2
OFF
ON
ON
OFF
3
OFF
OFF
ON
OFF
4
ON
OFF
ON
OFF
5
ON
OFF
OFF
OFF
6
ON
OFF
OFF
ON
7
OFF
OFF
OFF
ON
8
OFF
ON
OFF
ON
3
ON
OFF
OFF
OFF
4
ON
OFF
ON
OFF
5
OFF
OFF
ON
OFF
6
OFF
ON
ON
OFF
7
OFF
ON
OFF
OFF
8
OFF
ON
OFF
ON
図 8-2 シーケンス表
STEP
PB1
PB2
PA1
PA2
①
POR
OFF
ON
OFF
ON
①
①
図 10 ハーフステップモード,INHシーケンス
-6-
STEP POR 1
2
PB1
OFF ON ON
PB2
ON
OFF OFF
PA1
OFF OFF ON
PA2
ON
ON OFF
図 7-2 シーケンス表
STEP
PB1
PB2
PA1
PA2
図 9-1 ハーフステップモード、CCWシーケンス
DIR
4
OFF
ON
OFF
ON
①
図 8-1 ハーフステップモード、CWシーケンス
DIR
3
ON
OFF
OFF
ON
①
図 7-1 フルステップモード、CCWシーケンス
DIR
STEP POR 1
2
PB1
OFF OFF ON
PB2
ON
ON OFF
PA1
OFF ON ON
PA2
ON
OFF OFF
図 6-2 シーケンス表
POR
OFF
ON
OFF
ON
1
OFF
OFF
OFF
ON
2
ON
OFF
OFF
ON
図 9-2 シーケンス表
NJM2671
■ 応用例
ロジック入力部
ロジック入力部はオープンになると、回路はそれをHレベルとして扱います。耐ノイズ性を最大にするために、未
使用の入力部はVDDレベルに固定する必要があります。
フェーズ出力部
フェーズ出力部は、ステッピングモータ巻線をユニポーラ駆動するために電力シンクとなっております。巻線のコ
モン線に接続される抵抗は、最大モータ電流を決定します。
出力トランジスタをキックバック電力から保護するために、高速なフリーホイール・ダイオードを使用する必要が
あります。図11∼図14に解決法の例を示します。
φA、φB−バイポーラフェーズロジック出力
φA、φBは、ハーフステップモードにおいて対応するフェーズ出力が電流OFF状態の時にHレベルになるオー
プンコレクタ出力です。プルアップ抵抗で適切な電源電圧に接続する必要があります。(Vcc5Vロジックの場合、5
kΩ推奨)
■ 各駆動モードにおける入出力信号シーケンス
図6∼図10は、各駆動モードにおける入出力信号のタイミングチャートです。左側にはPOR後の入力及び出力
信号の状態を示しています。
■ 使用上の注意
1.電源が供給されているときは、ICまたはPCBを取り外さないでください。
2.フリーホイール・ダイオードを使用しても、ステッピングモータによっては過度の電圧が発生することがあります
ので注意してください。
3.必要なトルクを得るために必要な定格電流のステッピングモータを選択してください。一般的にステッピングモー
タへの供給電圧が高電圧であればあるほど高速な回転性能が得られます。
ステッピングモータの定格電圧より供給電圧が高い場合には、電流制限抵抗をコモン巻線と供給電源間に接続する
必要があります。この抵抗は L/R 時間定数を変化させて、ステッピングモータの高速回転性能を引き出します。
4.直列ダイオードをもつモータ供給電源(出力コンデンサ無し)のご使用は避けてください。
またGNDラインはVccとの共通インピーダンスを避けて、ICのGND端子(ピン3)での一点接地を
して下さい。
5.実際のモータ回転方向を変更するには、PA1とPA2(またはPB1とPB2)でのステッピングモータの接続を
交換します。
6.駆動回路
ステッピングモータから高性能を得たい場合は、フェーズターンオン時に急激に巻線が励磁され、ターンオフ時に
は急速に励磁が切れる必要があります。
7.フェーズターンオフの問題
巻線励磁がオフになるとき(巻線電流が切れる)誘導される高電圧キックバック電圧を適切に抑えないと、駆動回路
が破損する場合があります。図11∼14のターンオフ回路を参考にしてください。
8.MO出力をご使用する場合
ハーフステップモードにおいては、MO出力端子にハザードが発生します。
MO出力端子をご使用になる際には、ハザードをキャンセルするために出力波形を確認して、MO端子(15ピ
ン)とGND端子(3ピン)間に1,000pF以上のセラミックコンデンサを接続してください。
-7-
NJM2671
図 11 ダイオード・ターンオフ回路
図 13 ツェナーダイオード・ターンオフ回路
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図 12 抵抗・ターンオフ回路
図 14 電源回生・ターンオフ回路
NJM2671
■ 電気的特性例
図 15 周囲温度 VS 許容損失特性例
図 16 フェーズ出力飽和電圧 VS 出力電流
特性例
[mA]
図 17 ロジック出力飽和電圧 VS 出力電流
特性例
図 18 許容損失 VS フェーズ出力電流
特性例(@フルステップ)
<注意事項>
このデータブックの掲載内容の正確さには
万全を期しておりますが、掲載内容について
何らかの法的な保証を行うものではありませ
ん。とくに応用回路については、製品の代表
的な応用例を説明するためのものです。また、
工業所有権その他の権利の実施権の許諾を伴
うものではなく、第三者の権利を侵害しない
ことを保証するものでもありません。
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