NJW4154 カレントモード 3A MOSFET 内蔵 降圧用 スイッチングレギュレータ IC ■概 要 NJW4154 は、40V, 3A のパワーMOSFET を内蔵した降圧用ス イッチングレギュレータ IC です。カレントモード制御方式を採 用し、出力セラミックコンデンサを容易に使用できます。位相補 償回路を内蔵し、最小限の外付け部品で降圧アプリケーションを 実現します。 外部クロックを入力することで、スイッチング周波数を同期し て動作させることが可能です。 またソフトスタート機能による安定した回路起動が可能であ り、過電流・過熱保護機能で異常時の回路保護を行います。 カーアクセサリ、OA 機器、産業機器などの高電圧からロジッ ク電圧の生成に最適です。 ■外 形 NJW4154GM1 NJW4154DL3 ■特 徴 ●カレントモード制御 ●外部クロックに同期可能 ●広動作電圧範囲 4.5V∼40V ●スイッチング電流 4.5A min. ●PWM 制御方式 ●位相補償回路内蔵 ●セラミックコンデンサ対応 ●発振周波数 300kHz typ. (A ver.) ●ソフトスタート機能 4ms typ. ●低電圧誤動作防止回路内蔵 ●過電流保護機能(ヒカップ方式) ●過熱保護機能 ●Power Good 機能(NJW4154GM1 のみ) ●スタンバイ機能 ●外形 NJW4154GM1 : HSOP8 NJW4154DL3 : TO-252-5 ■製品分類 製品名 NJW4154GM1-A NJW4154DL3-A Ver.2013-03-29 バージョン A A 発振周波数 300kHz typ. 300kHz typ. Power Good パッケージ HSOP8 TO-252-5 動作温度範囲 一般仕様:-40∼+85°C 一般仕様:-40∼+85°C -1- NJW4154 ■端子配列 3 1 8 2 7 3 6 4 5 ピン配置 1. V+ 2. SW 3. GND 4. IN5. EN/SYNC ピン配置 1. SW 2. SW 3. GND 4. PG 5. IN6. EN/SYNC 7. V+ 8. V+ Exposed PAD on backside connect to GND 1 2 3 4 5 NJW4154GM1-A NJW4154DL3-A ■ブロック図 V+ SLOPE COMP. CURRENT SENSE UVLO OCP EN/SYNC High: ON Low : OFF(Standby) Enable (Standby) 100kΩ SYNC S Q OSC Buffer R SW Low Frequency Control PWM TSD INER⋅AMP Soft Start Vref 0.8V PG GND Pow er Good Control Logic NJW4154GM1 only -2- Ver.2013-03-29 NJW4154 ■絶対最大定格 (Ta=25°C) 項 目 入力電圧 V+−SW 端子間電圧 EN/SYNC 端子電圧 IN-端子電圧 Power Good 端子電圧 (*1) 消費電力 記 号 + V VV–SW VEN/SYNC VINVPG 定 格 +45 +45 +45 -0.3∼+6 -0.3∼+6 HSOP8 790 (*2) 2,500 (*3) PD 単 位 V V V V V mW TO-252-5 接合部温度範囲 動作温度範囲 保存温度範囲 1,190 (*4) 3,125 (*3) -40∼+150 -40∼+85 -40∼+150 Tj Topr Tstg °C °C °C (*1): NJW4154GM1 のみ対応 (*2): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(2 層 FR-4)で EIA/JEDEC 準拠による (*3): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(4 層 FR-4)で EIA/JEDEC 準拠による (4 層基板内箔:74.2×74.2mm、JEDEC 規格 JESD51-5 に基づき、基板にサーマルビアホールを適用) (*4): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(2 層 FR-4)で EIA/JEDEC 規格サイズ、且つ銅箔面積 100mm2 ■推奨動作条件 項 目 電源電圧 Power Good 端子電圧 (*5) 外部クロック入力範囲 記 号 + V VPG fSYNC 最 小 標 準 最 大 単 位 4.5 0 290 − − − 40 5.5 500 V V kHz (*5): NJW4154GM1 のみ対応 Ver.2013-03-29 -3- NJW4154 ■電気的特性 (V+=VEN/SYNC=12V, Ta=25°C) 項 目 低電圧誤動作防止回路部 ON スレッシホールド電圧 OFF スレッシホールド電圧 ヒステリシス幅 ソフトスタート部 ソフトスタート時間 発振器部 発振周波数 過電流保護機能動作時 発振周波数 周波数電源電圧変動 周波数温度変動 誤差増幅器部 基準電圧 入力バイアス電流 PWM 比較器部 最大デューティーサイクル 最小 ON 時間1 (内蔵発振時) 最小 ON 時間2 (外部同期時) 記 号 条 VT_ON VT_OFF VHYS V+= L → H V+= H → L 最小 標準 最大 単位 4.2 4.1 70 4.4 4.3 90 4.5 4.4 – V V mV 2 4 8 ms TSS VB=0.75V fOSC A バージョン, VIN-=0.7V 270 300 330 kHz fOSC_LIM A バージョン, VIN-=0.4V – 100 – kHz V+=4.5V∼40V Ta=-40°C∼+85°C – – 1 5 – – % % -1.0% -0.1 0.8 – +1.0% 0.1 V µA 88 – – 93 250 170 – 340 250 % ns ns – 25 – ms – 4.5 – 0.15 6 – 0.3 7.5 4 Ω A µA fDV fDT VB IB MAXDUTY tON-min1 tON-min2 過電流保護回路部 COOL DOWN 時間 tCOOL 出力部 出力 ON 抵抗 スイッチング電流制限 SW リーク電流 RON ILIM ILEAK -4- 件 VIN-=0.7V fSYNC =400kHz ISW=3A VEN/SYNC=0V, V+=45V, VSW=0V Ver.2013-03-29 NJW4154 ■電気的特性 (V+=VEN/SYNC=12V, Ta=25°C) 項 目 記 号 スタンバイ制御部/同期入力部 EN/SYNC 端子 VTHH_EN/SYNC High スレッショルド電圧 EN/SYNC 端子 VTHL_EN/SYNC Low スレッショルド電圧 入力バイアス電流 IEN (EN/SYNC 端子) Power Good 部 (*6) High レベル検出電圧 Low レベル検出電圧 ヒステリシス幅 Power Good ON 抵抗 OFF 時リーク電流 総合特性 消費電流 スタンバイ時消費電流 (*6): NJW4154GM1 のみ対応 Ver.2013-03-29 VTHH_PG VTHL_PG VHYS_PG RON_PG ILEAK_PG IDD IDD_STB 条 件 最小 標準 最大 単位 VEN/SYNC= L → H 1.6 – V+ V VEN/SYNC= H → L 0 – 0.5 V VEN/SYNC=12V – 170 250 µA 105 85 – – – 110 90 2 37 – 115 95 – 50 0.1 % % % Ω µA – – 3.5 – 4.2 3 mA µA Measured at IN- pin Measured at IN- pin IPG=10mA VPG=6V RL=無負荷, VIN-=0.7V VEN/SYNC=0V -5- NJW4154 ■アプリケーション回路例 V IN CIN2 CIN1 L EN/SYNC EN/SYNC High: ON Low: OFF (Standby) Pow er Good (NJW4154GM1 only) V + V OUT SW CFB NJW4154 R2 PG IN- RFB GND SBD COUT R1 -6- Ver.2013-03-29 NJW4154 ■特性例 Oscillation Frequency vs. Supply Voltage (A ver., VIN-=0.7V, Ta=25°C) 0.81 308 306 Reference Voltage VB (V) Oscillation Frequnecny fOSC (kHz) 310 Reference Voltage vs. Supply Voltage (Ta=25°C) 304 302 300 298 296 294 0.805 0.8 0.795 292 290 0.79 0 40 0 10 20 30 + Supply Voltage V (V) 40 Quiescent Current vs. Supply Voltage (RL=no load, VIN-=0.7V, Ta=25°C) 6 Quiescent Current IDD (mA) 10 20 30 + Supply Voltage V (V) 5 4 3 2 1 0 0 Ver.2013-03-29 10 20 30 + Supply Voltage V (V) 40 -7- NJW4154 ■特性例 Oscillation Frequency vs Temperature + (A ver., V =12V, VIN-=0.7V) Reference Voltage VB (V) 320 310 300 290 280 270 0.805 0.800 0.795 0.790 -50 -25 0 25 50 75 100 125 150 Ambient Temperature Ta (°C) -50 Switching Current Limit vs. Temperature 8 Switching Current Limit ILIM (A) 0.810 + V =40V + V =12V + V =5V 7 6 5 4 0.25 + V =40V 0.2 V =12V 0.1 + V =5V 0.05 0 -50 -50 -25 0 25 50 75 100 125 150 Ambient Temperature Ta (°C) Under Voltage Lockout Voltage vs. Temperature 4.5 VT_ON 4.35 4.3 4.25 4.2 VT_OFF 4.15 4.1 Soft Start Time Tss (ms) 4.4 -25 0 25 50 75 100 125 150 Ambient Temperature Ta (°C) Soft Start Time vs. Temperature + (V =12V, VB=0.75V) 8 4.45 Threshold Voltage (V) + 0.15 3 7 6 5 4 3 2 -50 -8- -25 0 25 50 75 100 125 150 Ambient Temperature Ta (°C) Output ON Resistance vs. Temperature (ISW=3A) 0.3 Output ON Resistance RON (Ω) Oscillation Frequency fosc (kHz) 330 Reference Voltage vs. Temperature + (V =12V) -25 0 25 50 75 100 125 150 Ambient Temperature Ta (°C) -50 -25 0 25 50 75 100 125 150 Ambient Temperature Ta (°C) Ver.2013-03-29 NJW4154 ■特性例 Minimum ON Time1 vs. Temperature + (V =12V) 100 Maximum Duty Cycle MAXDUTY (%) Minimum ON Time1 tON-min1 (ns) 340 320 300 280 260 240 220 200 180 -50 98 97 96 95 94 93 92 91 90 89 -25 0 25 50 75 100 125 150 Ambient Temperature Ta (°C) -50 Quiescent Current vs. Temperature (RL=no load, VIN-=0.7V) 5 -25 0 25 50 75 100 125 150 Ambient Temperature Ta (°C) Standby Current vs. Temperature (VEN/SYNC=0V) 10 9 4 + V =40V 3.5 3 + V =12V 2.5 2 + V =4.5V 1.5 1 0.5 0 Standby Current IDD_STB (µA) 4.5 Quiescent Current IDD (mA) 99 88 160 8 7 6 + V =40V 5 4 3 + V =12V + V =4.5V 2 1 0 -50 -25 0 25 50 75 100 125 150 Ambient Temperature Ta (°C) -50 -25 0 25 50 75 100 125 150 Ambient Temperature Ta (°C) Switching Leak Current vs. Temperature + (V =45V , VEN/SYNC=0V , VSW=0V) 10 Switching Leak Current ILEAK (µA) Maximum Duty Cycle vs. Temperature + (V =12V, VIN-=0.7V) 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 -50 Ver.2013-03-29 -25 0 25 50 75 100 125 150 Ambient Temperature Ta (°C) -9- NJW4154 NJW4154Application Manual 技 術 資 料 ■端子説明 端子名称 SW GND PG IN- EN/SYNC V+ Exposed PAD - 10 - 端子番号 機能 HSOP8 TO-252-5 1 パワーMOSFET のスイッチ出力端子です。 2 2 接地 3 3 Power Good 出力端子です。オープン・ドレインで構成され、IN-端子電圧 が±10%で安定したとき、出力はハイインピーダンスになります。 4 – (NJW4154GM1 のみ) 出力電圧を検出する端子です。IN-端子電圧が基準電圧 0.8V typ.となるよう 5 4 に出力電圧を抵抗分割して入力します。 NJW4154 の動作・停止を制御する端子です。 内部は 100kΩでプルダウンされています。High レベルで動作、Low レベル またはオープンでスタンバイモードとなります。 6 5 またクロック信号を入力することで、信号に同期した発振周波数で動作し ます。 IC への電源供給端子です。電源供給のインピーダンスを下げるため、IC の 7 1 8 近傍に入力コンデンサを接続してください。 GND 端子に接続されています。 – – (HSOP8 パッケージのみ) Ver.2013-03-29 NJW4154 Application Manual NJW4154 技 術 資 料 ■各ブロックの機能説明 1.スイッチングレギュレータ基本機能 ●エラーアンプ部 (ER⋅AMP) エラーアンプ部の非反転入力は、0.8V±1%の高精度基準電圧が接続されています。 アンプの反転入力(IN-端子)にコンバータの出力を入力することで、出力電圧 0.8V からのアプリケーション設計を容 易にできます。出力電圧を 0.8V 以上にする場合は、出力電圧を抵抗分割することで設定します。 アンプ部では、最適なフィードバックが内蔵されているため、最小限の外付け部品でアプリケーション回路を構成で きます。 ●PWM 比較器部 (PWM)、発振回路部 (OSC) NJW4154 は、固定周波数のカレントモード制御方式で動作します。 発振回路は、A バージョンで 300kHz typ.に設定されています。 PWM 比較器部では、出力電圧とスロープ補償されたスイッチング電流のフィードバックにより、PWM 信号を出力 します。最大デューティー比は、93% typ.です。 NJW4154 の最小 ON 時間 tON-min は、内蔵発振時=250ns typ.、外部同期時=170ns typ.に制限されています。 降圧回路の ON 時間は、下記式によって決まります。 ton = VOUT [s] VIN × fOSC VIN は入力電圧、VOUT は出力電圧を表します。ON 時間が tON-min 以下となる場合は、出力電圧を安定状態に保つために デューティーの変動やパルススキップ動作を行う可能性があります。 ●パワーMOSFET 内蔵されたパワーMOSFET のスイッチ動作によって、インダクタへ電力を供給します。過電流保護機能によって、 パワーMOSFET に流せる電流は、ILIM =4.5A min.に制限されます。降圧回路では、パワーMOSFET の OFF 時にイン ダクタ電流が外付けの回生ダイオードに流れて、順方向バイアス電圧を発生します。SW 端子は、V+−SW 端子間電 圧で 45V まで許容されますが、ショットキーダイオードの順方向飽和電圧が十分に低いものを使用してください。 ●電源、GND 端子 (V+, GND) スイッチング動作に伴い、周波数に応じた電流が IC に流れます。電源ラインのインピーダンスが高いと電源供給が 不安定になり、IC の性能を十分に引き出せません。V+端子−GND 端子間の近傍にバイパスコンデンサを挿入し、高 周波インピーダンスを下げてください。 Ver.2013-03-29 - 11 - NJW4154 NJW4154Application Manual 技 術 資 料 ■各ブロックの機能説明 2.保護機能、付加機能 ●低電圧誤動作防止(UVLO)回路 電源電圧が低い場合、UVLO 回路によって動作を停止し、電源電圧 4.4V typ.以上で UVLO 回路が解除されて IC の動 作が開始します。電源電圧の立ち上がりと立ち下がりに 90mV typ.のヒステリシス電圧幅を持たせています。これに より、UVLO の解除と動作のばたつきを防止し、NJW4154 を安定して動作させます。 ●ソフトスタート機能 ソフトスタート機能によって、コンバータの出力電圧は設定値まで緩やかに電圧を上昇します。ソフトスタート時間 は 4ms typ.であり、エラーアンプの基準電圧が 0∼0.75V になるまでの時間で定義されます。 (図1)ソフトスタート 回路は、UVLO 解除、サーマルシャットダウンからの復帰後に動作します。 0.8V Vref, IN- pin Voltage OSC Waveform ON SW pin OFF Soft Start時間 Tss=4ms typ. UVLO(4.4V typ.) の解除、 スタンバイ、 サーマルシャットダウン からの復帰 VB=0.75Vまで 通常動作 Soft Start効果時間 VB=0.8Vまで 図1 ソフトスタートのタイミングチャート - 12 - Ver.2013-03-29 NJW4154 Application Manual NJW4154 技 術 資 料 ■各ブロックの機能説明(続き) ●過電流保護機能 (OCP) NJW4154 にはヒカップ(Hiccup)方式の過電流保護機能を内蔵しており、過負荷時の発熱を低減するとともに、過電流 の異常状態から回復にともない、スイッチングレギュレータの出力電圧を自動的に復帰させることができます。 内蔵のパワーMOSFET に ILIM 以上の電流が流れると、過電流保護機能によってパワーMOSFET を OFF にし、次の周 期でスイッチング動作を復帰します。 IN-端子電圧が 0.5V 以下になると、発振周波数を 100kHz typ.で動作します。 同時にパルスカウントを開始し、約 1ms の過電流検出が続くとスイッチング動作を停止します。停止後は、クールダ ウン時間 おおよそ 25ms typ.経過後、ソフトスタートによる再起動を行います。 0.8V IN- pin Voltage 0.5V 0V 過電流保護機能動作時 発振周波数 fOSC_LIM=100kHz typ. 発振周波数 fosc=300kHz typ. ON SW pin OFF Sw itching Current ILIM 0 パルス・バイ・ パルス 定常状態 パルスカウント 約1ms クールダウン時間 25ms typ. 過負荷状態 ソフトスタート動作 図2 過電流保護動作時のタイミングチャート ●サーマルシャットダウン機能 (TSD) サーマルシャットダウン機能は、NJW4154 のチップ温度が 160℃*を超えると SW 動作を停止します。 チップ温度を 145℃*以下になると、ソフトスタートによる SW 動作が開始されます。 なおサーマルシャットダウン機能は、高温時における IC の熱暴走を防止するための予備回路であり、不適切な熱設 計を補うためでは有りません。IC のジャンクション温度(∼+150°C)範囲内で動作させるように、十分な余裕を満 たすことをお奨めします。 (* 参考値) ●スタンバイ機能 EN/SYNC 端子を 0.5V max.以下にすることで NJW4154 の機能を停止させスタンバイ状態にします。 内部は 100kΩでプルダウンされており、端子オープン時はスタンバイモードに移行します。 スタンバイ機能を使用しない場合は、EN/SYNC 端子を V+に接続してください。 Ver.2013-03-29 - 13 - NJW4154 NJW4154Application Manual 技 術 資 料 ■各ブロックの機能説明(続き) ●外部同期機能 EN/SYNC 端子に方形波を入力することで、NJW4154 の発振器を外部周波数に同期させることができます。 方形波は、次の仕様を満たす必要があります。 入力周波数 : デューティーサイクル: 電圧振幅 : : 290kHz∼500kHz 20%∼80% 1.6V 以上(High レベル) 0.5V 以下(Low レベル) 外部同期時のスイッチング動作は、入力信号の立ち上がりエッジに対してトリガを行います。 またスタンバイ状態や非同期動作と外部同期動作の切り替わりでは、誤動作を防止するために約 20∼30µs の遅延時 間を設けています。 (図3) High EN/SYNC pin Low ON SW pin OFF スタンバイ 遅延時間 外部同期動作 図3 外部同期信号によるスイッチング動作 ●Power Good 機能(NJW4154GM1 のみ) 出力状態を監視し、オープン・ドレイン構成の PG 端子より信号を出力します。 IN-端子がエラーアンプ基準電圧の±10% typ.で安定状態のとき、 Power Good出力はハイインピーダンスになります。 Power Good 出力が Low レベルの場合、IN-端子が設定電圧を外れていることを知らせます。 Power Good 出力の誤動作を防止するため、IN-端子の電圧変化に対して 2% typ.のヒステリシスと、約 20∼30µs の 遅延時間を設けています。 - 14 - Ver.2013-03-29 NJW4154 Application Manual NJW4154 技 術 資 料 ■アプリケーション情報 ●インダクタ インダクタには大電流が流れるため、飽和しない電流能力を持たせる必要があります。NJW4154 では、位相補償が 内蔵されており、最適な L 値は、入力電圧と出力電圧によって決まります。 インダクタの設定例(参考値) ViIN=12V → VOUT=3.3V :L ≦ 3.5µH ViIN=12V → VOUT=5.0V :L ≦ 4.7µH ViIN=24V → VOUT=5.0V :L ≦ 3.5µH 上記に記載された L 値よりも小さいものを選定しますが、L 値は、記載された値から半分までを目安にしてください。 L 値が小さくなると、出力電流に対するピーク電流が大きくなり、変換効率が低下しやすくなります。 (図4)また過 電流リミットに掛かりやすくなるため、出力電流が制限される点に注意しなければいけません。 ピーク電流は、下記式によって求められます。 ∆IL = (VIN − VOUT ) × VOUT L × VIN × fOSC Ipk = IOUT + [A] ∆ IL [A] 2 Current Peak Current IPK Indunctor Ripple Current ∆IL Peak Current IPK Output Current IOUT Indunctor Ripple Current ∆IL 0 tON tOFF L 値が小さいとき tON tOFF L 値が大きいとき 図4 インダクタ電流の状態(電流連続モード動作時) Ver.2013-03-29 - 15 - NJW4154 NJW4154Application Manual 技 術 資 料 ■アプリケーション情報(続き) ●キャッチ・ダイオード パワーMOSFET が OFF サイクルの時は、インダクタに蓄えられた電力がキャッチ・ダイオードを経由して出力コン デンサに流れます。そのためダイオードにはサイクル毎に、負荷電流に応じた電流が流れます。ダイオードの順方向 飽和電圧と電流の積が電力損失となるため、順方向飽和電圧の低い SBD (Schottky Barrier Diode)が最適です。 また SBD は、逆回復時間が短い特徴を併せて持っています。逆回復時間が長くなると、スイッチングトランジスタ が OFF から ON サイクルに移行した時、貫通電流が流れてしまいます。この電流によって効率の低下、ノイズの発 生等に影響を及ぼす可能性が有ります。 ●入力コンデンサ スイッチングレギュレータの入力部には、周波数に応じた過渡的な電流が流れます。電源回路に供給される電源イン ピーダンスが大きいと入力電圧の変動につながり、NJW4154 の性能を十分に引き出せません。よって入力コンデン サは、できる限り IC の近くに挿入してください。 NJW4154 の入力コンデンサには、セラミックコンデンサが適しており、リップル電流を容易に満たすことが出来ま す。 入力実効電流は、下記計算式で表せます。 IRMS = IOUT × VOUT × (VIN − VOUT ) VIN [A] 上記計算式は、VIN=2×VOUT 時が最大になり、その時の結果は、IRMS=IOUT(MAX)÷2 です。 入力コンデンサの選定は、アプリケーションで評価の上、十分なマージンを持った物をご使用ください。 ●出力コンデンサ 出力コンデンサは、インダクタンスからの電力を蓄え、出力への供給電圧を安定させる役割をします。 NJW4154 は、低 ESR の出力コンデンサが使用できるように位相補償を設定しており、セラミックコンデンサが最適 です。 コンデンサの最適容量(参考値) VOUT=3.3V :COUT ≧ 100µF VOUT=5.0V :COUT ≧ 47µF セラミックコンデンサは、DC 電圧印加や温度変化によって容量が低下するため、スペックシート等で特性を確認し てください。 出力コンデンサの選定には、ESR(等価直列抵抗:Equivalent Series Resistance)の特性、リップル電流、耐圧を考慮 に入れる必要が有ります。 低 ESR タイプのコンデンサであれば、リップル電圧を下げることが出来ます。 出力リップル電圧は、下記計算式で表せます。 Vripple( p −p ) = ESR × ∆IL [ V ] コンデンサに流れるリップル電流の実効値(Irms)は、下記計算式で表せます。 Irms = - 16 - ∆I L [ Arms ] 2 3 Ver.2013-03-29 NJW4154 Application Manual NJW4154 技 術 資 料 ■アプリケーション情報(続き) ●出力電圧設定抵抗、補償用コンデンサ 出力電圧 VOUT は、R1, R2 の抵抗比で決まります。R1, R2 に流れる電流は、Error AMP に流れるバイアス電流を無視 できるような値とします。 ⎛ R2 ⎞ VOUT = ⎜ + 1⎟ × VB [ V ] R 1 ⎝ ⎠ R2 と CFB によって、ゼロ点(fZ1)が形成され、スイッチングレギュレータの位相を補償します。 ゼロ点は、下記計算式で表せます。 f Z1 = 1 [Hz] 2 × π × R2 × C FB fZ1 は、50k∼70kHz 程度を目安に設定してください。 Ver.2013-03-29 - 17 - NJW4154 NJW4154Application Manual 技 術 資 料 ■アプリケーション情報(続き) ●基板レイアウト スイッチングレギュレータは、インダクタの充放電によって出力へ電力供給を行います。発振周波数に応じて電流が 流れるため、基板のレイアウトは重要な項目です。大電流の流れるラインは太く、短くし、ループ面積を最小限にし てください。図5に降圧回路における電流ループを示します。 特にスイッチングにおける高速な電流変化を伴う CIN−SW−SBD 間は、最優先でループを構成します。 寄生インダクタによって発生するスパイクノイズを低減するのに効果的です。 NJW4154 内蔵 SW V IN CIN NJW4154 内蔵 SW L SBD COUT V IN CIN (a) 降圧回路 SW ON 状態 L SBD COUT (b) 降圧回路 SW OFF 状態 図5 降圧回路における電流ループ GND ラインは、パワー系と信号系を分離した上で1点アースをとるのが望ましい接続です。 また電圧検出のフィードバックラインは、できるだけインダクタンスから離します。本ラインはインピーダンスが高 いため、インダクタンスからの漏れ磁束でノイズの影響を避けるように配線します。 図6に降圧回路での配線例、図7にレイアウト例を示します。 L V+ V IN V OUT SW CIN SBD COUT RL(負荷) (バイパス用) NJW4154 CFB INR2 GND R1 負荷近傍で電圧を検出し、 電圧降下が負荷へ影響を与え ないように配慮する。 ICのインピーダンスが高いため、 信号系の GNDを パワー系と分離する。 電圧検出抵抗 R1,R2はできるだけ ICの近くに配置する。 図6 降圧回路での配線例 - 18 - Ver.2013-03-29 NJW4154 Application Manual NJW4154 技 術 資 料 ■アプリケーション情報(続き) VOUT GNDOUT GNDOUT VOUT COUT Feed back signal COUT Power GND Area Power GND Area L Signal GND Area GND IN L GND IN CFB RFB SBD R2 R1 SBD CIN1 CIN C IN2 VIN VIN EN/SYNC 1pin Power Good EN/SYNC R1 R2 Signal GND Area RFB Feed back signal CFB HSOP8 パッケージ TO-252-5 パッケージ 裏面にてパワー系 GND と信号系 GND を接続 図7 レイアウト例(上面パターン) Ver.2013-03-29 - 19 - NJW4154 NJW4154Application Manual 技 術 資 料 ■パッケージパワーの計算 降圧回路の損失の多くは、スイッチ動作を行う NJW4154 のパワーMOSFET によって発生します。そのため下記式を 目安に NJW4154 の損失として考えます。 入力電力 :PIN = VIN × IIN [W] 出力電力 :POUT = VOUT × IOUT [W] ダイオードの損失 :PDIODE = VF × IL(avg) × OFF duty [W] NJW4154 の消費電力 :PLOSS = PIN − POUT − PDIODE [W] ただし、 VIN VOUT VF OFF duty :コンバータの入力電圧 :コンバータの出力電圧 :ダイオードの順方向飽和電圧 :スイッチ OFF 時間 IIN IOUT IL(avg) :コンバータの入力電流 :コンバータの出力電流 :インダクタ平均電流 変換効率 η は、下記式によって求められます。 η = (POUT ÷ PIN) × 100 [%] 求めた消費電力 PD に対して温度ディレーティングを考慮します。 消費電力対周囲温度特性例(図8)を参考に、定格内に収まるか確認してください。 NJW4154GM1 (HSOP8 Package) Power Dissipation vs. Ambient Temperature (Tj=~150°C) 3500 At on 4 layer PC Board (*8) At on 2 layer PC Board (*7) 2500 2000 1500 1000 500 Power Dissipation P D (mW) Power Dissipation PD (mW) 3000 NJW4154DL3 (TO-252-5 Package) Power Dissipation vs. Ambient Temperature (Tj=~150°C) At on 4 layer PC Board (*8) At on 2 layer PC Board (*9) 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 0 -50 -25 0 25 50 75 100 Ambient Temperature Ta (°C) 125 150 -50 -25 0 25 50 75 100 Ambient Temperature Ta (°C) 125 150 (*7): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(2 層 FR-4)で EIA/JEDEC 準拠による (*8): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(4 層 FR-4)で EIA/JEDEC 準拠による (4 層基板内箔:74.2×74.2mm、JEDEC 規格 JESD51-5 に基づき、基板にサーマルビアホールを適用) (*9): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(2 層 FR-4)で EIA/JEDEC 規格サイズ、且つ銅箔面積 100mm2 図8 消費電力対周囲温度特性例 - 20 - Ver.2013-03-29 NJW4154 Application Manual NJW4154 技 術 資 料 ■アプリケーション設計例 ●降圧アプリケーション仕様 IC :NJW4154GM1-A 入力電圧 :VIN=12V 出力電圧 :VOUT=5V 出力電流 :IOUT=3A 発振周波数 :fosc=300kHz V IN=12V CIN2 0.47µF/50V CIN1 10µF/50V L 4.7µH/5.6A EN/SYNC EN/SYNC High: ON Low: OFF (Standby) V+ SW CFB 15pF NJW4154 PG Pow er Good IN- GND (NJW4154GM1 only) V OUT =5V SBD COUT 100µF/6.3V RFB 0Ω (Short) R2 160kΩ R1 30kΩ 記号 IC L 数量 1 1 部品番号 NJW4154 CDRH8D43NP-4R7N 概要 3A MOSFET 内蔵 SW.REG. IC Inductor 4.7µH, 5.6A SBD 1 MBRS540T3G Schottky Diode 40V, 5A CIN1 CIN2 COUT CFB RFB R1 R2 1 1 1 1 1 1 1 UMK325BJ106MM 0.47µF GRM32EB30J107ME16L 15pF 0Ω (Short) 30kΩ 160kΩ Ceramic Capacitor 3225 10µF, 50V, X5R Ceramic Capacitor 2012 0.47µF, 50V, B Ceramic Capacitor 3225 100µF, 6.3V, B Ceramic Capacitor 1608 15pF, 50V, CH Optional Resistor 1608 30kΩ, ±1%, 0.1W Resistor 1608 160kΩ, ±1%, 0.1W Ver.2013-03-29 メーカー New JRC Sumida ON Semiconductor Taiyo Yuden Std. Murata Std. ⎯ Std. Std. - 21 - NJW4154 NJW4154Application Manual 技 術 資 料 ■アプリケーション特性例 :NJW4154GM1-A ●VOUT=5V 設定時 Efficiency vs. Output Current (A ver., VIN=12V, VOUT=5V, Ta=25°C) 100 6 f=300kHz L=4.7µH 90 f=300kHz L=4.7µH 5.8 Output Voltage VOUT (V) 80 Efficiency η (%) Output Voltage vs. Output Current (A ver., VIN=12V, Ta=25°C) 70 60 50 40 30 20 5.6 5.4 5.2 5 4.8 4.6 4.4 4.2 10 4 0 1 10 100 1000 Output Current IOUT (mA) 10000 1 10 100 1000 Output Current IOUT (mA) 10000 <注意事項> このデータブックの掲載内容の正確さには 万全を期しておりますが、掲載内容について 何らかの法的な保証を行うものではありませ ん。とくに応用回路については、製品の代表 的な応用例を説明するためのものです。また、 工業所有権その他の権利の実施権の許諾を伴 うものではなく、第三者の権利を侵害しない ことを保証するものでもありません。 - 22 - Ver.2013-03-29