NJW4153T1

NJW4153-T1
カレントモード 1A MOSFET 内蔵 降圧用 スイッチングレギュレータ IC
■概 要
NJW4153 は、40V, 1A のパワーMOSFET を内蔵した降圧用ス
イッチングレギュレータ IC です。カレントモード制御方式を採
用し、出力セラミックコンデンサを容易に使用できます。位相補
償回路を内蔵し、最小限の外付け部品で降圧アプリケーションを
実現します。
またソフトスタート機能による安定した回路起動が可能であ
り、過電流・過熱保護機能で異常時の回路保護を行います。
マイクロプロセッサや DSP など、過渡応答の優れた電源回路
に最適です。
■外 形
NJW4153U2-A-T1
■特 徴
●カレントモード制御
●最大定格電圧
45V
●広動作電圧範囲
4.6V to 40V
●スイッチング電流
1.4A min.
●PWM 制御方式
●位相補償回路内蔵
●セラミックコンデンサ対応
●発振周波数
1MHz typ.
●ソフトスタート機能
4ms typ.
●低電圧誤動作防止回路内蔵
●過電流保護機能(ヒカップ方式)
●過熱保護機能
●スタンバイ機能
●外形
NJW4153U2-A-T1 : SOT-89-5
Ver.2014-07-02
-1-
NJW4153-T1
■端子配列
5
(2)
4
1
2
3
ピン配置
1. ON/OFF
2. GND
3. IN4. SW
5. V+
NJW4153U2-A-T1
■ブロック図
V+
SLOPE
COMP.
UVLO
ON/OFF
High: ON
Low : OFF
(Standby)
CURRENT
SENSE
OCP
Standby
ON/OFF
450k
Low Frequency
Control
S Q
OSC
Buffer
R
SW
TSD
INERAMP
Soft Start
PWM
Vref
0.8V
GND
-2-
Ver.2014-07-02
NJW4153-T1
■絶対最大定格 (Ta=25C)
項
目
入力電圧
V + − SW 端 子 間 電 圧
IN-端子電圧
ON/OFF 端子電圧
消費電力
記 号
V+
VV-SW
VINVON/OFF
PD
定
格
+45
+45
-0.3 to +6
+45
625 (*1)
2,400 (*2)
-40 to +150
-40 to +125
-40 to +150
単 位
V
V
V
V
mW
C
C
C
(*1): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(2 層 FR-4)で EIA/JEDEC 規格サイズ、且つ銅箔面積 100mm2
(*2): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(4 層 FR-4)で EIA/JEDEC 準拠による
(4 層基板内箔:74.2×74.2mm、JEDEC 規格 JESD51-5 に基づき、基板にサーマルビアホールを適用)
接合部温度範囲
動作温度範囲
保存温度範囲
Tj
Topr
Tstg
■推奨動作条件(Ta= -40°C to +125°C)
項
電源電圧
Ver.2014-07-02
目
記 号
V+
最 小
4.6
標 準
−
最 大
40
単 位
V
-3-
NJW4153-T1
■電気的特性 (指定無き場合には V+=VON/OFF=12V, Ta=25C)
項
目
記 号
条
件
最小
標準
最大
単位
4.3
4.3
4.2
4.2
70
4.45
4.35
100
4.6
4.6
4.5
4.5
–
2
2
4
-
8
8
ms
900
855
1,000
-
1,100
1,100
kHz
VIN-= 0.4V
–
370
–
kHz
V+= 4.6 to 40V
–
1
–
%
-1.0%
-2.0%
-0.1
-0.1
0.8
–
-
+1.0%
+2.0%
+0.1
+0.1
85
85
90
-
–
-
%
-
-
180
ns
–
8
–
ms
–
1.4
0.45
1.9
0.75
2.4

A
-
-
1
uA
低電圧誤動作防止回路部
ON スレッシホールド電圧
VT_ON
OFF スレッシホールド電圧
VT_OFF
ヒステリシス幅
V+= L → H
V+= L → H, Ta= -40°C to +125°C
V+= H → L
V+= H → L, Ta= -40°C to +125°C
VHYS
V
V
mV
ソフトスタート部
ソフトスタート時間
TSS
VB= 0.75V
VB= 0.75V , Ta= -40°C to +125°C
fOSC
VIN-= 0.7V
VIN-= 0.7V,Ta= -40°C to +125°C
発振器部
発振周波数
発振周波数
(低発振周波数コントロール時)
周波数電源電圧変動
fOSC_LOW
fDV
誤差増幅器部
基準電圧
VB
入力バイアス電流
IB
Ta= -40°C to +125°C
Ta= -40°C to +125°C
V
A
PWM 比較器部
最大デューティーサイクル
MAXDUTY
最小 ON 時間
tON-min
過電流保護回路部
COOL DOWN 時間
tCOOL
出力部
出力 ON 抵抗
スイッチング電流制限
RON
ILIM
SW リーク電流
ILEAK
-4-
VIN-= 0.7V
VIN-= 0.7V , Ta= -40°C to +125°C
Ta= -40°C to +125°C
ISW= 1A
VON/OFF= 0V, V+= 40V, VSW= 0V
Ta= -40°C to +125°C
Ver.2014-07-02
NJW4153-T1
■電気的特性 (指定無き場合には V+=VON/OFF=12V, Ta=25C)
項
目
記 号
条
件
最小
標準
最大
1.6
–
V+
1.6
-
V+
0
–
0.5
0
-
0.4
–
450
–
–
3.9
4.4
-
-
4.4
–
-
–
-
1
1
単位
ON/OFF 制御部
ON 制御電圧
VON
OFF 制御電圧
VOFF
プルダウン抵抗
RPD
VON/OFF= L → H
VON/OFF= L → H,
Ta= -40°C to +125°C
VON/OFF= H → L
VON/OFF= H → L ,
Ta= -40°C to +125°C
V
V
k
総合特性
消費電流
IDD
スタンバイ時消費電流
IDD_STB
RL= 無負荷, VIN-=0.7V
RL= 無負荷, VIN-=0.7V
Ta= -40°C to +125°C
VON/OFF= 0V
VON/OFF=0V,Ta= -40°C to +125°C
mA
A
■アプリケーション回路例
L
V IN
V OUT
CIN
V+
CFB
SW
R2
NJW4153
ON/OFF
GND
IN-
SBD
COUT
R1
ON/OFF
High: ON
Low: OFF
(Standby)
Ver.2014-07-02
-5-
NJW4153-T1
■特性例
Oscillation Frequency vs. Supply Voltage
(A ver., VIN-=0.7V, Ta=25°C)
0.81
Reference Voltage VB (V)
Oscillation Frequnecny fOSC (kHz)
1020
Reference Voltage vs. Supply Voltage
(Ta=25°C)
1010
1000
990
980
0.805
0.8
0.795
0.79
0
10
20
30
+
Supply Voltage V (V)
40
0
10
20
30
Supply Voltage V+ (V)
40
Quiescent Current vs. Supply Voltage
(RL=no load, VIN-=0.7V, Ta=25°C)
Quiescent Current IDD (mA)
5
4
3
2
1
0
0
-6-
10
20
30
Supply Voltage V+ (V)
40
Ver.2014-07-02
NJW4153-T1
■特性例
Oscillation Frequency vs Temperature
(A ver., V+=12V, VIN-=0.7V)
Reference Voltage vs. Temperature
(V+=12V)
0.810
Reference Voltage VB (V)
1050
1000
950
900
850
0.800
0.795
0.790
-50
Switching Current Limit ILIM (A)
0.805
-25
0
25
50
75
100 125 150
-50
0
25
50
75
100 125 150
Ambient Temperature Ta (℃)
Switching Current Limit vs. Temperature
Output ON Resistance vs. Temperature
(ISW=1A)
2.6
0.8
2.4
0.7
V+=40V
V+=12V
2.2
2.0
1.8
V+=4.6V
1.6
1.4
1.2
1.0
V+=4.6V
V+=12V
V+=40V
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
-50
-25
0
25
50
75
100 125 150
-50
Ambient Temperature Ta (℃)
4.5
VT_ON
4.45
4.4
VT_OFF
4.35
0
25
50
75
100 125 150
Soft Start Time vs. Temperature
(V+=12V, VB=0.75V)
8
Soft Start Time Tss (ms)
4.55
-25
Ambient Temperature Ta (℃)
Under Voltage Lockout Voltage vs. Temperature
4.6
Threshold Voltage (V)
-25
Ambient Temperature Ta (℃)
Output ON Resistance RON ()
Oscillation Frequency fosc (kHz)
1100
7
6
5
4
3
4.3
2
-50
-25
0
25
50
75
100 125 150
Ambient Temperature Ta (℃)
Ver.2014-07-02
-50
-25
0
25
50
75
100 125 150
Ambient Temperature Ta (℃)
-7-
NJW4153-T1
■特性例
Maximum Duty Cycle vs. Temperature
(V+=12V, VIN-=0.7V)
Minimum ON Time vs. Temperature
(V+=12V)
95
Maximum Duty Cycle MAXDUTY (%)
200
Minimum ON Time tON-min [ns]
190
180
170
160
150
140
130
120
110
100
93
92
91
90
89
88
87
86
85
-50
-25
0
25
50
75
100 125 150
-50
-25
0
25
50
75
100 125 150
Ambient Temperature Ta (℃)
Ambient Temperature Ta (℃)
Quiescent Current vs. Temperature
(RL=no load, VIN-=0.7V)
Standby Current vs. Temperature
(VON/OFF=0V)
5
1
4.5
Standby Current IDD_STB (μA)
Quiescent Current IDD (mA)
94
4
3.5
V+=40V
V+=12V
V+=4.6V
3
2.5
2
0.8
V+=40V
0.6
0.4
V+=12V
V+=4.6V
0.2
0
-50
-25
0
25
50
75
100 125 150
Ambient Temperature Ta (℃)
-50
-25
0
25
50
75
100 125 150
Ambient Temperature Ta (℃)
Switching Leak Current vs. Temperature
(V+=45V,VON/OFF=0V, VSW=0V)
Switching Leak Current ILEAK (μA)
5
4
3
2
1
0
-50
-25
0
25
50
75
100 125 150
Ambient Temperature Ta (℃)
-8-
Ver.2014-07-02
NJW4153 Application
Manual
NJW4153-T1
技 術 資 料
■端子説明
端子名称
端子番号
ON/OFF
1
GND
2
IN-
3
SW
4
V+
5
Ver.2014-07-02
機能
NJW4153 の動作・停止を制御する端子です。
内部は 450kでプルダウンされています。
High レベルで動作、Low レベルまたはオープンでスタンバイモードとなり
ます。
接地
出力電圧を検出する端子です。IN-端子電圧が基準電圧 0.8V typ.となるよう
に出力電圧を抵抗分割して入力します。
パワーMOSFET のスイッチ出力端子です。
IC への電源供給端子です。電源供給のインピーダンスを下げるため、IC の
近傍に入力コンデンサを接続してください。
-9-
NJW4153
Application Manual
NJW4153-T1
技 術 資 料
■各ブロックの機能説明
スイッチングレギュレータ基本機能
●エラーアンプ部 (ERAMP)
エラーアンプ部の非反転入力は、0.8V±1%の高精度基準電圧が接続されています。
アンプの反転入力(IN-端子)にコンバータの出力を入力することで、出力電圧 0.8V からのアプリケーション設計を容
易にできます。出力電圧を 0.8V 以上にする場合は、出力電圧を抵抗分割することで設定します。
アンプ部では、最適なフィードバックが内蔵されているため、最小限の外付け部品でアプリケーション回路を構成で
きます。
●PWM 比較器部 (PWM)、発振回路部 (OSC)
NJW4153 は、固定周波数のカレントモード制御方式で動作します。
発振回路は、A バージョンで 1MHz typ.に設定されています。
PWM 比較器部では、出力電圧とスロープ補償されたスイッチング電流のフィードバックにより、PWM 信号を出力
します。最大デューティー比は、90% typ.です。
NJW4153 の最小 ON 時間 ton-min は 140ns typ.に制限されています。
降圧回路の ON 時間は、下記式によって決まります。
ton 
VOUT
s
VIN  fOSC
VIN は入力電圧、VOUT は出力電圧を表します。ON 時間が ton-min の 140ns 以下となる場合は、出力電圧を安定状態
に保つためにデューティーの変動やパルススキップ動作を行う可能性があります。
●パワーMOSFET
内蔵されたパワーMOSFET のスイッチ動作によって、インダクタへ電力を供給します。過電流保護機能によって、
パワーMOSFET に流せる電流は、ILIM =1.4A min.に制限されます。降圧回路では、パワーMOSFET の OFF 時にイン
ダクタ電流が外付けの回生ダイオードに流れて、順方向バイアス電圧を発生します。SW 端子は、PV+−SW 端子間
電圧で 45V まで許容されますが、ショットキーダイオードの順方向飽和電圧が十分に低いものを使用してください。
●電源、GND 端子 (V+, GND)
スイッチング動作に伴い、周波数に応じた電流が IC に流れます。電源ラインのインピーダンスが高いと電源供給が
不安定になり、IC の性能を十分に引き出せません。V+端子−GND 端子間の近傍にバイパスコンデンサを挿入し、高
周波インピーダンスを下げてください。
- 10 -
Ver.2014-07-02
NJW4153 Application
Manual
NJW4153-T1
技 術 資 料
2.保護機能、付加機能
●低電圧誤動作防止(UVLO)回路
電源電圧が低い場合、UVLO 回路によって動作を停止し、電源電圧 4.45V typ.以上で UVLO 回路が解除されて IC の
動作が開始します。電源電圧の立ち上がりと立ち下がりに 100mV typ.のヒステリシス電圧幅を持たせています。これ
により、UVLO の解除と動作のばたつきを防止し、NJW4153 を安定して動作させます。
●ソフトスタート機能
ソフトスタート機能によって、コンバータの出力電圧は設定値まで緩やかに電圧を上昇します。ソフトスタート時間
は 4ms typ.であり、エラーアンプの基準電圧が 0∼0.75V になるまでの時間で定義されます。
(図1)ソフトスタート
回路は、UVLO 解除、サーマルシャットダウンからの復帰後に動作します。IN-端子が約 0.65V になるまで、低発振周
波数にコントロールされ、発振周波数は 370kHz typ.で動作します。
0.8V
Vref,
IN- pin Voltage
OSC Waveform
ON
SW pin
OFF
UVLO(4.45V typ.) の解除、
スタンバイ、
サーマルシャットダウン
からの復帰
低発振周波数動作
VIN- =約0.65V
Soft Start時間 Tss=4ms typ.
VB=0.75Vまで
通常動作
Soft Start効果時間 VB=0.8Vまで
図1 ソフトスタートのタイミングチャート
Ver.2014-07-02
- 11 -
NJW4153
Application Manual
NJW4153-T1
技 術 資 料
■各ブロックの機能説明(続き)
●過電流保護機能 (OCP)
NJW4153 にはヒカップ(Hiccup)方式の過電流保護機能を内蔵しており、過負荷時の発熱を低減するとともに、過電流
の異常状態から回復にともない、スイッチングレギュレータの出力電圧を自動的に復帰させることができます。
内蔵のパワーMOSFET に ILIM 以上の電流が流れると、過電流保護機能によってパワーMOSFET を OFF にし、次の周
期でスイッチング動作を復帰します。
IN-端子電圧が 0.5V 以下になると、低発振周波数にコントロールされ、発振周波数を 370kHz typ.で動作します。
同時にパルスカウントを開始し、約 1ms の過電流検出が続くとスイッチング動作を停止します。停止後は、クールダ
ウン時間 8ms typ.経過後、ソフトスタートによる再起動を行います。
0.8V
IN- pin
Voltage
0.5V
0V
低発振周波数コントロール
fOSC_LOW=370kHz typ.
発振周波数
fosc=1MHz typ.
ON
SW pin
OFF
Sw itching
Current
ILIM
0
パルス・バイ・
パルス
定常状態
パルスカウント 約1ms
クールダウン時間 8ms typ.
過負荷状態
ソフトスタート動作
図2 過電流保護動作時のタイミングチャート
●サーマルシャットダウン機能 (TSD)
サーマルシャットダウン機能は、NJW4153 のチップ温度が 165°C*を超えると SW 動作を停止します。
チップ温度を 150°C*以下になると、ソフトスタートによる SW 動作が開始されます。
なおサーマルシャットダウン機能は、高温時における IC の熱暴走を防止するための予備回路であり、不適切な熱設
計を補うためでは有りません。IC のジャンクション温度(∼+150C)範囲内で動作させるように、十分な余裕を満
たすことをお奨めします。
(* 参考値)
●ON/OFF 機能
ON/OFF 端子を 0.5V max.以下にすることで NJW4153 の機能を停止させスタンバイ状態にします。
内部は 450kでプルダウンされており、端子オープン時はスタンバイモードに移行します。
スタンバイ機能を使用しない場合は、ON/OFF 端子を V+に接続してください。
- 12 -
Ver.2014-07-02
NJW4153 Application
Manual
NJW4153-T1
技 術 資 料
■アプリケーション情報
●インダクタ
インダクタには大電流が流れるため、飽和しない電流能力を持たせる必要があります。NJW4153 では、位相補償が
内蔵されており、最適な L 値は、入力電圧と出力電圧によって決まります。
インダクタの設定例(参考値)
ViIN=12V → VOUT=5.0V :L ≦ 10H
ViIN=24V → VOUT=5.0V :L ≦ 10H
上記に記載された L 値よりも小さいものを選定しますが、L 値は、記載された値から半分までを目安にしてください。
L 値が小さくなると、出力電流に対するピーク電流が大きくなり、変換効率が低下しやすくなります。
(図3)また過
電流リミットに掛かりやすくなるため、出力電流が制限される点に注意しなければいけません。
ピーク電流は、下記式によって求められます。
IL 
VIN  VOUT   VOUT
L  VIN  fOSC
Ipk  I OUT 
[A]
I L
[A]
2
Current
Peak Current IPK
Indunctor
Ripple Current IL
Peak Current IPK
Output Current
IOUT
Indunctor
Ripple Current IL
0
tON
tOFF
L 値が小さいとき
tON
tOFF
L 値が大きいとき
図3 インダクタ電流の状態(電流連続モード動作時)
Ver.2014-07-02
- 13 -
NJW4153
Application Manual
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■アプリケーション情報(続き)
●キャッチ・ダイオード
パワーMOSFET が OFF サイクルの時は、インダクタに蓄えられた電力がキャッチ・ダイオードを経由して出力コン
デンサに流れます。そのためダイオードにはサイクル毎に、負荷電流に応じた電流が流れます。ダイオードの順方向
飽和電圧と電流の積が電力損失となるため、順方向飽和電圧の低い SBD (Schottky Barrier Diode)が最適です。
また SBD は、逆回復時間が短い特徴を併せて持っています。逆回復時間が長くなると、スイッチングトランジスタ
が OFF から ON サイクルに移行した時、貫通電流が流れてしまいます。この電流によって効率の低下、ノイズの発
生等に影響を及ぼす可能性が有ります。
●入力コンデンサ
スイッチングレギュレータの入力部には、周波数に応じた過渡的な電流が流れます。電源回路に供給される電源イン
ピーダンスが大きいと入力電圧の変動につながり、NJW4153 の性能を十分に引き出せません。よって入力コンデン
サは、できる限り IC の近くに挿入してください。
NJW4153 の入力コンデンサには、セラミックコンデンサが適しており、リップル電流を容易に満たすことが出来ま
す。
入力実効電流は、下記計算式で表せます。
IRMS  IOUT 
VOUT  VIN  VOUT 
VIN
[A]
上記計算式は、VIN=2×VOUT 時が最大になり、その時の結果は、IRMS=IOUT(MAX)÷2 です。
入力コンデンサの選定は、アプリケーションで評価の上、十分なマージンを持った物をご使用ください。
●出力コンデンサ
出力コンデンサは、インダクタンスからの電力を蓄え、出力への供給電圧を安定させる役割をします。
NJW4153 は、低 ESR の出力コンデンサが使用できるように位相補償を設定しており、セラミックコンデンサが最適
です。
コンデンサの最適容量(参考値)
VOUT=5.0V :COUT ≧ 22F
セラミックコンデンサは、DC 電圧印加や温度変化によって容量が低下するため、スペックシート等で特性を確認し
てください。
出力コンデンサの選定には、ESR(等価直列抵抗:Equivalent Series Resistance)の特性、リップル電流、耐圧を考慮
に入れる必要が有ります。
低 ESR タイプのコンデンサであれば、リップル電圧を下げることが出来ます。
出力リップル電圧は、下記計算式で表せます。
Vripple (p p )  ESR  IL [ V ]
コンデンサに流れるリップル電流の実効値(Irms)は、下記計算式で表せます。
Irms 
- 14 -
 IL
[ Arms ]
2 3
Ver.2014-07-02
NJW4153 Application
Manual
NJW4153-T1
■アプリケーション情報(続き)
●出力電圧設定抵抗、補償用コンデンサ
出力電圧 VOUT は、R1, R2 の抵抗比で決まります。R1, R2 に流れる電流は、Error AMP に流れるバイアス電流を無視
できるような値とします。
 R2

VOUT  
 1  VB [ V ]
R
1


R2 と CFB によって、ゼロ点(fZ1)が形成され、スイッチングレギュレータの位相を補償します。
ゼロ点は、下記計算式で表せます。
f Z1 
1
[Hz]
2    R2  C FB
fZ1 は、30k∼50kHz 程度を目安に設定してください。
Ver.2014-07-02
- 15 -
NJW4153
Application Manual
NJW4153-T1
技 術 資 料
■アプリケーション情報(続き)
●基板レイアウト
スイッチングレギュレータは、インダクタの充放電によって出力へ電力供給を行います。発振周波数に応じて電流が
流れるため、基板のレイアウトは重要な項目です。大電流の流れるラインは太く、短くし、ループ面積を最小限にし
てください。図4に降圧回路における電流ループを示します。
特にスイッチングにおける高速な電流変化を伴う CIN−SW−SBD 間は、最優先でループを構成します。
寄生インダクタによって発生するスパイクノイズを低減するのに効果的です。
NJW4153
内蔵 SW
V IN
CIN
NJW4153
内蔵 SW
L
SBD
COUT
V IN
CIN
(a) 降圧回路 SW ON 状態
L
SBD
COUT
(b) 降圧回路 SW OFF 状態
図4 降圧回路における電流ループ
GND ラインは、パワー系と信号系を分離した上で1点アースをとるのが望ましい接続です。
また電圧検出のフィードバックラインは、できるだけインダクタンスから離します。本ラインはインピーダンスが高
いため、インダクタンスからの漏れ磁束でノイズの影響を避けるように配線します。
図5に降圧回路での配線例、図6にレイアウト例を示します。
L
V+
V IN
V OUT
SW
CIN
SBD
COUT
RL(負荷)
ICの近傍に
挿入する。
NJW4153
CFB
INR2
GND
R1
負荷近傍で電圧を検出し、
電圧降下が負荷へ影響を与え
ないように配慮する。
ICのインピーダンスが高いため、
信号系の GNDを
パワー系と分離する。 電圧検出抵抗 R1,R2はできるだけ
ICの近くに配置する。
図5 降圧回路での配線例
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Ver.2014-07-02
NJW4153 Application
Manual
NJW4153-T1
技 術 資 料
■アプリケーション情報(続き)
GNDOUT
V OUT
Power GND Area
COUT
GND IN
L
SBD
CIN1
CIN2
VIN
Feed back
signal
1pin
R2
ON/OFF
R1
RFB CFB
Signal GND Area
裏面にてパワー系 GND と信号系 GND を接続
図6 レイアウト例(上面パターン)
Ver.2014-07-02
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NJW4153
Application Manual
NJW4153-T1
技 術 資 料
■パッケージパワーの計算
降圧回路の損失の多くは、スイッチ動作を行う NJW4153 のパワーMOSFET によって発生します。そのため下記式を
目安に NJW4153 の損失として考えます。
入力電力
:PIN = VIN  IIN [W]
出力電力
:POUT = VOUT  IOUT [W]
ダイオードの損失
:PDIODE = VF  IL(avg)  OFF duty [W]
NJW4153 の消費電力 :PLOSS = PIN  POUT  PDIODE [W]
ただし、
VIN
VOUT
VF
OFF duty
:コンバータの入力電圧
:コンバータの出力電圧
:ダイオードの順方向飽和電圧
:スイッチ OFF 時間
:コンバータの入力電流
:コンバータの出力電流
:インダクタ平均電流
IIN
IOUT
IL(avg)
変換効率  は、下記式によって求められます。
 = (POUT  PIN)  100 [%]
求めた消費電力 PD に対して温度ディレーティングを考慮します。
消費電力対周囲温度特性例(図7)を参考に、定格内に収まるか確認してください。
NJW4153U2-A-T1 Power Dissipation
(Topr= -40°C to +125℃, Tj=150°C)
2600
Power Dissipation PD(mW)
2400
2200
At on 4 layer PC board (*4)
2000
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
At on 2 layer PC board (*3)
400
200
0
-50
-25
0
25
50
75
100
125
150
Ambient Temparature Ta(°C)
(*5): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(2 層 FR-4)で EIA/JEDEC 規格サイズ、且つ銅箔面積 100mm2
(*6): 基板実装時 76.2×114.3×1.6mm(4 層 FR-4)で EIA/JEDEC 準拠による
(4 層基板内箔:74.2×74.2mm、JEDEC 規格 JESD51-5 に基づき、基板にサーマルビアホールを適用)
図7 消費電力対周囲温度特性例
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Ver.2014-07-02
NJW4153 Application
Manual
NJW4153-T1
技 術 資 料
■アプリケーション設計例
●降圧アプリケーション仕様
IC
:NJW4153U2-A
入力電圧
:VIN=12V, 24V
出力電圧
:VOUT=5V
出力電流
:IOUT=1A
発振周波数
:fosc=1MHz
L
10H3.4A
V IN=12V, 24V
V+
V OUT =5V
CFB
22pF
SW
R2
160k
NJW4153
CIN1
10F/50V
ON/OFF
GND
IN-
ON/OFF
SBD
COUT
22F/25V
R1
30k
High: ON
Low: OFF
(Standby)
IC
記号
数量
1
L
1
CDRH8D28HPNP-100N
SBD
CIN
COUT
CFB
R1
R2
1
1
1
1
1
1
CMS16
UMK325BJ106MM
GRM32EB31E226KE15
22pF
30k
160k
Ver.2014-07-02
部品番号
NJW4153U2-A
概要
1A MOSFET 内蔵 SW.REG. IC
Inductor 10H,
3.4A(Ta=25C) / 2.5A(Ta=100C)
Schottky Diode 40V, 3A
Ceramic Capacitor 3225 10F, 50V, X5R
Ceramic Capacitor 3225 22F, 25V, B
Ceramic Capacitor 1608 22pF, 50V, CH
Resistor 1608 30k, 1%, 0.1W
Resistor 1608 160k, 1%, 0.1W
メーカー
New JRC
Sumida
Toshiba
Taiyo Yuden
Murata
Std.
Std.
Std.
- 19 -
NJW4153
Application Manual
NJW4153-T1
技 術 資 料
■アプリケーション特性例 :NJW4153U2-A
●VOUT=5V 設定時 (R1=30k, R2=160k)
Efficiency vs. Output Current
(A ver., VOUT=5V, Ta=25°C)
Output Voltage vs. Output Current
(A ver., Ta=25°C)
100
5.3
f=1MHz
L=10H
90
Output Voltage VOUT (V)
Efficiency  (%)
80
70
VIN=6V
VIN=12V
VIN=18V
VIN=24V
60
50
40
30
20
f=1MHz
L=10H
5.2
5.1
5
VIN=6V
VIN=12V
VIN=18V
VIN=24V
4.9
4.8
10
4.7
0
1
10
100
Output Current IOUT (mA)
1000
1
10
100
Output Current IOUT (mA)
1000
●VOUT=3.3V 設定時 (R1=47k, R2=150k)
Efficiency vs. Output Current
(A ver., VOUT=3.3V, Ta=25°C)
100
Output Voltage vs. Output Current
(A ver., Ta=25°C)
3.5
f=1MHz
L=10H
90
Output Voltage VOUT (V)
Efficiency  (%)
80
70
VIN=6V
VIN=12V
VIN=18V
VIN=24V
60
50
40
30
20
10
3.4
3.35
3.3
VIN=6V
VIN=12V
VIN=18V
VIN=24V
3.25
3.2
3.15
0
1
- 20 -
f=1MHz
L=10H
3.45
10
100
Output Current IOUT (mA)
1000
3.1
1
10
100
Output Current IOUT (mA)
1000
Ver.2014-07-02
NJW4153 Application
Manual
NJW4153-T1
技 術 資 料
■極性反転回路例
CC
0.47F/50V
V IN=15V
SBD
V OUT = -15V
CIN
10F/50V
V+
CFB
Optional
SW
NJW4153
ON/OFF
GND
IN-
L
10H/3.4A
COUT
22F/25V
R2
51k
R1
910k
ON/OFF
High: ON
Low: OFF
(Standby)
IC
記号
数量
1
部品番号
NJW4153U2-A
L
1
CDRH8D28HPNP-100N
SBD
CIN
COUT
CC
CFB
R1
R2
1
1
1
1
0
1
1
CMS16
UMK325BJ106MM
GRM32EB31E226KE15
GRM21BB31H474KA87
 (Optional)
910k
51k
概要
1A MOSFET 内蔵 SW.REG. IC
Inductor 10H,
3.4A(Ta=25C) / 2.5A(Ta=100C)
Schottky Diode 40V, 3A
Ceramic Capacitor 3225 10F, 50V, X5R
Ceramic Capacitor 3225 22F, 25V, B
Ceramic Capacitor 2012 0.47F, 50V, B
Optional
Resistor 1608 910k, 1%, 0.1W
Resistor 1608 51k, 1%, 0.1W
Efficiency vs. Output Current
(A ver. , VIN=15V, VOUT=-15V, Ta=25°C)
90
Output Voltage VOUT (V)
f=1MHz
L=10H
Efficiency  (%)
80
70
60
50
40
30
Sumida
Toshiba
Taiyo Yuden
Murata
Murata

Std.
Std.
Output Voltage vs. Output Current
(A ver. , VIN=15V, Ta=25°C)
-17.0
100
メーカー
New JRC
f=1MHz
L=10H
-16.5
-16.0
-15.5
-15.0
-14.5
-14.0
20
-13.5
10
-13.0
0
1
Ver.2014-07-02
10
100
Output Current IOUT (mA)
1000
1
10
100
Output Cuurent IOUT (mA)
1000
- 21 -
NJW4153-T1
MEMO
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ん。とくに応用回路については、製品の代表
的な応用例を説明するためのものです。また、
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Ver.2014-07-02